JP2006274444A - 装飾品の製造方法、装飾品および時計 - Google Patents

装飾品の製造方法、装飾品および時計 Download PDF

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Abstract

【課題】主としてプラスチック材料で構成された基材を備え、電磁波の透過性に優れるとともに、美的外観および耐久性に優れた装飾品を提供すること、当該装飾品を製造することができる装飾品の製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の装飾品1の製造方法は、主としてプラスチック材料で構成された基材2上に、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第1の被膜3を形成する工程と、第1の被膜3上に、gおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第2の被膜4を形成する工程と、基材2の第2の被膜4が設けられている側の面とは反対の面側からレーザー光を照射し、第2の被膜4の一部を除去することにより、開口部6を形成する工程と、第2の被膜4上にコート層5を形成する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、装飾品の製造方法、装飾品および時計に関する。
時計用外装部品のような装飾品には、優れた美的外観が要求される。従来、このような目的を達成するために、一般に、装飾品の構成材料として、Au、Ag等の金属材料を用いてきた。
また、一方で、生産コストの低減や、装飾品の成形の自由度を向上させる等の目的で、基材としてプラスチックを用い、その表面に、金属材料で構成された被膜を形成する試みがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、プラスチックは、一般に、金属材料との密着性に劣っている。このため、基材と被膜との間での剥離が生じ易く、装飾品の耐久性に劣るという問題点があった。
また、例えば、電波時計やソーラー時計(太陽電池を備えた時計)では、時計用文字板に電磁波(電波、光)の透過性が求められる。このため、このような時計用文字板としては、プラスチック製のものが用いられてきたが、プラスチックは高級感に欠けるため、時計用文字板の美的外観を向上させる目的で、金属材料で構成された薄膜で被覆する試みがある。しかしながら、上記のように、プラスチックは金属材料との密着性に劣るという問題点があった。また、電磁波(電波、光)の透過性を高めるためには、薄膜の厚さを十分に薄くする必要があるが、このような場合、時計用文字板全体としての美的外観が低下するという問題点があった。
特開2003−239083号公報(第4頁左欄第37〜42行目)
本発明の目的は、主としてプラスチック材料で構成された基材を備え、電磁波(電波、光)の透過性に優れるとともに、美的外観および耐久性に優れた装飾品を提供すること、当該装飾品を製造することができる装飾品の製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品の製造方法は、主としてプラスチック材料で構成された基材上に、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第1の被膜を形成する工程と、
前記第1の被膜上に、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第2の被膜を形成する工程と、
レーザー光を照射して、前記第2の被膜の一部を除去することにより、開口部を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、主としてプラスチック材料で構成された基材を備え、電磁波(電波、光)の透過性に優れるとともに、美的外観および耐久性に優れた装飾品を製造することが可能な装飾品の製造方法を提供することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記レーザー光の照射は、前記基材の前記第2の被膜が設けられている側の面とは反対の面側から行うことが好ましい。
これにより、第2の被膜の表面における不本意な凹凸(表面の荒れ)の発生をより効果的に防止することができ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第2の被膜を平面視したときに前記開口部が占める面積率が15〜40%であることが好ましい。
これにより、製造される装飾品の美的外観を十分優れたものとしつつ、電磁波の透過性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記開口部を、前記第1の被膜にも貫通するものとして形成することが好ましい。
これにより、製造される装飾品の電磁波の透過性をさらに高いものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記開口部の幅は、10〜100μmであることが好ましい。
これにより、製造される装飾品について、電磁波の透過性を十分に高いものとしつつ、美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記基材は、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、装飾品全体としての強度を特に優れたものとすることができるとともに、装飾品の製造時における成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)。
本発明の装飾品の製造方法では、前記化合物は、金属酸化物であることが好ましい。
これにより、基材と第2の被膜との密着性をより優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第1の被膜の平均厚さは、0.005〜1.0μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、第1の被膜の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基材と第2の被膜との密着性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第2の被膜の平均厚さは、0.005〜1.5μmであることが好ましい。
これにより、第2の被膜の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、第1の被膜と第2の被膜との密着性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第1の被膜の平均厚さと前記第2の被膜の平均厚さとの和は、0.01〜2.5μmであることが好ましい。
これにより、第1の被膜や第2の被膜の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基材、第1の被膜、第2の被膜の密着性を特に優れたものとすることができる。また、第1の被膜の平均厚さと第2の被膜の平均厚さとの和が上記のような範囲内の値であると、装飾品全体としての電波の透過性が向上する。その結果、当該装飾品を電波時計用部品により好適に適用することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第2の被膜上に、主として樹脂材料で構成されたコート層を形成する工程を有することが好ましい。
これにより、例えば、電磁波(電波、光)の透過率を十分に高いものとしつつ、装飾品の美的外観をさらに優れたものにすることができる。また、外部環境の影響による第2の被膜等の劣化、変性等をより確実に防止することができ、装飾品としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品は、本発明の方法を用いて製造したことを特徴とする。
これにより、主としてプラスチック材料で構成された基材を備え、電磁波(電波、光)の透過性に優れるとともに、美的外観および耐久性に優れた装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品としての外観の美しさが要求されるとともに、実用品としての耐久性も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の装飾品は、電波時計用部品であることが好ましい。
本発明の装飾品は、美的外観および耐久性に優れるとともに、基材がプラスチック材料で構成されているため、電波の透過性に優れている。したがって、本発明の装飾品は、電波時計用部品に好適に適用することができる。
本発明の装飾品は、時計用文字板であることが好ましい。
時計用文字板は、電波時計やソーラー時計等において、電磁波の優れた透過性が求められるとともに、優れた美的外観や優れた耐久性等も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観および耐久性に優れた時計を提供することができる。また、外部からの電磁波(電波、光)を有効に利用することが可能な時計(例えば、電波時計、ソーラー時計、ソーラー電波時計等)を提供することができる。
本発明によれば、主としてプラスチック材料で構成された基材を備え、電磁波(電波、光)の透過性に優れるとともに、美的外観および耐久性に優れた装飾品を提供すること、当該装飾品を製造することができる装飾品の製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の装飾品の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の装飾品の好適な実施形態を示す断面図、図2は、本発明の装飾品の好適な実施形態を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の装飾品1は、基材2と、第1の被膜3と、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第2の被膜4と、コート層5とを有している。
