JP2006264306A - 平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂微粒子を用いる平版印刷版原版の、製造工程における画像記録層の転写故障及び樹脂微粒子の変形や破壊による機上現像性劣化を抑制できる製造方法の提供。
【解決手段】支持体上に少なくとも樹脂微粒子を含む画像記録層を有する平版印刷版原版の製造方法であって、画像記録層表面への製造設備及び支持体の接触を、画像記録層の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以下の状態で行うことを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂微粒子を用いる平版印刷版原版の製造方法に関する。
従来、平版印刷版の作製は、中間材料であるリスフィルムを介して印刷版用原版に露光するシステムで行われてきた。しかし、近年の印刷分野におけるデジタル化の急速な進展とともに、印刷版作製工程は、コンピュータに入力し編集されたデジタルデータを印刷版用原版に直接出力するCTPシステムに変わりつつある。さらに、一層の工程合理化を目指して、露光後、現像処理することなしに、そのまま印刷が行える現像不要の平版印刷版原版が開発されている。
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷版用原版を印刷機の版胴に装着し、版胴を回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷版原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な画像形成層(感熱層)を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
例えば、特許文献1には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この公報には、該平版印刷版原版を赤外レーザー露光し、画像記録層中の熱可塑性疎水性重合体微粒子を熱により合体させて画像形成した後、印刷機の版胴上に版を取付け、湿し水及び/又はインキにより未露光部を除去する(機上現像)できることが記載されている。この平版印刷版原版は感光域が赤外線域であることにより、明室取り扱い適性も有している。
また、特許文献2〜6にも熱可塑性微粒子を熱による合体後、機上現像により印刷版を作製することが記載されている。
また、特許文献7には、熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性基を有するポリマー微粒子及び熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルのうちの少なくともいずれかを含有する画像記録層を有する平版印刷版原版が、機上現像性が良好であり、高感度、かつ高耐刷性を有することが記載されている。
また、特許文献8には、ビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する画像記録層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
また、特許文献9には、エポキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する画像記録層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
さらに、特許文献10には、ラジカル重合性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び感熱性重合開始剤を含有する画像記録層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
特許第2938397号公報 特開平9−127683号公報 特開平9−123387号公報 特開平9−123388号公報 特開平9−131850号公報 国際公開第99/10186号パンフレット 特開2001−293971号公報 特開2002−29162号公報 特開2002−46361号公報 特開2002−137562号公報
上記のような、少なくとも樹脂微粒子を含む画像記録層を有する機上現像可能な平版印刷版原版は、通常画像記録層成分を適当な溶媒に溶解又は分散した塗布液を、公知の方法によって支持体上に塗布、乾燥して得られるが、大量生産の場合には、通常コイル上の支持体を連続的に送り出し、画像記録層塗布液を塗布、乾燥した後、巻き取る、あるいは適当な大きさに切り揃える製造方法が採られる。
この大量製造方法の場合、乾燥工程後に画像記録層の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度を超える状態で、画像記録層表面が搬送ローラ等の製造設備に接触したり、あるいは巻き取られて支持体の裏面と接触したりすると、画像記録層の一部又は全てが接触物に転写したり、樹脂微粒子が変形したり、破壊されたりすることがある。転写が発生すると、画像記録層や支持体裏面が損なわれるため不良品となり歩留まりが大きく低下するし、ローラ汚染の除去作業のため、生産性が低下する。樹脂微粒子の変形、破壊がおこると、平版印刷版原版の機上現像性が劣化し、印刷汚れの原因となる。
本発明の目的は、上記転写を抑制し、樹脂微粒子の変形、破壊による機上現像性劣化のない平版印刷版原版の製造方法を提供することにある。
本発明者は、下記の手段によって上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は以下のとおりである。
1.支持体上に少なくとも樹脂微粒子を含む画像記録層を有する平版印刷版原版の製造方法であって、画像記録層表面への製造設備及び支持体の接触を、画像記録層の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以下の状態で行うことを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
2.樹脂微粒子が熱反応性ポリマー微粒子であることを特徴とする前記1記載の平版印刷版原版の製造方法。
3.樹脂微粒子が熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル又はミクロゲルであることを特徴とする前記1記載の平版印刷版原版の製造方法。
4.画像記録層が、樹脂微粒子に加え、赤外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、赤外レーザー照射により重合硬化することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版の製造方法。
5.画像記録層が、印刷インキ及び/又は湿し水により除去可能であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版の製造方法。
本発明によれば、画像記録層の転写や樹脂微粒子の変形、破壊を抑制し、機上現像性の劣化を起こさない平版印刷版原版の製造方法を提供できる。
本発明は、支持体上に、少なくとも樹脂微粒子を含む画像記録層を有する機上現像可能な平版印刷版原版の、特に製造装置を用いた製造方法に関する。そこで、まず製造装置について図面を用いて説明する。
〔製造装置〕
図1には本発明の実施形態に係る平版印刷版原版の製造装置のうち、塗布、乾燥及び巻取工程が示されている。この製造装置の最も上流側には、支持体としてのアルミニウム板59の送出装置(図示省略)が設置されており、この送出装置は厚さ0.1〜0.6mmのアルミニウム板59を製造ライン1における平版印刷版の製造速度に対応する走行速度で下流側へ送り出す。また製造ライン1はアルミニウム板59の走行経路に沿って複数の搬送ローラが設けられ、アルミニウム板59は、複数の搬送ローラにより案内されつつ、これらの搬送ローラを介して搬送モータ(図示省略)からの搬送力を受けて所定の速度で下流側へ走行する。このとき、下塗り層、画像記録層、オーバーコート層などの塗布面と接触する搬送ローラ51から57が存在する。
製造ライン1では、先ず、送出装置により下流側へ送り出されたアルミニウム板59を、平坦性を改善するためにローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置(図示省略)によって形状を矯正して必要な平坦性を得る。次いで、粗面化工程、陽極酸化処理工程、必要により親水化処理工程を経た後、塗布装置2でアルミニウム板59の表面処理された面に下塗り層塗布液を塗布し、下塗り層乾燥炉を経て下塗り層を形成する。
下塗り層塗布液をアルミニウム板59へ塗布する方法としては、既に公知となっている種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
製造ライン1には、塗布装置2の下流側に加熱手段として熱風乾燥装置が設置されている。この熱風乾燥装置には、防爆及び断熱構造とされ、アルミニウム板59の走行方向に沿って細長い筐体状とされた乾燥炉5が設けられ、この乾燥炉5内にはアルミニウム板59の走行経路に沿って複数本の支持ロールが配置されている。
