JP2006221044A - 表示板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印刷されるインク皮膜の耐久性を確保しつつ、見栄えを向上させる。
【解決手段】 透光性の樹脂基板7と、紫外線硬化性インクと、を用意し、インクジェット法により、インクを樹脂基板7上に付着させ、樹脂基板7に付着したインクに紫外線を照射して、インクを硬化させる印刷方法を用いて、樹脂基板7に画像3〜6を印刷することで、画像3〜6を有する表示板を製造する表示板の製造方法において、樹脂基板7に印刷された画像3〜6に対して、その画像の主表面を透明性の表面つや消し層2で覆う工程を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 透光性の樹脂基板7と、紫外線硬化性インクと、を用意し、インクジェット法により、インクを樹脂基板7上に付着させ、樹脂基板7に付着したインクに紫外線を照射して、インクを硬化させる印刷方法を用いて、樹脂基板7に画像3〜6を印刷することで、画像3〜6を有する表示板を製造する表示板の製造方法において、樹脂基板7に印刷された画像3〜6に対して、その画像の主表面を透明性の表面つや消し層2で覆う工程を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、表示装置の表示板の製造方法に関するものであり、特に自動車等の車両に装備される計器の計器板の製造に用いて好適である。
従来より、表示装置として、自動車等の車両に装備される車両用表示装置(車両用計器)がある。一般に、車両用表示装置は、目盛りや文字等からなる意匠部を有する計器板と、この計器板の裏面側に配設された光源と、を備えて構成されている。計器板においては、意匠部の目盛りや文字を除く部分は光が透過しない不透過部として構成され、目盛りや文字の部分は光が透過する透過部として構成される。このような構成により、夜間に光源にて計器板を照明することで、計器板の文字、目盛りが明るく表示される。
ここで、計器板は、通常、ポリカーボネート等の樹脂製透明基板の表面に不透過部(ベタ隠蔽画像部)がスクリーン印刷によって印刷されることで製造される。このスクリーン印刷とは、印刷データから印刷画像が描かれたスクリーン(版)を制作し、このスクリーンを通してインクを基板に印刷する方法であり、不透過部の印刷濃度が濃くなるように、一度に印刷することができるという利点がある。
また、印刷技術として、スクリーン印刷法以外にも、OAプリンタ分野等の他の分野で用いられているように、レーザプリンタ電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等のデジタル印刷技術がある。これらは、印刷データからスクリーンを製作することなく計器板に直接描画することが可能であるため、少ロット品種においては、スクリーン印刷よりも適している。
このようなデジタル印刷技術の中でも、インクジェット法は、電子制御されたヘッドノズルからインクを噴霧することで印刷を行う方法である。この方法においては、装置機構が簡素な構成であるため、イニシャルコストが低い点や画像解像度が高い点により、OAプリンタの分野で急速に普及している。
しかしながら、水性インクジェットでは樹脂上にダイレクトに印刷すると、インクが下地になじまずに撥水するはじきが発生すること、およびスクリーン印刷並みの耐久性の付与が難しい。また、溶剤インクを噴霧するインクジェット方式において、メータ文字盤のような隠蔽画像や透過画像を得るために重ね印刷を行う場合、下地となるインク皮膜上に再びインク皮膜を印刷しようとすると、2回目以降の印刷が下地を溶かしてしまうという不具合がある。これは、溶剤分が多いことと、インクの乾燥に時間を要することから発生している。そういった背景の中、上記各問題を解決できるものとして、紫外線硬化性カラーインクであるUVインクをインクジェットにて噴霧する方式の応用が検討されている。
UV硬化型のインクジェット法は、紫外線硬化性カラーインクを液状にして透光性の樹脂基板上に液滴を着弾させる方法であり、基板上にインクの液滴が着弾するタイミングで紫外線を照射してインクを硬化させる。また、インクの噴射量は一定であって、微小な液滴量(最小は10pl以下)を制御しているため、画像の鮮明さが特徴になっている。
上記方法にて画像を印刷する場合、以下の問題が生じる。まず、一般の表示板計器は、上述のように、目盛りや文字からなる光透過性意匠部を有しており、その他は光が透過しない不透過部で構成されている。不透過部の透過濃度は、4.0以上を必要とし、背面からの光源照明で目盛りや文字だけを明るく表示する構成である。したがって、品質上では、組み付け用の外形カット作業等で密着強度、搬送のキズ付き防止等で鉛筆硬度が要求される。したがって、上記不透過部の厚みを確保しようとして例えば黒インク自体の濃度を高めると、印刷したときのインクの硬化不足を招くため、顔料含有率を高く設定することができない。
