JP2006237154A - 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】 電流を流してもノイズの増加が少なく、良好なS/N比を得ることのできる磁気抵抗効果素子、及びこの磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】 磁化固定層21と非磁性層16と磁化自由層17とを少なくとも有する積層膜が形成され、この積層膜の膜面に略垂直な方向に電流が流され、磁化自由層17の近傍に、Pd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoから選ばれる一種以上を主成分とする導体層18が設けられた磁気抵抗効果素子10を構成する。また、この磁気抵抗効果素子10を備えた磁気ヘッドを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気トンネル効果素子又は巨大磁気抵抗効果素子を使用した磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドに係わり、再生用の磁気ヘッドに適用して好適なものである。
ハードディスク装置用の磁気再生ヘッドには、高出力を得るために磁気抵抗効果素子が一般に使用されている。
記録密度を向上させディスク装置の記録要領を向上させるためには、磁気再生ヘッドの再生出力を高める必要があり、そのために、磁気抵抗効果(MR効果)の大きな磁気抵抗効果素子が求められている。
磁気ヘッド用の磁気抵抗効果素子としては、NiFe合金を使用した異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)、スピンバルブ構造を持った巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)、そしてトンネル磁気抵抗効果を使用したトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)等の開発が行われており、素子の出力を表す磁気抵抗変化率(MR比)は、それぞれ2〜3%、5〜20%、50〜200%と、後者の素子ほど大きな出力が期待できる。
一般的なGMR素子を使用した磁気ヘッドの模式図(斜視図)を、図3に示す。
スライダーとなるアルチック等の基板101の表面に、下層シールドとなる軟磁性体層102及び絶縁層103が重ねて形成され、絶縁層103の上に、トラック幅程度に加工された磁気抵抗効果素子104と、その両端に接続される電極105,106とが形成されている。
さらにその上に、上部ギャップとなる絶縁層107と、上層シールドとなる軟磁性体層108とが形成されている。
この構成の磁気ヘッドの信号検出は、2つの電極105,106間に電圧を印加して、流れる電流を検出することにより、磁気抵抗効果素子の抵抗変化を検出する。このため、電流面内型(CIP型、Current In Planeの略)検出方式と呼ばれている。
この電流面内型(CIP型)検出方式の磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果素子として、AMR素子又はGMR素子が用いられる。
次に、TMR素子を使用する一般的な磁気ヘッドの模式図(斜視図)を、図4に示す。
スライダーとなるアルチック等の基板101の表面に、下層シールド兼下部電極112が重ねて形成され、その表面上に、下部ギャップ兼下部接続電極となる導体層114、トラック幅程度に加工された磁気抵抗効果素子115とが形成されている。
さらにその上に、上部ギャップ兼上部接続電極となる導体層116と、上層シールド兼上部電極118とが形成されている。
この構成の磁気ヘッドの信号検出は、下層シールド兼下部電極113と上層シールド兼上部電極118との間に電圧を印加して、流れる電流を検出することにより、磁気抵抗効果素子の抵抗変化を検出する。このため、電流面直型(CPP型、Current Perpendicular to the Planeの略)検出方式と呼ばれている。
この電流面直型(CPP型)検出方式の磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果素子として、TMR素子又はGMR素子が用いられる。
TMR素子の典型的な膜構成は、下層から例えば、下地層/反強磁性層/磁化固定層/トンネルバリア層(トンネル絶縁層)/磁化自由層/キャップ層の各層から構成される。なお、この膜構成の上下を逆にした構成も可能である。
TMR素子を磁気ヘッドに用いる場合には、磁化自由層を磁気の検出に使用して、記録媒体等において記録された情報に対応して発生する磁束を検出する。即ち、磁化自由層を、記録媒体等に記録された情報に基く信号を検出する、信号検出層とする。
ここで、TMR素子から成る磁気抵抗効果素子の積層膜の断面模式図の一例を図5に示す。
この磁気抵抗効果素子50は、図示しない基板上に、下地層51、磁化固定層61、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)56、磁化自由層(信号検出層)57、キャップ層58が積層形成されている。磁化固定層61は、反強磁性層52と、その上に形成された強磁性層53/非磁性導体層54/強磁性層55の3層の積層膜とから成る。
