JP2006228580A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】 セパレータの凹凸形状や高さにバラツキが発生していても、セパレータ同士の接触抵抗の低減を図り、導電性を高めることのできる燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】 発電に寄与する領域にテーパーを有する凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、
前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させていることを特徴とする燃料電池スタック。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池スタックに関するものである。より詳しくは、アノードセパレータ及びカソードセパレータに、いわゆる薄板金属セパレータを用いてなる燃料電池スタックに関するものである。
高分子電解質膜の両面に水素と酸素を供給して起電力を発生させる燃料電池では、単位体積当たりの起電力をより一層高めるために、金属製の薄板をプレス加工してガス流路を形成する、いわゆる薄板金属セパレータの開発がされている。
こうした金属セパレータを用いた燃料電池のスタック構造において、隣り合うセル間のアノードセパレータとカソードセパレータはそれぞれ、マニホールドおよびセパレータ外縁を圧縮シール(セパレータ付けの成形シール)または接着剤でシールされ、アノードセパレータとカソードセパレータが密着し導電性を有している。
そのため、上記金属セパレータを用いてもシール部材との位置ずれなくガスシール性を確保し、良好な組み付け性をえるために、金属セパレータの外縁部に接着剤を用いて予めシール部材と一体化させておき、シール部材が接着されたセパレータを用いて組立を行って燃料電池スタックを組立てたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、金属の腐食を防止すると共に電極との接触抵抗を小さくするために、金属セパレータ表面に耐食性に優れた樹脂を被覆するなどの改良技術も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−55813号公報 特開2000−243408号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されているような従来の金属セパレータは、凹凸断面で薄板状の部品であり、プレス加工、もしくは機械加工で成型することが一般的である。そのため、凹凸形状(変形)及び高さにバラツキがあり、積層され荷重を付加し密着した状態でもアノードセパレータとカソードセパレータの接触が悪いエリアが存在する(図12、13参照)。また、金属セパレータの外縁部に接着剤を用いて予めシール部材と一体化させても、あるいはセパレータに樹脂膜を被覆しても、セパレータの凹凸形状のバラツキ(変形)及び高さにバラツキについては改善されない。
そのため、アノードセパレータとカソードセパレータの凹凸形状及び高さのバラツキを吸収できず、アノードセパレータとカソードセパレータの接触面内に非接触なエリア(接触が悪いエリア)が存在した状態のままとなり、セパレータ間の接触抵抗の増大を招き、導電性が低下(悪化)するという問題があった。
そこで、本発明は、セパレータの凹凸形状や高さにバラツキが発生していても、セパレータ同士の接触抵抗の低減を図り、導電性を高めることのできる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、発電に寄与する領域にテーパーを有する凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、
前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させていることを特徴とする燃料電池スタックである。
本発明によれば、高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させている。そのため、テーパー部を接触部となり、アノードセパレータとカソードセパレータの凹凸形状のバラツキ(変形)及び高さのバラツキ(高さ違い)があっても、こうした影響を受けないテーパー同士の接触部を通じて高い導電性を確保することができる。すなわち、凹凸形状及び高さのバラツキのあるセパレータを用いても、該セパレータ同士の接触抵抗の大幅に低減させることができる。その結果、燃料電池単セル当たりの起電力を高めることができ、燃料電池全体としての出力を大幅に向上させることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の燃料電池スタックの一つの実施形態(第1の実施形態とも称する)は、発電に寄与する領域にテーパーを有する凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させていることを特徴とするものである。本実施形態の作用効果については、上記した通りである。以下、本発明の第1の実施形態につき、説明する。
本発明の第1の実施形態における、燃料電池スタックの全体構成について簡単に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における、燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態におけるセパレータの平面図である。図4Aは、図3に示したセパレータのA−A線断面図である。
図1に示すように、燃料電池スタック1は、燃料ガスと酸化剤ガスの反応により起電力を生じる単位電池としての燃料電池単セル2を所定数だけ積層した積層体3とされ、その積層体3の両端に集電板4、絶縁板5およびエンドプレート6を配置し、該積層体3の内部に貫通した貫通孔(図示は省略する)にタイロッド7を貫通させ、そのタイロッド7の端部にナット(図示は省略する)を螺合させることで構成されている。
この燃料電池スタック1においては、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水をそれぞれ各燃料電池単セル2のセパレータ(図示は省略する)に形成された流路溝に流通させるための燃料ガス導入口8、燃料ガス排出口9、酸化剤ガス導入口10、酸化剤ガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13を、一方のエンドプレート6に形成している。
燃料ガスは、燃料ガス導入口8より導入されてセパレータに形成された燃料ガス供給用の流路溝を流れ、燃料ガス排出口9より排出される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入口10より導入されてセパレータに形成された酸化剤ガス供給用の流路溝を流れ、酸化剤ガス排出口11より排出される。冷却水は、冷却水導入口12より導入されてセパレータに形成された冷却水供給用の流路溝を流れ、冷却水排出口13より排出される。
燃料電池単セル2は、図2に示すように、膜電極接合体(以下、MEA(membrane electrode ass embly)とも称する。)14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。以下、MEA14のアノード側に配置されるセパレータ15を、アノードセパレータ15Aと称し、カソード側に配置されるセパレータ15をカソードセパレータ15Bと称する。
MEA14は、例えば水素イオンを通す高分子電解質膜である固体高分子電解質膜141と、アノード触媒層142Aとガス拡散層143Aからなるアノード電極144Aと、カソード触媒層142Bとガス拡散層143Bからなるカソード電極144Bとからなる。かかるMEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。かかるセパレータ15は、図3及び図4Aに示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸条部(断面凸部;以下、凸部とも称する)16と凹条部(断面凹部;以下、凹部とも称する)17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を形成している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aは、MEA14との間に燃料ガス(水素;H)を流通させる燃料ガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸条部16Bは、MEA14との間に酸化剤ガス(酸素;O)を流通させる酸化剤ガス流路19を形成する。
