JP2006231607A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 記録ヘッドとインクタンクとの間に配設される中間タンク内に残留する空気を効率良く除去して、インク中の水分の蒸発やそれに起因するインクの増粘を防止し、インクを長期間にわたり安定的に吐出可能なインクジェットプリンタを提供し、中間タンクからオーバーフローしたインクを再利用可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】 インクジェットプリンタ1は、記録媒体Pに対してカチオン重合系紫外線硬化型インク4または粘度が10〜50[mPa・s]のインク4を吐出するための記録ヘッド3と、記録ヘッド3に供給するインク4を貯蔵するためのインクタンク10と、記録ヘッド3とインクタンク10との間に配設された中間タンク11と、中間タンク11内の空気を除去するための空気除去手段17、24とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】 インクジェットプリンタ1は、記録媒体Pに対してカチオン重合系紫外線硬化型インク4または粘度が10〜50[mPa・s]のインク4を吐出するための記録ヘッド3と、記録ヘッド3に供給するインク4を貯蔵するためのインクタンク10と、記録ヘッド3とインクタンク10との間に配設された中間タンク11と、中間タンク11内の空気を除去するための空気除去手段17、24とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットプリンタに係り、特に高粘度インクやカチオン重合系紫外線硬化型インクを用いて画像記録を行うインクジェットプリンタに関する。
近年、種々の記録媒体に対して高精細な記録が可能な記録装置として、インクジェット方式を用いたインクジェットプリンタが広く普及している。インクジェットプリンタは、記録媒体に対向する記録ヘッドを有し、記録ヘッドに設けられた多数のノズルからインクを吐出し、記録媒体に着弾させて記録を行う。
インクジェットプリンタに採用される記録方式は、主に、記録媒体の搬送方向に直交する方向への記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送とを交互に繰り返しながら記録を行うシリアル方式と、記録媒体上に位置固定された記録ヘッドから搬送される記録媒体に対して記録を行うライン方式とに大別される。
これらのインクジェットプリンタでは、記録ヘッドにインクを的確に供給するために記録ヘッドとインクタンクとの間でインクを一時的に貯蔵するための中間タンクが配置されたり、この中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクが設けられたりすることが多い(例えば、特許文献1等参照)。
特開2001−310481号公報
ところで、このようなインクジェットプリンタに使用されるインクとしてカチオン重合系の紫外線硬化型インクを用いる場合、カチオン重合系紫外線硬化型インクにはインク内部の水分が蒸発することで増粘し易いという特徴があり、インクが増粘すると、インク供給系においてインクの供給が困難になったり記録ヘッドからのインクの吐出不良が生じ易くなる等の不具合が生じる。
このような増粘による不具合の発生は10〜50[mPa・s]程度の粘度が高いインクでも同様に問題となり、小さな粘度変化でもインクの射出性に影響が出て、記録画像の画質の低下が生じ易くなる。そのため、これらのインクを使用するインクジェットプリンタでは、通常、インクタンクから中間タンクを経て記録ヘッドに至るインク供給系が外気に開放されない、いわゆる密閉系として構成されることが必要となる。
しかしながら、従来のインクジェットプリンタでは、前述したように中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクは配置されていても、中間タンク内に残留する空気を積極的に除去するように構成されていないことが多いので、密閉系として構成しても、例えば、インク導入時やインク交換時に入り込んだ空気が中間タンク等の内部に残留し、その空気にインク中の水分が蒸発してインクの増粘が生じるという問題が生じてしまう。
一方、前記特許文献1に記載されているように、種々の色インクを使用するインクジェットプリンタであってもオーバーフロータンクは通常1個しか設けられないので、オーバーフロータンク内で複数の色インクが混ざり合うとそのインクは廃棄するしかなく、インクが無駄に消費されてしまうという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、記録ヘッドとインクタンクとの間に配設される中間タンク内に残留する空気を効率良く除去して、インク中の水分の蒸発やそれに起因するインクの増粘を防止し、インクを長期間にわたり安定的に吐出可能なインクジェットプリンタを提供することである。また、本発明は、中間タンクからオーバーフローしたインクを再利用可能なインクジェットプリンタを提供することをも目的とする。
