以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置の概略図である。
貯湯式給湯装置1は、貯湯タンクユニット11、ヒートポンプユニット12、台所用リモートコントローラ(以下、台所用リモコンという)13、及び浴室用表示手段としての浴室用リモートコントローラ(以下、浴室用リモコンという)14を備えている。貯湯タンクユニット11には、湯水を貯湯するための貯湯タンク15が設けられており、貯湯タンクの側面には、貯湯タンク15内の湯水の温度を検出する複数の貯湯温度センサ16が上下方向に沿って設けられている。
貯湯タンク15の上部には、貯湯タンク15から高温水を出湯するための出湯管17が接続されており、出湯管17には、貯湯タンク15の過圧を逃す過圧逃し弁18が分岐して接続されている。貯湯タンク15の下部には、水道水等の低温水を貯湯タンク15に供給する給水管19が接続されている。給水管19には、給水管19を流れる低温水の温度を検出する給水温度センサ20と、給水圧を減圧する減圧弁21が設けられている。給水管19にはバイパス管22が分岐して接続されており、バイパス管22と出湯管17の下流側にはミキシング弁23が設けられている。このミキシング弁23により、バイパス管22からの低温水と出湯管17からの高温水は混合されるようになっている。ミキシング弁23の下流側には給湯管24が接続されており、給湯管24には、給湯管24を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサ25及び給湯管24を流れる湯水の流量を検出する給湯流量センサ26が設けられている。この給湯管24が浴室の給湯栓27に接続されており、この給湯栓27から図示しないカラン又はシャワーを用いてユーザは湯水を利用するようになっている。
給湯管24には、湯張り管28が分岐して接続されており、この湯張り管28は浴槽29に接続されている。湯張り管28には、湯張り管28の開閉を行う湯張り弁30と、湯張り管28を流れる流量を積算する湯張り流量センサ31が設けられている。貯湯タンク15と浴槽29の間には第1循環回路32が設けられている。この第1循環回路32に設けられた第1循環ポンプ33により浴槽29内の湯水は第1循環回路32を循環するようになっている。また、第1循環回路32には加熱部34が設けられており、この加熱部34は螺旋形状の蛇管により構成され、貯湯タンク15内に配設されている。このため、浴槽29内の湯水は第1循環回路32を循環することにより加熱されるようになっている。さらに、貯湯タンクユニット11には、この貯湯タンクユニット1の制御を行い、マイクロコンピュータを主に構成される貯湯ECU35が設けられている。図2に示すように、上記した貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20は貯湯ECU35に電気的に接続されている。なお、他のセンサ25,26,31や弁23,30も貯湯ECU35に電気的に接続されているが、本発明の要部ではないため図示は省略する。
ヒートポンプユニット12には熱源となるヒートポンプ回路41が設けられている。貯湯タンク15とヒートポンプ回路41は、第2循環回路42により接続されており、貯湯タンク15の湯水はこの第2循環回路42を循環することにより加熱されるようになっている。
ヒートポンプ回路41は、コンプレッサ43と冷媒―水熱交換器44と減圧器45と空気熱交換器46を備えている。コンプレッサ43は二酸化炭素冷媒を圧縮する構成とされており、冷媒―水熱交換器44はコンプレッサ43で圧縮された高温高圧冷媒を貯湯タンク15からの温水との間で熱交換して温水を過熱するようになっている。減圧器45は冷媒―水熱交換器44を通過した高圧冷媒を低圧状態に減圧し、空気熱交換器46は、送風機47からの送風により減圧器45からの低圧冷媒を蒸発させるようになっている。そして、この空気熱交換器46を通過した冷媒は、再度コンプレッサ43により圧縮されるようになっている。
第2循環回路42には、第2循環ポンプ48が設けられている。この第2循環ポンプ48により、貯湯タンク15とヒートポンプ回路41の間で湯水が循環する。そして、冷媒―水熱交換器44で加熱された高温の温水が貯湯タンク15の上部から流入し、貯湯タンク15の底部から湯水が冷媒―水熱交換器44に流入するようになっている。また、ヒートポンプユニット12には、このヒートポンプユニット12の制御を行い、マイクロコンピュータを主に構成されるヒートポンプECU49が設けられている。このヒートポンプECU49は貯湯タンクユニットの貯湯ECU35と電気的に接続されている。
