JP2006225878A - 組積造構造物の補強構造 - Google Patents
組積造構造物の補強構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006225878A JP2006225878A JP2005038137A JP2005038137A JP2006225878A JP 2006225878 A JP2006225878 A JP 2006225878A JP 2005038137 A JP2005038137 A JP 2005038137A JP 2005038137 A JP2005038137 A JP 2005038137A JP 2006225878 A JP2006225878 A JP 2006225878A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wall
- reinforcing
- wall surface
- reinforcement
- holes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
Abstract
【課題】れんが壁体を効果的に補強することができる組積造構造物の補強構造を提供する。
【解決手段】組積造構造物1の壁部を補強するための補強構造において、壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔4が形成されると共に、貫通孔4のそれぞれに貫通孔4の全長に亘って延在するせん断補強材5が設けられ、両壁面には、せん断補強材5のそれぞれの端部を連結する補強部材6がそれぞれ設けられている。また、壁部の内部には、壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、軸補強材がせん断補強材5の間を通って延在している。
【選択図】 図1
【解決手段】組積造構造物1の壁部を補強するための補強構造において、壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔4が形成されると共に、貫通孔4のそれぞれに貫通孔4の全長に亘って延在するせん断補強材5が設けられ、両壁面には、せん断補強材5のそれぞれの端部を連結する補強部材6がそれぞれ設けられている。また、壁部の内部には、壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、軸補強材がせん断補強材5の間を通って延在している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、れんが、コンクリートブロック、石などが組み上げられて形成されている組積造構造物を補強するための補強構造に関するものである。
近年、近代建築の歴史的価値が認識されており、これらの建築物を文化遺産として保存することが求められている。これらの建築物の多くはれんが造であり、その大半は補強工事が必要である。
このようなれんが造を補強するためには、例えば、れんが壁の壁頂部に鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の臥梁を設けることがよく行なわれている。この臥梁を設置する構造は、建築基準法でも推奨されているものであり、既存建物を補強して現行法に適合させるためにも必要なものである。上述のように臥梁を用いてれんが壁の壁頂部をつなぐことにより、れんが壁の崩壊を防いでいる。
なお、新設する組積造の壁体を構成するための方法としては、特許文献1に示すようなものがある。この特許文献1では、コンクリートブロックにその一部を突出させた突部を設け、このコンクリートブロックを組積したときにできた空間に、クラウト材を打設して壁体を補強する技術が開示されている。
しかしながら、既存の組積造構造物の壁部に臥梁を設けるためには、以下の問題点がある。例えば、壁部の壁頂部に臥梁を設けるためには、既存の屋根を一旦撤去した後に臥梁を設け、その後に撤去した屋根を復旧しなくてはならなかった。また、補強後の建築物の高さを変えないように臥梁を設ける必要がある場合には、壁頂部の外面のみを残して内側を撤去した後に、この撤去した部分をRCに置き換えなければならなかった。他方、壁頂部以外を補強する場合においても、壁部の一部を撤去し、その撤去した部分にRC造を組み込む必要がある。