JP2006244846A - 発光素子、及びこれを備えた発光装置、並びに電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機EL素子の放熱特性を高める。
【解決手段】 有機EL素子72が発光する際に生じる熱は、熱伝導層53を介して有機EL素子72の外部に放熱されると共に熱伝導層53上に形成された熱放射層51によって赤外線として外部に放出される。熱伝導及び熱放射の両方を利用して放熱することによって有機EL素子72の駆動時における温度上昇を抑制できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば有機EL素子等の発光素子、及びこれを備えた、例えば有機EL装置等の発光装置、並びに該発光装置を備えた電子機器の技術分野に関する。
有機EL(Electro-luminescence)素子は、高温で動作させると寿命が著しく低下することが知られている。したがって、有機EL素子の寿命を高めるためには、有機EL素子が発光する際に生じる熱を素子外部に効率良く放熱することが重要になる。特に、ボトムエミッション型の有機EL素子では、有機EL素子から出射される光が遮られないように素子は光透過性を有する基板上に形成される。このような基板としては、例えば、ガラス基板或いは防湿膜が形成されたプラスチック基板が挙げられるが、ガラス基板及びプラスチック基板の熱伝導率は低く、有機EL素子で生じた熱を十分に放熱することが困難である技術的問題点があり、このような技術的問題点を解決するために各種技術開発が行われている(例えば、特許文献1乃至7参照。)。また、有機EL素子に限定されず、IC等の半導体素子が形成される半導体基板では熱放射を利用して放熱特性を高め、熱による素子の特性劣化を抑制する技術も開示されている(例えば、特許文献8及び9参照。)。
特開2004−186045号公報 特開2002−63985号公報 特開7−111192号公報 特開2001−237062号公報 特開2001−237063号公報 特許3553672号公報 特開2002−56986号公報 特開2004−172542号公報 特開平11−67998号公報
しかしながら、特許文献1乃至7に開示された技術は、熱伝導を利用して放熱特性を高める技術であり、更なる放熱特性の向上を求める技術的要請に対して十分に対応するものとは言い難い。例えば、有機EL装置等の発光装置が大型化するに従い、基板中央付近は基板の端に比べて放熱されにくくなる問題点がある。より具体的には、基板中付近に局所的に蓄積された熱によって、装置全体で有機EL素子等の表示素子の寿命にバラツキが生じ、その結果有機EL装置が高品質の画像を表示できる期間、即ち装置の寿命を十分長い期間に維持できなくなる技術的問題点が生じる。このような技術的問題点に対して、本願発明者は特許文献8及び9に開示された技術を利用して、例えば、ボトムエミッション型の有機EL素子において輻射を利用して放熱することを検討している。より具体的には、熱放射層を金属薄膜等で構成される有機EL素子の陰極の表面に形成し、熱伝導及び熱放射の両方によって放熱特性を高めることを検討している。しかしながら、熱放射層を形成する際にダメージを受けた陰極によってかえって素子特性及び素子寿命が低下する問題点が生じる場合がある。
したがって、開示された特許文献1乃至9に開示された技術によれば、有機EL素子の特性劣化を抑制しつつ、且つ大型化される発光装置の長寿命化を求める技術的要請に十分応えることは困難である。
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば放熱特性を高めることによって長期間に亘って高品質の画像を表示できる、即ち長い寿命を有する有機EL素子等の発光素子及びこれを備えた有機EL装置等の発光装置、及びこのような発光装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る発光素子は上記課題を解決するために、透明基板上に形成されており、該透明基板側に光を出射する発光層と、該発光層上に設けられた電極の表面に形成された熱伝導層と、該熱伝導層上に形成された熱放射層とを備える。
本発明に係る発光素子によれば、発光層の発光に伴って発生する熱を電極の表面に形成された熱伝導層を介して熱伝導させつつ、熱伝導上に形成された熱放射層を介して逃がすことができる。透明基板は、例えば、発光層で発生した光を透過する、例えばガラス基板等で構成されている。透明基板は、透明基板上に発光層が形成されているだけでなく、例えば発光層が電流駆動される場合、発光層に所要の駆動電流を供給する回路及びこのような駆動電流をオンオフすることによって発光層における発光を制御する薄膜トランジスタ等の素子を含む駆動回路が形成されていてもよい。このような素子を含む回路は、発光層から透明基板側に出射される光を遮らないように、発光層の下側を避けるように形成されている。
熱伝導層は、電極の表面に形成されており、発光層で生じた熱を熱伝導によって逃がすと共に、熱放射層に伝達する。より具体的には、発光層で生じた熱は熱伝導を利用して熱伝導層の面内方向に沿って逃されると共に、熱伝導層を介して熱放射層に伝達され、熱放射を利用して素子外部に逃される。したがって、本発明に係る発光素子によれば、熱放射及び熱伝導現象を利用して発光層で生じた熱が素子外部に放熱されることなる。これにより、熱伝導及び熱放射の一方を利用して放熱する場合に比べて発光層から効率良く放熱でき、発光層で生じた熱が発光層に蓄積されることによって発光層の温度が上昇することを抑制することができ、発光素子の寿命は延ばすことができる。