さらに、第1の実施形態では、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bとを、少なくとも前記発電に寄与する領域Xに形成された凹凸部を合わせ、テーパー161A、161B同士を接触させ、アノードセパレータ15Aの凸部16Aとカソードセパレータ15Bの凹部17Bで構成されている空間部201及びアノードセパレータ15Aの凹部17Aとカソードセパレータ15Bの凸部16Bで構成されている空間部202は、冷却水(LLC)を流通させる冷媒流路20をそれぞれ形成する。これにより、凹凸形状に加工されたセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形を吸収でき、接触抵抗の低減が可能となる。一方、従来の金属セパレータを用いた燃料電池スタックでは、図12、13に示すように、セパレータ同士の凸部を合わせても、凹凸形状及び高さのバラツキがあるため、高さ違いによる非接触部41a(図13参照)や、接触部の凸部面の変形による非接触部41bが生じていた。そのため図12に示すように、積層され荷重を付加し密着した状態でもアノードセパレータとカソードセパレータが接触せず導電性が悪いエリア41(図12の破線で囲った部分参照)が存在した。その結果、セパレータ間の接触抵抗の増大を招き、導電性が低下(悪化)するという問題があった。本発明では、本実施形態、更には後述する第2〜4の実施形態において、こうしたアノードセパレータとカソードセパレータの凹凸形状及び高さのバラツキがあっても、こうした影響を受けないテーパー同士の接触部を通じて導電性を高めることができる。すなわち、従来と同様に凹凸形状及び高さにバラツキのある金属セパレータを用いて、該セパレータ同士の接触抵抗の大幅に低減させることができる。その結果、燃料電池単セル当たりの起電力を高めることができ、燃料電池全体としての出力を大幅に向上させることができるものである。
また、第1の実施形態では、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bとを、少なくとも前記発電に寄与する領域Xに形成された凸部同士を合わせた場合に比して、隣接するMEA14間の幅dを薄くすることができる。その結果、燃料電池スタック1の全体容積を低減することができる点で優れている。ここで、隣接するMEA14間の幅dとは、図2(図5〜7も同様)に示すように、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを重ねた厚さ(以下、単にセパレータ厚さ)をいう。また、セパレータ厚さdは、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bのテーパー部の角度等を調整することにより、0%超〜50%未満の範囲で任意に薄くすることができる。1例として図2、5のセパレータ厚さdは、図6、7のセパレータ厚さdに比べて1/3程度薄くした様子を表している。
また、セパレータ15には、前記した燃料ガス導入口8、燃料ガス排出口9、酸化剤ガス導入口10、酸化剤ガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13と連通するそれぞれのマニホールド21、22、23、24、25、26が形成されている(図1、3参照)。例えば、図3で示すセパレータ15の右側上から下へ順次、燃料ガス導入用マニホールド21、冷却水導入用マニホールド22、酸化剤導入用マニホールド23とされている。また、セパレータ15の左前上から下へ順次、酸化剤排出用マニホールド24、冷却水排出用マニホールド25、燃料ガス排出用マニホールド26とされている。さらに、セパレータ15には、タイロッド7を貫通させるスタッキング孔40が形成されている。
このように構成されたMEA14とセパレータ15とからなる燃料電池単セル2は、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15BでMEA14をその両側から挟み込むようにして積層されている。そして、図2に示すように、当該MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁近傍部にはシール部材27が設けられている。このシール部材27を設けることで隣接するMEA14間及び上下のセパレータ15A、15B間のガス(H、O)シール及び冷媒(冷却水)シールがなされている。シール部材27には、Oリングに用いられているゴム材料のような絶縁性、弾性を有するシール材料が好適である。これは、MEA14とセパレータ15とが積層され荷重を付加し密着した状態では、Oリングのようにある程度加圧変形させてシール性を保持させることができるためである。これにより、燃料電池スタックを車両に搭載した場合に、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃、さらには燃料電池スタックの発電・停止に伴う熱膨張・収縮等に対しても柔軟に追従でき、安定したシール効果を保持し続けることができる。
また、図2に示すように、MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁部の発電に寄与しない領域Yには、補強部材28が形成されているのが望ましい。当該発電に寄与しない領域Yでは、高分子電解質膜141には電極144A、144Bが設けられておらず、強度的に弱い為、電極144A、144Bに代えてほぼ同じ厚さで電極反応に関与せず、影響を及ぼさない絶縁性の補強部材27で高分子電解質膜141を挟み込むのがよい。該補強部材28としては特に制限されるものではなく、絶縁性の有機物(有機高分子材料を含む)、無機物(セラミック材料や金属酸化物材料や非金属材料などを含む)などを用いることができる。
第1の実施形態では、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bとに形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させているが、好ましくは、これらテーパー部の接触部(図2の破線で囲った部分参照)を接合して更に導電性を高めても良い。
第1の実施形態では、テーパー部の接触部(図2の破線で囲った部分参照)を接合するのに、後述する第2〜第4の実施形態で用いるような導電性部材を用いて接合してもよいし、低融点合金材料を用いてもよい。通常、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bのテーパー161A、161B同士を重ねる前または後に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行う。ステンレスを基材とする金属セパレータの場合、耐食性を満足させるため表面に不導体皮膜が形成されているが、導電性という点ではマイナス要因となるため、イオン窒化処理で不導体被膜を除去し導電性を付与する必要がある。導電性付与のための熱処理は、N及びHの混合ガス(通常の混合比率は1:1程度)を窒化時の雰囲気し、約600℃以下の熱を加えて行う。なお、窒化処理は、更に真空とすることでOの無い条件で窒化することが好ましく、また、アンモニアガスを更に混合するようにしてもよい。前記条件の下、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに窒化処理を施すと、これらセパレータ表面に付着した不導体皮膜が除去される。その結果、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bには導電性が付与される。
そこで、テーパー部の接触部を接合するのに導電性部材を用いる場合には、後述するような導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等が有効に利用できるものである。こうした導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等では、樹脂成分等が含まれる為、約600℃の熱を加えると劣化する虞れがある。そのため、こうした導電性接着剤や導電性金属ペーストを塗布する前にセパレータのイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行うのが望ましい。導電性接着剤や導電性金属ペースト等は、600℃よりもはるかに低い温度(例えば、百数十℃〜二百数十℃程度)で硬化させて、十分なる接着強度を発現させることができる。そのため、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bのテーパー部に導電性接着剤や導電性金属ペーストを塗布して重ねた後、該導電性接着剤や導電性金属ペーストの種類に応じた硬化処理を行えばよい。これにより、テーパー部の該接合部(接触部)において、該導電性部材による優れた接着性及び導電性等の所望の特性を有効に発現させることができるものである。その結果、燃料電池単セル2は、セパレータ間の接触抵抗が小さくなり発電性能を向上することができる。
