JP2006249125A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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昇 東田
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Abstract

【課題】 ポリオレフィン系樹脂とポリ塩化ビニル系樹脂との相容性をより改善し、力学的特性の改善効果に優れた相容化剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂(I)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II)および数平均分子量が1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックAを1個以上、および数平均分子量が1000〜400000の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体またはその水素添加物であって、重合体ブロックAの含有量が10〜70質量%の範囲であるブロック共重合体(III)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂を含有し、力学的特性が改善され、柔軟性が良好な熱可塑性樹脂組成物に関する。
一般に、複数の樹脂から構成される樹脂組成物では、それを構成する樹脂成分の間での非相容性に起因して、力学的特性などの諸物性が不十分となる場合が少なくない。このような相互に非相容な樹脂同士の混合の際に、適切な相容化剤を添加すれば、力学的特性などの諸物性が改善された樹脂組成物を得ることが可能となりうる。近年、このような目的で、相互に非相容な異種の樹脂同士を相容化させるための相容化剤が開発されている。
ポリオレフィン系樹脂とポリ塩化ビニル系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物においても、相容化剤の使用が提案されている。例えば、ポリ塩化ビニルとポリプロピレンとからなる複合体を粉砕し、該粉砕品100質量部に対してエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体1〜20質量部を添加し混練することからなる、ポリ塩化ビニルとポリプロピレンとからなる複合体の再生処理方法(特許文献1参照);変性塩化ビニル系樹脂およびオレフィン系樹脂を含有し、改質剤として、エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する重合体組成物を水中に懸濁させ、メタクリル酸グリシジルなどの官能基含有単量体およびそれと共重合可能なメタクリル酸メチル、スチレンなどの他の単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体変性剤を用いた熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。
また、ポリオレフィン系樹脂とポリ塩化ビニル系樹脂および(変性)スチレン系樹脂からなる樹脂組成物に関しては、例えば、塩化ビニル系樹脂、変性スチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物に、特定量比のエチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ゴム状重合体および/またはオレフィン系重合体(ゴム状重合体の例としてスチレン−ブタジエンブロックポリマーが開示されている)、および官能基含有ゴム状重合体および/またはオレフィン系重合体からなる変性剤組成物を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(特許文献3参照);塩化ビニル系樹脂または塩化ビニル系樹脂およびスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂とからなる合計100質量部の樹脂に対し、ガラス繊維および(または)タルク、さらに、特定の5種類の相溶化剤(スチレン−ブタジエンブロックポリマーを成分として含むものがそのうちの1種として開示されている)からなる群より選択される1種以上の相溶化剤を特定量配合してなる樹脂組成物(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)が知られており、耐衝撃性、耐表層剥離性、流動性、弾性率、耐熱性などに優れた樹脂組成物を提供することが提案されている。
一方、塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリエチレン、スチレン・水素添加イソプレン共重合体およびアクリロニトリル・スチレン共重合体を特定比率で配合してなる、得られる成形品の耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面平滑性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている(特許文献8参照)。
特開平6−190829号公報 特開平6−49280号公報 特開平6−57051号公報 特開平6−65427号公報 特開平6−65428号公報 特開平6−65429号公報 特開平6−65430号公報 特開平6−49307号公報
上記のように複数の樹脂から構成される樹脂組成物では、適切な相容化剤を適量添加すれば力学的特性が改善される場合があるが、樹脂組成物中の相容化剤の添加量が多すぎると他の性能低下などの問題が生じる恐れがある。すなわち、相容化剤に関して、混合前の樹脂単独と同程度の力学的特性の維持を目的とするならば添加量ができるだけ少なくてすむもの、また、同一添加量ならば相容化による力学的特性の改善効果ができるだけ高いものが求められる。
特許文献1で使用される改質剤(相容化剤)では、未添加の場合と比較したときの力学的特性の改善効果が十分とは言い難く、例えば耐衝撃性をより改善させるためには比較的多量に添加する必要があるという問題がある。また、特許文献2に記載されている改質剤は、煩雑な製造方法で得られた極めて特殊なグラフト共重合体組成物であり汎用性に乏しいという問題がある。
特許文献3〜特許文献7には、特定の変性剤組成物の1種としてスチレン−ブタジエンブロックコポリマーを含有する発明が開示されているが、それを用いることにより得られる組成物の相容性改良効果や弾性率以外の力学的特性の改良効果には何ら言及がなされていない。特許文献8で用いているスチレン・水素添加イソプレン共重合体は、各々の樹脂成分の相容化剤としての役割を有しているかどうか本文中に一切記載がなく、また、このものを加えることによって得られる効果は流動性と表面平滑性の改善と記載されている。