さらに、インクを基板上に着弾した後、ほぼ同時に紫外線を照射してインクを硬化させるため、照射器がインク皮膜上を瞬時に通過してしまい、光量を稼ぐことができない。このため、インク皮膜の硬化不足から、基板とインク皮膜との密着力、インク皮膜間の密着力が低下し、印刷された画像が剥がれやすくなって画像の耐久性を確保できないという問題がある。
また、外観においても、不透過部形成時にインク濃度向上のためのインク層を複数積層した際には、染みこまない基材上へのインク積層とインク滴の配置パターンにより発生する表面の凹凸が増長され、外観品質を損なうという問題もある。
本発明は、上記点に鑑み、紫外線硬化性インクを用いて画像を印刷する場合において、印刷されるインク皮膜の耐久性を確保しつつ、表示板としての見栄えを向上させることができる表示板の製造方法を目的とする。
第一に積層されたインクジェット層の画像耐久性に関して発明者らの検討により、紫外線硬化性インクの密着性は、1.硬化不足による凝集破壊、2.硬化過剰による接着に寄与する官能基が減少しての界面剥離、3.瞬時硬化による塗膜残留応力による密着性低下、4.インク内成分による密着性低下などの要因があると考えたことから、ア)紫外線の照射時間延長、イ)後露光照射、ウ)後加熱、エ)受理層追加などの試験検討を実施した。
アおよびイにおいては、基板密着の向上効果は確認されたが十分な密着効果までは到達しなかった。ウにおいては、皮膜自体の硬化収縮を増長し、ソリが強くなるなどの反面、ア、イ同様に十分な改善効果は得られなかった。また、エにおいては、水性インクの受理層のようにインクを内部に浸透させる場合、密着を向上させる事が可能であるが、即硬化型のUVジェット方式であり十分な吸収時間がない。また多層積を目的とする用途においては、一層目にしか受理層の役割は寄与せず、2層目以降のインク皮膜上へのインク形成では効果をなさない。しかるに樹脂基板とインク界面の密着力向上は確認できたが、インク層間の密着を満足するものは得られなかった。
そこで、発明者らは、ジェットインクが極めて低い粘度の調整を必要とし、かつ、瞬間硬化を目的とするため、硬化性の高いモノマーの選択と開始材の選択をせざるを得ない点がシルク印刷用のUVインク等と異なる点に着目した。
すなわち、粘度を下げるのに分子量の高い増粘成分(オリゴマー、ポリマーの混合が不可)を使用するため架橋点が多くなり、硬化後の皮膜硬度が高くなる傾向をもつ。またインク自体の硬化性を高めているため表面の酸素阻害を受けやすく皮膜の表面と内部での硬化性に差が出やすい。以上の点が、シルクスクリーンインクなどのオリゴマーやポリマーを多く含有する系より、著しく顕著であることを確認した。しかるに発明者らは、異なる硬化工程にて硬化させるUV材料を表面に形成することで、それらを解決することに至った。
具体的に、請求項1に記載の発明では、樹脂基板(7)に印刷された画像(3〜6)に対して、その画像の主表面を透明性の紫外線硬化性樹脂層(2)で覆う工程を含んでいることを特徴としている。
このように、紫外線硬化性樹脂層で画像を覆う。これにより、画像の主表面が瞬時に硬化可能な膜で覆われるため、画像として印刷されるインク皮膜を外気から遮断することができる。したがって、画像の耐久性を確保することができる。また、透明性の紫外線硬化性樹脂層で画像を覆うため、製造された表示板の見栄えを損なうことはなく、画像の意匠の見栄えを向上させることができる。
請求項2に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、紫外線硬化性樹脂層として、少なくともオリゴマー、ポリマーのいずれかあるいはどちらかを含有するものを用いることを特徴としている。このように、紫外線硬化性樹脂層にオリゴマー、ポリマーを含有させることで、紫外線硬化性樹脂層の硬化特性を向上させることができ、紫外線硬化性樹脂層のバルク特性を向上させることができる。なお、柔軟性の観点から、オリゴマー、ポリマーの含有比率は20%〜60%であることが好ましい。
請求項3に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、紫外線硬化性樹脂層として、粘度が10〜30Pa・sのものを用いることを特徴としている。このように、紫外線硬化性樹脂層の粘度を設定する。これにより、紫外線硬化性樹脂層の硬化特性を向上させることができ、紫外線硬化性樹脂層のバルク特性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる際、少なくとも一回での紫外線露光量を300mJ以上とすることを特徴としている。
