JP2006230260A - 酢酸耐性が増強された酢酸菌、及び該酢酸菌を用いた食酢の製造方法 - Google Patents

酢酸耐性が増強された酢酸菌、及び該酢酸菌を用いた食酢の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 酢酸菌の酢酸耐性を増強する機能を有する新規タンパク質、及び該新規タンパク質をコードする遺伝子を提供し、かつ、該新規タンパク質をコードする遺伝子を用いて酢酸耐性の向上した酢酸菌を育種する方法を提供すること、及び、該酢酸菌を用いて食酢や高濃度の酢酸を効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】 培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることを特徴とする酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法、酢酸菌由来のセンサーキナーゼタンパク質、酢酸菌由来のセンサーキナーゼタンパク質遺伝子、及び上記育種方法により得られる酢酸菌を用いた食酢の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酢酸耐性が増強された酢酸菌、及び該酢酸菌を用いた食酢の製造方法に関し、詳しくは、酢酸菌の酢酸耐性を増強する機能を有する新規タンパク質、及び該新規タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を用いて培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることによって酢酸耐性の向上した酢酸菌、特にアセトバクター属(Acetobacter)及びグルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)に属する酢酸菌、及びこれらの酢酸菌を用いて食酢を効率良く製造する方法に関する。
酢酸菌は食酢製造に広く利用されている微生物であり、特にアセトバクター属及びグルコンアセトバクター属に属する酢酸菌が工業的な酢酸発酵に利用されている。
酢酸発酵では、培地中のエタノールが酢酸菌によって酸化されて酢酸に変換され、その結果、酢酸が培地中に蓄積することになるが、酢酸は酢酸菌にとっても阻害的であり、酢酸の蓄積量が増大して培地中の酢酸濃度が高くなるにつれて酢酸菌の増殖能力や発酵能力は次第に低下する。
そのため、酢酸発酵においては、より高い酢酸濃度でも増殖能力や発酵能力が低下しない、酢酸菌を開発することが求められており、その一手段として、酢酸耐性に関与する遺伝子(酢酸耐性遺伝子)をクローニングし、その酢酸耐性遺伝子を用いて酢酸菌を育種、改良することが試みられている。
これまでの酢酸菌の酢酸耐性遺伝子に関する知見としては、アセトバクター属の酢酸菌の酢酸耐性を変異させて酢酸感受性にした株を元の耐性に回復させることのできる相補遺伝子として、クラスターを形成する3つの遺伝子(aarA、aarB、aarC)がクローニングされていた(例えば、非特許文献1参照)。
この内、aarA遺伝子はクエン酸合成酵素をコードする遺伝子であり、又、aarC遺伝子は酢酸の資化に関係する酵素をコードする遺伝子であると推定されたが、aarB遺伝子については機能が不明であった(例えば、非特許文献2参照)。
これらの3つの酢酸耐性遺伝子を含む遺伝子断片をマルチコピープラスミドにクローニングし、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)株に形質転換して得られた形質転換株は、酢酸耐性の向上レベルが僅かでしかなく、また実際の酢酸発酵での能力の向上の有無については不明であった(例えば、特許文献2参照)。
一方、酢酸菌からクローニングされた膜結合型アルデヒド脱水素酵素(ALDH)をコードする遺伝子を酢酸菌に導入することによって、酢酸発酵において最終到達酢酸濃度の向上が認められた例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ALDHはアセトアルデヒドを酸化する機能を有する酵素であって酢酸耐性に直接関係する酵素ではないことから、ALDHをコードする遺伝子が真に酢酸耐性遺伝子であるとは断定できないものであった。
上記以外に酢酸発酵能を向上させる遺伝子として、アコニターゼ遺伝子(例えば、特許文献3参照)、アルコール脱水素酵素(例えば、特許文献4参照)、セリンパルミトイルトランスフェラーゼと相同性のある遺伝子(例えば、特許文献5参照)、グルコシルセラミド合成酵素(例えば、特許文献6参照)、ABCトランスポーター遺伝子と相同性のある遺伝子(例えば、特許文献7参照)などが知られており、これらの遺伝子を過剰発現させることにより、酢酸菌の酢酸耐性が向上することを見出されているが、いずれも不十分であった。
このような実情から、より高い酢酸耐性を有する酢酸菌を育種することが望まれていた。
特開平2−2364号公報 特開平03−219878号公報 特開2003−289867号公報 国際公開WO2004/081216号公報 国際公開WO03/078635号公報 国際公開WO2004/053122号公報 特開2003−289868号公報 「ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)」、172巻、p.2096−2104、1990年 「ジャーナル・オブ・ファーメンテイション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」、76巻、p.270−275、1993年
本発明は、酢酸菌の酢酸耐性を増強する機能を有する新規タンパク質、及び該新規タンパク質をコードする遺伝子を提供し、かつ、該新規タンパク質をコードする遺伝子を用いて酢酸耐性の向上した酢酸菌を育種する方法を提供することを目的とするものである。
また本発明は、該酢酸菌を用いて食酢や高濃度の酢酸を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく、従来とは別の観点で、酢酸菌の酢酸耐性を向上させる手段を検討することとした。その過程で、本発明者は、これまで検討されていなかった酢酸菌のセンサーキナーゼタンパク質を利用することに着目した。
一般に遺伝子の発現に係わる転写制御は、その遺伝子の転写開始点における制御とは別に、温度やpHなどの各種の培養ストレスに応答するセンサーキナーゼタンパク質とそれによってリン酸化され活性化されるレスポンスレギュレータータンパク質によって構成される2成分系と呼ばれる転写制御系が知られており、この系によって複数の遺伝子の転写が同時に制御されることが大腸菌等で明らかにされている。
しかし、酢酸菌では2成分系と呼ばれる転写制御系の存在は知られていなかった。
そこで、本発明者は、酢酸菌の2成分系、特に、酢酸発酵に特徴的な酢酸ストレスに応答してそれ自体の転写量が変動する2成分系タンパク質の中に、酢酸耐性を向上させる複数の遺伝子の転写を制御する機能を有するものが存在し、その2成分系自体の発現量を制御することにより、酢酸ストレスに応答して酢酸耐性を向上させる複数の遺伝子の転写制御を同時に行うことができ、その結果、従来以上に酢酸菌の酢酸耐性を向上させることができるのではないかと考えた。
さらに、2成分系を構成するセンサーキナーゼタンパク質とレスポンスレギュレータータンパク質のうち、酢酸ストレスを最初に感知する役割を担うセンサーキナーゼタンパク質がより重要と考えた。
