JP2006249231A - 耐酸性希土類錯体 - Google Patents

耐酸性希土類錯体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006249231A
JP2006249231A JP2005067240A JP2005067240A JP2006249231A JP 2006249231 A JP2006249231 A JP 2006249231A JP 2005067240 A JP2005067240 A JP 2005067240A JP 2005067240 A JP2005067240 A JP 2005067240A JP 2006249231 A JP2006249231 A JP 2006249231A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
earth complex
acid
complex
surfactant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005067240A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Kanematsu
泰男 兼松
Yasuchika Hasegawa
靖哉 長谷川
Masaharu Matsumoto
雅治 松本
Toshiaki Hachifuku
俊彰 八伏
Hiroshige Itani
太栄 猪谷
Eriko Horiki
エリ子 堀木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Kansai Technology Licensing Organization Co Ltd
Original Assignee
Osaka University NUC
Kansai Technology Licensing Organization Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, Kansai Technology Licensing Organization Co Ltd filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2005067240A priority Critical patent/JP2006249231A/ja
Publication of JP2006249231A publication Critical patent/JP2006249231A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】 希土類錯体は酸性条件下において分解されてしまうため、各種酸性材料と組み合わせると、発光特性が消失したり著しく減衰してしまうという問題があった。
【解決手段】 中心イオンである希土類イオンに有機配位子が配位した希土類錯体分子の周囲に、界面活性剤を付着させる。この構成により、界面活性剤が保護剤としての役割を果たし、酸性条件下においても希土類錯体が分解されることがなく、高い発光特性が保持される。天然樹脂との複合が可能となるため、例えば発光性希土類と和紙、洋紙、天然繊維などを組み合わせた新規のハイブリッド材料を得ることができる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、発光性希土類錯体の酸性条件下における発光を可能とし、且つその発光安定性を向上させる技術に関する。
光増感型の発光性希土類錯体は、その強発光性や、特性の制御容易性に基づき、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)としての利用や、生体成分分析(イムノアッセイ)用試薬として応用可能な高機能性分子の発光中心としての利用をはじめとする、多様な方面への応用が期待されている。
希土類錯体単体での利用に限らず、各種の材料と組み合わせることによって、発光性希土類錯体の応用範囲は飛躍的に拡大する。すなわち、発光性希土類錯体を種々の材料中に分散させることにより、従来に存在しなかった新規の発光性複合材料を得ることが可能となるのである。