一方、テーパー部の接触部を接合するのに低融点合金材料を用いる場合には、セパレータのテーパー同士を重ねた後に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行ってもよい。この際、低融点合金材料の融点は、前記600℃以下の熱処理温度よりも低い必要がある。Sn、Bi、In、Ag等の合金を使用した場合、これらの合金は約200℃の融点であり、熱処理時の熱により容易に融解する。すなわち、不導体被膜を除去して導電性を付与するための窒化処理時の加熱で、低融点合金材料も溶融するため、熱処理工程を一工程とすることができる。そのため、低融点合金材料を溶融させるための熱処理を別途追加するのを防止できる。なお、金属セパレータとしてステンレスを使用する場合は、半田付けの助剤となり酸化膜を除去する働きのあるフラックスが少量入った半田を使用することが望ましい。また、低融点合金材料に半田を使用することで、材料コストの削減、重量低減を図ることができる。また、ペースト状の導電性部材や低融点合金材料を接触部に塗布することで、塗布作業を自動化することが可能となり、大幅な塗布作業効率を高めることができる。
以上、第1の実施形態について説明したが、本実施の形態は、上述の実施形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
次に、本発明の燃料電池スタックの他の実施形態(第2の実施形態とも称する)は、発電に寄与する領域に凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせテーパー同士を接触することにより導電性部材注入エリアが設けられており、前記エリア内に導電性部材が注入されてなることを特徴とするものである。そのため、アノードセパレータとカソードセパレータの凹凸形状及び高さのバラツキにより、当該導電性部材注入エリア容積が増減することになる。しかしながら、該エリア内には該エリア容積量に対応する導電性部材量が注入させているため、該容積が増減してもアノードセパレータとカソードセパレータは当該エリア内の導電性部材を介して隙間なく密着されていることになる。よって、セパレータの凹凸形状及び高さのバラツキを当該導電性部材注入エリアで効果的に吸収させることができる。その結果、セパレータ同士の接触抵抗の大幅に低減させることができ、導電性を高めることができる。したがって、本発明によれば、燃料電池単セル当たりの起電力を高めることができ、燃料電池全体としての出力を大幅に向上させることができる。以下、本発明の第2の実施形態につき説明する。
本発明の第2の実施形態における、燃料電池スタックの全体構成については、図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、図5は、本発明の第2の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。
本発明の第2の実施形態では、図5に示すように、燃料電池単セル2は、MEA14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。
MEA14の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。かかるMEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。かかるセパレータ15は、第1の実施形態と同様に図3及び図4Aに示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸部16と凹部17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を形成している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aは、MEA14との間に燃料ガス(水素;H)を流通させる燃料ガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸部16Bは、MEA14との間に酸化剤ガス(酸素;O)を流通させる酸化剤ガス流路19を形成する。
さらに、第2の実施形態では、図5に示すように、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bとを、MEA14の少なくとも発電に寄与する領域Xに形成された凹凸部(一方のセパレータの凸部16と他方のセパレータの凹部17)を合わせ、アノードセパレータ15Aのテーパー161A、カソードセパレータ15Bのテーパー161B同士を接触することにより導電性部材注入エリア51が設けられている。前記エリア51内に、導電性接着剤や金属ペーストなどの導電性部材(53)が注入されている。これにより、凹凸形状に加工されたセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形をエリア51内に充填される導電性部材53で吸収でき、該エリア51内に充填された導電性部材を介してセパレータ15A、15B間の接触抵抗を確実に低減することができる点で優れている。
すなわち、テーパー161A、161B同士を接触させることにより、第1の実施形態と同様に、アノードセパレータ15Aの凸部16Aとカソードセパレータ15Bの凹部17Bで構成されている空間部201及びアノードセパレータ15Aの凹部17Aとカソードセパレータ15Bの凸部16Bで構成されている空間部202が形成される。このうちの一方、例えば、空間部202には冷却水(LLC)を流通させることで、第1の実施形態と同様に冷媒流路20を形成する。更にもう一方の空間部201の一部または全部を、冷却水(LLC)を流通させる冷媒流路20に代えて導電性部材注入エリア51とするものである。図5では、空間部201の全部を導電性部材注入エリア51とした例を示したが、冷却(熱交換)効率と接触抵抗の低減効果とを比較考量して、空間部201に占める冷媒流路20と導電性部材注入エリア51の比率を決定すればよい。そして、該導電性部材注入エリア51に導電性接着剤や金属ペーストなどの導電性部材(53)を隙間なく注入してなるものである。これにより、凹凸形状に加工されたセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形を吸収でき、接触抵抗の低減が可能となる。特に第1の実施形態と同様にテーパー同士の接触部で高い導電性を確保できるほか、導電性部材53を注入してなる当該導電性部材注入エリア51により、さらに十分なる導電性を確保することができる点でも優れている。また、第1の実施形態と同様に、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士を合わせた場合に比して、隣接するMEA14間のセパレータ厚さdを薄くすることができる。その結果、燃料電池スタック1の全体容積を低減することができる点で優れている。
また第2の実施形態でも、セパレータ15には、前記した燃料ガス導入口8、燃料ガス排出口9、酸化剤ガス導入口10、酸化剤ガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13と連通するそれぞれのマニホールド21、22、23、24、25、26が形成されている。例えば、図3で示すセパレータ15の右側上から下へ順次、燃料ガス導入用マニホールド21、冷却水導入用マニホールド22、酸化剤導入用マニホールド23とされている。また、セパレータ15の左前上から下へ順次、酸化剤排出用マニホールド24、冷却水排出用マニホールド25、燃料ガス排出用マニホールド26とされている。さらに、セパレータ15には、タイロッド7を貫通させるスタッキング孔40が形成されている。
