JP2006233245A - マグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、耐食性及び密着性の良好な亜鉛めっき皮膜を形成する方法を提供すること。
【解決手段】 マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成してから亜鉛めっき浴に浸漬し、前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応を進行させることによって亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、亜鉛めっき皮膜が形成されたマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品及びその製造方法に関する。また、当該亜鉛めっき皮膜の上にさらに金属めっき皮膜が形成された製品及びその製造方法に関する。
マグネシウム及びマグネシウム合金は実用金属中で最も軽いために比強度が高く、放熱性も良好で、樹脂に比べてリサイクル性にも優れることから、近年、電気機器や自動車部品用途に広く用いられるようになってきている。中でも、小型軽量化の要求性能が高く、意匠性、リサイクル性の要求も高い電気機器の筐体、枠体、基板などとして好適に使用されている。多くの電気機器、特にデジタル電子機器においては、誤作動を防止するために、接地(アース)して電磁ノイズを除去することが重要であるが、このとき、導電性に優れる金属めっき皮膜を形成することによって接地特性を向上させることができる。また、マグネシウム又はマグネシウム合金の表面を他の金属皮膜で覆うことによって、外観や硬度に優れる製品を得ることもできる。
マグネシウム又はマグネシウム合金の表面に金属めっきを施す方法の代表的なものとしては、「Dow法」や「坂田法」が例示される。「Dow法」は、マグネシウム又はマグネシウム合金に対して、複雑な前処理を施した後で、亜鉛置換処理(ジンケート処理)を施してから、シアン化銅水溶液を用いてストライクめっきを行うものである。亜鉛置換処理によって、マグネシウムが酸化されて溶出すると同時に水溶液中の亜鉛イオンが還元されて析出する。このような方法は、例えば特許文献1に記載されている。また、「坂田法」は、酸性水溶液やアルカリ性水溶液を用いて複雑な前処理を施したマグネシウム又はマグネシウム合金に対して、ニッケル塩の水溶液を用いて無電解ストライクめっきを行うものである。
しかしながら、これらのめっき方法によって得られるめっき皮膜は、基材に対する密着性や耐食性が不十分である。これは、マグネシウムが実用金属の中で最も腐食しやすく、めっきを施しても簡単に耐食性を向上させることができないためであると考えられる。また、電解の最中に析出するめっき皮膜がマグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材を覆うまでの間も、基材の腐食が進行しやすく、密着性の良好なめっき皮膜を得ることが困難であるし、外観の美しいめっき皮膜を得ることも容易ではない。さらに、複雑な前処理を必要とすることもあって、これらのめっき方法は、広く一般的には普及していない。
マグネシウム又はマグネシウム合金に耐食性を付与する代表的な表面処理の方法の一つとして、化成処理が広く行われている。従来、六価のクロム元素を含有する溶液によって化成処理する方法が行われていたが、近年では、環境汚染を防止する観点から、クロム元素を含有しないノンクロムタイプの化成処理液が使われるようになってきている。これまで、リン酸系、シュウ酸系、スズ酸系、フッ化物系、マンガン系などの様々な化成処理液が報告されている。なかでも、リン酸マンガンを含む化成処理液が、皮膜の性能に優れているとされている。例えば、特許文献2には、カルシウムイオン、マンガンイオン、リン酸イオン及び酸化促進剤を含有し、pHが1〜3に調整された水性液剤からなる、マグネシウム含有金属用の化成処理液が記載されている。当該化成処理液を用いてマグネシウム含有金属を処理することによって、耐食性、防錆性、塗装密着性に優れた皮膜が形成されるとされている。
一方、陽極酸化処理は、一般に化成処理よりも耐食性に優れているとされており、マグネシウム又はマグネシウム合金に陽極酸化処理を施すことで優れた耐食性を付与することができる。代表的な処方として、「Dow17法」や「HAE法」と呼ばれる処方による陽極酸化処理が一般的に行われており、これによって実用上十分な耐食性を有する陽極酸化皮膜を形成することができる。特許文献3には、アンモニアとリン酸を含有するアルカリ性の水溶液からなる電解液に浸漬して陽極酸化処理して、導電性の陽極酸化皮膜を表面に有するマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品が記載されており、当該製品は、電気伝導性と優れた耐食性とを兼ね備えた陽極酸化皮膜をその表面に有するものであるため、電気機器の筐体として好適であるとされている。
陽極酸化皮膜上に金属めっきを施す試みがいくつか報告されている。例えば、特許文献4には、マグネシウムあるいはマグネシウム合金を、既知の陽極酸化法で処理して一次皮膜を形成した後、金属塩水溶液中で交流電解し、二次皮膜を生成する方法が記載されている。しかしながら、絶縁膜である陽極酸化皮膜上に電気めっきしようとしても、金属めっき皮膜を形成することは困難である。また、特許文献5には、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品を陽極酸化し、触媒化処理を施してから、無電解めっきする方法が記載されている。しかしながら、触媒に用いられるパラジウムは高価であるし、操作も煩雑である。また、無電解めっきによって形成されるめっき皮膜は、水素よりも貴な金属からなるものが中心であり、亜鉛めっき皮膜を形成することは困難である。
特開平4−311575号公報 特開平11−131255号公報 国際公開第03/080897号パンフレット 特開昭55−18540号公報 特開2002−235182号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に、均一な亜鉛めっき皮膜を形成する方法を提供することを目的とするものである。また、そうして得られた亜鉛めっき皮膜の上にさらに金属めっき皮膜を形成して、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、耐食性及び密着性の良好な金属めっき皮膜を形成する方法を提供することを目的とするものである。さらに、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜及び亜鉛めっき皮膜を有する製品を提供することを目的とするものである。
上記課題は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成してから亜鉛めっき浴に浸漬し、前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応を進行させることによって亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品の製造方法を提供することによって解決される。このとき、前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の自然電極電位が、前記基材の自然電極電位より低いことが好適である。
上記製造方法において、リン酸根を0.001〜1mol/L含有し、pHが8〜14である電解液に前記基材を浸漬し、陽極酸化皮膜を形成することが好適であり、このとき、前記電解液がアンモニア又はアンモニウムイオンを0.2〜5mol/L含有することが好ましい。また、マグネシウム元素を10〜60重量%、酸素元素を30〜65重量%及びリン元素を1〜30重量%含有する陽極酸化皮膜を形成することも好ましい。リン酸根を0.001〜3mol/L及び金属イオンを0.001〜3mol/L含有する化成処理液に前記基材を浸漬し、化成処理皮膜を形成することが好適であり、このとき、前記金属イオンがマンガンイオン又はカルシウムイオンであることが好ましい。また、リン元素を15〜45重量%、酸素元素を10〜45重量%及び金属元素を20〜60重量%含有する化成処理皮膜を形成することも好ましい。さらに、前記亜鉛めっき浴の亜鉛イオン含有量が0.001〜5mol/Lであり、pHが8〜15であることが好ましい。また、前記亜鉛めっき皮膜を形成してから電気めっき又は無電解めっきを施して、さらに金属めっき皮膜を形成することが、本発明の製造方法の好適な実施態様である。