[基材]
基材2は、主としてプラスチック材料で構成されたものである。
基材2を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基材2は、上記のような材料の中でも特に、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、装飾品1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1の製造時にいては、基材2の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の装飾品1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、装飾品1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、装飾品1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。また、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)は、上記のような優れた特性を有しているが、その一方で、後に詳述する第2の被膜4の構成材料として用いられるAg、Alとの密着性が、各種樹脂材料の中でも特に劣っている。したがって、基材として、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものを用いた場合、本発明の効果は、特に顕著なものとなる。すなわち、上述したようなポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)の特長を十分に発揮させつつ、装飾品全体としての審美性(美的外観)、耐久性を優れたものとすることができる。
なお、基材2は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。
また、基材2は、少なくとも表面付近の一部(後述する第1の被膜3が形成される部位)が主としてプラスチック材料で構成されたものであればよく、例えば、プラスチック材料を含まない材料で構成された部位を有するものであってもよい。
また、基材2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、基材2は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。基材2がこのような構成のものである場合、少なくともその表面付近の一部(後述する第1の被膜3が形成される部位)が上述したような、主としてプラスチック材料で構成されたものであればよい。
また、基材2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品1の形状、大きさに基づいて決定される。
また、基材2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基材2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
[第1の被膜]
ところで、前述したように、装飾品1は、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第2の被膜4を有しており、このような第2の被膜4を有することにより、装飾品1の美的外観(審美性)は優れたものとなる。プラスチック基材上に、金属材料で構成された被膜を有する装飾品は、従来から提案されていた。しかしながら、Ag、Alは、各種金属材料の中でも、特に、プラスチック材料との親和性に乏しく、これらの密着性は極めて劣っている。したがって、プラスチック材料で構成された基材の表面にAg、Alで構成された被膜を直接形成するのは困難であり、また、このような被膜を形成することができたとしても、当該被膜の浮き、剥がれ(剥離)等を生じ易く、装飾品としての耐久性は著しく低いものとなる。
そこで、本発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、主としてプラスチック材料で構成された基材と、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された被膜(第2の被膜)との間に、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された被膜(第1の被膜)を設けることにより、装飾品としての美的外観(審美性)を優れたものとしつつ、基材と被膜(第2の被膜)との密着性を向上させることができ、装飾品としての耐久性を著しく向上させることができることを見出した。
したがって、本実施形態においても、基材2の表面には、第1の被膜3が設けられている。
また、第1の被膜3は、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものである。前記化合物としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物等や、Cr、Tiのうち少なくとも一方を含む金属間化合物等が挙げられる。
上記のような材料の中でも、第1の被膜3を構成する材料としては、特に、金属としてのCr(ただし、合金を含む)または、Cr、Tiの酸化物(酸化クロム、酸化チタン、クロムの複合酸化物、チタンの複合酸化物等)が好ましい。第1の被膜3がこのような材料で構成されることにより、基材2と第2の被膜4との密着性をより優れたものとすることができる。また、第1の被膜3がCr、Tiの酸化物(酸化クロム、酸化チタン、クロムの複合酸化物、チタンの複合酸化物等)で構成されたものであると、第1の被膜3に後述するような開口部6が形成されていない場合(第2の被膜4のみに開口部6が形成されている場合)であっても、装飾品1全体としての電磁波(特に光)の透過率を、特に優れたものとすることができる。なお、第1の被膜3は、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物(以下、これらを総称して「CrTi系物質」とも言う)以外の成分を含むものであってもよいが、主としてCrTi系物質で構成されたものであるのが好ましい。より具体的には、第1の被膜3中におけるCrTi系物質の含有率(複数種のCrTi系物質を含む場合はそれらの総和)が95wt%以上であるのが好ましく、98wt%以上であるのがより好ましく、99wt%以上であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果は、さらに顕著なものとなる。
また、第1の被膜3の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜1.0μmであるのが好ましく、0.007〜0.5μmであるのがより好ましく、0.01〜0.3μmであるのがさらに好ましい。第1の被膜3の平均厚さが前記範囲内の値であると、装飾品1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、第1の被膜3の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基材2と第2の被膜4との密着性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の被膜3の平均厚さが前記下限値未満であると、第1の被膜3、基材2、第2の被膜4の構成材料等によっては、基材2と第2の被膜4との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。また、第1の被膜3の平均厚さが前記下限値未満であると、第1の被膜3の形成方法等によっては、第1の被膜3にピンホールが生じ易くなり、第1の被膜3を備えることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、第1の被膜3の平均厚さが前記上限値を超えると、第1の被膜3の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、第1の被膜3の平均厚さが特に大きい場合は、第1の被膜3の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
また、第1の被膜3は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、第1の被膜3は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、第1の被膜3は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、基材2および第2の被膜4との密着性をさらに向上させることができる。より具体的には、前記積層体の基材2と接触する側の層を基材2との密着性に優れる材料で構成し、前記積層体の第2の被膜4と接触する側の層を第2の被膜4との密着性に優れる材料で構成することにより、基材2および第2の被膜4との密着性をさらに向上させることができる。また、基材2および第2の被膜4の構成材料の選択の幅が広がり、装飾品1の審美性(美的外観)および耐久性を特に優れたものとすることができる。また、基材2の構成材料の選択の幅が広がることから、例えば、より複雑な形状の装飾品1にも本発明を好適に適用することが可能となる。
また、第1の被膜3が積層体である場合、少なくとも、主として金属酸化物で構成された層を有するのが好ましい。
また、第1の被膜3が積層体である場合、第1の被膜3は、主としてCrで構成され、かつ基材2に隣接して設けられた第1の層と、主としてCrOで構成され、かつ第1の層の、基材2と対向する面とは反対の面に隣接して設けられた第2の層とを有するものであるのが好ましい。言い換えると、基材2と、第1の層と、第2の層とがこの順で隣接しあっているのが好ましい。これにより、第1の被膜3の、基材2および第2の被膜4に対する密着性をさらに優れたものとすることができる。また、基材2および第2の被膜4の構成材料の選択の幅がさらに広がり、装飾品1の審美性(美的外観)および耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、基材2の構成材料の選択の幅が広がることから、例えば、より複雑な形状の装飾品1にも本発明をより好適に適用することが可能となる。