加えて、電極の表面に形成された熱伝導層によれば、熱放射層を電極に直接形成する場合に比べて電極が受けるダメージを低減できる。即ち、熱伝導層は、電極の表面に形成された緩衝層としても機能しており、例えば、電極が極薄い金属膜である場合、金属膜が受けるダメージを低減でき、電極の表面に直接熱放射層を形成する場合に比べて製造プロセスにおいて生じる素子特性の低下を抑制することが可能である。
熱放射層は、熱伝導層上に形成されていればよく、他の層を介して熱伝導層上に間接的に形成されていてもよい。熱伝導層を介して伝達された熱は熱放射層によって直接赤外線等の電磁波に変換された後素子外部に放熱される。また、熱放射層の熱放射率が、例えば熱放射層に下側に形成された電極に比べて高い場合には、電極から直接熱放射によって放熱する場合に比べて、効率良く熱を逃がすことが可能である。熱放射層は、例えば、各種セラミック材料或いはカーボンブラックをバインダに溶かして得られる塗布材をスプレー法等の塗布法により塗布することによって形成できる。また、熱放射層を薄膜形成法によって形成しても構わない。
このように本発明に係る発光素子によれば、熱伝導及び熱放射の両方を利用して発光層から熱を逃がすことにより熱による発光層の特性低下、より具体的には、例えば輝度の低下を抑制できることに加え、このような放熱特性の向上を可能にするために形成された熱放射層によって電極がダメージを受けることを低減することが可能である。したがって、放熱特性の向上及びこれを可能にするための熱放射層の形成に伴う素子特性の低下を抑制でき、発光素子の素子特性、より具体的には、例えば輝度を長期間に亘って維持できることによって、発光素子の寿命を延ばすことができる。
本発明に係る発光素子の一の態様においては、前記熱放射層は、前記熱伝導層の表面に形成されていてもよい。
この態様によれば、熱放射層が熱伝導層の表面に直接形成されているため、熱伝導層を介して伝達された熱が熱放射層によって直接赤外線等の電磁波に変換され後素子外部に放熱される。よって、熱伝導層及び熱放射層間に他の層が介在している場合に比べて効果に発光層から放熱でき、熱伝導及び熱放射を利用して発光層から効果的に熱を逃がすことが可能である。
本発明に係る発光素子の他の態様においては、前記熱放射層の熱放射率は、前記熱伝導層の熱放射率より高くてもよい。
この態様によれば、電極の表面に熱放射層を形成することにより電極が受けるダメージをなくす利点を生かしながら、熱放射による放熱特性の向上を享受することが可能である。より具体的には、熱伝導層を設けることによって低下する熱放射率を熱放射層によって高めることができ、熱伝導層より低い熱放射層を設けることによって損なわれる放熱効果を改善し、素子全体の放熱特性を高めることが可能である。したがって、この態様によれば、例えば熱伝導率、及び熱伝導層と電極との接合性のみに注目して熱伝導層の材料及び形成方法を選択すればよく、熱伝導層の設計自由度を高めることが可能である。
本発明に係る発光素子の他の態様においては、前記熱伝導層の熱伝導率は、前記電極の熱伝導率より高くてもよい。
この態様によれば、電極を介して発光層で生じた熱を逃がす場合より効率良く熱を逃がすことが可能であり、例えば、発光層に局所的に熱が蓄積されることを低減できる。
本発明に係る発光素子の他の態様においては、前記熱伝導層は、前記電極の表面に形成された第1熱伝導層及び該第1熱伝導層の表面に形成された第2熱伝導層を有しており、前記第1熱伝導層は、前記電極を構成する電極材料を含んでおり、前記第2熱伝導層は、前記電極材料より高い熱伝導率を有する材料を含んでいてもよい。
この態様によれば、電極及び第1熱伝導層の接合性を高めることができ、熱伝導層によって電極がダメージをけることを低減できる。ここで、「電極が受けるダメージ」とは、熱伝導層を形成する際の形成方法或いは材料によって電極の膜質が変化する場合及び電極の物理的形状が生じることによって電極及びその下層との接合性が低下すること、或いは電極の電気特性が変化する場合等の不具合を意味し、より具体的には、例えば電極の膜厚等にバラツキ電気抵抗の変化、或いは電極及び熱伝導層の界面で形成される界面部分の組成に起因する素子特性の変化を意味する。電極材料を含む第1熱伝導層によれば、異なる材料を電極の表面に直接形成する場合に比べて、上述したダメージが軽減されるため、電極の膜質を低下させることなく熱伝導層及び電極の接合性を高めることが可能である。加えて、第2熱伝導層は電極より熱伝導率が高いため、電極から熱を速やかに逃がすことができ、発光層の温度上昇を抑制することが可能である。また、電極がAlを含む場合、第1熱伝導層を例えばスパッタ法等の薄膜形成法を用いて形成し、その上にAlより熱伝導率の高いCu、Ag或いはAu等の金属材料を用いて第2熱伝導層を形成してもよい。尚、熱伝導層の構造は、2層構造に限定されるものではなく、電極との接合性及び熱伝導性を考慮して3層構造以上であってもよいことは言うまでもない。
本発明に係る発光素子の他の態様においては、前記電極は陰極であり、該陰極及び前記発光層間に設けられた電子注入層を更に備えていてもよい。
この態様によれば、例えば、電流駆動型の発光層に電子を効率良く注入でき、発光層の発光効率を高めることが可能である。尚、電子注入層に限定されず、素子特性を高めるための機能を有する他の層が陰極及び発光層間に設けられていてもよいことは言うまでもない。
本発明に係る発光素子の他の態様においては、前記発光層は、有機EL層であってもよい。
この態様によれば、熱によって特性劣化しやすい有機EL素子の寿命を延ばすことができ、これに伴い素子特性、例えば輝度を長期間所要の性能に維持できる。これにより、有機EL素子の優れた発光特性を長期間に亘って維持できる。