一般にセンサーキナーゼタンパク質は、そのアミノ酸配列の中に、機能ドメインとしてリン酸化される部位とATPを結合する部位を有することが知られている。
そこで、本発明者は、上記の特徴的なアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子を鋭意探索し、培地に酢酸を添加した場合にそれ自体の転写量が増大する遺伝子を見出した。
さらに、見出した培地の酢酸に応答して転写量が増大した遺伝子をプラスミドベクターと連結し、酢酸菌に導入し、形質転換された酢酸菌の酢酸を含む培地での生育の有無を比較することで酢酸耐性を調べたところ、酢酸耐性の向上が認められた。
さらに該微生物を使用してアルコールを含有する培地で培養することにより、酢酸の生成速度や蓄積できる酢酸濃度が高まり、酢酸発酵能が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(1)から(10)からなる。
(1)培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることを特徴とする酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
(2)培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子を細胞内に導入して発現させることによって発現量を高めることを特徴とする上記(1)に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
(3)培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子が、下記の(a)または(b)に示すDNAであることを特徴とする上記(1)に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNA。
(b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(4)培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子が、下記の(a)または(b)に示すDNAであることを特徴とする上記(1)に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
(a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA。
(b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(5)下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子のDNA。
(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNA。
(b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(6)下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子のDNA。
(a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA。
(b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(7)下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質。
(a)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(b)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質。
(8)下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質。
(a)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(b)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質。
(9)酢酸菌がアセトバクター属、または、グルコンアセトバクター属に属することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
(10)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌を、アルコールを含有する培地で培養して該培地中に酢酸を生成蓄積せしめることを特徴とする食酢の製造方法。
本発明によれば、酢酸菌に対して、酢酸耐性を増強する機能を有する新規なセンサーキナーゼタンパク質、及び、該タンパク質をコードする遺伝子が提供される。
また、該センサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることを特徴する酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法が提供される。
本発明によれば、酢酸菌に対して、酢酸存在下での生育能を高めることができる。そして、酢酸に対する耐性が顕著に向上する。その結果、培地中での酢酸発酵速度の向上や高濃度の酢酸を含有する食酢を効率良く製造することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法は、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることを特徴とする。
ここで、センサーキナーゼタンパク質とは、センサーキナーゼタンパク質、すなわち、一般にヒスチジンキナーゼと呼ばれるタンパク質を指す。このセンサーキナーゼタンパク質は、該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列中に、センサーキナーゼタンパク質の機能ドメインであるリン酸化部位とATP結合部位とが存在していることが特徴である。
また、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するとは、酢酸菌を、酢酸の存在しない培地を用いた培養中において、該培地中に酢酸を添加して更に培養を継続した場合に、あるタンパク質をコードする遺伝子の転写量が、酢酸添加前と比較して増大することを意味する。このような転写量の増大は、ノザン解析や定量的PCR法などの一般的な方法によって検出することができる。
培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質の具体例としては、下記の2種類を挙げることができる。
第一の例としては、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列のうち、257番目から324番目のアミノ酸の部位には、上述したようにセンサーキナーゼタンパク質に特有のリン酸化部位が存在し、364番目から465番目のアミノ酸の部位には、ATP結合部位が存在する。
第二の例としては、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列を有するタンパク質のうち、253番目から320番目のアミノ酸の部位には、上述したようなセンサーキナーゼタンパク質に特有のリン酸化部位が存在し、359番目から460番目のアミノ酸の部位には、ATP結合部位が存在する。
