JP2006271860A - 医療用具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属表面を有する医療用具において、その金属表面が薄い親水性有機化合物で強固に被覆されて、優れた潤滑性を有し、血管などへ挿入するときの操作性が良好であり、血管内皮などを傷つけるおそれのない医療用具、及び、該医療用具を簡単な工程により製造することができる医療用具の製造方法を提供する。
【解決手段】金属表面を有する医療用具において、その金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなることを特徴とする医療用具、及び、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することを特徴とする医療用具の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】金属表面を有する医療用具において、その金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなることを特徴とする医療用具、及び、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することを特徴とする医療用具の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、医療用具及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、金属表面を有する医療用具において、その金属表面が薄い親水性有機化合物で強固に被覆されて、優れた潤滑性を有し、血管などへ挿入するときの操作性が良好であり、血管内皮などを傷つけるおそれのない医療用具、及び、該医療用具を簡単な工程により製造することができる医療用具の製造方法に関する。
経皮的冠動脈形成術(PTCA)、ステント植え込み術などの治療や、心臓血管造影などの検査においては、カテーテルが血管内の所定位置まで挿入される。カテーテルは柔軟な材質で形成されており、カテーテルを挿入する血管は複雑な形状に屈曲しているので、カテーテルのみでは、血管内の所定位置まで押し込むことは困難である。そのために、血管内にガイドワイヤを挿入し、そのガイドワイヤに沿ってカテーテルを血管内の所定位置まで押し進めることが行われている。
ガイドワイヤには、押し込み抵抗が少なく、血管内皮などを傷つけることなく、ガイドワイヤを容易に前進させることができる挿入性、手元側の回転力が先端まで伝わりやすく、血管の分岐選択で、狙いの血管に前進させることができるトルク伝達性、使用時に血管の湾曲箇所の通過による変形で永久ひずみを起さず、先の屈曲分岐を選択しやすい低永久ひずみ性、先端側の摩擦係数が小さく、表面が平滑で、ステントストラットなどに引っかかりにくい非トラップ性などの特性が要求される。
ガイドワイヤの表面に潤滑性を付与し、ガイドワイヤの挿入性を向上するために、ガイドワイヤの表面を親水性高分子、例えば、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンなどで被覆することが行われる。しかし、金属製のガイドワイヤと親水性高分子の間の親和力は小さく、ガイドワイヤの表面を直接的に親水性高分子で被覆することは困難であり、ガイドワイヤの表面に中間層を設け、その上を親水性高分子で被覆することが行われている。例えば、摩擦係数を小さくし、人体管状器官への挿入操作が容易なガイドワイヤの製造方法として、芯線の外周にイソシアネート基と反応可能な合成樹脂を被覆し、この合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を有する化合物を結合させて未反応のイソシアネート基を形成し、合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を介してポリエチレングリコールを結合させ、親水性被膜を形成するガイドワイヤの製造方法が提案されている(特許文献1)。また、比較的簡便な装置を用いて、ガイドワイヤの表面に、平滑で、膜厚が均一な親水性高分子の被膜を形成する方法として、ガイドワイヤの端部を把持して垂直に吊り下げ、ポリイソシアネート化合物の溶液を満たした移動セルとポリエチレンオキサイドとジシクロアミジン化合物の溶液を満たした移動セルをガイドワイヤに挿通して下降させ、ポリウレタンの被覆層を有するガイドワイヤの表面にポリエチレンオキサイド被膜を形成する方法が提案されている(特許文献2)。さらに、表面に容易にかつ簡単に潤滑性を発現することができ、操作性の向上と患者の苦痛の軽減に有効な医療用体内挿入具として、基質の表面をジイソシアネートで部分架橋させた無水マレイン酸ハーフエステルで被覆した医療用体内挿入具が提案されている(特許文献3)。しかし、これらの方法は、中間層の形成と表面の親水性の被膜の形成のために少なくとも2工程を要して手間がかかるのみならず、本来直径が小さいことが好ましいガイドワイヤが太くなるという問題がある。また、イソシアネート化合物を用いた場合、未反応物が残留すると、生体に対して毒性を示すおそれがある。
