JP2006257215A - アルミニウム系製品の表面処理方法 - Google Patents

アルミニウム系製品の表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
アルミニウム系製品の表面に汚れが付着するのを防止し、且つ付着した汚れを容易に除去するのに適する表面処理方法を提供する。
【解決手段】
アルミニウム系製品の表面に、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)を含有し、成分(a)及び成分(b)の合計重量に対して、成分(a)の量が13〜99.9重量%、成分(b)の量が0.1〜87重量%の範囲内である表面処理剤(A)を塗装することを特徴とする表面処理方法、該方法により処理された物品。アルミニウム系製品としてはクリヤー塗料を塗装したものであることが望ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム系製品に汚れが付着するのを防止し、且つ付着した汚れを容易に除去するのに適する表面処理方法に関する。
アルミニウム系製品は、軽量で加工性が良く、様々な分野で利用されている。
その一般的な製造過程は、アルミニウム合金の熔融液を、鋳型に流し込み、冷却・凝固後、金型から取り出すことにより成形し、製品とするものである。
このような成形品の表面は、鋳型の細かい加工疵や鋳型に付着した異物までも転写したり、逆に鋳型の隙間に溶解液が入っていかない等の理由で、表面に微細な凹凸が生じていることがある。
上記アルミニウム系製品の例としてチューブやタイヤなどの取り付け部材であるアルミニウム製の自動車用ホイール(以下アルミホイールと略称する)がある。これには自動車の走行距離が進むにつれてブレーキダスト等の汚染物質が付着することがある。ブレーキダストとはブレーキを掛けた際の部品同士の摩擦により発生する細かい異物のことであり、アルミホイール表面に微細な凹凸があったり、形状が複雑なデザインである場合などは、該凹部にブレーキダストが入り込んでしまうとその除去が困難であるという問題があった。
こうした問題に対して例えば、アルミホイール基材にあらかじめ粉体プライマー等の塗膜を設けて、該塗膜により微細な凹凸を隠蔽することが一般に行われている。(特許文献1〜4など)この方法によれば、微細な凹凸を軽減することができ、付着したブレーキダストの除去を容易にすることができるものの、アルミホイールの形状として複雑なデザインを有する場合や新たに塗膜に傷が生じた場合などには対処が必要である。また、ブレーキダストには金属粉なども含まれているため、一度アルミホイール表面に付着すると除去が困難であり、金属紛を落とすための専用のクリーナーを用いてブラシ等により長時間清掃しなければならず、その作業によりアルミホイール表面を痛めてしまうこともあり、かといってブレーキダストが表面に付着したまま放っておくと、金属粉が酸化して除去がさらに困難になるという問題があった。
特開2002−138246号公報 特開2002−146277号公報 特開2002−194273号公報 特開2003−221550号公報
本発明の目的は、アルミニウム系製品の表面に汚れが付着するのを防止し、且つ付着した汚れを容易に除去するのに適する表面処理方法を提供することである。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、アルミニウム系製品の表面に、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサンを特定の配合比で含有した特定の表面処理剤を塗装することを特徴とする表面処理方法により本発明に到達した。
即ち本発明は
1. アルミニウム系製品の表面に、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)を含有し、成分(a)及び成分(b)の合計重量に対して、成分(a)の量が13〜99.9重量%、成分(b)の量が0.1〜87重量%の範囲内である表面処理剤(A)を塗装することを特徴とする表面処理方法、
2. アルミニウム系製品が、クリヤー塗料を塗装したものであることを特徴とする1項に記載の表面処理方法、
3. アルミニウム系製品が、プライマー塗料として粉体塗料を塗装した後、該塗面上に、着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上にクリヤー塗料を塗装したものであることを特徴とする1項に記載の表面処理方法、
4. クリヤー塗料が、粉体塗料である2項または3項に記載の表面処理方法、
5. Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)が、3次元構造のオルガノポリシロキサン骨格及び直鎖状のオルガノポリシロキサン骨格を分子中に共に含有するオルガノポリシロキサン(a1)を含有する1項ないし4項のいずれか1項に記載の表面処理方法、
6. 表面処理剤(A)が、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)を処理剤(A)中に13重量%以上含有することを特徴とする1項ないし5項のいずれか1項に記載の表面処理方法、
7. アルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)が、分子量が200〜1,000の範囲内の、直鎖状ポリシロキサン及び/又は環状ポリシロキサンである1項ないし6項のいずれか1項に記載の表面処理方法、
8. 1項ないし7項のいずれか1項に記載の方法により処理された物品、
に関する。
本発明の表面処理方法によれば、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサンを特定の配合比で含有した特定の表面処理剤により、表面を適度に撥水性に改質することができ、汚染物質が付着しにくく、且つ付着した汚染物質を簡易な作業で容易に除去することができるので、表面に凹凸を有する、及び/又は複雑な形状を有するようなアルミニウム系製品でも長期間にわたって美観を維持することができる。