また、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質としては、該タンパク質を構成するアミノ酸配列そのものを有するものでなくとも、タンパク質の本来の活性が損なわれない限り、該配列のうち1または複数の位置で1または数個のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質をコードするものであっても良い。
すなわち、上記第一の例に関して言えば、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質も、実質的に同一のタンパク質と言うことができる。
また、上記第二の例に関して言えば、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質も、上記のタンパク質と実質的に同一のタンパク質と言うことができる。
本発明の育種方法においては、上記のような培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子を利用する。
培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子としては、該タンパク質を構成するアミノ酸配列に対応する塩基配列そのものをコーディング領域として含むDNAの他、該塩基配列を有するものでなくとも、タンパク質の本来の活性が損なわれない限り、からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNAであっても良い。
培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子としては、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質の具体例として既に示した、2種類のタンパク質それぞれをコードする遺伝子を挙げることができる。
すなわち、(a)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、または(b)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質として示される、培地中の酢酸に応答して転写量が増大する第一のセンサーキナーゼタンパク質と、(a)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、または(b)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質として示される、培地中の酢酸に応答して転写量が増大する第二のセンサーキナーゼタンパク質のそれぞれをコードする遺伝子である。
培地中の酢酸に応答して転写量が増大する第一のセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子は、(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAである。配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507部分は、コーディング領域であり、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列の領域に対応するものである。
配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるDNAのうち、塩基番号113〜1507部分がコードするタンパク質(すなわち、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列からなるタンパク質)について、アミノ酸レベルでの相同性検索を行った結果、大腸菌の浸透圧センサータンパク質envZとの間で僅か28%の相同性を示すに過ぎなかった。また、上記envZタンパク質について、酢酸の存在により転写量が変化するとの知見はない。このことから、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるDNAは、envZ遺伝子とは別の遺伝子を構成するものと考えられる。
また、(b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNAも、上記のDNAと実質的に同一のDNAと言うことができる。
ここでいうストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高い核酸同士、例えば70%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のハイブリダイゼーションの洗浄条件、例えば1×SSCで0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件などが挙げられる。
配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるDNAで構成されるセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子は、グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)の一種であるアセトバクター・アルトアセチゲネス MH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)や、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)などの酢酸菌から、一般的な方法で容易に調製することができる。また、人工的に合成することも可能である。
培地中の酢酸に応答して転写量が増大する第二のセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子は、より具体的には、(a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486部分は、コーディング領域であり、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列の領域に対応するものである。
配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNAのうち、塩基番号107〜1486部分がコードするタンパク質(すなわち、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列からなるタンパク質)について、アミノ酸レベルでの相同性検索を行った結果、大腸菌の浸透圧センサータンパク質envZとの間で僅か37%の相同性を示すに過ぎなかった。また、上記envZタンパク質について、酢酸の存在により転写量が変化するとの知見はない。このことから、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNAは、envZ遺伝子とは別の遺伝子を構成するものと考えられる。
また、(b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNAも、上記のDNAと実質的に同一のDNAと言うことができる。
ストリンジェントな条件については、上記第一のセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子に関して述べたのと同様である。