湿潤時に表面潤滑性を発現し、摩擦耐久性に優れ、持続的な潤滑性を有する医療用ガイドワイヤの製造方法として、内芯部の表面に、親水性高分子物質と、カルボキシル基含有高分子物質と、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物との混合物の溶液を被覆し、加熱処理を施す方法が提案されている(特許文献4)。また、潤滑性、柔軟性、抗血栓性、電気絶縁性に優れた被膜を備えた医療用具として、親水性高分子と増粘剤と保水剤とを含有した潤滑被膜剤を塗布し、加熱乾燥した医療用具が提案されている(特許文献5)。しかし、加熱処理を行うと、製造上工程数が増加し、熱処理炉などの装置が必要となる。
基材表面に対する密着性に優れ、しかも厚さの小さな蒸着重合被膜を有し、この蒸着重合被膜に対して化学的に固定されて容易に剥離、脱離、分離することがなく、潤滑性に優れた親水性高分子被膜を有する潤滑性医療器具の製造方法として、基材表面に蒸着重合によりポリイミドなどの活性水素を有する蒸着重合被膜を形成し、蒸着重合被膜上に活性水素と反応可能なイソシアネート化合物及び活性水素含有水溶性高分子を塗工し、反応させる方法が提案されている(特許文献6)。この方法によれば、中間層に相当する蒸着重合被膜の厚さは小さいが、蒸着重合被膜の形成には高価で複雑な装置を要し、また、高温で処理するために金属部品にしか適用できず、蒸着重合被膜を形成したのちに金属以外の部品を加えて医療用具を組み立てる必要がある場合があった。
特開平5−184666号公報
特開2004−49722号公報
特開平3−236854号公報
特開平9−154951号公報
特開2004−215710号公報
特開2002−95735号公報
ガイドワイヤには、押し込み抵抗が少なく、血管内皮などを傷つけることなく、ガイドワイヤを容易に前進させることができる挿入性、手元側の回転力が先端まで伝わりやすく、血管の分岐選択で、狙いの血管に前進させることができるトルク伝達性、使用時に血管の湾曲箇所の通過による変形で永久ひずみを起さず、先の屈曲分岐を選択しやすい低永久ひずみ性、先端側の摩擦係数が小さく、表面が平滑で、ステントストラットなどに引っかかりにくい非トラップ性などの特性が要求される。
ガイドワイヤの表面に潤滑性を付与し、ガイドワイヤの挿入性を向上するために、ガイドワイヤの表面を親水性高分子、例えば、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンなどで被覆することが行われる。しかし、金属製のガイドワイヤと親水性高分子の間の親和力は小さく、ガイドワイヤの表面を直接的に親水性高分子で被覆することは困難であり、ガイドワイヤの表面に中間層を設け、その上を親水性高分子で被覆することが行われている。例えば、摩擦係数を小さくし、人体管状器官への挿入操作が容易なガイドワイヤの製造方法として、芯線の外周にイソシアネート基と反応可能な合成樹脂を被覆し、この合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を有する化合物を結合させて未反応のイソシアネート基を形成し、合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を介してポリエチレングリコールを結合させ、親水性被膜を形成するガイドワイヤの製造方法が提案されている(特許文献1)。また、比較的簡便な装置を用いて、ガイドワイヤの表面に、平滑で、膜厚が均一な親水性高分子の被膜を形成する方法として、ガイドワイヤの端部を把持して垂直に吊り下げ、ポリイソシアネート化合物の溶液を満たした移動セルとポリエチレンオキサイドとジシクロアミジン化合物の溶液を満たした移動セルをガイドワイヤに挿通して下降させ、ポリウレタンの被覆層を有するガイドワイヤの表面にポリエチレンオキサイド被膜を形成する方法が提案されている(特許文献2)。さらに、表面に容易にかつ簡単に潤滑性を発現することができ、操作性の向上と患者の苦痛の軽減に有効な医療用体内挿入具として、基質の表面をジイソシアネートで部分架橋させた無水マレイン酸ハーフエステルで被覆した医療用体内挿入具が提案されている(特許文献3)。しかし、これらの方法は、中間層の形成と表面の親水性の被膜の形成のために少なくとも2工程を要して手間がかかるのみならず、本来直径が小さいことが好ましいガイドワイヤが太くなるという問題がある。また、イソシアネート化合物を用いた場合、未反応物が残留すると、生体に対して毒性を示すおそれがある。
湿潤時に表面潤滑性を発現し、摩擦耐久性に優れ、持続的な潤滑性を有する医療用ガイドワイヤの製造方法として、内芯部の表面に、親水性高分子物質と、カルボキシル基含有高分子物質と、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物との混合物の溶液を被覆し、加熱処理を施す方法が提案されている(特許文献4)。また、潤滑性、柔軟性、抗血栓性、電気絶縁性に優れた被膜を備えた医療用具として、親水性高分子と増粘剤と保水剤とを含有した潤滑被膜剤を塗布し、加熱乾燥した医療用具が提案されている(特許文献5)。しかし、加熱処理を行うと、製造上工程数が増加し、熱処理炉などの装置が必要となる。
基材表面に対する密着性に優れ、しかも厚さの小さな蒸着重合被膜を有し、この蒸着重合被膜に対して化学的に固定されて容易に剥離、脱離、分離することがなく、潤滑性に優れた親水性高分子被膜を有する潤滑性医療器具の製造方法として、基材表面に蒸着重合によりポリイミドなどの活性水素を有する蒸着重合被膜を形成し、蒸着重合被膜上に活性水素と反応可能なイソシアネート化合物及び活性水素含有水溶性高分子を塗工し、反応させる方法が提案されている(特許文献6)。この方法によれば、中間層に相当する蒸着重合被膜の厚さは小さいが、蒸着重合被膜の形成には高価で複雑な装置を要し、また、高温で処理するために金属部品にしか適用できず、蒸着重合被膜を形成したのちに金属以外の部品を加えて医療用具を組み立てる必要がある場合があった。