そして、電力料金が割安な夜間時間帯になると、貯湯タンクユニット11の貯湯ECU35が翌日に必要な貯湯熱量を演算し、この目標となる貯湯熱量を所定時間内に沸き上げるようヒートポンプECU49に指示をしてヒートポンプ回路41を作動させる。それとともに、第2循環回路42の第2循環ポンプ48を駆動させる。その結果、貯湯タンク15から流出した湯水は、第2循環回路42を介して冷媒―水熱交換器44に流入して過熱された後、再び貯湯タンク15に戻されることにより高温の湯水が貯湯タンク15に貯湯される。
一方、給湯栓27からシャワー又はカランを用いて給湯する場合は、給湯栓27を開くことにより、貯湯タンク15では、給水管19を介してその下部から低温水が流入し、この給水管19からの給水圧により貯湯タンク15上部の高温水が出湯管17に押し出される。そして、貯湯ECU35により制御されるミキシング弁23にて出湯管17からの高温水とバイパス管22からの低温水とが混合され、給湯管24を介して給湯される。このときミキシング弁23は、給湯温度センサ25で検出する温度が台所用リモコン13又は浴室用リモコン14で設定された温度になるように混合する。
図3に示すように、浴室用リモコン14には、第1及び第2操作部51,52、可視表示部53、及び報知部54が設けられている。
図4に示すように、可視表示部53には、時刻表示部55、給湯温度表示部57、浴槽温度表示部58、浴槽水位表示部59、警告内容表示部60、沸増表示部61が設けられている。本実施形態では、時刻表示部55が有用情報表示部に相当し、浴槽温度表示部58が設定温度表示部に相当する。なお、図4は、可視表示部53における表示内容を全て表示させた場合を示すものであり、実際の使用状態を示すものではない。
時刻表示部55には、中間に「:(コロン)」を挟む4桁の7セグメント62で、有用情報としての時刻、即ち現在の時分が表示されるようになっている。また、時刻表示部55には、この7セグメント62の表示に隣接して、午前、午後を示す「AM」、「PM」という文字63と「シャワー残り」という文字64が表示される第1識別表示部56が設けられている。この第1識別表示部が有用情報識別表示部に相当する。
「AM」、「PM」という文字63については、そのときの時刻により「AM」又は「PM」の文字63が表示されるようになっており、時刻は12時間表示で表されるようになっている。この時刻表示部55では、給湯可能時間も同じ7セグメント62を兼用して表示されるようになっている。給湯可能時間とは、給湯栓27からの給湯可能な残り時間を示すものである。ここで、時刻も給湯可能時間も共に時間を表すものであるため、時刻表示部55において時刻を示す7セグメント62を給湯可能時間に兼用しても、給湯可能時間が何時間何分であるかが容易に認識できる。
また、「シャワー残り」という文字64は、給湯可能時間が表示される際に、ユーザがその表示内容を時刻と誤認しないように、給湯可能時間と併せて表示されるものである。なお、以下の説明では、7セグメント62の表示と「AM」又は「PM」の文字63の表示を併せて時刻表示といい、7セグメント62の表示と「シャワー残り」という文字64の表示を併せて給湯可能時間表示という。このため、第1識別表示部56では、時刻表示の際には、「シャワー残り」という文字64が表示されず「AM」又は「PM」の文字63が表示され、給湯可能時間表示の際には、「AM」又は「PM」の文字63が表示されず「シャワー残り」という文字64が表示されるようになっている。
給湯温度表示部57には、ユーザにより設定される給湯温度が二桁の7セグメント65で表示されるようになっている。この7セグメント65の表示と近接して、温度の単位を示す「℃」という文字66が表示されるようになっている。さらに、この7セグメント65の表示と近接して、浴室用リモコン14以外での給湯温度の変更操作が禁止されていることを示す「浴室優先」という文字67が表示されるようになっている。
浴槽温度表示部58には、ユーザにより設定され、浴槽29に貯湯される湯水の温度(以下、浴槽温度という)が二桁の7セグメント68で表示されるようになっている。この浴槽温度が設定温度に相当する。
この浴槽温度表示部58には、保温可能時間も同じ7セグメント68を兼用して表示されるようになっている。保温可能時間とは、ユーザにより設定された浴槽温度の保温時間(設定保温時間)のうち、その温度を保ち続ける残時間を意味し、保温は第1循環ポンプ33が駆動され、浴槽29の湯水が第1循環回路32を循環することにより実現される。
浴槽温度表示部58には、7セグメント68の表示と近接して、温度の単位を示す「℃」という文字69と時間の単位を示す「h(hour)」という文字70が表示される第2識別表示部78が設けられている。この第2識別表示部78が設定温度識別表示部に相当する。