配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNAで構成されるセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子は、アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)などの酢酸菌から、一般的な方法で容易に調製することができる。また、人工的に合成することも可能である。
本発明の育種方法において、上記のような培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高める手段としては、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子を細胞内に導入して発現させることができる。
細胞内、すなわち酢酸菌(元株)に導入される対象である培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子については、既に例示した2種類の遺伝子、すなわち、(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNA、または(b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA、もしくは、(a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA、または(b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA、を挙げることができる。
本発明の育種方法において、上記のような、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めるためには、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子を、細胞内に導入して発現させることができる。例えば、上記遺伝子の変異株の取得、該遺伝子の細胞内コピー数の増幅、該遺伝子の構造遺伝子を含むDNA断片を酢酸菌中で効率よく機能するプロモーター配列に連結して得られる組換えDNAを用いた酢酸菌の形質転換によることができる。
上記遺伝子の細胞内コピー数の増幅は、上記遺伝子を保持するマルチコピーベクターを酢酸菌、例えばアセトバクター属またはグルコンアセトバクター属の酢酸菌の細胞に導入することによって行なうことができる。すなわち、上記遺伝子を保持するプラスミド、トランスポゾン等をグルコンアセトバクター属やアセトバクター属の細菌の細胞に導入することによって行なうことができる。
組換えDNAを用いる場合の遺伝子の取得は、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子として、前記した2種類のいずれかを用いる場合には、その塩基配列が明らかであるので、該塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、酢酸菌、例えばアセトバクター・アルトアセチゲネス MH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株、アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に1983年6月27日付(原寄託)で受託番号FERM BP−2287として寄託)、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)のゲノムDNAを用いるポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR反応)(「トレンズ・オブ・ジェネティックス(Trends Genet.)」、5巻、185頁、1989年)によることができる。PCR反応は、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)製のサーマルサイクラーGeneAmp2400などを用い、TaqDNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)やKOD−Plus−(東洋紡績社製)を使用して、定法に従って行なうことができる。
また、上記塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用い、ゲノムDNAライブラリーを用いるハイブリダイゼーションによっても得ることができる。オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、市販されている種々のDNA合成機を用いて定法に従って合成できる。
本発明においては、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子として、前記したように、実際のタンパク質のアミノ酸配列とは相違するが実質的に同一の機能を有するタンパク質をコードする遺伝子、例えば、配列表の配列番号2または4記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNAを用いることもできるが、このようなDNAは、例えば、部位特異的変異法によって、特定の部位でアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加または逆位が生ずるように塩基配列を改変することによっても取得され得る。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている突然変異処理によっても取得することができる。
また、一般的にタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列は、種間、株間、変異体、変種間でわずかに異なることが知られているので、実質的に同一のタンパク質をコードするDNA、例えば、配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち塩基番号113〜1507からなるDNAまたは配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNAは、酢酸菌全般、中でもグルコンアセトバクター属やアセトバクター属に属する酢酸菌の種、株、変異処理してなるまたは自然変異処理してなる変異体、変種から得ることが可能である。
上述の遺伝子を保持させるために使用するマルチコピーベクターとしては、pUF106(例えば、「セルロース(Cellulose)」、p.153−158、1989年参照)、pMV24(例えば、「アプライド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー(Appl.Environ.Microbiol.)」、55巻、p.171−176、1989年参照)、pGI18(例えば、本願明細書製造例1参照)、pTA5001(A)、pTA5001(B)(例えば、特開昭60−9488号公報参照)などが挙げられる。また、染色体組み込み型ベクターであるpMVL1(例えば、「アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)」、52巻、p.3125−3129、1988年参照)も用いることができる。また、トランスポゾン、例えばMuやIS1452などを用いることもできる。
細胞内コピー数の増幅対象であるDNAは、上記したような培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子のDNAであれば、特に起源は問わないが、酢酸菌での発現が容易である点で、酢酸菌由来の遺伝子が特に好ましい。
アセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌へのDNAの導入は、塩化カルシュウム法(例えば、「アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)」、49巻、p.2091、1985年参照)やエレクトロポレーション法(例えば、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci.Biotech.Biochem.)、58巻、974頁、1994年参照)等によって行なうことができる。
ベクターにDNAを挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
本発明の酵素遺伝子をコードするDNAは、そのDNAがコードする遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、組換えベクターには、プロモーター、本発明のDNAのほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
また、染色体DNA上の、酵素遺伝子のプロモーター配列を、アセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌中で効率よく機能する他のプロモーター配列に置き換えるには、相同組換え用のベクターを構築し、該ベクターを用いて微生物の染色体に相同組換えを起こすようにすればよい。そのようなプロモーター配列としては、例えば、大腸菌のプラスミドpBR322(タカラバイオ社製)のアンピシリン耐性遺伝子、プラスミドpHSG298(タカラバイオ社製)のカナマイシン耐性遺伝子、プラスミドpHSG396(タカラバイオ社製)のクロラムフェニコール耐性遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子などの各遺伝子のプロモーターなど、酢酸菌以外の微生物由来のプロモーター配列が挙げられる。
相同組換えを行うためのベクターの構築に関しては当業者に周知である。このようにして微生物における内因性の酵素遺伝子を強力なプロモーターの制御下に配置することによって、該酵素遺伝子からのコピー数が増幅され、発現が増強される。
アセトバクター属(Acetobacter)の細菌として、具体的にはアセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)が挙げられ、具体的には、アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に1983年6月27日付(原寄託)で受託番号FERM BP−2287として寄託)、アセトバクター・アセチIFO3283(Acetobacter aceti IFO3283)株などを用いることができる。
グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)の細菌としては、例えば、グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)、グルコンアセトバクター・ヨーロパエウス(Gluconacetobacter europaeus)、グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィカス(Gluconacetobacter diazotrophicus)、グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)が挙げられ、具体的には、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)株、グルコンアセトバクター・ヨーロパエウス DSM6160(Gluconacetobacter europaeus DSM6160)株、グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィカス ATCC49037(Gluconacetobacter diazotrophicus ATCC49037)株、グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)としてはアセトバクター・アルトアセチゲネス MH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に1984年2月23日付(原寄託)で受託番号FERM BP−491として寄託)を用いることができる。
本発明者らは、配列表の配列番号1に記載の塩基配列を含むDNA断片をグルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)に導入して発現させてなる形質転換株グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus IFO3288/pHIK1)株を得て、該形質転換株の酢酸耐性が飛躍的に向上していることを確認した。このグルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus IFO3288/pHIK1)株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に2005年2月9日付で寄託されており、その受託番号はFERM BP−10227である。
また、本発明者らは、配列表の配列番号3に記載の塩基配列を含むDNA断片をアセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)に導入して発現させてなる形質転換株アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023/pHIK2)株を得て、該形質転換株の酢酸耐性が飛躍的に向上していることを確認した。このアセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023/pHIK2)株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に2005年2月9日付で寄託されており、その受託番号はFERM BP−10228である。
本発明の育種方法により、酢酸耐性が選択的に増強された酢酸菌を得ることができ、該酢酸菌、特にアセトバクター属やグルコンアセトバクター属の細菌であって、アルコール酸化能を有するものを、アルコールを含有する培地で培養して該培地中に酢酸を生産蓄積せしめることにより、食酢を効率よく製造することができる。本発明は、このような食酢の製造方法をも提供するものである。
本発明の製造方法において、アルコールを含有する培地で培養して該培地中に酢酸を生産蓄積せしめるには、酢酸発酵を行えば良く、その条件は、従来の酢酸菌の発酵法による食酢の製造法と同様とすることができる。
アルコールを含有する培地としては、酢酸発酵に使用する培地を利用することができ、例えば、炭素源、窒素源、無機物、エタノールを含有し、必要があれば使用菌株が生育に要求する栄養源を適当量含有するものであれば、合成培地でも天然培地でも良い。炭素源としては、グルコースやシュークロースをはじめとする各種炭水化物、各種有機酸が挙げられる。窒素源としては、ペプトン、発酵菌体分解物などの天然窒素源を用いることができる。