本発明方法が適用されるアルミニウム系製品としては、特に制限されるものではなく、アルミニウムを主成分とし、またはさらにマグネシウムやケイ素などを含む合金からなるものが挙げられ、軽量化および意匠性などの目的で任意の形状に成形加工や切削加工したものであってもよい。また、ショットブラスト加工、研磨加工等を施したものであってもよい。
本発明における上記アルミニウム系製品の具体例としては、特に制限されるものではなく、アルミホイール、機械部品、アルミサッシ等を挙げることができる。
本発明において、上記アルミニウム系製品は、防食性の点から、クロム酸塩、りん酸塩又はジルコニウム系処理剤などでその表面をあらかじめ化成処理したものであることが好ましい。
また、上記アルミニウム系製品は、表面の凹凸隠蔽性、塗面平滑性、光沢の付与及び耐候性の点から、クリヤー塗料を塗装したものであることが望ましい。
クリヤー塗料としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、有機溶剤型、水系、粉体等の形態の塗料を挙げることができる。かかるクリヤー塗料の塗膜形成用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、耐候性が良好で且つ後述の表面処理剤(A)による被膜と屈折率が近い点から、クリヤー塗料における塗膜形成用樹脂としてアクリル樹脂を含有することが望ましい。
上記クリヤー塗料における塗膜形成用樹脂は硬化型であってもラッカー型であってもよく、通常硬化性を有するタイプのものが好ましい。硬化性を有するタイプの場合には、メラミン樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン系、ポリアミド系、多価カルボン酸等の架橋剤を包含することができる。
また、上記クリヤー塗料は、上記成分の他に、必要に応じて沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜含有することができる。また、透明性を阻害しない範囲で着色成分を含有することもできる。
上記クリヤー塗料の乾燥条件は、組成等に応じて適宜調整することができ、110〜150℃、好ましくは120〜140℃の乾燥温度で、10〜60分、好ましくは15〜40分の乾燥時間であることができる。
上記クリヤー塗料を塗装する場合は、表面の凹凸隠蔽性、耐候性の点から乾燥膜厚が10〜50μm、好ましくは15〜40μmの範囲内となるように調整されることが望ましい。特にクリヤー塗料として粉体塗料を用いる場合には、乾燥膜厚が20〜200μm、好ましくは40〜150μmの範囲内となるように調整されることが望ましい。
本発明において、上記アルミニウム系製品は、表面の凹凸隠蔽性、意匠性の点から、着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装したものであってもよい。
かかるベースコート塗料としては、着色顔料及び塗膜形成用樹脂を含有する塗料であり、有機溶剤系であっても水系であってもよい。
上記着色顔料は、下地隠蔽性および着色を付与するものであり、従来から塗料用として常用されているソリッド顔料及び/又は光輝性顔料の中から制限なく使用することができ、塗膜形成用樹脂としては、上記クリヤー塗料の説明で列記したものの中から制限なく使用することができる。本発明においては、クリヤー塗料との付着性、仕上がり性の点から、該ベースコート塗料が塗膜形成成分としてアクリル樹脂を含んでいることが望ましい。
上記ベースコート塗料では、上記成分の他に、必要に応じて沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)、防錆剤等を適宜含有することができる。
上記ベースコート塗料の乾燥条件は、組成等に応じて適宜調整することができ、例えば80℃〜150℃、好ましくは100〜140℃の乾燥温度で10〜60分、好ましくは15〜40分の乾燥時間であることができる。
上記ベースコート塗料を塗装する場合は、表面の凹凸隠蔽及び下地隠蔽性、及び内部応力の点から、乾燥膜厚が2〜30μm、好ましくは5〜25μmとなるように調整されることが望ましい。
また、意匠性をさらに向上させる目的から、上記着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上に顔料組成の異なる別のベースコート塗料を塗装することもできる。
本発明において、上記アルミニウム系製品は、意匠性及び耐候性の点から、着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上にクリヤー塗料を塗装したものであることが望ましい。
上記着色ベースコート塗料及びクリヤー塗料は夫々硬化させてもよいし、着色ベースコート塗料を塗装後、未硬化のままでクリヤー塗料を塗装し、両塗膜を同時に硬化させることもできる。
また、本発明の表面処理方法においては、表面の凹凸隠蔽性又は表面処理剤(A)による塗膜との付着性の点から、アルミニウム系製品が、プライマーとして、さらにはクリヤーとして、粉体塗料を塗装したものであることが望ましい。
上記粉体塗料の塗膜形成成分としては、特に制限はなく、上記クリヤー塗料の説明で列記したものの中から制限なく使用することができ、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記粉体塗料は、着色顔料、充填剤、流動性調整剤、ブロッキング防止剤、表面調整剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、帯電制御剤、硬化促進剤、防錆剤等を必要に応じて含有することができる。
上記粉体塗料の乾燥条件は、組成等に応じて適宜調整することができ、例えば140℃〜200℃、好ましくは150〜180℃の乾燥温度で10〜60分、好ましくは15〜40分の乾燥時間であることができる。
本発明方法において、粉体塗料を塗装する場合は、表面の凹凸隠蔽性及び付着性の点から乾燥膜厚が20〜200μm、好ましくは40〜150μmの範囲内に調整されることが望ましい。