そのため、壁部の補強工事のために期間と工事費用がかかるという問題点があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、壁部の補強工事を簡便化することにより、工事期間を短縮するとともに、工事費用を低く抑えることができる組積造構造物の補強構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る組積造構造物の補強構造は、組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在するせん断補強材が設けられ、前記両壁面には、前記せん断補強材のそれぞれの端部を連結する補強部材がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る組積造構造物の補強構造は、上記請求項1において、前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記せん断補強材の間を通って延在していることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る組積造構造物の補強構造は、上記請求項1または2において、前記補強部材が前記壁面を押圧するように前記せん断補強材の端部に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る組積造構造物の補強構造は、上記請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記壁面に溝部が設けられ、前記溝部に前記補強部材および前記補強部材の取付部が配設されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る組積造構造物の補強構造は、組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在する炭素繊維ストランドの束が設けられ、前記両壁面には前記貫通孔の間に炭素繊維シートがそれぞれ設けられると共に、前記炭素繊維シートに前記炭素繊維ストランドの束の両端部が貼り付けられ、前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記炭素繊維シートの束の間を通って延在していることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る組積造構造物の補強構造は、組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、前記壁部には一方の壁面から他方の壁面に向けて2つの挿入孔が形成されると共に、前記挿入孔のそれぞれにアンカーボルトが打設され、前記一方の壁面には、前記アンカーボルトの端部を連結する補強部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る組積造構造物の補強構造は、上記請求項6において、前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記アンカーボルトの間を通って延在していることを特徴とする。
本発明に係る組積造構造物の補強構造では、前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在するせん断補強材が設けられ、前記両壁面には、前記せん断補強材のそれぞれの端部を連結する補強部材がそれぞれ設けられているので、壁部に梁状の構造部材を増設することと同等の補強効果を得ることができる。これにより、臥梁としての機能を持たせることができる。また、この補強構造は、壁部の壁面から補強工事を行なうことができるので、例えば、既存の屋根または壁の一部を撤去する必要がない。そのため、工事期間を短縮することができると共に、コストの削減を達成することができる。
一方、前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記せん断補強材の間を通って延在しているので、補強部の補強効果をより高めることができる。
さらに、前記補強部材が前記壁面を押圧するように前記せん断補強材の端部に取り付けられているので、補強部を一体化させ、補強部の補強効果をより高めることができる。
また、前記壁面に溝部が設けられ、前記溝部に前記補強部材および前記補強部材の取付部が配設されているので、補強工事により壁部に凹凸が生じることがなく、壁部の美観を従来と同等に維持することができる。
さらに、前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在する炭素繊維ストランドの束が設けられ、前記両壁面には前記貫通孔の間に炭素繊維シートがそれぞれ設けられると共に、前記炭素繊維シートに前記炭素繊維ストランドの束の両端部が貼り付けられ、前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記炭素繊維シートの束の間を通って延在しているので、壁部に梁状の構造部材を増設することと同等の補強効果を得ることができる。これにより、臥梁としての機能を持たせることができる。また、この補強構造は、壁部の壁面から補強工事を行なうことができるので、例えば、既存の屋根または壁の一部を撤去する必要がない。そのため、工事期間を短縮することができると共に、コストの削減を達成することができる。