前述の問題を解決するために、請求項1に記載のインクジェットプリンタは、
記録媒体に対してカチオン重合系紫外線硬化型インクまたは粘度が10〜50[mPa・s]のインクを吐出するための記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給するインクを貯蔵するためのインクタンクと、
前記記録ヘッドと前記インクタンクとの間に配設された中間タンクと、
前記中間タンク内の空気を除去するための空気除去手段と
を備えることを特徴とする。
記録媒体に対してカチオン重合系紫外線硬化型インクまたは粘度が10〜50[mPa・s]のインクを吐出するための記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給するインクを貯蔵するためのインクタンクと、
前記記録ヘッドと前記インクタンクとの間に配設された中間タンクと、
前記中間タンク内の空気を除去するための空気除去手段と
を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ1では、カチオン重合系紫外線硬化型インクまたは粘度が10〜50[mPa・s]のインクがインクタンクから中間タンクを経て記録ヘッドに供給され、記録ヘッドから記録媒体に対して吐出されて画像記録が行われる。また、インクジェットプリンタ1は、中間タンク内の空気を除去するための空気除去手段を備えていて、インク導入時やインクタンクの交換時等にインク供給系に混入し中間タンク内に残留する空気を除去する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記中間タンクは、柔軟性を備え、かつ、紫外線を遮光する素材で形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、中間タンクは、その柔軟性により内部のインク量の増減にあわせて変形し、また、外界から到達する紫外線を遮断して内部に透過することを防止する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記空気除去手段は、前記中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクと、前記オーバーフロータンクに接続され前記オーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置とを備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、空気除去手段は、オーバーフロータンクとそれに接続された加減圧装置等により構成され、加減圧装置を駆動させてオーバーフロータンク内を減圧して中間タンク内の空気を吸引することで中間タンク内の空気を除去する。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記ディストリビュータ内の空気を除去するように構成されていることを特徴とする。
前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記ディストリビュータ内の空気を除去するように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、インクジェットプリンタにインクを記録ヘッドに分配するためのディストリビュータが設けられることがあるが、そのような場合には、空気除去手段は、ディストリビュータ内の空気をも除去する。
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクと、前記オーバーフロータンクに接続され前記オーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置とを備え、
前記ディストリビュータと前記オーバーフロータンクとが接続されており、
前記加減圧装置の駆動により前記オーバーフロータンク内を減圧して前記ディストリビュータ内の空気を吸引して除去するように構成されていることを特徴とする。
前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクと、前記オーバーフロータンクに接続され前記オーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置とを備え、
前記ディストリビュータと前記オーバーフロータンクとが接続されており、
前記加減圧装置の駆動により前記オーバーフロータンク内を減圧して前記ディストリビュータ内の空気を吸引して除去するように構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、ディストリビュータが設けられたインクジェットプリンタにオーバーフロータンクとそれに接続された加減圧装置等により構成された空気除去手段を設け、ディストリビュータとオーバーフロータンクとを接続し、加減圧装置を駆動させてオーバーフロータンク内を減圧して中間タンクのみならずディストリビュータ内の空気をも吸引して除去する。