本発明の表面処理方法においては、表面の凹凸隠蔽性、塗面平滑性、意匠性、防食性の点から、アルミニウム系製品が、プライマーとして粉体塗料を塗装した後、該塗面上に、着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上にクリヤー塗料を塗装したものであること又は、プライマーとして粉体塗料を塗装した後、該塗面上に着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上にクリヤーとして粉体塗料を塗装したものであることが好適である。
次に本発明方法に用いられる表面処理剤(A)について説明する。
本発明に使用される表面処理剤(A)は、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)を含有し、成分(a)及び成分(b)の合計重量に対して、成分(a)の量が13〜99.9重量%、好ましくは16〜99.9重量%、さらに好ましくは30〜99.9重量%、成分(b)の量が0.1〜87重量%、好ましくは0.1〜84重量%、さらに好ましくは0.1〜70重量%の範囲内であることを特徴とする。
Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)の量が、13重量%未満では、表面の凹凸隠蔽性が不十分となりやすく、一方、99.9重量%を超えると塗布作業性が低下する傾向がある。
次に、本発明に用いられる表面処理剤(A)に含有される各成分について説明する。
Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)としては、従来公知のものが制限なく使用でき、その製造方法としては例えば、分子中にSi−C結合を含有するオルガノハロシランを加水分解縮合させるとともにアルコールによってアルコキシ化する方法;分子中にSi−C結合を含有するオルガノアルコキシシランを加水分解縮合させる方法などが挙げられる。
これらの方法としては具体的には、下記式(1)〜(3)で表されるSi−C結合を含有するオルガノシラン化合物から選ばれる1種以上を含むオルガノシラン化合物を原料として、種々条件で加水分解縮合するものである。
Figure 2006257215
上記式(1)〜(3)において、R1は、同一又は異なって、置換もしくは非置換の炭化水素基、重合性不飽和基であり、Xは、同一又は異なって、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表す。
1として具体的には、同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基、アリル基、i−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−シクヘキセニル基、3−シクヘキセニル基、2−ビニルシクロヘキシル基、3−ビニルシクロヘキシル基、4−ビニルシクロヘキシル基等のシクロアルケニル基、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−ビニルフェニル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、3−アリルオキシプロピル基、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等の重合性不飽和基;アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基等を挙げることができる。
一方、Xとしては、同一又は異なって、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン;等が挙げられる。
上記式(1)〜(3)で表されるオルガノシラン化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン等のモノアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のオルガノハロシラン;等を挙げることができる。
本発明において、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)は、一般に、式(1)及び/又は式(2)で表されるオルガノシラン化合物を原料の主成分とすることにより製造される、3次元構造を有しているオルガノポリシロキサンであることが望ましい。また、被膜の硬さ、可とう性、耐曲げ性などを調整するべく、式(3)及び/又は式(4)で表されるオルガノシラン化合物を原料として適宜混合せしめることもできる。
上記式(4)で表されるオルガノシラン化合物としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラクロロシラン等のテトラハロシラン等を挙げることができる。
また、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)は、式(2)で表される2官能性のオルガノシラン化合物を原料の主成分とすることにより製造される、直鎖状の構造を有しているオルガノポリシロキサンであってもよい。
Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)において、加水分解性シリル基としてのケイ素原子に結合したアルコキシ基、即ちアルコキシシリル基は、空気中の湿気や水分等で加水分解され、シラノールとなり、シラノ−ル同士の縮合反応が常温で進行することが知られている。本発明においては、常温における被膜の乾燥性ならびに形成される被膜の強度及び塗布作業性から、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)として、重量平均分子量が200〜30,000、好ましくは300〜25,000の範囲内の3次元構造を有するオルガノポリシロキサンが望ましい。尚、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