このように構成されたMEA14とセパレータ15とからなる燃料電池単セル2は、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15BでMEA14をその両側から挟み込むようにして積層されている。そして、当該MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁近傍部にはシール部材27が設けられている。このシール部材27を設けることで隣接するMEA14間及び上下のセパレータ15A、15B間のガス(H、O)シール及び冷媒(冷却水)シールがなされている。シール部材27には、Oリングに用いられているゴム材料のような絶縁性、弾性を有するシール材料が好適である。これは、Oリングのようにある程度加圧変形させてシール性を保持させることができるためである。これにより、燃料電池スタックを車両に搭載した場合に、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃に対して安定したシール効果を発現することができるためである。
また、MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁部の発電に寄与しない領域Yには、補強部材28が形成されているのが望ましい。当該発電に寄与しない領域Yでは、図5に示すように、高分子電解質膜141には電極144A、144Bが設けられておらず、強度的に弱い為、電極144A、144Bに代えて同じ厚さで電極反応に影響を及ぼさない絶縁性の補強部材27で高分子電解質膜141を挟み込むのがよい。該補強部材28としては特に制限されるものではなく、絶縁性の有機物(有機高分子材料を含む)、無機物(セラミック材料や金属酸化物材料や非金属材料などを含む)などを用いることができる。
第2の実施形態の燃料電池スタック1でも、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bとを、少なくとも発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させている。そのため、これらテーパー部の接触部(図2の破線で囲った部分参照)を接合することにより接合一体化して導電性を高めても良い。
第2の実施形態でも、テーパー部の接触部(図2の破線で囲った部分参照)を接合するのに、本実施形態で用いるような導電性部材53を用いて接合してもよいし、低融点合金材料を用いてもよい。通常、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bのテーパー161A、161B同士を重ねる前または後に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行う。ステンレスを基材とする金属セパレータの場合、耐食性を満足させるため表面に不導体皮膜が形成されているが、導電性という点ではマイナス要因となるため、イオン窒化処理で不導体被膜を除去し導電性を付与する必要がある。導電性付与のための熱処理は、N及びHの混合ガス(通常の混合比率は1:1程度)を窒化時の雰囲気し、約600℃以下の熱を加えて行う。なお、窒化処理は、更に真空とすることでOの無い条件で窒化することが好ましく、また、アンモニアガスを更に混合するようにしてもよい。前記条件の下、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに窒化処理を施すと、これらセパレータ表面に付着した不導体皮膜が除去される。その結果、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bには導電性が付与される。
そこで、テーパー部の接触部を接合するのに導電性部材を用いる場合には、後述するような導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等が有効に利用できるものである。こうした導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等では、樹脂成分等が含まれる為、約600℃の熱を加えると劣化する虞れがある。そのため、こうした導電性接着剤や導電性金属ペーストを塗布する前にセパレータのイオン窒化処理を行うのが望ましい。導電性接着剤や導電性金属ペースト等は、600℃よりもはるかに低い温度(例えば、百数十℃〜二百数十℃程度)で硬化させて、十分なる接着強度を発現させることができる。そのため、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凹凸部に導電性接着剤や導電性金属ペーストを塗布して重ねた後、該導電性接着剤や導電性金属ペーストの種類に応じた硬化処理を行えばよい。これにより、該接合部(接触部)において、該導電性部材による優れた接着性及び導電性等の所望の特性を有効に発現させることができるものである。なお、該導電性部材注入エリア51への導電性接着剤や金属ペーストなどの導電性部材(53)の注入は、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凹凸部を重ねた後でもよし、その後、凹凸部の導電性部材を硬化させた後でもよい。あるいはアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凹凸部を重ねる前に、該導電性部材注入エリア51を構成する凹部側に注入すると共に凹凸部の接合部(接触部)に塗布してもよい。
一方、テーパー部の接触部を接合するのに低融点合金材料を用いる場合には、セパレータのテーパー同士を重ねた後に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行ってもよい。この際、低融点合金材料の融点は、前記600℃以下の熱処理温度よりも低い必要がある。Sn、Bi、In、Ag等の合金を使用した場合、これらの合金は約200℃の融点であり、熱処理時の熱により容易に融解する。なお、金属セパレータとしてステンレスを使用する場合は、半田付けの助剤となり酸化膜を除去する働きのあるフラックスが少量入った半田を使用することが望ましい。また、低融点合金材料に半田を使用することで、材料コストの削減、重量低減を図ることができる。また、ペースト状の導電性部材や低融点合金材料を接触部に塗布することで、塗布作業を自動化することが可能となり、大幅な塗布作業効率を高めることができる。
ただし、第2の実施形態では、導電性部材53を注入してなる当該導電性部材注入エリア51により十分なる導電性と共に、該導電性部材53による強固な接着効果によりセパレータ間の一体化を図ることもできる。そのため、テーパー部の接触部を特に接合しなくてもよいともいえる。
次に、本発明の燃料電池スタックの他の実施形態(第3の実施形態とも称する)は、発電に寄与する領域に凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凸部同士を合わせることにより、凹部同士で囲まれた空間部が複数設けられており、複数の前記空間部の一部または全部に導電性部材が充填または注入されていることを特徴とするものである。以下、本発明の第3の実施形態につき説明する。
本発明の第3の実施形態における、燃料電池スタックの全体構成については、図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。図4Bは、本発明の第3の実施形態におけるセパレータの断面図である。また、図6A、Bは、共に本発明の第3の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。
本発明の第3の実施形態では、図6A、Bに示すように、燃料電池単セル2は、MEA14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。
MEA14の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。かかるMEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。かかるセパレータ15は、第1の実施形態と同様に図3及び図4Bに示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸部16と凹部17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を形成している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aは、MEA14との間に燃料ガス(水素;H)を流通させる燃料ガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸部16Bは、MEA14との間に酸化剤ガス(酸素;O)を流通させる酸化剤ガス流路19を形成する。そして、隣接するアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士が合わされたアノードセパレータ15Aの凹部17Aとカソードセパレータ15Bの凹部17Bで囲まれた空間部203には、原則として冷却水(LLC)を流通させるための冷媒流路20を形成する。