また、第1の被膜3が積層体である場合、例えば、実質的にCrTi系物質を含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、第1の被膜3は、CrTi系物質で構成された2つの層の間に、プラスチック材料等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
[第2の被膜]
第1の被膜3の表面(基材2と接触する面とは反対側の面)には、第2の被膜4が設けられている。
第2の被膜4は、前述したように、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものである。このような第2の被膜4を有することにより、装飾品1は、美的外観に優れたものになる。また、上記のような材料で構成された第2の被膜4を有することにより、後述する開口部6の大きさが比較的大きい場合や、第2の被膜4全面に占める開口部6の面積率が比較的大きい場合であっても、外観上、開口部6の存在をより目立たないものとすることができる。なお、第2の被膜4は、Ag、Al以外の成分を含むものであってもよいが、主としてAgおよび/またはAlで構成されたものであるのが好ましい。より具体的には、第2の被膜4中におけるAg、Alの含有率の総和が95wt%以上であるのが好ましく、98wt%以上であるのがより好ましく、99wt%以上であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果は、さらに顕著なものとなる。
第2の被膜4の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜1.5μmであるのが好ましく、0.007〜0.9μmであるのがより好ましく、0.01〜0.5μmであるのがさらに好ましい。第2の被膜4の平均厚さが前記範囲内の値であると、第2の被膜4の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、装飾品1の審美性を特に優れたものとすることができる。また、第1の被膜3と第2の被膜4との密着性を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に大きいものとすることができる。これに対し、第2の被膜4の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の被膜4の構成材料等によっては、第2の被膜4の光沢、色調等の特長を十分に発揮するのが困難となり、装飾品1全体としての審美性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。また、第2の被膜4の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の被膜4の形成方法等によっては、第2の被膜4にピンホールが生じ易くなる。また、第2の被膜4、第1の被膜3の構成材料等によっては、第1の被膜3と第2の被膜4との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。また、第2の被膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、第2の被膜4の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、第2の被膜4の平均厚さが特に大きい場合は、第2の被膜4の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。また、第2の被膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、装飾品1全体としての電磁波(電波、光)の透過率が減少する傾向を示す。
また、第2の被膜4は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、第2の被膜4は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、第2の被膜4は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、第1の被膜3との密着性を特に優れたものとしつつ、装飾品1としての審美性をさらに高めることができる。すなわち、前記積層体の第1の被膜3と接触する側の層を第1の被膜3との密着性に優れる材料で構成し、前記積層体の最外層(第1の被膜3から最も離れた側の層)を審美性に優れる材料で構成することにより、第1の被膜3との密着性を特に優れたものとしつつ、装飾品1としての審美性をさらに高めることができる。また、第2の被膜4が積層体である場合、例えば、実質的にAgおよびAlを含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、第2の被膜4は、Agおよび/またはAlを含む材料で構成された2つの層の間に、Ag、Al以外の金属や金属酸化物等の金属化合物等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
また、前述した第1の被膜3の平均厚さと第2の被膜4の平均厚さとの和は、0.01〜2.5μmであるのが好ましく、0.014〜1.5μmであるのがより好ましく、0.02〜0.8μmであるのがさらに好ましい。第1の被膜3の平均厚さと第2の被膜4の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、第1の被膜3や第2の被膜4の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基材2、第1の被膜3、第2の被膜4の密着性を特に優れたものとすることができる。また、第1の被膜3の平均厚さと第2の被膜4の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、装飾品1全体としての電波の透過性が向上する。その結果、装飾品1を電波時計用部品により好適に適用することができる。
[開口部]
そして、第2の被膜4には、その厚さ方向に貫通する多数個の開口部6が所定の割合で設けられている。このような開口部6を有することにより、装飾品1全体としての美的外観を優れたものとしつつ、外部から入射した電磁波(図1中上側からの電磁波)を十分に透過させることができる。これにより、装飾品1を、例えば、電波時計やソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)、ソーラー電波時計等に好適に適用することができる。
第2の被膜4を平面視したときにおける、開口部6の占める面積の割合(開口部6の占有面積の割合)は、特に限定されないが、15〜40%であるのが好ましく、25〜35%であるのがより好ましく、27〜33%であるのがさらに好ましく、28〜32%であるのがもっとも好ましい。開口部6の占める面積率が前記下限値未満であると、第2の被膜4の構成材料や厚さ等によっては、装飾品1全体としての電磁波の透過率を十分に高めることができない。一方、開口部6の占める面積率が前記上限値を超えると、開口部6の存在が目立つ傾向が現れ、装飾品1の審美性が低下する。
開口部6の形状は、特に限定されず、例えば、平面視した際の形状が略円形状、略楕円形状、略多角形状、スリット状、格子状等、いかなる形状であってもよいが、図2に示すように、平面視した際に略円形状を示すものであると、装飾品1の外観において、開口部6の存在をより目立ち難いものとすることができる。また、このような形状の開口部6は、後述するような製造方法において、その形成を容易に行うことができ、また、その大きさをより確実に制御することができる。
また、図中Wで表される開口部6の幅は、10〜100μmであるのが好ましく、40〜60μmであるのがより好ましく、45〜55μmであるのがさらに好ましい。開口部6の幅Wが前記範囲内の値であると、装飾品1としての電磁波の透過性を十分に高いものとしつつ、装飾品1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部6の幅Wが前記下限値未満であると、開口部6の占有面積の割合によっては、装飾品1全体としての電磁波の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、開口部6の幅Wが前記上限値を超えると、第2の被膜4の構成材料や厚さ等によっては、装飾品1の外観上、開口部6の存在が目立ち、装飾品1の審美性が低下する傾向があらわれる。なお、開口部6が平面視した際に略円形状を示すものである場合には、その直径を開口部6の幅Wとし、開口部6が平面視した際に略楕円形状を示すものである場合には、その短軸方向の長さを開口部6の幅Wとすることができる。
また、図中Pで表される開口部6のピッチは、60〜300μmであるのが好ましく、120〜200μmであるのがより好ましく、130〜180μmであるのがさらに好ましい。開口部6のピッチPが前記範囲内の値であると、装飾品1としての電磁波の透過性を十分に高いものとしつつ、装飾品1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部6のピッチPが前記下限値未満であると、第2の被膜4の構成材料や厚さ等によっては、装飾品1の外観上、開口部6の存在が目立ち、装飾品1の審美性が低下する傾向があらわれる。一方、開口部6のピッチPが前記上限値を超えると、開口部6の占有面積の割合によっては、装飾品1全体としての電磁波の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。なお、開口部6のピッチとは、隣接する開口部6−開口部6間の中心間距離のことを指し、隣接する開口部が複数個ある場合には、最も近接した開口部6との中心間距離のことを指す。