本発明に係る発光装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の発光素子と、該発光素子を封止する封止部とを備える。
本発明に係る発光装置によれば、上述した本発明の発光素子と同様に発光装置の放熱特性を高めることができ、装置寿命を延ばすことが可能である。封止部は、例えば発光素子に水分等が付着しないように発光素子を封止している。本発明に係る発光装置によれば、放熱特性が向上しているため、例えば封止部を熱伝導率が十分でないガラス基板等を用いて形成した場合でも、発光装置の熱による寿命低下を十分に抑制できる。
本発明に係る発光装置の一の態様においては、前記発光素子は、前記基板上に複数配設されており、前記電極は、前記複数の発光素子間で接続されることによって互いに電気的に接続された共通電極であってもよい。
この態様によれば、電極は複数の発光素子に共通に形成されており、電極を介して各発光素子から熱を逃がすことが可能である。より具体的には、電極は、例えば、複数の発光素子の電極が基板上で平面的に見て物理的に接続された電極、或いは一枚の連続した電極として延在しているため、電極を介して基板上の各発光素子から平面的に熱を逃がすことが可能である。これにより、例えば、大型サイズの発光装置であっても装置全体から熱を逃がすことができ、基板の中央付近で局所的に熱が蓄積されることを低減することが可能である。したがって、発光装置が備える複数の発光素子全体の寿命を延ばすことができ、これに伴い発光装置の寿命を延ばすことが可能である。
本発明に係る発光装置の一の態様においては、前記封止部における前記発光素子に臨む側の面に設けられており、前記発光素子から出射された赤外線を吸収する熱吸収層を更に備えていてもよい。
この態様によれば、発光素子で生じた熱を赤外線で熱吸収層に伝達でき、熱伝導層及び熱放射層を介した放熱だけでなく、熱吸収層を介してより効果的に放熱することが可能である。より具体的には、例えばガラス基板或いはプラスチック等の合成樹脂基板より高い熱伝導率を有する金属基板で封止部が構成されている場合には、熱吸収層で吸収された熱を封止部を介して伝導させることによって効率良く素子外部に放熱することもできる。また、封止部が赤外線を透過する材料で構成されている場合には、熱伝導に加えて熱吸収層か羅赤外線の放射によって放熱することも可能である。また、本発明の「熱吸収層」は、例えば、熱放射層と同一の放射特性を有する材料を含んでいても良い。なぜならば、赤外線のある波長において放射率の高い材料は、その波長における赤外線の吸収率も高いという性質があるためである。
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の発光装置を具備している。
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る発光装置を具備してなるので、長期間に亘って高品位の表示が可能な、携帯電話又は電子手帳等の携帯機器、投射型表示装置、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル、更には電気光学装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置などの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器は、高い信頼性が要求される車載用のカーナビゲーション又はインパネに用いられる表示部に適用である。加えて、本発明に係る電子機器によれば、放熱構造を簡略化することが可能になり、結果として電子機器を小型化することも可能になる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る発光素子、及びこれを備えた発光装置、並びに電子機器の実施形態について詳細に説明する。尚、本実施形態では、発光素子の一例である有機EL素子、及びこれを備えた有機EL装置を例に挙げて説明する。
<1;有機EL装置の構成>
図1は、本発明に係る「発光装置」の一例である有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。有機EL装置10は、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式で駆動される表示装置であり、各画素部70に本発明の「発光素子」の一例である有機EL素子72を備えている。
有機EL装置10の画像表示領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各画素部70はマトリクス状に配列されている。更に、画像表示領域110には各データ線114に対して配列された画素部70に対応する電源供給線117が設けられている。
画像表示領域110の周辺に位置する周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。また、データ線駆動回路150は、画像表示領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作とデータ線駆動回路150の動作とは、同期信号線160を介して相互に同期が図られる。また、電源供給線117には、外部回路から画素駆動用電源が供給される。図1中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のソース電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。尚、図1に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能である。
