JP2006219420A - 抗高血圧剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 天然物由来の優れた抗高血圧剤を提供すること。
【解決手段】 本発明は、緑豆蛋白分解物を含有する抗高血圧剤、およびこの抗高血圧剤を含有する食品および医薬品または医薬部外品を提供する。この緑豆蛋白分解物は、代表的には、緑豆由来の蛋白質をプロテアーゼにより加水分解することによって得られる。本発明の抗高血圧剤は、血圧降下および血圧上昇抑制効果を有し、その効果には作用持続性があるため、睡眠中や早朝にも血圧を抑制することが可能である。また、長期摂取した場合、休薬してもその効果が持続するので、服用を忘れても急激に血圧が上昇することがない。このような特徴により、本発明の抗高血圧剤は、日常的および長期的な摂取に好適である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、緑豆蛋白分解物を含有する抗高血圧剤に関する。
近年、生活習慣病が増加し、社会的な問題となっている。生活習慣病は、日常生活の中で予防・改善を図ることが求められており、そのためには、安全性の高い機能性物質の摂取が望ましい。食品中には種々の生理活性物質が含まれているので、食品由来の機能性物質や機能性食品に対する関心が高まってきている。
生活習慣病の1つである高血圧は、自覚症状が少ないが、そのまま放置すると動脈硬化を促進し、心筋梗塞、脳梗塞、腎臓疾患などの重篤な疾患を誘発する要因となるため、改善や予防をすることが重要である。近年、早朝高血圧と脳心血管疾患の発症との関連が注目されており、脳心血管疾患の発症抑制を目的とした早朝の血圧コントロールの重要性が指摘されている(非特許文献1)。このため、睡眠前の服用で、朝まで血圧を抑制することのできる作用持続性を有する血圧降下剤の必要性が高まっている。また、日常生活における健康管理では、一過性の血圧降下作用だけでなく、長期摂取による慢性作用やその休薬後の作用の持続性も望まれる。
血圧上昇機序や高血圧の発症・進展機序との関連性から、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用や活性酸素除去作用を有するものは、抗高血圧効果が期待できるとされている。このため、抗高血圧効果の評価の第一段階として、ACE阻害能や活性酸素除去能について、インビトロでの評価が行われている(特許文献1および2)。物質は、生体内で種々の作用を受けるので、インビトロでの評価がそのままインビボで反映されるとは限らず、インビトロでの評価は、その物質の作用を1つの局面から評価したものであり、体内における多様な局面をインビトロのみで評価することは難しい。このため、インビボでも評価されることが望ましい。
近年では、食品由来の物質が抗高血圧剤として探索され、インビボでの血圧降下作用または血圧上昇抑制作用が確認されている。このような物質として、小麦グルテニンのキモトリプシン加水分解物(特許文献3)、ゴマ蛋白分解物(特許文献4)などが挙げられる。これらは高血圧自然発症ラット(SHR)への単回投与で、血圧降下作用が認められているが、その効果は、投与後8時間以内に非常に小さくなる。作用持続性のある血圧降下剤として、ナタネ蛋白分解物由来のトリペプチドが報告されているが、これも同様である(特許文献5)。その他に、SHRへの反復投与により、大豆蛋白分解物の精製物(特許文献6)およびチーズホエイなどに含まれるカゼイノグリコペプチド(特許文献7)において、血圧上昇抑制効果が確認されている。しかし、その持続性については、議論がなされていない。
長期投与後に血圧上昇抑制作用の休薬後持続性を示す物質としては、スキムミルク由来の乳酸菌処理物が報告されている(非特許文献2)。この乳酸菌処理物をSHRに食餌とともに16週間連続投与した場合、投与を中止後も48時間にわたって血圧の抑制が認められている。さらに、イワシ由来のペプチドをヒトに4週間連続投与した場合、投与中止後3週間にわたって血圧降下作用の休薬後持続性が認められたことが報告されている(特許文献8)。しかし、ここで用いられた試料は、イワシ蛋白を分解した後にODS樹脂を用いて分画して得られたものであるため、製造にコストや手間がかかる。