また、培養は、静置培養法、振盪培養法、通気攪拌培養法等の好気的条件下で行ない、培養温度は25〜37℃の範囲で、通常27〜32℃で行う。培地のpHは通常2.5〜7の範囲であり、2.7〜6.5の範囲が好ましく、各種酸、各種塩基、緩衝液等によって調製することもできる。通常1〜21日間の培養によって、培地中に高濃度の酢酸が蓄積する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(製造例1)大腸菌−酢酸菌シャトルベクターpGI18の作製
酢酸菌−大腸菌シャトルベクターpGI18は、アセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)由来の約3.1kbのプラスミドpGI1とpUC18とから作製した。
すなわち、アセトバクター・アルトアセチゲネス MH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)の培養液より、菌体を集菌し、水酸化ナトリウムやドデシル硫酸ナトリウムを用いて溶菌後、フェノール処理し、更にエタノールによりプラスミドDNAを精製した。
得られたプラスミドは、HincIIで3ヶ所、また、SfiIで1ヶ所の認識部位を有する環状二本鎖DNAプラスミドであり、プラスミド全体の長さは約3100塩基対(bp)であった。また、EcoRI、SacI、KpnI、SmaI、BamHI、XbaI、SalI、PstI、SphI、HindIIIの認識部位は有していなかった。
このプラスミドをpGI1と命名し、ベクターpGI18の作製に用いた。
上記で得られたプラスミドpGI1を、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用いてPCR法によって増幅し、AatIIで切断した。この断片をpUC18の制限酵素AatII切断部位に挿入し、プラスミドpGI18を作製した(図1)。
PCR法は具体的には次のようにして実施した。即ち、鋳型としてプラスミドpGI1を用い、プライマーとして制限酵素AatII認識部位を有するプライマーA(配列表の配列番号5記載の塩基配列参照)及びプライマーB(配列表の配列番号6記載の塩基配列参照)を用い、下記のPCR条件にて、PCRを実施した。
すなわち、PCR法は、94℃ 30秒、60℃ 30秒、68℃ 3分を1サイクルとして、30サイクル実施した。
図1に示すように、得られたプラスミドpGI18はpUC18及びpGI1のいずれも含有していて、全体の長さは約5800塩基対(5.8kbp)であった。
このプラスミドpGI18の塩基配列を配列表の配列番号7に示した。
(実施例1)グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)からの配列表の配列番号1記載の塩基配列を有するDNA断片の調製
グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)の一種であるアセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)を、6%酢酸と4%エタノールを添加したYPG培地(3%グルコース、0.5%酵母エキス、0.2%ポリペプトン含有)中で、30℃にて240時間振盪培養を行なった。
培養終了後、培養液を遠心分離(7,500×g、10分)し、菌体を得た。
得られた菌体から、特開昭60−9489号公報に開示された方法により、染色体DNAを調製した。
すなわち、該菌体をTE緩衝液で洗浄後、TES緩衝液を加えて菌体を懸濁し、リゾチーム液を加えて静置し、EDTA液を加えて37℃で20分間反応させた。反応後、ラウリル硫酸ナトリウムを加え、37℃で20分間静置したのち、食塩水を加え、0℃で一夜静置した。次いで、遠心分離を行ない上清を得た。この上清にポリエチレングリコール6000を加え、4℃で一夜静置した後、遠心分離を行ないDNAを含む沈殿物を得た。
上記のようにして得られた染色体DNAを鋳型として、プライマー1(配列表の配列番号8記載の塩基配列参照)およびプライマー2(配列表の配列番号9記載の塩基配列参照)を用いて、PCR法によって配列番号1記載の塩基配列を有する遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR法は、94℃ 30秒、60℃ 30秒、68℃ 2分を1サイクルとして、30サイクル実施した。
(実施例2)アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)からの配列表の配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片の調製
アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)を、YPG培地(3%グルコース、0.5%酵母エキス、0.2%ポリペプトン含有)中で、30℃にて36時間振盪培養を行なった。
培養終了後、培養液を遠心分離(7,500×g、10分)し、菌体を得た。
得られた菌体から、特開昭60−9489号公報に開示された方法により、染色体DNAを調製した。
すなわち、該菌体をTE緩衝液で洗浄後、TES緩衝液を加えて菌体を懸濁し、リゾチーム液を加えて静置し、EDTA液を加えて37℃で20分間反応させた。反応後、ラウリル硫酸ナトリウムを加え、37℃で20分間静置したのち、食塩水を加え、0℃で一夜静置した。次いで、遠心分離を行ない上清を得た。この上清にポリエチレングリコール6000を加え、4℃で一夜静置した後、遠心分離を行ないDNAを含む沈殿物を得た。
上記のようにして得られた染色体DNAを鋳型として、プライマー3(配列表の配列番号10記載の塩基配列参照)およびプライマー4(配列表の配列番号11記載の塩基配列参照)を用いて、PCR法により、配列表の配列番号3記載の塩基配列を有する遺伝子を含むDNA断片を得た。PCR法は、94℃ 30秒、60℃ 30秒、68℃ 2分を1サイクルとして、30サイクル実施した。
(実施例3)実施例1で得られたDNA断片の、グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)における酢酸添加時の転写量解析
(1)RNAの調製
アセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)を、5Lのミニジャー(三ツワ理化学工業社製;KMJ−5A)を用いて、2.5Lの原料培地(酢酸7%、エタノール3%、酵母エキス0.2%、グルコース0.2%)にて、30℃、500rpm、0.20vvmの通気攪拌培養を行った。菌体の明らかな増殖が認められ、残留エタノール濃度が2%になった段階で、エタノール含有液(酢酸1%、エタノール50%、酵母エキス0.2%、グルコース0.2%)を流加し、発酵液のエタノール濃度が2%になるように制御した培養を行ない、培養液中の酢酸濃度が6%になった時点で、最終濃度が12%となるように酢酸を添加し、添加直前、添加後7.5分、添加後15分の培養液からそれぞれ全RNAを抽出した。
全RNAの調製は、RNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用い、付属のマニュアルに従って行った。
(2)プローブの調製
実施例1にてアセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)から調製した配列表の配列番号1記載の塩基配列を有する遺伝子を含むDNA断片を鋳型とし、また、プライマー5(配列表の配列番号12記載の塩基配列参照)及びプライマー6(配列表の配列番号13記載の塩基配列参照)をプライマーとし、TaKaRa Ex Taq(タカラバイオ社製)を用いて、PCRを、94℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 3分を1サイクルとして、30サイクルの条件で実施した。