磁化固定層61では、反強磁性層52により下層の強磁性層53の磁化M53の向きが固定され、強磁性層53/非磁性導体層54/強磁性層55の反強磁性的結合作用により、上層の強磁性層55の磁化M55の向きが下層の強磁性層53の磁化M53とは逆向きに固定される。
磁化自由層(信号検出層)57は、強磁性層により構成され、磁気抵抗効果素子の外部からの磁界の作用により、その磁化Mの向きを変化させたり反転させたりすることが可能な構成とされている。
そして、例えば外部からの磁界として、記録媒体において記録された情報に対応して発生する磁束(磁界)を検出することにより、記録媒体に記録された情報に基く信号を検出することができる。
この磁気記憶素子50を製造する際には、真空装置内で、下地層51からキャップ層58までの各層を連続的に形成する。
なお、この例では、磁化固定層61を上下の磁性層が反強磁性的に結合した、強磁性層53/非磁性導体層54/強磁性層55の3層構造の積層膜で構成しているが、1層の強磁性層のみから磁化固定層を構成しても問題はない。
ところで、電流面直型(CPP型)の磁気ヘッドにおいては、センス電流により信号検出層(磁化自由層)の磁化状態が不安定になり、ある一定以上のセンス電流を流すことによって、信号検出層が磁化反転を引き起こす、スピン注入磁化反転という現象が起こることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、その磁化状態を変化させるものである。
例えば、2層以上の磁性体が、導体層もしくはトンネル障壁層を介して配置される巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)や磁気トンネル接合素子(MTJ素子)に対して、その膜面に垂直な方向に電流を流すCPP型の素子において、センス電流がこれらの素子の少なくとも一部の磁性層の磁化状態を変化させる現象であり、磁化が反転する現象や、磁化が高周波で振動する現象として観測される(例えば、非特許文献2参照)。
Physical Review Letters,1998年,80巻,p.4281 Nature,2003年,425巻,p.380
磁気抵抗効果素子を磁気再生ヘッドに使用する場合、信号検出層の磁化状態は、記録媒体からの漏れ磁界のみに反応して、それ以外の擾乱を受けにくくすることが、読み出し信号の信号対雑音比(S/N比)を高めるために必要である。
そして、前述したスピン注入現象による信号検出層の磁化状態の変化は、信号検出層に擾乱を与えてノイズとなるため、S/N比の低下を招く。
このため、電流面直型(CPP型)の磁気再生ヘッドにおいて、高いS/N比を実現するためには、スピン注入現象の影響を減少させる必要がある。
本発明は、電流を流してもノイズの増加が少なく、良好なS/N比を得ることのできる磁気抵抗効果素子、及びこの磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドを提供するものである。
本発明の磁気抵抗効果素子は、磁化の向きが固定された磁化固定層と、磁化の向きを変化させることが可能な磁化自由層と、磁化固定層と磁化自由層との間に設けられた非磁性層とを少なくとも有する積層膜が形成され、この積層膜の膜面に略垂直な方向に電流が流されるものであり、磁化自由層の近傍に導体層が設けられ、この導体層がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoから選ばれる一種以上を主成分とするものである。
また、本発明の磁気ヘッドは、上記本発明の磁気抵抗効果素子を備え、磁気抵抗効果素子に対して非磁性の導体層を介して上下に磁気シールドが配置されたものである。
上述の本発明の磁気抵抗効果素子の構成によれば、磁化自由層の近傍に導体層が設けられ、この導体層がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoから選ばれる一種以上を主成分とすることにより、導体層が重金属元素や希土類元素等の伝導電子数の多い元素を主成分としているので、スピン散乱が大きい。これにより、導体層から磁化自由層に対して大きなスピンポンピング効果を及ぼして磁化自由層のダンピング定数を増大させ、前述したスピン注入磁化反転の発生を抑制することが可能になることから、スピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる。
また、本発明の磁気ヘッドの構成によれば、上記本発明の磁気抵抗効果素子を備え、磁気抵抗効果素子に対して非磁性の導体層を介して上下に磁気シールドが配置された構成であることにより、磁気抵抗効果素子がスピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる構成であるため、センス電流を流してもノイズの増加を少なくすることができる。
上述の本発明の磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッドによれば、スピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができ、センス電流を流してもノイズの増加が少ないことから、良好なS/N比を得ることができる。