さらに、第3の実施形態では、前記空間部203の一部または全部を導電性充填エリアとして、該導電性充填エリアに導電性部材が充填または注入されていることを特徴とするものである。例えば、図6A、Bに示すように、前記空間部203のうち発電に寄与する領域Xに形成された該空間部203には、冷却水(LLC)を流通させる冷媒流路20を形成する。一方、空間部203のうち、発電に寄与する領域外部の補強領域Yの該空間部203を導電性充填エリア61とし、該導電性充填エリア61内に導電性部材(63)が充填(図6A参照)または注入(図6B参照)されている。本実施形態で充填とは、物を詰めて隙間等を埋めることをいい、導電性充填エリア61内に導電性部材63が隙間なく詰められている場合をいう。本実施形態で注入とは、物が注ぎ込まれていることをいい、導電性充填エリア61内に導電性部材63が注ぎ込まれていればよく、特に隙間の有無は問わない。よって、注入とした場合には、隙間や空間が存在していてもよいものとする。
図6Aに示すように、接触抵抗を低減した上で、隣接する冷媒水路20内の冷媒が導電性充填エリア61を介して外部に漏出するのを防止する観点からは、導電性部材63が導電性充填エリア61内に充填されていることが望ましい。また、導電性部材63を導電性充填エリア61内に充填することで、燃料電池スタック1を車両に搭載した場合に、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃に対して安定した導電性及び冷媒シール効果を発現することができる点でも優れている。
また、図6Bに示すように、接触抵抗を低減した上で、セパレータの軽量化を図る観点からは、該導電性部材63が導電性充填エリア61内の適所にのみ注入されていることが望ましい。この際、シール効果を高め、隣接する冷媒水路20内の冷媒が導電性充填エリア61に浸入するのを防止する観点からは、導電性充填エリア61内の適所の1つとして、凸部16A、16B同士の接触部の周縁部に、導電性部材63が注入されていることが望ましい。また、導電性部材63を導電性充填エリア61内の適所にのみ注入して軽量化を図る場合でも、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃に対して安定した接触抵抗の低減効果及び冷媒シール効果を発現することができるように、十分配慮して注入箇所を決定することが望ましい。以上の点から、例えば、導電性充填エリア61の内壁面全体に導電性部材63が注入されており、導電性充填エリア61の中心部は、空間部とする例などが挙げられるが、これに制限されるものでない。導電性充填エリア61の中心部を空間部とする場合には、この空間部を冷却水(LLC)を流通させる冷媒流路20として利用することができる点で特に優れている。かかる構造を採用することで、発電に寄与する領域Xにおいても、該領域X内の空間部203の一部ないし全部を導電性充填エリア61兼冷媒流路20として高度の有効利用を図ることができるためである。こうした場合、導電性部材63には、冷却水(LLC)による熱交換効率を高めることができるように、熱伝導性に優れる材料を選択するのがより望ましい。同様に、導電性充填エリア61の内壁面に形成する導電性部材63の厚さと冷媒流路20の大きさの関係を、接触抵抗の低減効果と熱交換効率と耐振動・衝撃性等のバランスを比較考量して最適化しておくのが望ましい。
第3の実施形態では、セパレータ15には、図3に示すように、前記した燃料ガス導入口8、燃料ガス排出口9、酸化剤ガス導入口10、酸化剤ガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13と連通するそれぞれのマニホールド21、22、23、24、25、26が形成されている。例えば、図3で示すセパレータ15の右側上から下へ順次、燃料ガス導入用マニホールド21、冷却水導入用マニホールド22、酸化剤導入用マニホールド23とされている。また、セパレータ15の左前上から下へ順次、酸化剤排出用マニホールド24、冷却水排出用マニホールド25、燃料ガス排出用マニホールド26とされている。さらに、セパレータ15には、タイロッド7を貫通させるスタッキング孔40が形成されている。
また、第3の実施形態では、図4Bに示すように、セパレータ15には、シール溝29が形成されていてもよい。該シール溝29は、流路を構成する凸部16及び凹部17を取り囲むと共に、燃料ガス導入用マニホールド21、酸化剤導入用マニホールド23、酸化剤排出用マニホールド24及び燃料ガス排出用マニホールド26をそれぞれ取り囲むように形成されている。かかるシール溝29は、断面半円形状をなす溝として形成され、いわゆる一筆書きとして形成されている。さらに、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに形成したシール溝29A、29B同士を、本実施形態で用いるような導電性部材を用いて接合してもよいし、低融点合金線材のような低融点合金材料30にて金属接合させてもよい(図8参照)。シール溝29A、29B同士を導電性部材や低融点合金材料で接合することにより、それらの間が隙間無く密着し、確実にシールすることが可能となる。
上記シール溝同士を金属接合する場合、例えば、図8及び図9に示すように、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの何れか一方に形成されたシール溝29内に、このシール溝29に嵌合する丸棒形状をなす低融点合金線材30を配置すればよい。低融点合金線材30には、例えば半田繰が使用できるが、これらに制限されるものではない。低融点合金線材30は、図9に示すように、冷却水等の流体をシールすることができるように、全てのシール溝29内に配置するのが望ましい。シール溝29のうち、ストレート溝には、ストレート形状とした低融点合金線材30を、屈曲溝には、その形状に応じた曲線形状とした低融点合金線材30を配置する。そして、低融点合金線材30が配置されたアノードセパレータ15Aの上に、凸部同士が重なるようにし且つ前記低融点合金線材30がぴったりと嵌るようにカソードセパレータ15Bをセットして重ねる。これにより、上下のシール溝29には、隙間無く低融点合金線材30が満たされる。本実施形態では、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士を重ねる前に上記した接着性の導電性部材63についても塗布しておけばよい。アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを重ねた後、上記したように加熱してセパレータに導電性を付与するためのイオン窒化処理を行う。
低融点合金線材30の融点は、前記600℃以下の熱処理温度よりも低い必要があり、Sn、Bi、In、Ag等の合金を使用した場合、これらの合金は約200℃の融点であり、イオン窒化処理時の熱により容易に融解する。なお、金属セパレータとしてステンレスを使用する場合は、半田付けの助剤となり酸化膜を除去する働きのあるフラックスが少量入った半田を使用することが望ましい。また、低融点合金材料に半田を使用することで、材料コストの削減、重量低減を図ることができる。
上記シール溝同士を本実施形態で用いるような導電性部材を用いて接合する場合には、上記低融点合金線材30に代えて導電性部材63の線材を用いて同様に行えばよい。この場合には、イオン窒化処理をアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを重ねる前に行えばよい。
更に第3の実施形態では、セパレータの凸部同士の接触部を接合するのに、低融点合金材料を用いてもよい。この際、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士を重ねる前または重ねた後に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行う。ステンレスを基材とする金属セパレータの場合、耐食性を満足させるため表面に不導体皮膜が形成されているが、導電性という点ではマイナス要因となるため、イオン窒化処理で不導体被膜を除去し導電性を付与する必要がある。導電性付与のための熱処理は、N及びHの混合ガス(通常の混合比率は1:1程度)を窒化時の雰囲気し、約600℃以下の熱を加えて行う。なお、窒化処理は、更に真空とすることでOの無い条件で窒化することが好ましく、また、アンモニアガスを更に混合するようにしてもよい。前記条件の下、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに窒化処理を施すと、これらセパレータ表面に付着した不導体皮膜が除去される。その結果、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bには導電性が付与される。
