JP2006202932A - 研磨用組成物、その製造方法及び該研磨用組成物を用いる研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Cu、Mn、Ni、Fe、Zn、Cr等の金属性不純物がヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中にほとんど存在せず、シリコンウエハ等の研磨に最適な研磨用組成物を得ること、及び低コストでこの研磨用組成物を得る方法を提供すること。
【解決手段】ヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である研磨用組成物。この研磨用組成物は、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を調製し、陰イオン交換体に接触させた高純度ヒュームドシリカ水分散液を用いて製造する。さらに、こうして得られた高純度ヒュームドシリカを使用する電子材料用ウエハの研磨方法。
【選択図】図1
【解決手段】ヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である研磨用組成物。この研磨用組成物は、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を調製し、陰イオン交換体に接触させた高純度ヒュームドシリカ水分散液を用いて製造する。さらに、こうして得られた高純度ヒュームドシリカを使用する電子材料用ウエハの研磨方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体デバイスウエハ、磁気ディスク基板、水晶基板等の電子材料の研磨加工に用いることのできる研磨用組成物、その製造方法、及び該研磨用組成物を用いる研磨方法に関する。
従来よりヒュームドシリカを水に分散したヒュームドシリカ水分散液(通常、ヒュームドシリカスラリーと呼称する)は、半導体デバイスウエハの研磨剤などに用いられてきた(例えば、特許文献1)。ヒュームドシリカは、一般に、四塩化珪素を酸水素炎中で燃焼させて製造され、燃焼時に発生する塩酸成分を含有し、酸性を呈する。製造条件を変えることによって、比表面積がおよそ40〜500m2/gの製品がある。市販品としては、Degussa社のAEROSILやCabot社のCAB-O-SILなどがあり、それらの水分散液(スラリー)も市販されている。
ヒュームドシリカはその製法上、珪酸アルカリ水溶液を原料として製造されるコロイダルシリカに比較して不純成分が少ないため、従来はヒュームドシリカを高純度化する方法はあまり検討されていなかった。しかし最近では、ヒュームドシリカに含まれる微量の不純物や、これを水分散液加工する際に混入する不純物が問題となり、昨今のより高純度な研磨剤の要求に答えるには難しい状況となってきている。具体的には、ヒュームドシリカスラリーはCr、Cu、Mn、Ni、Fe、Zn等(以下、金属性不純物と記載する)やClを含有するため、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体デバイスウエハ、磁気ディスク基板、水晶基板等の電子材料の研磨剤としては不適な材料となってきた。特に半導体シリコンウエハの研磨加工時、研磨剤中に存在する金属、特にCuはウエハ内部に深く拡散し、ウエハ品質を劣化させ、該ウエハによって形成された半導体デバイスの特性を著しく低下させるという事実が明らかとなった。また、pHが11を超えるような高いpHでの研磨はCuやNiの汚染を促進することも明らかになってきた。
そのため金属性不純物の混入を嫌う分野においては、これら金属性不純物を実質的に含まないシリコンアルコキシドのような高純度なシリカ原料から製造された高価なコロイダルシリカ製品を使用していた。
そのため金属性不純物の混入を嫌う分野においては、これら金属性不純物を実質的に含まないシリコンアルコキシドのような高純度なシリカ原料から製造された高価なコロイダルシリカ製品を使用していた。
一方、珪酸アルカリ水溶液を原料として製造されるコロイダルシリカの分野では、同じ問題に対して不純物を除去する方法が数多く提案されている。例えば特許文献2には、高純度コロイダルシリカの製造方法として、酸とシュウ酸を加えた後、OH形強塩基性陰イオン交換樹脂とH形強酸性陽イオン交換樹脂に接触させる方法が記載されている。
また、特許文献3には、活性珪酸水溶液にキレート化剤を添加し最終工程でキレート化された不純物を限外濾過で除く方法、キレート樹脂により金属成分を除去した後さらにキレート化剤を添加し最終工程でキレート化された不純物を限外濾過で除く方法が記載されている。
いずれの方法も酸性にした溶液にキレート化剤を添加し、イオン交換樹脂や限外濾過等の方法で不純物イオンを除去する手段が基本になっている。これは不純金属成分が単なる金属カチオンの形態ではなく、水酸化物、酸化物、アニオン性酸化物、水和カチオン、金属珪酸塩など様々な形態で混在しているため、煩雑な工程が必要となると推定される。
いずれの方法も酸性にした溶液にキレート化剤を添加し、イオン交換樹脂や限外濾過等の方法で不純物イオンを除去する手段が基本になっている。これは不純金属成分が単なる金属カチオンの形態ではなく、水酸化物、酸化物、アニオン性酸化物、水和カチオン、金属珪酸塩など様々な形態で混在しているため、煩雑な工程が必要となると推定される。
特許文献2ではシュウ酸の添加と陰イオン交換樹脂の使用が記載されているが、この方法はFe、Alのような3価金属には効果があるが、2価金属Cu、Ni、Znには効果が低く、特にNi、Znには全く効果がない。
特許文献3の方法は、キレート化された不純物や余剰のキレート化剤の除去方法が限外濾過のため、必ず微量が排出されずに残るという問題がある。シリカコロイド粒子の限外濾過は、シリカを常に水分散のコロイド状態を保ったまま水相部分を系外に排出する方法のため、不純成分は薄まりながら減っていくが、必ず微量が排出されずに残ることになる。
また、上記従来技術はシリカ水分散液中のどの部分に金属性不純物が存在するかに注目していない。水等の溶媒に分散したヒュームドシリカに存在する金属性不純物は次の3形態(i)ヒュームドシリカ粒子内部に封入、(ii)ヒュームドシリカ粒子表面に吸着、(iii)分散媒に溶解または水酸化物等の形態で分散、で存在する。