従って、本発明により、良好なS/N比を有し、再生時のノイズの発生の少ない磁気ヘッドを実現することができる。
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。
前述したように、スピン注入現象による信号検出層の磁化状態の変化は、信号検出層に擾乱を与えてノイズとなって、S/N比の低下を招くため、電流面直型(CPP型)の磁気再生ヘッドにおいて高いS/N比を実現するためには、スピン注入現象の影響を減少させる必要がある。
スピン注入現象において、磁化反転を生じさせる閾値電流を与える理論式は、下記の式1のようになることが理論的に導かれており、この式を利用すると、ダンピング定数を増加させれば磁化反転が起きる閾値電流が増加し、このために同じ大きさのセンス電流を流した場合は磁化状態が安定化されることが、理論的に計算される(J. Z. Sun,Phys. Rev. B,Vol.62,p.570,2000年参照)。
Figure 2006237154
(ただし、α:記憶層のダンピング定数、H:記憶層の一軸異方性磁界、M:記憶層の飽和磁化、η:スピン注入係数)
また、磁性層に接している導体層が、スピンポンピングと呼ばれる現象により、磁性層の材料特性であるダンピング定数に対し影響を与えて、磁性層のダンピング定数を増加させることが報告されている(例えば、Yaroslav他,Phys.Rev.B,Vol.66,P.224403,2002年や、Mizukami他,J.Magn.Magn.Mater.,Vol.226-230,P.1640,2001年参照)。
本発明においては、磁気抵抗効果素子の材料構成を工夫することによって、スピンポンピング効果によりダンピング定数を増加させるように設定して、電流を流してもノイズの増加が少なく、良好なS/N比を得ることのできる磁気抵抗効果素子、及びこの磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドを実現するものである。
そのために、本発明の磁気抵抗効果素子では、2つ以上の磁性体を有する磁気抵抗効果素子(GMR素子もしくはTMR素子等)において、外部磁界により磁化の方向が変化する磁化自由層(信号検出層)に対して、その近傍に磁化自由層(信号検出層)のダンピング定数を増加させる効果を持つ導体層を設けることを特徴とする。この導体層は、磁化自由層(信号検出層)に直接接していてもよく、また他の薄い膜を介して配置されていてもよい。
また、本発明の磁気ヘッドは、この本発明の磁気抵抗効果素子を備え、磁気抵抗効果素子に対して非磁性の導体層を介して上下に磁気シールドが配置された構成である。
磁化自由層(信号検出層)のダンピング定数を増加させる効果を持つ導体層の材料としては、大きいスピンポンピング効果が得られるように、スピン散乱の大きい材料を用いる。例えば、伝導電子数の多い重金属や希土類を用いることが望ましい。
具体的には、例えば、Pd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoの各元素や、これらの元素から選ばれる一種以上を主成分とする合金・化合物等が挙げられる。
例えば、NiFe合金層にPt層を隣接して配置した場合に、NiFe層のダンピング定数が増加する実験結果が示されている(例えば、前述したMizukami他,J.Magn.Magn.Mater.,Vol.226-230,P.1640,2001年参照)。
従って、磁化自由層(信号検出層)をNiFe層とし、これに隣接してPt層を配置すると、前述したスピンポンピング効果により、前述した式1に従って、スピン注入磁化反転効果を減少させることができる。
このため、電流を流した場合の磁化自由層(信号検出層)の磁化状態を安定化でき、そのために信号検出時のスピン注入現象によるノイズを減少させることができる。
ところが、一般に、NiFe層にPt層を積層し、さらに300℃程度以上の熱処理を行うと、NiFeとPtとが界面で反応し、NiFeの保磁力が増加する。
磁気ヘッドの製造工程では、一般に、磁化固定層の磁化の向きを配向させるための熱処理が行われており、温度は300℃前後である。
このように磁化自由層(信号検出層)のNiFeの保磁力が増加した状態の磁気抵抗効果素子を、磁気ヘッドに使用すると、信号検出層の保磁力が増大して軟磁気特性が損なわれているため、バルクハウゼンノイズが増大することになる。
Ptに限らず、前述した導体層の他の材料、即ちPd,Nd,Sm,Tb,Dy,Ho等を用いた場合にも、同様に信号検出層の保磁力が増大してバルクハウゼンノイズが増大することが懸念される。
この現象を防止する方法としては、熱処理による界面拡散が起こっても、磁化自由層(信号検出層)を構成する強磁性体の磁気特性が劣化しないように、第2の導体材料を強磁性体に接して配置して、この第2の導体材料を介してPt等の導体を配置することが考えられる。
この場合、第2の導体材料が、Pt等の導体によるスピンポンピング効果を妨げないようにする。