図2は、有機EL装置10の概略構成を示す断面図である。
図2において、有機EL装置10は、基板1、基板1上に形成された有機EL素子72、駆動用トランジスタ74、及び封止部20を備えて構成される。尚、有機EL素子72は、図中下側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子である。
基板1は、例えば、有機EL素子50で発生した光を透過する、例えばガラス基板等で構成されている。基板1は、基板1上に有機EL素子72が形成されているだけでなく、図1に示す走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150の各種回路を備えている。このような回路は、基板1における画像表示領域110の周辺領域に設けられる。
有機EL素子72は、発光層を含む有機EL層50、陰極49、陽極34、熱伝導層53及び熱放射層51を備えて構成されている。
有機EL層50は、後述するように発光層を含む複数の有機層を備えており、これら有機層は、複数の有機EL層50を互いに隔てるための素子分離部として機能するバンク部47に囲まれた空間に有機材料を塗布することによって形成されている。有機EL層50は、各有機層を形成するインクを塗布法の一例であるインクジェット法によってバンク部47に囲まれた空間に順次塗布することによって形成されている。有機EL層50の端部、即ち後述するバンク部47と接する部分は有機EL層50の中央付近の膜厚より若干厚めに形成される。したがって、有機EL層50は、その端部において陰極49及び陽極34間がショートすることを抑制できる。加えて、有機EL層50の中央付近は平坦であるため、有機EL層50の中央付近で均一な輝度で発光することが可能である。
バンク部47は、第1バンク部47a及び第2バンク部47bから構成されている。第1バンク部47aは、SiO、SiO又はTiO等の無機材料で構成される無機材料層であり、例えば、保護層45上にCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法、コート法、スパッタ法等の膜形成法を用いて形成されている。第2バンク部47bは、アクリル樹脂、又はポリイミド樹脂等の有機材料で構成される有機材料層であり、図中断面上で上側に向かって先細りとなるテーパー形状を有している。第2バンク部47bは、第1バンク部47a上に有機材料層を形成した後、この有機材料層をフォトリソグラフィ技術等を用いてパターニングすることによって形成されている。第2バンク部47bは、その底部が図中横方向に沿って第1バンク部47aより小さめとなるように形成されている。
陽極34は、基板1上に順次形成されたゲート絶縁層2、層間絶縁膜41、保護層45、及び第1バンク部47aのうち第1バンク部47aに埋め込まれるように形成されている。陽極34は、例えば、透明材料であるITOで構成されている。
陰極49は、基板1上に形成された各有機EL素子72で共通とされる共通電極である。陰極49は、例えばAl等の金属材料で構成された薄膜であり、有機EL層50の上面から各有機EL層50を互いに隔てる第2バンク部47bの上面に渡って形成されている。陰極49によれば、陰極49を介して各有機EL素子72で発生した熱を装置外部に逃がすことが可能である。より具体的には、陰極49は、例えば、基板1上で平面的に見て複数の有機EL素子72間で物理的に接続された電極、或いは一枚の連続した電極として延在しているため、陰極49を介して基板1上の各有機EL素子72から熱を基板1の面内方向に沿って逃がすことが可能である。これにより、例えば、大型サイズの有機EL装置であっても装置全体から熱を逃がすことができ、基板1の中央付近で局所的に熱が蓄積されることを低減することが可能である。したがって、陰極49によれば、画像表示領域全体で有機EL素子72の温度上昇を抑制でき、各有機EL素子72の素子特性が熱によって低下することを低減が可能である。これにより、有機EL装置10の寿命を延ばすことが可能である。加えて、画像表示領域内の温度バラツキによって有機EL素子72の輝度がばらつくことを低減でき、装置全体の画質を高めることもできる。
熱伝導層53は、陰極49の表面に形成されており、熱放射層51が陰極49の表面に直接形成されることによって陰極49がダメージを受けることを防止する。加えて、熱伝導層53の熱伝導率は、陰極49の熱伝導率より高いため、有機EL層50で発生した熱を陰極49のみを介して逃がす場合に比べて熱伝導層53を介してより多くの熱を素子外部に逃がすことが可能である。したがって、熱伝導層53によれば、陰極49がダメージを受けることによって素子特性が低下することを抑制しつつ、有機EL層50に局所的に熱が蓄積されることを低減できる。
熱放射層51は、熱伝導層53上に形成されており、有機EL層50で発生した熱を直接赤外線等の電磁波に変換して装置外部に逃がす。本実施形態では、熱放射層51は熱伝導層53の表面の全面に形成されており、熱放射層51は、熱放射層51及び熱伝導層53間に他の層が設けられている場合に比べて効果的に熱を受け取ることができる。したがって、熱放射層51は、有機EL層50で発生した熱を効率良く逃がすことができ、有機EL層50の温度上昇を抑制できる。尚、熱放射層51及び熱伝導層53間に他の層が介在していても、相応の放熱効果が得られることは言うまでもない。