このように、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる際の紫外線露光量を300mJ以上とする。これにより、画像の最表面皮膜に潤沢に露光量を与えることができ、皮膜物性のハイブリッド化が可能となるだけでなく、画像のインクジェット層においても空気層から遮断することでアフターキュア硬化を実現できる。したがって、画像のインクジェット皮膜の特性補完をなし得て、バルク特性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明では、画像は多層構造を有しており、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、多層構造のうち最下層に位置する部分から最上層に位置する部分までを連続して紫外線硬化性樹脂層で包括すると共に、樹脂基板上において均一の膜厚となるように紫外線硬化性樹脂層を形成することを特徴としている。
このように、画像の各層を下層から上層までを途切れることなく紫外線硬化性樹脂層にて覆い、紫外線硬化性樹脂層の膜厚を樹脂基板上にて均一にする。これにより、画像となるインクジェット層を確実に覆うことができ、画像の耐久性を確保できる。また、紫外線硬化性樹脂層の膜厚を樹脂基板上にて均一にすることで、表示板としての見栄えを向上させることができる。
請求項6に記載の発明では、多層構造を有する画像において、画像の意匠に応じて画像表面にできる凹凸形状に対し、紫外線硬化性樹脂層はこの凹凸のサイズよりも大きい径を有する粒径の添加物を含んでいることを特徴としている。このように、紫外線硬化性樹脂層に添加物を含有させる。これにより、紫外線硬化性樹脂層の形成時に、画像の意匠に応じて形成される画像表面の凹凸を解消することができる。
請求項7に記載の発明では、多層構造の画像において、各層の膜厚を15μm以下で形成することを特徴とする。これにより、厚みで発生する画像の割れ欠けを抑制することができ、完成画像の厚み感を低減することができる。具体的には、10μm以下であることが好ましい。
請求項8に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、紫外線硬化性樹脂層として伸び率が5%以上のものを用いることを特徴としている。このように、紫外線硬化性樹脂層の伸び率を確保することで、ジェット多層皮膜の熱履歴等による硬化収縮も表面の連続膜により抑制することができ、皮膜割れを防止することができる。
請求項9に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、紫外線硬化性樹脂層に顆粒剤を配合すると共に、顆粒剤を配合した紫外線硬化性樹脂層を、10μm以上の膜厚で形成することを特徴としている。
このように、顆粒剤を含んだ紫外線硬化性樹脂層にて画像の層を覆う。これにより、意匠を形成する画像の表面の凹凸に関わらず、紫外線硬化性樹脂層の表面を滑らかに形成することができる。したがって、例えば 紫外線硬化性樹脂層を最低10μm以上の膜厚とし、平均粒径が20μmのウレタンビーズなどを適宜混合する。そして、樹脂皮膜を10μm以下でも最終的に20μmにすることも有効である。
請求項10に記載の発明では、紫外線硬化性樹脂層および画像は、それぞれ同一系の界面活性剤を含んでいることを特徴としている。これにより、画像に対する紫外線硬化性樹脂層のはじきを抑制することができる。例えば、シリコーン系の界面活性剤(目的:消泡、顔料分散補助、レべリング)を用いることが好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示板の断面図である。図2は、図1に示される表示板の正面図である。本実施形態では、車両用計器の計器板(メータ文字盤)の製造を例として説明する。
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示板の断面図である。図2は、図1に示される表示板の正面図である。本実施形態では、車両用計器の計器板(メータ文字盤)の製造を例として説明する。
図1に示されるように、車両用計器は、表示板としての計器板1と、計器板1の裏面側に配置されたLED等の光源8と、を備えて構成されている。計器板1は、図1に示されるように、透明透光部3と、白色透光部4と、灰色透光部5と、黒色不透過部6と、を有する意匠で構成されている。
透明透光部3は、光を透過する透明部位であり、白色透光部4は、目盛りや文字を構成している。灰色透光部5は、光を透過する灰色(もしくは黒色)部位であり、方向指示器の指示方向を表示する表示部である。黒色不透過部6は、光を透過しない黒色部位であり、目盛りや文字の背景部である。