特開2003−24012号公報 特開平9−309833号公報 特開平4−187643号公報 特開平7−69922号公報 特開2004−51636号公報 特開平5−339166号公報 特開平6−345664号公報 特開平11−228599号公報 S. Noguchiら、BIO Clinica,2003年,18巻,5号,63-67頁 Y. Nakamuraら、Biosci. Biotech. Biochem., 1996年,60巻,3号,488-489頁
本発明は、天然物由来の優れた抗高血圧剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、緑豆蛋白分解物について、抗高血圧剤としての種々の評価を行ったところ、血圧降下作用および血圧上昇抑制作用を有することを見出し、さらにこれらの作用が、作用持続性および休薬後持続性を有することを見出して、本発明を完成した。
なお、本発明において、作用持続性とは、単回投与後の作用(または効果)の持続性をいう。また、休薬後持続性とは、継続投与の後に投与を中止した(休薬した)場合、休薬後の作用(または効果)の持続性をいう。
本発明は、緑豆蛋白分解物を含有する抗高血圧剤を提供する。
1つの実施態様では、上記緑豆蛋白分解物は、緑豆由来の蛋白質をプロテアーゼにより加水分解することによって得られる。
さらなる実施態様では、上記緑豆蛋白分解物の全ペプチド中のジペプチドまたはトリペプチドの割合は10%以上である。
本発明はまた、上記のいずれかの抗高血圧剤を含む食品を提供する。
本発明はさらに、上記のいずれかの抗高血圧剤を含む医薬品および医薬部外品を提供する。
緑豆蛋白分解物を含有する本発明の抗高血圧剤は、単回投与後の短期的な効果を示す血圧降下作用に加え、長期投与による血圧上昇抑制作用を有する。そのいずれの作用についても効果が比較的長く維持される。このため、投与が困難な睡眠中や早朝にも、血圧を抑制することが可能である。さらには、本発明の抗高血圧剤は、長期投与後に投与を中止した場合においても、血圧上昇抑制効果は一定期間にわたって持続する。このため、服用を忘れても急激に血圧が上昇することがない。これらの点から、本発明の抗高血圧剤は、日常的および長期的な摂取に好適である。
本発明の抗高血圧剤は、緑豆蛋白分解物を含有する。
緑豆は、マメ科植物に属する植物であり、そのマメの部分は緑色〜褐色であり、その大きさはアズキよりも小さい。緑豆はもやしとして、そして緑豆のデンプンははるさめの原料として知られている。
本発明の抗高血圧剤の調製に用いる緑豆由来の蛋白質を含む原料(以下、「原料」という)は、緑豆の破砕物またはその搾り汁、あるいはこれらの水、酸、またはアルカリによる抽出物であり得る。さらに、緑豆の加工処理における副産物も、原料として用いられ得る。例えば、緑豆のデンプンを主成分とするはるさめの製造過程で生じる緑豆由来の蛋白質を含む副産物が挙げられる。その形態は、液体、粉体、ペーストなど、いずれの形態でもよい。また、緑豆由来の蛋白質以外に、糖類、食物繊維類、塩分、水分、油脂類などが含まれていてもよい。原料中の蛋白質の含量(以下、「粗蛋白含量」という)は特に限定されないが、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