希土類錯体を用いた複合材料の生成において主要な課題となるのが、複合材料中の希土類錯体の安定性(発光安定性)である。例えば、特許文献1には、ゾル−ゲル法を用いて作製されるシリカ系ガラスに発光性を備えた希土類錯体を複合する場合において、シリカ系ガラス中にシラノール基が残存することが原因となり、希土類錯体の発光特性が低下してしまうという問題を解決するための手段が開示されている。ここでは、シラノール基を撥水化することにより、この問題が回避される。
希土類錯体の実際的な応用が期待される領域の一つに、希土類錯体と各種樹脂との複合(樹脂中への希土類錯体の分散)がある。ところが、一般に希土類錯体は酸性条件下で分解してしまう。これは、希土類錯体が塩であることに基づく現象である。従って、希土類錯体を複合させる樹脂が酸性である場合、希土類錯体の発光特性が失われてしまうという問題があった。合成樹脂のみならず、ほぼ全ての天然樹脂がその組成にカルボン酸やスルホン酸といった酸を含有しているため、このような材料と希土類錯体との組み合わせは不可能とされてきた。
また、酸性樹脂と組み合わせる場合に限らず、酸が存在する条件において希土類錯体を利用する場合には、常に、その発光特性が消失または減衰してしまうという問題があり、希土類錯体の応用範囲は甚だしく限定されてしまっていた。
特開2004-123100号公報
本発明が解決しようとする課題は、酸性条件下においても、発光特性が低下することがない、またはその低下を抑制することができる耐酸性希土類錯体を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ねた結果、希土類錯体の周囲を保護膜で被覆することにより、酸性条件下においても希土類錯体が分解されてしまうことがなく、その発光特性が保持されることを見いだした。
このようにして成された本発明に係る耐酸性希土類錯体は、中心イオンである希土類イオンに配位子が配位した希土類錯体分子の周囲に、界面活性剤が付着していることを特徴とする。
本発明に係る耐酸性希土類錯体は、その周囲に界面活性剤が付着した構成であるため、界面活性剤が保護剤として機能し、酸性条件下においても、酸による希土類錯体の分解が生じない、または分解が抑制される。すなわち、酸性条件下でも、希土類錯体の発光特性が損なわれたり、低下してしまうことが防止される。従って、これまでは不可能とされてきた、各種の酸性樹脂や天然樹脂と希土類錯体とを複合させた複合材料を創成することが可能となる。また、本発明の耐酸性希土類錯体は比較的簡単な構成であるうえ、希土類錯体の種類も限定されることがないため、幅広い分野へ安価に応用することが可能となる。
本発明に係る耐酸性希土類錯体は、希土類錯体の周囲に界面活性剤が付着して成る構成を有する。
本発明においては、あらゆる種類の希土類錯体を用いることができる。希土類錯体は、中心イオンである希土類イオンに有機配位子が配位した構成を備えた分子である。配位子は増感剤としての役割を担っており、励起光を受けると配位子が励起し、その励起状態からのエネルギー移動により、中心イオンである希土類イオンが高い光強度でもって発光する。希土類イオンや配位子の種類、その配位形態などを適宜に変更することによって、希土類錯体の備える発光特性を変化させることが可能である。しかし、酸性条件下では、酸によってこの配位子と希土類イオンとの結合が分解されてしまうため、発光特性が低下したり、発光が生じなくなってしまうのである。図2には希土類錯体が酸性樹脂中で分解する様子が模式的に描かれている。Tb3+を中心イオンとする希土類錯体に、樹脂の含有するカルボン酸が作用し、配位子と中心イオンとが分離してしまっている。
界面活性剤は、希土類錯体の周囲に付着し、ミセルを形成する材料である。本発明において利用することができる界面活性剤の種類は、特に限定されることはない。図1には、配位子の周囲が界面活性剤(SDS:ドデシル硫酸ナトリウム、またはラウリル硫酸ナトリウム)が付着した希土類錯体(すなわち、耐酸性希土類錯体)の、酸性樹脂(トロロアオイ)中での様子が模式的に描かれている。界面活性剤が希土類錯体の周囲でミセルを形成し、保護剤のように作用するため、酸性樹脂中のカルボン酸が希土類錯体の配位子と接触することが阻まれている。従って、配位子と中心イオンとが分解してしまうことが防止される。すなわち、希土類錯体の発光特性の低下が抑制、または防止される。
和紙の原料にTb(III)錯体を混入すると、錯体の発光強度が低下する現象が確認される。本発明者らは、この現象の原因となる物質が、和紙を作製する時に糊料として添加されるトロロアオイであると考え、トロロアオイ中でのTb(III)錯体の発光解析を行った。比較のために、メタノール媒体中での発光解析も行った。希土類錯体にはTb(acac)3(H2O)2を用い、濃度は10mMとした。