乾燥炉5には、アルミニウム板59の走行方向に沿った上流側及び下流側の端面にそれぞれ開口部16,17が形成され、これらの開口部16,17は、それぞれアルミニウム板59の乾燥炉5に対する入口及び出口とされている。ここで、開口部16から乾燥炉5内へ供給されたアルミニウム板59は、支持ロールにより裏面側を支持されつつ乾燥炉5内を走行し、開口部17から乾燥炉5外部へ抜け出る。また乾燥炉5内には、この乾燥炉5を上流側の加熱室8と下流側の加熱室9とに区画する仕切壁22が設けられ、これらの加熱室8,9間では仕切壁22により気流の移動が抑止されている。
上流側の加熱室8には給気口35及び排気口43がそれぞれ設けられ、吸気口35にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室8内には吸気口35に面して整流板27が設置されている。この整流板27にはスリット状とされた複数の吹出口が形成されており、整流板27は吸気口35から加熱室8内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面に沿って流れるような高温気流(熱風)に整流する。このとき、吸気口35には、アルミニウム板59の幅1mあたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体の温度は50〜150℃に制御される。これにより、加熱室8では、アルミニウム板59の表面における塗布時の下塗り層に含まれる有機溶媒のうち約80質量%の溶媒が蒸発し、下塗り層が軟膜状態の皮膜に変化する。
下流側の加熱室9にも給気口36及び排気口44がそれぞれ設けられ、給気口36にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室9内には、給気口36とアルミニウム板59との間に整流板28が設置されている。この整流板28に
はスリット状とされた複数の吹出口がアルミニウム板59の表面に面して形成されており、整流板28は給気口36から加熱室9内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面へ略垂直に吹き付けられるような高温気流(熱風)に整流する。
このとき、吸気口36には、アルミニウム板12の1m幅あたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体流の温度は80〜150℃に制御される。これにより、加熱室9では、アルミニウム板59の表面における塗布時の下塗り層に含まれる有機溶媒のうち約95質量%以上が蒸発し、軟膜状態であった下塗り層が指触乾燥状態となる。
下塗り層乾燥炉の下流側にはアルミニウム板59に対する画像記録層の塗布装置3が設置されており、アルミニウム板59の下塗り層塗布面へ画像記録層塗布液を塗布して画像記録層を形成する。画像記録層塗布液をアルミニウム板59へ塗布する方法としては、下塗り層の場合に記載されたものと同様な方法を用いることができる。
塗布装置3の下流側に加熱手段として熱風乾燥装置が設置されている。この熱風乾燥装置には、防爆及び断熱構造とされ、アルミニウム板59の走行方向に沿って細長い筐体状とされた乾燥炉6が設けられ、この乾燥炉6内にはアルミニウム板59の走行経路に沿って複数本の支持ロールが配置されている。
乾燥炉6には、アルミニウム板59の走行方向に沿った上流側及び下流側の端面にそれぞれ開口部18,19が形成され、これらの開口部18,19は、それぞれアルミニウム板59の乾燥炉6に対する入口及び出口とされている。ここで、開口部18から乾燥炉6内へ供給されたアルミニウム板59は、支持ロールにより裏面側を支持されつつ乾燥炉6内を走行し、開口部19から乾燥炉6外部へ抜け出る。また乾燥炉6内には、この乾燥炉6を上流側の加熱室10と下流側の加熱室11、12とに区画する仕切壁23、24が設けられ、これらの加熱室10、11、12間では仕切壁23、24により気流の移動が抑止されている。
上流側の加熱室10には給気口37及び排気口45がそれぞれ設けられ、給気口37にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室10内には吸気口37に面して整流板29が設置されている。この整流板29にはスリット状とされた複数の吹出口が形成されており、整流板29は給気口37から加熱室10内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面に沿って流れるような高温気流(熱風)に整流する。
このとき、吸気口37には、アルミニウム板59の幅1mあたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体の温度は50〜150℃に制御される。これにより、加熱室10では、アルミニウム板59の表面における塗布時の画像記録層に含まれる有機溶媒のうち約80質量%の溶媒が蒸発し、塗布層が軟膜状態の皮膜に変化する。
下流側の加熱室11にも給気口38及び排気口46がそれぞれ設けられ、給気口38にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室11内には、給気口38とアルミニウム板59との間に整流板30が設置されている。この整流板30にはスリット状とされた複数の吹出口がアルミニウム板59の表面に面して形成されており、整流板30は給気口37から加熱室11内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面へ略垂直に吹き付けられるような高温気流(熱風)に整流する。
このとき、吸気口38には、アルミニウム板59の1m幅あたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体流の温度は80〜150℃に制御される。これにより、加熱室11では、アルミニウム板59の表面における塗布時の塗布層に含まれる有機溶媒のうち約95質量%以上が蒸発し、軟膜状態であった塗布層が指触乾燥状態となる。
最下流側の加熱室12は、加熱室11とほぼ同様の仕様であるが、状況により冷却炉と
して用いることができる。加熱室12には給気口39及び排気口47がそれぞれ設けられ、給気口39にはダクト等を介して冷風及び熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室12内には、給気口39とアルミニウム板59との間に整流板31が設置されている。この整流板31にはスリット状とされた複数の吹出口がアルミニウム板59の表面に面して形成されており、整流板31は給気口39から加熱室12内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面へ略垂直に吹き付けられるような低温又は高温気流(冷風又は熱風)に整流する。
このとき、吸気口39には、アルミニウム板59の1m幅あたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体流の温度は25〜150℃に制御される。これにより、加熱室12では、アルミニウム板59上の画像記録層表面の温度が100℃以下になる様に冷却されるか、塗布時の画像記録層に含まれる有機溶媒のうち約95質量%以上が蒸発し、画像記録層が指触乾燥状態となる。
開口部19を出たアルミニウム板は、搬送ローラ53と画像記録層塗布面で接触する。本発明では、この接触時に画像記録層の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以下であるようにすることによって画像記録層の転写を抑制し、機上現像性の良好な平版印刷版原版が製造できる方法を得ている。
乾燥後の画像記録層の温度を制御する方法としては、支持体上に設けられた塗布液を乾燥させる際に加える熱量、支持体上に塗布される塗布液量、支持体ウェブの搬送速度を最適化したり、乾燥後に冷風等をあて冷却する方法が挙げられる。このなかでは、コストや安定した性能が得られる点で、乾燥後に冷風をあて冷却する方法が最も好ましく用いられる。具体的には、前記の加熱室10、11で十分に熱量を与え、加熱室12を冷却炉として用いる方法である。乾燥時に加える熱量を抑える方法は、画像記録層中に残留する塗布溶媒の量が安定せず、経時安定性など性能に悪影響を及ぼす可能性がある。温度が上がらないように塗布液量を多くしたり、搬送速度を落としたりする方法は、製造コストの点で不利である。
製造ライン1では、乾燥炉6の下流側で必要に応じて画像記録層上に、酸素遮断等を目的としてPVA(ポリビニルアルコール)、膨潤性雲母等を更に塗布してオーバーコート層を形成する。オーバーコート層塗布液をアルミニウム板59へ塗布する方法としては、下塗り層の場合に記載されたものと同様な方法を用いることができる。
塗布装置4の下流側に加熱手段として熱風乾燥装置が設置されている。この熱風乾燥装置には、防爆及び断熱構造とされ、アルミニウム板59の走行方向に沿って細長い筐体状とされた乾燥炉7が設けられ、この乾燥炉7内にはアルミニウム板59の走行経路に沿って複数本の支持ロールが配置されている。