ここで、粗蛋白含量とは、蛋白質中の窒素量に換算係数を乗じて算出される。窒素量は、例えば、セミミクロケルダール法にて測定する。具体的には、粗蛋白含量は以下のようにして算出される。まず、ケルダールフラスコに50mgの試料を正確に秤量する。次いで、硫酸カリウム10gと硫酸銅1gとを混合して分解促進剤とし、その1gをフラスコに入れ、さらに濃硫酸5mLを加える。一晩放置後、フラスコを徐々に加熱し、液が透明となり、フラスコの内壁に炭化物が認められなくなるまで加熱する。冷却後、蒸留水20mLを加えてよく混合した後、氷冷し、フラスコを、予め水蒸気を通じて洗浄した蒸留装置に連結する。留液を受ける受器には0.1N硫酸10mLおよび指示薬(メチルレッドとメチレンブルー試液との混合液)2〜3滴を入れ、この液に蒸留装置の冷却器の下端を浸す。蒸留装置に連結したロートから40%水酸化ナトリウム20mLをフラスコに添加し、水蒸気を通じて6〜7分間蒸留する。冷却器の下端を液面から離し、少量の水でその部分を洗い込み、0.1Nの水酸化ナトリウムで滴定する。また、試料を添加せずに同様の方法で測定したものをブランクとする。粗蛋白含量は下記の式により算出する:
粗蛋白含量(%(w/w))={([B]−[A])×F×1.4007×6.25/[C]}×100
式中、[A]は、試料を添加した時に滴定に要する0.1N水酸化ナトリウムの容量(mL)であり、そして[B]は、ブランクの滴定に要する0.1N水酸化ナトリウムの容量(mL)である。また、[C]は、試料の質量(mg)であり、そして「F」は、滴定に使用する水酸化ナトリウムのファクターである。「1.4007」は0.1N硫酸1mLに相当する窒素の質量(mg)に相当する。また、本発明においては、窒素の質量からの蛋白量換算係数として「6.25」を使用した。
本発明において、緑豆蛋白分解物とは、緑豆由来の蛋白質をあらゆる手段で加水分解して得られる分解物、酸、あるいはプロテアーゼなどの酵素によって分解された分解物をいう。反応が温和であること、および副生成物が生じにくいという点から、蛋白質分解酵素であるプロテアーゼによる分解物が好ましい。
プロテアーゼとしては、例えば、Rhizopus delemar、Rhizopus niveusなどのRhizopus属、Aspergillus niger、Aspergillus oryzaeなどのAspergillus属、Bacillus subtilis、Bacillus sp.などのBacillus属などの微生物由来の酵素;ペプシン、パンクレアチンなどの動物由来の酵素;パパイン、ブロメラインなどの植物由来の酵素が挙げられる。本発明においては、分解程度が調節しやすい点で、Aspergillus属由来の酸性プロテアーゼが望ましい。プロテアーゼは、市販の精製品または粗製品であってもよく、一種あるいは二種以上を用いてもよい。加水分解の反応条件(反応温度、pH、時間、酵素使用量など)については、使用するプロテアーゼの最適作用条件に応じて設定され得る。通常は、温度は10℃〜80℃、pHは2〜11、反応時間は2〜48時間、使用する酵素量は粗蛋白1g当たり10〜30,000unitsである。好ましくは、反応温度は30℃〜60℃、pHは3〜8、反応時間は4〜20時間、酵素量は粗蛋白1g当たり100〜7000unitsである。
上記プロテアーゼ処理後、得られたプロテアーゼ処理物から、濾過または遠心分離により不溶物を除去する。得られた上清液を、減圧濃縮、凍結乾燥、スプレー乾燥などの方法によって乾燥させて、緑豆蛋白分解物を得る。得られた緑豆蛋白分解物の形態は、液体、粉末、ペーストのいずれでもよい。得られた緑豆蛋白分解物は、通常無臭であり、良好な風味を有する。
上記緑豆蛋白分解物は、その全ペプチド中に、ジペプチドまたはトリペプチドの割合が10%以上であることが好ましい。ジペプチドまたはトリペプチドの割合は、40%以上であることがより好ましい。摂取した場合の吸収性に優れる点で、50%以上であることがさらに好ましい。なお、ジペプチドまたはトリペプチドとは、具体的には、以下に詳述する分子量分布の分析において、分子量が約130〜580の範囲に含まれるペプチドである。
本発明において、緑豆蛋白分解物の分子量分布およびジペプチドもしくはトリペプチド含量の分析は、下記の方法で行った。