また、上記表面処理剤(A)による被膜が、汚れ成分の付着がし難く、付着した汚れ成分を除去しやすくするためには、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)が置換基としてメチル基を有していることが望ましく、また、該オルガノポリシロキサン(a)のメチル基濃度が20mol%以上、好ましくは40mol%以上であることが望ましい。
本明細書においてオルガノポリシロキサン(a)のメチル基濃度は、下記式に基づいて算出することができる。
オルガノポリシロキサン(a)のメチル基濃度(mol%)=(n2/n1)×100
n1:オルガノポリシロキサン(a)の置換基Rの合計モル数、n2:置換基Rにおけるメチル基のモル数。
本発明においては、アルミニウム系製品表面の凹部又は傷等に流入した表面処理剤(A)を目立たせなくする点から、該Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)は、屈折率が1.39〜1.55、好ましくは1.45〜1.55の範囲内であることが望ましい。本明細書において、屈折率は、JIS K 0062 に準拠し、アッベ屈折率計で測定したものである。
また、表面の凹部又は傷等に流入した表面処理剤(A)を目立たせなくさせる点から、該Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)としては、ベンゼン環構造を含有することもできる。
また、本発明においてSi−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)は、塗り伸ばし性と表面の凹凸隠蔽性、付着した汚れ成分を除去しやすい効果が向上することから、3次元構造を有するオルガノポリシロキサン骨格及び直鎖状のオルガノポリシロキサン骨格を分子中に共に含有するオルガノポリシロキサン(a1)を含有することが望ましい。
直鎖状のオルガノポリシロキサン骨格としては、下記式(5)で表される構造を挙げることができる。
Figure 2006257215
式(5)において、jは、2〜1,000の整数を表し、Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、飽和基であっても不飽和基であってもよく、例えば、同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基等を挙げることができ、特にメチル基が好適である。
上記3次元構造を有するオルガノポリシロキサン骨格及び直鎖状のオルガノポリシロキサン骨格を分子中に共に含有するオルガノポリシロキサン(a1)の製造方法としては、例えば、(1)分子中にアルコキシ基及び重合性不飽和基を含有する3次元構造を有するオルガノポリシロキサンと、両末端にSi-H基を含有する直鎖状のオルガノポリシロキサンとを反応させる方法、或いは、(2)分子中にアルコキシ基及びSi−H基を含有する3次元構造を有するオルガノポリシロキサンと、両末端に重合性不飽和基を含有する直鎖状のオルガノポリシロキサンとを反応させる方法などが挙げられる。
重合性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、i−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等のアルケニル基;2−シクヘキセニル基、3−シクヘキセニル基、2−ビニルシクロヘキシル基、3−ビニルシクロヘキシル基、4−ビニルシクロヘキシル基等のシクロアルケニル基;2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−ビニルフェニル基等のビニルフェニル基;2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基などのアリルフェニル基;3−アリルオキシプロピル基、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基が挙げられ、中でもSi−H基との反応性からビニル基が望ましい。
上記(1)及び(2)の反応においては、定法に従い、必要に応じてヘキサン、ペンタン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒の存在下で、Ni、Rh、Pd、Pt等の金属単体やその化合物、錯体を触媒としてヒドロシリル化反応をすることができる。
上記(1)及び(2)の反応において、未反応の直鎖状のオルガノポリシロキサンの量を最小限にし、目的とする化合物をゲル化することなく得るためには、直鎖状のオルガノポリシロキサンの官能性基(Si−H基又は重合性不飽和基)に対して3次元構造を有するオルガノポリシロキサンの官能性基(重合性不飽和基又はSi−H基)を過剰量となるようにすることが望ましい。
上記オルガノポリシロキサン(a1)の配合量としては、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)に対して1〜60重量%、好ましくは3〜50重量%であることが汚れ除去性、硬化性(指触乾燥性)などの点から望ましい。
本発明において、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)としては、「SR2406」、「SR2410」、「SR2420」、「SR2416」、「SR2402」、「AY42−161」(以上東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、「FZ−3704」、「FZ−3511」(以上日本ユニカー社製)、「KC-89S」、「KR−500」、「X−40−9225」、「X−40−9246」、「X−40−9250」、「KR−217」、「KR−9218」、「KR−213」、「KR−510」、「X−40−9227」、「X−40−9247」、「X−41−1053」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2308」、「X−40−9238」、「X−40−2239」、「X−40−2327」、「KR−400」、「X−40−175」、「X−40−9740」(以上信越化学工業株式会社製)などの市販品が適用可能である。