乾燥炉7には、アルミニウム板59の走行方向に沿った上流側及び下流側の端面にそれぞれ開口部20,21が形成され、これらの開口部20,21は、それぞれアルミニウム板59の乾燥炉7に対する入口及び出口とされている。ここで、開口部20から乾燥炉7内へ供給されたアルミニウム板59は、支持ロールにより裏面側を支持されつつ乾燥炉7内を走行し、開口部21から乾燥炉7外部へ抜け出る。また乾燥炉7内には、この乾燥炉7を上流側の加熱室13と下流側の加熱室14、15とに区画する仕切壁25、26が設けられ、これらの加熱室13、14、15間では仕切壁25、26により気流の移動が抑止されている。
上流側の加熱室13には給気口40及び排気口48がそれぞれ設けられ、給気口40にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室13内には吸気口40に面して整流板32が設置されている。この整流板32にはスリット状とされた複数の吹出口が形成されており、整流板32は給気口40から加熱室13内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面に沿って流れるような高温気流(熱風)に整流する。
このとき、吸気口40には、アルミニウム板59の幅1mあたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体の温度は50〜150℃に制御される。これにより、加熱室13では、アルミニウム板59の表面における塗布時のオーバーコート層に含まれる有機溶媒のうち約80質量%の溶媒が蒸発し、塗布層が軟膜状態の皮膜に変化する。
下流側の加熱室14にも給気口41及び排気口49がそれぞれ設けられ、給気口41にはダクト等を介して熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室14内には、給気口41とアルミニウム板59との間に整流板33が設置されている。この整流板33にはスリット状とされた複数の吹出口がアルミニウム板59の表面に面して形成されており、整流板33は給気口41から加熱室14内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面へ略垂直に吹き付けられるような高温気流(熱風)に整流する。
このとき、吸気口41には、アルミニウム板59の1m幅あたり50〜100m3/分の高温気体が供給され、この高温気体流の温度は80〜150℃に制御される。これにより、加熱室14では、アルミニウム板59の表面における塗布時の塗布層に含まれる有機溶媒のうち約95質量%以上が蒸発し、軟膜状態であった塗布層が指触乾燥状態となる。
最下流側の加熱室15は、加熱室14とほぼ同様の仕様であるが、状況により冷却炉として用いることができる。加熱室15には給気口42及び排気口50がそれぞれ設けられ、給気口42にはダクト等を介して冷風及び熱風発生装置(図示省略)が接続されている。また加熱室15内には、給気口42とアルミニウム板59との間に整流板34が設置されている。この整流板34にはスリット状とされた複数の吹出口がアルミニウム板59の表面に面して形成されており、整流板34は給気口42から加熱室15内へ供給される高温の空気をアルミニウム板59の表面へ略垂直に吹き付けられるような低温又は高温気流(冷風又は熱風)に整流する。
このとき、吸気口42には、アルミニウム板59の1m幅あたり50〜100m3/分の低温又は高温気体が供給され、この高温気体流の温度は25〜150℃に制御される。これにより、加熱室15では、アルミニウム板59上のオーバーコート層表面の温度が100℃以下になる様に冷却されるか、塗布時のオーバーコート層に含まれる有機溶媒のうち約95質量%以上が蒸発し、オーバーコート層が指触乾燥状態となる。
以上のようにして製造されたウエブは、ウエブ巻取装置58によりロール状に巻き取られてウエブロールとされる。オーバーコート層を設けない平版印刷版原版の場合は、開口部19を出た後、オーバーコート層の塗布乾燥ゾーンをそのまま素通りして、ウエブ巻取装置58によりロール状に巻き取る方法の他に、開口部19を出た後、直接搬送ロール57を経てウエブ巻取装置58によりロール状に巻き取ることもできる。この場合は、乾燥直後に画像記録層表面が支持体裏面と接触することになるが、この接触時にも、本発明の画像記録層の温度を樹脂微粒子のガラス転移温度以下にすることによって、画像記録層の転写や樹脂微粒子の変形、破壊を抑制できる。
このウエブロールは、加工ラインへ供給され、保護用合紙の貼り付け、製品サイズへの切断加工等がなされて製品としての平版印刷版原版が製造される。
〔画像記録層〕
本発明の画像記録層は樹脂微粒子を含有する。また、本発明の画像記録層は、赤外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、赤外レーザー照射により重合硬化するタイプであることが好ましい。また、本発明の画像記録層は、印刷インキ及び/又は湿し水により除去可能であることが好ましい。
以下、このような画像記録層の要素について説明する。
<樹脂微粒子>
本発明に用いる樹脂微粒子とは、熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子及び熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル又はミクロゲルから選ばれる少
なくとも一つの微粒子である。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。かかるポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。このような熱可塑性ポリマー微粒子の合成方法としては、乳化重合法、懸濁重合法の他に、これら化合物を非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に固化させる方法(溶解分散法)がある。
本発明に用いられる熱反応性ポリマー微粒子としては、熱硬化性ポリマー微粒子及び熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられる。
上記熱硬化性ポリマーとしては、フェノール骨格を有する樹脂、尿素系樹脂(例えば、尿素又はメトキシメチル化尿素など尿素誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、メラミン系樹脂(例えば、メラミン又はその誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、特に好ましいのは、フェノール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びエポキシ樹脂である。
好適なフェノール骨格を有する樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾールなどをホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及びN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリレートなどのフェノール骨格を有するメタクリルアミドもしくはアクリルアミド又はメタクリレートもしくはアクリレートの重合体又は共重合体を挙げることができる。
本発明に用いられる熱硬化性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。このような熱硬化性ポリマー微粒子は、溶解分散法で容易に得られるが、熱硬化性ポリマーを合成する際に微粒子化してもよい。しかし、これらの方法に限らない。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子の熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でも良いが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)、縮合反応を行うカルボキシル基及び反応相手であるヒドロキシル基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシル基などを好適なものとして挙げることができる。
これらの官能基のポリマー微粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
重合時に導入する場合は、上記の官能基を有するモノマーを乳化重合又は懸濁重合することが好ましい。上記の官能基を有するモノマーの具体例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p−ビニルオキシスチレン、p−{2−(ビニルオキシ)エチル}スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアナートエチルアクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、これらのモノマーと、これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性基をもたないモノマーとの共重合体も用いることができる。熱反応性基をもたない共重合モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、熱反応性基をもたないモノマーであれば、これらに限定されない。