さらにまた、前記壁部には一方の壁面から他方の壁面に向けて2つの挿入孔が形成されると共に、前記挿入孔のそれぞれにアンカーボルトが打設され、前記一方の壁面には、前記アンカーボルトの端部を連結する補強部材が設けられているようにすることもできるので、壁部に梁状の構造部材を増設することと同等の補強効果を得ることができる。これにより、臥梁としての機能を持たせることができる。また、壁部の片面側から補強工事をすることができるので、例えば、既存の屋根または壁の一部を撤去する必要がない。そのため、工事期間を短縮することができると共に、コストの削減を達成することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る組積造構造物の補強構造の好適な実施例を詳細に説明する。なお、これらの実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施例では、組積造の建築物の例として、れんがを組積して形成されたれんが壁の補強構造について記載する。
図1は本発明の実施例1に係る組積造構造物の補強構造を組立てた状態の概要を示す斜視図であり、図2は図1の分解斜視図を示す。れんが壁1は、複数のれんが2を垂直方向または水平方向に組積して形成されている。このれんが壁1は、鉛直方向に起立する外壁面1aおよび内壁面1bを備えている。
このれんが壁1の壁頂部3(れんが壁1の上部部分)には、外壁面1aから内壁面1bまでれんが壁1の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔4が設けられている。この複数の貫通孔4は、れんが壁1の外壁面1aおよび内壁面1bに対してそれぞれ垂直に形成されている。また、この複数の貫通孔4は、整列して配置されており、水平方向に等間隔に並べられていると共に、この水平方向に並べられた列がれんが壁1の鉛直方向に並べられ、上段4aと下段4bの2段構成になっている。なお、この貫通孔4の中には、グラウト材などの充填材を注入してもよい。
複数の貫通孔4には、せん断補強材5がそれぞれ挿入されている。このせん断補強材5には、PC鋼棒、ボルト、ネジ棒、ネジ節鉄筋などが用いられている。このせん断補強材5の長さは、このせん断補強材5を貫通孔4に挿通した状態で、せん断補強材5の両端部5aが外壁面1aおよび内壁面1bから突出するようになっている。また、この両端部5aには、雄ネジが加工されている。
他方、外壁面1aおよび内壁面1bには、補強鋼板6がそれぞれ設けられている。この補強鋼板6は、貫通孔4が形成されている部分であって、れんが壁1の壁頂部3の補強が必要な部分に亘って水平方向に延在すると共に、さらに、貫通孔4の上段4aと下段4bとを連結するように垂直方向にも延在している。この補強鋼板6には、複数の取付孔6aが設けられており、この取付孔6aは、補強鋼板6が外壁面1aまたは内壁面1bに取り付けられた状態で、複数の貫通孔4の位置とそれぞれ一致するように形成されている。
複数のせん断補強材5の両端部には、取付具7がそれぞれ取り付けられている。この取付具7には、締結ナット等が用いられ、せん断補強材5の両端部の雄ネジ部に締結されるようになっている。
次に、実施例1の取り付け手順および作用について説明する。れんが壁1の壁頂部3に複数の貫通孔4を設け、貫通孔4にせん断補強材5を挿通させる。次に、補強鋼板6を外壁面1aおよび内壁面1bのそれぞれの方向から取り付ける。そしてせん断補強材5の両端部にそれぞれ取付具7を取り付けて締結する。取付具7を締結すると、外壁面1aおよび内壁面1bのそれぞれの側の補強鋼板6は、れんが壁1をそれぞれ押圧する。すなわち、2つの補強鋼板6は、れんが壁1を挟圧することになる。
なお、補強鋼板6とれんが壁1との間には、モルタル等を充填してもよく、またはエポキシ樹脂などの接着剤で接着してもよい。当然に、補強鋼板6をせん断補強材5に締め付けて壁面に密着させるだけでもよい。
本実施例1による組積造構造物の補強構造によれば、せん断補強材5および補強鋼板6で連結された構造が補強構造となり、れんが壁1の内部に梁状の補強用の構造部材を増設したのと同等の補強効果を得ることができる。
また、押圧された部分のれんが壁1の壁頂部3の強度を向上させることができる。これにより、補強鋼板6および強度が向上した壁頂部3を併せた一体的な補強体が構成され、れんが壁1の壁頂部3に連続した梁状の構造部材(臥梁)を設けた状態と同等の補強効果を与えることができる。