しかして、本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂とポリ塩化ビニル系樹脂との相容性をより改善し、力学的特性の改善効果に優れた汎用性の高い相容化剤を含有する柔軟な熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
本発明によれば、上記の目的は、ポリオレフィン系樹脂(I)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II)および数平均分子量が1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックAを1個以上、および数平均分子量が1000〜400000の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体またはその水素添加物であって、重合体ブロックAの含有量が10〜70質量%の範囲であるブロック共重合体(III)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することによって達成される。
本発明によれば、破断強度および破断伸度などの力学的特性に優れ、かつ柔軟性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することができ、係る熱可塑性樹脂組成物は、種々の用途の成形品の素材として有用である。
本発明において使用可能なポリオレフィン系樹脂(I)としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレン、ポリイソプレンの水素添加物、プロピレンとエチレンおよび/または1−ブテンとからなる共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体の水素添加物などが挙げられる。
本発明において使用可能なポリ塩化ビニル系樹脂(II)としては、塩化ビニルの単独共重合体、塩素化したポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他の単量体との共重合体などが挙げられる。係る単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル類、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、メタクリルアミド、アクリルアミド、アクリロニトリル、マレイミド類などの塩化ビニルと共重合可能な単量体が挙げられ、その共重合量は、好ましくは共重合体全体に対して30質量%以下である。なお、通常、上記ポリ塩化ビニル系樹脂(II)に対し、各種配合剤を発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。配合剤としては、例えばポリ塩化ビニル系樹脂の改良に一般的に用いられるMBS樹脂、ABS樹脂;フタル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤;スズ系安定化剤;フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤;顔料;核剤;熱劣化防止剤;紫外線吸収剤;アンチブロッキング剤;滑剤;ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維などの繊維状充填剤;シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、酸化チタン、カーボンブラック、チタン酸カリウムなどの粉末状充填剤および着色剤などが挙げられる。
本発明に用いるブロック共重合体(III)は、数平均分子量が1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックAを1個以上、および数平均分子量が1000〜400000の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体またはその水素添加物であって、重合体ブロックAの構成成分の含有量が10〜70質量%の範囲である。かかるブロック共重合体(III)は、ポリオレフィン系樹脂(I)とポリ塩化ビニル系樹脂(II)の相容化剤としての役割を担う。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するブロック共重合体(III)の重合体ブロックAは、α−メチルスチレン単位を主体とする。該重合体ブロックA中のα−メチルスチレンの含有量は、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の耐熱性および力学的特性の観点から50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。重合体ブロックAがα−メチルスチレン単位を主体とすることにより、ポリ塩化ビニル系樹脂とポリオレフィンとの相容化効果、すなわち本発明によって得られる熱可塑性重合体組成物中のブロック共重合体(III)の添加量が少ない状況においても破断強度が優れ、また、本請求範囲内のあらゆる添加量において破断伸度が優れる。
ブロック共重合体(III)の重合体ブロックAは、本発明の趣旨を損なわない範囲内、通常は30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲内で他の単量体を共重合してもよく、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、モノフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、インデン、ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物が好ましく、特にスチレン、p−メチルスチレンが好適である。重合体ブロックAに他の単量体を共重合する場合の形態は、ランダム状でもテーパード状でもよい。
ブロック共重合体(III)の重合体ブロックAの数平均分子量は1000〜50000の範囲である必要があり、2000〜20000の範囲が好ましく、3000〜10000の範囲がより好ましい。重合体ブロックAの数平均分子量が1000未満の場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の力学的特性の改良効果が劣り、一方、50000を越える場合は得られる熱可塑性樹脂組成物の加工性が劣る。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