好ましくは、セパレータの凸部に低融点合金材料を塗布などにより配置し、該凸部同士を重ねた後に、上記イオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行うと共にセパレータの凸部同士の接触部を接合を行うのが望ましい。この場合、低融点合金材料の融点は、前記600℃以下の熱処理温度よりも低い必要がある。Sn、Bi、In、Ag等の合金を使用した場合、これらの合金は約200℃の融点であり、イオン窒化処理時の熱により容易に融解することができる。そのため、イオン窒化処理と同時に低融点合金が溶融して凸部同士を強固に接合させることがきるものである。なお、金属セパレータとしてステンレスを使用する場合は、半田付けの助剤となり酸化膜を除去する働きのあるフラックスが少量入った半田を使用することが望ましい。
第3の実施形態では、セパレータの凸部に低融点合金材料を配置または塗布して熱処理を行うことで、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを接合させたが、図10に示すように、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部間にレーザーを照射し金属溶融させ、それらの間を接合させてもよい。このように、レーザー溶接にて凸部間を接合すれば、母材同士が溶け合って接合されることから均一な電気的接触状態を確保することができる。また、レーザー溶接の代わりに、凸部間をスポット溶接して、それらの間を接合させてもよい。
このように構成されたMEA14とセパレータ15とからなる燃料電池単セル2は、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15BでMEA14をその両側から挟み込むようにして積層されている。そして、図6A、Bに示すように、MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁近傍部にはシール部材27が設けられている。このシール部材27を設けることで隣接するMEA14間及び上下のセパレータ15A、15B間のガス(H、O)シール及び冷媒(冷却水)シールがなされている。シール部材27には、Oリングに用いられているゴム材料のような絶縁性、弾性を有するシール材料が好適である。これは、Oリングのようにある程度加圧変形させてシール性を保持させることができるためである。これにより、燃料電池スタックを車両に搭載した場合に、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃に対して安定したシール効果を発現することができるためである。
また、図6A、Bに示すように、MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁部の発電に寄与しない領域Yには、補強部材28が形成されているのが望ましい。当該発電に寄与しない領域Yでは、図6に示すように、高分子電解質膜141には電極144A、144Bが設けられておらず、強度的に弱い為、電極144A、144Bに代えて同じ厚さで電極反応に影響を及ぼさない絶縁性の補強部材27で高分子電解質膜141を挟み込むのがよい。該補強部材28としては特に制限されるものではなく、絶縁性の有機物(有機高分子材料を含む)、無機物(セラミック材料や金属酸化物材料や非金属材料などを含む)などを用いることができる。
次に、本発明の燃料電池スタックの他の実施形態(第4の実施形態とも称する)は、発電に寄与する領域に凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凸部同士を導電性部材を介して接触していることを特徴とするものである。以下、本発明の第4の実施形態につき説明する。
本発明の第4の実施形態における、燃料電池スタックの全体構成については、図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、図7は、本発明の第4の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。
本発明の第4の実施形態では、図7に示すように、燃料電池単セル2は、MEA14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。
MEA14の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。かかるMEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。かかるセパレータ15は、第1の実施形態と同様に図3及び図4Bに示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸部16と凹部17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を形成している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aは、MEA14との間に燃料ガス(水素;H)を流通させる燃料ガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸部16Bは、MEA14との間に酸化剤ガス(酸素;O)を流通させる酸化剤ガス流路19を形成する。そして、隣接するアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士が合わされたアノードセパレータ15Aの凹部17Aとカソードセパレータ15Bの凹部17Bで囲まれた空間部のうち前記発電に寄与する領域Xに形成された該空間部には、冷却水(LLC)を流通させる冷媒流路20を形成する。
さらに、第4の実施形態では、図7に示すように、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの、少なくとも発電に寄与する領域Xに形成された凸部同士を導電性部材73を介して接触している。好ましくはよりも外周縁近傍部の発電に寄与しない領域Yに形成された凸部同士も導電性部材73を介して接触しているのが望ましい。これにより、凹凸形状に加工されたセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形を導電性部材73で吸収でき、導電性を向上し接触抵抗の低減が可能となる。
また、セパレータの凸部同士を導電性部材73を介して接触するには、例えば、図10に示すように、液状ないしペースト状にした接着性の導電性部材73をディスペンサー74などにより、一方のセパレータの凸部16に塗布する。その後、もう一方のセパレータを図7に示すように凸部同士を合せて接着(接合)し、凸部同士を隙間なく接触させてもよい。或いは、図11に示すように、スクリーン版76を用いてスキージ77により、一方のセパレータの凸部16の頂部に液状ないしペースト状にした接着性の導電性部材73を塗布する。その後、もう一方のセパレータを図7に示すように凸部同士を合せて接着(接合)し、凸部同士を隙間なく接触させてもよい。この際、予めセパレータ同士を合せてセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形量を確認しておき、この変形量に応じて塗布する導電性部材量の加減するようにして、高さ違いや凸部頂点の変形を導電性部材で吸収するようにしてもよい。あるいは、予めセパレータ同士を合せてセパレータの高さ違いや凸部頂点の変形量が最も大きい部分を確認しておき、この部分においても凸部同士を接触させることができる導電性部材量を各凸部16に塗布するようにしてもよい。この場合には、図7に示すように、変形量が最も大きい凸部16同士の接触部では、凸部頂部の全幅に導電性部材が入っていなくてもよい。一方、変形のない凸部16同士の接触部では、凸部頂部から余分な導電性部材73aが冷媒流路20にはみだす形になる。従って、かかるはみ出し量が少なくなるように、変形量が最も大きい凸部16同士の接触部で図7に示すような凸部頂部の中央部のみに導電性部材が入るようにすればよく、例えば、塗布する導電性部材の粘性を調整したり、スキージ77幅を調整するなどしても良い。ただし、これらに制限されるものではなく、例えば、凸部同士の接触部では、シート状の接着性の導電性部材73を配置させてもよい。