熱放射層51の熱放射率は、熱伝導層53の熱放射率より高い。このため、陰極49の表面に熱放射層51を形成することによって陰極49が受けるダメージをなくす利点を生かしながら、熱放射による放熱特性の向上を享受することが可能である。より具体的には、熱放射によって放熱特性を向上させる観点からみれば、熱伝導層では放熱特性を十分な水準に高めることが難しい場合がある。そこで、熱放射層によって放熱量を増大させることによって、熱放射率が低い熱伝導層を設けることによって損なわれる放熱効果を改善し、素子全体の放熱特性を高めることが可能である。したがって、例えば、熱伝導層及び陰極の接合性や熱伝導層の熱伝導率にのみ注目して熱伝導層の材料及び形成方法を選択することが可能であり、放熱特性を高めつつ熱伝導層の設計自由度を高めることが可能である。
熱伝導層53及び熱放射層51によれば、熱伝導及び熱放射の一方を利用して放熱する場合に比べて有機EL素子50から効率良く放熱でき、素子の温度が上昇することによる発光層の劣化及び結晶化を抑制できる。また、有機EL素子50を構成する各層の接合界面を安定させることが可能である。その結果、有機EL素子50及びこれを備える有機EL装置10の寿命を延ばすことが可能になる。
駆動用トランジスタ74のソース電極74sは、図1に示す電源供給線117に電気的に接続されており、ドレイン電極74dは陽極34に電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74は、図1に示すデータ線114を介してゲート電極3aに供給されるデータ信号に応じてオンオフされ、駆動電流を有機EL素子72に供給する。このような素子を含む回路は、有機EL素子50から基板1側に出射される光を遮らないように、有機EL素子50の下側を避けるように設けられている。また、駆動用トランジスタ74と同様に図1に示すスイッチング用トランジスタ76も基板1上に形成されている。
半導体層3は、例えば低温ポリシリコン技術を用いて形成された多結晶シリコン層或いはアモルファスシリコン層である。半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び図1に示す走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)、クロム(Cr)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には図2に示す層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のソース電極74sが形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。電源供給線117及びドレイン電極74dを構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極74dを埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiNx)ないしシリコン酸化膜(SiOx)が形成されている。保護層45上には、例えばシリコン酸化膜よりなる第1バンク部47aが形成され、更に第1バンク部47a上に第2バンク部47bが形成されている。第1バンク部47a及び第2バンク部47bによって、画素部における有機EL層50の形成領域が規定されている。
封止板20は、本発明に係る「封止部」の一例であり、水分が有機EL装置10の外部から備える有機EL層50に浸入することを抑制する。より具体的には、封止板20は、基板1上に接着剤によって接着されており、有機EL装置10の外気が有機EL素子72に触れないように有機EL素子72を封止する。基板1上に封止板20を接着する接着剤は、熱硬化樹脂或いは紫外線硬化樹脂を含んでおり、例えば、熱硬化樹脂の一例であるエポキシ樹脂を封止板20の周縁部にディスペンサ等の塗布手段を用いて塗布される。
封止板20の熱放射層51に臨む側の面において、封止板20の周縁部は中央部に対して凸状となっており、封止板20が第1バンク部47aの上面に接着された状態で封止部20の中央部及び有機EL素子72の間に一定の空間が介在する。封止板20及び有機EL素子72間の空間には、不活性ガス、樹脂或いはオイル等の充填材が充填され、この充填材により装置外部から侵入する水分を低減する。また、封止板20及び有機EL素子72間の空間は、封止板20及び基板1で封止された真空であってもよい。封止板20は、熱放射層51から放射される赤外線を透過する透明板であり、例えば、ガラス板、又は防湿処理を施したプラスチック板を用いることができる。特に、封止板20としてガラス基板を用いた場合には、ガラス基板である基板1及び封止板20の熱膨張率が同等であることから、熱膨張率の違いに起因するこれら板間のひずみを低減することができ、装置全体の信頼性を高めることができる。
<2;有機EL素子の構成>
次に、図3及び図4を参照して、有機EL素子72の詳細な構成について説明する。図3は、有機EL素子72を含む任意の画素部の平面図であり、図4は図3に示す画素部のA−A´線断面図である。尚、図3及び図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。尚、図3及び図4に加えて、随時図1及び図2も参照する。
図3において、図2に示す基板1上には、駆動用トランジスタ74の半導体層3が形成されている。尚、本実施形態では説明を省略するが、駆動用トランジスタ74と同様に図1に示すスイッチング用トランジスタ76も基板1上に形成されている。半導体層3は、例えば低温ポリシリコン技術を用いて形成された多結晶シリコン層或いはアモルファスシリコン層である。半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)、クロム(Cr)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には図2に示す層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極74dを埋め込んで、図2に示す保護層45が形成されている。