本発明は、金属表面を有する医療用具において、その金属表面が薄い親水性有機化合物で強固に被覆されて、優れた潤滑性を有し、血管などへ挿入するときの操作性が良好であり、血管内皮などを傷つけるおそれのない医療用具、及び、該医療用具を簡単な工程により製造することができる医療用具の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加え、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することにより、医療用具の金属表面に親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)金属表面を有する医療用具において、その金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなることを特徴とする医療用具、
(2)親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物である(1)記載の医療用具、
(3)窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、アミド基又はイミド基である(2)記載の医療用具、
(4)医療用具が、体内挿入用具である(1)、(2)又は(3)記載の医療用具、及び、
(5)極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することを特徴とする医療用具の製造方法、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(1)金属表面を有する医療用具において、その金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなることを特徴とする医療用具、
(2)親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物である(1)記載の医療用具、
(3)窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、アミド基又はイミド基である(2)記載の医療用具、
(4)医療用具が、体内挿入用具である(1)、(2)又は(3)記載の医療用具、及び、
(5)極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することを特徴とする医療用具の製造方法、
を提供するものである。
本発明の医療用具は、金属表面に親水性有機化合物が中間層なしで直接的に固定されているので、親水性被膜の厚さが小さく、例えば、ガイドワイヤの場合は従来品と比べて同一の芯線に対して径を細くすることができる。本発明の医療用具は、親水性有機化合物が一分子ずつが電気化学反応により金属表面に固定されているために、医療用具の使用中に親水性被膜が剥離、脱落することがない。本発明方法によれば、このような医療用具を、常温の温和な条件で、短時間に効率よく製造することができる。
本発明の医療用具は、金属表面を有する医療用具において、金属表面に電気化学反応により親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなる医療用具である。本発明の医療用具は、血管、心腔、食道、胃腔、腸などの体内に挿入され、表面潤滑性が要求される医療用具として好適に用いることができる。
本発明に用いる親水性有機化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、たんぱく質、多糖類などを挙げることができる。本発明に用いる親水性有機化合物は、数平均分子量が200〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。親水性有機化合物の数平均分子量が200未満であると、医療用具に十分な表面潤滑性が発現しないおそれがある。親水性有機化合物の数平均分子量が1,000,000を超えると、電気化学反応における取り扱いが容易でなくなるとともに、医療用具の表面で血球などが親水性被膜に取り込まれて障害が発生するおそれがある。
本発明に用いる親水性有機化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、たんぱく質、多糖類などを挙げることができる。本発明に用いる親水性有機化合物は、数平均分子量が200〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。親水性有機化合物の数平均分子量が200未満であると、医療用具に十分な表面潤滑性が発現しないおそれがある。親水性有機化合物の数平均分子量が1,000,000を超えると、電気化学反応における取り扱いが容易でなくなるとともに、医療用具の表面で血球などが親水性被膜に取り込まれて障害が発生するおそれがある。