請求項6に記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記加減圧装置の駆動により前記オーバーフロータンク内を加圧して前記オーバーフロータンク内のインクを圧送して記録ヘッドに供給するように構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、中間タンクやディストリビュータからの空気の除去の際にオーバーフロータンクに流出したインクを加減圧装置の駆動により圧送してインク供給系に戻し、記録ヘッドに供給する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記オーバーフロータンク内のインクを前記ディストリビュータに圧送することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、中間タンクやディストリビュータからの空気の除去の際にオーバーフロータンクに流出したインクを加減圧装置の駆動によりディストリビュータに圧送してインク供給系に戻し、記録ヘッドに供給する。
請求項8に記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記オーバーフロータンクの内部に、インク貯蔵量を検知する検知手段が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、空気除去手段を構成するオーバーフロータンク内に設置された液面検出センサ等の検知手段でオーバーフロータンク内のインク貯蔵量を検知する。
請求項1に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ1は、空気除去手段によりインク導入時やインクタンクの交換時にインク供給系に混入し中間タンク内に残留する空気を効率良くかつ確実に除去することができるため、中間タンク等のインク供給系内のインクが空気に曝されてインク中の水分が蒸発することを有効に防止することが可能となる。
特に、インクがカチオン重合系紫外線硬化型インクであったり10〜50[mPa・s]の高粘度のインクである場合には、水分の蒸発が生じるとインクが増粘してインクの供給が困難になったり吐出不良を生じたりするが、本発明によれば前記のように水分の蒸発を確実に防止することができるから、このような事態の発生が確実に抑制され、インクを長期間にわたり安定的に記録ヘッドから吐出させることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明の効果に加え、中間タンクは、その柔軟性により内部のインク量の増減にあわせて変形するため、内部のインク量が減少しても空気の混入を防止することができ、記録ヘッドからインクを安定的に吐出されるために必要な背圧を一定の範囲内に調整することが可能となる。また、中間タンクが外界から到達する紫外線を遮断して内部に透過することを防止する素材で構成されていれば、紫外線硬化型インクが紫外線を吸収して硬化することを防止することができ、インク供給系内でのインクの増粘をより有効に防止することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、空気除去手段は、オーバーフロータンクとそれに接続された加減圧装置等により構成され、加減圧装置を駆動させてオーバーフロータンク内を減圧して中間タンク内の空気を吸引することで中間タンク内の空気を除去する。そのため、通常のインクジェットプリンタに備えられているオーバーフロータンクを活用することができると同時に、中間タンク等から空気を吸引する際にオーバーフロータンクに中間タンク内のインクが流出したことを検出することで中間タンク等の中から空気が完全に除去されたことを容易かつ確実に確認することが可能となるため、前記各請求項に記載の発明の効果がより的確に発揮される。
請求項4に記載の発明によれば、ディストリビュータが設けられたインクジェットプリンタでは、ディストリビュータ内に空気が混入して残留している場合があるが、空気除去手段で中間タンクだけでなくこのようなディストリビュータ内に残留する空気をも確実に除去することで、前記各請求項に記載の発明の効果がより有効に発揮される。
請求項5に記載の発明によれば、インクジェットプリンタのディストリビュータ内に残留する空気を除去する際に、中間タンクからの空気の除去の場合と同様にオーバーフロータンクとそれに接続された加減圧装置等により構成された空気除去手段を用いることで、ディストリビュータからの空気の除去についても前記請求項3に記載された発明の効果を発揮させることができ、本発明の効果がより的確に発揮される。