分子量の測定はゲル濾過カラム(Superdex Peptide HR 10/30、ファルマシアバイオテック社)を用いて高速液体クロマトグラフィーにより測定した。移動相は0.1%トリフルオロ酢酸を含む30%アセトニトリル水溶液であり、流速0.3mL/分とし、紫外部(220nm)吸収により検出を行った。分子量は、グリシン(分子量75.07)分子量既知のオリゴペプチドであるアラニルプロリン(分子量186.2)、アンジオテンシンII(分子量1046.2)、およびサブスタンスP(分子量1347.7)を用いて標準線を作成して求めた。分子量分布は、データ処理装置(D-2500 Chromato-Integrator、日立製作所社製)を用いて積分チャートの面積比で示した。ジペプチドもしくはトリペプチド含量は、上記積分チャートから平均分子量が130〜580の範囲にあるペプチドの合計量を求め、これをジペプチドもしくはトリペプチド量とし、全体のペプチド量の合計に対する割合を求めた。
上記緑豆蛋白分解物は、本発明の抗高血圧剤として用いることができる。本発明の緑豆蛋白分解物を有効成分とする抗高血圧剤を含む医薬品の投与経路は、経口、直腸内、および静脈内のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。
本発明の抗高血圧剤は、投与経路に応じて、上記緑豆蛋白分解物をそのままの形態であるいは製剤化して投与され得る。本発明の抗高血圧剤の剤型は、投与経路に応じて適宜選択され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤などが挙げられる。これらの製剤は、当業者が通常行う方法によって調製される。これらの製剤は、上記緑豆蛋白分解物を0.1質量%以上、好ましくは1〜100質量%の割合で含有する。
この製剤は、製薬の分野で用いられる薬学的に受容可能なキャリアを含有し得る。薬学的に受容可能なキャリアとしては、ラクトース、デキストリン、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ソルビトールなどの賦形剤、結晶セルロース、ポリビニルピロリドンなどの補助剤が挙げられ、これらを単独または適宜組み合わせて使用することができる。さらに、緩衝剤、保存剤、酸化防止剤、香味料、着色料、甘味料などの添加剤も適宜使用できる。これらの添加剤の含有量は、当業者によって適切に決定され得る。あるいは、この製剤は、抗高血圧作用を阻害しない他の薬効成分を含んでいてもよい。
本発明の抗高血圧剤の投与量は、投与方法や患者の症状、年齢などによって異なるが、上記緑豆蛋白分解物の粗蛋白含量として、通常は1日当たり1mg〜200000mg、好ましくは100mg〜20000mg、さらに好ましくは500mg〜10000mgである。
本発明の抗高血圧剤はまた、食品として摂取することに適しており、種々の食品に含有され得る。これらの食品は、「血圧の高い方へ」、「高血圧が気になる方へ」などと表示して販売され得る。本発明の抗高血圧剤を含む食品は、上記緑豆蛋白分解物以外に、蛋白質、繊維(食物繊維を含む)、澱粉、糖、脂質、ミネラル、ビタミン、通常の食品に用いられる添加物などを含有し得る。この場合、食品中の緑豆蛋白分解物の割合は、好ましくは0.1〜100質量%、より好ましくは1〜100質量%である。このような食品としては、例えば、粥、パン、厚あげなどの穀物・豆類加工品;ソーセージ、ハムなどの畜産加工品;カマボコ、ちくわなどの水産加工品;ヨーグルト、豆乳などの乳製品;プリン、茶碗蒸しなどの卵加工品;ビスケット、せんべいなどの菓子類;冷凍コロッケ、冷凍エビフライなどの調理加工食品;ジュース、ココア粉などの飲料;カップ麺調味料、醤油、たれなどの調味料が挙げられる。これらの食品は、通常の食品だけでなく、健康飲食品、特定保健用食品などであってもよい。さらに、これらの食品は、液状、固体状、ブロック状、粉末状、半流動体状などのいかなる形態であってもよい。
本発明の抗高血圧剤および該抗高血圧剤を含む食品あるいは医薬品または医薬部外品を摂取することにより、徐々に血圧が降下する。例えば、高血圧ラットに単回投与すると、少なくとも8時間までは血圧が降下し続ける。さらに、本発明の抗高血圧剤または食品を長期にわたって摂取することによって、血圧上昇が抑制される。この効果は、摂取を中止した後も一定期間持続する。