保持容量78の下部容量電極は、走査線112と同一の層に、例えば同様の材料を用いて形成され、電源供給線117の一部が保持容量78の上部容量電極として形成されている。層間絶縁層41は誘電体膜として形成されており、層間絶縁層41の一部分が下部容量電極及び上部容量電極の間に挟持される。
有機EL装置10の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電圧に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より有機EL素子72に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層50における発光層50aが発光し、有機EL素子72から基板1側に光が出射される。
図4において、有機EL素子72は、基板1上に順次形成された陽極34、有機EL層50、陰極49、熱伝導層53及び熱放射層51を備えて構成されており、有機EL層50は正孔注入層50c、発光層50a及び電子注入層50bを備えて構成されている。
熱放射層51は、例えば、各種セラミック材料或いはカーボンブラックをバインダに溶かして得られる塗布材をスプレー法等の塗布法により熱伝導層53上に塗布することによって形成されている。
熱放射層51は、陰極49の放射率に比べて高い放射率を有している。熱放射層51によれば、陰極49の表面に熱放射層51を一層形成するだけであり、有機EL素子72の素子構造を大きく変更することなく、素子から効率良く放熱することができる。熱放射層51は、バインダに高熱放射材料を配合した液状体を熱伝導層53の表面に塗布したもの、或いは熱伝導層53の表面にバインダを塗布した後、塗布されたバインダの表面に上述した高熱放射材料を吹き付けたものであってもよい。熱放射層51は、赤外線の放射率が高いセラミック粉体をバインダに配合して塗布したもの、或いは熱伝導層53の表面にバインダを塗布した後、このバインダ上にセラミック粉体を吹き付けたものであってもよい。高熱放射材料としては、例えば、赤外線の放射率が高い赤外線放射体材料の夫々一例である、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ジルコン(ZrO・SiO)、珪石(SiO)、コージェライト焼結体等のセラミック粉体、二酸化マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)等の遷移元素の酸化物、カーボンブラック、セラックα(登録商標)のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。また、熱放射層51は、熱伝導層53の表面を酸化させることによって形成される酸化膜であってもよいし、薄膜形成法によって形成された薄膜であってもよい。尚、製造プロセス上、膜質及び熱放射効率を考慮すると、熱放射層51の膜厚は1乃至500μm程度であることが好ましい。
熱伝導層53は、陰極49の表面に形成された第1熱伝導層53a及び第1熱伝導層の表面に形成された第2熱伝導層53bから構成されている。第1熱伝導層53aは、陰極49を構成する陰極材料を含んでおり、第2熱伝導層53bは、陰極材料より高い熱伝導率を有する材料を含んでいる。より具体的には、例えば陰極49がAlで構成されている場合には、第1熱伝導層53aはAlを含んで構成されている。第1熱伝導層53aによれば、陰極49より高い熱伝導率を有する異種材料を用いて陰極49の表面に直接熱伝導層を形成に直接熱伝導層を形成する場合に比べて陰極49及び熱伝導層53の接合性を高めることが可能であり、陰極49が受けるダメージを低減できる。「電極が受けるダメージ」とは、熱伝導層53を形成する際の形成方法或いは材料によって陰極の膜質が変化する場合及び陰極の物理的形状が生じることによって陰極及びその下層との接合性が低下すること、或いは陰極の電気特性が変化する場合等の不具合を意味し、より具体的には、例えば陰極の膜厚バラツキを一因とする電気抵抗のバラツキ、或いは陰極49及び熱伝導層53の界面で形成される界面部分の組成変化に起因する素子特性の変化を意味する。したがって、電極材料を含む第1熱伝導層53aによれば、陰極49のダメージを低減することによって陰極49の電気特性の変化等を抑制しつつ、熱伝導層53及び陰極49の接合性を高めることが可能である。
第2熱伝導層53bは、陰極49より高い熱伝導率を有する材料を含んで構成されている。より具体的には、第2熱伝導層53bは、陰極49がAlを含んで構成されている場合には、例えばCu、Ag、又はAuを含んで構成されている。
このように熱伝導層53は、陰極49との接合性が良好な第1熱伝導層53a及び陰極より高い熱伝導率を有する第2熱伝導層53bを備えて構成されるため、有機EL素子72の放熱特性を高めるだけでなく、熱伝導層53及び陰極49の接合力を高めることもでき、放熱及び各層における接合界面の劣化防止の両方の観点からより一層優れた有機EL素子を提供できる。尚、熱伝導層53の構造は、2層構造に限定されるものではなく、陰極との接合性及び熱伝導性を考慮して3層構造以上であってもよいことは言うまでもない。
陰極49は、例えばAl或いはAg等の金属材料を含んで構成されている。
有機EL層50を構成する正孔注入層50c、発光層50a及び電子注入層50bはこの順はで陽極34に形成されている。