本発明において、親水性有機化合物が有する極性基は、炭素原子と異なる電気陰性度を有する原子を含む基であり、例えば、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基(−CONH2)、イミド基(−CONHCO−)、エポキシ基、イソシアネート基(−NCO)、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO2)、メルカプト基(−SH)、チオ基(−S−)、ホスフィノ基(−PH2)などを挙げることができる。親水性有機化合物は、これらの極性基の1種を有することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて有することもできる。また、1種の極性基は、1個を有することができ、複数個を有することもできる。これらの極性基の中で、窒素又はリンを含む極性基を有する親水性有機化合物を好適に用いることができ、アミノ基、イミノ基、アミド基又はイミド基を有する親水性有機化合物を特に好適に用いることができる。
本発明に用いる極性基を有する親水性有機化合物としては、例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール、両末端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールなどを挙げることができる。両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールと塩化アリルとの反応によりポリエチレングリコールジアリルエーテルとしたのち、二重結合にアンモニアを付加することにより、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる。両末端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応により両末端に2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基を有するポリエチレングリコールとしたのち、脱塩化水素して閉環することにより、両末端にグリシジル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる。
本発明に用いる極性基を有する親水性有機化合物としては、例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール、両末端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールなどを挙げることができる。両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールと塩化アリルとの反応によりポリエチレングリコールジアリルエーテルとしたのち、二重結合にアンモニアを付加することにより、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる。両末端にエポキシ基を有するポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールとエピクロロヒドリンとの反応により両末端に2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基を有するポリエチレングリコールとしたのち、脱塩化水素して閉環することにより、両末端にグリシジル基を有するポリエチレングリコールを製造することができる。
本発明の医療用具の製造において、極性を有する親水性有機化合物を金属表面に固定する電気化学反応は、電気化学系において電気化学ポテンシャルが他動的要因によって変化する反応であり、物質の電極面へ向かっての移動、電極面への吸着、電極面での解離、電子の授受などの過程を経過する。図1は、本発明に用いる電気化学反応の説明図である。ポリエチレングリコール鎖の末端のアミノ基にプロトンが付加して第四級アンモニウム基となり、陰極に向かって移動する。第四級アンモニウム基は、陰極面に吸着され、陰極面においてアミノ基とプロトンに解離する。プロトンに陰極から電子が与えられ、水素ガスが発生する。アミノ基の孤立電子対の電子は、陰極である金属の自由電子と共有されるので、ポリエチレングリコール鎖の末端のアミノ基と陰極である金属の間には強い結合が形成され、通電を停止した後もこの強い結合が保持される。
本発明の医療用具において、親水性有機化合物により形成される被膜の厚さは、0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。被膜の厚さが0.01μm未満であると、医療用具に十分な潤滑性が発現しないおそれがある。被膜の厚さが20μmを超えると、被膜の厚さが増加しても潤滑性が向上せず、被膜内に血球が取り込まれるなどの障害が発生するおそれがある。
本発明の医療用具は、体内挿入用具として好適に用いることができる。体内に挿入される医療用具としては、例えば、ステント、塞栓用コイル、人口心臓弁、ペースメーカー、人口血管などの長期にわたって挿入しつづけられる用具や、ガイドワイヤ、カテーテル類、血栓除去フィルターなどの短期的に挿入される用具などを挙げることができる。
本発明の医療用具において、親水性有機化合物により形成される被膜の厚さは、0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。被膜の厚さが0.01μm未満であると、医療用具に十分な潤滑性が発現しないおそれがある。被膜の厚さが20μmを超えると、被膜の厚さが増加しても潤滑性が向上せず、被膜内に血球が取り込まれるなどの障害が発生するおそれがある。