7セグメント68の表示の近傍には、浴槽29の湯水が第1循環回路32を循環していることにより保温中であることを示す「保温中」という文字71が表示されるようになっている。なお、以下、7セグメント68の表示と「℃」という文字69の表示を併せて浴槽温度表示といい、7セグメント68の表示と「h」という文字70の表示を併せて保温可能時間表示という。このため、第2識別表示部78において、浴槽温度表示の際には「h」という文字70が表示されずに「℃」という文字69が表示され、保温可能時間表示の際には、「℃」という文字69が表示されずに「h」という文字70が表示されるようになっている。
ところで、本実施形態においては、給湯温度表示部57の給湯温度も保温可能時間が表示可能な7セグメント65で表示されるようになっているが、保温可能時間は、浴槽温度表示部58に表示されるようになっている。これは、浴槽温度は入浴する浴槽29に貯められる湯の温度であるのに対し、給湯温度は、浴室でのシャワー又はカラン、さらには台所での給湯で使用される湯の温度である。これらを比較した場合、浴槽温度の方がユーザに設定変更される頻度は低く、浴槽温度はユーザが常に表示を望む情報ではない。従って、浴槽温度表示部58を兼用して浴槽温度と保温可能時間を表示することにより、ユーザが望む給湯温度を表示させつつ、浴槽温度又は保温可能時間を表示させることができる。
浴槽水位表示部59には、目盛り線72が表示されるようになっており、この目盛り線72に沿って、浴槽29に貯湯される湯水の水位(以下、浴槽水位という)がバー表示されるようになっている。この浴槽水位もユーザにより設定される。バー表示は、予め複数のバー74が積層状に配設されており、そのうちの1つのバー74が表示されることにより、浴槽水位が示される。この浴槽水位表示部59には、貯湯タンク15の残湯量も目盛り線72とバー74を兼用して表示されるようになっている。残湯量とは給湯可能な残りの容積を示す。そして、同時に複数のバー74が積層状に表示されることにより、残湯量が認識可能になっている。
浴槽水位表示部59には、第1輪郭線73と第2輪郭線75を表示する第3識別表示部79が設けられている。この第3識別表示部が浴槽水位識別表示部に相当する。第1輪郭線73は、目盛り線72と組み合わせられて浴槽29の形状を示すようになっている。第2輪郭線75は、積層状に配置されたバー74全体を囲むように表示されるようになっており、目盛り線72と第2輪郭線75により貯湯タンク15の形状を示すようになっている。
なお、以下、1つのバー74の表示と目盛り線72及び第1輪郭線73の表示とを併せて浴槽水位表示といい、複数のバー74の表示と目盛り線72及び第2輪郭線75の表示とを併せて残湯量表示という。このため、第3識別表示部79において、浴槽水位表示の際には、第2輪郭線75が表示されずに第1輪郭線73が表示され、残湯量表示の際には、第1輪郭線73が表示されずに第2輪郭線75が表示されるようになっている。
警告内容表示部60には、残湯量が予め定められた基準残湯量よりも少ないことを示す「残り湯少」という文字76が表示されるようになっている。ここで、基準残湯量とは、ユーザが残りの給湯量が少ないと感じる境界量に相当する湯量を意味する。
沸増表示部61には、ヒートポンプ回路41が作動され、第2循環ポンプ48の駆動により必要な熱量の沸き増しが行われていることを示す「沸増」という文字77が表示されるようになっている。
上記した可視表示部53に表示される各文字63,64,66,67,69,70,71,76,77は、予め定められた固定キャラクタとしての固定文字が蛍光表示管により表示されるものであり、7セグメント62,65,68の表示及びバー74の表示、目盛り線72、第1及び第2輪郭線73,74の表示も蛍光表示管によりなされる。なお、バー74、目盛り線72、及び第1,第2輪郭線73,74も予め定められたものであるため固定キャラクタに相当する。
ここで、可視表示部53をドットマトリックス型や液晶表示にする場合は、7セグメントや固定キャラクタ(固定文字、バー)を蛍光表示管により表示させる場合と比較してコスト高になるという問題が生じる。特に、浴室用リモコン14においては、台所用リモコン13と異なり使用されるのが入浴中又はそれに関するときのみと、使用頻度が制限されるため、台所用リモコン13と異なり低コストで製造することが求められる。このため、7セグメント表示、バー表示、固定文字の表示が組み合わされて表示される可視表示部53を採用することにより製造コストを抑えつつ、給湯可能時間を表示する浴室用リモコン14を提供できる。その一方で、各表示部55,58,59が兼用されて、異なる表示内容(例えば時刻表示と給湯可能時間表示)が示されるため、上記構成の可視表示部53を採用しても浴槽用リモコン14の大型化を招くこともない。