請求項6に記載の発明によれば、中間タンクやディストリビュータからの空気の除去の際にオーバーフロータンクに流出したインクを加減圧装置の駆動により圧送してインク供給系に戻し、記録ヘッドに供給する。そのため、前記各請求項に記載の発明の効果に加え、中間タンク等からオーバーフローしたインクを再利用することができ、インクの無駄な消費を防止することが可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、前記請求項6に記載の発明において、オーバーフロータンクに流出したインクをディストリビュータに圧送することで、特にインクの初期導入時等においてはインクを記録ヘッドのノズル先端まで確実に供給することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、空気除去手段を構成するオーバーフロータンク内に設置された液面検出センサ等の検知手段でオーバーフロータンク内のインク貯蔵量を検知することで、中間タンクやディストリビュータから空気を吸引する際にオーバーフロータンクに中間タンク等のインクが流出したことを自動的に検知することが可能となり、中間タンク等の中から空気が完全に除去されたことを容易かつ確実に確認することが可能となる。また、そのため、前記各請求項に記載の発明の効果がより的確かつ効率的に発揮される。
以下、本発明に係るインクジェットプリンタの実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、図1や図2に示されるようなライン方式のインクジェットプリンタ1について説明するが、本発明が適用されるインクジェットプリンタはライン方式に限定されない。なお、インクジェットプリンタ1の記録部については、図1では、記録ヘッド3を記録媒体Pの搬送方向上流から見た図を、また、図2では、記録ヘッド3を横方向から見た図をそれぞれ示す。
インクジェットプリンタ1の記録部には、画像が記録される記録媒体Pを裏面側から支持する平板状のプラテン2が配設されており、プラテン2の両端側には、記録媒体Pを図中矢印Xで示される搬送方向に搬送するための図示しない搬送ローラがそれぞれ配設されている。
プラテン2の上方には、記録ヘッド3が記録媒体Pの幅方向に延在するように配設されており、記録ヘッド3の記録媒体Pに対向する面には、記録媒体Pに対してインク4を吐出するためのノズル5が設けられている。
記録ヘッド3は、画像記録に用いられるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の色インクに対応して複数設けられており、通常、それぞれ色インクごとにさらに複数の記録ヘッド3が用いられる。図1および図2では、4つの記録ヘッド3a〜3dが同一の色インクを吐出する記録ヘッドであり、他の色インクを吐出する記録ヘッドが各色ごとに4つずつ設けられている。各色ごとの記録ヘッドの数や記録ヘッドごとのノズルの数は適宜決められる。
本実施形態では、インク4としてカチオン重合系紫外線硬化型インクが用いられているため、記録ヘッド3の搬送方向下流側には、紫外線照射装置6が記録ヘッド3と平行に、すなわち記録媒体Pの幅方向に延在するように配設されている。紫外線照射装置6は、下方に搬送されてきた記録媒体P上のインク4に対して紫外線を照射してインクを硬化させる光源7を内蔵している。
紫外線照射装置6の光源7は、紫外線を照射するものであればよく、例えば、高圧水銀ランプや低圧水銀ランプ、冷陰極殺菌ランプ、熱陰極殺菌ランプ、無電極ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)等の種々の光源を用いることができる。
なお、本発明のインクジェットプリンタは、インク中の水分の蒸発により増粘し易いカチオン重合系紫外線硬化型インクや粘度が10〜50[mPa・s]のインクに対して好適に適用できる。特に、カチオン重合系紫外線硬化型インクであれば、取り扱いが容易で硬化速度が速く、空気中の酸素により重合反応が阻害されない等の利点がある。
また、インク4の粘度は、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であれば好ましい。インク4の粘度がこの範囲内であれば、粘度が10mPa・s未満の場合のようにインクが記録媒体に滲んで明瞭な記録を行えないといったことがなく、また、粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われる事態を回避することができる。
さらに、インク4は、その表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インク4の表面張力がこの範囲内であれば、記録媒体Pに着弾したインク4が記録媒体上で適度に広がるため、高精細で鮮明な画像記録を行うことが可能となる。