また、本実施形態でも、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部16同士を重ねる前に、加熱してセパレータに導電性を付与するための熱処理であるイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行う。ステンレスを基材とする金属セパレータの場合、耐食性を満足させるため表面に不導体皮膜が形成されているが、導電性という点ではマイナス要因となるため、イオン窒化処理で不導体被膜を除去し導電性を付与する必要がある。導電性付与のための熱処理は、N及びHの混合ガス(通常の混合比率は1:1程度)を窒化時の雰囲気し、約600℃以下の熱を加えて行う。なお、窒化処理は、更に真空とすることでOの無い条件で窒化することが好ましく、また、アンモニアガスを更に混合するようにしてもよい。前記条件の下、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに窒化処理を施すと、これらセパレータ表面に付着した不導体皮膜が除去される。その結果、これらアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bには導電性が付与される。
凸部同士を重ねる前にイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行うのは、本実施形態では、導電性部材73として導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等を用いるためである。こうした導電性フィラーを添加した導電性接着剤や導電性金属ペースト等では、樹脂成分等が含まれる為、約600℃の熱を加えると劣化する虞れがある。そのため、こうした導電性接着剤や導電性金属ペーストを塗布する前にセパレータのイオン窒化処理(導電性付与表面処理)を行うのが望ましい。導電性接着剤や導電性金属ペースト等は、600℃よりもはるかに低い温度(例えば、百数十℃〜二百数十℃程度)で硬化させて、十分なる接着強度を発現させることができる。そのため、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部16同士を重ねた後に、該接触部に用いた導電性接着剤や導電性金属ペーストの種類に応じた硬化処理を行えばよい。これにより、セパレータの凸部16同士の接着部において、該導電性部材73による優れた接着性及び導電性等の所望の特性を有効に発現させることができるものである。
第4の実施形態でも、セパレータ15には、第1の実施形態と同様に図3に示すように、前記した燃料ガス導入口8、燃料ガス排出口9、酸化剤ガス導入口10、酸化剤ガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13と連通するそれぞれのマニホールド21、22、23、24、25、26が形成されている。例えば、図3で示すセパレータ15の右側上から下へ順次、燃料ガス導入用マニホールド21、冷却水導入用マニホールド22、酸化剤導入用マニホールド23とされている。また、セパレータ15の左前上から下へ順次、酸化剤排出用マニホールド24、冷却水排出用マニホールド25、燃料ガス排出用マニホールド26とされている。さらに、セパレータ15には、タイロッド7を貫通させるスタッキング孔40が形成されている。
また、第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、図4Bに示すように、セパレータ15には、シール溝29が形成されていてもよい。該シール溝29は、流路を構成する凸部16及び凹部17を取り囲むと共に、燃料ガス導入用マニホールド21、酸化剤導入用マニホールド23、酸化剤排出用マニホールド24及び燃料ガス排出用マニホールド26をそれぞれ取り囲むように形成されている。かかるシール溝29は、断面半円形状をなす溝として形成され、いわゆる一筆書きとして形成されている。さらに、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bに形成したシール溝29A、29B同士を、本実施形態で用いるような導電性部材を用いて接合してもよいし、低融点合金材料30にて金属接合させてもよい。
シール溝同士を金属接合する場合、第3の実施形態と同様に、例えば、図8及び図9に示すように、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの何れか一方に形成されたシール溝29内に、このシール溝29に嵌合する丸棒形状をなす低融点合金線材30を配置すればよい。低融点合金線材30には、例えば半田繰が使用できるが、これらに制限されるものではない。低融点合金線材30は、図9に示すように、冷却水等の流体をシールすることができるように、全てのシール溝29内に配置するのが望ましい。シール溝29のうち、ストレート溝には、ストレート形状とした低融点合金線材30を、屈曲溝には、その形状に応じた曲線形状とした低融点合金線材30を配置する。そして、低融点合金線材30が配置されたアノードセパレータ15Aの上に、凸部同士が重なるようにし且つ前記低融点合金線材30がぴったりと嵌るようにカソードセパレータ15Bをセットして重ねる。これにより、上下のシール溝29には、隙間無く低融点合金線材30が満たされる。本実施形態では、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bの凸部同士を重ねる前に上記した接着性の導電性部材73についても塗布しておけばよい。アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを重ねた後、上記したように加熱してセパレータに導電性を付与するためのイオン窒化処理を行う。
低融点合金線材30の融点は、前記600℃以下の熱処理温度よりも低い必要があり、Sn、Bi、In、Ag等の合金を使用した場合、これらの合金は約200℃の融点であり、イオン窒化処理時の熱により容易に融解する。なお、金属セパレータとしてステンレスを使用する場合は、半田付けの助剤となり酸化膜を除去する働きのあるフラックスが少量入った半田を使用することが望ましい。また、低融点合金材料に半田を使用することで、材料コストの削減、重量低減を図ることができる。
シール溝同士を本実施形態で用いるような導電性部材を用いて接合する場合には、上記低融点合金線材30に代えて導電性部材製の線材を用いて同様に行えばよい。この場合には、イオン窒化処理をアノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15Bを重ねる前に行えばよい。
このように構成されたMEA14とセパレータ15とからなる燃料電池単セル2は、アノードセパレータ15Aとカソードセパレータ15BでMEA14をその両側から挟み込むようにして積層されている。そして、図7に示すように、当該MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁近傍部にはシール部材27が設けられている。このシール部材27を設けることで隣接するMEA14間及び上下のセパレータ15A、15B間のガス(H、O)シール及び冷媒(冷却水)シールがなされている。シール部材27には、Oリングに用いられているゴム材料のような絶縁性、弾性を有するシール材料が好適である。これは、Oリングのようにある程度加圧変形させてシール性を保持させることができるためである。これにより、燃料電池スタックを車両に搭載した場合に、走行中に車体側から燃料電池スタックが受ける振動や衝撃に対して安定したシール効果を発現することができるためである。
また、MEA14の発電に寄与する領域Xよりも外周縁部の発電に寄与しない領域Yには、補強部材28が形成されているのが望ましい。当該発電に寄与しない領域Yでは、図7に示すように、高分子電解質膜141には電極144A、144Bが設けられておらず、強度的に弱い為、電極144A、144Bに代えて同じ厚さで電極反応に影響を及ぼさない絶縁性の補強部材27で高分子電解質膜141を挟み込むのがよい。該補強部材28としては特に制限されるものではなく、絶縁性の有機物(有機高分子材料を含む)、無機物(セラミック材料や金属酸化物材料や非金属材料などを含む)などを用いることができる。
次に、上記した各実施形態で用いられる導電性部材としては、隣接するセパレータ間の接触抵抗の低減を図ることのできる導電性を有していればよく、特に制限されるものではない。具体的には、体積抵抗率が10−0〜10−5Ω・cmの範囲のものが好ましく、こうしたものの中から、使用用途に応じて、最適な材料を適宜選択するのが望ましい。
