JP2006198993A - 熱可塑性樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 接着性、耐薬品性、耐熱性、電気特性、積層加工性が良好であり、電子回路基板、プリント配線基板、機械用部材、自動車部品等に好適に使用できる熱可塑性樹脂積層体を提供する。
【解決手段】 ポリアリールケトン系樹脂(A)100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第一層と、ポリアリールケトン系樹脂(A)に、ガラス転移温度が180〜350℃の熱可塑性接着性付与樹脂(D)を(A)/(D)=95〜5/5〜95の質量比で含む樹脂成分100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第二層とを、上記第一層に隣接して配して熱可塑性樹脂積層体とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着性、耐薬品性、耐熱性、電気特性、積層加工性が良好であり、電子回路基板、プリント配線基板、機械用部材、自動車部品等に好適に使用できる熱可塑性樹脂積層体に関する。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂やポリエーテルケトン樹脂などのポリアリールケトン系樹脂は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気特性等が優れているため、航空機部品、自動車部品、機械部品、電気・電子部品等の用途に使用されている。
一方、電子回路基板として多用されるエポキシ樹脂系基板、ガラスクロス強化エポキシ樹脂系基板は耐溶剤性等がポリアリールケトン系樹脂より劣り、ポリアリールケトン系樹脂からなる回路部品や回路基板等の部材と同じ環境で使用することに限界があった。このため、ポリアリールケトン系樹脂からなる部材との複合化が試みられてきたが接着剤が必要であった。しかしながら、長期の使用においては接着剤がエポキシ樹脂系基板表面の金属回路(例えば銅箔やアルミニウム箔)間のエレクトロマイグレーションによる短絡を誘発することがあり、接着剤を使用しない積層方法が求められていた。
近年、銅箔やアルミニウム箔との積層が必要な電子回路板基材に、融点が高く、耐熱性に優れたポリアリールケトン系樹脂と、金属との接着性が良好なポリエーテルイミド樹脂とを含む樹脂組成物が注目されてきた。
これらの樹脂組成物が銅箔と良好な接着性を示し、回路板基材に有用であることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、前記樹脂組成物を用いたプリント配線基板や金属体との熱可塑性樹脂積層体及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
しかしながら、ポリアリールケトン系樹脂とポリエーテルイミド樹脂とを含む樹脂組成物は、有機溶剤への耐性が充分でなく、耐アルカリ性などの耐薬品性にも限界があるため、ポリアリールケトン系樹脂の電子回路用部材としては必ずしも充分ではなく、その用途に限界があった。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の層とポリエーテルイミド樹脂の層から構成される耐熱性複合フィルムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、このものをエポキシ樹脂系回路基板とプレス成形法により積層加工する際、ポリエーテルイミド樹脂の層が溶融流出して端部にバリが生じ易く、積層後の寸法精度や外観に問題が生じることがあり、顕著な場合にはバリの除去が容易ではなく、手間がかかるという実用上の問題があった。
特開昭59−115353号公報 特開2002−212314公報 特許第3514667号公報 特開昭62−148260号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、接着性、積層加工性、電気特性、耐熱性、耐薬品性が良好で、特にエポキシ樹脂系回路基板材との接着性に優れ、回路基板材との積層体とした場合に、被着体の誘電率を高くすることが少なく、またプレス積層加工時のバリを少なくできるため、電子機器の回路等に使用されるプリント基板の表面保護層や、電子回路形成基材、さらには機械用部材、自動車用部品等として好適に使用できる熱可塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリアリールケトン系樹脂(A)と必要に応じてフッ素樹脂(B)及び充填材(C)をそれぞれ特定の割合で含む第一層と、ポリアリールケトン系樹脂(A)と、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性接着性付与樹脂(D)と、必要に応じて、フッ素樹脂(B)及び充填材(C)をそれぞれ特定の割合で含む第二層とを隣接して配してなる熱可塑性樹脂積層体が上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の熱可塑性樹脂積層体を提供するものである。
(1)ポリアリールケトン系樹脂(A)100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第一層と、ポリアリールケトン系樹脂(A)に、ガラス転移温度が180〜350℃の熱可塑性接着性付与樹脂(D)を(A)/(D)=95/5〜5/95の質量比で含む樹脂成分100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第二層とを、上記第一層に隣接して配してなる熱可塑性樹脂積層体。
(2)熱可塑性接着性付与樹脂(D)が、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂から選ばれる少なくとも1種である前記(1)に記載の熱可塑性樹脂積層体。
(3)第一層の厚さと第二層の厚さの比が、第一層/第二層=99/1〜1/99である前記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂積層体。
(4)(A)成分が下記構造式(1)で表される繰り返し単位を有する結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主成分とするものであり、(D)成分が下記構造式(2)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂又は下記構造式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂を主成分とするものであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
Figure 2006198993