上記のような開口部6は、少なくとも、第2の被膜4に設けられていればよいが(特に、第1の被膜3が透明性を有する材料で構成されたものである場合等においては)、図1に示す構成では、第1の被膜3にも貫通している。これにより、装飾品1の美的外観を優れたものとしつつ、装飾品1全体としての電磁波の透過率をさらに向上させることができる。このような開口部6は、後述するような方法により容易かつ確実に形成することができる。
また、開口部6は、図3に示すように、第2の被膜4に選択的に設けられ、第1の被膜3には設けられないものであってもよい。これにより、電磁波の透過率を十分に優れたものとしつつ、開口部6において、外部から入射した光は、第1の被膜3および基材2を透過するとともに、適度な反射率で反射され、開口部6の存在がより目立ち難くなり、装飾品1の美的外観は特に優れたものとなる。すなわち、開口部6において第1の被膜3が残存していると、外部から入射した光の一部が、第1の被膜3の表面付近で反射するとともに、第1の被膜3と基材2との間でも、光の入射側への光の反射がおこり、開口部6の存在がより目立ち難くなる。このような効果は、第1の被膜3の構成材料の屈折率(絶対屈折率)が、基材2の構成材料の屈折率(絶対屈折率)よりも大きい場合に発揮される。
また、第1の被膜3の構成材料の屈折率(絶対屈折率)をI、基材2の構成材料の屈折率(絶対屈折率)をIとしたとき、0.4≦I−I≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.6≦I−I≦1.1の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、上記のような効果は特に顕著なものとして発揮される。
[コート層]
第2の被膜4の表面(第1の被膜3と接触する面とは反対側の面)には、コート層5が設けられている。このようなコート層5を有することにより、例えば、電磁波の透過率を十分に高いものとしつつ、光沢性、色調等を調製することができ、装飾品1の美的外観をさらに優れたものにすることができる。また、このようなコート層5を有することにより、例えば、装飾品1全体としての、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させることができ、外部環境の影響による第2の被膜4等の劣化、変性等をより確実に防止することができる。その結果、装飾品1としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
コート層5は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、適度な透明性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。このような材料としては、各種プラスチック材料(樹脂材料)、各種ガラス、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられるが、この中でも、プラスチックは、優れた透明性と、優れた成形性(成形の容易さ)とを併有しているため、特に好ましい。
コート層5を構成するプラスチック材料(樹脂材料)としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
コート層5は、上記のような材料の中でも特に、ウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂を含む材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、上記のようなコート層5を有することによる効果をより顕著なものとして発揮させつつ、コート層5と第2の被膜4との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、コート層5中には、上記のような材料以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、可塑剤、酸化防止剤、フィラー等が挙げられる。
コート層5の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましく、2〜15μmであるのがさらに好ましい。コート層5の平均厚さが前記範囲内の値であると、コート層5の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、コート層5と第2の被膜4との密着性を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1の審美性を特に優れたものとすることができる。これに対し、コート層5の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の被膜4、コート層5の構成材料等によっては、コート層5と第2の被膜4との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。また、コート層5の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、コート層5の平均厚さが前記上限値を超えると、コート層5の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、コート層5の平均厚さが特に大きい場合は、コート層5の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。また、コート層5の平均厚さが特に大きい場合は、コート層5の構成材料(透明性)、第2の被膜4の構成材料等によっては、第2の被膜4の光沢、色調等の特長を十分に発揮するのが困難となり、装飾品1全体としての審美性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
また、開口部6が、図3(後述する図6についても同様)に示すように、第2の被膜4に選択的に設けられ、第1の被膜3には設けられないものである場合、第1の被膜3の構成材料の屈折率(絶対屈折率)をI、コート層5の構成材料の屈折率(絶対屈折率)をIとしたとき、0.4≦I−I≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.6≦I−I≦1.1の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、外部から入射した光の一部が、第1の被膜3の表面付近や、第1の被膜3と基材2との界面で、光の入射側へ反射するとともに、第1の被膜3とコート層5との界面でも光の入射側への光の反射がおこり、開口部6の存在がより目立ち難くなる。
また、コート層5は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、コート層5は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、コート層5は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、第2の被膜4との密着性を特に優れたものとしつつ、装飾品1としての審美性をさらに高めることができる。
また、コート層5は、例えば、装飾品1の使用時等において除去されるものであってもよい。
[装飾品]
以上説明したような装飾品1は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字板、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品としての外観の美しさが要求されるとともに、実用品としての耐久性も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。なお、本明細書中での「時計用外装部品」とは、外部から視認可能なものであればいかなるものであってもよく、時計の外部に露出しているものに限らず、時計の内部に内蔵されたものも含む。
また、本発明の装飾品は、時計用外装部品の中でも特に、文字板に適用されるものであるのが好ましい。文字板は、時計を構成する各種部品の中でも、特に優れた美的外観が要求される部品である。また、後述するような電波時計、ソーラー時計(これらには、ソーラー電波時計を含む)では、通常、文字板は、電波受信用のアンテナ、太陽電池を覆うように、電波受信用のアンテナ上、太陽電池上(太陽電池の受光面上)に配置されている。したがって、電波時計、ソーラー時計においては、文字板に、電波の優れた透過性が求められるが、本発明によれば、このような要求を十分に満足することができる。
また、本発明の装飾品は、時計用外装部品の中でも特に、腕時計に適用されるものであるのが好ましい。腕時計は、一般に、使用される環境の条件が一定ではなく、様々な環境下において優れた装飾性、実用性が求められるものである。
また、本発明の装飾品は、以下に述べるような理由から、時計用部品(時計用外装部品)の中でも特に、電波時計用部品(ソーラー電波時計用部品を含む)であるのが好ましい。
すなわち、本発明の装飾品は、上述したような開口部を有しているため、電磁波(光および電波)の透過性に優れている。また、本発明の装飾品は、基材と第2の被膜との間に第1の被膜を有しているため、当該第1の被膜の色調等により、第2の被膜の厚さが比較的薄い場合であっても、装飾品全体としての美的外観を優れたものとすることができる。また、本発明の装飾品は、基材がプラスチック材料で構成されている。これらのことから、本発明の装飾品においては、優れた美的外観および耐久性を発揮させるとともに、電波の透過性を特に優れたものとすることができる。したがって、本発明の装飾品は、電波時計用部品に好適に適用することができる。
次に、上述した装飾品1の製造方法について説明する。
図4は、本発明の装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(1a)に、第1の被膜3を形成する第1の被膜形成工程(1b)と、第1の被膜3の表面の少なくとも一部に、第2の被膜4を形成する第2の被膜形成工程(1c)と、第2の被膜4および第1の被膜3に開口部6を形成する開口部形成工程(1d)と、第2の被膜4上にコート層5を形成するコート層形成工程(1e)とを有する。