水に分散したヒュームドシリカに存在する上記3形態の金属性不純物のうち、特に、(ii)ヒュームドシリカ表面に吸着された金属性不純物と(iii)分散媒に溶解または水酸化物等の形態で分散する金属性不純物は、移動が容易で汚染等の原因になりやすい。
従って、本発明の課題は、ヒュームドシリカ水分散液に含まれるCr、Cu、Mn、Ni、Fe、Zn等の金属性不純物やClがヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中にほとんど存在せず、シリコンウエハ等の研磨に最適な研磨用組成物を得ること、低コストでこの研磨用組成物を得る方法、及びこの研磨用組成物を用いて研磨を行う研磨方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(1)シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である高純度ヒュームドシリカを含有する研磨用組成物を用いることにより、研磨対象物の汚染が少ないこと、(2)ヒュームドシリカ水分散液に、特定のキレート化剤を混合して、キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を調製し、そのキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を陰イオン交換体に接触させることにより、ヒュームドシリカ粒子表面に吸着している金属性不純物及びヒュームドシリカの分散媒である水に溶解又は水酸化物の形態で分散した金属性不純物を効果的に除去できるので、ヒュームドシリカ中の金属性不純物の含有量を少なくでき、ひいては研磨用組成物中の金属性不純物の含有量を少なくできること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、水及び、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカを含有する研磨用組成物であって、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である、研磨用組成物に関するものである。上記ヒュームドシリカは、窒素吸着BET法比表面積が40〜500m2/gであり、かつヒュームドシリカ水分散液のシリカ濃度が1〜60重量%であることが好ましい。また、本発明の研磨用組成物は、さらにアルカリ性化合物を含有することができる。アルカリ性化合物は、pH9.0〜11.0の範囲でpH緩衝作用を呈する緩衝溶液であることが好ましい。また、該緩衝溶液は、強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、四級アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、及びホウ酸イオンの少なくとも1種以上であることが好ましい。
本発明の研磨用組成物は、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を、陰イオン交換体に接触させて得られた高純度ヒュームドシリカ水分散液を使用して製造することができる。前記窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤は、イミノ二酢酸骨格を有する化合物又は水溶性の有機リン酸であることが好ましい。さらに、これらの窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジピコリン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸若しくはヒドロキシエタンジホスホン酸又はこれらの誘導体若しくはこれらの塩であることが好ましい。
さらに、本発明は、これらの研磨用組成物を用いてシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体デバイスウエハ、磁気ディスク基板、水晶基板等の電子材料の表面または外周部を研磨する、電子材料の研磨方法に関するものである。
本発明によれば、金属性不純物の含有量が極めて少ないヒュームドシリカ水分散液を用いて、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体デバイスウエハ、磁気ディスク基板、水晶基板等の電子材料の研磨加工に用いることのできる低コストの研磨用組成物が提供される。本発明の製造方法により得られた研磨用組成物は、研磨粒子であるヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中の金属不純物量が極めて少量であることから,半導体ウエハ等の電子材料の表面研磨加工時ウエハの品質を劣化させることがない。
<研磨用組成物>
本発明の研磨用組成物は、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカを含有し、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下であることを特徴とする。
ここで、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカ粒子としては、後述の方法によって得られるものであり、その製造工程において、金属性不純物量を上記の範囲以下まで減少させたものである。
本発明でシリカ濃度とは、ヒュームドシリカ水分散液に含まれるSiO2の重量割合をいう。
本発明の研磨用組成物は、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカを含有し、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下であることを特徴とする。
ここで、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカ粒子としては、後述の方法によって得られるものであり、その製造工程において、金属性不純物量を上記の範囲以下まで減少させたものである。