また上記課題は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に厚さが0.1〜30μmの陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の上に直接、厚さが0.1〜8μmの亜鉛めっき皮膜を有することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品を提供することによっても解決される。このとき、前記亜鉛めっき皮膜の上に、さらに亜鉛以外の金属めっき皮膜を有することが、本発明の製品の好適な実施態様である。
本発明の製造方法によれば、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に、均一な亜鉛めっき皮膜を形成することができる。特に、複雑な形状の成形品であっても均一な皮膜の形成が可能である。また、そうして得られた亜鉛めっき皮膜の上にさらに金属めっき皮膜を形成して、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、耐食性及び密着性の良好な金属めっき皮膜を形成することができる。
また、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の上に直接亜鉛めっき皮膜を有することを特徴とする本発明の製品は、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、密着性の良好であるとともに、特に耐食性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成してから亜鉛めっき浴に浸漬し、前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応を進行させることによって亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品の製造方法である。
原料とするマグネシウム又はマグネシウム合金は、マグネシウムを主成分とするものであればよく、マグネシウム単体からなる金属であっても良いし、合金であっても良い。通常は、成形性、機械的強度、延性などを付与するためにマグネシウム合金が好適に使用される。マグネシウム合金としては、Mg−Al系合金、Mg−Al−Zn系合金、Mg−Al−Mn系合金、Mg−Zn−Zr系合金、Mg−希土類元素系合金、Mg−Zn−希土類元素系合金などが挙げられる。
陽極酸化処理又は化成処理に供されるマグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の形態は特に限定されない。ダイカスト法、チクソモールド法、プレス成形法、鍛造法などによって成形された成形品を用いることができる。成形時には、成形品の表面付近に形成される皺や中空部の内部に離型剤が残留する場合がある。陽極酸化処理する場合には、化成処理する場合に比べて、残留する離型剤を少なくすることが容易である。製品に残留する離型剤は、加熱された時に揮発して、めっき皮膜や樹脂塗膜にフクレを生じさせることがある。ここで、成形時に使用される離型剤としては、シリコーン化合物からなる離型剤が代表的である。
マグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品は、成形時に付着した離型剤などの有機物に由来する汚れを表面に有していることがあるので、脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂のための液としては界面活性剤やキレート剤を含有する水溶液が好適に使用される。必要に応じて脱脂処理した後で、酸性水溶液に浸漬してから、陽極酸化処理又は化成処理することが好ましい。酸性の水溶液に浸漬することによってマグネシウム又はマグネシウム合金の表面を適度にエッチングして、既に形成されている不十分な酸化皮膜や残存する有機物の汚れを除去することができる。酸性の水溶液としては特に限定されないが、リン酸水溶液が適度な酸性度を有しており好適である。リン酸水溶液を用いた場合には、エッチングと同時にリン酸マグネシウムが表面に形成されることもある。また、酸性水溶液に界面活性剤やキレート剤を配合して、脱脂処理を同時に行うこともできる。
また、こうして酸性の水溶液で処理した後で、さらにアルカリ性水溶液で洗浄してから陽極酸化処理又は化成処理に供することも好ましい。酸性水溶液中では不溶である成分(スマット)がマグネシウム又はマグネシウム合金の表面に付着していることがあることから、これを除去することが可能である。アルカリ性水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液が好適に使用される。
前記脱脂処理、酸性水溶液処理、アルカリ性水溶液処理のような各処理工程の後に、必要に応じて水洗や乾燥を施しても良い。こうして、必要に応じて前処理が施されたマグネシウム又はマグネシウム合金を、電解液に浸漬して陽極酸化するか、化成処理液に浸漬して化成処理する。
まず、陽極酸化処理する場合について説明する。陽極酸化処理に使用する電解液は特に限定されない。しかしながら、後に説明するように、「Dow17法」によって形成された陽極酸化皮膜に対しては、本発明の製造方法によって亜鉛めっき皮膜を形成することができなかった。「Dow17法」は、酸性フッ化アンモニウム、重クロム酸ナトリウム及びリン酸を含有する電解液を用いて陽極酸化する方法である。一方、アルカリ性のリン酸水溶液からなる電解液を用いて得られた陽極酸化皮膜に対しては、本発明の製造方法によって亜鉛めっき皮膜を形成することができた。したがって、リン酸根を0.001〜1mol/L含有し、pHが8〜14である水溶液からなる電解液に前記基材を浸漬し、陽極酸化皮膜を形成することが好適な方法として挙げられる。適当な量のリン酸根を含有することで、適当な量のリン元素が陽極酸化皮膜に含まれることになる。また、アルカリ性にすることでマグネシウム又はマグネシウム合金の不必要な溶出を防止することができる。電解液は、重金属元素を実質的に含有しないことが好ましい。ここで重金属元素とは、単体としての比重が4を超える金属元素のことをいい、従来の陽極酸化処理における代表的な電解液に含有されているものとして、クロム、マンガンなどが例示される。特に排出規制が厳しく有害なクロムを含有しないことが好ましい。
ここでいうリン酸根は、遊離のリン酸、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩などとして電解液中に含まれるものである。また、リン酸が縮合して得られるポリリン酸やその塩の場合には、それらが加水分解して得られるリン酸根の数だけリン酸根を含有しているとする。塩の場合には、金属塩であってもよいし、アンモニウム塩のような非金属の塩であっても良い。リン酸根の含有量は0.001mol/L以上であることが好適である。より好適には0.01mol/L以上であり、さらに好適には0.05mol/L以上である。特に、導電性や耐食性に優れた陽極酸化皮膜を得るためには、リン酸根の含有量は0.1mol/L以上であることが好適であり、より好適には0.15mol/L以上であり、さらに好適には0.2mol/L以上である。リン酸根の含有量は1mol/L以下であることが好適であり、より好適には0.7mol/L以下であり、さらに好適には0.5mol/L以下である。
電解液のpHは8〜14であることが好適である。より好適にはpHは9以上であり、さらに好適には10以上である。また、より好適にはpHは13以下であり、さらに好適には12以下である。電解液をアルカリ性にすることでマグネシウム又はマグネシウム合金の不必要な溶出を防止することができる。
また、電解液がアンモニア又はアンモニウムイオンを、それらの合計量として0.2〜5mol/L含有することが好ましい。これによって電解液のpHが適当なアルカリ性に保たれる。アンモニア又はアンモニウムイオンの含有量はより好適には0.5mol/L以上であり、さらに好適には1mol/L以上である。また、より好適には3mol/L以下であり、さらに好適には2mol/L以下である。
上記電解液の中に、必要に応じて前処理したマグネシウム又はマグネシウム合金を浸漬し、これを陽極として通電することで陽極酸化処理が行われる。使用する電源は特に限定されるものではなく、直流電源でも交流電源でも使用可能である。陰極材料は特に限定されず、例えばステンレス材などを好適に使用することができる。陰極の表面積は陽極酸化処理されるマグネシウム又はマグネシウム合金の表面積よりも大きいことが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、通常は10倍以下である。