他方、この補強構造によれば、れんが壁1の外壁面1aおよび内壁面1bから補強工事を行なうことができるので、例えば、れんが壁1の上部に設けられた既存の屋根またはれんが壁1の一部を撤去する必要がない。そのため、れんが壁1の補強を行なう工事期間を短縮することができると共に、補強工事費用の削減を達成することができる。
なお、本実施例1では、補強鋼板6およびせん断補強材5が壁面から突出するような構成で示したが、例えば、図3に示すように、外壁面1aまたは内壁面1bの一方または両方から、補強鋼板6およびせん断補強材5が見えないようにすることもできる。
この構造では、補強鋼板6を取り付ける壁面から組積したれんが2を取り除き、壁頂部3に溝部8を形成している。この溝部8は、外壁面1bから内壁面1bに向けて、深さ8aの溝を外壁面1bの水平方向に連続して設けたものである。この溝部8の底面8bに補強鋼板6を取り付ける。この溝部8の外壁面1bから溝の底面8bまでの深さ8aは、補強鋼板6およびせん断補強材5の端部5aが、この溝内に完全に納まるように決定されている。これにより、補強鋼板6を取り付けた後、溝部8にれんが2を組積して壁面を仕上げることにより、補強構造がれんが壁1の外観から見えないようにすることができる。
また、図4に示すように、せん断補強材5の替わりに樹脂製または金属製のアンカーボルト9を用いることもできる。この場合、貫通孔4は貫通させずに、外壁面1aまたは内壁面1bの一方かられんが壁1の内部に向けて穿孔された孔を貫通孔4の替わりに設け、この孔にアンカーボルト9を打ち込む。これにより、外壁面1aまたは内壁面1bのいずれか一方の面に補強鋼板6を設けるようにすることができる。
なお、本実施例1および図3、図4では、この補強鋼板6を壁頂部3に取り付けているが、壁頂部3の替わりにれんが壁1の中央部または下部に設けることもできる。これにより、補強が必要な部分を適宜補強することができる。この場合、その補強鋼板6を取り付ける部分に貫通孔4およびせん断補強材5が配設されることになる。
図5は本発明の実施例2に係る組積造構造物の補強構造を適用したれんが壁の斜視図を示す。この実施例2は、実施例1で記載したれんが壁1の壁頂部3の内部に、軸補強材11を配設したものである。
れんが壁1の外壁面1aおよび内壁面1bの水平方向の両端部には、これらの外壁面1aおよび内壁面1bに対してほぼ直角に交わる面であって、垂直方向に起立する側端面1c,1d(図5において、側端面1cは右側の端面、側端面1dは左側の端面を示す)が設けられている。この側端面1cは、例えば、れんが壁1の水平方向の終端部に形成された既存の壁面などである。
れんが壁1の壁頂部3には、側端面1cから側端面1dまで貫通する貫通孔12が複数設けられている。この貫通孔12は、外壁面1aおよび内壁面1bに沿って平行に形成されており、かつ、貫通孔4(せん断補強材5)の2段の列のうちの上段4aの列と下段4bの列との間に位置するように(図7参照)形成されている。本実施例2では、図5に示すように、外壁面1a側と内壁面1b側とに貫通孔12が2本ずつ配置されると共に、この列が垂直方向に2段に並べられ、合計4つの貫通孔12が設けられている。
この複数の貫通孔12には、軸補強材11が挿入されている。この軸補強材11には、PC鋼棒などの丸棒形状の鋼材が用いられている。この軸補強材11の長さは、貫通孔12の全長とほぼ等しい長さであって、側端面1cおよび1dから突出しないようになっている。この軸補強材11を挿入後、側端面1cおよび1dの壁面が仕上げられることになる。
次に、実施例2の取り付け手順および作用について説明する。れんが壁1の壁頂部3に複数の貫通孔4および貫通孔12を設け、貫通孔12に軸補強材11を挿入し、貫通孔4にせん断補強材5を挿通する。次に、補強鋼板6を外壁面1aおよび内壁面1bのそれぞれの方向から取り付ける。そしてせん断補強材5の両端部にそれぞれ取付具7を取り付けて締結する。取付具7を締結すると、外壁面1aおよび内壁面1bのそれぞれの側の補強鋼板6は、れんが壁1をそれぞれ押圧する。すなわち、2つの補強鋼板6は、軸補強材11と共にれんが壁1の壁頂部を挟圧することになる。
なお、補強鋼板6とれんが壁1との間には、モルタル等を充填してもよく、またはエポキシ樹脂などの接着剤で接着してもよい。当然に、補強鋼板6をせん断補強材5に締め付けて壁面に密着させるだけでもよい。
本実施例2による組積造構造物の補強構造によれば、せん断補強材5および補強鋼板6で連結された構造が補強構造となり、れんが壁1の内部に梁状の補強用の構造部材を増設したのと同等の補強効果を得ることができる。特に、実施例1と比べて、軸補強材11が壁頂部3の内部に設けられているので、水平方向に一体的に連続した梁状の構造の強度がより向上する。
また、押圧された部分のれんが壁1の壁頂部3の強度を向上させることができる。これにより、軸補強材11、補強鋼板6および強度が向上した壁頂部3を併せた一体的な補強体が構成され、れんが壁1の壁頂部3に連続した梁状の構造部材(臥梁)を設けた状態と同等の補強効果を与えることができる。