そこで、本発明の磁気抵抗効果素子において、より好ましくは、直接接触した導体層の影響で磁化自由層(信号検出層)の磁気特性が劣化することのないように、磁化自由層(信号検出層)と導体層(第1の導体層)との間に、別種の導体層(第2の導体層)を挿入する。
この別種の導体層(第2の導体層)の材料としては、スピン拡散長が長く、スピンポンピング効果が小さい材料を用いる。さらに、磁化自由層(信号検出層)に接触しても、その磁気特性を悪化させない材料であることが望ましい。即ち、軽元素や、磁性体の主成分となるFe,Co,Ni等の遷移金属元素に電子状態が近いものが望ましい。
具体的には、例えば、Ti,Cr,Cu,Ag,Au,Nb,Taの元素やこれらの元素から選ばれる1種以上を主成分とする合金・化合物が挙げられる。
また、さらに、この別種の導体層(第2の導体層)は、厚さを1nm以上20nm以下とすることが望ましい。
厚さをこの範囲内とすることにより、第1の導体層によるスピンポンピング効果を妨げることなく、かつ製造時の熱処理による界面拡散が生じても第2の導体層が残存し、磁化自由層(信号検出層)の磁性材料と第1の導体層の導体材料との拡散による信号検出層の磁気特性の劣化を抑制する効果が充分に得られる。
続いて、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
本発明の磁気抵抗効果素子の一実施の形態の概略構成図(断面図)を図1に示す。
この磁気抵抗効果素子10は、図示しない基板上に、下地層11、反強磁性層12、強磁性層13、非磁性導体層14、強磁性層15、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)16、磁化自由層(信号検出層)17、導体層18、キャップ層19が積層形成されて構成されている。
このうち、反強磁性層12と、強磁性層13、非磁性導体層14、強磁性層15の3層の積層膜とにより、磁性体の磁化の向きが固定された磁化固定層21が構成されている。
磁化固定層21では、反強磁性層12により下層の強磁性層13の磁化M13の向きが固定され、強磁性層13/非磁性導体層14/強磁性層15の反強磁性的結合作用により、上層の強磁性層15の磁化M15の向きが下層の強磁性層13の磁化M13とは逆向きに固定される。
図1の磁気抵抗効果素子10では、下層の強磁性層13の磁化M13の向きが右向きに固定され、上層の強磁性層15の磁化M15の向きが左向きに固定されている。
磁化自由層(信号検出層)17は、強磁性層により構成され、磁気抵抗効果素子の外部からの磁界の作用により、その磁化Mの向きを変化させたり反転させたりすることが可能な構成とされている。
そして、例えば外部からの磁界として、記録媒体において記録された情報に対応して発生する磁束(磁界)を検出することにより、記録媒体に記録された情報に基く信号を検出することができる。
また、磁化固定層21と、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)16と、磁化自由層(信号検出層)17とにより、トンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)が構成される。
このTMR素子に対して、積層膜の膜面に略垂直な方向に電流を流すと、磁化固定層21の磁化M13,M15の向きと磁化自由層(信号検出層)17の磁化Mの向きとの関係によって、電流に対する抵抗値が変化する、トンネル磁気抵抗効果を生じる。
このトンネル磁気抵抗効果を利用して、磁界を検出することができ、例えば、記録媒体に記録された情報に基く信号を検出することができる。
具体的には、磁化自由層(信号検出層)17の磁化Mの向きが、磁化固定層21の上層の強磁性層15の磁化M15の向きに対して、平行であるとき(図1では磁化Mが左向きのとき)は抵抗値が低くなり、反平行であるとき(図1では磁化Mが右向きのとき)は抵抗値が高くなる。
磁化固定層21を構成する強磁性層13,15には、例えばFe,Ni,Coの1種以上から成る材料を用いることができる。
磁化自由層(信号検出層)17の材料としては、バルクハウゼンノイズを低減するために軟磁気特性に優れている必要があるが、その条件を満たすならば、特に限定されず、任意の強磁性体を使用することができる。例えば、Fe,Ni,Coの1種以上から成る材料(例えば、NiFe合金やCoFe合金)を用いることができる。
さらに、これらの強磁性層13,15,17の合金に、NbやZr等の遷移金属元素、BやC等の軽元素を含有させることもできる。
これらの強磁性層13,15,17の飽和磁化量Msの値は、一般に200emu/cc以上2000emu/cc以下の範囲が適当である。
反強磁性層12の材料としては、例えば、PtMn,RhMn,RuMn,FeMn,IrMn等のMn化合物を使用することができる。
磁化固定層21を構成する非磁性導体層14の材料としては、Ru,Cu,Rh,Cr等の、磁性層間に反強磁性層間結合を生じる材料を使用することができる。
トンネルバリア層(トンネル絶縁層)16の材料としては、Al,MgO,HfO,SiO,SiO,SiNや、これらの混合物を用いることができる。
下地層11とキャップ層19の材料は、特に制限されないが、一般的には、Ta,Cr,Ti等の金属が使用される。