上記Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)は、表面の凹凸隠蔽性の点から、表面処理剤(A)中に13重量%以上、好ましくは20重量%以上含有されることが望ましい。
本発明において、アルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)は、それ自体実質的に加水分解縮合しないものであり、塗り伸ばし性を向上させ、形成被膜を均一化させるために配合されるものである。該アルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)は、塗り伸ばし性の点から、分子量が、200〜1,000、好ましくは300〜700の範囲内であることが好適であり、例えば、下式(6)或いは下式(8)で表される、直鎖状ポリシロキサン及び/又は環状ポリシロキサンを挙げることができる。
上記直鎖状ポリシロキサン化合物としては、下式(6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2006257215
は、同一又は異なって、置換もしくは非置換の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基等を挙げることができ、中でも炭素数が1〜3のアルキル基、特にメチル基が好適である。Yは炭素数1〜18の置換もしくは非置換のアルキル基又は下記式(7)で表されるポリオキシアルキレン基を表し、Yがアルキル基である場合には、例えば、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられ、中でも炭素数が6〜9のアルキル基が望ましい。k1は1〜8の整数を表し、k2は1〜8の整数を表す。上記式(6)で表される化合物において、本発明の表面処理剤の塗り伸ばし性が優れることから、k1及びk2が共に1であることが望ましい。
−O−(CHR−CH-O)k3−R41 (7)
k3は1〜20、好ましくは2〜20の整数を表し、Rはメチル基又は水素原子を表す。R41は、水素、炭素数が1〜3の置換もしくは非置換のアルキル基を表し、特に水素、メチル基が好適である。
上記式(6)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン化合物において、Yとして炭素数1〜18の置換もしくは非置換のアルキル基又はポリオキシアルキレン基を導入せしめることにより、上記化合物の親水・疎水性の程度を制御することができ、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)との相溶性や、処理剤(A)による膜の付着性向上に役立つことができる。
上記オルガノポリシロキサン(b)として用いうる環状ポリシロキサン化合物としては、下記式(8)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2006257215
は、同一又は異なって、置換もしくは非置換の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基等を挙げることができ、中でも炭素数が1〜3のアルキル基、特にメチル基が好適である。lは3〜10の整数を表す。好適な環状ポリシロキサン化合物として具体的には、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのメチルシクロポリシロキサンなどを挙げることができる。
上記例示の化合物は単独であってもよいし、複数組み合わせたものであってもよい。
上記表面処理剤(A)においては、得られる形成被膜の硬化性を向上させるために、有機金属化合物を包含せしめることが望ましい。該有機金属化合物としては、ジアセチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫ジオクトエート、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエートなどの有機錫化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)、アルミニウムアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物;チタニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、チタニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、チタニウムテトラ(モノブチルエトキシド)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、テトラノルマルブチルチタネート等の有機チタン化合物;ジルコニウムテトラ(モノメチルエトキシド)、ジルコニウムテトラ(モノエチルエトキシド)、ジルコニウムテトラ(モノブチルエトキシド)、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)等の有機ジルコニウム化合物;ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリ(4−クロロフェニル)、ホウ酸トリヘキサフルオロイソプロピル等のホウ酸エステル等のホウ酸化合物等;が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用できる。これらの中でも硬化性、易使用性から有機チタン化合物もしくは有機アルミニウム化合物が好適である。該有機金属化合物は、表面処理剤(A)中に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%含有させることが望ましい。