通電するときの陽極表面の電流密度は通常0.1〜10A/dmである。好適には0.2A/dm以上であり、より好適には0.5A/dm以上である。また、好適には6A/dm以下であり、より好適には3A/dm以下である。通電時間は通常10〜2000秒である。好適には50秒以上であり、より好適には100秒以上である。また、好適には1000秒以下であり、より好適には500秒以下である。通電する際には、通電開始時の印加電圧は低いものの、時間の経過とともに印加電圧は上昇する。通電を終了する際の印加電圧は通常50〜600ボルトである。好適には100ボルト以上であり、より好適には150ボルト以上である。また、好適には500ボルト以下であり、より好適には400ボルト以下である。前述の「Dow17法」などにおいては、印加電圧を100ボルト未満に設定することが多いのに対して、アルカリ性リン酸水溶液を用いた陽極酸化処理では、比較的高い電圧に設定するのが好ましい。これによって、シリコーン離型剤などの不純物を含有する部分でも酸化反応が進行しやすくなり、マグネシウム又はマグネシウム合金の表面全体に密着性の良好な皮膜を形成しやすくなる。また、酸化反応に伴ってマグネシウム又はマグネシウム合金の表面から酸素ガスが盛んに発生するので、陽極酸化処理中に上記不純物が除去されやすくなる。通電中の電解液の温度は、通常5〜70℃である。好適には10℃以上である。また、好適には50℃以下であり、より好適には30℃以下である。
通電終了後、洗浄することにより、陽極酸化皮膜の表面に付着した電解液を除去する。洗浄に際しては、水のみではなく、その他の液を用いて洗浄することも好ましい。例えば、酸性水溶液で洗浄することによって、酸に溶解する不純物を除去し、皮膜表面を軽くエッチングすることができる場合がある。マグネシウム又はマグネシウム合金は、酸性水溶液の中では不安定であるため、比較的弱い酸性水溶液で洗浄することが好ましい場合が多い。酸性水溶液としてはリン酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液、硫酸水溶液などを使用することができる。一方、アルカリ性水溶液で洗浄することによって、アルカリに溶解する不純物を除去し、皮膜の欠陥を補修することができる場合がある。酸性水溶液の場合と異なり、アルカリ中ではマグネシウム又はマグネシウム合金は比較的安定なので、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強アルカリの高濃度の水溶液で洗浄することが好ましい場合が多い。また、界面活性剤を含有する水溶液で洗浄しても良い。場合によっては有機溶剤を使用して洗浄しても良い場合もある。以上のような洗浄操作の後、乾燥する。このようにして、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜が形成される。
こうして得られた陽極酸化皮膜は、絶縁膜であっても良いし導電性を有するものであっても構わない。例えば、電解液として、リン酸根の含有量が0.1mol/L以上のアルカリ性リン酸水溶液を使用する場合には、形成する膜厚によっては導電性を有する陽極酸化皮膜を形成することができる場合がある。例えば、相互に10mm離れた2つの端子間で測定した皮膜表面の抵抗値が10Ω以下である導電性陽極酸化皮膜を形成することができる。当該抵抗値は、陽極酸化皮膜の表面の相互に10mm離れた任意の2点に端子を押し付けて測定される抵抗値(Ω)である。マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の抵抗値は小さいことから、実質的には、測定用の端子と、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材との間に存在する陽極酸化皮膜の厚み方向の電気抵抗に相関する値が測定されるものである。前記抵抗値を、10Ω以下、あるいは10Ω以下とすることも可能である。一方、前記抵抗値が低すぎる場合には、製品の耐食性が低下するおそれがあり、好適には、0.1Ω以上であり、より好適には0.2Ω以上である。なお、表面処理していないマグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品の表面の抵抗値は、AZ91Dの場合で、通常0.1Ω未満の値を示す。
本発明で得られる陽極酸化皮膜は、表面に通電中のスパークに由来すると思われる多数の孔が存在する場合が多く、この点で化成処理皮膜とは相違する。陽極酸化皮膜の膜厚は、0.01〜30μmであることが好適である。より好適には0.1μm以上であり、さらに好適には0.5μm以上である。亜鉛めっき層を形成した後でも陽極酸化皮膜層を十分な厚みで残存させて、耐食性に特に優れた製品を得るためには、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、より好適には20μm以下であり、さらに好適には15μm以下である。通常、陽極酸化皮膜の膜厚が厚い方が耐食性は向上するが、あまり厚すぎる場合には製造コストが上昇するおそれがある。
本発明で形成される陽極酸化皮膜の化学組成は特に限定されるものではないが、マグネシウム元素を10〜60重量%、酸素元素を30〜65重量%含有するものが好適である。すなわち、マグネシウム又はマグネシウム合金が陽極酸化された結果の生成物である、酸化されたマグネシウムを構成成分として含有するものであることが好適である。マグネシウム元素の含有量はより好適には15重量%以上であり、さらに好適には18重量%以上である。また、より好適には45重量%以下であり、さらに好適には30重量%以下である。酸素元素の含有量はより好適には35重量%以上であり、さらに好適には40重量%以上である。また、より好適には60重量%以下であり、さらに好適には55重量%以下である。「Dow17法」で製造される陽極酸化皮膜の酸素濃度は上記範囲よりも低い場合が多い。
前記陽極酸化皮膜が、リン元素を1〜30重量%含有することが好適である。リン元素の含有量はより好適には10重量%以上であり、さらに好適には15重量%以上である。また、より好適には25重量%以下である。また、アルミニウム元素を1〜20重量%含有することも好適である。アルミニウム元素の含有量はより好適には2重量%以上である。また、より好適には10重量%以下であり、さらに好適には5重量%以下である。マグネシウム、酸素以外の上記元素を適当量含有することで、耐食性を損なうことなく、自然電極電位の低い皮膜が形成されるのかもしれない。本発明の陽極酸化皮膜は本発明の効果を阻害しない範囲内で上記以外の元素を含んでいても構わない。しかしながら、原料のマグネシウム合金が元々含有していたものを除き、重金属、特にクロム元素を実質的に含有しないことが好ましい。また、フッ素元素も実質的に含有しないことが好ましい。以上のようにして形成された陽極酸化皮膜は、亜鉛めっき皮膜を形成する際に、その化学組成が変化する場合がある。
次に、化成処理する場合について説明する。本発明で使用する化成処理液は、化成処理皮膜が形成されるものであれば、その種類は特に限定されない。従来から広く行われているクロム元素を含有する化成処理液を使用しても構わないが、環境汚染を防止する観点からは、クロム元素を含有しないノンクロムタイプの化成処理液を使用する方が好ましい。ノンクロムタイプの化成処理液としては、これまでに報告されている、リン酸系、シュウ酸系、スズ酸系、フッ化物系、マンガン系、ジルコニウム系、チタニウム系などの様々な化成処理液が使用可能である。
なかでもリン酸系の化成処理液を使用することが、高性能の化成処理皮膜を得ることができて好ましい。したがって、本発明で使用する化成処理液が、リン酸根を含有する水溶液であることが好ましい。リン酸根の好適な含有量は0.001〜3mol/Lである。リン酸根濃度が低すぎる場合には、得られる皮膜の耐食性が低下するおそれがある。リン酸根の濃度は、より好適には0.005mol/L以上であり、さらに好適には0.01mol/L以上である。特に耐食性に優れた皮膜を得るためには、0.02mol/L以上とすることが好ましい。一方、リン酸根濃度が高すぎる場合には、廃液の負荷が大きくなり、化成処理液のコストも増大するおそれがある。リン酸根の濃度は、より好適には1mol/L以下であり、さらに好適には0.5mol/L以下である。このとき、リン酸イオンの対イオンとなる金属イオンの好適な含有量は0.001〜3mol/Lである。金属イオンの濃度が低すぎる場合には、得られる皮膜の耐食性が低下するおそれがある。金属イオンの濃度は、より好適には0.005mol/L以上であり、さらに好適には0.01mol/L以上である。一方、金属イオンの濃度が高すぎる場合には、廃液の負荷が大きくなり、化成処理液のコストも増大するおそれがある。金属イオンの濃度は、より好適には1mol/L以下であり、さらに好適には0.5mol/L以下である。ここで、上記金属イオンの含有量とは、複数種類の金属イオンを含む場合には、その合計モル数を用いて計算されるものである。