[基材]
基材2としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基材2の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる装飾品1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる装飾品1の装飾性をさらに向上させることができる。
また、このような表面加工を施した基材2を用いて製造される装飾品1は、第1の被膜3、第2の被膜4に対して、前記表面加工を施すことにより得られるものに比べて、第2の被膜4のギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、基材2は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるため、上記のような表面加工も比較的容易に行うことができる。また、第1の被膜3、第2の被膜4は、通常、比較的薄いものであるため、第1の被膜3、第2の被膜4に対して表面加工を施すと、当該表面処理を施した部位の第1の被膜3、第2の被膜4が完全に除去されてしまう可能性があるが、基材2に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。
[第1の被膜形成工程]
基材2に、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第1の被膜3を形成する(1b)。
上述したように、第1の被膜3は、基材2および第2の被膜4との密着性に優れるものである。本発明では、このような第1の被膜を、第2の被膜より基材側に形成することにより、装飾品全体としての耐久性を向上させる点に特徴を有する。
第1の被膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第1の被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の被膜3を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第1の被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき第1の被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる装飾品1の耐久性を十分に高いものとしつつ、装飾品1の電磁波の透過性を向上させることができる。したがって、得られる装飾品1を電波時計、ソーラー時計等の時計用部品に、より好適に適用することができる。
また、上記のような乾式めっき法(気相成膜法)の中でも、スパッタリングが特に好ましい。第1の被膜3の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、第1の被膜3の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の被膜3をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、第1の被膜3の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、形成すべき第1の被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる装飾品1の耐久性を高いものとしつつ、装飾品1の電磁波の透過性をさらに向上させることができる。したがって、得られる装飾品1を電波時計、ソーラー時計等の時計用部品に、さらに好適に適用することができる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、第1の被膜3を構成する金属、または、第1の被膜3を構成する金属化合物に対応する金属をターゲットとして用い、第1の被膜3の構成材料に対応するガスを含む雰囲気中で処理を行うことにより、第1の被膜3を容易かつ確実に形成することができる。例えば、形成すべき第1の被膜3が金属(合金を含む)で構成されるものである場合、雰囲気ガスとしてアルゴンガス等の不活性ガスを好適に用いることができる。また、形成すべき第1の被膜3が金属の酸化物で構成される場合、雰囲気ガスとして酸素を含む気体を好適に用いることができ、形成すべき第1の被膜3が金属の窒化物で構成される場合、雰囲気ガスとして窒素を含む気体を好適に用いることができ、形成すべき第1の被膜3が金属の炭化物で構成される場合、雰囲気ガスとしてアセチレン等の炭化水素を含む気体を好適に用いることができる。
また、第1の被膜3の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された第1の被膜3を好適に形成することができる。
[第2の被膜形成工程]
次に、上記のようにして形成された第1の被膜3上に、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成された第2の被膜4を形成する(1c)。
第2の被膜4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第2の被膜4の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、第1の被膜3との密着性が特に優れた第2の被膜4を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第2の被膜4の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき第2の被膜4が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる装飾品1の耐久性を十分に高いものとしつつ、装飾品1の電磁波の透過性を向上させることができる。したがって、得られる装飾品1を電波時計、ソーラー時計等の時計用部品に、より好適に適用することができる。
また、上記のような乾式めっき法(気相成膜法)の中でも、スパッタリングが特に好ましい。第2の被膜4の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、第2の被膜4の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、第1の被膜3との密着性が特に優れた第2の被膜4をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、第2の被膜4の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、形成すべき第2の被膜4が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる装飾品1の耐久性を高いものとしつつ、装飾品1の電磁波の透過性をさらに向上させることができる。したがって、得られる装飾品1を電波時計、ソーラー時計等の時計用部品に、さらに好適に適用することができる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、第2の被膜4を構成する金属をターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、第2の被膜4を容易かつ確実に形成することができる。また、上述した第1の被膜形成工程を乾式めっき法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を、酸素ガスを含むものから、不活性ガスに置換し、必要に応じて、ターゲットを変更することにより、同一装置内で、第1の被膜形成工程と第2の被膜形成工程とを、(基材2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基材2、第1の被膜3、第2の被膜4の密着性が特に優れたものとなるとともに、装飾品1の生産性も向上する。
また、第2の被膜4の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された第2の被膜4を好適に形成することができる。
[開口部形成工程]
次に、開口部6を形成する(1d)。開口部6は、少なくとも第2の被膜4に形成すればよいが、本実施形態では、第1の被膜3にも貫通するものとして形成している。
開口部6は、レーザー光を照射することにより形成する。より詳しく説明すると、上記のようにレーザー光を照射することにより、第2の被膜4の一部が除去され、多数個の開口部6が形成される。
このように、本発明では、開口部を形成するのに、レーザー光を用いる。これにより、他の方法(例えば、ブラスト処理等により、第2の被膜(および第1の被膜)の一部を機械的に除去する方法や化学的に除去する方法等)に比べて、容易かつ確実に、所望の形状、大きさを有し、かつ、所望のパターンで配置された開口部を形成することができる。
特に、本実施形態では、基材2の第2の被膜4が設けられている側の面とは反対の面側(図4中下側)から、レーザー光を照射することにより開口部6を形成する。これにより、以下のような効果が得られることを本発明者は見出した。
すなわち、上記のようにレーザー光を基材2側(図中下側)から照射することにより、第2の被膜4の表面に不本意な凹凸が発生するのを防止しつつ、所望の形状、大きさを有し、かつ、所望のパターンで配置された開口部6を、容易かつ確実に形成することができる。また、照射するレーザー光の条件を調整することにより、第2の被膜4とともに第1の被膜3を容易かつ確実に除去することができ、開口部6を効率良く形成することができる。