また、表面処理剤(A)は、貯蔵安定性の点から脱水剤を配合することが望ましい。該脱水剤としては、それ自体既知の脱水剤を使用することができ、具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ジルコニウムノルマルブチレート、エチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド類;オルソギ酸メチル、オルソギ酸エチル、オルソ酢酸メチル、オルソ酢酸エチル、オルソ酢酸イソプルピル、ジメトキシプロパンなどの有機アルコキシ化合物類;「アディティブTI」(商品名、住友バイエルウレタン社製)などの単官能イソシアネート類を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用できる。該脱水剤の配合割合は、一般に、表面処理剤(A)中に0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%含有させることができる。
また、上記表面処理剤(A)は、塗布作業性と硬化速度を調整することを目的として有機溶剤を含有することができる。かかる有機溶剤として例えば、n−ヘキサン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族系有機溶剤;「スワゾール100」(丸善石油化学(株)製品)、石油エーテル、石油ベンゼン、石油ナフサ等の石油系有機溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。該有機溶剤は、一般に、上記表面処理剤(A)中に50重量%以下、好ましくは40重量%以下含有させることができる。
上記表面処理剤(A)は、ソリッド顔料、光輝性顔料等の着色顔料及び/又は染料等の着色剤を包含させ、目的とする外観に応じて色相を調整することもできる。
上記表面処理剤(A)には、さらに必要に応じてオルガノシリケート化合物等の親水性低汚染化剤;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキル基を含有する化合物、炭素数が6以上の炭化水素基を含有するアルコキシシラン、シリコーンオイル等の撥水性付与剤;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等の改質用樹脂;光触媒活性を有する酸化チタン;亜鉛ウイスカ等の針状単結晶無機物粉体;シランカップリング剤;チタンカップリング剤;コロイダルシリカ、樹脂粒子、表面調整剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、界面活性剤、造膜助剤、増粘剤等の添加剤;イソシアネート化合物、メラミン樹脂等の架橋剤;等を適宜配合することができる。
上記表面処理剤(A)は、塗装作業性及び表面の凹凸隠蔽性の点から、動粘度が1〜300mm/s、好ましくは3〜250mmの範囲内であることが望ましい。本明細書において、動粘度とは、試料の温度を25℃にし、JIS K 2283 動粘度試験方法に準拠して、キャノン−フェンスケ型粘度計ホルダーを用いて該試料の流出時間を測定することにより算出した値である。
上記表面処理剤(A)の塗装方法としては、例えば上記表面処理剤(A)を塗り広げ材などによって塗り広げる方法、スプレー塗装、ハケ塗装、浸漬塗装、ロール塗装等の従来公知の方法が挙げられ、その後必要に応じて余剰分を拭き取り材でふき取ることもできる。
上記塗り広げ材の材質としては、上記アルミニウム系製品表面を傷つけず表面処理剤(A)に侵されない材質であれば制限はなく、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、綿、絹、麻、ウール、ポリウレタン、ナイロン等が挙げられ、形状としては適宜選択できるが、スポンジ状、クロス状、ネル状、フェルト状、フリース状等が挙げられる。また、拭き取り材としては、前記塗り広げ材の説明で列記したものと同様の材質、形状のものを適宜選択して使用できる。
上記本発明の表面処理方法によれば、上記表面処理剤(A)をアルミニウム系製品の表面に塗布した後、該処理膜に付着した汚れ成分を容易に除去することが可能である。
該汚れ成分としては、例えば、金属、砂垢、土、鳥糞、油、水垢、花粉、油煙、カーボン、酸性雨等を挙げることができる。
汚れ成分を除去する方法としては、洗浄液を前記例示の塗り広げ材等に含浸させ、該塗り広げ材にて本発明の表面処理剤による処理膜を拭く方法、洗浄液を該処理膜に直接かける方法、洗浄液を該処理膜に直接かけた後、拭きとる方法等が挙げられる。該洗浄液としては、水、界面活性剤水溶液、有機溶剤等汚れ成分の種類に応じて適宜選択することができる。
また、本発明の表面処理方法においては、上記表面処理剤(A)を塗布するのみで、汚れ成分の付着を防止し、また付着した汚れ成分を容易に除去でき、長期にわたってアルミニウム系製品を保護することができるが、必要に応じて該表面処理剤(A)による形成被膜上に従来公知の例えば水酸基含有シロキサンポリマー及びポリイソシアネート化合物を含有する滑水ワックス等のワックスや艶だし剤等を塗布してもよい。
次に実施例をあげて、本発明をより具体的に説明する。
尚、「部」及び「%」は夫々「重量部」及び「重量%」を示す。
アルミ合金鋳造物の塗装
製造例1
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「マジクロンALC−100クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミ合金鋳造物Iを得た。
製造例2