他方、この補強構造によれば、れんが壁1の外壁面1aおよび内壁面1bから補強工事を行なうことができるので、例えば、れんが壁1の上部に設けられた既存の屋根またはれんが壁1の一部を撤去する必要がない。そのため、れんが壁1の補強を行なう工事期間を短縮することができると共に、補強工事費用の削減を達成することができる。
なお、本実施例2では、補強鋼板6およびせん断補強材5が壁面から突出するような構成で示したが、例えば、図6に示すように、外壁面1aまたは内壁面1bの一方または両方から、補強鋼板6およびせん断補強材5が見えないようにすることもできる。
この構造では、補強鋼板6を取り付ける壁面から組積したれんが2を取り除き、壁頂部3に溝部8を形成する。この溝部8は、外壁面1bから内壁面1bに向けて、深さ8aの溝を外壁面1bの水平方向に連続して設けたものである。この溝部8の底面8bに補強鋼板6を取り付ける。この溝部8の外壁面1bから溝の底面8bまでの深さ8aは、補強鋼板6およびせん断補強材5の端部5aが、この溝内に完全に納まるように決定されている。これにより、補強鋼板6を取り付けた後、溝部8にれんが2を組積して壁面を仕上げることにより、補強構造がれんが壁1の外観から見えないようにすることができる。
また、図7に示すように、せん断補強材5の替わりに樹脂製または金属製のアンカーボルト9を用いることもできる。この場合、貫通孔4は貫通させずに、外壁面1aまたは内壁面1bの一方かられんが壁1の内部に向けて穿孔された孔を貫通孔4の替わりに設け、この孔にアンカーボルト9を打ち込む。これにより、外壁面1aまたは内壁面1bのいずれか一方の面から補強鋼板6を設けるようにすることができる。
さらにまた、図8に示すように、せん断補強材5のそれぞれの端部に接合金物15を介して接続用補強部材16をそれぞれ接続することもできる。この接合金物15は、鋼板等で形成されており、接続用補強部材16とそれぞれネジ止めまたは溶接等で取り付けられている。なお、この構成では補強鋼板6を設けていない。しかしながら、実施例2の構成で示すように、軸補強材11が壁面に沿って設けられているので、本構成においても水平方向に一体的かつ連続的な補強体を構成することができる。
なお、図5〜図8に示すように、補強鋼板6は、軸補強材11の延在する方向に対して分割することもできる。これにより、補強鋼板6の大きさを適宜決定することができる。
さらに、本実施例2および図6〜図8では、この補強鋼板6を壁頂部3に取り付けているが、壁頂部3の替わりにれんが壁1の中央部または下部に設けることもできる。これにより、補強が必要な部分を適宜補強することができる。この場合、その補強鋼板6を取り付ける部分に貫通孔4およびせん断補強材5が配設されることになる。
また、軸補強材11は、貫通孔12に挿入された状態で、れんが壁1の外観を毀損しない部分であれば、側端面1c,1dから突出するようにしてもよい。
図9は本発明の実施例3に係る組積造構造物の補強構造を適用したれんが壁の斜視図を示す。この実施例3は、実施例2で使用したせん断補強材をPC鋼棒などの用品の替わりに、炭素繊維ストランドの束(CFアンカー)13を使用したものである。
この炭素繊維ストランドの束13の全長は、貫通孔4に炭素繊維ストランドの束13を挿通した状態で、炭素繊維ストランドの束13の両端部13aが外壁面1aおよび内壁面1bから突出するように決定されている。
また、外壁面1aおよび内壁面1bの両面には、炭素繊維シート14がそれぞれ貼り付けられている。この炭素繊維シート14は貫通孔4の上段4aと下段4bとの間に設けられており、貫通孔4の水平方向の列に沿って延在している。
次に、実施例3の取り付け手順および作用について説明する。れんが壁1の壁頂部3に複数の貫通孔4および貫通孔12を設け、貫通孔12に軸補強材11を挿入し、貫通孔4に炭素繊維ストランドの束13を挿通する。次に、炭素繊維シート14を外壁面1aおよび内壁面1bのそれぞれに取り付ける。そして炭素繊維ストランドの束13の両端部13aをそれぞれ外壁面1aおよび内壁面1bに沿うように折り曲げて、両端部13aを炭素繊維シート14に貼り付けて固定する。なお、炭素繊維ストランドの束13の両端部13aは、図9に示すように、それぞれの炭素繊維ストランドを扇形に広げて貼り付けられている。
本実施例3による組積造構造物の補強構造によれば、炭素繊維ストランドの束13の両端部13aを炭素繊維シート14に固定すると、炭素繊維ストランドの束13および炭素繊維シート14で連結された構造が補強構造となり、れんが壁1の内部に梁状の補強用の構造部材を増設したのと同等の補強効果を得ることができる。また、炭素繊維シート14および炭素繊維ストランドの束13で構成することにより、実施例1または2と比べて、補強による不要な凹凸を少なくすることができる。