ブロック共重合体(III)における重合体ブロックAの含有量は10〜70質量%の範囲であり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の力学的特性および柔軟性のバランスという観点からは、10〜50質量%の範囲であるのが好ましく、20〜40質量%の範囲であるのがさらに好ましい。重合体ブロックAの含有量が10質量%未満の場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が劣り、一方70質量%を超える場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が乏しくなる。
ブロック共重合体(III)の重合体ブロックBを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、ピペリレン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。共役ジエンは一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物が好ましい。さらに、ブロック共重合体(III)の重合体ブロックBは、本発明の趣旨を損なわない範囲、通常は30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲内で、共役ジエン以外の他のアニオン重合性の単量体を共重合したものでもよい。共重合の形態は、ランダム状でもテーパード状でもよい。
ブロック共重合体(III)の重合体ブロックBの数平均分子量は1000〜400000の範囲である必要があり、10000〜300000の範囲が好ましく、30000〜200000の範囲がより好ましい。重合体ブロックBの数平均分子量が1000未満の場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が劣り、一方、400000を越える場合は得られる熱可塑性樹脂組成物の加工性が劣る。
共役ジエン単位には複数の結合形態(ミクロ構造)が存在する。例えば、ブタジエンでは1,4−結合単位と1,2−結合単位が、また、イソプレンでは1,4−結合単位、3,4−結合単位および1,2−結合単位が存在し得る。ブロック共重合体(III)の重合体ブロックBを構成する共役ジエン単位のミクロ構造には特に制限はないが、例えばイソプレンを単独で使用する場合には1,4−結合量が20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。また、ブタジエンを単独で使用する場合には、1,4−結合量が20%以上であることが好ましく、30〜80%であることがより好ましく、40〜70%であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体(III)の数平均分子量は4000〜2000000の範囲内であるのが好ましく、10000〜500000の範囲内であるのがより好ましい。この範囲であると、得られる熱可塑性樹脂組成物における力学的特性の改善効果が発現し易く、熱可塑性樹脂組成物からブリードアウトし難く、そしてハンドリング性が良好となることから好ましい。
本発明に用いるブロック共重合体(III)における重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は、線状、分岐状、放射状、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、重合体ブロックAをAで、重合体ブロックBをBで表したとき、A−B型ジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体、A−B−A−B型テトラブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは2以上の整数を表す)などが挙げられる。これらのブロック共重合体は、1種類単独のみならず、2種類以上の混合物を用いてもよい。
これらの中でも、A−B型ジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体およびA−B型ジブロック共重合体とA−B−A型トリブロック共重合体との混合物が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するブロック共重合体(III)は、アニオン重合法によって製造することができ、次のような具体的な合成例が示される。(1)テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン系開始剤を用いて共役ジエンを重合後に、−78℃の温度条件下でα−メチルスチレンを逐次重合させ、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法(マクロモレキュールズ(Macromolecules),2巻,453−458頁(1969年)参照)、(2)α−メチルスチレンをアニオン系開始剤を用いてバルク重合を行なった後に、共役ジエンを逐次重合させ、その後テトラクロロシランなどのカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型ブロック共重合体を得る方法(カウチュック グミ クンストストッフェ(Kautsch.Gummi,Kunstst.),37巻,377−379頁(1984年);ポリマー ブリティン(Polym.Bull.),12巻,71−77頁(1984年)参照)、(3)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法、(4)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させ、得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーにα−メチルスチレン以外のアニオン重合性モノマーを重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法。
上記ブロック共重合体の具体的製造方法中、(3)および(4)の方法が好ましく、特に(3)の方法がより好ましい方法として採用される。以下、上記方法について具体的に説明する。
上記の方法において重合開始剤として用いられる有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどのモノリチウム化合物、およびテトラエチレンジリチウムなどのジリチウム化合物を挙げることができ、これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
α−メチルスチレンの重合時に使用される溶媒は非極性溶媒であり、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらは単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