得られたPCR産物とDIG Northern Starter Kit(ロシュ・ダイアグノスティック社製)を用い、添付のマニュアルに従ってプローブを調製した。
(3)転写解析
(1)で調製された全RNAの電気泳動、及びナイロンメンブレンへのトランスファーは、バイオ実験イラストレイテッド(2)遺伝子解析の基礎(中山広樹・西方敬人著、1995年、秀潤社)に従って行った。また、ハイブリダイゼーションは、DIG Northern Starter Kit(ロシュ・ダイアグノスティック社製)を用い、添付のマニュアルに従って行った。
遺伝子の転写量の検出には、LAS−1000plus(富士写真フイルム株式会社製)を使用し、得られた画像から該遺伝子の転写量をImage Gauge(富士写真フイルム社製)を用いて数値化し、酢酸添加直前の転写量に対する酢酸添加後(7.5分及び15分)の転写量の比を計算した。
酢酸添加前後における転写量の変動を、表1に示す。
Figure 2006230260
表1に示すように、配列表の配列番号1記載の塩基配列を有する遺伝子を含むDNA断片の転写量は、培地への酢酸添加後7.5分において添加前の7.0倍に、添加後15分において添加前の2.4倍に増大することが確認できた。
このことから、配列表の配列番号1記載の塩基配列を有する遺伝子を含むDNA断片は、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するタンパク質をコードする遺伝子であることが明らかとなった。
(実施例4)グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)由来の配列表の配列番号1記載の塩基配列を有するDNAで形質転換したグルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)株の酢酸耐性の向上
(1)プラスミドの調製
実施例1にてアセトバクター・アルトアセチゲネスMH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株(FERM BP−491)から調製した、配列番号1記載の塩基配列を有するDNA断片を、酢酸菌−大腸菌シャトルベクターpGI18の制限酵素SmaI切断部位にライゲーションにより挿入したDNAを調製した。
このようにして調製したDNAを、大腸菌JM109(Escherichia coli JM109)株にエレクトロポレーション法(例えば、「バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci.Biotech.Biochem.)」、58巻、p.974、1994年参照)によって形質転換した。
形質転換株は100μg/mlのアンピシリンを添加したLB寒天培地で選択した。上記選択培地上で生育したアンピシリン耐性の形質転換株について、定法によりプラスミドを抽出して解析し、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAを保持していることを確認した。
得られた形質転換株から、定法により、プラスミドDNAを調製して、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA断片を含むプラスミドpHIK1を得た。
(2)酢酸菌形質転換株の取得
このようにして得たpHIK1を用いて、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)株をエレクトロポレーション法(例えば、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)」、87巻、p.8130−8134(1990年)参照)によって形質転換した。
形質転換株は、100μg/mlのアンピシリンを添加したYPG培地で選択した。上記選択培地上で生育したアンピシリン耐性の形質転換株について、定法によりプラスミドを抽出して解析し、それぞれ当該プラスミドを保有していることを確認した。
このようにして得られた形質転換株であるグルコンアセトバクター・キシリヌスIFO3288/pHIK1(Gluconacetobacter xylinus IFO3288/pHIK1)株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)に2005年2月9日付で寄託されており、その寄託番号はFERM BP−10227である。
上記のようにして得られたプラスミドpHIK1を保有するアンピシリン耐性の形質転換株(以下、pHIK1形質転換株と称する。)について、酢酸を添加したYPG培地での生育を、シャトルベクターpGI18のみを導入した元株(グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)株)と比較した。
具体的には、酢酸2%、及びアンピシリン100μg/mlを含む100mlのYPG培地にて、30℃で振盪培養(120rpm)を行ない、形質転換株と元株の酢酸添加培地での生育を660nmにおける吸光度を測定することで比較した。培養開始時、培養36時間目、及び培養60時間目の結果を、表2に示す。
Figure 2006230260
その結果、表2に示すように、2%酢酸を添加した培地でpHIK1形質転換株は旺盛に増殖したのに対して、元株はほとんど増殖しなかった。このことから、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるDNAを細胞内に導入して発現させることによって、酢酸菌の酢酸培地での生育を促進し、酢酸耐性を向上させることができることが確認できた。
(実施例5)アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)から調製した配列表の配列番号3記載の塩基配列を有する遺伝子で形質転換したアセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株の酢酸耐性の向上
(1)プラスミドの調製
実施例2でアセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)から調製した配列表の配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片を、酢酸菌−大腸菌シャトルベクターpGI18の制限酵素SmaI切断部位にライゲーションにより挿入したDNAを調製した。
このようにして調製したDNAを、大腸菌JM109(Escherichia coli JM109)株にエレクトロポレーション法(例えば、「バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci.Biotech.Biochem.)」、58巻、p.974、1994年参照)によって形質転換した。
形質転換株は、100μg/mlのアンピシリンを添加したLB寒天培地で選択した。上記選択培地中で生育したアンピシリン耐性の形質転換株について、定法によりプラスミドを抽出して解析し、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNAを保持していることを確認した。