(製造例1:緑豆蛋白分解物の調製−1)
はるさめ製造工程で得られる副産物である、緑豆蛋白を含む排出液の乾燥物をミルで粉砕し、粗蛋白含量が6質量%となるように水道水を加えて分散させた。これを塩酸でpH3に調整した後、酸性プロテアーゼ(デナプシン、ナガセケムッテクス社製)を粗蛋白1g当たり3000units加え、攪拌しながら40℃で16時間反応させた。反応終了後、80℃〜85℃で20分間加熱して、酵素を失活させた。その後、NaOHの添加により反応液をpH7に調整した。この酵素反応液を遠心分離して、上清を凍結乾燥し、緑豆蛋白分解物を得た。この分解物の分子量分布を、上記の手順により測定した。この分解物の全ペプチド中のジペプチドまたはトリペプチドの割合は59.3%であった。
(製造例2:緑豆蛋白分解物の調製−2)
上記製造例1と同様にして、粗蛋白含量が6質量%の分散液を調製した。これを、水酸化ナトリウムでpH7に調整した後、アルカリプロテアーゼ(ビオプラーゼSP15−FG(商品名)、ナガセケムテックス社製)を粗蛋白1g当たり1万units添加し、緩やかに攪拌しながら40℃で16時間反応させた。反応終了後、80℃〜85℃で20分間加熱して、酵素を失活させた。この酵素反応液を遠心分離して、上清を凍結乾燥し、緑豆蛋白分解物を得た。この分解物の分子量分布を、上記の手順により測定した。この分解物の全ペプチド中のジペプチドおよびトリペプチドの割合は61.1%であった。
(製造例3:緑豆蛋白分解物含有飼料の調製)
以下の実施例1において使用するためのラットの試験飼料として、上記製造例1で得た緑豆蛋白分解物を粗蛋白としてそれぞれ0.25w/w%、1.25w/w%、および2.50w/w%含むように、CRF−1(オリエンタル酵母株式会社)の粉末飼料に混合し、打錠機にてペレット状に成形した。
(実施例1:高血圧自然発症ラット(SHR)への長期投与おける血圧の測定)
4週齢の雄の高血圧自然発症ラット(SHR)(日本エスエルシー株式会社)を、固形飼料(CRF−1:オリエンタル酵母株式会社)および水道水を自由摂取させて2週間馴化した。馴化後、SHRを1群6匹からなる4群に分け、試験群として低用量群、中用量群、および高用量群を設け、他の1群を対照群とした。各試験群には上記製造例3で得た各濃度の緑豆蛋白分解物含有飼料を、そして対照群には普通食としてCRF−1固形飼料を、6週間にわたり自由摂取させた。試験期間中、2週間毎に血圧、心拍数、摂餌量、および体重の測定を行った。血圧については、尾動静脈における血圧を、非観血式自動血圧測定装置(BP−97A:株式会社ソフトロン)を用いて測定した。拡張期血圧、収縮期血圧、および平均血圧の測定結果を表1〜3および図1に示す。表1〜3は、緑豆蛋白分解物含有飼料の長期投与試験において、試験開始から6週間までのSHRの収縮期血圧(表1)、拡張期血圧(表2)、および平均血圧(表3)の推移を示す。それぞれのデータは、平均値±標準誤差で表している。
Figure 2006219420
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表1〜3および図1からわかるように、対照群では試験開始から血圧が徐々に上昇しているのに対して、試験群ではいずれも血圧の上昇が抑制されていた。4週目以後は対照群に対して有意な血圧上昇抑制効果が認められた(p<0.05)。血圧は、収縮期血圧および拡張期血圧のいずれも上昇が抑制されたが、拡張期血圧について、より効果が大きい傾向が見られた。これらの結果から、緑豆蛋白分解物により、血圧の上昇が抑制されることが明らかになった。なお、試験開始から6週間の期間に、心拍数、摂餌量、および体重について、各試験群とも対照群との間に有意な差は見られなかった。
(実施例2:長期投与後の休薬による血圧の推移)
上記実施例1の対照群および高用量群について、さらに8週目まで飼料の投与を継続した後、高用量群の飼料を普通食に変更して(以下、このことを休薬という)、さらに2週間にわたって経時的に血圧を測定した。測定は、休薬前、休薬開始1日後、2日後、9日後、および14日後に行った。休薬中の拡張期血圧、収縮期血圧、および平均血圧の測定結果を図2に示す。