図3に示すように、第1操作部51には、浴室優先スイッチ81、追い炊きスイッチ82、自動給湯スイッチ83、通話スイッチ84が設けられている。浴室優先スイッチ81は、浴室用リモコン14以外での給湯温度変更操作を禁止することを指示するためのスイッチである。追い炊きスイッチ82は、第1循環回路32を利用して浴槽内の湯水を過熱することを指示するためのスイッチである。自動給湯スイッチ83は、予め設定された浴槽水位となるように湯張り管28を介して浴槽29に湯水を供給することを指示するためのスイッチである。浴室用リモコン14と台所用リモコン13とは図示しない通信手段により通話可能に構成されており、通話スイッチ84は、台所用リモコン13との間で通話する場合に利用されるスイッチである。
第2操作部52には、選択スイッチ85、設定内容変更スイッチ86、確定スイッチ87、表示切替スイッチ88、強制沸増スイッチ89が設けられている。本実施形態では、第2操作部52のスイッチ群は、第1操作部51のスイッチ群より小型に形成されているが、各スイッチの大きさは適宜変更させて構成してもよい。
選択スイッチ85は、ユーザが操作したい内容を選択するためのスイッチであり、具体的には、選択スイッチ85を繰り返し押すことで可視表示部53における時刻表示部55、給湯温度表示部57、浴槽温度表示部58、浴槽水位表示部59のうち操作が可能になる部位が順次変遷するようになっている。
設定内容変更スイッチ86は、選択スイッチ85の操作により選択された各表示部55,57,58,59の設定内容を変更するためのスイッチである。具体的には、設定内容変更スイッチ86を押すことで、給湯温度、浴槽温度、保温時間、時刻の数値や浴槽水位のレベルを変更する。確定スイッチ87は、設定内容変更スイッチ86を用いて変更された内容を確定するためのスイッチである。これらの選択スイッチ85、設定内容変更スイッチ86、及び確定スイッチを用いることで、上述した給湯温度、浴槽温度、保温時間、及び浴槽水位がユーザにより設定可能になっている。
表示切替スイッチ88は、選択スイッチ85の操作により選択された時刻表示部55、浴槽水位表示部59、又は浴槽温度表示部58の表示内容をユーザの手動操作によって切り替えるためのスイッチである。具体的には、時刻表示部55が選択スイッチ85の操作で選択された場合は、表示切替スイッチ88が押されることで時刻表示部55が兼用されて時刻表示と給湯可能時間表示が切り替わるようになっている。また、浴槽温度表示部58が選択スイッチ85の操作で選択された場合は、表示切替スイッチ88が押されることで、浴槽温度表示部57が兼用されて浴槽温度表示と保温可能時間表示が切り替わるようになっている。また、浴槽水位表示部59が選択スイッチ85の操作で選択された場合は、表示切替スイッチ88が押されることで、浴槽水位表示部59が兼用されて浴槽水位表示と残湯量表示が切り替わるようになっている。
なお、本実施形態では選択スイッチ85の操作により選択された項目を個別に表示切替スイッチ88の操作で切り替えることとしたが、上述した3項目を一括して切り替え表示するようにしてもよい。
強制沸増スイッチ89は、湯切れが予想される場合に必要な熱量の沸き増しのためにヒートポンプ回路41及び第2循環ポンプ48の作動を指示するためのスイッチである。
報知部54には、スピーカ90が内装されおり、このスピーカ90からは、貯湯タンク15の残湯量が基準残湯量を下回ったときに警告音が発せられるようになっている。なお、本実施形態では、前記可視表示部53の警告内容表示部60と報知部54から報知手段は構成される。
図2に示すように、浴室用リモコン14の内部には、可視表示部53、第1及び第2操作部51,52、及び報知部54を制御し、マイクロコンピュータを主に構成されるリモコン制御部91が設けられている。この浴室用リモコン14は、貯湯ECU35と電気的に接続されている。また、可視表示部53、第1及び第2操作部51,52の各スイッチ85〜89、及び報知部54のスピーカ90はリモコン制御部91に電気的に接続されている。