本実施の形態の磁気抵抗効果素子10においては、特に、磁化自由層(信号検出層)17の上に接して、導体層18を設けている。
この導体層18の材料としては、前述した例えば、Pd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoの各元素や、これらの元素から選ばれる一種以上を主成分とする合金・化合物等を用いる。
これにより、導体層18から磁化自由層(信号検出層)17に大きなスピンポンピング効果を作用させて、磁化自由層(信号検出層)17のダンピング定数を大きくして、前述したスピン注入磁化反転現象を抑制することができる。
本実施の形態の磁気抵抗効果素子10は、下地層11からキャップ層19までを真空装置内で連続的に形成して、その後エッチング等の加工により磁気抵抗効果素子10のパターンを形成することにより、製造することができる。
また、本実施の形態の磁気抵抗効果素子10を用いて、図4に示した磁気ヘッドと同様の構成の磁気ヘッドを構成することができる。
即ち、磁気抵抗効果素子10の下に、下部ギャップ兼下部接続電極となる非磁性導体層を介して、下層磁気シールド兼下部電極を配置し、また、磁気抵抗効果素子10の上に、上部ギャップ兼上部接続電極となる非磁性導体層を介して上層磁気シールド兼上部電極を配置して磁気ヘッドを構成する。
そして、上部電極と下部電極との間にセンス電流を流すことにより、磁気抵抗効果素子10の積層膜の膜面に略垂直な方向にセンス電流を流して、磁気抵抗効果素子10の磁化自由層(信号検出層)17の磁化Mの向きに対応する抵抗値の変化を検出することができる。これにより、磁気ヘッドに外部から加わった磁界を検出することができる。
従って、例えば、記憶媒体に記録された情報に基づく磁界を検出して、記録された情報を読み出す、又は再生することができる。
上述の本実施の形態の磁気抵抗効果素子10の構成によれば、磁化自由層(信号検出層)17の上に接して導体層18を設け、この導体層18がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoの各元素や、これらの元素から選ばれる一種以上を主成分とする合金・化合物を用いて構成されていることにより、導体層18が重金属元素や希土類元素等の伝導電子数の多い元素を主成分としているので、スピン散乱が大きくなっており、導体層18から磁化自由層(信号検出層)17に対して大きなスピンポンピング効果を及ぼして磁化自由層(信号検出層)17のダンピング定数を増大させる。これにより、前述したスピン注入磁化反転の発生を抑制することが可能になることから、スピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる。
そして、このようにスピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる磁気抵抗効果素子10を備えて磁気ヘッドを構成することにより、センス電流を流してもノイズの増加が少ないことから、良好なS/N比を得ることができる。
従って、良好なS/N比を有し、再生時のノイズの発生の少ない磁気ヘッドを実現することができる。
続いて、本発明の磁気抵抗効果素子の他の実施の形態の概略構成図(断面図)を図2に示す。
この磁気抵抗効果素子20は、先の実施の形態の磁気抵抗効果素子10の構成に対して、磁化自由層(信号検出層)17と導体層18との間に、さらに第2の導体層22を設けている。
この第2の導体層22は、導体層(第1の導体層)18と磁化自由層(信号検出層)17とが高温熱処理により界面の拡散を生じて磁化自由層(信号検出層)17の磁気特性が劣化する現象を抑制するために設けられている。
この第2の導体層22の材料としては、前述した例えば、Ti,Cr,Cu,Ag,Au,Nb,Taの元素やこれらの元素から選ばれる1種以上を主成分とする合金・化合物を用いることができる。
また、より好ましくは、第2の導体層22の厚さを、1nm以上20nm以下とする。
これにより、第1の導体層18によるスピンポンピング効果を妨げることなく、かつ製造時の熱処理による界面拡散が生じても第2の導体層22が残存し、磁化自由層(信号検出層)17の磁性材料と第1の導体層18の導体材料との拡散による磁化自由層(信号検出層)17の磁気特性の劣化を抑制する効果が充分に得られる。
その他の構成は、先の実施の形態の磁気抵抗効果素子10と同様であるので、同一符号を付して重複説明を省略する。
また、本実施の形態の磁気抵抗効果素子20を用いて、図4に示した磁気ヘッドと同様の構成の磁気ヘッドを構成することができる。
即ち、磁気抵抗効果素子20の下に、下部ギャップ兼下部接続電極となる非磁性導体層を介して、下層磁気シールド兼下部電極を配置し、また、磁気抵抗効果素子20の上に、上部ギャップ兼上部接続電極となる非磁性導体層を介して上層磁気シールド兼上部電極を配置して磁気ヘッドを構成する。
そして、上部電極と下部電極との間にセンス電流を流すことにより、磁気抵抗効果素子20の積層膜の膜面に略垂直な方向にセンス電流を流して、磁気抵抗効果素子20の磁化自由層(信号検出層)17の磁化Mの向きに対応する抵抗値の変化を検出することができる。これにより、磁気ヘッドに外部から加わった磁界を検出することができる。