(5)(B)成分のフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の中から選ばれる少なくとも一種である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
(6)(C)成分の充填材が、板状のものである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
(7)(C)成分の充填材が、マイカ、ガラスフレーク、及び二酸化珪素粉末の中から選ばれる少なくとも一種である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
本発明によれば、接着性、積層加工性、電気特性、耐熱性、耐薬品性が良好で、特にエポキシ樹脂系回路基板材との接着性に優れ、回路基板材との積層体とした場合に、被着体の誘電率を高くすることが少なく、また、プレス積層加工時のバリを少なくできるため、電子機器の回路等に使用されるプリント基板の表面保護層や、電子回路形成基材として好適に使用でき、さらには機械用部材、自動車用部品等として好適に使用できる熱可塑性樹脂積層体を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、異なる組成の熱可塑性樹脂よりなる、第一層及び第二層を隣接して配してなる熱可塑性樹脂積層体である。ここで、第一層は主に耐溶剤性と耐熱性を発現する層で、第二層は主に被着体との接着性と耐熱性を発現する層である。
本発明を構成する第一層は、(A)成分のポリアリールケトン系樹脂が必須成分であり、必要によりフッ素樹脂(B)、及び/又は充填材(C)を含むものである。
第一層に使用する(A)成分のポリアリールケトン系樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合及びケトン結合を含む熱可塑性樹脂であり、その代表例としては、ポリエーテルケトン(ガラス転移温度157℃、結晶融解ピーク温度373℃)、ポリエーテルエーテルケトン(ガラス転移温度143℃、結晶融解ピーク温度334℃)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(ガラス転移温度153℃、結晶融解ピーク温度370℃)等があり、また、本発明の趣旨を超えない範囲でビフェニル構造、スルホニル基など、他の繰り返し単位を含むものであってもかまわない。また、本発明の熱可塑性樹脂積層体の耐熱性例えば、ハンダ耐熱性やリフロー耐熱性を向上させるために、好ましくは、結晶性を示し、結晶融解ピーク温度が260℃以上のものであり、より好ましくは結晶融解ピーク温度が300〜380℃のものである。本発明においては、下記構造式(1)
Figure 2006198993
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンを主成分とする(A)成分が好適に使用される。ここで主成分とはその含有量が50質量%を超える成分をいう。該繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンとしては、VICTREX社製の商品名「PEEK151G」、「PEEK381G」、「PEEK450G」、(ガラス転移温度143℃、結晶融解ピーク温度334℃)などとして市販されている。なお、ポリアリールケトン系樹脂は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることが出来る。
必要により、第一層に使用する(B)成分のフッ素樹脂は、分子中にフッ素原子を含有する構造単位を有する合成高分子であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。このようなものとして、例えば、(a)分子内に、−(CF2CF2)−で表わされる繰り返し構造単位を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、(b)分子内に、−(CF2CF2)−および−〔CF(CF3)CF2〕−で表わされる繰り返し構造単位を有し、好ましくは、−(CF2CF2)−で表される繰り返し単位99〜80質量%と−〔CF(CF3)CF2〕−で表される繰り返し単位1〜20質量%とからなる、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、(c)分子内に、−(CF2CF2)−で表される繰り返し単位および−〔CF(OCm2m+1)CF2〕−(式中、mは1〜16の範囲、好ましくは1〜10の範囲の正の整数)で表される繰り返し構造単位を有し、好ましくは、−(CF2CF2)−で表される繰り返し単位99〜92質量%と−〔CF(OCm2m+1)CF2〕−で表される繰り返し単位1〜8質量%とからなる、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、(d)分子内に、−(CF2CF2)−および−(CH2CH2)−で表される繰り返し構造単位を有し、好ましくは、−(CF2CF2)−で表される繰り返し単位90〜74質量%と、−(CH2CH2)−で表される繰り返し単位10〜26質量%とからなる、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、(e)分子内に、−(CFClCF2)−および−(CH2CH2)−で表される繰り返し構造単位を有するクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、(f)分子内に、−(CF2CH2)−で表わされる繰り返し構造単位を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられ、さらに、これらフッ素樹脂は、この樹脂の本質的な性質を損なわない範囲で他のモノマーに基づく繰り返し構造単位を含んでいるものでもかまわない。上記他のモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(ただし、PFA、FEP及びETFEを除く。)、ヘキサフルオロプロピレン(ただし、FEPを除く。)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(ただし、PFAを除く。)、パーフルオロアルキルエチレン(アルキル基の炭素数1〜16)、パーフルオロアルキルアリルエーテル(アルキル基の炭素数1〜16)、及び、式:CF2=CF[OCF2CF(CF3)]nOCF2(CF2pY(式中、YはCl、Br、ないしI、nは0〜5の整数、pは0〜2の整数を表す。)で示される化合物が挙げられる。他のモノマーに基づく繰り返し構造単位の量は、重合体の50質量%以下、好ましくは、0.01〜45質量%である。
これらフッ素樹脂のうちで、好ましくは、(a)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(b)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、(c)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)より選ばれるものであり、更に好ましくは、(a)PTFEである。