また、計器板1は、透明性の樹脂基板7と、この樹脂基板7の表面に印刷された各インク層4a、5a、6a、6bを有しており、インク層6bの主表面に印刷された表面つや消し層(透明性の紫外線硬化性マット樹脂)2を有する。
表面つや消し層2は、外光より生じるツヤを消すためのものであり、一般的な透明性のつや消し材料により構成される。このような表面つや消し層2として、例えば、平均粒径10〜30μmのアクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズなどの粒形の顆粒剤を添加したアクリル系ラジカル重合型等のマット樹脂インクを用いることができる。なお、表面つや消し層2は、本発明の紫外線硬化性樹脂層に相当し、運転者等によって視認される面である。
また、表面つや消し層2は、オリゴマー、ポリマーのいずれかあるいはどちらかを含有するものとし、粘度が10〜30Pa・sであるものが好ましい。粘度においては、塗布性を考慮すれば30Pa・s以下が好適である。さらに、柔軟性の観点からオリゴマー、ポリマーの含有比率は20%〜60%重量部が好適である。これらの条件は、表面つや消し層2のバルク特性を向上させることができる。
本実施形態では、表面つや消し層2は、5%以上の伸び率を有するものである。すなわち、表面つや消し層2は、高い弾性率、すなわち柔軟性を持つ。更に好適には、伸び率が10%以上であることが望ましい。このことにより、ジェット多層皮膜の熱履歴等による硬化収縮も表面の連続膜により抑制することができ、皮膜割れ等にも有効である。
ここで、表面つや消し層2は、樹脂基板7上に印刷された各インク層4a、5a、6a、6bにおいて、この各インク層4a、5a、6a、6bの最下層(後述する第1白色インク層4a)と最上層(後述する第3黒色インク層6b)とを途切れることなく連続に覆っている。さらに、樹脂基板7の表面と表面つや消し層2の表面との間の膜厚が、各インク層4a、5a、6a、6bによってできた凹凸に関係なく一定膜厚になっている。
上記のような表面つや消し層2、そして各インク層4a、5a、6a、6bにおいては、各インク層4a、5a、6a、6bの主表面に表面つや消し層2を安定して形成するため、表面つや消し層2および各インク層4a、5a、6a、6bに含まれる界面活性剤に同一系のものを採択する。これにより、インクのはじきを抑制する。なお、いずれも、シリコーン系の界面活性剤(目的:消泡、顔料分散補助、レべリング)を用いることがコストと性能から好ましい。
樹脂基板7は、ポリカーボネートやPET等の透明性の樹脂により構成されている。
各インク層4a、5a、6a、6bは、白色透光部4、灰色透光部5、黒色不透過部6を構成するものであり、それぞれ紫外線硬化性インク(以下、UVインクという)により構成されている。このようなUVインクとして、例えば、アクリル系ラジカル重合型、エポキシ系カチオン重合型等のインクを用いることができる。
具体的に、黒色不透光部6は、樹脂基板7側から第1白色インク層(1層目)4a、第2黒色インク層(2層目)6a、第3黒色インク層(3層目)6bが積層された構成となっている。すなわち、黒色不透光部6は、2層の各インク層6a、6bと、1層の白色インク層4aにより構成されている。第3黒色インク層6bが、運転者に視認される着色層であり、黒色不透過部6の輪郭等を主に構成するものであり、意匠を仕上げるためのインク層である。第2黒色インク層6aは、黒色の濃度を上げるためのインク層である。
このように、黒色不透過部6が3層のインク層4、6a、6bにより構成されているのは、黒色インク層6bだけでは、光源8の光を遮へいする濃度が十分でないからである。
また、白色透光部4は、1層の白色インク層4aにより構成され、灰色透光部5は1層の灰色インク層5aにより構成されている。なお、透明透光部3は、透明性の樹脂基板7のうち、各インク層4a、5a、6a、6bが印刷されていない部位である。
計器板1は、裏面側から光源8により、透明透光部3、白色透光部4、灰色透光部5が透過照明され、これらが正面から運転者に視認されるようになっている。以上が、計器板1の構成である。
次に、このような構成の計器板1の製造方法について説明する。計器板1の製造は、意匠画像をコンピュータにより作成し、この作成した画像に基づいて、UVインクを用いたインクジェット法により、基板に画像を印刷する手順になっている。
本実施形態では、計器板1の製造装置として以下のものを用いる。画像の作成では、例えばAdobe社製画像処理用ソフトウェアを用いる。また、印刷機として、例えばUV硬化型インクジェット装置(インクジェットヘッド、UV照射光源同時駆動型ミマキエンジニアリング製UJF605C、最高解像度1200DPI、CMYKKKWW、8ヘッド付属)を用いる。
この印刷機は、インクジェットヘッドの真横に紫外線照射を行う光源が搭載されており、ヘッドのノズルからインク滴を射出した後、射出したインク滴に対して直ちに紫外線を照射できるものである。