ここで、給湯可能時間の算出について説明すると、貯湯ECU35では、貯湯温度センサ16からの検出温度から貯湯タンク15内に残されている熱量、即ち残熱量を算出し、この残熱量と給水温度センサ20からの検出温度とから所定の演算式に基づいて残湯量を算出する。この残湯量に基づいて所定の演算式を用いることにより貯湯ECU35では、給湯可能時間を算出する。そして、表示切替スイッチ88からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に時刻表示部55の表示を切り替えることを指示する信号が入力されると、貯湯ECU35からリモコン制御部91へ給湯可能時間の算出結果が制御信号として出力され、時刻表示部55に給湯可能時間が表示されるようになっている。なお、この給湯可能時間の表示に関しては、貯湯ECU35から算出された給湯可能時間のデータが随時リモコン制御部を介して時刻表示部55に出力されるようになっているため、時刻表示部55では常に残湯量に対応した給湯可能時間が表示されるようになっている。本実施形態では、表示切替スイッチ88及び貯湯ECU35から表示切替手段が構成されている。
ところで、貯湯ECU35には、基準残湯量が記憶されており、算出される残湯量と基準残湯量を比較することにより、残湯量が十分か否か判断している。なお、残湯量が十分か否かの判断は、基準残湯量に対応する残熱量に基づいて判断するようにしてもよいし、基準残湯量に対応する給湯可能時間に基づいて判断するようにしてもよい。また、本実施形態では、基準残湯量に対応する給湯可能時間は20分とする。
上記判断結果により、貯湯タンク15の残湯量が基準残湯量を下回った場合は、ユーザが表示切替スイッチ88に触れることなく自動で時刻表示が給湯可能時間表示に切り替わるように、貯湯ECU35は、リモコン制御部91を介して可視表示部53に制御信号を出力するようになっている。なお、本実施形態においては、貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20からの検出結果に基づいて残湯量が算出されるため、貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20が残湯量検出手段に相当する。
ところで、台所用リモコン13も浴室用リモコン14と同様に各種設定及び各種表示がなされるように構成されているが、本発明の要部ではないため、説明は省略する。
次に上記のように構成された本実施形態における貯湯式給湯装置1の作用を説明する。
図5に示すように、通常状態においては、時刻表示部55では時刻表示がなされ、浴槽温度表示部58では設定された浴槽温度で浴槽温度表示がなされ、浴槽水位表示部59では、設定された浴槽水位で浴槽水位表示がなされる。なお、本実施形態では、一例として時刻は「AM8:40」、浴槽温度は「42℃」、浴槽水位は満水時の略半分となる水位とされている。また、浴槽温度表示部58においては、浴槽29に貯湯された湯水が保温中であれば、「保温中」という文字71が表示され、保温中でなければ「保温中」という文字71は消される。本実施形態では、保温中であることとし、「保温中」という文字が表示されている。また、給湯温度表示部57では設定された給湯温度の表示がなされる。本実施形態では、その一例として給湯温度は「42℃」とされ、それとともに給湯温度表示部57に「浴室優先」という文字67も表示されている。
次にユーザが浴室において給湯可能時間を知りたいと判断した場合について図2、図3、図6に基づいて説明する。
この場合、可視表示部53において時刻表示部55が操作可能になるようユーザにより浴室用リモコン14の第2操作部52における選択スイッチ85が繰り返し押される。すると、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に選択信号が入力され、それに基づき貯湯ECU35から操作可能な部位を切り替えるようリモコン制御部91を介して可視表示部53に制御信号が出力される。その結果、操作可能な部位が時刻表示部55になる。その後、ユーザに表示切替スイッチ88が押されることで、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に切替信号が入力され、それに基づき貯湯ECU35から表示切替を指示する制御信号がリモコン制御部91を介して可視表示部53に出力される。それととともに、貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20の検出結果に基づいて算出された給湯可能時間のデータが可視表示部53に出力される。その結果、時刻表示部55では、図6に示すように、7セグメント62の表示が時刻から給湯可能時間に切り替わる。また第1識別表示部56では、「AM」という文字63が消され、「シャワー残り」という文字64が表示される。このようにして時刻表示が給湯可能表示となる。本実施形態では、一例として給湯可能時間は「3:40」とされている。