上記フッ素樹脂の分子量は特に限定されないが、特に溶融するPTFEの場合には、溶融粘度が380℃において100万Pa・s以下のものが好ましい。これらのフッ素樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記フッ素樹脂は、成形用の粉末であっても固体潤滑材用の微粉末であってもよい。ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社製のテフロン7JやTLP−10、旭硝子(株)製のフルオンG163、ダイキン工業(株)製のポリフロンM15やルブロンL5等が挙げられる。
第一層において必要に応じて使用する(B)成分の量は、上述した(A)成分のポリアリールケトン系樹脂100質量部に対して、0〜100質量部の範囲である。フッ素樹脂の添加により誘電率を低減できるので、回路基板に積層した場合には、回路基板の伝送特性に対する悪影響を少なくすることができる。また、機械部品、自動車部品等の摺動部材として用いる場合には摺動特性の改良が可能である。
一方、フッ素樹脂(B)が、(A)成分のポリアリールケトン系樹脂100質量部に対して、100質量部以下であると、第二層との層間接着が良好となる。このことから好適な(B)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して10〜70質量部であり、さらに好ましくは、15〜50質量部の範囲である。
第一層中の(B)成分の形態は、粒子状、無定形状、球状、層状、繊維状等、相互連続網目構造等、いずれの形態でも良いが、クロロホルム等塩素系有機溶剤に対する耐性を向上させるためには、(A)成分が層表面に存在する形態、又は(A)成分が連続層を形成し、(B)成分が分散層を形成する形態が好ましい。また、(B)成分の、分散粒子径や繊維径は、熱可塑性樹脂積層体表面の凹凸に影響を及ぼすため、表面形態の制御の必要性に応じて適宜選択される。
本発明の熱可塑性樹脂積層体の第一層は、必要に応じて充填材(C)を含むものであってもよい。該充填材(C)の使用は、線膨張係数を低減し、熱可塑性樹脂積層体のソリや変形を低減する効果がある。かかる充填材としては、公知のものを使用することができ、例えば、クレー、ガラス、アルミナ、球状アルミナ、板状アルミナ、二酸化珪素粉末(シリカ、球状シリカ、天然又は合成の石英粉等)、窒化アルミニウム、窒化珪素、黒鉛などの充填材、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維、なかでも、好ましくは、無機の鱗片状粉体、たとえば、合成マイカ、天然マイカ(マスコバイト、フロゴパイト、セリサイト、スゾライト等)、焼成された天然や合成のマイカ、ベーマイト、タルク、イライト、カオリナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、スメクタイト、板状アルミナなどの無機鱗片状(板状)粉体が好ましい。また、熱可塑性樹脂積層体の誘電率を低くし、被着体との積層物の誘電率を被着体単体と比べて同等以下とするために、充填材(C)の比誘電率は10以下のものが好ましく、より好ましくは8以下である。この目的に対して好ましくは、二酸化珪素粉末、具体的には、石英粉(1MHzにおける比誘電率3.6〜3.8)や無定形や球状の合成シリカ(同比誘電率3〜4)、さらに、ガラスフレーク(同比誘電率4〜7)、合成マイカ(同比誘電率6.2)、天然マイカ(同比誘電率5〜9)、金雲母(比誘電率5〜6)、がより好ましい。これらの充填材は1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体の面方向の線膨張係数を低減し、熱可塑性樹脂積層体のソリや変形を低減する効果を得るために、充填材(C)の形状は、板状が好ましい。
充填材(C)の平均粒径は0.01〜200μm程度、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは、1〜10μmである。平均粒径が0.01μm以上であれば、樹脂成分との混合や溶融混練に伴うハンドリングがさほど困難ではなく、200μm以下であれば、熱可塑性樹脂積層体各層及び熱可塑性樹脂積層体全体の靭性を著しく損なうことがない。
また、充填材(C)の平均アスペクト比(粒径/厚み)は1〜30程度、好ましくは30以上のものが好適に用いられる。平均アスペクト比は、より高い方が、熱可塑性樹脂積層体の線膨張係数を低減する効果が大きい。
(C)成分の充填材は、表面処理剤により表面処理されたものを用いてもよい。表面処理剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、アクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有するシラン化合物などのシランカップリング剤、珪素原子に炭素数1〜30の範囲の直鎖、分岐または環状の炭化水素基が1又は2個結合したアルコキシシラン、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコネートカップリング剤、などが挙げられる。表面処理剤の使用量は、通常、充填材100質量部に対して0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜3質量部の範囲である。
表面処理の方法としては、既知の種々の方法が適用できる。例えば、表面処理剤を溶解した溶液中で充填材と表面処理剤を接触させた後溶媒を除去する湿式法、表面処理剤を溶解した溶液と充填材とを噴霧、撹拌等の方法により接触させて、充填材表面に表面処理剤をまぶした後、溶媒を除去する半湿式法、樹脂と充填材及び表面処理剤ないしは少量の溶媒に溶解させた表面処理剤を混合撹拌後するインテグラルブレンド法などが挙げられる。充填材剤表面に効率よく表面処理剤を付着させるという観点から、湿式法、半湿式法が好
ましい。
溶媒中の表面処理剤の濃度は0.1〜80質量%程度の濃度とすることができる。溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ヘキサン等の除去しやすいものが好ましい。この溶媒は、少量の水や加水分解を促進する少量の酸成分を含むものであってもよい。
上記表面処理方法により、充填材と、溶媒に希釈したまたは希釈しない表面処理剤とを接触混合した後、数時間から数日間空気中に放置し、空気中の水分と接触させて加水分解を起こさせるとともに、使用した溶媒を蒸発除去することが推奨される。
この蒸発除去の処理は、アルコキシシリル基の加水分解反応や生成したヒドロキシシリル基を充填材表面のヒドロキシル基と脱水縮合反応させ、かつ、発生したアルコールや使用した溶媒除去のため、常圧下ないし減圧下に、通常、80〜150℃程度、好ましくは100〜130℃に行なう。処理時間は通常4〜200時間であり、好ましくは24〜100時間である。