次に、インクジェットプリンタ1のインク供給系として、同じ色インクを吐出する複数の記録ヘッド3a、3b、3c、3dには、インクを各記録ヘッド3a、3b、3c、3dに分配するためのディストリビュータ8が連結されている。ディストリビュータ8は、各記録ヘッド3に対して各ヘッドへの流量抵抗が均一になるようにインク4を分配して供給するようになっている。
また、本実施形態では、ディストリビュータ8の内部に、ディストリビュータ内のインク4の液面を検出する液面検出センサ9が設けられている。液面検出センサ9は、後述する液面検出センサ12、18とともにインク4の液面を検出できるものであればよく、例えば、フロート式や光学式、重量式等が挙げられる。
ディストリビュータ8には、インク供給管を介してインクを貯蔵するためのインクカートリッジ等からなるインクタンク10が接続されており、ディストリビュータ8とインクタンク10との間には、記録ヘッド3のノズル5に対して背圧を発生させるためのいわゆるサブインクタンク等の中間タンク11が配設されている。
本実施形態では、中間タンク11として、ディストリビュータ8や記録ヘッド3とインクタンク10との間にはこの背圧を発生させるためのサブインクタンクのみが配設されている。中間タンク11は、少なくともその下方側が柔軟性を有するいわゆるインクパック状に形成されており、外界の紫外線が透過して中間タンク中のインクが硬化しないように紫外線を遮光する素材で形成されている。また、通常の画像記録時および待機時には、中間タンク11はインク4で満たされており、内部のインク量に応じて伸縮するようになっている。
なお、中間タンク11の内部には、中間タンク内のインク4の液面を検出する液面検出センサ12が設けられている。また、中間タンク11として複数の中間タンク11が配設されていてもよく、中間タンク11は、記録ヘッド3とインクタンク10との間に配設されるものであればサブインクタンクに限定されない。
また、前述した背圧とは、本実施形態のようにノズル5からインク4を下方に吐出する構成においては、ノズル5内部のインク4に対して上方にかかる力をいい、背圧は、通常、中間タンク11と記録ヘッド3のノズル5との高さの差や中間タンク内のインク量等に依存して発生する。
この背圧により通常の状態ではインクがノズル5から流れ出ないようになっており、この背圧を一定の範囲の値に調整することで記録ヘッド3に印加される駆動波形によりインク4を安定に吐出することができるようになっている。なお、ディストリビュータ8は、同一色のインク4を吐出する各ノズル5の背圧を均一にする機能を有している。
中間タンク11とディストリビュータ8および中間タンク11とインクタンク10とは、第1供給管13および第2供給管14を介してそれぞれ連通されており、第1供給管13および第2供給管14の一端側が中間タンク11の内部下方でそれぞれ開口されている。また、第1供給管13および第2供給管14には、ソレノイドバルブ等よりなる第1電磁弁15および第2電磁弁16がそれぞれ設けられている。
なお、本実施形態では、ディストリビュータ8、インクタンク10および中間タンク11等よりなるインク供給系はすべて外気に開放されないクローズ型とされている。
次に、インクジェットプリンタ1の加減圧系として、中間タンク11からオーバーフローしたインクを受けるためのオーバーフロータンク17が設けられており、オーバーフロータンク17の内部には、タンク内のインク貯蔵量を検知する検知手段として液面検出センサ18が設けられている。
オーバーフロータンク17は連通管19を介して中間タンク11に接続されている。連通管19の一端側は、中間タンク11の最上端でその内部に向けて開口するように位置固定されており、連通管19の他端側は、オーバーフロータンク17の内部で開口されている。
オーバーフロータンク17は、輸送管20を介してディストリビュータ8とも接続されている。輸送管20の一端側はディストリビュータ8の最上部に内部に向かって開口するように取り付けられており、他端側はオーバーフロータンク内部の底部付近で開口されている。
輸送管20は、後述するようにオーバーフロータンク17からディストリビュータ8にインク4を圧送する際にも用いられるようになっているため、例えば、図3(A)に示されるようにオーバーフロータンク17の底面に凹部を形成したり、図3(B)に示されるようにオーバーフロータンク17の底面を傾斜状に形成して、その最下部に輸送管20の端部が開口するように構成されるとよい。
また、連通管19および輸送管20には、それぞれソレノイドバルブ等よりなる第3電磁弁21および第4電磁弁22が設けられている。第3電磁弁21は、通常時には閉じられているが、何らかの原因で中間タンク11内の圧力が規定値以上に上昇したような場合には開放されて中間タンク11のインク4をオーバーフロータンク17に移すようになっている。
オーバーフロータンク17には、通気管23を介してオーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置24が接続されている。加減圧装置24は、吸気と排気を行うことができるものであればよく、コンプレッサやポンプ、ブロア等を用いることができる。