本発明でシリカ濃度とは、ヒュームドシリカ水分散液に含まれるSiO2の重量割合をいう。
ヒュームドシリカの窒素吸着BET法比表面積は40〜500m2/gであり、好ましくは50〜200m2/gである。窒素吸着BET法比表面積が50〜200m2/gのヒュームドシリカ粒子は、TEM写真では短径5nmから50nmくらいの俵状粒子や連球粒子あるいは球状粒子であり、凝集2次粒子や1次粒子で分散している。ヒュームドシリカ粒子は、大小2種類の比表面積の粒子からなるヒュームドシリカを用いてもよい。この場合は、比表面積が50〜80m2/gの粒子と、100〜200m2/gの粒子の2種類の粒子であって、その重量比が1:10〜1:3であるものが特に好ましい。また、ヒュームドシリカ粒子は、大中小3種類の粒子径の粒子からなるヒュームドシリカを用いてもよい。この場合は、比表面積が50〜70m2/gの粒子と、80〜100m2/gの粒子と、120〜200m2/gの粒子の3種類の粒子であってその重量比がほぼ当量であるものが特に好ましい。
また、酸化アルミニウムやアルカリ金属等で表面処理されて、水分散性を改良したヒュームドシリカは、分散の良好な水分散液が得られるので好ましい。
分散媒としては、金属性不純物の含有量が少ない水が好ましいが、必要に応じてアルコール等の有機溶媒を含有することもできる。
ヒュームドシリカの濃度は、1〜60重量%であるが、研磨に使用する際に1〜20重量%に希釈して用いることができる。
また、酸化アルミニウムやアルカリ金属等で表面処理されて、水分散性を改良したヒュームドシリカは、分散の良好な水分散液が得られるので好ましい。
分散媒としては、金属性不純物の含有量が少ない水が好ましいが、必要に応じてアルコール等の有機溶媒を含有することもできる。
ヒュームドシリカの濃度は、1〜60重量%であるが、研磨に使用する際に1〜20重量%に希釈して用いることができる。
本発明の研磨用組成物は、さらにアルカリ性化合物を含有することができる。アルカリ性化合物はヒュームドシリカ水分散液の調製時に添加することができる。調製時に添加するアルカリ性化合物は、特に制限はないが、アルカリ金属、アンモニア、4級アンモニウムおよびアミン類の水酸化物またはアルカリ性塩から選ばれた1種以上であることが好ましい。
また、アルカリ性化合物として、pH9.0〜11.0の間で緩衝溶液を形成するイオン種で構成された緩衝液を用いることができる。緩衝溶液が強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、四級アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、及びホウ酸イオンの少なくとも1種以上であるものが好ましい。緩衝溶液を形成する陽イオンが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンから選ばれた1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのいずれか1種以上であることがさらに好ましい。
また、アルカリ性化合物として、pH9.0〜11.0の間で緩衝溶液を形成するイオン種で構成された緩衝液を用いることができる。緩衝溶液が強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、四級アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、及びホウ酸イオンの少なくとも1種以上であるものが好ましい。緩衝溶液を形成する陽イオンが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンから選ばれた1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのいずれか1種以上であることがさらに好ましい。
本発明の研磨用組成物は、その他の界面活性剤、水溶性高分子、シリコーン消泡剤、殺菌剤、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤などを併用することができる。
<研磨用組成物用高純度ヒュームドシリカの製造方法>
次に、本発明の実施の形態に係る高純度ヒュームドシリカ水分散液の製造方法について説明する。ヒュームドシリカ水分散液に、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を混合し、キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を得るキレート化剤混合工程、及び該キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を、陰イオン交換体に接触させる陰イオン交換体接触工程を順に行う。
次に、本発明の実施の形態に係る高純度ヒュームドシリカ水分散液の製造方法について説明する。ヒュームドシリカ水分散液に、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を混合し、キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を得るキレート化剤混合工程、及び該キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を、陰イオン交換体に接触させる陰イオン交換体接触工程を順に行う。
ヒュームドシリカは、公知の方法で水分散液とすることができる。例えば、特開2004−43298号公報、特開2003−176123号公報、特開2002−309239号公報に記載の方法を用いることができる。また、市販のヒュームドシリカ水分散液を用いることもできる。
ヒュームドシリカ精製工程に使用されるヒュームドシリカ水分散液中のシリカ濃度は、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%である。また、ヒュームドシリカ水分散液のpHは、2〜12、好ましくは3〜10である。
本発明で用いるキレート化剤としては、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤であって、金属の多座配位子として金属と結合し、陰イオン錯体を形成するものであれば、本発明の効果を損なわない限り、任意のものを用いることができる。キレート化剤としては、分子中にイミノ二酢酸骨格を構造の一部に有する化合物又は水溶性の有機リン酸が好ましい。