第一層において、必要に応じて使用する(C)成分の充填材の量は、上述した(A)成分のポリアリールケトン系樹脂100質量部に対して、0〜100質量部の範囲である。(C)成分が100質量部以下であると、第一層が著しく脆くなることがない。一方、(C)成分の添加により線膨張係数の低減効果による熱可塑性樹脂積層体の形状安定性が向上し、5質量部以上で明確な効果が得られる。このことから好適な(C)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して、5〜100質量部であり、より好ましくは10〜70質量部、さらに好ましくは15〜50質量部の範囲である。
第一層において、必要に応じて使用する(B)成分と(C)成分を併用する場合の合計質量は、上述した(A)成分のポリアリールケトン系樹脂100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは、0〜55質量部、より好ましくは0〜50質量部である。(B)成分と(C)成分の合計質量が100質量部以下であれば、溶融混練時のサージング等の不具合が起こりにくい。
本発明を構成する第二層は、ポリアリールケトン系樹脂(A)と熱可塑性接着性付与樹脂(D)を含む。
第二層に使用する(A)ポリアリールケトン系樹脂は、第一層に使用するものと同様の群より選ばれるものであり、好ましくはポリエーテルエーテルケトンである。第二層に使用するポリアリールケトン系樹脂は、第一層に使用されるポリアリールケトン系樹脂と同じものであっても異なるものであってもよい。
第二層に使用する(D)成分は、ガラス転移温度が180〜350℃の熱可塑性接着性付与樹脂である。(D)成分のガラス転移温度は、JIS K7122−1987規定の方法により測定されるものである。ガラス転移温度の範囲は180〜350℃、好ましくは200〜300℃、より好ましくは205〜270℃である。180℃以上であれば比着体との積層体の耐熱性を著しく低下させることがなく、350℃以下であれば、成形加工が比較的容易である。
(D)成分の熱可塑性接着性付与樹脂の具体例として、熱可塑性ポリイミド樹脂、芳香族ポリエーテルサルホン樹脂、及び芳香族ポリサルホン樹脂を挙げることができる。
熱可塑性ポリイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合及びイミド結合を含む熱可塑性樹脂であり、芳香族ポリサルホン(PSF、ガラス転移温度190℃)は構造単位に芳香核結合及びスルホニル結合を含む熱可塑性樹脂であり、芳香族ポリエーテルサルホン(PES、ガラス転移温度230℃)は、その構造単位に芳香核結合及びエーテル結合とスルホニル結合を含む熱可塑性樹脂であり、PESはジクロロジフェニルサルホンを主原料とした縮重合反応で得られ、いずれも耐熱性に優れる。これらの中で第一層との接着性がより良好な可塑性ポリイミド樹脂が好ましい。
熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例として、ポリエーテルイミド樹脂があげられるが、特に制限されるものでない。具体的には、下記構造式(2)
Figure 2006198993
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド[ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem 1000」(ガラス転移温度:216℃)、「Ultem 1010」(ガラス転移温度:216℃)]、下記構造式(3)
Figure 2006198993
で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド[「Ultem CRS5001」(ガラス転移温度Tg226℃)]、が挙げられ、そのほかの具体例として、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem XH6050」(ガラス転移温度:247℃)、三井化学株式会社製の商品名「オーラムPL500AM」(ガラス転移温度258℃)、などが挙げられる。
これらのうちで、好ましくは、結晶性を有さないものであり、さらに好ましくは、上記構造式(2)又は(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂である。該ポリエーテルイミド樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、上記構造式(2)を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として、また上記構造式(3)を有するポリエーテルイミド樹脂は、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。
また、本発明で使用するポリエーテルイミド樹脂には、本発明の趣旨を超えない範囲でアミド基、エステル基、スルホニル基など共重合可能な他の単量体単位を含むものであってもかまわない。なお、ポリエーテルイミド樹脂は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることが出来る。
本発明の第二層を構成する樹脂組成物において、(A)成分のポリアリールケトン系樹脂と(D)成分の熱可塑性接着性付与樹脂との混合質量比は(A)/(D)=95/5〜5/95の範囲であり、好ましくは、70/30〜15/85、より好ましくは50/50〜25/75である。
(A)成分と(D)成分の合計100質量%に対し、(A)成分が5質量%以上であると、(A)成分のポリアリールケトン系樹脂が持つ、優れた耐熱性や低い吸水特性を発揮させることができ、被着体とのプレス接着加工時のバリの発生が少ない。また、(D)成分が5質量%以上であると、第二層と被着体との接着性が良好である。
また、(A)成分として結晶性のポリアリールケトン系樹脂を使用する場合、(A)成分と(D)成分の合計100質量%に対し、(A)成分が15質量%以上であると、第二層を構成する樹脂成分としての結晶性自体が高く、また結晶化速度も速く、耐熱性が良好である。また、同様の場合、(D)成分が30質量%以上であると、結晶性のポリアリールケトン系樹脂の結晶化に伴う体積収縮(寸法変化)が大きくなりにくく、被着体との接着において信頼性が向上する。これらのことから、(A)成分として、結晶性のポリアリールケトン系樹脂を用いる場合には、(A)成分と(D)成分との混合質量比は(A)/(D)=70〜15/30〜85であり、より好ましくは45〜25/55〜75である。
第二層には、フッ素樹脂(B)を含むことができ、第一層と同様に比誘電率の低減に効果がある。(B)成分のフッ素樹脂としては、第一層に使用するものと同様の群より選ばれるものが挙げられ、使用可能である。第二層に使用するフッ素樹脂の種類は、第一層に使用されるフッ素樹脂と同じものであっても異なるものであってもよい。