通気管23の一端側は、オーバーフロータンク17の上面で内部に向けて開口されており、通気管23には、流入、流出、封止の切り替えが可能な電磁弁である切替弁25が設けられている。切替弁25を流入に切り替えることで加減圧装置24が吸引した外気をオーバーフロータンク17に流入させてオーバーフロータンク内の圧力を上げることができ、逆に切替弁25を流出に切り替えることで加減圧装置24を駆動してオーバーフロータンク17内部の空気を排気してオーバーフロータンク内の圧力を下げることができ、また、切替弁25を封止に切り替えることでオーバーフロータンク17と加減圧装置24とを遮断することができるようになっている。
本実施形態では、主に、オーバーフロータンク17と加減圧装置24とにより中間タンク11内の空気を吸引して除去するための空気除去手段が形成されている。
また、オーバーフロータンク17には、排液管26が取り付けられており、加減圧装置24による加圧でオーバーフロータンク内のインク4を廃液タンク27に送ることができるようになっている。なお、排液管26には、空気の逆流を防ぐための図示しない逆止弁等が設けられている。
なお、本実施形態では、各色のインクが混ざり合わないように、ディストリビュータ8や中間タンク11等のインク供給系および加減圧系のオーバーフロータンク17等はそれぞれ各色インクごとにそれぞれ設けられているが、加減圧装置24はインクジェットプリンタ1に1つ設けられており、各オーバーフロータンク17に対応する切替弁25の切り替えで空気を抜きあるいは外気を送り込むオーバーフロータンク17を選択するようになっている。加減圧装置24を複数設けることも可能である。
次に、メンテナンス系として、インクジェットプリンタ1には、図2に示されるような主に平板状の基台29と基台上に並設された複数の吸引キャップ30とを備えたメンテナンス機構28が設けられている。
本実施形態では、記録ヘッド3や紫外線照射装置6には図示しない昇降機構が取り付けられており、また、メンテナンス機構28の基台29には図示しない移動機構が取り付けられていて、メンテナンス時には昇降機構の駆動により記録ヘッド3等を上昇させてその下方にメンテナンス機構28を移動させるようになっている。なお、記録ヘッド3や紫外線照射装置6を昇降させる代わりに、プラテン2を下降、上昇させるように構成することも可能である。
吸引キャップ30は、図4に示されるように、上方に開放された筐状とされており、記録ヘッド3と同数設けられ、各記録ヘッド3のノズル5から吐出されたインク4が対応する吸引キャップ30に落下するようになっている。吸引キャップ30には吸引ポンプ31が設けられた排液管32が取り付けられており、吸引キャップ30に落下したインクは吸引ポンプ31により吸引されて排液管32を通って廃液タンク27に回収されるようになっている。
次に、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1の作用について説明する。
本実施形態のインクジェットプリンタ1では、初期状態では、中間タンク11やディストリビュータ8、記録ヘッド3にはインク4が導入されておらず、インクジェットプリンタ1へのインク4の初期導入時に中間タンク11やディストリビュータ8の内部に空気が残留し易い。そのため、まず、インク4の初期導入時の導入の方法について述べる。
まず、プリンタ内の所定位置にインクタンク10を装填し、第2電磁弁16を開放して第2供給管14を介して中間タンク11にインク4を自重落下させて導入する。その際、中間タンク11とオーバーフロータンク17とを結ぶ連通管19の第3電磁弁21も開放しておく。
なお、第1電磁弁15、第4電磁弁22および切替弁25は閉じられている。そのため、中間タンク11内の空気はインク4の導入により連通管19を介してオーバーフロータンク17や廃液タンク27側に押し出される。
続いて、中間タンク11内の液面検出センサ12がインク4の液面を検出したら第2電磁弁16および第3電磁弁21を閉じて第1電磁弁15を開放して中間タンク11からディストリビュータ8にインク4を送る。
その際、インクジェットプリンタ1がシリアル方式であれば、メンテナンス機構28の吸引キャップ30を記録ヘッド3のノズル部分に圧接させた状態で吸引ポンプ31を稼動させて吸引することで中間タンク11からディストリビュータ8および記録ヘッド3へのインク4の導入を行う。
中間タンク11内のインク4が減少したら、吸引ポンプ31を止め、第1電磁弁15を閉じて第2電磁弁16および第3電磁弁21を開放して中間タンク11にインク4を導入する。この作業を、ディストリビュータ8内の液面検出センサ9がインク4の液面を検出するまで繰り返す。
また、インクジェットプリンタ1がライン方式であれば、通常、記録ヘッド3やノズル5の数が多いため、このような導入方法を採ることが困難である場合が多い。そのため、前述したように中間タンク11にある程度インク4が導入されたら第2電磁弁16および第3電磁弁21を閉じ、第1電磁弁15および第4電磁弁22を開放し切替弁25を流出に切り替えて加減圧装置24を稼動させてオーバーフロータンク17を介してディスリビュータ8内を減圧して中間タンク11からディストリビュータ8および記録ヘッド3へのインク4の導入を行う。