本発明の医療用具は、体内挿入用具として好適に用いることができる。体内に挿入される医療用具としては、例えば、ステント、塞栓用コイル、人口心臓弁、ペースメーカー、人口血管などの長期にわたって挿入しつづけられる用具や、ガイドワイヤ、カテーテル類、血栓除去フィルターなどの短期的に挿入される用具などを挙げることができる。
本発明の医療用具の製造方法においては、極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定する。
図2は、本発明方法の実施の一態様の説明図である。電解槽1に貯留した極性を有する親水性有機化合物の水溶液2の中に、陰極となる医療用具材料3と陽極4が浸漬される。親水性有機化合物の濃度は、1〜30重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。親水性有機化合物の濃度が1重量%未満であると、被膜の厚さが薄く、十分な潤滑性が発現しないおそれがある。親水性有機化合物の濃度が30重量%を超えると、被膜内に血球が取り込まれるなどの障害が発生するおそれがある。
本発明方法においては、親水性有機化合物の水溶液に、無機電解質を溶解しておくことが好ましい。溶解する無機電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを挙げることができる。無機電解質を溶解しておくことにより、水溶液が電気伝導性を持ち、陽極と陰極の間を電子が移動することができる。無機電解質の濃度は、1〜5重量%であることが好ましく、2〜4重量%であることがより好ましい。無機電解質の濃度が1重量%未満であると、水溶液の電気伝導性が低下するおそれがある。無機電解質の濃度が5重量%を超えると、無機電解質中のイオンが金属表面に吸着するおそれがある。
図2は、本発明方法の実施の一態様の説明図である。電解槽1に貯留した極性を有する親水性有機化合物の水溶液2の中に、陰極となる医療用具材料3と陽極4が浸漬される。親水性有機化合物の濃度は、1〜30重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。親水性有機化合物の濃度が1重量%未満であると、被膜の厚さが薄く、十分な潤滑性が発現しないおそれがある。親水性有機化合物の濃度が30重量%を超えると、被膜内に血球が取り込まれるなどの障害が発生するおそれがある。
本発明方法においては、親水性有機化合物の水溶液に、無機電解質を溶解しておくことが好ましい。溶解する無機電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを挙げることができる。無機電解質を溶解しておくことにより、水溶液が電気伝導性を持ち、陽極と陰極の間を電子が移動することができる。無機電解質の濃度は、1〜5重量%であることが好ましく、2〜4重量%であることがより好ましい。無機電解質の濃度が1重量%未満であると、水溶液の電気伝導性が低下するおそれがある。無機電解質の濃度が5重量%を超えると、無機電解質中のイオンが金属表面に吸着するおそれがある。
本発明方法においては、陰極と陽極の間に与える電圧は、0.1〜10Vであることが好ましく、2〜7Vであることがより好ましい。電圧が0.1V未満であると、陰極表面への親水性有機化合物の固定による被覆の形成に長時間を要するおそれがある。電圧が10Vを超えると、金属表面に気泡が大量に発生し、均一な被膜が形成されないおそれがある。
本発明方法においては、陰極の表面積に対する電流密度が1×10-7〜5×10-5A/dm2であることが好ましく、5×10-6〜1×10-5A/dm2であることがより好ましい。電流密度が1×10-7A/dm2未満であると、陰極表面への親水性有機化合物の固定による被覆の形成に長時間を要するおそれがある。電流密度が5×10-5A/dm2を超えると、金属表面に気泡が大量に発生し、均一な被膜が形成されないおそれがある。
本発明方法においては、陰極の表面積に対する電流密度が1×10-7〜5×10-5A/dm2であることが好ましく、5×10-6〜1×10-5A/dm2であることがより好ましい。電流密度が1×10-7A/dm2未満であると、陰極表面への親水性有機化合物の固定による被覆の形成に長時間を要するおそれがある。電流密度が5×10-5A/dm2を超えると、金属表面に気泡が大量に発生し、均一な被膜が形成されないおそれがある。
本発明の医療用具の製造方法における電気化学反応は、常温において、水溶液中で行うことができる。したがって、医療用具に金属以外の耐熱性や耐溶剤性に乏しい部品が用いられている場合であっても、それらの部品を組み込んだ中間製品として電気化学反応を行うことができる。また、親水性有機化合物による被覆は、電気伝導性を有する金属表面にのみ行われるので、薬剤を塗工する工程のように、不必要な部分にまで被覆がはみ出すおそれがない。
極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に、金属表面を有する医療用具材料を浸漬し、電気化学反応により親水性有機化合物を金属表面に固定すると、初期段階では親水性有機化合物の付着の状態に部分的に差が生じても、親水性有機化合物の付着が多い部分は電流密度が小さく、親水性有機化合物の付着が少ない部分は電流密度が大きくなるので、親水性有機化合物の付着が少ない部分に選択的に親水性有機化合物が付着し、最終的に均一な厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