このように切替操作により同じ時刻表示部55が兼用されて、時刻表示と給湯可能時間表示がなされることにより、時刻表示と給湯可能時間表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、可視表示部53が拡大することなくコストを抑えつつ給湯可能時間を表示することができる。また、時刻表示と給湯可能時間表示が同時に表示されることはないため、時刻表示と給湯可能時間表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、時刻と給湯可能時間との間でのユーザの誤認防止を図ることができる。さらに、時刻表示部55において同じ7セグメント62で時刻又は給湯可能時間が表示されていても、第1識別表示部56において、時刻表示の際には、「シャワー残り」という文字64が表示されず「AM」又は「PM」の文字63が表示される一方で、給湯可能時間表示の際には、「AM」又は「PM」の文字63が表示されず「シャワー残り」という文字64が表示される。このため、ユーザは時刻表示部55において明確に現在の表示内容が識別でき、更なる誤認防止を図ることができる。
なお、この状態で、ユーザにより再度表示切替スイッチ88が押されると、その切替信号に基づいて、貯湯ECU35は、表示切替を指示する制御信号を出力し、時刻表示部55では給湯可能時間表示が再度時刻表示に切り替わる。
次に、ユーザが浴室において残湯量を知りたいと判断した場合について図2、図3、図7に基づいて説明する。
この場合も可視表示部53において浴槽水位表示部59が操作可能になるようユーザにより浴室用リモコン14の第2操作部52における選択スイッチ85が繰り返し押される。すると、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に選択信号が入力され、それに基づく貯湯ECUからの制御信号がリモコン制御部91を介して可視表示部53に出力される。その結果、可視表示部53において操作可能な部位が浴槽水位表示部59になる。その後、ユーザに表示切替スイッチ88が押されることで、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に切替信号が入力され、それに基づき貯湯ECU35から表示切替を指示する制御信号がリモコン制御部91を介して可視表示部53に出力される。それとともに、貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20の検出結果に基づいて算出された残湯量のデータが可視表示部53に出力される。その結果、浴槽水位表示部59の第3識別表示部79においては、浴槽29形状の第1輪郭線73が消され、図7に示すように、貯湯タンク15の形状の第2輪郭線75が表示される。また、浴槽水位表示部59において、1つのバー74のみが表示されていたものが、残湯量を示すように積層状に複数のバー74が表示される。このようにして浴槽水位表示が残湯量表示に切り替わる。
このように切替操作により同じ浴槽水位表示部59が兼用されて浴槽水位表示と残湯量表示がなされることにより、浴槽水位表示と残湯量表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、可視表示部53が拡大することなくコストを抑えつつ浴槽水位表示と残湯量表示をすることができる。また、浴槽水位表示と残湯量表示が同時に表示されることはないため、浴槽水位表示と残湯量表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、浴槽水位と残湯量との間でのユーザの誤認防止を図ることができる。
さらに、浴槽水位表示部59において同じバー表示で浴槽水位又は残湯量が表示されていても、第3識別表示部79では、浴槽水位表示の際には、第2輪郭線75が表示されずに第1輪郭線73が表示され、残湯量表示の際には、第1輪郭線74が表示されずに第2輪郭線75が表示される。このため、ユーザは浴槽水位表示部59において明確に現在の表示内容が識別でき、更なる誤認防止を図ることができる。
なお、この状態で、ユーザにより再度表示切替スイッチ88が押されると、その切替信号に基づいて、貯湯ECU35は、表示切替を指示する制御信号を出力し、浴槽水位表示部59では残湯量表示が再度浴槽水位表示に切り替わる。
次に、ユーザが浴室において、保温可能時間を知りたいと判断した場合について図2、図3、図8に基づいて説明する。