金属イオンに配位結合する能力を持っている原子(ドナー原子)には、炭素原子、窒素原子、酸素原子、燐原子、硫黄原子等があるが、これらのドナー原子のうち、窒素原子は、Cu、Mn、Ni、Fe、Znのような3d軌道に電子を持つ金属イオンと強い配位結合を形成することができる。また、ニトリロトリメチレンホスホン酸のようにN−C−P構造をもつと、さらに配位結合が強くなる。
キレート化剤としては、具体的には、例えば、(1)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、(2)ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、(3)ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、(4)ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、(5)トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、(6)ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、(7)1,3−プロパンジアミン四酢酸(1,3−PDTA)、(8)ニトリロ三酢酸(NTA)、(9)ジピコリン酸、(10)ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTP)若しくは(11)ヒドロキシエタンジホスホン酸、又はこれらの誘導体若しくはこれらの塩が挙げられる。(1)〜(11)の塩としては、具体的には、例えば、(1a)エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸三アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム、(2a)ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三アンモニウム、(3a)ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸二ナトリウム、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸二アンモニウム、(4a)ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五アンモニウム、(5a)トリエチレンテトラミン六酢酸六ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸六アンモニウム、(6a)ヒドロキシエチルイミノ二酢酸二ナトリウム、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸二アンモニウム、(10a)ニトリロトリメチレンホスホン酸四ナトリウム、ニトリロトリメチレンホスホン酸五ナトリウム、(11a)ヒドロキシエタンジホスホン酸三ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等が挙げられる。また、キレート化剤は、結晶水を含むものであっても、無水物であってもよい。また、キレート化剤は、1種単独又は2種類以上の併用であってもよく、併用する場合、任意の割合で用いることができる。
キレート化剤は、ヒュームドシリカ水分散液中で、金属性不純物である金属イオン(以下、不純物金属イオンと記載する)の多座配位子として、不純物金属イオンと結合し、陰イオン錯体を形成するが、そのためには、キレート化剤が不純物金属イオンの陽電荷を満たしてなお余りある陰電荷を有することが必要である。従って、キレート化剤の陰電荷の価数は、2以上であることが好ましく、3以上であることが、多価の不純物金属イオンとの反応で電荷が中和され難く、金属性不純物の除去効果が高い点で特に好ましく、4以上であることが更に好ましい。
本発明で使用されるキレート化剤の量は、ヒュームドシリカ水分散液に含まれる金属性不純物の量をもとにして決定できる。目安となる使用量の範囲は、キレート化剤が混合されるヒュームドシリカ水分散液中のシリカ1kgに対して0.5〜100mmolである。
キレート化剤を添加する方法としては、予めヒュームドシリカ水分散液を攪拌下、キレート化剤を添加することが好ましい。キレート化剤を混合した後は、次の工程に移る前に少なくとも30分間攪拌を続け、キレート化剤と不純物金属イオンとの接触を充分にすることが好ましい。この操作により、不純物金属イオンとキレート化剤の陰イオン錯体が形成される。
また、金属性不純物の除去効果を高める目的で、キレート化剤を混合する前、混合する際又は混合した後に、過酸化水素等の酸化剤又はアスコルビン酸等の還元剤を添加することができる。また、キレート化剤を混合する前に酸を添加して、ヒュームドシリカ水分散液のpHを調節することができる。
陰イオン交換体とキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液との接触の際には、強塩基性陰イオン交換樹脂又は弱塩基性陰イオン交換樹脂である陰イオン交換体を充填したカラムにキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を通す方法、あるいは、キレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液に、強塩基性陰イオン交換樹脂又は弱塩基性陰イオン交換樹脂を添加し、攪拌した後、適当なメッシュサイズの篩に、ヒュームドシリカ及び陰イオン交換樹脂の混合物を通過させる方法等を用いることにより、接触後の強酸性陰イオン交換樹脂又は弱酸性陰イオン交換樹脂を、接触後のヒュームドシリカ水分散液から分離することができる。