上記導電性部材として上記体積抵抗率を具備するものとしては、例えば、導電性接着剤、導電性金属ペーストなどが挙げられる。上記導電性接着剤としては、導電性フィラーを添加した導電性接着剤が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
上記導電性フィラーとしては、特に制限されるものではなく、例えば、銀、ニッケル、金、パラジウム、カーボンなどを用いることができるが、これらに制限されるものではない。これら導電性フィラーの体積抵抗率は下記表1に示す通りであり、これらを勘案して接着剤の母材樹脂成分、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等に導電性フィラーを適量添加して、導電性接着剤が所望の体積抵抗率を有するように調整すればよい。この際、該導電性フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して添加しても良い。また既に市販されている各種導電性接着剤を単独または併用してもよい。市販の導電性接着剤としては、例えば、GE東芝シリコン社製 TSE3337(シリコン2液)、スリーボンド社製 TB1162(イソブチレン)、スリーボンド社製 TB3301(エポキシ)などが挙げられる。
Figure 2006228580
上記導電性金属ペーストとしては、特に制限されるものではなく、例えば、銀、ニッケル、金、パラジウムなど金属ペーストを用いることができる。この場合も、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して添加しても良い。また既に市販されている各種金属ペーストを単独または併用してもよい。導電性金属ペーストの体積抵抗率は、上記表1と同様の値を有するものであり、例えば、Agペーストの体積抵抗率は、1.1×10−4となる。
次に、上記した各実施形態において、セパレータの接触部を接合する場合には、該接触部がテーパー部であったり、セパレータの高さ違いや頂点の変形がある凸部であることから、例えば、図10に示すように、ペースト状の導電性部材や低融点合金材料31をディスペンサー75などにより塗布するのが望ましい。或いは、図11に示すように、スクリーン版76を用いてスキージ77により、凸部16の頂部に導電性部材や低融点合金材料31を塗布するのが望ましい。ただし、これらに制限されるものではなく、例えば、凸部同士の接触部では、導電性部材シートや低融点合金シートを配置させてもよい。低融点合金シートには、例えば、半田シートが使用できる。
なお、いずれの実施形態でも、接合により電気の通り路を確保し接触抵抗の低減が図られ、更には耐振動・衝撃性等の使用目的合った接合特性が得られるように、材料コスト削減、重量低減、機械的強度の向上等を考慮して、塗布量やシート厚さを決定すればよい。
本発明の各実施形態における、燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 セパレータの平面図である。 本発明の各実施形態におけるセパレータの平面図である。 本発明の第3及び第4の実施形態におけるセパレータの平面図である。 本発明の第2の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態の一つの態様の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態の他の態様の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 本発明の第4の実施形態の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 シール溝に導電性部材を配置し且つ凸部の頂部にも導電性部材を配置してアノードセパレータとカソードセパレータを重ね合わせた状態を示す要部拡大断面図である。 シール溝に導電性部材を配置し且つ凹条部の頂部に導電性部材を配置したセパレータの要部拡大平面図である。 凸部の頂部にペースト状の導電性部材を塗布する一例を示す要部拡大断面図である。 凸部の頂部にペースト状の導電性部材をスクリーン印刷によって塗布する一例を示す要部拡大断面図である。 従来の燃料電池スタックの積層構造の一部を示す要部拡大断面図である。 図12のセパレータ部分の一部を更に拡大して示す要部拡大断面図である。
符号の説明
1 燃料電池スタック、
2 燃料電池単セル、
3 積層体、
4 集電板、
5 絶縁板、
6 エンドプレート、
7 タイロッド、
8 燃料ガス導入口、
9 燃料ガス排出口、
10 酸化剤ガス導入口
11 酸化剤ガス排出口、
12 冷却水導入口、
13 冷却水排出口、
14 MEA、
141 高分子電解質膜、
142A アノード触媒層、
142B カソード触媒層、
143A アノードガス拡散層、
143B カソードガス拡散層、
144A アノード電極、
144B カソード電極、
15 セパレータ、
15A アノードセパレータ、
15B カソードセパレータ、
16 凸部、
16A アノードセパレータの凸部、
16B カソードセパレータの凸部、
161A アノードセパレータのテーパー部、
161B カソードセパレータのテーパー部、
17 凹部、
17A アノードセパレータの凹部、
17B カソードセパレータの凹部、
18 燃料ガス流路、
19 酸化剤ガス流路、
20 冷媒流路、
21、22、23、24、25、26 マニホールド、
27 シール部材、
28 補強部材
29 シール溝、
30 低融点金属(合金)材料、
31 低融点合金シート、
40 スタッキング孔、
41 導電性が悪いエリア(非接触部)、
41a 高さ違いによる非接触部、
41b 凸部面の変形による非接触部、
51 導電性部材注入エリア、
61 導電性充填エリア、
53、63、73、73a 導電性部材、
75 ディスペンサー、
76 スクリーン版、
77 スキージ、
201、202、203 空間部、
X 発電に寄与する領域、
Y 発電に寄与しない領域、
d セパレータ厚さ。

Claims (7)

  1. 発電に寄与する領域にテーパーを有する凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、
    前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせ、テーパー同士を接触させていることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凹凸部を合わせテーパー同士を接触することにより導電性部材注入エリアが設けられており、
    前記エリア内に導電性部材が注入されてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  3. 発電に寄与する領域に凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、
    前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凸部同士を合わせることにより、凹部同士で囲まれた空間部が複数設けられており、
    複数の前記空間部の一部または全部に導電性部材が充填および/または注入されていることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 前記空間部のうち、発電に寄与する領域外部の補強領域の該空間部内に導電性部材が充填および/または注入されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池スタック。
  5. 発電に寄与する領域に凹凸形状からなる流路をプレス成形した金属板からなるセパレータを、高分子電解質膜の両面にそれぞれ配置してなる燃料電池単セルの複数個を積層した燃料電池スタックであって、
    前記高分子電解質膜のアノード側に配置されるアノードセパレータとカソード側に配置されるカソードセパレータとを、少なくとも前記発電に寄与する領域に形成された凸部同士を導電性部材を介して接触していることを特徴とする燃料電池スタック。
  6. 前記導電性部材が、導電性フィラーを添加した導電性接着剤および/または導電性金属ペーストであることを特徹とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  7. 前記アノードセパレータとカソードセパレータとの接触部が、導電性部材および/または低融点合金材料により接合されていることを特徹とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
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