本発明方法においては、親水性有機化合物の被膜の厚さは、親水性有機化合物の分子量により制御することができる。例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールを用いた場合、両末端のアミノ基が金属表面に結合するので、被膜の厚さはポリエチレングリコールの鎖長の約2分の1となる。したがって、厚い被膜が必要な場合は、分子量の大きいポリエチレングリコールを用い、薄い被膜が必要な場合は、分子量の小さいポリエチレングリコールを用いることにより、選択した厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に、金属表面を有する医療用具材料を浸漬し、電気化学反応により親水性有機化合物を金属表面に固定すると、初期段階では親水性有機化合物の付着の状態に部分的に差が生じても、親水性有機化合物の付着が多い部分は電流密度が小さく、親水性有機化合物の付着が少ない部分は電流密度が大きくなるので、親水性有機化合物の付着が少ない部分に選択的に親水性有機化合物が付着し、最終的に均一な厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
本発明方法においては、親水性有機化合物の被膜の厚さは、親水性有機化合物の分子量により制御することができる。例えば、両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールを用いた場合、両末端のアミノ基が金属表面に結合するので、被膜の厚さはポリエチレングリコールの鎖長の約2分の1となる。したがって、厚い被膜が必要な場合は、分子量の大きいポリエチレングリコールを用い、薄い被膜が必要な場合は、分子量の小さいポリエチレングリコールを用いることにより、選択した厚さの親水性有機化合物の被膜を形成することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、ガイドワイヤの評価は下記の方法により行った。
(1)挿入性
図3に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤを200mm/minの速度で挿入し、負荷値すなわち押し込み抵抗値をロードセルで読み取った。
(2)耐久性
挿入性の試験を100回繰り返したときの押し込み抵抗値により評価した。また、100回目抜去後における試料のコイル部分を実体顕微鏡にて観察し、親水性有機化合物の付着状態を観察した。
(3)トルク伝達性
図4に示すヒトの冠状動脈を模倣したポリテトラフルオロエチレン製のモデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、モデル内にガイドワイヤを挿入し、湾曲を与えた状態でガイドワイヤの手元側を、モーターにより時計回り方向に720°回転させたときの先端側の回転の状態を観察した。
実施例1
長さ1,400mm、外径340μmで、遠位端にコイル部分を有する図5に示す形状のSUS316の線材を芯線として、ガイドワイヤを製造した。
脱イオン水に、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液2.0Lを、底面の内径135mm、高さ200mmのガラス製電解槽に入れた。
芯線を脱脂したのち、直径45mm、ピッチ10mmのコイル状に巻き、コイルの中心軸が電解槽の中心軸に一致し、液面からコイルまでの距離と底面からコイルまでの距離がほぼ等しくなるように設置した。また、コイルの中心軸の位置に、長さ150mmの白金電極を、電極の下端がコイルの下端より約10mm突き出すように取り付けた。
白金電極を陽極とし、コイル状に巻いた芯線を陰極とし、マグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌しながら、両極間に5.0Vの電圧を加えて3分間通電し、電気化学反応を行った。通電を停止したのち、コイル状に巻いた芯線を取り出して脱イオン水で洗浄し、表面にポリエチレングリコールの被膜が形成されたガイドワイヤを得た。ポリエチレングリコールの被膜の厚さは、1.2μmであった。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.26Nであった。挿入性試験を100回繰り返したのちの押し込み抵抗値は0.28Nであり、被膜の剥離は認められなかった。トルク伝達性は、良好であった。
比較例1
実施例1と同様にして、芯線をコイル状に巻き、脱イオン水に両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液に3分間浸漬し、通電を行うことなく、マグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌した。
溶液から芯線を取り出して脱イオン水で洗浄すると、芯線の表面に被膜は形成されていなかった。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は2.53Nであり、挿入性試験を100回繰り返したのちの押し込み抵抗値も、2.53Nであった。トルク伝達性は、不良であった。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表に示す。