具体的には、以下のようにして計器板1を製造する。まず、画像をコンピュータで作成した後、この画像データを印刷機に入力する。このとき、各インク層の解像度、インクの液適量、色および網点率等を指定する。
例えば、1層目の白色インク層4aと2層目の黒色インク層6aについて、解像度を600dpi、インクの液適量を6pl(ピコリットル)に指定する。そして、白色インク層4aをW(ホワイト):100%と指定し、黒色インク層6aをK(ブラック):100%、灰色インク層5をC:22%、M(マゼンタ):22%、Y(イエロー):22%、K:22%と指定する。また、3層目の第2黒色インク層6bについて、解像度を1200dpi、インクの液適量を12plに指定する。そして、黒色インク層6bをK(ブラック):100%と指定する。
そして、樹脂基板7を用意し、この画像データが入力された印刷機で、UVインクを用いたインクジェット法により、樹脂基板7の白色透光部4、灰色透光部5、黒色不透過部6の形成予定領域に対して、直接各インク層4a、5a、6a、6bを印刷する。これにより、図1に示されるように、樹脂基板7の表面に第1白色インク層4aと灰色インク層5とが同時に印刷される。なお、第1白色インク層4aは、樹脂基板7のうち、透明透光部3の領域を除く形成予定領域に形成される。
続いて、黒色不透過部6の形成予定領域に対して、第1黒色インク層6aを印刷する。すなわち、1層目のインク層4a、5aが印刷された樹脂基板7に対し、図1に示されるように、第1黒色インク層6aに重ねて印刷する。このとき、解像度は600dpi、インクの液適量は6plである。
なお、この解像度を変更しての印刷は、印刷装置自身が指定された解像度に変更することで行われる。さらに、第2黒色インク層6bを重ねて印刷する。このとき、解像度は1200dpi、インク液適量は12plである。
本実施形態では、上記各インク層4a、5a、6a、6bの膜厚は15μm以下、好ましくは10μm以下となるように形成される。これは、多層化の画像意匠を形成するUVインクは柔軟性不足もあり、一層の膜厚を厚くすると益々割れ欠けが発生するため、この画像の割れ欠けを防止すると共に、完成画像の厚み感を低減するためである。
そして、第2黒色インク層6bの主表面に紫外線硬化型の表面つや消し層2を印刷する。ここで、即露光方式により表面つや消し層2を硬化させる。本実施形態では、紫外線露光量を300mJ以上としている。これは、以下の理由による。インクジェット法での露光では露光時間が短いため、一回のスキャンあたりの露光量は300mJ以下しか望めない。光源照度を強化することは多少可能であるが、樹脂基板7への熱影響や露光ユニットの大型化に繋がり採用できるレベルには至らない。そこで、最表面皮膜に潤沢に露光量を与えることで皮膜物性のハイブリッド化が可能となるだけでなく、インクジェット層においても空気層から遮断することでアフターキュア硬化が進む。その結果、インクジェット皮膜の特性補完をなし得てバルク特性を向上させることができる。
上記した紫外線硬化型の表面つや消し層2が、樹脂基板7上において各インク層4a、5a、6a、6bを覆うように形成される。したがって、樹脂基板7と白色インク層4aとの間、各インク層4a、5a、6a、6bの間の硬化不足(層間密着不良)を物理的に向上させることができる。また、第2黒色インク層6bのスジ跡(約15μm凹凸)の光沢ムラによる画質不良の問題を表面つや消し層2(約20μm膜厚)で覆うことで解消することができる。
また、上述のように、表面つや消し層2および各インク層4a、5a、6a、6bには、両者とも界面活性剤に同一系のものを採択しているため、インクのはじきを抑制しつつ表面つや消し層2を形成することができる。
このようにして、図1に示される計器板1が製造される。なお、製造された計器板1を、図示しない指針、回動内機、光源等と共に、ケーシングおよび見返し板からなるハウジングに収納することで、車両用計器が完成する。
以上、説明したように、本実施形態では、画像を印刷した後、表面つや消し層2を形成する工程を設けて、この表面つや消し層2で画像を覆う。これにより、画像の主表面に瞬時に硬化可能な膜(表面つや消し層2)が覆われるため、画像として印刷される各インク層4a、5a、6a、6bを外気から遮断することができる。したがって、画像の耐久性を確保することができる。また、透明性の表面つや消し層2で各インク層4a、5a、6a、6bを覆うため、表示板の意匠の見栄えを向上させることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、車両用計器の計器板1を製造する場合を例として説明したが、他の分野における不透光部と着色透光部を有する表示板の製造にも適用することができる。例えば、家電製品の分野において、タッチパネル等の発光ダイオードの光を透過させて表示する表示板にも、不透光部と着色透光部とが形成されている。したがって、このような表示板の製造に対しても適用することができる。