熱反応性基の導入を重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応を挙げることができる。
上記熱反応性基を有するポリマー微粒子の中で、ポリマー微粒子同士が熱により合体するものが好ましく、その表面は親水性で水に分散するものが特に好ましい。ポリマー微粒子のみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製した皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度より高い温度で乾燥して作製した皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。このようにポリマー微粒子表面を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーもしくはオリゴマー又は親水性低分子化合物をポリマー微粒子表面に吸着させてやればよい。しかし、表面親水化の方法は、これに限定されない。
これらの熱反応性基を有するポリマー微粒子の凝固温度は、70℃以上が好ましいが、経時安定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。ポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。この範囲内で良好な解像度及び経時安定性が得られる。
本発明に用いられるマイクロカプセル又はミクロゲルは、熱反応性基を有する化合物を内包する。この熱反応性基としては、前記の熱反応性基を有するポリマー微粒子に用いられるものと同じ熱反応性基を好適なものとして挙げることができる。以下、熱反応性基を有する化合物についてより詳しく説明する。
ラジカル重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物を好適なものとして挙げられる。このような化合物群は当該産業分野において、重合性組成物用のモノマー又は架橋剤として広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定することなく用いることができる。化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体、オリゴマー、重合体もしくは共重
合体、又はそれらの混合物である。
具体例としては、特開2001−277740号に重合性不飽和基を有する化合物として記載されている化合物が挙げられる。代表的な化合物例として、ビス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートとキシリレンジイソシアナートとの付加体などが挙げられる。しかし、これらに限定されない。
エチレン性重合性不飽和基を有する重合体又は共重合体形態のものとして、アリルメタクリレートの共重合体を挙げることができる。例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
本発明に好適なビニルオキシ基を有する化合物としては、特開2002−29162号に記載の化合物が挙げられる。具体例として、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン{ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル}、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に好適なエポキシ基を有する化合物としては、2個以上エポキシ基を有する化合物が好ましく、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物又はそのプレポリマー、更に、アクリル酸グリシジル又はメタクリ酸グリシジルの重合体もしくは共重合体等を挙げることができる。
具体例としては、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等、更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
上記化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、エピコート1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、エピコート1004(約1060、エポキシ当量875〜975)、エピコート1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、エピコート1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、エピコート1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、エピコート1100L(エポキシ当量4000)、エピコートYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195XL、ESCN−195XF等を挙げることができる。
本発明に好適なイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、又は、これらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物を挙げることができる。
本発明に好適なアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
本発明に好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
本発明に好適なカルボキシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
本発明に好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
上記の熱反応性基を有する化合物をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号明細書、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号明細書、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、同第4087376号明細書、同第4089802号明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、同51−9079号公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号明細書、米国
特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号明細書、同第967074号明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、バインダーポリマー導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入しても良い。
一方、ミクロゲルを調製する方法としては、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報に記載されている界面重合による造粒、特開平5−61214号公報に記載されているような非水系分散重合による造粒を利用することが可能である。但し、これらの方法に限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明に用いられる好ましいミクロゲルは、界面重合により造粒され3次元架橋を有するものである。このような観点から、使用する素材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
このようなマイクロカプセル若しくはミクロゲルは、カプセル同士若しくはミクロゲル同士が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロカプセル内包物若しくはミクロゲル内包物のうち、塗布時にカプセル表面若しくはミクロゲル表面又はマイクロカプセル若しくはミクロゲル外に滲み出したもの、或いは、マイクロカプセル壁若しくはミクロゲル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。添加された親水性樹脂又は添加された低分子化合物と反応してもよい。また2種類以上のマイクロカプセル若しくはミクロゲルに、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士若しくはミクロゲル同士を反応させてもよい。従って、熱によってマイクロカプセル同士若しくはミクロゲル同士が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