電子注入層50bは、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、マグネシウム(Mg)、、バリウム(Ba)等の仕事関数の低い材料を用いて形成されている。電子注入層50bによれば、電流駆動型の発光層50aに電子を効率良く注入でき、発光層50aの発光効率を高めることが可能である。尚、電子輸送層が陰極49及び発光層間に設けられていてもよいし、電子注入層50bが電子輸送層を含んで構成されていてもよい。
発光層50aは、有機EL材料を用いて構成されている。このような有機EL材料としては、例えば(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料を用いることができる。
正孔注入層50cは、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いて形成されている。
有機EL層50を構成する各材料は、有機EL素子72が駆動されるに伴って生じる熱によって高温に曝されると特性劣化を生じ易い。したがって、本実施形態の有機EL素子72及び有機EL装置10によれば、素子から効率良く放熱でき、有機EL素子及び有機EL装置の寿命を延ばすことが可能である。
<3;有機EL素子の評価結果>
次に、図5を参照しながら、本実施形態の有機EL素子72を評価した評価結果を説明する。図5は、有機EL素子について高温駆動輝度寿命試験を行った結果を示すグラフである。ここで、高温駆動輝度寿命試験とは、室温以上の温度で素子を連続して発光させた際の試験時間に対する輝度の低下を評価する試験であり、より具体的には80℃の環境下で試験を行った場合の初期の輝度(L0)に対する各試験時間における輝度の割合の変化を評価した。尚、評価対象となる有機EL素子は、Alで構成された陰極上に熱伝導層としてCu薄膜、及びその上に300μmの膜厚を有する熱放射層が形成されている。熱放射層は、SiO、Al、及びTiOを混合した塗布材をCu薄膜上にスプレー法により塗布することによって形成されている。また、熱放射層が設けられていないこと以外は評価対象となる有機EL素子と同様の素子構造を有する素子をモニタとして用いた。
図5に示すように、熱放射層を形成した有機EL素子は、熱放射層が形成されていない有機EL素子に比べて輝度低下が少なく、熱放射層を設けるによって素子の温度上昇が抑制され、素子の劣化が低減されていることが分かる。
以上説明したように本実施形態の有機EL素子及びこれを備えた有機EL装置によれば、熱伝導及び熱放射によって有機EL素子の駆動時における温度上昇を抑制でき、有機EL素子の寿命を延ばすことが可能になる。したがって、このような有機EL素子を備えた有機EL装置を支障なく動作させることができる期間、即ち装置全体の寿命を延ばすことも可能である。また、本実施形態の有機EL素子及び有機EL装置によれば、熱伝導層及び熱放射層を形成するだけで放熱特性を向上させることが可能であり、有機EL素子及びこれを備えた有機EL装置の陰極より下層側に形成された素子構造を変更する必要もなく、製造プロセスの簡単な変更により素子の寿命を延ばすことができる。
(第2実施形態)
次に、図6を参照しながら、本発明に係る有機EL装置の他の態様を説明する。図6は、有機EL表示装置100の構成を示す断面図である。尚、有機EL装置100は、後述する熱吸収層を有していることを除けば1実施形態の有機EL装置10と同様の構成を有している。図6では、図2に示した有機EL装置10と共通する部分については共通の参照符号を付して説明し、これら共通する部分の詳細な説明は適宜省略する。
図6において、有機EL表示装置100は封止板20を備えている。封止板20は例えば金属で形成されており、且つ封止板20の内側、即ち有機EL素子72に臨む面の略全面に渡って熱吸収層92が形成されている。
熱吸収層92は、熱放射層51から出射された赤外線を吸収する。また、熱吸収層92で吸収された赤外線は熱エネルギーに変換され、封止板20を介した熱伝導によって装置外部に放熱される。封止板20は、金属で構成されているため熱伝導による放熱を効果的に行うことができる。ここで、熱吸収層92によって吸収された赤外線は、有機EL素子72の駆動時に発生した熱エネルギーが熱放射層51で赤外線に変換されたものである。また、封止板20がガラス板等の熱伝導率が金属より低い材料で構成されている場合には、熱吸収層92は、吸収した赤外線を再度赤外線として封止板20を透過させることによって装置外部に放出する。
熱吸収層52を形成する材料は、輻射層51を形成する材料と同種の材料であることが好ましい。ある赤外線の波長における放射率の高い材料は、その波長における吸収率も同様に高いことが一般的に知られている。従って、赤外線を放射する放射体と、電磁波を吸収する吸収体とが同種の材料で形成されている場合は、異種材料でそれぞれ形成されている場合に比べて効率よく赤外線を吸収できるからである。
このように、本実施形態の有機EL装置100によれば、封止板20及び熱吸収層92を介して有機EL素子72で発生した熱を装置外部に逃がすことができ、第1実施形態の有機EL装置10に比べてより効果的に有機EL素子72の温度上昇を抑制することが可能である。
(電子機器)
次に、上述した有機EL素子を含む有機EL装置を備えた各種電子機器について説明する。
<A:モバイル型コンピュータ>
図7を参照しながらモバイル型のコンピュータに上述した有機EL装置を適用した例について説明する。図7は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