Tb(III)錯体は、一般に水に対して不溶であるにもかかわらず、トロロアオイには可溶である。このことより、トロロアオイの有機的な構造(おそらくカルボン酸)により、Tb(III)錯体の構造が破壊されているものと推定される。
図3に、トロロアオイ中に希土類錯体を投入し、混合した際の励起スペクトル(a)、発光スペクトル(b)を示す。この測定より、以下のことが確認された。
・励起スペクトル(a)に示されているように、トロロアオイ中では、希土類錯体の配位子吸収バンドが低くなる。すなわち、錯体が分解する。
・発光スペクトル(b)に示されているように、トロロアオイ中では、希土類錯体の発光強度が減少する。
次に、Tb(III)錯体の周囲に界面活性剤を付着させた後、トロロアオイと混合した場合の発光解析を行った。錯体にはTb(acac)3(H2O)2を用い、濃度は10mMとした。界面活性剤としてSDSを20等量、または50等量添加した。
図4に、本発光解析による励起スペクトルを示す。SDSを添加すると、励起スペクトルの配位子吸収バンドが大きくなることが確認された。すなわち、界面活性剤の添加によって、酸性条件下での希土類錯体の発光特性の低下が抑制される。界面活性剤の添加量が50等量の場合には、メタノール中でのスペクトルとほぼ同等にまで回復する。また、添加量が20等量の場合よりも50等量の場合の方がより吸収バンドが大きくなっていることから、界面活性剤の添加量を増加することにより、発光特性低下の抑制効果を上げることができることがわかった。ただし、あまり多量の界面活性剤を添加すると、溶けずに残留してしまうため、適量とするのが望ましい。
以上、実施例において耐酸性希土類錯体の一例を挙げて説明したが、本発明に係る耐酸性希土類錯体の構成は本実施例に限られないことは言うまでもなく、あらゆる種類の希土類錯体及び界面活性剤を利用することが可能である。
酸性条件下であっても希土類錯体の発光特性が低下しない、またその低下の程度が量的、時間的に抑制されるということを利用すると、例えば次に挙げるような応用が考えられる。
希土類錯体を和紙に漉き込むことにより、和紙に発光特性を付与する。この和紙に対して所定波長の励起光を照射すると、和紙に含有される希土類錯体が発光し、あたかも和紙自体が優艶に発光しているかのように観察される。上述したように、和紙を製造する際には糊料としてカルボン酸を含有するトロロアオイが添加されるのが通常であるため、従来は、和紙と希土類錯体を組み合わせたとしても発光が観察されない、または発光強度が徐々に低下してしまうという問題があったが、本発明の耐酸性希土類錯体を用いることにより、これらの問題が解決され、長期間発光特性が安定する。この特性と、和紙の有する高い造形自由性とを掛け合わせれば、芸術的に、また実用的に新規な照明分野の開拓が可能である。
和紙のみならず、洋紙、各種の木質系材料や、絹、綿、羊毛、セルロース繊維をはじめとする繊維系材料など、多種多様な酸性材料と希土類錯体との複合が可能であるため、新規な発光性複合材料の創製が実現される。本発明に係る耐酸性希土類錯体は、無着色であるため、組み合わせる材料の色調を変化させてしまうこともない。所定波長の励起光を照射することにより、隠されていた文字や図形が表出する特性を利用すれば、セキュリティ分野への応用も考えられる。
さらに、本発明に係る耐酸性希土類錯体を、センサとして利用することも考えられる。とりわけ、バイオセンサ(生体プローブ)としての利用も好適であると考えられる。本発明の耐酸性希土類錯体において、界面活性剤の種類や添加量を適宜に選択することにより、周囲環境が所定条件となった時に発光特性が失われるような性質を備えた発光センサを設計することが可能である。希土類錯体は発光強度が高く、少量の添加でも高い反応が得られるため、鋭敏なセンサ能力を持ち合わせているにもかかわらず、これまでは、酸性条件下では利用できないという制限があった。本発明の耐酸性希土類錯体によって、その垣根が取り払われる。
酸性樹脂中における本発明に係る耐酸性希土類錯体の模式図。 酸性樹脂中で発光性希土類錯体が分解することを示す模式図。 トロロアオイ及びメタノール中に混入した希土類錯体の(a)励起スペクトル、(b)発光スペクトル。 トロロアオイ及びメタノール中に混入した、界面活性剤が付着した希土類錯体の励起スペクトル。