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「エバクラッドNO.2100プライマー」(関西ペイント社製、商品名、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含有する粉体プライマー塗料)を乾燥膜厚が100μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。更に、得られた粉体塗膜の上に「マジクロンAL−2500シルバー」(関西ペイント社製、商品名、アルミニウム顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型ベースコート塗料)を乾燥膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装し、未硬化のままで「マジクロンALC−100クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミ合金鋳造物IIを得た。
製造例3
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「エバクラッドNO.2100プライマー」(関西ペイント社製、商品名、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含む粉体プライマー塗料)を乾燥膜厚が100μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。更に、得られた粉体塗膜の上に「WBC−710シルバー」(関西ペイント社製、商品名、アルミニウム顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む水性ベースコート塗料)を乾燥膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装し、未硬化のままで「マジクロンALC−100クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミ合金鋳造物IIIを得た。
製造例4
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「エバクラッドNO.2100プライマー」(関西ペイント社製、商品名、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含む粉体プライマー塗料)を乾燥膜厚が100μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。更に、得られた粉体塗膜の上に「マジクロンALC−100ブラック」(関西ペイント社製、商品名、黒色顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型ベースコート塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化せしめた。更に得られた塗膜の上に「マジクロンAL−2200PTシルバー」(関西ペイント社製、商品名、アルミニウム顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型ベースコート塗料)を乾燥膜厚が0.1〜0.5μmとなるようにスプレー塗装し、未硬化のままで「マジクロンALC−100クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミ合金鋳造物IVを得た。
製造例5
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「エバクラッドNO.5600」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びドデカンニ酸を含む粉体クリヤー塗料)を乾燥膜厚が100μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。更に、得られた粉体塗膜の上に「マジクロンAL−2500シルバー」(関西ペイント社製、商品名、アルミニウム顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型ベースコート塗料)を乾燥膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装し、未硬化のままで「マジクロンALC−100クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミニウム合金鋳造物の塗装板Vを得た。
製造例6
JIS H 5202−1955に規定されるアルミ合金鋳造物AC4C板上に「AL−1000」(日本パーカライジング社製、商品名、クロム酸クロメート)を用いて化成処理を施した後、「エバクラッドNO.2100プライマー」(関西ペイント社製、商品名、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含む粉体プライマー塗料)を乾燥膜厚が100μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間加熱硬化せしめた。更に、得られた粉体塗膜の上に「マジクロンAL−2500シルバー」(関西ペイント社製、商品名、アルミニウム顔料、アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含む有機溶剤型ベースコート塗料)を乾燥膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼付けてベースコート塗膜を形成させた。得られたベースコート塗膜の上に「エバクラッドNO.5600」(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂及びドデカンニ酸を含む粉体クリヤー塗料)を乾燥膜厚が80μmとなるように静電塗装し、160℃で30分間焼付けて上塗り塗膜を形成させ、塗装されたアルミ合金鋳造物VIを得た。
オルガノポリシロキサンの製造
製造例7
3口フラスコにメチルトリメトキシシラン80部、ジメチルジメトキシシラン20部を加え、攪拌下0.05N塩酸水10部を滴下し、68℃で1時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを除き、ろ過を行なって加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサンAを得た。動粘度は200mm/s、屈折率は1.41であった。