α−メチルスチレンの重合時に使用される極性化合物とは、アニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基など)を有しない、分子内に酸素原子、窒素原子などの複素原子を有する化合物であり、例えばジエチルエーテル、モノグライム、テトラメチルエチレンジアミン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
反応系中における極性化合物の濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、この後の共役ジエンを重合させる際に、共役ジエン重合体ブロック部の1,4−結合量を制御する観点から、0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。
反応系中におけるα−メチルスチレン濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、また重合後期における反応溶液の粘性の点から、5〜50質量%の範囲にあることが好ましく、25〜40質量%の範囲がより好ましい。
なお、上記の転化率とは、未重合のα−メチルスチレンが重合によりブロック共重合体へと転化された割合を意味し、本発明においてその程度は70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
α−メチルスチレンの重合時の温度条件は、α−メチルスチレンの天井温度(重合反応が平衡状態に達して実質的に進行しなくなるときの温度)、α−メチルスチレンの重合速度、リビング性などの点から−30〜30℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは−20〜10℃、さらに好ましくは−15〜0℃である。重合温度を30℃以下とすることにより、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させることができ、さらに生成するリビングポリマーが失活する割合も小さく、得られるブロック共重合体中にホモポリα−メチルスチレンが混入するのを抑え、物性が損なわれず、また、重合温度を−30℃以上とすることにより、α−メチルスチレンの重合後期において反応溶液が高粘度化することなく攪拌でき、低温状態を維持するのに必要な費用がかさむこともないため、経済的にも好ましい。
上記方法においては、α−メチルスチレン重合体ブロックの特性が損なわれない限り、α−メチルスチレンの重合時に他のビニル芳香族化合物を共存させ、これをα−メチルスチレンと共重合させてもよい。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなど前記したものが挙げられる。ビニル芳香族化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
有機リチウム化合物を重合開始剤に用いたα−メチルスチレンの重合によりリビングポリα−メチルスチリルリチウムが生成するので、次いでこのものに共役ジエンを重合させる。共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど前記したものが挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。この中でも好ましい共役ジエンの例はブタジエンまたはイソプレンであり、これらは混合して用いてもよい。
共役ジエンは反応系に添加することにより重合に供される。共役ジエンを反応系に添加する方法としては、特に制限はなく、リビングポリα−メチルスチリルリチウム溶液に直接添加しても、あるいは溶媒で希釈して添加してもよい。共役ジエンを溶媒に希釈して添加する方法としては、共役ジエンを加えた後、溶媒で希釈するか、または共役ジエンと溶媒を同時に投入するか、あるいは溶媒で希釈した後に共役ジエンを加えてもよい。好適には、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量、好ましくは5〜50モル当量に相当する量の共役ジエンを添加してリビング活性末端を変種した後、溶媒で希釈し、続いて残りの共役ジエンを投入し、30℃を超える温度、好ましくは40〜80℃の温度範囲で重合反応を行う方法が推奨される。リビングポリα−メチルスチリルリチウムの活性末端を変種するに際し、共役ジエンの代りにスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物を用いてもよい。
ここで希釈に用いることができる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、または2種以上用いてもよい。
リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを共重合させて得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに、例えば、多官能性カップリング剤を反応させることにより、トリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(III)を製造することができる。この場合のブロック共重合体は、多官能性カップリング剤の使用量を調整することにより得られる、ジブロック、トリブロック、ラジアルテレブロック型のブロック共重合体を任意の割合で含む混合物であってもよい。多官能性カップリング剤としては、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸フェニル、ピバリン酸エチル、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、ビス(クロロメチル)エーテル、ジブロモメタン、ジヨードメタン、フタル酸ジメチル、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体(III)は、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、そのブロック共重合体における共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の少なくとも一部(30%以上)が水素添加されていることが好ましい。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られるトリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(III)を水素添加する場合には、必要に応じてアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加してカップリング反応を停止させたのち、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添することにより、水添されたブロック共重合体(III)とすることができる。