この場合も、可視表示部53において浴槽温度表示部58が操作可能になるようにユーザにより浴室用リモコン14の第2操作部における選択スイッチ85が繰り返し押される。すると、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に選択信号が入力され、それに基づく貯湯ECUからの制御信号がリモコン制御部91を介して可視表示部53に出力される。その結果、可視表示部53において操作可能な部位が浴槽温度表示部58になる。その後、ユーザに表示切替スイッチ88が押されることで、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に切替信号が入力され、それに基づき貯湯ECU35から表示切替を指示する制御信号がリモコン制御部91を介して可視表示部53に出力される。それとともに、ユーザにより設定された保温時間と経過時間の差により算出された保温可能時間のデータが可視表示部53に出力される。
その結果、浴槽温度表示部58の第2識別表示部78においては、「℃」という文字69が消され、図8に示すように、「h」という文字70が表示される。また、浴槽温度表示部58では、7セグメント68の表示が浴槽温度から保温可能時間に切り替わる。このようにして浴槽温度表示が保温可能時間表示となる。本実施形態では、一例として保温可能時間は「2」とされている。
このように切替操作により同じ浴槽温度表示部58が兼用されて浴槽温度表示と保温可能時間表示がなされることにより、浴槽温度表示と保温可能時間表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、可視表示部53が拡大することなくコストを抑えつつ浴槽温度表示と保温可能時間表示をすることができる。また、浴槽温度表示と保温可能時間表示が同時に表示されることはないため、浴槽温度表示と保温可能時間表示が別々の部位で共に表示される場合と異なり、浴槽温度と保温可能時間との間でのユーザの誤認防止を図ることができる。
さらに、浴槽温度表示部58において同じ7セグメント68で浴槽温度又は保温可能時間が表示されていても、第2識別表示部78では、浴槽温度表示の際には「h」という文字70が表示されずに「℃」という文字69が表示され、保温可能時間表示の際には、「℃」という文字69が表示されずに「h」という文字70が表示される。このため、ユーザは浴槽温度表示部58において明確に現在の表示内容が識別でき、更なる誤認防止を図ることができる。
なお、この状態で、ユーザにより再度表示切替スイッチ88が押されると、その切替信号に基づいて、貯湯ECU35は、表示切替を指示する制御信号を出力し、浴槽温度表示部58では保温可能時間表示が再度浴槽温度表示に切り替わる。
次に、残湯量が少なくなり、保温可能時間が少なくなった場合について図2、図9に基づいて説明する。
貯湯ECUは、貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20の検出結果に基づいて算出される残湯量が基準残湯量より上か否かを常時判定している。そして、貯湯ECU35が貯湯タンク15の残湯量が基準残湯量を下回ったと判断した場合は、浴室用リモコン14のリモコン制御部91を介して可視表示部53に、時刻表示部55の時刻表示を給湯可能時間表示に切り替え指示する制御信号を出力する。それとともに、貯湯可能時間のデータも出力する。さらに、この場合、貯湯ECU35は、リモコン制御部91を介して可視表示部53に、警告内容表示部60に「残り湯少」という文字の表示を指示する制御信号を出力し、リモコン制御部91を介して報知部54に、警告音を発するように指示する制御信号を出力する。
その結果、図9に示すように、時刻表示部55において、ユーザが表示切替スイッチ88に触れることなく自動で時刻表示が給湯可能時間表示に切り替わる。また、警告内容表示部60においては、「残り湯少」という文字が表示され、報知部54のスピーカ90からは警告音が発せられる。本実施形態においては、基準残湯量に対応する給湯可能時間は20分としているため、自動で時刻表示が給湯可能時間表示に切り替わる場合は、時刻表示部55において給湯可能時間が「0:20」と表示される。
従って、浴室のユーザは、残湯量が少ない場合は浴室用リモコン14を操作することなく給湯可能時間を確認できるようになるため、例えばシャワー使用中に残湯量が少なくなっても、その作業を停止することなく給湯可能時間を確認でき、残湯量を気にしながら作業する必要がなくなる。また、警告内容表示部60の表示により残湯量が少ないことを的確にユーザに報知することができる。さらに、報知部54から警告音が発せられるため、ユーザが浴室用リモコン14を注視していない場合でも、残湯量少ないことを容易に知らせることができる。
ところで、時刻表示部55において時刻表示から給湯可能時間表示に自動的に切り替わった場合は、ユーザにより、第2操作部52の強制沸増スイッチ89が押されることにより、第2操作部52からリモコン制御部91を介して貯湯ECU35に指示信号が入力される。その結果、貯湯ECU35は、ヒートポンプ回路41及び第2循環ポンプ48に作動を指示するとともに、リモコン制御部91を介して可視表示部53に、「沸増」という文字77の表示を指示する制御信号を出力する。その結果、図10に示すように可視表示部53の沸増表示部61には、「沸増」という文字が表示される。