第二層において使用する(B)成分の量は、(A)成分と(D)成分との合計量100質量部に対して0〜100質量部の範囲である。フッ素樹脂の添加により誘電率を低減できるので、回路基板に積層した場合に回路基板の伝送特性に悪影響が少ない。一方、フッ素樹脂(B)が100質量部以下であると、第一層との層間接着が良好である。このことから好適なフッ素樹脂(B)成分の添加量は、(A)成分と(D)成分との合計量100質量部に対して、10〜70質量部であり、さらに好ましくは15〜50質量部の範囲である。
第二層中の(B)成分の形態は、第一層における(B)成分の形態と同様に、粒子状、無定形状、球状、層状、繊維状等、相互連続網目構造等、いずれの形態でも良いが、被着体との接着を向上させるためには、(A)成分と(D)成分との混合物が層表面に存在する形態、又は(A)成分と(D)成分との混合物が連続層を形成し、(B)成分が分散層を形成する形態が好ましい。また、(B)成分の、分散粒子径や繊維径は、形態体表面の凹凸に影響を及ぼすため、表面形態の制御の必要に応じて適宜選択される。
第二層に必要に応じて使用される充填材(C)の種類は、上記第一層に使用されるもののなかから選ばれるものが挙げられる。第二層に使用する充填材の種類は、第一層に使用される充填材と同じものであっても異なるものであってもよい。また、第一層と第二層に使用される充填材の量は同じであっても異なっていてもよい。
該(C)成分の充填材の量は、上述した(A)成分と(D)成分との合計質量100質量部に対して0〜100質量部の範囲である。(C)成分が100質量部以下であると、第二層が著しく脆くなることがない。一方、(C)成分の添加により線膨張係数の低減効果による熱可塑性樹脂積層体の形状安定性が向上し、5質量部以上で明確な効果が得られる。このことから好適な(C)成分の添加量は、(A)成分100質量部対して5〜70質量部であり、さらに好ましくは10〜50質量部の範囲である。
第二層において、必要に応じて使用する(B)成分と(C)成分を併用する場合の合計質量は、上述した(A)成分と(D)成分の合計100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは、0〜55質量部、より好ましくは0〜50質量部である。(B)成分と(C)成分の合計質量が100質量部以下であれば、溶融混練時のサージング等の不具合が起こりにくい。
第一層を構成する樹脂組成物[(A)成分単独の場合も含む。]には、必要に応じて、(A)成分、(B)成分以外の樹脂や(C)成分の充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合しても良い。(C)成分の充填材を使用する場合も含めた各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。混合の組合せの例として、
(I)(A)成分と(B)成分よりなる場合に、(A)成分と(B)成分の2成分を同
時に混合・分散させる方法、
(II)(A)成分と(B)成分よりなる場合に、(A)成分又は(B)成分の一方を溶融し、残りの一方を固体状態、半溶融状態、又は溶融状態で加えて混合分散させる方法。
(III)(A)成分と(C)成分よりなる場合に、(A)成分と(C)成分を同時に混合・分散させる方法
(IV)(A)成分と(C)成分よりなる場合に、(A)成分を溶融ないしは半溶融状態として、次いで(C)成分を加えて混合分散させる方法。
(V)(A)成分と(B)成分と(C)成分よりなる場合に、(A)成分、(B)成分
と(C)成分の3成分を同時に混合・分散させる方法、
(VI)(A)成分と(B)成分と(C)成分よりなる場合に、(A)成分、又は(B)成分の少なくとも一方に(C)成分を混合分散させたのち、残りの他の成分と同時、ないしは順次、混合・分散させる方法[(A)成分と(B)成分の両方に(C)成分を混合分散させる場合、(A)成分中及び(B)成分中の(C)成分の濃度は同じであっても異なっていてもよい。]、
(VII)(A)成分と(B)成分と(C)成分よりなる場合に、(A)成分、又は(B)成分の少なくとも一方に(C)成分を混合分散させたのち、残りの他の成分と同時、乃至順次混合・分散させる方法、
(VIII)(A)成分と(B)成分と(C)成分よりなり、複数種の(A)成分及び/又は複数種の(B)成分を使用する場合、(A)成分と(B)成分の少なくとも1種に、高濃度に(C)成分を混合分散させた混合物と、配合すべき他の(A)成分や(B)成分と混合するか、あるいは上記混合物と、配合すべき他の(A)成分及び/又は(B)成分に低濃度に(C)成分を混合分散させた混合物を同時、乃至順次、混合・分散させる方法、
などが挙げられる。混合・分散は、上記下層における方法と同様の方法により行うことができる。
第二層を構成する樹脂組成物には、その性質を損なわない程度に、(A)成分、(B)成分、(D)成分以外の樹脂や充填材(C)以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合しても良い。また、(B)成分や充填材(C)を使用する場合も含めた各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。混合の組合せの例として、
(IX)(A)成分と(D)成分よりなる場合、(A)成分と(D)成分の2成分を同時に混合・分散させる方法、
(X)(A)成分と(D)成分よりなり、(A)成分及び/又は(D)成分の少なくとも一種が複数種である場合、少なくとも一種の(A)成分及び/又は(D)成分を混合・分散させ、この混合物に残りの成分を混合・分散させる方法、
(XI)(A)成分と(D)成分の組合せと(B)成分及び/又は(C)成分よりなる場合、これらの成分を同時に混合・分散させる方法、
(XII)(A)成分と(D)成分の組合せと(B)成分及び/又は(C)成分よりなる場合、(A)成分、及び(D)成分の少なくとも一種に(B)成分及び/又は(C)成分の少なくとも一種を混合・分散させ、次いで混合・分散させた成分と残りの成分を同時乃至、順次、混合・分散させる方法、
(XIII)(A)成分と(D)成分の組合せと(B)成分及び/又は(C)成分よりなる場合、(A)成分、(B)成分及び(D)成分の少なくとも一種に(C)成分をあらかじめ混合分散させ、次いで混合・分散させた成分と残りの成分を同時乃至、順次、混合・分散させる方法、
(XIV)(A)成分と(D)成分の組合せと(B)成分及び/又は(C)成分よりなり、(A)成分及び(D)成分の少なくとも一方が複数種の組合せである場合、(A)成分及び(D)成分の少なくとも一種に(B)成分及び/又は(C)成分を混合分散させた混合物を調製し、これらの混合物と残りの成分を、同時乃至順次、混合・分散させる方法[この場合、(A)成分に対する(B)成分及び/又は(C)成分の比率と(D)成分に対する(B)成分及び/又は(C)成分の比率は同じでも異なっていてもよい。]、などが挙げられる。