本発明に用いる上記樹脂微粒子のなかでも、熱反応性ポリマー微粒子及び熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル若しくはミクロゲルがより好ましく、熱反応性基を有するポリマー微粒子及び重合性化合物を内包するマイクロカプセル若しくはミクロゲルがさらに好ましい。
上記ポリマー微粒子及びマイクロカプセル若しくはミクロゲルの画像記録層への添加量は、熱可塑性ポリマー微粒子の場合、画像記録層固形分の50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。また熱反応性ポリマー微粒子の場合、画像記録層固形分の20質量%以上が好ましく、25〜85質量%がより好ましい。さらにマイクロカプセル若しくはミクロゲルの場合、画像記録層固形分の15質量%以上が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。いずれもこれらの範囲内で、良好な画像形成ができ、良好な耐刷性が得られる。
本発明の画像記録層にマイクロカプセル若しくはミクロゲルを含有させる場合には、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル若しくはミクロゲル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性基を有する化合物の、マイクロカプセル若しくはミクロゲル外への拡散が促進される。このような溶剤としては、マイクロカプセル若しくはミクロゲル分散媒、マイクロカプセル若しくはミクロゲル壁の材質、壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセル若しくはミクロゲルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが好ましい。
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いても良い。マイクロカプセル若しくはミクロゲル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。
このような溶剤の添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、通常、塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。
<赤外線吸収剤>
本発明の画像記録層には、感度を高めるため、赤外線吸収剤が用いることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化
合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収剤の好ましい他の例としては、特開2002−278057号公報記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(I)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2006264306
一般式(I)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
Figure 2006264306
Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(I)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術
が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。また、マイクロカプセル若しくはミクロゲルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、ネガ型平版印刷版原版を作製した際に、画像記録層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.3〜1.2の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.4〜1.1の範囲である。この範囲で、画像記録層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
画像記録層の吸光度は、画像記録層に添加する赤外線吸収剤の量と画像記録層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの画像記録層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
<重合開始剤>
本発明においては、熱反応性基、特に重合性基の重合反応を開始、促進するため、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。本発明に使用できる重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などが挙げられる。
上記のような重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林など、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt,"Journal of Heterocyclic Chemistry" 1(No.3),(1970)などに記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物及びS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体などを挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物などを使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)などが挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体などが挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書などに記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の公報、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、及び、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"などに記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報などの有機ホウ素遷移金属配位錯体などが挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−3
28465号公報など記載される化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.
Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、具体的には、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006264306
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報などに記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、
同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩などのオニウム塩などが挙げられる。
特に反応性、安定性の面から好適なものとして、上記オキシムエステル化合物又はオニウム塩(ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩もしくはスルホニウム塩)が挙げられる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2006264306
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミトド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン及びスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21及びAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル
基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32及びR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
以下に本発明に好適なオニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
これらの重合開始剤は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら
の重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
<バインダーポリマー>
本発明の画像記録層には、画像記録層の皮膜性向上のためバインダーポリマーを含有させることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していることが好ましい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレン等が挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又はCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2 n CR1 =CR2 3 、−(CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n NH−CO−O−CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n −O−CO−CR1 =CR2 3 及び(CH2 CH2 O)2 −X(式中、R1 〜R3 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1 とR2 又はR3 とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2 CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 OCOCH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 −NHCOO−CH2 CH=CH2 及びCH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽
和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と良好な保存安定性が得られる。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマーのいずれでもよいが、ランダムポリマーがより好ましい。また、バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、機上現像性向上の観点から、バインダーポリマーは、インキ及び/又湿し水に対する溶解性又は分散性が高いことが好ましい。
インキに対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。また、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。どのバインダーポリマーを用いるかは、画像記録層のバインダーポリマー以外の成分との兼ね合いで決められる。
親水的なバインダーポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
また、上記親水性バインダーポリマーは、機上現像を損なわない程度に架橋して用いてもよい。架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカプリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。
バインダーポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、10〜90質量%であり、20〜80質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3となる量で用いるのが好ましい。
<その他の画像記録層成分>
本発明の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(
4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸又はラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、画像記録層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
本発明の画像記録層には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを画像記録層マトリックス中に添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル若しくはミクロゲル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。なかでも好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを挙げることができる。
また、本発明においては、画像記録層塗布液の調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して0.01〜5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、画像記録層固形分の0.1〜約10質量%が好ましい。
また、本発明の画像記録層には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
また、無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像記録層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の画像記録層には、画像記録層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号及び特願2001−169731号に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、画像記録層全固形物の0.005〜1質量%である。
さらに、本発明の画像記録層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす画像記録層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版において前記画像記録層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
本発明で用いられる上記の基板の厚みは好ましくは0.05mm〜0.6mm、より好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び画像記録層との接着性の確保が容易になる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
上記親水化処理のための好適な親水性化合物として、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などが挙げられる。
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
〔下塗り層〕
本発明の平版印刷版原版においては、必要に応じて、画像記録層と支持体との間に下塗り層を設けることができる。下塗り層は、未露光部において、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、機上現像性が向上する。また、赤外レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。下塗り層用化合物(下塗り化合物)としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗り化合物としては、吸着性基を有するモノマー/親水性基を有するモノマー/架橋性基を有するモノマーを共重合した高分子樹脂が挙げられる。
高分子下塗りの必須成分は、親水性支持体表面への吸着性基である。親水性支持体表面への吸着性の有無に関しては、例えば以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布夜を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