他方、この補強構造によれば、れんが壁1の外壁面1aおよび内壁面1bから補強工事を行なうことができるので、例えば、れんが壁1の上部に設けられた既存の屋根またはれんが壁1の一部を撤去する必要がない。そのため、れんが壁1の補強を行なう工事期間を短縮することができると共に、補強工事費用の削減を達成することができる。
なお、本実施例3では、例えば、外壁面1aまたは内壁面1bの一方または両方から、炭素繊維ストランドの束13および炭素繊維シート14が見えないようにすることもできる。壁頂部3の壁面から組積したれんが2を取り除き、壁頂部3に溝部8を形成する。この溝部8は、外壁面1bから内壁面1bに向けて、深さ8aの溝を外壁面1bの水平方向に連続して設けたものである。この溝部8の底面8bに炭素繊維シート14を貼り付ける。この溝部8の外壁面1bから溝の底面8bまでの深さ8aは、炭素繊維シート14および炭素繊維ストランドの束13の端部13aが、この溝内に完全に納まるように決定されている。炭素繊維シートを貼り付けた後、溝部8にれんが2を組積して壁面を仕上げることにより、補強構造がれんが壁1の外観から見えないようにすることができる。
また、本実施例3では、この炭素繊維ストランドの束13を壁頂部3に取り付けているが、壁頂部3の替わりにれんが壁1の中央部または下部に設けることもできる。これにより、補強が必要な部分を適宜補強することができる。この場合、その炭素繊維ストランドの束13を取り付ける部分に貫通孔4および炭素繊維シート14が配設されることになる。
さらに、軸補強材11は、貫通孔12に挿入された状態で、れんが壁1の外観を毀損しない部分であれば、側端面1c,1dから突出するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る組積造構造物の補強構造は、れんがを組積して構成されたれんが壁の補強を行なうのに有用である。
1 れんが壁(組積造構造物)
1a 外壁面
1b 内壁面
1c,1d 側端面
2 れんが
3 壁頂部
4 貫通孔
4a 上段
4b 下段
5 せん断補強材
5a 両端部
6 補強鋼板
6a 取付孔
7 取付具
8 溝部
8a 溝の深さ
8b 溝部の底面
9 アンカーボルト
11 軸補強材
12 貫通孔
13 炭素繊維ストランドの束(CFアンカー)
13a 炭素繊維ストランドの束の両端部
14 炭素繊維シート
15 接合金物
16 接続用補強部材
1a 外壁面
1b 内壁面
1c,1d 側端面
2 れんが
3 壁頂部
4 貫通孔
4a 上段
4b 下段
5 せん断補強材
5a 両端部
6 補強鋼板
6a 取付孔
7 取付具
8 溝部
8a 溝の深さ
8b 溝部の底面
9 アンカーボルト
11 軸補強材
12 貫通孔
13 炭素繊維ストランドの束(CFアンカー)
13a 炭素繊維ストランドの束の両端部
14 炭素繊維シート
15 接合金物
16 接続用補強部材
Claims (7)
- 組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、
前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在するせん断補強材が設けられ、前記両壁面には、前記せん断補強材のそれぞれの端部を連結する補強部材がそれぞれ設けられていることを特徴とする組積造構造物の補強構造。 - 前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記せん断補強材の間を通って延在していることを特徴とする請求項1に記載の組積造構造物の補強構造。
- 前記補強部材が前記壁面を押圧するように前記せん断補強材の端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の組積造構造物の補強構造。
- 前記壁面に溝部が設けられ、前記溝部に前記補強部材および前記補強部材の取付部が配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の組積造構造物の補強構造。
- 組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、
前記壁部には両壁面間を貫通する2つの貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔のそれぞれに前記貫通孔の全長に亘って延在する炭素繊維ストランドの束が設けられ、前記両壁面には前記貫通孔の間に炭素繊維シートがそれぞれ設けられると共に、前記炭素繊維シートに前記炭素繊維ストランドの束の両端部が貼り付けられ、