第一層と第二層を構成する樹脂組成物の各成分の混合、分散の方法としては、各樹脂成分や充填材(C)や所望により用いられる各種添加剤をそれぞれ別々に単軸溶融混練機や二軸溶融混練機、に供給して混合することもでき、サイドフィードなど複数の供給部を有する溶融混練機を用いて各成分を逐次的に溶融混練機に供給することもできる。また、あらかじめヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、タンブラーミキサーなどの混合機を利用してそれらを予備混合した後、溶融混練機に供給して、たとえば、300℃〜430℃の温度で溶融混練する事もできる。また、目的により、水性媒体や有機溶媒に分散せしめて湿式法により混合することも可能である。さらに、フッ素樹脂(B)、充填材(C)や各種添加剤を、(A)成分及び/又は(D)成分をベース樹脂として高濃度(代表的な含有量としては5〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法、などが挙げられる。前記混合方法の中では、マスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。
混合された樹脂組成物は、成分の溶融混合分散に続いて直接フィルム状に成形しても良く、また、一旦ストランド状又はシート状に押し出され、カッティングされてペレット、顆粒、粉体等の成形加工に適した形態で得てもよい。
第一層の厚さは、特に制限されるものではないが、通常2〜1000μm程度であり、成形が比較的容易であるという観点から10〜100μmが好ましい。2μm以上で表面の強度がより高くなり、1000μm以下で成形時の冷却にトラブルが生じにくい。
第二層の厚さは、特に制限されるものではないが、通常2〜1000μm程度であり、成形が比較的容易であるという観点から5〜100μmが好ましい。2μm以上で被着体との接着信頼性が向上し、1000μm以下で成形時の冷却にトラブルが生じにくい。
第一層と第二層の厚さの比率は、通常、第一層の厚さ/第二層の厚さの比が、1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5の範囲である。また、第一層と第二層を合わせて共押出により積層フィルムとして成形し、冷却前又は冷却後に被着体と積層する場合に、上記厚さ比率の範囲であれば、各層が安定して成形できる。また、本発明の熱可塑性樹脂積層体の厚さが比較的薄い範囲、例えば120μm以下の厚さである場合、限られた全体の厚さの中で、第一層の耐溶剤性と第二層の接着性を両立させるために、第一層の厚さ比率が大きければ、傷付きによる耐溶剤性の低下を避けやすく、第二層の厚さ比率が大きければ被着体との接着強度が高くなる。この観点から、より好ましくは、第一層の厚さ/第二層の厚さの比が、90/10〜30/70である。
本発明の熱可塑性樹脂積層体において、本発明の趣旨を超えない範囲で、第一層と第二層の間に、第一層や第二層と同じ成分を含む層や、他の成分よりなる層を有するものであってもよい。
熱可塑性樹脂積層体の形状は、フィルム、シート等の平面状、波板状、管状などがあげられ、積層される物体の形状に適するように適宜選択される。電子機器に使用されるプリント配線基板などの場合には平面状のフィルム、シート等の形状が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂積層体を構成する第一層と第二層の成形と積層の方法としては、通常に用いられる方法、たとえば、多層射出成形法、多層押出成形法、圧縮成形法等の公知の方法が挙げられる。具体例としては、第一層用と第二層用に複数の押出機からフィードブロック方式又はマルチマニホールド式のダイスに連結するいわゆる共押出をする方法、押出機に接続したダイ、たとえばTダイやIダイより第一層又は第二層のいずれか一方を押し出してフィルムとしたのち、引き続いて、又は一旦フィルムとして巻き出したのち、その表面上にもう一方の層を別の押出機に接続したダイより押し出して積層し、ロールやプレス板を用いて加熱圧着する方法、第一層と第二層を別々に押し出してフィルムとしたのちその少なくとも一方を加熱し、双方を圧着して積層する方法があげられる。
熱可塑性樹脂積層体の溶融成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ねガラス転移温度ないしは融点以上、430℃以下である。さらに、第一層側に接続する押出機の温度は、好ましくは、350〜410℃、さらに好ましくは370℃〜395℃であり、第二層側に接続する押出機の温度は340〜410℃、さらに好ましくは、370〜395℃である。ダイスの温度は350〜410℃、好ましくは、370〜395℃である。
溶融成形された上記熱可塑性樹脂積層体は冷却体、例えば回転するキャスティングロール(冷却ドラム)やシームレスベルトなどに接触させて急冷するのが好ましい。冷却体の表面温度は第一層や第二層を構成する(A)成分や(D)成分などの樹脂成分のガラス転移温度又は融点より低い温度より選択され、25〜140℃、好ましくは、80〜135℃である。25℃以上で、冷却体表面に空気中の水分が凍って付着することを避けることができ、140℃以下で冷却体との接触により形成された形状が変化することを防ぐことができる。熱可塑性樹脂積層体はさらに必要に応じて、冷却体と巻き取り機の間にさらに他のロールや冷却エアーにより冷却され、巻き取り機に送られる。
冷却体表面温度の測定は冷却体上面に熱電対や温度指示体を接触させる接触法、赤外線温度計など光や電磁波を用いる非接触法などで測定することができる。
ロールの表面温度の好適範囲を実現するようにロールの温度制御機構や、オイル、水などの循環冷媒等熱媒体の温度が選択される。また、熱可塑性樹脂積層体が円筒状(チューブ)である場合には、複数の押出機を接続した多層の丸ダイ等から押し出した円筒状の熱可塑性樹脂積層体を冷却キャスティングロールや、水、圧縮空気等により急冷し固化する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体と被着体との積層においては、被着体に第二層が接するように積層することが推奨される。熱融着性に優れた第二層が被着体との接着性を担い、耐溶剤性に優れた第一層が表面を覆うことにより、被着体表面の耐溶剤性を向上させる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体の被着体としては、ガラスクロス強化エポキシ樹脂板、ガラス繊維強化エポキシ樹脂板、ポリイミドフィルム、ビスマレイミド/トリアジン樹脂板、アリル化ポリフェニレンエーテル樹脂板などの熱硬化性樹脂板やフィルム、熱可塑性ポリイミドや全芳香族ポリエステル系液晶ポリマーなどの熱可塑性の樹脂板やフィルム、セラミック基板、さらには、これらの基板やフィルムに銅箔やアルミ箔がラミネートされた積層体、さらにアディティブ法やサブトラクト法により銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属回路が形成されたプリント基板、銅箔、銅板、アルミ箔、アルミ板、ステンレス板などの金属体、等が挙げられる。