また、本発明で使用する化成処理液に含まれる金属イオンが、マンガンイオン又はカルシウムイオンであることが高性能の化成処理皮膜を得ることができて好ましい。特に均一で耐食性に優れた皮膜を得るためには、マンガンイオン又はカルシウムイオンの含有量を0.02mol/L以上とすることが好ましい。ここで、上記マンガンイオン又はカルシウムイオンの含有量とは、マンガンイオンとカルシウムイオンの両方を含む場合には、その合計重量を用いて計算されるものである。本発明で使用する化成処理液が、マンガンイオンとカルシウムイオンの両方を含有することが、均一で耐食性に優れた皮膜を形成することが容易となって好ましい。この場合の両者のモル比(Mn2+/Ca2+)は、好適には5/95〜90/10であり、より好適には10/90〜80/20である。
また、本発明で使用する化成処理液のpHが6以下であることが好ましい。酸性の化成処理液を使用することによって、化成処理を行う際に基材の表面を適度にエッチングすることができ、結果として、耐食性に優れた化成処理皮膜を得ることができる。pHはより好適には4以下であり、さらに好適には3以下である。一方pHが低すぎると均質な化成処理皮膜の形成が困難になる場合もあり、pHは0以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることがさらに好ましい。
化成処理に要する時間は好適には1秒〜60分である。1秒未満の場合には、化成処理皮膜の形成が不十分となるおそれがある。より好適には2秒以上であり、さらに好適には5秒以上である。一方、化成処理に要する時間が長すぎる場合には、工程を簡略化したメリットが低下するおそれがある。より好適には30分以下であり、さらに好適には10分以下である。
以上のようにして化成処理された成形品は、適宜水洗され、乾燥される。その方法については、前述の陽極酸化処理の後の洗浄操作と同様である。このようにして、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品の表面に化成処理皮膜が形成される。成形品の表面に化成処理皮膜が形成されていることは、網目状のクラックが発生した表面形状からも理解できる。これは、一旦含水皮膜が形成された後で、その含水皮膜が乾燥するときの体積収縮によってクラックを形成しているものであり、化成処理皮膜が形成されていることが外観的に把握できるものである。ただし、化成処理皮膜の膜厚が薄い場合にはこのようなクラックを形成しない場合もある。形成される化成処理皮膜は導電性を有していても有していなくても構わない。形成される皮膜表面の抵抗値については、上述の陽極酸化皮膜の場合と同様である。
前述のように、リン酸系の化成処理液を使用することが好ましい。したがって、本発明で形成される化成処理皮膜がリン元素を含有することが好ましい。化成処理皮膜中のリン元素の含有量は15〜45重量%であることが好適である。リン元素の含有量は、より好適には20重量%以上であり、さらに好適には25重量%以上である。また、リン元素の含有量は、より好適には40重量%以下であり、さらに好適には35重量%以下である。化成処理皮膜中のリン原子は、化成処理液中のリン酸塩に由来するものであるために、酸素原子と結合していると推定される。したがって、金属元素とリン元素以外に、酸素元素も含有していることが好ましい。酸素元素の含有量は、10〜45重量%であることが好ましい。酸素元素の含有量は、より好適には15重量%以上であり、さらに好適には20重量%以上である。また、酸素元素の含有量は、より好適には40重量%以下であり、さらに好適には35重量%以下である。金属元素の含有量は、20〜60重量%であることが好適である。金属元素の含有量は、より好適には25重量%以上であり、さらに好適には30重量%以上である。また、金属元素の含有量は、より好適には55重量%以下であり、さらに好適には50重量%以下である。ここで、複数の金属元素を含む場合には、その合計の含有量を金属元素の含有量とする。
また前述のように、化成処理液が、マンガンイオン又はカルシウムイオンを含有することが好ましい。したがって、本発明で形成される化成処理皮膜が、金属元素としてマンガン元素又はカルシウム元素を含有することが好ましい。ここで、マンガン元素とカルシウム元素の両方を含む場合には、その合計の含有量をマンガン元素又はカルシウム元素の含有量とする。本発明で形成される化成処理皮膜が、マンガン元素とカルシウム元素の両方を含有することが、導電性を有する皮膜となりやすく好ましい。この場合の両者の重量比(Mn/Ca)は、好適には10/90〜90/10であり、より好適には20/80〜80/20、さらに好適には30/70〜70/30である。
化成処理皮膜には、化成処理液の処方によってその他の様々な元素が含まれていてもよく、上述の元素以外にも、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、クロム、ジルコニウム、チタン、スズ、ケイ素、窒素、硫黄、フッ素などの元素を含有する皮膜を形成させることもできる。
以上のようにして形成された陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を亜鉛めっき浴に浸漬し、陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応を進行させることによって亜鉛めっき皮膜を形成する。従来の亜鉛置換めっき(ジンケート処理)が、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に直接亜鉛めっき皮膜を形成するのに対し、本発明の製造方法では、一旦陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成してから、亜鉛めっき皮膜を形成する点が大きな特徴点である。
ジンケート処理に代表される置換めっきは、卑な金属からなる基材から貴な金属のイオンに電子が供給されて、当該基材の表面に貴な金属が析出するものである。これに対し、本発明の方法では、陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜から、亜鉛めっき浴中の亜鉛イオンに電子が供給されて亜鉛が析出して亜鉛めっき皮膜が形成されるようである。特に電流を流すことなく、また、めっき浴中に還元剤を含有させることなく、亜鉛イオンが還元されてめっき皮膜が形成される。陽極酸化皮膜も化成処理皮膜も金属元素を含有する化合物の皮膜であって、金属あるいは合金ではないが、これらから亜鉛イオンに電子が供給されて亜鉛めっき皮膜が形成されることは驚きである。
後の実施例に示されるように、アルカリ性リン酸水溶液を電解質として用いた陽極酸化皮膜の場合には、その皮膜が導電性を有するかどうかにかかわらず亜鉛めっき皮膜が形成される。しかしながら、「Dow17法」によって形成された陽極酸化皮膜の場合には、亜鉛めっき皮膜を形成することができなかった。亜鉛めっき皮膜の形成が可能であった陽極酸化皮膜の自然電極電位を測定したところ、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の自然電極電位よりも低い値を示した。一方、亜鉛めっき皮膜の形成が不可能であった陽極酸化皮膜の自然電極電位を測定したところ、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の自然電極電位よりも高い値を示した。したがって、基材よりも低い自然電極電位を有する皮膜が形成されている場合に、皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応が進行して亜鉛めっき皮膜が形成されるのではないかと推定される。これによって、基材よりも優先して皮膜が溶出して亜鉛に電子を供給しているようである。