上記のような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、レーザー光を基材2側から照射した際、レーザー光を照射することにより、第2の被膜4のうちレーザー光のエネルギーを吸収した部位(レーザー光が照射された部位)は、レーザー光の進行方向に弾き飛ばされる。これに対し、第2の被膜4のうちレーザー光が照射されなかった部位(レーザー光のエネルギーを吸収しなかった部位)は、レーザー光の影響を受けない。したがって、第2の被膜4のうち、レーザー光が照射された部位に対応する部位のみが選択的に除去され、開口部6が形成される。その結果、第2の被膜4の表面に不本意な凹凸(荒れ)が生じるのを確実に防止しつつ、所望の形状、大きさの開口部6を形成することができる。すなわち、レーザー光を基材2側から照射した場合、第2の被膜4を構成する材料は、入射するレーザー光の進行方向(図4中の下側から上側の方向)に向かって弾き飛ばされるので、レーザー光により弾き飛ばされた第2の被膜4の構成材料により、残存すべき第2の被膜4が悪影響を受けるのをより確実に防止することができ、結果として、装飾品1の美的外観は特に優れたものとなる。また、レーザー光を基材2側から照射した場合には、第2の被膜4がレーザー光のエネルギーを吸収し難い材料で構成されたものであっても、第1の被膜3の構成材料を選択すること等により、レーザー光のエネルギーを第1の被膜3に吸収させ、そのエネルギーを、対応する部位の第2の被膜4に与えることにより、第2の被膜4の所望の部位を(必要に応じて対応する部位の第1の被膜3とともに)選択的に除去し、開口部6を形成することができる。
また、レーザー光を基材2側から照射する場合、レーザーの照射条件等の調整、第2の被膜4、第1の被膜3の材料等の選択等により、図3に示すように、第2の被膜4にのみ選択的に設けられた開口部6を有する装飾品1を、容易かつ確実に得ることができる。また、レーザー光を基材2側から照射する場合、レーザーの照射条件等の調整、第2の被膜4、第1の被膜3の材料等の選択等により、図5、図6に示すような形状(外表面の方向に向かって開口面積が大きくなるテーパー形状)の開口部6を、容易かつ確実に形成することができる。開口部6が図5、図6に示すような形状であると、傾斜面61において、外部から入射した光を反射させることができるため、光の反射方向が広がり、装飾品1の外観上、開口部6の存在がより目立たないものとなる。その結果、装飾品の美的外観はさらに向上する。また、このような場合、開口部6の幅(開口部の面積)が比較的大きいものであっても、開口部6の存在が目立ち難い。したがって、装飾品1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、電磁波の透過率をさらに優れたものとすることができる。なお、図5、図6に示すように、開口部6の幅が、第2の被膜4の厚さ方向に一定でない場合、開口部6の幅としては、各開口部6について、最も幅が小さい部位での値を採用することができる。
本工程で照射するレーザー光の種類は、特に限定されないが、例えば、ルビーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、フェムト秒レーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、Ne−Heレーザー、Arレーザー、COレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。また、各レーザーのSHG、THG、FHG等の波長を使ってもよい。
また、レーザー光の照射は、所定のパターンで光透過部(開口部)が形成されたマスクを介した状態で、行うものであってもよい。また、例えば、レーザー光源と基材2とを相対的に移動させつつ、レーザー光を間欠的に照射することにより行ってもよい。
[コート層形成工程]
次に、第2の被膜4上に、コート層5を形成する(1e)。これにより、装飾品1が得られる。
コート層5の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、コート層5が主として前述したような樹脂材料で構成されたものである場合、塗装により形成するのが好ましい。これにより、比較的容易にコート層5を形成することができる。また、塗装によりコート層5を形成する場合、コート層形成用の材料中に着色剤等の成分を添加したり、その添加量の調節したりするのが容易である。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を有するものである。上述したように、本発明の装飾品は、光透過性(電磁波透過性)および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような装飾品を備えた本発明の時計は、ソーラー時計や電波時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品(本発明の装飾品)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板(カバーガラス)25とを備えている。また、ケース22内には、前述したような本発明の装飾品としての文字板(時計用文字板)10と、太陽電池9と、ムーブメント21とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
ガラス板25は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の装飾品としての文字板10の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池9に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント21は、太陽電池9の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメント21内には、例えば、太陽電池9の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて輪列機構を1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント21は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池9は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池9で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池9は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定され、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部271が回転可能に挿入されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)60が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず27の軸部271の途中の外周には溝272が形成され、この溝272内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されている。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず27を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
また、上記の説明では、文字板として本発明の装飾品が適用されたものを用いるものとして説明したが、文字板以外の部品(装飾品)に本発明の装飾品が適用されてもよい。例えば、時計を構成する胴(ケース)、針等が本発明の装飾品で構成されたものであってもよい。また、時計を構成する複数の部品(装飾品)が本発明の装飾品で構成されたものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、第1の被膜形成工程と第2の被膜形成工程との間や、開口部形成工程とコート層形成工程との間に、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、コート層の形成後に、研磨(ラッピング)等の後処理を施してもよい。また、第1の被膜形成工程前の基材に対して前処理を施してもよい。
また、前述した実施形態では、レーザー光を基材の第2の被膜が被覆された面側から照射するものとして説明したが、例えば、レーザー光を第2の被膜の表面(基材の第2の被膜が被覆された面側)から照射してもよい。
また、前述した実施形態では、コート層5は、第2の被膜よりも外表面側に存在するものとして説明したが、コート層5の一部が第2の被膜4、第1の被膜3に設けられた開口部6内に入り込んでいるような構成であってもよい。これにより、コート層5の密着性はさらに優れたものとなる。
また、前述した実施形態では、装飾品がコート層を備えるものとして説明したが、装飾品はコート層を備えていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、基材と第1の被膜とが隣接し、第1の被膜と第2の被膜とが隣接するものとして説明したが、これらの間には、例えば、少なくとも1層の中間層があってもよい。
また、前述した実施形態では、図2に示すように、装飾品1が複数個(多数個)の開口部6を有するものとして説明したが、本発明において、装飾品が有する開口部は、少なくとも一つあればよい。例えば、図8、図9に示すように、開口部6は、第2の被膜で構成された光を反射することができる領域(光反射領域)が、島状に多数個設けられたものであってもよい。このような場合、光反射領域の形状(第2の被膜を平面視したときの形状)は、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形、略円形、略楕円形等いかなる形状であってもよいが、略多角形状であるのが好ましい。これにより、電磁波(電波、光)の透過率をさらに高いものとするとともに、装飾品の美的外観をさらに優れたものにすることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