被着体との積層方法は特に限定されないが、例として、ガラスクロス強化エポキシ樹脂板などの被着体とあらかじめフィルム状に成形した上記熱可塑性樹脂積層体を重ね合わせて圧力をかけながら加熱して積層するプレス成形法、被着体を加熱ロール接触や赤外線、熱風などにより加熱し、本発明の熱可塑性樹脂積層体を重ね合わせたのちロールやプレスにより圧力をかけて密着させる方法、スタンピング成形法などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂積層体と被着体をプレスにより圧力をかけて密着させて積層する場合、積層温度は通常200〜380℃の温度範囲で被着体の特性に合わせて適宜選択されるが、ポリアリールエーテルケトン樹脂の溶融温度より低い温度で良好な接着性を得ることができ、好ましくは、220〜300℃、さらに好ましくは、230〜260℃、である。また、熱可塑性樹脂積層体と被着体との接着向上のために被着体表面又は熱可塑性樹脂積層体の下層表面に各種接着剤やシランカップリング剤を塗布、さらに必要に応じて加熱後にあらかじめ調製した熱可塑性樹脂積層体をラミネートする方法も挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、第一層を外側とし、第二層を被着体に接するように被着体と積層する事により、第一層の耐熱性、耐溶剤性を発現し、第二層の接着性を発現することができる。また、被着体の片面又は両面に積層することにより、被着体の積層された面に耐溶剤性、耐アルカリ性を付与することができる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、耐有機溶剤性と耐アルカリ薬品性が良好で、比誘電率も通常のエポキシ樹脂系プリント配線基板など種々の絶縁材と同等か低い値を示し、エポキシ樹脂系プリント配線基板など種々の絶縁材や銅、アルミニウム、鉄などの金属系被着体と約200℃〜380℃の範囲の温度で熱圧着することができ、また接着性が良好なことから、その用途としては、電気工業や電子工業におけるプリント配線基板の表面保護層、多層プリント配線基板の表面保護層、マルチチップパッケージの表面カバー層等が挙げられる。また、耐熱性が良好であることから、宇宙、航空機器の回路基板の保護層、化学プラントの内張、燃料電池部品、エネルギー発生機器部品、熱遮蔽板、各種機器の筐体等の表面保護層、さらには機械用部材、自動車部品等としての用途が挙げられる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向とよぶ。
(1)各層厚さ
各実施例と比較例の熱可塑性樹脂積層体及び被着体の熱可塑性樹脂積層体の各層の厚さは、断面を顕微鏡により拡大して観察し、各層の厚さを測定した。
(2)熱可塑性樹脂積層体の第一層と第二層の接着状態
作製した熱可塑性樹脂積層体の一辺に直角にカッターナイフで長さ1cmの切り込みを入れて試験片とする。平らな机に正対して評価者が椅子に座り、この机の上の評価者正面前に前記試験片を、第一層が上面になり、切り込みが評価者側と反対の側になるように向けて置き、切り込みの左右の端をそれぞれ左右の親指と人差し指とつまみ、右手の指で挟んだ側を、切れ込みを起点として左回りの方向に約135〜150度の角度の方向に持ち上げて円を描くように回しながら引張って第二層より第一層を剥がそうとした。接着及び剥離の状態を目視にて観察し以下の5ランクに分けて評価した。
ランク1:第一層は第二層より剥離せず、熱可塑性樹脂積層体が破断する(接着が非常に良好)
ランク2:第一層が第二層より剥がれるが、一部分にとどまり、熱可塑性樹脂積層体が破断する(接着が良好)
ランク3:引張った部分より第一層が第二層より剥離し、全体に広げて剥がすことができる (接着が弱い)
ランク4:ノッチを入れた部分から剥離が発生し、引っ張らずともそのまま放置すると剥離が徐々に全体に広がる (接着不良)
ランク5:全く接着していない(接着不可)
(3)比誘電率測定
JIS C2151−1999の方法に従い、比誘電率を測定した(円平板電極法)。
(4)耐溶剤性
実施例の熱可塑性樹脂積層体と比較例の試料をそれぞれ直径52cmの円形に切り取り試験片とした。円筒状の蓋付きステンレス容器(外径53mm、長さ63mm、内径46mm、深さ59mm、肉厚約2mm、開口部にパッキング設置、開口部周囲側面に蓋を閉めるための幅約13mmのネジ付き、蓋は内部側面にネジを設け、外径60mm、長さ16mm、内径53mm、深さ14mm)に、クロロホルム60mlを入れ、その上に、上記試験片又は比較例試験片を置き(熱可塑性樹脂積層体の場合、第一層側の面がステンレス容器の開口部に接するように下側にする。熱可塑性樹脂積層体とガラスクロス強化エポキシ板との積層物の場合は本発明の熱可塑性樹脂積層体側がステンレス容器の開口部側に接するように下側とする。)、蓋を締め付けて固定し、容器を上下ひっくり返して、熱可塑性樹脂積層体の第一層側をクロロホルムに接触させ、そのまま室温にて4時間放置したのち、試験片を取り出してクロロホルムを軽く拭き取り、20分間室内に放置して乾燥させた。表面外観の変化を目視にて観察し、クロロホルムに接触させていない試料と比較して、以下の3ランクに分けて評価した。
ランク1:表面外観変化が無い(良好)
ランク2:表面外観が少なくとも部分的に変化する(不良)
ランク3:少なくとも部分的に溶解する(著しく不良)
(5)ガラスクロス強化エポキシ樹脂板との積層
下より上に向かって下記の順番に重ね合わせたものを、高性能高温真空プレス成形機(北川精機(株)製、成型プレス、型式:VH1−1747)内にセットし、設定最高温度240℃、設定最高温度保持時間30分、プレス成形機の設定圧力10.1MPa(接着部の圧力は約4.9MPa)にてプレス成形し、積層物を作製した(以下、エポキシ積層物と略記することがある。)。
(i)一辺が約30cmの正方形で、厚さ1.6mmのクッション紙(三菱製紙株式会社製、商品名:RAボード RAB N 0016)、(j)一辺が30cmの正方形で、厚さ1.5mmのステンレス鋼板、(k)縦30cm、横25.5cmの長方形で、厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名:ユーピレックス50S、厚さ50μm)、(l)一辺が20cmの正方形で、厚さ1mmのガラスクロス強化エポキシ樹脂板(JIS C6484−1997による表示法でGE−4F、ANSI/NEMA規格による表示法でFR−4であり、18μmの電解銅箔を貼り合わせ、Cステージまで硬化した銅貼り板よりエッチングにより銅箔を除去して得たもの、略号を「FR−4」とする。)、(m)一辺が20cmの正方形の本発明の熱可塑性樹脂積層体(第一層を上側、第二層を下側)ないし比較例のフィルムや積層フィルム(第一層を上側、第二層を下側)、(n)上記(k)と同様のポリイミドフィルム、(o)上記(j)と同様のステンレス板、(p)上記(i)と同様のクッション紙。