後の実施例に示されるように、リン酸塩系の化成処理皮膜もクロメート処理による化成処理皮膜も亜鉛めっき皮膜の形成が可能であった。そしてこれらの化成処理皮膜の自然電極電位は、いずれも基材の自然電極電位よりも低い値を示した。したがって、化成処理皮膜においても、上記推定に従った結果が得られた。以上のことから、陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の自然電極電位が、前記基材の自然電極電位よりも低いことが好適であるということがいえる。
陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜が形成された成形品を亜鉛めっき浴に浸漬して、亜鉛めっき皮膜を形成する。亜鉛めっき浴としては、ジンケート処理用の市販のめっき液を使用することも可能である。亜鉛めっき浴は亜鉛イオンを0.001〜5mol/L含有する水溶液であることが好適である。亜鉛イオン濃度が低すぎるとめっき速度が遅くなったり、十分な膜厚の皮膜が得られなかったりするおそれがあり、より好適には0.01mol/L以上であり、さらに好適には0.05mol/L以上である。一方、亜鉛イオン濃度が高すぎると膜厚むらが発生しやすくなるとともに、廃液の処理負担も増大するので、より好適には1mol/L以下であり、さらに好適には0.5mol/L以下である。亜鉛めっき浴のpHが8〜15であることが好適である。マグネシウム又はマグネシウム合金は、酸性水溶液中では溶解しやすいので、亜鉛めっき浴をアルカリ性に保つことによって基材が溶出するのを防止しながらめっきすることができる。pHはより好適には10以上であり、より好適には14以下である。本発明の亜鉛めっき浴は、オルトリン酸、ピロリン酸(二リン酸)、三リン酸、メタリン酸などの各種のリン酸あるいはその塩を含有することが好ましい。なかでもピロリン酸塩を含有することが好適である。
陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜が形成された成形品を亜鉛めっき浴に浸漬すると、表面から気泡を発生しながら、亜鉛めっき皮膜が形成される。こうして、電流を流すことなく、まためっき浴に還元剤を含有させることなく、亜鉛めっき皮膜を形成することが可能である。マグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品に対して直接亜鉛置換処理する場合に比べて、より均質な皮膜を形成することが可能である。これは、成形品を鋳造する際に発生しやすい基材表面の不均質部分や欠陥の影響を、中間に形成された陽極酸化皮膜や化成処理皮膜が覆い隠しているからであると考えられる。本発明の方法によれば、複雑な形状を有する成形品に対しても均質な皮膜を形成することができる。
亜鉛めっき浴に浸漬する時間は、めっき浴の組成や目的とする亜鉛めっき皮膜の膜厚などに応じて適宜調整される。亜鉛めっき浴に浸漬する時間は好適には1〜60分である。1分未満の場合には、亜鉛めっき皮膜の形成が不十分となるおそれがある。浸漬時間はより好適には2分以上であり、さらに好適には5分以上である。一方、浸漬時間が長すぎる場合には、膜厚が厚くなり過ぎたり、作業性が低下したりするおそれがある。浸漬時間はより好適には40分以下であり、さらに好適には20分以下である。
形成される亜鉛めっき皮膜の膜厚は、0.1〜8μmであることが好ましい。膜厚が0.1μm未満である場合には、皮膜の付着していない部分が発生するおそれがあるとともに、引き続いて電気めっきを行う際の導電性が不十分になるおそれがある。膜厚は、より好適には0.2μm以上であり、さらに好適には0.4μm以上である。一方、膜厚が8μmを超える場合には、残存応力なども影響もあって密着性が悪化するおそれがあるとともに生産性も低下する。特に、複雑な形状の成形品である場合には、薄く均一な皮膜を付き回り性よく形成することが重要である。したがって、膜厚は、より好適には4μm以下であり、さらに好適には2μm以下であり、最適には1μm以下である。
化成処理皮膜は通常1μmよりも薄い膜厚を有する皮膜である。そのような化成処理皮膜を有する成形品に対し、亜鉛めっき皮膜を数μm程度形成することも可能である。このような場合、化成処理皮膜の量だけでは亜鉛イオンを還元する量には不十分なので、化成処理皮膜のみではなく、基材のマグネシウム又はマグネシウム合金も溶け出すことによって亜鉛めっき皮膜が形成されていると考えられる。すなわち、一定の膜厚が形成された後は、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材と亜鉛イオンとの間の酸化還元反応によって、さらに皮膜が形成されているものと推定される。したがって、本発明において形成される亜鉛めっき皮膜は、その一部が陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間の酸化還元反応によって形成されるものであればよく、全てがそうである必要はない。このような場合には、基材のマグネシウム又はマグネシウム合金の上に直接亜鉛めっき皮膜が形成されていると考えられる。このような場合でも、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、耐食性及び密着性の良好な金属めっき皮膜を得ることができる。しかしながら、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材と亜鉛めっき皮膜とが直接接触しているので、両者の間に発生する電位差によって腐食電流が流れてマグネシウムが酸化しやすくなる。したがって、めっき皮膜に対してマグネシウムの基材にまで達するような深い傷が発生した場合には、腐食しやすい場合がある。
逆に、厚い陽極酸化皮膜の表面にそれより薄い亜鉛めっき層を形成するような場合には、陽極酸化皮膜の一部だけが溶解してその上に亜鉛めっき皮膜が形成される。したがって、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を有し、当該陽極酸化皮膜の上に直接亜鉛めっき皮膜を有することになる。このような場合には、外観が美麗で、欠陥の発生が抑制され、密着性が良好であるとともに、特に耐食性に優れた製品を得ることができる。陽極酸化皮膜は、それ自体が耐食性に優れたものであるし、基材のマグネシウム又はマグネシウム合金と亜鉛めっき皮膜との間に陽極酸化皮膜が介在するので、腐食電流が流れてマグネシウムが酸化されるのを抑制することもできる。したがって、めっき皮膜に対してマグネシウムの基材にまで達するような深い傷が発生した場合であっても、腐食速度を抑制することが可能である。
ここで、陽極酸化皮膜の上に亜鉛めっき皮膜が形成された場合には、亜鉛めっき皮膜の形成に伴って陽極酸化皮膜の膜厚が減少すると考えられる。このときの、残存する陽極酸化皮膜の厚さは、0.1〜30μmであることが好適である。0.1μm未満の場合には、耐食性が低下するおそれがあり、より好適には0.2μm以上であり、さらに好適には0.5μm以上である。また、より好適には20μm以下であり、さらに好適には15μm以下である。
こうして形成された亜鉛めっきの上に、さらに金属めっき皮膜を形成することが本発明の好適な実施態様である。この場合、無電解めっきを施すことも可能であるし、電気めっきを施すことも可能である。成形品表面に導電性を有する亜鉛めっき皮膜が既に形成されていることから、その上に電気めっきを容易に施すことができる。パラジウムなどの高価な触媒を使用することなく、簡便な操作で任意の厚さの皮膜を容易に形成できることから、電気めっきを施すほうが好ましい。
こうして形成される金属めっき皮膜が、亜鉛、ニッケル、銅、金、銀、クロムからなる群から選択される金属又はそれらの金属の合金からなることが好ましい。実用的には、亜鉛以外の金属であることがより好ましい。亜鉛との組み合わせとしては、まず亜鉛の上に銅めっきを施すことが好適であり、これによってめっき皮膜表面の平滑性を改善できる。そして、その上に、ニッケル、クロム、金、銀からなる群から選択される金属又はそれらの金属の合金の皮膜を形成することによって、導電性、硬度、装飾性などに優れためっき皮膜を形成することが可能である。特に、pHが6以下の酸性のめっき浴を使用することが好ましく、そのような場合であっても得られるめっき皮膜に欠陥が発生するのを抑制でき、本発明の方法を採用する意義が大きい。pHが6以下の酸性浴を使用して電気めっきされることの多い金属としては、ニッケル、クロム、銅などが例示される。