従って、例えば、記憶媒体に記録された情報に基づく磁界を検出して、記録された情報を読み出す、又は再生することができる。
上述の本実施の形態の磁気抵抗効果素子20の構成によれば、磁化自由層(信号検出層)17の上方に導体層(第1の導体層)18を設け、この第1の導体層18がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoの各元素や、これらの元素から選ばれる一種以上を主成分とする合金・化合物を用いて構成されていることにより、先の実施の形態の磁気抵抗効果素子10と同様に、第1の導体層18から磁化自由層(信号検出層)17に対して大きなスピンポンピング効果を及ぼして磁化自由層(信号検出層)17のダンピング定数を増大させる。これにより、前述したスピン注入磁化反転の発生を抑制することが可能になることから、スピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる。
そして、このようにスピン注入磁化反転によるノイズの発生を低減することができる磁気抵抗効果素子20を備えて磁気ヘッドを構成することにより、センス電流を流してもノイズの増加が少ないことから、良好なS/N比を得ることができる。
従って、良好なS/N比を有し、再生時のノイズの発生の少ない磁気ヘッドを実現することができる。
また、本実施の形態の磁気抵抗効果素子20の構成によれば、磁化自由層(信号検出層)17と第1の導体層18との間に、第2の導体層22を設け、この第2の導体層22がTi,Cr,Cu,Ag,Au,Nb,Taの元素やこれらの元素から選ばれる1種以上を主成分とする合金・化合物を用いて構成されていることにより、第2の導体層22が軽元素又は磁性遷移金属元素(Fe,Co,Ni等)に電子状態が近い元素を主成分としているので、第2の導体層22のスピン拡散長が長くスピンポンピング効果が小さい。
これにより、磁化自由層(信号検出層)17と第2の導体層22とが高温熱処理により界面で拡散し合ったとしても、磁化自由層(信号検出層)17の軟磁気特性が劣化しにくい。
従って、製造時に高温熱処理が行われても、磁化自由層(信号検出層)17の軟磁気特性の劣化が抑制され、バルクハウゼンノイズの増大を抑制することができる。
なお、上述の各実施の形態では、磁化固定層21を、反強磁性層12と、上下の強磁性層が反強磁性的に結合した強磁性層13/非磁性導体層14/強磁性層15の3層構造の積層膜とにより構成しているが、反強磁性層と単層の強磁性層とにより磁化固定層を構成しても構わない。
また、上述の各実施の形態では、磁化固定層21と磁化自由層(信号検出層)18との間をトンネルバリア層(トンネル絶縁層)17としてトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)を構成したが、本発明では、磁化固定層と磁化自由層(信号検出層)との間を非磁性導体層として、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を構成してもよい。
また、磁化固定層と磁化自由層(信号検出層)との積層順序が、上述の各実施の形態とは逆であってもよい。
即ち、反強磁性層が最上層にあって、下層から磁化自由層(信号検出層)・非磁性層・磁化固定層の順序で積層されている構成としてもよい。
ここで、本発明の磁気抵抗効果素子を実際に作製して、その特性を調べた。
(サンプル1:比較例)
まず、厚さ0.575mmのシリコン基板上に、厚さ2μmの熱酸化膜を形成し、その上に図5に示した構成の磁気抵抗効果素子50を形成した。
具体的には、図5に示した構成の磁気抵抗効果素子50において、各層の材料及び膜厚を、下地膜51を膜厚3nmのTa膜、反強磁性層52を膜厚20nmのPtMn膜、磁化固定層61を構成する強磁性層53を膜厚2nmのCoFe膜、磁化固定層61を構成する非磁性導体層54を膜厚0.8nmのRu膜、磁化固定層61を構成する強磁性層55を膜厚4nmのCoFe膜、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)56を膜厚0.5nmのAl膜を酸化した酸化アルミニウム膜、磁化自由層(信号検出層)57を膜厚2nmのCoFe膜、キャップ層58を膜厚5nmのTa膜と選定し、また下地膜51と反強磁性層52との間に図示しない膜厚100nmのCu膜を設けて、各層を形成した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成1)として、磁気抵抗効果素子50の積層膜を作製した。
膜構成1:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)/Al(0.5nm)-Ox/CoFe(2nm)/Ta(5nm)
上記膜構成において、PtMn膜の組成はPt50Mn50(原子%)、CoFe膜の組成はCo90Fe10(原子%)とした。
酸化アルミニウム膜から成るトンネルバリア層56以外の各層は、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。
酸化アルミニウム(Al−Ox)膜から成るトンネルバリア層56は、まず金属Al膜をDCスパッタ法により0.5nm堆積させて、その後に酸素/アルゴンの流量比を1:1とし、チャンバーガス圧を10Torrとして、自然酸化法により金属Al層を酸化させた。酸化時間は10分とした。