また、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体(III)を水素添加する場合にも、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを重合させた後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合反応を停止させ、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添されたブロック共重合体(III)とすることができる。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる未水添のブロック共重合体、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体にアニオン重合性モノマーを重合させて得られる未水添のA−B−C型トリブロック共重合体、またはα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られる未水添のトリブロックまたはラジアルテレブロック型ブロック共重合体(いずれも本発明で使用するブロック共重合体(III)に包含される)は、その製造に使用された溶媒を置換することなく、そのまま水素添加に供することができる。
水添反応は、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、硅藻土などの担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルトなどの第8〜10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物などの組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどの有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水添触媒の存在下に、通常、反応温度20〜100℃、水素圧力0.1〜10MPaの条件下で行うことができる。未水添のブロック共重合体は共役ジエン重合体ブロック中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の70%以上、特に好ましくは90%以上が飽和されるまで水添されることが望ましく、これによりブロック共重合体の耐候性を高めることができる。水添されたブロック共重合体における共役ジエン重合体ブロック中の炭素−炭素二重結合の水添率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定などの分析手段を用いて算出することができる。
本発明に用いるブロック共重合体(III)は、上記方法で得られたものが好ましく用いられ、特に、非極性溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、次いで共役ジエンの重合に際して、まずリビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量の共役ジエンを重合させて重合体ブロックb1を形成し、次いで反応系を30℃を超える温度として、共役ジエンを追加して重合させて重合体ブロックb2を形成せしめて得られたものであることが、ブロック共重合体の低温特性が優れる点から好ましい。すなわち、この場合、重合体ブロックBは、重合体ブロックb1および重合体ブロックb2より成る。
上記ブロック共重合体(III)は、その構造として直鎖状、分岐状などに限定はされないが、中でも、(A−b1−b2)構造を少なくとも一つ有するブロック共重合体が好ましく、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体とA−b1−b2型共重合体の混合物、(A−b1−b2)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表す、nは2以上の整数である)などが挙げられる。上記ブロック共重合体(III)中の重合体ブロックAの数平均分子量は1000〜50000が好ましく、より好ましくは2000〜20000である。また、上記ブロック共重合体(III)中の重合体ブロックb1の数平均分子量は500〜10000が好ましく、より好ましくは1000〜7000で、かつ重合体ブロックb1の1,4−結合量は30%未満であることが好ましい。さらに、上記ブロック共重合体中の重合体ブロックb2の数平均分子量は10000〜400000が好ましく、より好ましくは15000〜200000で、かつ重合体ブロックb2の1,4−結合量は30%以上であることが好ましく、より好ましくは35%〜95%、さらに好ましくは40%〜80%である。
このようにして得られたブロック共重合体(III)は、重合反応液をメタノールなどに注ぐことにより凝固させた後、加熱または減圧乾燥させるか、重合反応液を沸騰水中に注ぎ、溶媒を共沸させて除去するいわゆるスチームストリッピングを施した後、加熱または減圧乾燥することにより取得することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(I)およびポリ塩化ビニル系樹脂(II)の合計含有量100質量部に対してブロック共重合体(III)の含有量を0.01〜100質量部の範囲内に設定することが好ましく、0.01〜50質量部の範囲内に設定することがより好ましく、0.01〜30質量部の範囲内に設定することがさらに好ましい。ブロック共重合体(III)の含有量がポリオレフィン系樹脂(I)およびポリ塩化ビニル系樹脂(II)の合計含有量100質量部に対して0.01質量部より少ない場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の力学的特性の改善が不十分となる傾向となり、一方、50質量部を越えると力学的特性が逆に低下してしまう傾向となる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂(I)およびポリ塩化ビニル系樹脂(II)の含有量の比については特に制限はないが、ブロック共重合体(III)による相容化効果が顕著に発揮されるという観点において、質量比としてポリオレフィン系樹脂(I)/ポリ塩化ビニル系樹脂(II)=95/5〜1/99の範囲内であることが好ましく、90/10〜1/99の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のとおり、ポリオレフィン系樹脂(I)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II)およびブロック共重合体(III)を必須成分として含有するが、必要に応じて、他の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、シリカ、カーボンブラック、グラファイト、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、フェライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスビーズ、中空ガラスバルーンなどの充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、抗菌剤、難燃剤、発泡剤などを添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(I)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II)、ブロック共重合体(III)および所望に応じて他の成分を、それぞれ所定の割合で溶融混練することによって製造することができる。この際の各成分の混合順序は必ずしも限られず、例えば上記の各成分を同時に混合する方法、ポリオレフィン系樹脂(I)およびポリ塩化ビニル系樹脂(II)を混合した後にブロック共重合体(III)を混合する方法などが挙げられる。