電気めっきする際には、めっき浴の中に、亜鉛めっき皮膜を表面に有するマグネシウム又はマグネシウム合金からなる成形品を浸漬し、これを陰極として通電することで金属めっき皮膜が形成される。使用する電源は特に限定されるものではなく、直流電源でもパルス電源でも使用可能である。また、直流電源を使用する際には、定電流電解法と定電圧電解法のいずれを採用しても良いが、定電流電解法を採用することが好ましい。陽極材料は特に限定されず、形成しようとするめっき皮膜と同じ金属、あるいは白金、チタン、ステンレスなどを好適に使用することができる。電源として定電流電源を用いるときの陰極表面の電流密度は通常0.1〜10A/dm程度である。また、通電時間は通常10〜1000秒程度である。通電中の電解液の温度は、通常5〜70℃である。通電終了後、洗浄することにより、金属めっき皮膜の表面に付着しためっき液を洗浄除去し、乾燥して、金属めっき皮膜を表面に有する製品が得られる。複数の層のめっき皮膜を形成する場合には、このような操作を繰り返せばよい。
亜鉛めっき皮膜の上に形成される金属めっき皮膜の厚みは0.1〜100μmであることが好適である。金属めっき皮膜の厚みは、より好適には1μm以上であり、さらに好適には5μm以上である。また、より好適には50μm以下である。金属めっき皮膜の厚みは、めっきされる金属の種類や用途などによって適宜調整される。亜鉛めっき皮膜の上に形成される金属めっき皮膜の厚みは、亜鉛めっき皮膜よりも厚いことが好ましい。金属めっき皮膜の厚みは、より好適には亜鉛めっき皮膜の2倍以上、さらに好適には5倍以上であり、特に好適には10倍以上である。複数の層の金属めっき皮膜が形成される場合には、それらの合計の厚みである。使用に際しては、必要に応じて上塗りの塗装を施しても良い。
以上、本発明のマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品の製造方法について説明した。従来、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に形成された陽極酸化皮膜の上に直接亜鉛めっきを形成する方法は知られていなかった。したがって、そのような層構成の製品自体が新規なものである。すなわち、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に厚さが0.1〜30μmの陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の上に直接、厚さが0.1〜8μmの亜鉛めっき皮膜を有することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品を提供することによっても、本発明の課題を解決することができる。このような製品の製造方法は特に限定されないが、上述の方法が好適なものとして採用される。
金属めっき皮膜を表面に有する本発明のマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品は、軽量性、強度、意匠性、導電性などに優れており、各種の用途に使用することができる。携帯電話、パソコン、ビデオカメラ、スチルカメラ、光ディスクプレーヤー、ディスプレイ(CRT、プラズマ、液晶)、プロジェクターなどの電気機器の筐体や、自動車用部品、釣具などのレジャー用部品、福祉介護機器用部品などに使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例中での試験方法は以下の方法に従って行った。
(1)自然電極電位
試験片の平坦部分を切り出し、リード線を接続し、10mm×10mmの寸法の部分を除いてエポキシ樹脂でマスキングしてから、25℃、3.5重量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬した。窒素をバブリングしながら、参照極を飽和カロメル電極とし、基準極を白金とし、ルギン管を試験片に近接させて自然電極電位を測定した。
(2)陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の表面の抵抗値測定
三菱化学株式会社製低抵抗率計「ロレスターAP MCP−T400」を用い、二探針式プローブ「MCP−TP01」を使用して測定した。試験片の平坦部分で陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の表面に測定端子を押し付けるようにして抵抗値(Ω)を測定した。前記プローブは10mmの間隔で測定端子が配置されたものであり、端子はベリリウム合金に金めっきしたもので、その先端形状は直径2mmの円柱状であり、端子を陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の表面に押し付ける荷重は端子1個あたり240gである。
(3)皮膜の断面形状観察及び分析
試験片の平坦部分から試料を5mm×10mmの寸法に切断し、エポキシ樹脂に包埋してから、切断面を研磨して鏡面を得た。試料の断面方向から、日本電子株式会社製X線マイクロアナライザー「JXA−8100R」を用いて電子顕微鏡写真(SEM像)を撮影した。同時に、酸素(O)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びニッケル(Ni)の各元素の分布状況を示す写真も撮影した。また、この電子顕微鏡写真から各皮膜の膜厚を測定した。
(4)亜鉛めっき皮膜の外観観察
亜鉛めっき皮膜が形成された成形品の表面を実体顕微鏡で観察して、亜鉛めっき皮膜の付き回り性および均一性を以下の評価基準にしたがって評価した。
A:全体に亘って亜鉛めっき皮膜が均一に形成され、外観上のムラは全く観察されなかった。
B:未析出部分は観察されないが、外観上のムラが観察された。
C:一部に未析出部分が存在するとともに、析出部分には外観上のムラが観察された。
D:亜鉛めっき皮膜が形成されない。
(5)電気めっき皮膜の外観観察
電気めっき皮膜が形成された成形品の表面を実体顕微鏡で観察して、膨れや変色等の外観不良の発生状況を以下の評価基準にしたがって評価した。
A:膨れや変色がなく、美しい外観を有していた。
B:一部に膨れや変色が観察された。
C:膨れや変色の発生が激しい。
D:電気めっき皮膜が形成されない。
(6)耐食性の評価
電気めっき皮膜を形成した試料に対して、JIS Z2371に準拠して5%塩水噴霧試験を行い、腐食の発生状況及びめっき皮膜の剥離や膨れについて以下の評価基準にしたがって評価した。
A:96時間経過しても、腐食の発生、あるいはめっき皮膜の剥離や膨れは全く観察されなかった。
B:8時間経過したときには腐食の発生、あるいはめっき皮膜の剥離や膨れは全く観察されなかったが、96時間経過したときには一部に腐食の発生、あるいはめっき皮膜の剥離や膨れが観察された。
C:8時間経過したときに、一部に腐食の発生、あるいはめっき皮膜の剥離や膨れが観察された。
D:8時間経過したときに、腐食の発生、あるいはめっき皮膜の剥離や膨れが顕著に観察された。
(7)電気めっき皮膜の密着性の評価
試験片の平坦部分にカッターで一辺が2mmの正方形ができるように素地まで達する条痕を形成して、これを試験対象とした。JIS H8504に準拠した引きはがし試験方法にしたがって、条痕が形成されためっき面に粘着テープを貼り付け、これを急速にかつ強く引き剥がして、めっき皮膜の剥離や膨れについて以下の評価基準にしたがって評価した。
A:めっき皮膜の剥離や膨れは全く観察されなかった。
B:ごく一部にめっき皮膜の剥離や膨れが観察された。
C:ところどころにめっき皮膜の剥離や膨れが観察された。
D:めっき皮膜の剥離や膨れが顕著に観察された。
実施例1
マグネシウム90重量%、アルミニウム9重量%及び亜鉛1重量%からなるASTM No.AZ91Dのマグネシウム合金を原料とし、チクソモールド法にて製造された1200mm×40mmの外形寸法の携帯電話用基板を試験片として使用した。当該基板は、携帯電話の筐体内部に配置され、各種の電子部品を保持するための基板であり、基板表面からの接地性能が要求されるものである。当該基板は、液晶表示部が配置される大きな長方形の開口部2つと平坦部分とを有するとともに、屈曲部、貫通孔、スリット、突起などを多数有する複雑な形状の成形品である。この成形品を4重量%のリン酸と微量の界面活性剤を含有する酸性水溶液に浸漬してから、イオン交換水で洗浄した。続いて、10重量%の水酸化カリウムを含有するアルカリ性水溶液に浸漬してからイオン交換水で洗浄し、試験片表面を前処理した。前処理した試験片の自然電極電位は−1.6Vであった。