得られた形質転換株から、定法により、プラスミドDNAを調製して、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNA断片を含むプラスミドpHIK2を得た。
(2)酢酸菌形質転換株の取得
このようにして得たpHIK2を用いてアセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株(FERM BP−2287)を、エレクトロポレーション法(例えば、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、87巻、p.8130−8134(1990年)参照」)によって形質転換した。形質転換株は100μg/mlのアンピシリンを添加したYPG培地で選択した。
選択培地上で生育したアンピシリン耐性の形質転換株は、定法によりプラスミドを抽出して解析し、それぞれ当該プラスミドを保有していることを確認した。
このようにして得られた形質転換株のうち、アセトバクター・アセチ No.1023/pHIK2(Acetobacter aceti No.1023/pHIK2)株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)に2005年2月9日付で寄託されており、その寄託番号はFERM BP−10228である。
上記のようにして得られたプラスミドpHIK2を保有するアンピシリン耐性の形質転換株(以下、pHIK2形質転換株と称する。)について、酢酸を添加したYPG培地での生育を、シャトルベクターpGI18のみを導入した元株(アセトバクター・アセチNo.1023(Acetobacter aceti No.1023)株)と比較した。
具体的には、酢酸1.5%、及びアンピシリン100μg/mlを含む100mlのYPG培地にて、30℃で振盪培養(120rpm)を行ない、形質転換株と元株の酢酸添加培地での生育を660nmにおける吸光度を測定することで比較した。培養開始時、培養48時間目、及び培養69時間目の結果を、表3に示す。
Figure 2006230260
その結果、表3に示すように、1.5%酢酸を添加した培地でpHIK2形質転換株は旺盛に増殖したのに対して、元株はほとんど増殖しなかった。このことから、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるDNAを細胞内に導入して発現させることによって、酢酸菌の酢酸培地での生育を促進し、酢酸耐性を向上させることができることが確認できた。
pGI18の構築図及び制限酵素地図を示した図である。
符号の説明
図1中、「Aat II」及び「Sfi I」は、制限酵素認識部位を示す。また、MCSはマルチクローニングサイトを、Amprは、アンピシリン耐性遺伝子部位を、括弧内の数字は、bp単位で示した塩基番号を示す。更に、中央の「pUC18」、「pGI1」及び「pGI18」はプラスミド名を、「2.7kbp」、「3.1lbp」及び「5.8lbp」は、プラスミドの総塩基数を示す。

Claims (10)

  1. 培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子の発現量を高めることを特徴とする酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
  2. 培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子を細胞内に導入して発現させることによって発現量を高めることを特徴とする請求項1に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
  3. 培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子が、下記の(a)または(b)に示すDNAであることを特徴とする請求項1に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
    (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNA。
    (b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  4. 培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子が、下記の(a)または(b)に示すDNAであることを特徴とする請求項1に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
    (a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA。
    (b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  5. 下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子のDNA。
    (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNA。
    (b)配列表の配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号113〜1507からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質をコードする遺伝子のDNA。
    (a)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNA。
    (b)配列表の配列番号3に記載の塩基配列のうち、塩基番号107〜1486からなるDNAまたは該DNAの一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含むDNAであって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  7. 下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質。
    (a)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (b)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質。
  8. 下記の(a)または(b)に示す、培地中の酢酸に応答して転写量が増大するセンサーキナーゼタンパク質。
    (a)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (b)配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、酢酸耐性を増強する機能を有するタンパク質。
  9. 酢酸菌がアセトバクター属、または、グルコンアセトバクター属に属することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌の育種方法。
  10. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の酢酸耐性の向上した酢酸菌を、アルコールを含有する培地で培養して該培地中に酢酸を生成蓄積せしめることを特徴とする食酢の製造方法。
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