中間タンク11内のインク4が減少したら、加減圧装置24を止め、第1電磁弁15および第4電磁弁22を閉じ切替弁25を封止に切り替えて第2電磁弁16および第3電磁弁21を開放して中間タンク11にインク4を導入する。この作業を、ディストリビュータ8内の液面検出センサ9がインク4の液面を検出するまで繰り返す。
このようにして、シリアル方式の場合は主に吸引ポンプ31により廃液タンク27側に排出し、ライン方式の場合は主に加減圧装置24によりオーバーフロータンク17を介して外界に排出することで、ディストリビュータ8内の空気を抜く。なお、この時点でオーバーフロータンク17にはインク4は流出されていない。
次に、ディストリビュータ8および中間タンク11の液面検出センサ9、12でともにインク4を検出した段階で、まず、第1電磁弁15および第4電磁弁22を閉じ第3電磁弁21を開放した状態で、第2電磁弁16の開閉、切替弁25の流出、封止の切り替えおよび加減圧装置24の駆動、停止を調整して行い、加減圧装置24の駆動によりオーバーフロータンク17内を減圧させて中間タンク11内の空気を吸引して除去しながらインクタンク10から中間タンク11にインク4を導入する。
この中間タンク11へのインク4の導入は、中間タンク11から連通管19を介してオーバーフロータンク17にインク4が流出するまで行い、オーバーフロータンク17へのインク4の流出はオーバーフロータンク17内の液面検出センサ18で検出して確認する。このようにして、中間タンク11の内部に残留していた空気を完全に除去する。
続いて、第3電磁弁21を閉じ第1電磁弁15および第4電磁弁22を開放した状態で、前記と同様に第2電磁弁16の開閉、切替弁25の流出、封止の切り替えおよび加減圧装置24の駆動、停止を調整して行い、加減圧装置24の駆動によりオーバーフロータンク17内を減圧させてディストリビュータ8内の空気を吸引して除去しながらインクタンク10から中間タンク11を介してディストリビュータ8にインク4を導入する。
このディストリビュータ8へのインク4の導入もディストリビュータ8から輸送管20を介してオーバーフロータンク17にインク4が流出するまで行い、ディストリビュータ8からのインク4の流出はオーバーフロータンク17内のインク量の増加を液面検出センサ18で検出して確認する。このようにして、ディストリビュータ8の内部に残留していた空気を完全に除去する。
また、本実施形態では、中間タンク11およびディストリビュータ8からの空気の除去においてオーバーフロータンク17に流出したインク4をディストリビュータ8に圧送し記録ヘッド3に供給して再利用する。
具体的には、図2に示されたように記録ヘッド3の下方にメンテナンス機構28を配した状態で、第2電磁弁16および第3電磁弁21を閉じて第4電磁弁22を開放し、切替弁25を流入に切り替えて加減圧装置24を稼動させ、外気をオーバーフロータンク17内に流入させてオーバーフロータンク17内を加圧する。この加圧により、オーバーフロータンク17内のインク4は輸送管20を介してディストリビュータ8に圧送され記録ヘッド3に供給される。
なお、オーバーフロータンク17内のインク4を、ディストリビュータ8に圧送する代わりに、あるいはディストリビュータ8への圧送とともに中間タンク11に圧送して再利用することも可能である。
インクジェットプリンタ1のインク供給系には、インクの初期導入時以外にも、例えば、インクタンク10の交換の際などに空気が混入する場合がある。そのような場合にも前述した手順と同様の手順で中間タンク11やディストリビュータ8からの空気の除去およびオーバーフロータンク17に流出したインク4の再利用を行うことができる。
なお、インクジェットプリンタ1へのインク4の初期導入時やインクタンク10の交換等の際に空気の除去等にかかる数分〜数十分程度の時間内であればインク4が中間タンク11やディストリビュータ8、オーバーフロータンク17内でインク4が空気に曝されてもインク中からの水分の蒸発量は微小であり、インク4の増粘は事実上生じない。
以上のように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、インクの導入時や交換時に中間タンク11やディストリビュータ8内に残留する空気を、オーバーフロータンク17に接続された加減圧装置24を駆動してオーバーフロータンク17を減圧して吸引することで効率良くかつ確実に除去することができる。
そのため、中間タンク11やディストリビュータ8等のインク供給系のインク4が空気に曝されてインク中の水分が蒸発することを防止することが可能となり、水分の蒸発に起因するインク4の増粘を有効に防止することができるから、インク4の保存性が高まりインク4の供給不良や吐出不良が生じ難くなり、インク4を長期間にわたり安定的に記録ヘッド3のノズル5から吐出させることが可能となる。