リン酸水溶液とアンモニア水とを混合して、リン酸根を0.25mol/L、アンモニア又はアンモニウムイオンをその合計量で1.5mol/L含有する電解液を調製し、20℃に保った。この電解液のpHは11であった。この中に前記前処理を施したマグネシウム合金試験片を陽極として浸漬して、陽極酸化処理を行った。このときの陰極としては、前記陽極の4倍の表面積を有するSUS316Lの板を使用した。定電流電源を使用し陽極表面の電流密度が1A/dmとなるようにして、約100秒の間通電した。通電開始時には低い印加電圧であったのが、通電終了時には、約220ボルトまで上昇した。通電開始とともに試験片から気体が発生し、それは通電終了まで継続した。また、通電開始の50秒後くらいから試験片表面でのスパーク発生が観察され、盛んなスパークの発生が通電終了まで継続した。通電終了後、イオン交換水で洗浄してから乾燥した。
これにより、2μmの厚みを有する陽極酸化皮膜が形成された。ここでいう膜厚とは、多数の孔を有するために局所的な膜厚ムラのある皮膜において、陽極酸化皮膜の表面から基材のマグネシウム合金面までの平均的な距離のことである。陽極酸化皮膜の表面の抵抗値は、0.2Ωであった。また、当該陽極酸化皮膜の自然電極電位は−1.75Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも低かった。当該陽極酸化皮膜は、酸素52重量%、マグネシウム22重量%、アルミニウム4重量%及びリン22重量%を含有するものである。
陽極酸化皮膜が形成された試料を水洗して、亜鉛めっき浴に浸漬した。亜鉛めっき浴は、以下の組成の水溶液であり、pHは13.5である。50〜55℃に維持しためっき浴に10分間浸漬した。浸漬している間、試料の表面から穏やかに気泡が発生し続け、膜厚0.5μmの亜鉛めっき皮膜が形成された。得られた亜鉛めっき皮膜の表面を実体顕微鏡で観察して外観を評価した。
・硫酸亜鉛:30g/L
・ピロリン酸ナトリウム:120g/L
・フッ化リチウム:3g/L
・炭酸ナトリウム:5g/L
亜鉛めっき皮膜が形成された試料を水洗して、銅めっき浴に浸漬して電気めっきを施した。銅めっき浴は、以下の組成の水溶液である。55℃に維持しためっき浴に浸漬し、電流密度3A/dmにて5分間通電し、膜厚5μmの銅めっき皮膜が形成された。
・シアン化第一銅:50g/L
・シアン化カリウム:15g/L
・水酸化カリウム:15g/L
銅めっき皮膜が形成された試料を水洗して、ニッケルめっき浴に浸漬して電気めっきを施した。ニッケルめっき浴は、以下の組成の水溶液である。55℃に維持しためっき浴に浸漬し、電流密度6A/dmにて10分間通電し、膜厚10μmのニッケルめっき皮膜が形成された。
・硫酸ニッケル:280g/L
・塩化ニッケル:45g/L
・ホウ酸:35g/L
・光沢剤G−1(上村工業株式会社製):10g/L
・光沢剤G−2(上村工業株式会社製):0.3g/L
こうしてニッケルめっきが形成された試料を水洗して、ニッケルめっき皮膜の表面を実体顕微鏡で観察して外観を評価した。また、電気めっき皮膜の耐食性と密着性についても評価した。以上の評価結果をまとめて表1に示す。また、得られた皮膜の断面を、X線マイクロアナライザーで観察した結果を図1に示す。
実施例2
実施例1と同じ電解液を用い、通電時間を約450秒に延長した以外は実施例1と同様の条件で陽極酸化処理を行った。通電開始時には低い印加電圧であったのが、通電終了時には約370ボルトまで上昇した。通電開始とともに試験片から気体が発生し、それは通電終了まで継続した。また、通電開始の50秒後くらいから試験片表面でのスパーク発生が観察され、盛んなスパークの発生が通電終了まで継続した。通電終了後、実施例1と同様に洗浄してから乾燥した。
これにより、12μmの厚みを有する陽極酸化皮膜が形成された。ここでいう膜厚とは、多数の孔を有するために局所的な膜厚ムラのある皮膜において、陽極酸化皮膜の表面から基材のマグネシウム合金面までの平均的な距離のことである。陽極酸化皮膜の表面の抵抗値は、測定に使用した抵抗率測定器の測定限界の10Ωを超えた。また、当該陽極酸化皮膜の自然電極電位は−1.68Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも低かった。当該陽極酸化皮膜の組成は、実施例1と同様である。
こうして得られた陽極酸化皮膜が形成された試料に対して実施例1と同様にして亜鉛めっき皮膜を形成して評価を行った。また、引き続き実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
実施例3
実施例1において陽極酸化する代わりに化成処理を行った。化成処理液として、ミリオン化学株式会社製化成処理液「MC−1000」75gをイオン交換水で希釈調製して1Lとしたものを使用した。ここで、「MC−1000」の75g/L希釈調製品の、マンガンイオン(Mn2+)の含有量は0.038mol/Lであり、カルシウムイオン(Ca2+)の含有量は0.148mol/Lであり、リン酸イオン(PO 3−)の含有量は0.206mol/Lであり、そのpHは1.5であった。80℃に維持した上記化成処理液の中に3分間浸漬して、化成処理皮膜を形成した。
得られた化成処理皮膜の表面の抵抗値は、測定に使用した抵抗率測定器の測定限界の10Ωを超えた。また、当該化成処理皮膜の自然電極電位は−1.74Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも低かった。当該化成処理皮膜は、酸素28重量%、リン29重量%、カルシウム19重量%及びマンガン24重量%を含有するものである。
こうして得られた化成処理皮膜が形成された試料に対して実施例1と同様にして亜鉛めっき皮膜を形成して評価を行った。また、引き続き実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。また、得られた皮膜の断面を、X線マイクロアナライザーで観察した結果を図2に示す。
実施例4
実施例3において、化成処理液の温度を30℃に変更し、浸漬時間を15秒に変更した以外は実施例3と同様にして化成処理皮膜を形成した。得られた化成処理皮膜の表面の抵抗値は、約1Ωであった。また、当該化成処理皮膜の自然電極電位は−1.74Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも低かった。当該化成処理皮膜の組成は、実施例3と同様である。こうして得られた化成処理皮膜が形成された試料に対して実施例1と同様にして亜鉛めっき皮膜を形成して評価を行った。また、引き続き実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
実施例5
実施例3において、化成処理液として、日本パーカライジング株式会社製化成処理液「マグボンドMB−C10M」を用いた以外は実施例1と同様にして化成処理を行った。上記化成処理液は、いわゆるクロメート処方を行うための化成処理液である。「マグボンドMB−C10M」は以下の組成の水溶液であり、これを75g/Lの割合でイオン交換水を用いて希釈し、さらにアンモニア水(28重量%)を0.7g/Lの割合で添加した。こうして調整された化成処理液に50℃で30秒浸漬して化成処理を行った。
・無水クロム(IV)酸:10〜15重量%
・硝酸亜鉛:10〜15重量%
・硫酸亜鉛:1〜5重量%
・酸化クロム(III):1〜5重量%
・重クロム酸アンモニウム:1〜5重量%
・リン酸亜鉛:0.1〜1重量%
・フッ化水素:0.1〜1重量%
・水:残余の重量
得られた化成処理皮膜の表面の抵抗値は、測定に使用した抵抗率測定器の測定限界の10Ωを超えた。また、当該化成処理皮膜の自然電極電位は−1.78Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも低かった。こうして得られた化成処理皮膜が形成された試料に対して実施例1と同様にして亜鉛めっき皮膜を形成して評価を行った。また、引き続き実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
比較例1
実施例1と同様に前処理して乾燥したマグネシウム合金製成形品に対し、陽極酸化処理を施すことなく、直接実施例1と同様にして亜鉛めっき皮膜を形成して評価を行った。また、引き続き実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
比較例2
実施例1と同様にして導電性を有する陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化皮膜が形成された試料を水洗して、亜鉛めっき浴に浸漬することなく、実施例1と同様にして電気めっきを行い、銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜をこの順番に形成して評価を行った。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