上記実施形態では、車両用計器の計器板1を製造する場合を例として説明したが、他の分野における不透光部と着色透光部を有する表示板の製造にも適用することができる。例えば、家電製品の分野において、タッチパネル等の発光ダイオードの光を透過させて表示する表示板にも、不透光部と着色透光部とが形成されている。したがって、このような表示板の製造に対しても適用することができる。
1…計器板、2…表面つや消し層、3…透明透光部、
4…白色透光部、4a…第1白色インク層、5…灰色透光部、5a…灰色インク層、
6…黒色不透過部、6a…第2黒色インク層、6b…第3黒色インク層、
7…樹脂基板、8…光源。
4…白色透光部、4a…第1白色インク層、5…灰色透光部、5a…灰色インク層、
6…黒色不透過部、6a…第2黒色インク層、6b…第3黒色インク層、
7…樹脂基板、8…光源。
Claims (10)
- 透光性の樹脂基板(7)と、紫外線硬化性インクと、を用意し、インクジェット法により、前記インクを前記樹脂基板上に付着させ、前記樹脂基板に付着した前記インクに紫外線を照射して、前記インクを硬化させる印刷方法を用いて、前記樹脂基板に画像(3〜6)を印刷することで、前記画像を有する表示板を製造する表示板の製造方法において、
前記樹脂基板に印刷された前記画像に対して、その画像の主表面を透明性の紫外線硬化性樹脂層(2)で覆う工程を含んでいることを特徴とする表示板の製造方法。 - 前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記紫外線硬化性樹脂層として、少なくともオリゴマー、ポリマーのいずれかあるいはどちらかを含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載の表示板の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記紫外線硬化性樹脂層として、粘度が10〜30Pa・sのものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の表示板の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記紫外線硬化性樹脂層を硬化させる際、少なくとも一回での紫外線露光量を300mJ以上とすることを特徴とする1ないし3のいずれか1つに記載の表示板の製造方法。
- 前記画像は多層構造を有しており、前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記多層構造のうち最下層に位置する部分から最上層に位置する部分までを連続して前記紫外線硬化性樹脂層で包括すると共に、前記樹脂基板上において均一の膜厚となるように前記紫外線硬化性樹脂層を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の表示板の製造方法。
- 前記多層構造を有する画像において、前記画像の意匠に応じて前記画像表面にできる凹凸形状に対し、前記紫外線硬化性樹脂層はこの凹凸のサイズよりも大きい径を有する粒径の添加物を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の表示板の製造方法。
- 前記多層構造の画像において、各層の膜厚を15μm以下で形成することを特徴とする請求項5または6に記載の表示板の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記紫外線硬化性樹脂層として伸び率が5%以上のものを用いることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の表示板の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂層で覆う工程では、前記紫外線硬化性樹脂層に顆粒剤を配合すると共に、前記顆粒剤を配合した紫外線硬化性樹脂層を、10μm以上の膜厚で形成することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の表示板の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂層および前記画像は、それぞれ同一系の界面活性剤を含んでいることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに表示板の製造方法。
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