ヒュームドシリカ精製工程では、キレート化剤をヒュームドシリカ水分散液に混合溶解することにより、キレート化剤を、ヒュームドシリカ粒子表面に吸着されている不純物金属イオン及び分散媒である水に溶解又は水酸化物等の形態で分散している不純物金属イオンと結合させて陰イオン錯体を形成させ、次いで、生成する陰イオン錯体を、陰イオン交換体に接触させることにより、陰イオン交換体に捕捉させて除去することができる。従って、ヒュームドシリカ精製工程を行うことにより、ヒュームドシリカ粒子表面に吸着されている金属性不純物及び分散媒である水に溶解又は水酸化物等の形態で分散している金属性不純物の含有量が極めて少ない高純度ヒュームドシリカ水分散液を得ることができる。
また、ヒュームドシリカ精製工程を行う際の温度は、特に制限されないが、通常0〜100℃、好ましくは5〜60℃である。
また、ヒュームドシリカ精製工程を行った後、必要に応じて、常法に従い濃縮工程を行うことができる。
ヒュームドシリカ粒子表面に吸着されている金属性不純物及び分散媒中に含有されている金属性不純物の量は、例えば、以下の方法により測定することができる。測定前にヒュームドシリカ水分散液はシリカ濃度15%程度に予め希釈しておくことはゲルの発生を防止する上で好ましい。(i)ヒュームドシリカ水分散液がアルカリ性の場合は、6%硝酸で中和したものに、ヒュームドシリカが酸性の場合は、中和をせず、そのままヒュームドシリカに、6%硝酸を、添加後の硝酸の酸濃度が0.2mol/kgとなるまで、攪拌しながら添加する。(ii)次いで、純水を添加し、シリカ濃度が10.0重量%となるように調整する。(iii)純水の添加後、1時間放置し、遠心分離によりシリカを沈降させ上澄み液を採取する。(iv)採取した上澄み液中の金属性不純物の量をICP質量分析装置により分析する。
<調整方法>
本発明の研磨用組成物の調整方法を示す。
前記したキレート化剤によって精製された高純度ヒュームドシリカ水分散液であって、シリカ濃度が15〜65重量%の水分散液に、前記したアルカリ性化合物を加える。アルカリ性化合物として緩衝溶液を用いる場合には、前述のイオン種で構成される高濃度の緩衝組成溶液をあらかじめ作成しておき、加えることができる。
続いて、水及び塩類を含み、界面活性剤や水溶性高分子を0.001〜10ミリmol/Kg含有する溶液あるいはその混合物を作成し、これを用いて前記の溶液を希釈することにより、研磨用組成物を得る。水の代わりに、水と有機溶剤の混合物を用いることもできる。さらに必要に応じてその他の界面活性剤、水溶性高分子、シリコーン消泡剤、殺菌剤、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤などを添加することができる。
本発明の研磨用組成物の調整方法を示す。
前記したキレート化剤によって精製された高純度ヒュームドシリカ水分散液であって、シリカ濃度が15〜65重量%の水分散液に、前記したアルカリ性化合物を加える。アルカリ性化合物として緩衝溶液を用いる場合には、前述のイオン種で構成される高濃度の緩衝組成溶液をあらかじめ作成しておき、加えることができる。
続いて、水及び塩類を含み、界面活性剤や水溶性高分子を0.001〜10ミリmol/Kg含有する溶液あるいはその混合物を作成し、これを用いて前記の溶液を希釈することにより、研磨用組成物を得る。水の代わりに、水と有機溶剤の混合物を用いることもできる。さらに必要に応じてその他の界面活性剤、水溶性高分子、シリコーン消泡剤、殺菌剤、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤などを添加することができる。
<研磨方法>
本発明の研磨用組成物は被研磨物に適合したシリカ濃度に希釈調製して、さらに必要に応じて界面活性剤、水溶性高分子、pH調節剤などを添加して使用する。実際の研磨加工時におけるシリカ濃度は被研磨物の種類や研磨装置の機種、研磨条件により異なり、限定することはできないが、1〜40重量%であることが肝要である。一例を挙げれば、好ましい範囲は、シリコンウエハの表面研磨では1〜10重量%であり、外周部研磨では1〜15重量%である。タンタル酸リチウム基板や水晶基板のような硬脆性材料では20重量%以上である。
本発明の研磨用組成物は被研磨物に適合したシリカ濃度に希釈調製して、さらに必要に応じて界面活性剤、水溶性高分子、pH調節剤などを添加して使用する。実際の研磨加工時におけるシリカ濃度は被研磨物の種類や研磨装置の機種、研磨条件により異なり、限定することはできないが、1〜40重量%であることが肝要である。一例を挙げれば、好ましい範囲は、シリコンウエハの表面研磨では1〜10重量%であり、外周部研磨では1〜15重量%である。タンタル酸リチウム基板や水晶基板のような硬脆性材料では20重量%以上である。
本発明の研磨用組成物を用いた研磨方法としては、例えば被研磨物であるシリコンウエハの表面または外周部を研磨する方法を示すことができる。表面の研磨は、研磨布を上下両面あるいは片面に貼付した回転可能な定盤を有する研磨装置に、被研磨物であるシリコンウエハを載置押圧し、前記定盤及び被加工物の双方あるいは一方を回転しつつ、上述の研磨剤を供給しながら研磨を行なう方法が適用できる。研磨布は、合成樹脂発泡体、合成皮革あるいは不織布等、通常用いられているものを使用することができる。平面研磨においては、単一回転方式、オービタル運動方式、リニア運動方式などの様々な研磨装置が提案されており、これらのいかなる装置をも使用することができる。
外周部の研磨は、表面に研磨布を貼付したドラム形状の研磨部材または、円弧状をした作業面を持つ研磨具を有する研磨装置に、ウエハ等の被加工物の外周部分を押圧し、研磨部材及び/または前記被加工物を回転させつつ、上述の研磨用組成物を供給しながら、前記被加工物の外周部分の研磨を行なう方法が適用できる。外周部研磨においては、特開平07−314304号公報、特開2000−317788号公報、特開2002−36079号公報記載の研磨装置などが適宜使用できる。特に最近では外周部の垂直端面と傾斜面とを同時に研磨する方法が提案されていて好ましい。これらに限定するものではなく従来より使用されてきたいかなる装置も使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これは単なる例示であって、本発明を制限するものではない。
(シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量の測定方法)