比較例3
実施例1で行ったアルカリ性リン酸水溶液での陽極酸化処理を施す代わりに、「Dow17法」による陽極酸化処理を施した。下記組成の電解液を調整し、70〜80℃に保った。この電解液のpHは2.5であった。この中に前処理を施したマグネシウム合金試験片を陽極として浸漬して、陽極酸化処理を行った。このときの陰極としては、前記陽極の4倍の表面積を有するSUS316Lの板を使用した。定電流電源を使用し陽極表面の電流密度が2A/dmとなるようにして、240秒の間通電した。通電開始時には低い印加電圧であったのが、通電終了時には約80ボルトまで上昇した。通電開始とともに試験片から気体が発生し、それは通電終了まで継続した。通電終了後、イオン交換水で洗浄してから乾燥した。
・酸性フッ化アンモニウム:300g/L
・重クロム酸ナトリウム二水塩:100g/L
・リン酸(85重量%):90mL/L
これにより、5μmの厚みを有する陽極酸化皮膜が形成された。ここでいう膜厚とは、多数の孔を有するために局所的な膜厚ムラのある皮膜において、陽極酸化皮膜の表面から基材のマグネシウム合金面までの平均的な距離のことである。陽極酸化皮膜の表面の抵抗値は、測定に使用した抵抗率測定器の測定限界の10Ωを超えた。また、当該陽極酸化皮膜の自然電極電位は−1.58Vであり、マグネシウム合金基材の自然電極電位の−1.6Vよりも高かった。当該陽極酸化皮膜は、マグネシウム26重量%、酸素26重量%、リン11重量%、アルミニウム1重量%、フッ素23重量%、クロム9重量%及びナトリウム4重量%を含有するものである。陽極酸化皮膜が形成された試料に対して実施例1と同様にして亜鉛めっき浴に浸漬したが、亜鉛めっき皮膜は形成されなかった。その後の電気めっきも不可能であった。したがって、電気めっき皮膜の評価は行わなかった。以上の評価結果をまとめて表1に示す。
表1からわかるように、マグネシウム合金基材に陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成した後で亜鉛めっき浴に浸漬して亜鉛めっき皮膜を形成させ、引き続き電気めっきした実施例1〜5では、外観の優れた金属めっき皮膜を得ることができた。また、これらの実施例では、耐食性及び密着性も良好であり、特に陽極酸化皮膜を形成した実施例1及び2は耐食性及び密着性に優れていた。これに対し、マグネシウム合金基材を直接亜鉛めっき浴に浸漬して亜鉛めっきを形成させ、引き続き電気めっきした比較例1では、金属めっき皮膜の外観、耐食性及び密着性のいずれもが不十分であった。また、導電性の陽極酸化皮膜を形成してから、直接電気めっきを行った比較例2では、外観が不十分であった。さらに、Dow17法による陽極酸化皮膜を形成した場合には亜鉛めっき浴に浸漬しても亜鉛めっき皮膜を形成させることができなかった。そのため、その後の電気めっきを施すことが不可能であった。
また、図1には実施例1で形成された皮膜の断面を撮影、分析したものを示し、図2には実施例3で形成された皮膜の断面を撮影、分析したものを示す。一番下がマグネシウム合金基材であり、その上に皮膜が形成されている。SEM像からわかるように、図2のマグネシウム合金基材では研磨面に凹凸の発生が観察された。撮影に供した試料は濡れた状態で研磨して平滑にしたものであるが、実施例3では研磨時に研磨面から水中にマグネシウムが溶出したものと考えられる。図2の試料においても皮膜から15μm程度離れた部分では、もはやこのような凹凸は観察されなかった。したがって、亜鉛皮膜が直接接触して腐食電流が流れることによって、皮膜近傍のマグネシウムが酸化されて溶出したものと考えられる。図2のマグネシウム分布写真において基材の上端部のマグネシウム濃度が低いように見えるのは、凹凸のために正反射が少なくなったためであると考えられる。これに対し、図1のマグネシウム合金基材の研磨面は平坦であった。このことから、基材の表面に陽極酸化皮膜を介して亜鉛めっき皮膜が形成された実施例1では、基材と亜鉛めっき皮膜とが直接接触している実施例3よりも耐食性に優れるといえる。特に、めっき皮膜に対してマグネシウム合金基材にまで達するような深い傷が発生した場合の耐食性に優れるといえる。
図1では、SEM像において、マグネシウム合金基材の上に、濃色の陽極酸化皮膜が1〜2μm程度の厚みで存在することが確認できる。この部分では、マグネシウム分布写真においてマグネシウム濃度が低下しているとともに、酸素分布写真において酸素の存在が認められる。しかしながら、リン分布写真ではリンの存在は観察されなかった。これまでの発明者の知見からは、実施例1で形成される陽極酸化皮膜には、十分に観察可能な量のリンが含まれていることがわかっているから、亜鉛イオンが還元される際に、選択的にリンが溶出しているようである。すなわち、元の陽極酸化皮膜に比べてリン濃度が低下しているものと考えられる。一方、図2では、化成処理皮膜の存在は認められなかった。
図1の亜鉛分布写真から、陽極酸化皮膜の上に約0.5μmの厚みで薄く均一に亜鉛めっき皮膜が形成されていることがわかる。これに対し、図2に示されるように、化成処理皮膜を形成してから亜鉛めっき皮膜を形成した場合には、亜鉛めっきのムラが大きいようである。形成された亜鉛めっきの上には、図1、図2ともに、問題なく銅めっき皮膜及びニッケルめっき皮膜が形成されていることがわかる。写真の一番上は、包埋に使用したエポキシ樹脂である。
実施例1で形成された皮膜について、皮膜断面をX線マイクロアナライザーで観察し、断面形状を示した写真(SEM像)と、各元素の分布状況を示した写真とを合成したものである。 実施例3で形成された皮膜について、皮膜断面をX線マイクロアナライザーで観察し、断面形状を示した写真(SEM像)と、各元素の分布状況を示した写真とを合成したものである。

Claims (12)

  1. マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜を形成してから亜鉛めっき浴に浸漬し、前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜と亜鉛イオンとの間で酸化還元反応を進行させることによって亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品の製造方法。
  2. 前記陽極酸化皮膜又は化成処理皮膜の自然電極電位が、前記基材の自然電極電位よりも低い請求項1記載の製品の製造方法。
  3. リン酸根を0.001〜1mol/L含有し、pHが8〜14である電解液に前記基材を浸漬し、陽極酸化皮膜を形成する請求項1又は2記載の製品の製造方法。
  4. 前記電解液がアンモニア又はアンモニウムイオンを0.2〜5mol/L含有する請求項3記載の製品の製造方法。
  5. マグネシウム元素を10〜60重量%、酸素元素を30〜65重量%及びリン元素を1〜30重量%含有する陽極酸化皮膜を形成する請求項1又は2記載の製品の製造方法。
  6. リン酸根を0.001〜3mol/L及び金属イオンを0.001〜3mol/L含有する化成処理液に前記基材を浸漬し、化成処理皮膜を形成する請求項1又は2記載の製品の製造方法。
  7. 前記金属イオンがマンガンイオン又はカルシウムイオンである請求項6記載の製品の製造方法。
  8. リン元素を15〜45重量%、酸素元素を10〜45重量%及び金属元素を20〜60重量%含有する化成処理皮膜を形成する請求項1又は2記載の製品の製造方法。
  9. 前記亜鉛めっき浴の亜鉛イオン含有量が0.001〜5mol/Lであり、pHが8〜15である請求項1〜8のいずれか記載の製品の製造方法。
  10. 前記亜鉛めっき皮膜を形成してから、電気めっき又は無電解めっきを施して、さらに金属めっき皮膜を形成する請求項1〜9のいずれか記載の製品の製造方法。
  11. マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材の表面に厚さが0.1〜30μmの陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の上に直接、厚さが0.1〜8μmの亜鉛めっき皮膜を有することを特徴とするマグネシウム又はマグネシウム合金からなる製品。
  12. 前記亜鉛めっき皮膜の上に、さらに亜鉛以外の金属めっき皮膜を有する請求項11記載の製品。
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