図7において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL装置を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。表示部1005は、素子内の温度上昇に起因する発光層等の特性劣化が低減されており、装置全体の信頼性も高められている。また、上述した有機EL素子を含んだ表示部1005は、熱伝導のみで放熱を行う従来の表示部に対して放熱構造を簡略化できるため、表示ユニット1206を小型に構成できる。よって装置全体の小型化につながり、装置の携帯性が改善される。なお、表示ユニット1206の小型化の効果は、熱放射層により放射された赤外線を表示面と同一方向に放出する場合に特に大きい。また、表示部1005が備える複数の有機ELディスプレイ基板に赤、緑、青の光の三原色の光を発光する有機EL素子を形成しておくことによって、該表示部1005はフルカラー表示で画像表示を行うことができる。
<B:携帯型電話機>
更に、上述した有機EL装置を携帯型電話機に適用した例について、図8を参照して説明する。図8は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。
図8において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL装置を有する表示部1305を備えるものである。
表示部1305は、上述の表示部1005と同様に発光層等の特性劣化が低減されていることから、高品質の画像を表示することができると共に信頼性が高められている。これにより、携帯型電話機1300の耐久性も高められている。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子が夫々赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、該表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともできる。
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う発光素子及び発光装置並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。 図3のA−A´線断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の評価結果を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る電子機器の一例の斜視図である。 本発明に係る電子機器の他の例の斜視図である。
符号の説明
10,100 有機EL装置、20・・・封止板、34・・・陽極、49・・・陰極、50・・・有機EL層、51・・・熱放射層、53・・・熱伝導層、72・・・有機EL素子、92・・・熱吸収層

Claims (11)

  1. 透明基板上に形成されており、該透明基板側に光を出射する発光層と、
    該発光層上に設けられた電極の表面に形成された熱伝導層と、
    該熱伝導層上に形成された熱放射層と
    を備えたことを特徴とする発光素子。
  2. 前記熱放射層は、前記熱伝導層の表面に形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記熱放射層の熱放射率は、前記熱伝導層の熱放射率より高いこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記熱伝導層の熱伝導率は、前記電極の熱伝導率より高いこと
    を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の発光素子。
  5. 前記熱伝導層は、前記電極の表面に形成された第1熱伝導層及び該第1熱伝導層の表面に形成された第2熱伝導層を有しており、
    前記第1熱伝導層は、前記電極を構成する電極材料を含んでおり、
    前記第2熱伝導層は、前記電極材料より高い熱伝導率を有する材料を含んでいること
    を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  6. 前記電極は陰極であり、
    該陰極及び前記発光層間に設けられた電子注入層を更に備えたこと
    を特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の発光素子。
  7. 前記発光層は、有機EL層であること
    を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の発光素子。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の発光素子と、
    該発光素子を封止する封止部とを備えたこと
    を特徴とする発光装置。
  9. 前記発光素子は、前記基板上に複数配設されており、
    前記電極は、前記複数の発光素子間で接続されることによって互いに電気的に接続された共通電極であること
    を特徴とする請求項8に記載の発光装置。
  10. 前記封止部における前記発光素子に臨む側の面に設けられており、前記発光素子から出射された赤外線を吸収する熱吸収層を更に備えること
    を特徴とする請求項8又は9に記載の発光装置。
  11. 請求項8から10の何れか一項に記載の発光装置を具備してなること
    を特徴とする電子機器。
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