親水性支持体表面への吸着性基は、親水性支持体表面に存在する物質(例えば、金属、金属酸化物)あるいは官能基(例えば、水酸基)と、化学結合(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基又はカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性水酸基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−及びCOCH2COCH3を含む。なかでも−OPO32及びPO32が特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基を含む。アンモニウム基、ホスホニウム基及びスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基及びホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
吸着性基を有するモノマーの特に好ましい例としては、下記式(II)又は(III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006264306
式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基を表し、Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ(−NH−)を表し、Lは、2価の連結基を表し、Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基を表し、Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。
式(II)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。R2及びR3は、水素原子であることが特に好ましい。
式(II)において、Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。式(II)において、Lは、2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリレン基、置換アリレン基)又は2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(―S―)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を含む。複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を含む。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCH2CH2)n−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である。また、Yは、炭素原子又は窒素原子である。Y=窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではない。
以下に、式(II)又は(III)で表される代表的なモノマーの例を示す。
Figure 2006264306
本発明に用いることができる下塗り用高分子樹脂の親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等が好適に挙げられる。中でも高親水性を示すスルホン酸基を有するモノマーが好ましい。スルホン酸基を有するモノマーの具体例としては、メタリルオキシベンゼンスルホン酸, アリルオキシベンゼンスルホン酸 , アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルスルホン酸のナトリウム塩、アミン塩が挙げられる。中でも親水性能及び合成の取り扱いから2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩が好ま
しい。
本発明の下塗り層用の水溶性高分子樹脂は、架橋性基を有すことが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。下塗り層用の高分子樹脂に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子樹脂の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又はCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2)nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2) nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2) n−O−CO−CR1=CR23、及び(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2又はR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2NHCOO−CH2CH=CH2、及びCH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2OCO−CH=CH2が挙げられる。下塗り層用高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドが好適である。
下塗り層用高分子樹脂中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、及び良好な保存安定性が得られる。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
下塗り層用の高分子樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗り用高分子樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。下塗り層用塗布液は、上記下塗り用の高分子樹脂を有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)及び/又は水に溶解して得られる。下塗り層用塗布液には、赤外線吸収剤を含有させることもできる。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
〔オーバーコート層〕
本発明の平版印刷版原版は、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触
による指紋跡汚染等から親水性の画像記録層表面を保護するため、画像記録層上に、特開2001−162961号、特開2002−19318号に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65モル%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
本発明のオーバーコート層には、特開平11−38633号公報に記載の雲母などの無機質層状化合物を含有させることもできる。また、オーバーコート層には、感度を向上させるため赤外線吸収剤を含有させることができる。好ましい赤外線吸収剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙げられる。
オーバーコート層塗布液は、上記成分を水、または水と混和性の低沸点有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど。)との混合溶剤に溶解または分散して調製される。塗布液には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
本発明のオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による画像記録層の汚染を防止できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.平版印刷版原版の製造
(1)支持体の製造
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径
0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し支持体を得た。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)下塗り層塗布液の調製
下記組成の成分を混合して下塗り層塗布液(1)を調製した。
<下塗り層塗布液(1)組成>
・下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2006264306
(3)熱可塑性ポリマー微粒子の合成