まず、ポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、腕時計用外装部品(文字板)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基材は、略円盤状をなし、直径:約27mm×厚さ:約0.5μmであった。基材を構成するポリカーボネートの絶対屈折率Iは1.58であった。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基材の表面に、TiO(絶対屈折率I:2.51)で構成される第1の被膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(第1の被膜形成工程)。
まず、洗浄済みの基材をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:2.5分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成される第1の被膜を形成した。
このようにして形成された第1の被膜の平均厚さは、0.05μmであった。
引き続き、上記のようにして形成された第1の被膜の表面に、Agで構成される第2の被膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(第2の被膜形成工程)。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:4.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される第2の被膜を形成した。
このようにして形成された第2の被膜の平均厚さは、0.30μmであった。
次に、上記のようにして得られた、第1の被膜と第2の被膜とで被覆された基材を洗浄した。洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
次に、第2の被膜および第1の被膜を貫通する開口部を形成した。
開口部の形成は、基材側(基材の第1の被膜、第2の被膜が被覆されている面とは反対の面側)から、レーザー光を照射することにより行った。
レーザーとしては、YVOレーザーを用いた。また、この際、レーザー光源と基材とを相対的に移動させつつ、レーザー光を間欠的に照射した。また、レーザー光の照射は、電流値:35[A]、周波数:35kHz、加工速度:1500[mm/s]という条件で行った。
これにより、第1の被膜および第2の被膜を貫通する円形状の開口部が多数個形成された。形成された開口部の幅(直径)Wは47μm、開口部のピッチPは150μmであった。また、第2の被膜を平面視したときにおける開口部の占める面積の割合(開口部の占有面積の割合)は30%であった。
その後、第2の被膜上に、ポリウレタンで構成されるコート層を形成した(コート層形成工程)。これにより、装飾品(腕時計用外装部品(文字板))が得られた(図1、図2参照)。コート層の形成は、スピンコート法により行った。形成されたコート層の平均厚さは、10μmであった。コート層を構成する材料の絶対屈折率Iは1.54であった。
なお、第1の被膜、第2の被膜およびコート層の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜4)
第1の被膜形成工程および第2の被膜形成工程の処理時間を変更することにより、第1の被膜、第2の被膜の平均厚さを表1に示すようにするとともに、レーザー光の照射条件を変更することにより、開口部の形状、幅W、ピッチP、占有面積の割合を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例5)
基材の構成材料としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例6)
第1の被膜を構成する際(第1の被膜形成工程)において、ターゲットとしてCrを用い、アルゴン流量:40ml/分、酸素流量:10ml/分、投入電力:550W、処理時間:3.0分間という条件で放電を行った以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。形成された第1の被膜は、CrOで構成されるものであり、その平均厚さは、0.12μmであった。
(実施例7)
第2の被膜を構成する際(第2の被膜形成工程)において、ターゲットとしてCrを用い、アルゴンガス流量:35ml/分、投入電力:1400W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行った以外は、前記実施例6と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。形成された第2の被膜は、Crで構成されるものであり、その平均厚さは、0.25μmであった。
(実施例8〜10)
第1の被膜形成工程および第2の被膜形成工程の処理時間を変更することにより、第1の被膜、第2の被膜の平均厚さを表1に示すようにするとともに、レーザー光の照射条件を変更することにより、開口部の形状、幅W、ピッチP、占有面積の割合を表1に示すようにした以外は、前記実施例7と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例11)
第1の被膜を構成する際(第1の工程)において、アルゴンガス雰囲気中(アルゴンガス流量:35ml/分)で、投入電力:600W、処理時間:3.5分間という条件で放電を行った以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。形成された第1の被膜は、Crで構成されるものであり、その平均厚さは、0.18μmであった。
(実施例12)
第1の被膜を、Crで構成されるCr層(第1の層)と、CrOで構成されるCrO層(第2の層)との積層体として形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
Cr層、CrO層の形成は、いずれも、スパッタリングにより行った。
Cr層は、ターゲットとしてCrを用い、アルゴンガス雰囲気中(アルゴンガス流量:35ml/分)で、投入電力:1500W、処理時間:0.5分間という条件で放電を行うことより形成した。
また、CrO層は、Cr層の形成に引き続き、ターゲットとしてCrを用い、アルゴン流量:30ml/分、酸素ガス流量:10ml/分、投入電力:1000W、処理時間:1.5分間という条件で放電を行うことより形成した。
形成されたCr層、CrO層は、の平均厚さは、それぞれ、0.1μm、0.1μmであった。なお、Cr層が基材と接触する側の層、CrO層が第2の被膜と接触する側の層である。
(実施例13)
第1の工程での、Cr層形成のための処理の時間、CrO層形成のための処理の時間を変更することにより、Cr層、CrO層の平均厚さを表1に示すようにした以外は、前記実施例12と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例14)
第1の被膜を、Crで構成されるCr層(第1の層)と、TiOで構成されるTiO層(第2の層)との積層体として形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
Cr層、TiO層の形成は、いずれも、スパッタリングにより行った。
Cr層は、ターゲットとしてCrを用い、アルゴンガス雰囲気中(アルゴンガス流量:35ml/分)で、投入電力:1500W、処理時間:0.5分間という条件で放電を行うことより形成した。
また、TiO層は、Cr層の形成に引き続き、ターゲットとしてTiを用い、アルゴン流量:30ml/分、酸素ガス流量:10ml/分、投入電力:1000W、処理時間:5分間という条件で放電を行うことより形成した。
形成されたCr層、TiO層は、の平均厚さは、それぞれ、0.1μm、0.1μmであった。なお、Cr層が基材と接触する側の層、TiO層が第2の被膜と接触する側の層である。
(実施例15)
レーザー光を第2の被膜の表面側(第2の被膜が被覆された面側)から照射した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例16)
開口部形成工程の条件(レーザー光の照射条件)を変更することにより、第1の被膜を残存させつつ第2の被膜のみを選択的に除去して、開口部を形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した(図3参照)。なお、得られた装飾品においては、開口部に対応する部位において、第1の被膜とコート層とが密着していた。
レーザー光の照射は、電流値:25[A]、周波数:35kHz、加工速度:1500[mm/s]という条件で行った。
(実施例17)
レーザー光の照射パターンを変更することにより、開口部の形状を図8に示すようなものとした以外は、前記実施例16と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(実施例18)
コート層をアクリル系樹脂(絶対屈折率I:1.50)で構成されたものとした以外は、前記実施例17と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(比較例1)
洗浄を行った基材の表面に、第1の被膜を形成することなく、直接、第2の被膜を形成した以外は、前記実施例3と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(比較例2)
第2の被膜を形成する工程、コート層を形成する工程を省略した以外は、前記実施例3と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(比較例3)
開口部を形成する工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を製造した。
(比較例4)
まず、ポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、主面に格子状の凹部(深さ:100μm)を有し、腕時計用外装部品(文字板)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基材は、略円盤状をなし、直径:約27mm×厚さ:約0.5μmであった。
次に、この凹部が形成された基板に対し、前記実施例1と同様にして、TiOで構成される第1の被膜、Agで構成される第2の被膜を順次形成した。