溶融混練操作においては、熱可塑性樹脂材料を溶融混練する際に通常用いられる一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ニーダー、ロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練機を用いることができる。溶融混練の温度としては、140〜250℃の範囲内が好ましく、160〜230℃の範囲内がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶融成形および加熱加工が可能であり、射出成形、押出成形、インフレーションフィルム成形、ブロー成形などの任意の成形方法によって種々の成形品を円滑に製造することができる。得られた成形品では、良好な力学的特性が発現される。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電線被覆材、タイル・床材・壁紙などの建材、包装材料、家電部材、OA機器用部材、自動車部品などの各種用途の素材として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、数平均分子量およびブロック効率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン検量線を基準として求めた。また、実施例および比較例における物性評価は以下のようにして行なった。
(1)力学的特性
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、200℃、3分間熱プレスして厚さ2mmの成形板を得、JIS K 7113に従って測定用サンプルを作成し、降伏強度、降伏点伸び、引張破断強度、引張破断伸度を測定した。
(2)曲げ弾性率
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、200℃、3分間熱プレスして厚さ1mmの成形板を得、長さ40mm×幅10mm×厚さ1mmの試験片を切り出し、支点間距離30mm、試験速度2mm/分で3点曲げ試験を行い、試料の曲げ弾性率を測定した。
(3)硬度
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、200℃、3分間熱プレスして厚さ2mmの成形板を得、このシートを用いて、JIS K 6253に準拠してタイプD硬度を測定した。
(4)柔軟性
上記(2)の曲げ弾性率試験において、たわみが10mmに達したときに試験片が破断したものを×、破断はしないが白化したものを△、破断も白化もしなかったものを〇として柔軟性を判定した。
実施例および比較例の熱可塑性樹脂組成物を製造するのに使用した材料を示す。
ポリオレフィン系樹脂(I)
(I−1):低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、「EH30」(商品名);MFR(190℃、2.16kg荷重) 2.0g/10分)
ポリ塩化ビニル系樹脂(II)
(II−1):平均重合度1000のポリ塩化ビニル樹脂(ヴイテック株式会社製、ビニカPVC SG1100(商品名))83質量部、MBS樹脂(三菱レーヨン製、メタブレンC−202(商品名))12.5質量部、有機スズ安定剤(勝田加工社製、T−17MJ(商品名))1.3質量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂製カルシウムステアレートG(商品名))1質量部、滑剤(アライドシグナル製ポリエチレンワックス、A−C 617(商品名))2.2質量部をヘンシェルミキサーに投入し、十分に攪拌したもの。
ブロック共重合体(III)
参考例1(ブロック共重合体(III−a)の製造)
(1)窒素置換を十分に行ったオートクレーブ中に、α−メチルスチレン90.9g、シクロヘキサン132g、ヘキサン23.1gおよびテトラヒドロフラン3.11gを加えた。続いてsec−ブチルリチウムの1.3Mシクロヘキサン溶液9.1mlを加え、−10℃で3時間重合反応を行った。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレンの数平均分子量をGPCにより測定したところ、6400であり、α−メチルスチレンの重合転化率は91%であった。
引き続いて、ブタジエン19.5gを加えて30分間攪拌しブロックb1の重合を行った後、10℃まで昇温しシクロヘキサン308gを加えた。この時点で重合反応液をサンプリングして分析したところ、α−メチルスチレンの重合転化率は91%であり、ポリブタジエンブロックb1の数平均分子量は3700であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は13%であった。得られた重合反応液を356g抜き取り、これにシクロヘキサン268gを加え希釈した。続いてブタジエン32.5gを加え、40℃で2時間重合反応を行い、さらにブタジエン29.3gを追加して40℃で2時間重合反応を行った。この時点でサンプリングして分析したところ、得られた共重合体(構造:A−b1−b2)のポリブタジエンブロックb2の数平均分子量は27050であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は52%であった。
(2)続いて、上記重合反応液に安息香酸フェニルの0.50Mトルエン溶液4.1mlを加えて40℃で1時間攪拌し、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体を得た。この時のカップリング効率をカップリング体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体:A−b1−b2−X−b2−b1−A)と未反応ブロック共重合体(ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体:A−b1−b2)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると94%であった。また、H-NMR解析の結果、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体中のポリα−メチルスチレン重合体ブロック含有量は33%であり、ポリブタジエン重合体ブロック全体(すなわち、ブロックb1およびブロックb2)の1,4−結合量は47%であった。