さらに、磁気抵抗効果素子50の各層を成膜した後に、磁場中熱処理炉で、10kOe・260℃・4時間の熱処理を行い、反強磁性層52のPtMn膜の規則化熱処理を行った。
次に、この積層膜を用いて磁気抵抗効果素子50を作製した。
まず、下部電極となる部分をフォトリソグラフィによってマスクした後に、下部電極以外の部分の積層膜に対してArプラズマにより選択エッチングを行うことにより、下部電極を形成した。この際に、下部電極部分以外は基板の深さ5nmまでエッチングされた。
その後、電子ビーム描画装置により磁気抵抗効果素子50のパターンのマスクを形成し、積層膜に対して選択エッチングを行い、磁気抵抗効果素子50を形成した。磁気抵抗効果素子50の部分以外は、Cu層直上までエッチングした。このとき、磁気抵抗効果素子50のパターンを、短軸0.09μm×長軸0.18μmの長方形状とした。
なお、磁気再生ヘッドにおいては、高周波応答特性を確保するためにTMR素子のトンネル絶縁層の抵抗値を抑える必要があるため、磁気抵抗効果素子50の面積・抵抗値積(Ω・μm2)が10Ω・μm2となるようにした。
次に、磁気抵抗効果素子50の部分以外を、厚さ100nm程度のAlのスパッタリングによって絶縁した。
その後、フォトリソグラフィを用いて、上部電極を形成した。
このようにして、サンプル1の磁気抵抗効果素子の試料(比較例)を作製した。
(サンプル2:実施例1)
まず、厚さ0.575mmのシリコン基板上に、厚さ2μmの熱酸化膜を形成し、その上に図1に示した構成の磁気抵抗効果素子10を形成した。
具体的には、図1に示した構成の磁気抵抗効果素子10において、各層の材料及び膜厚を、下地膜11を膜厚3nmのTa膜、反強磁性層12を膜厚20nmのPtMn膜、磁化固定層21を構成する強磁性層13を膜厚2nmのCoFe膜、磁化固定層21を構成する非磁性導体層14を膜厚0.8nmのRu膜、磁化固定層21を構成する強磁性層15を膜厚4nmのCoFe膜、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)16を膜厚0.5nmのAl膜を酸化した酸化アルミニウム膜、磁化自由層(信号検出層)17を膜厚2nmのCoFe膜、導体層18を膜厚20nmのPt膜、キャップ層19を膜厚5nmのTa膜と選定し、また下地膜11と反強磁性層12との間に図示しない膜厚100nmのCu膜を設けて、各層を形成した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成2)として、磁気抵抗効果素子10の積層膜を作製した。
膜構成2:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)/Al(0.5nm)-Ox/CoFe(2nm)/Pt(20nm)/Ta(5nm)
上記膜構成において、PtMn膜の組成はPt50Mn50(原子%)、CoFe膜の組成はCo90Fe10(原子%)とした。
酸化アルミニウム膜から成るトンネルバリア層16以外の各層は、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。
酸化アルミニウム(Al−Ox)膜から成るトンネルバリア層16は、まず金属Al膜をDCスパッタ法により0.5nm堆積させて、その後に酸素/アルゴンの流量比を1:1とし、チャンバーガス圧を10Torrとして、自然酸化法により金属Al層を酸化させた。酸化時間は10分とした。
さらに、磁気抵抗効果素子10の各層を成膜した後に、磁場中熱処理炉で、10kOe・260℃・4時間の熱処理を行い、反強磁性層12のPtMn膜の規則化熱処理を行った。
次に、この積層膜を用いて磁気抵抗効果素子10を作製した。
まず、下部電極となる部分をフォトリソグラフィによってマスクした後に、下部電極以外の部分の積層膜に対してArプラズマにより選択エッチングを行うことにより、下部電極を形成した。この際に、下部電極部分以外は基板の深さ5nmまでエッチングされた。
その後、電子ビーム描画装置により磁気抵抗効果素子10のパターンのマスクを形成し、積層膜に対して選択エッチングを行い、磁気抵抗効果素子10を形成した。磁気抵抗効果素子10の部分以外は、Cu層直上までエッチングした。このとき、磁気抵抗効果素子10のパターンを、短軸0.09μm×長軸0.18μmの長方形状とした。なお、磁気再生ヘッドにおいては、高周波応答特性を確保するためにTMR素子のトンネル絶縁層の抵抗値を抑える必要があるため、磁気抵抗効果素子10の面積・抵抗値積(Ω・μm2)が10Ω・μm2となるようにした。
次に、磁気抵抗効果素子10の部分以外を、厚さ100nm程度のAlのスパッタリングによって絶縁した。
その後、フォトリソグラフィを用いて、上部電極を形成した。
このようにして、サンプル2の磁気抵抗効果素子の試料(実施例1)を作製した。
(サンプル3:実施例2)
図2に示した磁気抵抗効果素子20の構成とし、第1の導体層18を膜厚20nmのPt膜、第2の導体層22を膜厚6nmのCu膜と選定し、その他の構成はサンプル2(実施例1)と同様にして、磁気抵抗効果素子20の積層膜を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成3)として、磁気抵抗効果素子20の積層膜を作製した。