製造例8
3口フラスコにメチルトリメトキシシラン80部、ジメチルジメトキシシラン20部を加え、攪拌下0.05N塩酸水10部を滴下し、68℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを除き、ろ過を行なって加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサンBを得た。動粘度は500mm/s、屈折率は1.41であった。
製造例9
3口フラスコにメチルトリメトキシシラン85部、ビニルメチルジメトキシシラン15部を加え、攪拌下0.05N塩酸水15部を滴下し、68℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを除き、濾過を行い、ポリオルガノシロキサンCを得た。次いで別の3口フラスコにポリオルガノシロキサンCを250部、直鎖状のジメチルシロキサン骨格を有する成分として両末端Si−H基のジメチルシロキサンオイル(注)125部、「CAT−PL−50T」(商品名、信越化学工業社製、Pt系触媒)1.5部を加え、80℃で8時間ヒドロシリル化反応を行い、これを120℃、10mmHgで2時間減圧処理し、濾過を行い、3次元構造を有するオルガノポリシロキサン骨格と直鎖状のジメチルポリシロキサン骨格を分子中に共に含有し、且つ加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサンDを得た。動粘度は250mm/s、屈折率は1.41であった。
(注)ジメチルシロキサンオイル:H−[MeSiO]19−MeSi−Hを主成分とする。
製造例10
3つ口フラスコにメチルトリメトキシシラン100部を加え、攪拌下0.05N塩酸水10部を滴下し、68℃で2時間加水分解縮合した。これを120℃まで加熱して副生メタノールを除き、濾過を行い、加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサンEを得た。動粘度は50mm/s、屈折率は1.41であった。
表面処理剤の製造
製造例11〜15
表1に記載の配合組成で各成分を配合して各表面処理剤(A1)〜(A5)を製造した。
Figure 2006257215
実施例1
上記製造例1で得られた鋳造物Iの上に製造例11で得られた表面処理剤(A1)をクロスを用いて塗り伸ばした後、別の清浄なクロスでむらがなくなるまでふき取って得られた表面処理剤塗布物を試験体とした。
実施例2〜30
上記実施例1において、鋳造物と表面処理剤の組み合わせを下記表2に示す通りとする以外は上記実施例1と同様にして試験体を得た。
比較例1〜6
上記製造例1〜6で得られた鋳造物(表面処理剤塗布無し)を比較例用の試験体とした。
性能評価
上記実施例及び比較例で得られた各試験体の性能評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006257215
汚れ除去性
上記実施例及び比較例で得られた各試験体を屋外に3ヶ月暴露した後、各試験体に付着した汚れの除去容易性について下記基準にて評価した。
◎:暴露後の試験体を水洗するだけで平滑面、鋳肌の凹部共に汚れがきれいに取れる、〇:暴露後の試験体を水洗した後、クロスで拭くと平滑面、鋳肌の凹部共に汚れがきれいに拭き取れる、△:暴露後の試験体を水洗した後、クロスで拭いても鋳肌の凹部に汚れが残る、×:暴露後の試験体を水洗し、クロスで拭いても平滑面、鋳肌の凹部共に汚れが残る

Claims (8)

  1. アルミニウム系製品の表面に、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)並びにアルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)を含有し、成分(a)及び成分(b)の合計重量に対して、成分(a)の量が13〜99.9重量%、成分(b)の量が0.1〜87重量%の範囲内である表面処理剤(A)を塗装することを特徴とする表面処理方法。
  2. アルミニウム系製品が、クリヤー塗料を塗装したものであることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. アルミニウム系製品が、プライマー塗料として粉体塗料を塗装した後、該塗面上に、着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装した後、該ベースコート塗面上にクリヤー塗料を塗装したものであることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  4. クリヤー塗料が、粉体塗料である請求項2または3に記載の表面処理方法。
  5. Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)が、3次元構造のオルガノポリシロキサン骨格及び直鎖状のオルガノポリシロキサン骨格を分子中に共に含有するオルガノポリシロキサン(a1)を含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  6. 表面処理剤(A)が、Si−C結合及び加水分解性シリル基を含有するオルガノポリシロキサン(a)を処理剤(A)中に13重量%以上含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  7. アルコキシ基を含有しないオルガノポリシロキサン(b)が、分子量が200〜1,000の範囲内の、直鎖状ポリシロキサン及び/又は環状ポリシロキサンである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法により処理された物品。
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