このため、残湯量が少ない場合には、浴室から沸き増しの指示ができるため、ユーザは湯切れの心配なく、安心して入浴することができる。また、沸増表示部61の表示により沸き増し中であることを浴室から明確に把握できる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、時刻表示を給湯可能時間表示に切り替えたが、浴槽温度表示を給湯可能時間表示に切り替える構成にしてもよい。かかる構成にしても浴槽温度が7セグメントで表示されている限り、浴槽温度も給湯可能時間も同じように数値表示であるため、ユーザが認識しやすい形で給湯可能時間を表示する構成が実現できる。この場合、浴槽温度が有用情報に相当し、浴槽温度表示部が有用情報表示部に相当することになる。
また、浴槽温度表示ではなく、給湯温度表示を給湯可能時間表示に切り替える構成にしてもよい。かかる構成にしても時刻表示を浴槽温度表示に変更する場合と同様の作用効果を奏する。この場合、給湯温度が有用情報となり、給湯温度表示部が有用情報表示部となる。
・上記実施形態では、浴槽温度表示部58において浴槽温度表示を保温可能時間表示に切り替えたが、給湯温度表示を保温可能時間表示に切り替える構成にしてもよい。かかる構成にしても給湯温度が7セグメント65で表示されている限り、給湯温度も保温可能時間も同じ数値表示となるため、同様の効果を奏しつつ保温可能時間を表示することができる。この場合、給湯温度表示部57が設定温度表示部に相当し、給湯温度が設定温度に相当することになる。
・上記実施形態では、時刻は12時間表示でなされるように構成されていたが、24時間表示でなされるように構成してもよい。
・上記実施形態では、報知部54から警告音を発する構成としたが、予め定められたアナウンスが発せられる構成としてもよい。
また、報知部54と可視表示部53の警告内容報知部54を用いて残湯量が少ない状態であることを報知する構成としたが、警告内容報知部54のみで報知する構成にしてもよいし、報知部54のみで報知する構成にしてもよい。この場合、報知部54又は警告内容報知部54の一方が報知手段となる。
・上記実施形態では、給湯可能時間が表示される際に、表示内容が時刻と誤認されないように第1識別表示部56において「シャワー残り」という文字64を表示させるようにしたが、「給湯残り」、「シャワー使用可能時間」、「給湯使用時間」等、他の文字を表示させる構成にしてもよい。また、文字の代わりに絵を表示させる態様にしてもよい。
さらに、給湯可能時間が表示される際に、「シャワー残り」という文字64と7セグメント62との間に、「シャワー残り」という文字64から7セグメント62に向かって「矢印」を表示させる構成にしてもよい。このようにすれば、表示されている7セグメント62の内容が給湯可能時間であることをより明確にすることができる。
・上記実施形態では、浴槽水位表示部59において、残湯量表示がなされる場合には浴槽29の形状を示す第1輪郭線73が消される構成にしたが、残湯量表示がなされる場合であっても第1輪郭線73を表示し続ける構成にしてもよい。
・上記実施形態では、残湯量が少なくなった場合には、時刻表示部55において自動的に時刻表示から貯湯可能時間表示に切り替わり、警告内容表示部60において、「残り湯少」という文字76が表示される構成にしたが、図11に示すように、さらに浴槽水位表示部59で、浴槽水位表示から残湯量表示に切り替え、浴槽温度表示部58の表示内容を消す構成にしてもよい。このようにすれば、残湯量が少なくなった場合には、可視表示部53における表示内容が減少することになるため、時刻表示部55が際立ち、給湯可能時間の認識を容易にできる。また、さらにこの浴槽水位表示部59の表示内容も消す構成にしてもよい。なお、これらの表示及び消去は、時刻表示部55の表示切替と同様に貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20の検出結果に基づいて貯湯ECU35で制御されることになる。
・上記実施形態では、貯湯ECU35が貯湯温度センサ16及び給水温度センサ20の検出結果に基づく演算や、可視表示部53における切り替え表示を指示したが、リモコン制御部91が代替する構成にしてもよい。この場合は、リモコン制御部91及び表示切替スイッチ88が切替表示手段に相当することになる。
・上記実施形態では、7セグメントや固定キャラクタを蛍光表示管により表示させる可視表示部53を採用したが、ドットマトリックス型の蛍光表示管よりなる可視表示部を採用してもよい。