(3)オクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムより調製した水素添加触媒を水素雰囲気下において上記(2)の重合反応液中に添加し、0.9MPa(9kg/cm2)の水素圧力において室温から反応を開始し、10分間で60℃まで加温した後、7時間水素添加反応を行った。放圧後、クエン酸8.9gおよび30%過酸化水素水5.3gを蒸留水100mlに溶解させたものを重合反応液に加えて50℃で2時間攪拌後、室温まで冷却した。重合反応液から水相を除去し、有機相を蒸留水で3回洗浄した後、有機相をメタノール/アセトン=1/1(容量比)の混合溶媒中に注いで共重合体を再沈させた。得られた再沈物をメタノールにて十分に洗浄した後、0.1phr相当の酸化防止剤[ペンタエリスリトール テトラキス〔3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガノックス1010(商品名)]を添加し、60℃で真空乾燥した。このようにしてポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体の水添物(ブロック共重合体(III−a))を得た。得られたブロック共重合体(III−a)をGPC測定した結果、主成分はMt(平均分子量のピークトップ)=74300、Mn(数平均分子量)=72200、Mw(重量平均分子量)=73900、Mw/Mn=1.02であるブロック共重合体であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から算出したところ、カップリング体は全体の94%含まれることが判明した。また、H−NMR測定により、ブロックb1およびブロックb2由来のポリブタジエンブロックの水素添加率は99%であることが判明した。
参考例2(ブロック共重合体(III−b)の製造)
参考例1の(2)において、安息香酸フェニルの0.50Mトルエン溶液の添加量を4.1mlから2.9mlに変更した以外は参考例1と同様にして、ポリα−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体の水添物(ブロック共重合体(III−b))を得た。得られたブロック共重合体(III−b)をGPC測定した結果、主成分はMt=74000、Mn=72100、Mw=73700、Mw/Mn=1.02であるブロック共重合体であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から算出したところ、カップリング体は全体の68%含まれることが判明した。これにより、ジブロック体とトリブロック体が混在するブロック共重合体を得た。なお、H−NMR測定により、ブロックb1およびブロックb2由来のポリブタジエンブロックの水素添加率は99%であることが判明した。
実施例1〜9および比較例1〜3
ポリオレフィン系樹脂(I−1)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II−1)、参考例1〜3で得られたブロック共重合体(III−a)、(III−b)および酸化防止剤としてイルガノックス1010(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を、下記表1に示す配合割合で予備混合した後、ブラベンダーを用いて180℃で溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を製造し、上記物性を評価した。
Figure 2006249125
上記表1に示した実施例1〜9の本発明に従う熱可塑性樹脂組成物の測定結果と、ブロック共重合体(III)が添加されていない点で本発明とは相違する比較例1〜3の熱可塑性樹脂組成物の測定結果との対比により、ブロック共重合体(III)を含有する本発明の熱可塑性樹脂組成物では、該ブロック共重合体(III)を含有しない場合(ポリオレフィン系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物)に比べて、力学的特性(引張破断強度および引張破断伸度)がいずれも大幅に向上し、柔軟性が良好であることがわかる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電線被覆材、タイル・床材・壁紙などの建材、包装材料、家電部材、OA機器用部材、自動車部品などの各種用途の素材として有用である。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂(I)、ポリ塩化ビニル系樹脂(II)および数平均分子量が1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックAを1個以上、および数平均分子量が1000〜400000の共役ジエンを主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体またはその水素添加物であって、重合体ブロックAの含有量が10〜70質量%の範囲であるブロック共重合体(III)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ブロック共重合体(III)が、(1)数平均分子量1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックA、および(2)数平均分子量が500〜10000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%未満である重合体ブロックb1、および数平均分子量が500〜390000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%以上である重合体ブロックb2を含む重合体ブロックBを有し、(A−b1−b2)構造を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ブロック共重合体(III)の含有量が、ポリオレフィン系樹脂(I)およびポリ塩化ビニル系樹脂(II)の合計含有量100質量部に対して0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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