その後、第1の被膜、第2の被膜が形成された面側を、ラッピングにより研磨し、第2の被膜および第1の被膜の一部(基板のエッチングが施されなかった部位に対応する部位)を除去した。これにより、基材の一部を露出し、第1の被膜、第2の被膜が被覆されていない開口部が多数個形成された。形成された開口部の幅Wは48μm、開口部のピッチPは100μmであった。また、第2の被膜を平面視したときにおける開口部の占める面積の割合(開口部の占有面積の割合)は30%であった。
その後、前記実施例1と同様にして、第2の被膜上に、ポリウレタンで構成されるコート層を形成し、装飾品(腕時計用外装部品(文字板))を得た。
各実施例および各比較例の装飾品の構成を表1にまとめて示す。なお、表1中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABSで示した。
Figure 2006274444
2.装飾品の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
3.腕時計用文字板の光透過率評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品(文字板)について、以下のような方法により、光透過率を評価した。
まず、太陽電池と各文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される文字板の光透過率を算出し、以下の4段階の基準に従い、評価した。文字板の光透過率が大きいほど、文字板の光透過性は優れたものであるといえる。
◎:32%以上。
○:25%以上32%未満。
△:17%以上25%未満。
×:17%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した文字板を用いて、図7に示すような腕時計を製造した。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例3の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、装飾品としての文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。
文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
◎:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
○:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
△:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
×:感度の低下が1.0dB以上。
5.被膜(第1の被膜、第2の被膜)の密着性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような2種の試験を行い、被膜(第1の被膜、第2の被膜)の密着性を評価した。
5−1.折り曲げ試験
各装飾品について、直径4mmの鉄製の棒材を支点とし、装飾品の中心を基準に30°の折り曲げを行った後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。折り曲げは、圧縮/引っ張りの両方向について行った。
◎:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
○:被膜の浮きがほとんど認められない。
△:被膜の浮きがはっきりと認められる。
×:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
5−2.熱サイクル試験
各装飾品を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、装飾品を、20℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
○:被膜の浮きがほとんど認められない。
△:被膜の浮きがはっきりと認められる。
×:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2006274444
表2から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも優れた美的外観を有するとともに、電磁波(光、電波)の透過性に優れており、また、被膜(第1の被膜、第2の被膜)の密着性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、第1の被膜を有していない比較例1の装飾品では、被膜(第2の被膜)の密着性に劣っていた。また、第2の被膜を有していない比較例2の装飾品は美的外観に劣っていた。また、開口部を有していない比較例3の装飾品では、十分な電磁波(光、電波)の透過性が得られなかった。また、研磨により開口部を形成した比較例4の装飾品は、第2の被膜の表面の荒れが著しく、美的外観に劣っていた。
また、各実施例および各比較例で得られた文字板(装飾品)を用いて、図7に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明の装飾品の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の好適な実施形態を示す平面図である。 本発明の装飾品の好適な他の実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の好適な他の実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の好適な他の実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。 本発明の装飾品の好適な他の実施形態を示す平面図である。 本発明の装飾品の好適な他の実施形態を示す平面図である。
符号の説明
1…装飾品 2…基材 3…第1の被膜 4…第2の被膜 5…コート層 6…開口部 61…傾斜面 10…文字板(時計用文字板) 9…太陽電池 21…ムーブメント 22…胴(ケース) 23…裏蓋 24…ベゼル(縁) 25…ガラス板(カバーガラス) 26…巻真パイプ 27…りゅうず 271…軸部 272…溝 28…プラスチックパッキン 29…プラスチックパッキン 30…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 60…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 50…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)

Claims (16)

  1. 主としてプラスチック材料で構成された基材上に、Cr、Ti、Crの化合物およびTiの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第1の被膜を形成する工程と、
    前記第1の被膜上に、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成された第2の被膜を形成する工程と、
    レーザー光を照射して、前記第2の被膜の一部を除去することにより、開口部を形成する工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
  2. 前記レーザー光の照射は、前記基材の前記第2の被膜が設けられている側の面とは反対の面側から行う請求項1に記載の装飾品の製造方法。
  3. 前記第2の被膜を平面視したときに前記開口部が占める面積率が15〜40%である請求項1または2に記載の装飾品の製造方法。
  4. 前記開口部を、前記第1の被膜にも貫通するものとして形成する請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  5. 前記開口部の幅は、10〜100μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  6. 前記基材は、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  7. 前記化合物は、金属酸化物である請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  8. 前記第1の被膜の平均厚さは、0.005〜1.0μmである請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  9. 前記第2の被膜の平均厚さは、0.005〜1.5μmである請求項1ないし8のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  10. 前記第1の被膜の平均厚さと前記第2の被膜の平均厚さとの和は、0.01〜2.5μmである請求項1ないし9のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  11. 前記第2の被膜上に、主として樹脂材料で構成されたコート層を形成する工程を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の方法を用いて製造したことを特徴とする装飾品。
  13. 装飾品は、時計用外装部品である請求項12に記載の装飾品。
  14. 装飾品は、電波時計用部品である請求項12または13に記載の装飾品。
  15. 装飾品は、時計用文字板である請求項12ないし14のいずれかに記載の装飾品。
  16. 請求項12ないし15のいずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
JP2006025132A 2005-03-01 2006-02-01 装飾品の製造方法、装飾品および時計 Pending JP2006274444A (ja)

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