スチレン15g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水溶液(濃度9.84×10-3moll-1)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3moll-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3moll-1)を加え、pHを1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.0質量%であり、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−910」で測定した平均粒径は0.4μmであった。合成した微粒子のガラス転移温度は、100℃であった。なお、ガラス転移温度は、熱流束型示差走査熱量計(DSC200、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、JIS K7121に記載の方法で求めた補外ガラス転移開始温度である。
(4)熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の合成
アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレート7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水溶液(濃度9.84×10-3moll-1)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3moll-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3moll-1)を加え、pHを1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5質量%であり、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−910」で測定した平均粒径は0.4μmであった。上記と同様の方法で求めたガラス転移温度は60℃であった。
(5)重合性化合物を含むマイクロカプセル(1)の合成
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM-215(東亞合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製) 0.18gを酢酸エチル16.61gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水23gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。ここで得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−910」で測定した平均粒径は0.2μmであった。
上記と同様の方法で求めたガラス転移温度は110℃であった。
(6)画像記録層塗布液の調製
下記塗布液処方に従って成分を溶剤に溶解又は分散して画像記録層塗布液(1)および(2)を調製した。画像記録層塗布液(3)は、下記組成の有機溶媒液、水溶媒液画像記録層塗布液をそれぞれ調製し、次に有機溶媒液を攪拌しながら水溶媒液を添加。添加後15分で攪拌を停止して調製した。
画像記録層塗布液(1)[熱可塑性ポリマー微粒子を含有する画像記録層塗布液]
・合成した熱可塑性ポリマー微粒子(9質量%水溶液) 68.8g
・赤外線吸収剤(1) 0.3g
・ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
(重量平均分子量2.5万)
・1−メトキシ−2−プロパノール 30.3g
Figure 2006264306
画像記録層塗布液(2)[熱反応性官能基を有するポリマー微粒子を含有する画像記録
層塗布液]
・合成した熱反応性官能基を有するポリマー微粒子
(9.5質量%水溶液) 54.8g
・赤外線吸収剤(1) 0.3g
・重合開始剤(1) 0.2g
・重合性化合物 アロニックスM-215(東亞合成(株)製) 1.0g
・ポリヒドロキシエチルアクリレート(重量平均分子量2.5万) 0.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール 44.0g
画像記録層塗布液(3)[重合性化合物を含むマイクロカプセルを含有する画像記録層塗布液]
<有機溶媒液>
・赤外線吸収剤(2) 0.2g
・重合開始剤(1) 1.0g
・バインダーポリマー(1)(平均分子量8万) 1.6g
・重合性化合物 アロニックスM-215(東亞合成(株)製) 3.9g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 86.1g
・メチルエチルケトン 11.0g
<水溶媒液>
・重合性化合物を含むマイクロカプセル(1) 26.5g
・蒸留水 47.1g
・フッ素系界面活性剤(1) 0.05g
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
(7)オーバーコート層塗布液の調製
下記組成の成分を混合溶解してオーバーコート層塗布液1を調製した。
<オーバーコート層塗布液1>
・PVA105(クラレ製) 5.37g
・ポリビニルピロリドン 0.05g
・エマレックス710(ノニオン系界面活性剤:花王製) 0.43g
・ソマシフMEB−3L 15.00g
(膨潤性雲母水分散液:コープケミカル製)
・水 54.15g
(8)塗布及び乾燥
図1に示した製造ラインを用い、表1〜3記載の下塗り層、画像記録層及びオーバーコート層の塗布、乾燥条件、並びに表4記載の製造条件にて平版印刷版原版を製造した。
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
Figure 2006264306
2.製造方法の評価
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製スプリント25印刷機のシリンダーに取り付けた。湿し水IF102(富士写真フイルム製)4容量%水溶液と、TRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時8000枚の印刷速度で印刷を行い、良好な印刷物が得られるのに要した印刷枚数を機上現像性として評価した。結果を表4に示した。
表4から明らかなように、本発明の製造方法で製造することにより、搬送ロールへの画像記録層の転写が抑制されて歩留まりが向上すると共に、微粒子の変形、破壊が抑制され、良好な機上現像性が得られた。
実施例7
実施例5に於けるマイクロカプセル(1)の代わりに下記のミクロゲル(1)を用いた他は、実施例5と同様に平版印刷版原版を作製し、評価を行った。
搬送ローラ53への画像記録層転写は僅かにあり、機上現像性は40枚であった。
(ミクロゲル(1)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15gおよびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。ガラス転移温度は、105℃であった。
製造ラインの模式図
符号の説明
1 製造ライン
2 下塗り層塗布装置
3 画像記録層塗布装置
4 オーバーコート層塗布装置
5 下塗り層乾燥炉
6 画像記録層乾燥炉
7 オーバーコート層乾燥炉
8〜15 加熱室
16〜21 開口部
22〜26 仕切壁
27〜34 整流板
35〜42 給気口
43〜50 排気口
51〜57 搬送ローラ(塗付面接触)
58 ウェブ巻取装置
59 支持体ウェブ

Claims (5)

  1. 支持体上に少なくとも樹脂微粒子を含む画像記録層を有する平版印刷版原版の製造方法であって、画像記録層表面への製造設備及び支持体の接触を、画像記録層の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以下の状態で行うことを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
  2. 樹脂微粒子が熱反応性ポリマー微粒子であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版原版の製造方法。
  3. 樹脂微粒子が熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル又はミクロゲルであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版原版の製造方法。
  4. 画像記録層が、樹脂微粒子に加え、赤外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、赤外レーザー照射により重合硬化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版の製造方法。
  5. 画像記録層が、印刷インキ及び/又は湿し水により除去可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版の製造方法。
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