また、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、空気の除去の際に流出したインク4を、前記加減圧装置24を駆動してオーバーフロータンク17を加圧してディストリビュータ8や中間タンク11に圧送することができるため、中間タンク11等からオーバーフローしたインク4を再利用することができ、インク4の無駄な消費を防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、オーバーフロータンク17として、通常の画像記録時等に中間タンクからオーバーフローしたインクを受ける一般的なオーバーフロータンクを活用する場合について述べたが、専用のタンクを用いるように構成することも可能である。
また、図1や図3では、オーバーフロータンク17が筐状のタンクであることを前提に記載されているが、例えば、中間タンク11と同様に柔軟性を有するいわゆるインクパック状のものであってもよい。その場合も、図3(A)、(B)に示されたオーバーフロータンクの底面の変形例は有効に機能し得る。
1 インクジェットプリンタ
3、3a〜3d 記録ヘッド
4 インク
8 ディストリビュータ
10 インクタンク
11 中間タンク
17 オーバーフロータンク
18 液面検出センサ
24 加減圧装置
P 記録媒体
3、3a〜3d 記録ヘッド
4 インク
8 ディストリビュータ
10 インクタンク
11 中間タンク
17 オーバーフロータンク
18 液面検出センサ
24 加減圧装置
P 記録媒体
Claims (8)
- 記録媒体に対してカチオン重合系紫外線硬化型インクまたは粘度が10〜50[mPa・s]のインクを吐出するための記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給するインクを貯蔵するためのインクタンクと、
前記記録ヘッドと前記インクタンクとの間に配設された中間タンクと、
前記中間タンク内の空気を除去するための空気除去手段と
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記中間タンクは、柔軟性を備え、かつ、紫外線を遮光する素材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記空気除去手段は、前記中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクと、前記オーバーフロータンクに接続され前記オーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記ディストリビュータ内の空気を除去するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記中間タンクから供給される前記インクを複数の前記記録ヘッドに分配するためのディストリビュータを備え、
前記空気除去手段は、前記中間タンクからオーバーフローしたインクを受けるオーバーフロータンクと、前記オーバーフロータンクに接続され前記オーバーフロータンク内を加減圧するための加減圧装置とを備え、
前記ディストリビュータと前記オーバーフロータンクとが接続されており、
前記加減圧装置の駆動により前記オーバーフロータンク内を減圧して前記ディストリビュータ内の空気を吸引して除去するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記加減圧装置の駆動により前記オーバーフロータンク内を加圧して前記オーバーフロータンク内のインクを圧送して記録ヘッドに供給するように構成されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記オーバーフロータンク内のインクを前記ディストリビュータに圧送することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記オーバーフロータンクの内部に、インク貯蔵量を検知する検知手段が設けられていることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005047010A JP2006231607A (ja) | 2005-02-23 | 2005-02-23 | インクジェットプリンタ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2006231607A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-02-23 JP JP2005047010A patent/JP2006231607A/ja active Pending
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