ヒュームドシリカ水分散液は予めシリカ濃度15重量%に純水で希釈した。この希釈サンプル50gに、6%硝酸を添加し、中和した。次いで、更に、6%硝酸を、添加後の硝酸の濃度が0.2mol/kgとなるまで添加した。次いで、純水を添加して、シリカ濃度が10.0重量%となるように調整した。純水の添加後、1時間放置した後、遠心分離器で3500rpm60分処理して、シリカを沈降させ、上澄み液を採取した。採取した上澄み液のCr、Cu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率をICP質量分析装置により分析し、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量を測定した。
ヒュームドシリカ水分散液は予めシリカ濃度15重量%に純水で希釈した。この希釈サンプル50gに、6%硝酸を添加し、中和した。次いで、更に、6%硝酸を、添加後の硝酸の濃度が0.2mol/kgとなるまで添加した。次いで、純水を添加して、シリカ濃度が10.0重量%となるように調整した。純水の添加後、1時間放置した後、遠心分離器で3500rpm60分処理して、シリカを沈降させ、上澄み液を採取した。採取した上澄み液のCr、Cu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率をICP質量分析装置により分析し、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量を測定した。
(製造例1〜2、比較製造例1〜2)
以下の製造例1〜2に従い、高純度ヒュームドシリカを製造した。
以下の製造例1〜2に従い、高純度ヒュームドシリカを製造した。
(製造例1)
ヒュームドシリカとして比表面積170m2/gで一次粒子の平均径15nm、Al2O3を0.7wt%含有するヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水800gに、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(以下、DTPA−5Naと記載する。)を4mmol添加し(シリカ1kgに対して、27mmolとなる)、混合溶解した。次いで、ヒュームドシリカ150gを加えて混合し、1時間放置した後、20%水酸化カリウム水溶液14gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。次いで、分散液に、予め水酸化ナトリウムによって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ社製)10mlを添加して、1時間攪拌を続けた後、目開き149μの篩を通過させてイオン交換樹脂を取り除いた。次いで、純水を加えて全量を1000gとし分散液Aを得た。この分散液AのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが130ppb、Cuが8ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが18ppb、Feが400ppb、Znが15ppbであった。
ヒュームドシリカとして比表面積170m2/gで一次粒子の平均径15nm、Al2O3を0.7wt%含有するヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水800gに、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(以下、DTPA−5Naと記載する。)を4mmol添加し(シリカ1kgに対して、27mmolとなる)、混合溶解した。次いで、ヒュームドシリカ150gを加えて混合し、1時間放置した後、20%水酸化カリウム水溶液14gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。次いで、分散液に、予め水酸化ナトリウムによって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ社製)10mlを添加して、1時間攪拌を続けた後、目開き149μの篩を通過させてイオン交換樹脂を取り除いた。次いで、純水を加えて全量を1000gとし分散液Aを得た。この分散液AのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが130ppb、Cuが8ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが18ppb、Feが400ppb、Znが15ppbであった。
(比較製造例1)
製造例1と同じヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水800gに、ヒュームドシリカ150gを加えて混合し、次いで20%水酸化カリウム水溶液20gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。分散機より取り出し、純水を加えて全量を1000gとし分散液Bを得た。この分散液BのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが160ppb、Cuが15ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが60ppb、Feが600ppb、Znが20ppbであった。
製造例1と同じヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水800gに、ヒュームドシリカ150gを加えて混合し、次いで20%水酸化カリウム水溶液20gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。分散機より取り出し、純水を加えて全量を1000gとし分散液Bを得た。この分散液BのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが160ppb、Cuが15ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが60ppb、Feが600ppb、Znが20ppbであった。