膜構成3:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/CoFe(2nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)/Al(0.5nm)-Ox/CoFe(2nm)/Cu(6nm)/Pt(20nm)/Ta(5nm)
その後も、サンプル2(実施例1)と同様にして、サンプル3の磁気抵抗効果素子の試料(実施例2)を作製した。
(ノイズの測定)
サンプル1〜サンプル3の各試料のノイズの測定を行った。
具体的には、信号検出の際のセンス電流として0.5mAの電流を流し、この状態で、外部磁界を与えない場合と、静止評価装置にて外部擬似信号磁界を与えた場合とにおいて、それぞれ出力に含まれるノイズを、スペクトルアナライザを使用して測定した。
測定した2つのスペクトル(磁界なしと磁界あり)を比較することにより、ノイズ信号を求めた。
そして、サンプル1(比較例)の試料のノイズ信号を1(基準値)として、ノイズ信号の相対値を求めた。
結果をまとめて表1に示す。
Figure 2006237154
表1の結果から、サンプル2及びサンプル3のように、磁化自由層(信号検出層)に対して導体層を設けた本発明の構成とすることにより、ノイズの発生を抑制することが可能であることがわかる。
次に、同じ膜構成において、340℃・1時間という、より高温の熱処理を行った磁気抵抗効果素子の試料(サンプル1〜サンプル3)を作製し、同様にノイズの測定を行った。
結果を表2に示す。
Figure 2006237154
表2の結果より、熱処理温度が高温になった場合、サンプル2(実施例1)ではバルクハウゼンノイズの増加によってノイズ信号が増加しているが、第2の導体層22を設けたサンプル3(実施例2)の場合はノイズの増加がなく、良好な特性を維持していることがわかる。
即ち、第2の導体層22を設けることにより、高温熱処理による磁化自由層(信号検出層)の磁気特性の劣化を抑制することがわかる。
本発明は、上述の各実施の形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態の磁気抵抗効果素子の概略構成図(断面図)である。 本発明の他の実施の形態の磁気抵抗効果素子の概略構成図(断面図)である。 CIP型検出方式の磁気ヘッドを模式的に示した図である。 CPP型検出方式の磁気ヘッドを模式的に示した図である。 従来のTMR素子から成る磁気抵抗効果素子の概略構成を示した断面図である。
符号の説明
10,20 磁気抵抗効果素子、11 下地層、12 反強磁性層、13,15 強磁性層、14 非磁性導体層、16 トンネルバリア層(トンネル絶縁層)、17 磁化自由層(信号検出層)、18 導体層(第1の導体層)、19 キャップ層、21 磁化固定層、22 第2の導体層

Claims (4)

  1. 磁化の向きが固定された磁化固定層と、磁化の向きを変化させることが可能な磁化自由層と、前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に設けられた非磁性層とを少なくとも有する積層膜が形成され、
    前記積層膜の膜面に略垂直な方向に電流が流される磁気抵抗効果素子であって、
    前記磁化自由層の近傍に、導体層が設けられ、
    前記導体層がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoから選ばれる一種以上を主成分とする
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記磁化自由層と前記導体層との間に、Ti,Cr,Cu,Ag,Au,Nb,Taから選ばれる一種以上を主成分とする第2の導体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第2の導体層の厚さが、1nm以上、20nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 磁化の向きが固定された磁化固定層と、磁化の向きを変化させることが可能な磁化自由層と、前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に設けられた非磁性層とを少なくとも有する積層膜が形成され、前記積層膜の膜面に略垂直な方向に電流が流される磁気抵抗効果素子を備え、
    前記磁気抵抗効果素子に対して、非磁性の導体層を介して上下に磁気シールドが配置された磁気ヘッドであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、前記磁化自由層の近傍に、導体層が設けられ、前記導体層がPd,Pt,Nd,Sm,Tb,Dy,Hoから選ばれる一種以上を主成分とする
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
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