Claims (4)

  1. 中心イオンである希土類イオンに配位子が配位した希土類錯体分子の周囲に、界面活性剤が付着していることを特徴とする耐酸性希土類錯体。
  2. 前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の耐酸性希土類錯体。
  3. 請求項1または2に記載の耐酸性希土類錯体を酸性樹脂中又は天然樹脂中に分散して成る発光性樹脂材料。
  4. 請求項1または2に記載の耐酸希土類錯体が和紙または洋紙に分散して成る発光性和紙または発光性洋紙。

JP2005067240A 2005-03-10 2005-03-10 耐酸性希土類錯体 Pending JP2006249231A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005067240A JP2006249231A (ja) 2005-03-10 2005-03-10 耐酸性希土類錯体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005067240A JP2006249231A (ja) 2005-03-10 2005-03-10 耐酸性希土類錯体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006249231A true JP2006249231A (ja) 2006-09-21

Family

ID=37090055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005067240A Pending JP2006249231A (ja) 2005-03-10 2005-03-10 耐酸性希土類錯体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006249231A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014094983A (ja) * 2012-11-07 2014-05-22 Laser System:Kk 発光性複合材料および発光体ナノ結晶

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014094983A (ja) * 2012-11-07 2014-05-22 Laser System:Kk 発光性複合材料および発光体ナノ結晶

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Self‐quenching‐resistant red emissive carbon dots with high stability for warm white light‐emitting diodes with a high color rendering index
Zhu et al. Carbon dots with efficient solid-state photoluminescence towards white light-emitting diodes
Li et al. Facile plasma-induced fabrication of fluorescent carbon dots toward high-performance white LEDs
Deng et al. Long lifetime pure organic phosphorescence based on water soluble carbon dots
US7510784B2 (en) Light emitting device formed using rare earth complex and luminescent medium
KR101440232B1 (ko) 이방성 금속 나노입자를 이용한 발광효율이 증대된 광변환 발광소자
Do et al. Soft-template synthesis of nitrogen-doped carbon nanodots: tunable visible-light photoluminescence and phosphor-based light-emitting diodes
JP2008508742A5 (ja)
Zhu et al. Modulation of the photoluminescence in carbon dots through surface modification: from mechanism to white light-emitting diodes
TW200708593A (en) Phosphor based on a combination of quantum dot and conventional phosphors
Laishram et al. White light emitting soft materials from off-the-shelf ingredients
CA2910550C (en) Light emitting material and method for production thereof
JP2007180494A (ja) 蛍光体膜形成方法及びこれを用いた発光ダイオードパッケージの製造方法
CN110144207A (zh) 一种光诱导合成红色荧光金纳米簇的方法及应用
Chung et al. Synthesis and Characterization of Ce‐Doped Y3Al5O12 (YAG: Ce) Nanopowders Used for Solid‐State Lighting
Iwanaga et al. Development of ultraviolet LED devices containing europium (III) complexes in fluorescence layer
Lu et al. Combination of chemical etching of gold nanoclusters with aggregation-induced emission for preparation of new phosphors for the development of UV-driven phosphor-converted white light-emitting diodes
Gogoi et al. Ratiometric fluorescence response of a dual light emitting reduced carbon dot/graphene quantum dot nanohybrid towards As (iii)
JP2006249231A (ja) 耐酸性希土類錯体
DE602004030925D1 (de) Erfahren zu ihrer herstellung
Mu et al. Silica nanoparticles doped with an iridium (III) complex for rapid and fluorometric detection of cyanide
CN208384304U (zh) 高色域显示模组架构
JP2006291015A (ja) カラー発光ナノサイズ複合体
US20050136782A1 (en) White light emitting diode and method for fabricating the same
Narula et al. Investigation of optical properties of mixed ligand directed ZnO luminescent nanoparticles for application in light emitting diodes