(製造例2)
ヒュームドシリカとして比表面積50m2/gで一次粒子の平均径40nm、Al2O3を0.05wt%含有するヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水600gに、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(以下、DTPA−5Naと記載する。)を4mmol添加し(シリカ1kgに対して、27mmolとなる)、混合溶解した。次いで、ヒュームドシリカ300gを加えて混合し、1時間放置した後、20%水酸化カリウム水溶液14gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。次いで、分散液に、予め水酸化ナトリウムによって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ社製)10mlを添加して、1時間攪拌を続けた後、目開き149μの篩を通過させてイオン交換樹脂を取り除いた。次いで、純水を加えて全量を1000gとし分散液Cを得た。この分散液CのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが18ppb、Cuが5ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが13ppb、Feが1800ppb、Znが18ppbであった。
ヒュームドシリカとして比表面積50m2/gで一次粒子の平均径40nm、Al2O3を0.05wt%含有するヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水600gに、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(以下、DTPA−5Naと記載する。)を4mmol添加し(シリカ1kgに対して、27mmolとなる)、混合溶解した。次いで、ヒュームドシリカ300gを加えて混合し、1時間放置した後、20%水酸化カリウム水溶液14gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。次いで、分散液に、予め水酸化ナトリウムによって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ社製)10mlを添加して、1時間攪拌を続けた後、目開き149μの篩を通過させてイオン交換樹脂を取り除いた。次いで、純水を加えて全量を1000gとし分散液Cを得た。この分散液CのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが18ppb、Cuが5ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが13ppb、Feが1800ppb、Znが18ppbであった。
(比較製造例2)
製造例2と同じヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水600gに、ヒュームドシリカ300gを加えて混合し、次いで20%水酸化カリウム水溶液40gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。分散機より取り出し、純水を加えて全量を1000gとし分散液Dを得た。この分散液DのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが20ppb、Cuが25ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが40ppb、Feが2500ppb、Znが90ppbであった。
製造例2と同じヒュームドシリカを使用した。
脱イオン水600gに、ヒュームドシリカ300gを加えて混合し、次いで20%水酸化カリウム水溶液40gを添加混合し、全量を循環式ビーズミルを用いて16時間分散処理を行った。分散機より取り出し、純水を加えて全量を1000gとし分散液Dを得た。この分散液DのpHは10.5であった。上記の方法による金属性不純物含有量測定の結果は、Crが20ppb、Cuが25ppb、Mnが10ppb以下で不検出、Niが40ppb、Feが2500ppb、Znが90ppbであった。
(実施例1〜2、比較例1〜2)
(研磨用組成物の調製方法)
製造例1〜2及び比較製造例1〜2の方法で製造した4種類のヒュームドシリカ水分散液に、純水を加えてシリカ濃度を10%とした。次いで、市販の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)20%、及び炭酸水素テトラメチルアンモニウム(TMAHを炭酸ガスでpH8.4に中和して作成)を、シリカ1kgに対してそれぞれ0.10及び0.11molとなる量で攪拌下に添加し、緩衝溶液組成の研磨用組成物原液を4点調製した。この4点の原液はいずれもpH10.3であり、シリカ濃度は10%である。
上記の4点の研磨用組成物原液をそれぞれ1000mlはかり採り、それぞれにシリコーン消泡剤30mgと高分子界面活性剤30mgを加えて攪拌混合し、表1に示した研磨用組成物をabcdの4点作成した。
得られた研磨用組成物のシリカ濃度10%当たりの不純物濃度を表1に示した。
(研磨用組成物の調製方法)
製造例1〜2及び比較製造例1〜2の方法で製造した4種類のヒュームドシリカ水分散液に、純水を加えてシリカ濃度を10%とした。次いで、市販の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)20%、及び炭酸水素テトラメチルアンモニウム(TMAHを炭酸ガスでpH8.4に中和して作成)を、シリカ1kgに対してそれぞれ0.10及び0.11molとなる量で攪拌下に添加し、緩衝溶液組成の研磨用組成物原液を4点調製した。この4点の原液はいずれもpH10.3であり、シリカ濃度は10%である。
上記の4点の研磨用組成物原液をそれぞれ1000mlはかり採り、それぞれにシリコーン消泡剤30mgと高分子界面活性剤30mgを加えて攪拌混合し、表1に示した研磨用組成物をabcdの4点作成した。