前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記炭素繊維シートの束の間を通って延在していることを特徴とする組積造構造物の補強構造。 - 組積造構造物の壁部を補強するための補強構造において、
前記壁部には一方の壁面から他方の壁面に向けて2つの挿入孔が形成されると共に、前記挿入孔のそれぞれにアンカーボルトが打設され、前記一方の壁面には、前記アンカーボルトの端部を連結する補強部材が設けられていることを特徴とする組積造構造物の補強構造。 - 前記壁部の内部には、前記壁部の壁面に沿って軸補強材が設けられ、前記軸補強材が前記アンカーボルトの間を通って延在していることを特徴とする請求項6に記載の組積造構造物の補強構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005038137A JP2006225878A (ja) | 2005-02-15 | 2005-02-15 | 組積造構造物の補強構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005038137A JP2006225878A (ja) | 2005-02-15 | 2005-02-15 | 組積造構造物の補強構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006225878A true JP2006225878A (ja) | 2006-08-31 |
Family
ID=36987478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005038137A Pending JP2006225878A (ja) | 2005-02-15 | 2005-02-15 | 組積造構造物の補強構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006225878A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008231827A (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-02 | Kajima Corp | 補強コンクリートブロック造壁体及びその施工方法 |
JP2009127358A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Taisei Corp | 壁構造物の補強方法および補強構造 |
JP2010037925A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Eco Easel:Kk | 前田モデル |
JP2010053676A (ja) * | 2008-08-26 | 2010-03-11 | Eco Easel:Kk | 前田モデルii |
JP2010090574A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Maeda Corp | 鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造及び定着方法 |
CN102704703A (zh) * | 2012-05-30 | 2012-10-03 | 东南大学 | 一种采用预应力碳纤维索托换大空间墙体的方法 |
JP2012246750A (ja) * | 2012-04-05 | 2012-12-13 | Meiko Tomita | 津波、高潮、洪水対策用退避部屋 |
ITBO20110611A1 (it) * | 2011-10-28 | 2013-04-29 | Uab Leonardo Gef Baltic Gef | Metodo per rinforzare una struttura muraria e corrispondente sistema di rinforzo |
CN104746892A (zh) * | 2015-03-30 | 2015-07-01 | 山东双得利建设科技有限公司 | 托梁拆墙装置及托梁拆墙施工方法 |
KR101771194B1 (ko) | 2014-09-03 | 2017-09-05 | 청주대학교 산학협력단 | 스틸 와이어로프를 이용한 매립형 보수/보강 구조체 |
-
2005
- 2005-02-15 JP JP2005038137A patent/JP2006225878A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008231827A (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-02 | Kajima Corp | 補強コンクリートブロック造壁体及びその施工方法 |