なお、実施例及び比較例において、ガイドワイヤの評価は下記の方法により行った。
(1)挿入性
図3に示す形状の長さ900mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、ガイドワイヤを200mm/minの速度で挿入し、負荷値すなわち押し込み抵抗値をロードセルで読み取った。
(2)耐久性
挿入性の試験を100回繰り返したときの押し込み抵抗値により評価した。また、100回目抜去後における試料のコイル部分を実体顕微鏡にて観察し、親水性有機化合物の付着状態を観察した。
(3)トルク伝達性
図4に示すヒトの冠状動脈を模倣したポリテトラフルオロエチレン製のモデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、モデル内にガイドワイヤを挿入し、湾曲を与えた状態でガイドワイヤの手元側を、モーターにより時計回り方向に720°回転させたときの先端側の回転の状態を観察した。
実施例1
長さ1,400mm、外径340μmで、遠位端にコイル部分を有する図5に示す形状のSUS316の線材を芯線として、ガイドワイヤを製造した。
脱イオン水に、両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液2.0Lを、底面の内径135mm、高さ200mmのガラス製電解槽に入れた。
芯線を脱脂したのち、直径45mm、ピッチ10mmのコイル状に巻き、コイルの中心軸が電解槽の中心軸に一致し、液面からコイルまでの距離と底面からコイルまでの距離がほぼ等しくなるように設置した。また、コイルの中心軸の位置に、長さ150mmの白金電極を、電極の下端がコイルの下端より約10mm突き出すように取り付けた。
白金電極を陽極とし、コイル状に巻いた芯線を陰極とし、マグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌しながら、両極間に5.0Vの電圧を加えて3分間通電し、電気化学反応を行った。通電を停止したのち、コイル状に巻いた芯線を取り出して脱イオン水で洗浄し、表面にポリエチレングリコールの被膜が形成されたガイドワイヤを得た。ポリエチレングリコールの被膜の厚さは、1.2μmであった。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は0.26Nであった。挿入性試験を100回繰り返したのちの押し込み抵抗値は0.28Nであり、被膜の剥離は認められなかった。トルク伝達性は、良好であった。
比較例1
実施例1と同様にして、芯線をコイル状に巻き、脱イオン水に両末端にアミノプロピル基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)12重量%と塩化ナトリウム3.0重量%を溶解した溶液に3分間浸漬し、通電を行うことなく、マグネチックスターラーで撹拌子を回転して液を撹拌した。
溶液から芯線を取り出して脱イオン水で洗浄すると、芯線の表面に被膜は形成されていなかった。
挿入性試験において、押し込み抵抗値は2.53Nであり、挿入性試験を100回繰り返したのちの押し込み抵抗値も、2.53Nであった。トルク伝達性は、不良であった。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表に示す。
本発明の医療用具は、表面潤滑性が良好であり、金属表面に電気化学反応により親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定しているので、親水性有機化合物からなる被膜と金属表面との結合が強固で、医療器具の使用中の被膜の剥離や脱落がなく、金属成分の溶出を防ぐことができる。また、中間層がないので、金属表面の被膜の厚さを薄くすることができる。本発明の医療器具は、ガイドワイヤ、ステントなどの体内に挿入する器具として好適に用いることができる。本発明の製造方法によれば、金属表面に親水性有機化合物が中間層なしで直接的に固定された医療器具を、温和な条件下に、短時間で、効率的に製造することができる。
1 電解槽
2 親水性有機化合物の水溶液
3 陰極となる医療用具材料
4 陽極
2 親水性有機化合物の水溶液
3 陰極となる医療用具材料
4 陽極
Claims (5)
- 金属表面を有する医療用具において、その金属表面に電気化学反応により極性基を有する親水性有機化合物を中間層なしで直接的に固定してなることを特徴とする医療用具。
- 親水性有機化合物が、窒素又はリンを含む極性基を有する化合物である請求項1記載の医療用具。
- 窒素を含む極性基が、アミノ基、イミノ基、アミド基又はイミド基である請求項2記載の医療用具。
- 医療用具が、体内挿入用具である請求項1、請求項2又は請求項3記載の医療用具。
- 極性基を有する親水性有機化合物を溶解した溶液に金属表面を有する医療用具材料と電極とを浸漬し、該医療用材料を陰極、該電極を陽極とし、両極間に電圧を加えることにより、親水性有機化合物を医療用具材料の金属表面に電気化学反応により固定することを特徴とする医療用具の製造方法。
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