得られた研磨用組成物のシリカ濃度10%当たりの不純物濃度を表1に示した。
(研磨試験)
効果を判り易くするため研磨時間を通常より長くした。
研磨装置:スピードファム株式会社製、SH−24型片面研磨装置
定盤回転数:50RPM 、プレッシャープレート回転数:40RPM、
研磨布:IC−1000/SUBA400(ロデールニッタ社製)、
面圧力:400g/cm2
研磨組成物流量:200ml/分、 研磨時間:5分
被加工物:熱酸化膜付き4インチシリコンウエハ
・評価方法 上記4点の研磨用組成物を使用した時の汚染状況を確認した。汚染状況としては研磨後のウエハ表面に付着した金属不純物を確認した。これはVPD-AAS(Vapor Phase Decomposition and Atomic Absorption Spectroscopy)により評価した。VPD-AASはウエハ表面の自然酸化膜をHF蒸気で気相分解し、その時同時に分解された不純物をHClやHF等の薬液で回収し原子吸光光度計で定量分析する手法である。
研磨速度は研磨前後のウエハ重量変化を測定し、膜厚変化に換算した。
効果を判り易くするため研磨時間を通常より長くした。
研磨装置:スピードファム株式会社製、SH−24型片面研磨装置
定盤回転数:50RPM 、プレッシャープレート回転数:40RPM、
研磨布:IC−1000/SUBA400(ロデールニッタ社製)、
面圧力:400g/cm2
研磨組成物流量:200ml/分、 研磨時間:5分
被加工物:熱酸化膜付き4インチシリコンウエハ
・評価方法 上記4点の研磨用組成物を使用した時の汚染状況を確認した。汚染状況としては研磨後のウエハ表面に付着した金属不純物を確認した。これはVPD-AAS(Vapor Phase Decomposition and Atomic Absorption Spectroscopy)により評価した。VPD-AASはウエハ表面の自然酸化膜をHF蒸気で気相分解し、その時同時に分解された不純物をHClやHF等の薬液で回収し原子吸光光度計で定量分析する手法である。
研磨速度は研磨前後のウエハ重量変化を測定し、膜厚変化に換算した。
・結果
研磨用組成物aとbを用いたときの研磨速度は130nm/minで、研磨用組成物cとdを用いたときの研磨速度は150nm/minであった。ウエハの平坦度はいずれも良好であり、研磨傷等の発生もなかった。 汚染状況の結果を表2及び図1に記載した。実施例1〜2の研磨用組成物は、比較例1〜2の研磨用組成物を使用した場合に比較して、ウエハ表面の汚染が明らかに低いことが判った。
研磨用組成物aとbを用いたときの研磨速度は130nm/minで、研磨用組成物cとdを用いたときの研磨速度は150nm/minであった。ウエハの平坦度はいずれも良好であり、研磨傷等の発生もなかった。 汚染状況の結果を表2及び図1に記載した。実施例1〜2の研磨用組成物は、比較例1〜2の研磨用組成物を使用した場合に比較して、ウエハ表面の汚染が明らかに低いことが判った。
Claims (9)
- 水及び、キレート化剤によって精製されたヒュームドシリカを含有する研磨用組成物であって、シリカ濃度10重量%でのヒュームドシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下であることを特徴とする、研磨用組成物。
- ヒュームドシリカの窒素吸着BET法比表面積が40〜500m2/gであり、かつヒュームドシリカ水分散液のシリカ濃度が1〜60重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の研磨用組成物。
- さらにアルカリ性化合物を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
- アルカリ性化合物が、pH9.0〜11.0の範囲でpH緩衝作用を呈する緩衝溶液であることを特徴とする、請求項3に記載の研磨用組成物。
- 緩衝溶液が強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、四級アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、及びホウ酸イオンの少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の研磨用組成物。
- 窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有するヒュームドシリカ水分散液を、陰イオン交換体に接触させて得られた高純度ヒュームドシリカ水分散液を使用する、請求項1〜5に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 前記窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤が、イミノ二酢酸骨格を有する化合物又は水溶性の有機リン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 前記窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジピコリン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸若しくはヒドロキシエタンジホスホン酸又はこれらの誘導体若しくはこれらの塩であることを特徴とする、請求項6または7に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 請求項1〜5に記載の研磨用組成物を用いてシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体デバイスウエハ、磁気ディスク基板、水晶基板等の電子材料の表面または外周部を研磨する、電子材料の研磨方法。
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- 2005-01-20 JP JP2005012240A patent/JP2006202932A/ja active Pending
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