JP2009127358A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Taisei Corp | 壁構造物の補強方法および補強構造 |
JP2010037925A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Eco Easel:Kk | 前田モデル |
JP2010053676A (ja) * | 2008-08-26 | 2010-03-11 | Eco Easel:Kk | 前田モデルii |
JP2010090574A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Maeda Corp | 鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造及び定着方法 |
ITBO20110611A1 (it) * | 2011-10-28 | 2013-04-29 | Uab Leonardo Gef Baltic Gef | Metodo per rinforzare una struttura muraria e corrispondente sistema di rinforzo |
EP2586935A1 (en) * | 2011-10-28 | 2013-05-01 | UAB "Leonard, Gef Baltic, Gef" | Method for reinforcing a wall structure and corresponding reinforcement system |
JP2012246750A (ja) * | 2012-04-05 | 2012-12-13 | Meiko Tomita | 津波、高潮、洪水対策用退避部屋 |
CN102704703A (zh) * | 2012-05-30 | 2012-10-03 | 东南大学 | 一种采用预应力碳纤维索托换大空间墙体的方法 |
KR101771194B1 (ko) | 2014-09-03 | 2017-09-05 | 청주대학교 산학협력단 | 스틸 와이어로프를 이용한 매립형 보수/보강 구조체 |
CN104746892A (zh) * | 2015-03-30 | 2015-07-01 | 山东双得利建设科技有限公司 | 托梁拆墙装置及托梁拆墙施工方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006225878A (ja) | 組積造構造物の補強構造 | |
JP5440945B2 (ja) | 軸部材とrc部材との接合構造及び方法 | |
KR101549417B1 (ko) | 철골합성보용 조인트 바스켓 | |
JPH11256687A (ja) | 軸組構造及び軸組工法 | |
JP4095946B2 (ja) | 木質部材の接合構造 | |
JP6638905B2 (ja) | 柱梁接合構造および柱梁接合方法 | |
JP2007303070A (ja) | 壁補強構造 | |
JP7378187B1 (ja) | ラグスクリューボルトの取付け治具及び取付け方法 | |
US20090152430A1 (en) | Brace | |
JP6713779B2 (ja) | 柱梁接合構造および柱梁接合方法 | |
JP2008121240A (ja) | 既存鋼構造部材の補強構造 | |
KR20070027432A (ko) | 철근조립체와 거푸집과 천정 판넬을 고정핀으로 고정시키는결속구 | |
JP2009174188A (ja) | 間仕切壁、間仕切壁の構築方法、壁ブロック | |
KR970004946B1 (ko) | 콘크리트 기둥 구조물 전용 조립식 철제 거푸집 | |
JP2006348464A (ja) | 木軸材の接手 | |
JP2021063337A (ja) | 木質部材の補強構造及び木質部材の補強方法 | |
JP2013036314A (ja) | 野縁材等の接合金物 | |
JP7449254B2 (ja) | 耐震壁の構築方法 | |
JP4654674B2 (ja) | 木造建築物の耐震補強金具の取付け方法 | |
JPH09291607A (ja) | 建築用構造材継手 | |
JP5650383B2 (ja) | 多段組子接合軸組 | |
JP4203466B2 (ja) | 補強架構 | |
JP3867294B2 (ja) | 外壁外断熱パネル用リブ及び外壁外断熱パネル | |
JP3744922B2 (ja) | Pc基礎梁部材ならびにその接続構造 | |
JP2005220688A (ja) | 壁式鉄筋コンクリート構造物及びその構築工法 |