図2からわかるように、高用量群において休薬開始から少なくとも9日間は、対照群よりも血圧が低く推移する傾向が見られた。このことから、緑豆蛋白分解物含有飼料の長期投与による血圧上昇抑制効果は、投与中止後もしばらくの期間にわたって持続することが明らかになった。
上記実施例1の高用量群について、上記2週間の休薬後さらに3週間休薬させた後、飼料を上記製造例3で得られた緑豆蛋白分解物2.50w/w%含有飼料に変更して、4週間にわたり緑豆蛋白分解物の再投与を行った。対照群についても引き続き普通食の投与を4週間続けた。
緑豆蛋白分解物投与群は、対照群と比較して、腹部大動脈のラットの体重当たりの重量が軽く、その差は有意であった。この結果より、緑豆蛋白分解物には、腹部大動脈の血管壁の肥厚化を抑制する血管リモデリング抑制作用が期待でき、血管壁のリモデリングに起因する動脈硬化の抑制効果、さらには動脈硬化により引き起こされる血管疾患を抑制する効果が期待できる。
(実施例3:高血圧自然発症ラット(SHR)への単回投与おける血圧の測定)
19週齢の雄のSHRに、上記製造例1で得られた緑豆蛋白分解物を注射用水に懸濁して、300mg粗蛋白/5mL/kg体重になるように、経口用ゾンデを用いて強制経口投与した。投与後の拡張期血圧および収縮期血圧を経時的に測定した。結果を図3に示す。図3からわかるように、緑豆蛋白分解物投与群では、投与後ゆっくりと血圧が低下し、投与後8時間まで血圧が低下し続け、投与後8時間目で対照群との有意な差が見られた(p<0.05)。血圧は、収縮期血圧および拡張期血圧ともに低下しており、特に、拡張期血圧についての効果が大きい傾向が見られた。このことから、緑豆蛋白分解物は、持続的な血圧降下作用を示すことが明らかになった。
本発明の抗高血圧剤は、血圧の上昇抑制または血圧降下を目的として、医薬品または医薬部外品として、あるいは健康飲食品、特定保健用食品などの食品として用いられ得る。本発明の抗高血圧剤は、持続的な血圧降下および血圧上昇抑制効果を有し、長期摂取後は休薬してもその効果が持続する。したがって、睡眠中や早朝でも血圧の抑制が可能である。また、服用を忘れても急激に血圧が上昇することがないため、長期的な摂取に好適である。本発明の抗高血圧剤は、従来食用に供されている天然物由来の材料から得られるため、副作用が少なく安全性が高い。さらに、はるさめ製造工程で得られる副産物から製造され得るので、廃物利用という点で環境にやさしく、そしてコストの面でも有利である。さらに、製造工程では、樹脂などによる煩雑かつコストがかかる精製を必要としないため、この点からもコスト面で有利である。
緑豆蛋白分解物含有飼料の長期投与試験におけるSHRの収縮期血圧(A)、拡張期血圧(B)、および平均血圧(C)の経時変化を示すグラフである。 緑豆蛋白分解物含有飼料の長期投与後の休薬期間中におけるSHRの収縮期血圧(A)、拡張期血圧(B)、および平均血圧(C)の経時変化を示すグラフである。 緑豆蛋白分解物含有飼料の単回投与試験におけるSHRの収縮期血圧(A)、拡張期血圧(B)、および平均血圧(C)の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 緑豆蛋白分解物を含有する抗高血圧剤。
  2. 前記緑豆蛋白分解物が、緑豆由来の蛋白質をプロテアーゼにより加水分解することによって得られる、請求項1に記載の抗高血圧剤。
  3. 前記緑豆蛋白分解物の全ペプチド中のジペプチドまたはトリペプチドの割合が10%以上である、請求項1または2に記載の抗高血圧剤。
  4. 請求項1から3のいずれかの項に記載の抗高血圧剤を含む、食品。
  5. 請求項1から3のいずれかの項に記載の抗高血圧剤を含む、医薬品および医薬部外品。
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