上記(i)〜(p)は、重ね合わせる前に少量のエタノールをしみこませたワイピング紙で表面の汚れや異物を取り除き、さらに、上記(k)〜(o)は、重ね合わせる前に、目視検査により表裏の異物を確認し、少量のエタノールをしみこませたワイピングクロス(帝人(株)製、商品名:ミクロスター−CP)を用いてその異物をふき取った後、再度目視検査を行い、異物が除去できたことを確認した後に重ね合わせた。
(6)熱可塑性樹脂積層体とガラスクロス強化エポキシ樹脂板との積層物の接着状態
作製した積層物の表面を指で擦って接着状態を以下の3ランクに分けて評価した。
ランク1:剥がれず、変化無し(接着良)
ランク2:強く擦ると剥がれる(接着可)
ランク3:擦らずとも剥がれ、全く接着していない(接着不良)
(7)はんだ耐熱性と耐熱接着性
各実施例熱可塑性樹脂積層体と比較例の試料をガラスクロス強化エポキシ樹脂板とを用いて積層して得た積層物を、一辺が5cmの正方形に切断して試験片とした。JIS C6481の常態のはんだ耐熱性に準拠し、260℃のはんだ浴に上記試験片を本発明の熱可塑性樹脂積層体の第一層側とはんだ浴とが接触するように20秒間浮かべ、素速く取り出し、室温まで冷却した後、膨れやはがれ等の有無を目視によって調べ、良否を判定した。
ランク1:フクレや剥がれは生じない(非常に良好)
ランク2:フクレや剥がれが生じるが、発生面積は全体の5%以下(良好)
ランク3:フクレや剥がれが、全体の5%を超え、50%以下の面積に生じる(不良)
ランク4:フクレや剥がれが、全体の50%を超える面積に生じる(非常に悪い)
(8)熱プレス積層時のバリの状態(発生評価)
本発明の熱可塑性樹脂積層体と被着体との熱プレスによる積層において発生する端部のバリの程度を定量的に評価するため、上記(5)ガラスクロス強化エポキシ樹脂板との積層において、プレス成形機の設定圧力を2.6MPa(接着部の圧力は約4.9MPa)とし、(L)FR−4に代えて、一辺が10cmの正方形で、厚さが0.4mmのステンレス板(SUS304、)を使用し、このステンレス板の中央部にスティック糊(コクヨ株式会社製、商品名:プリット、品番:タ−310N)を直径約17mmの円形につけたもの、(m)実施例又は比較例の熱可塑性樹脂積層体を上記ステンレス板の四辺に合わせてカッターナイフにて裁断してステンレス板の寸法に合わせたものとし、ステンレス板中央部のスティック糊にてステンレス板と(m)とをずれないように固定するように変更するほかは、上記(5)と同様の操作を行い、ステンレス積層物を作製した。寸法測定用の目盛り付きルーペ(倍率10倍)を用いて、ステンレス板の各辺から外側にはみ出した樹脂(バリ)先端までの長さ(「バリ長さ」と略記する。)を測定した。測定個所は各辺の中央部と両端付近のバリ長さの最も大きい箇所の計3箇所とし、四辺を合わせた12箇所のバリ長さの平均値と最大値を記録した。
実施例1
(各層樹脂成分の混合・混練と熱可塑性樹脂積層体成形・評価)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂[ビクトレックス社製、PEEK450G、Tg:143℃、融点Tm:334℃](以下、単にPEEK−1と略記することがある。)10kg(100質量部)のペレットを180℃で8時間熱風乾燥し、390℃に設定した口径30mmφの単軸押出機を接続したマルチマニホールド式のダイス(設定温度390℃)より第一層として押し出した。
上記PEEK−1を4kg(PEEK−1、及び後記の熱可塑性ポリイミド樹脂PEI−1、PEI−2との合計質量に対し40質量%)、非晶性ポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、商品名:Ultem 1000、ガラス転移温度Tg:216℃](以下、単にPEI−1と略記することがある。)を3kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し30質量%)、及びポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem CRS5001、Tg:226℃](以下、単にPEI−2と略記することがある)を3kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し30質量%)の各ペレットをドライブレンドし、180℃で8時間熱風乾燥した。このペレット混合物を、380℃に設定した口径30mmφの単軸押出機を接続した上記マルチマニホールド式のダイス(設定温度390℃)より第二層として押し出した。
この共押出フィルムすなわち熱可塑性樹脂積層体の第一層側を125℃に設定されたキャスティングロールにて急冷し、第二層側にシリコンゴムロールを押し当てた。さらに、金属ロールの反対側に設置された約35℃の水で冷却される硬質クロムメッキロールを押しつけてシリコンゴムロールを冷却した。次いでこの共押出フィルムを巻き取って熱可塑性樹脂積層体を得た。熱可塑性樹脂積層体の厚さが100μm、第一層の厚さが50μm、第二層の厚さが50μmとなるように、押出機からの溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。作製した熱可塑性樹脂積層体の断面を顕微鏡により拡大して観察し、各層の厚さを測定したところ、第一層の厚さは50μm、第二層の厚さは50μmであった。これらの値より第一層と第二層の比率は50/50であると算出された。この熱可塑性樹脂積層体の略号を「F1」とする。
このものにカッターナイフでノッチを入れて指先で剥がそうとしたが剥がすことができず、第一層と第二層の接着はランク1であり、接着が非常に良好と判断した。
JIS C2151−1999の方法に従い、比誘電率を測定したところ、3.2であった。上記方法に従い、クロロホルムに対する耐溶剤性を評価したところランク1であった。
(2)上記熱可塑性樹脂積層体とガラスクロス強化エポキシ樹脂板との積層物の作製と評価
下より上に向かって下記の順番に重ね合わせたものを、高性能高温真空プレス成形機(北川精機(株)製、成型プレス、型式:VH1−1747)内にセットし、設定最高温度240℃、設定最高温度保持時間30分、プレス成形機の設定圧力10.1MPa(接着部の圧力は約4.9MPa)にてプレス成形し、積層物を得た(以下、エポキシ積層物と略記することがある。)。
(i)一辺が約30cmの正方形で、厚さ1.6mmのクッション紙(三菱製紙株式会社製、商品名:RAボード RAB N 0016)、(j)一辺が約30cmの正方形で、厚さ1.5mmのステンレス鋼板、(k)縦30cm、横25.5cmの長方形で、厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名:ユーピレックス50S、厚さ50μm)、(L)一辺が20cmの正方形で、厚さ1mmのガラスクロス強化エポキシ樹脂板(上記FR−4)、(m)一辺が20cmの正方形の熱可塑性樹脂積層体(F1、第一層を上側、第二層を下側)、(n)上記(k)と同様のポリイミドフィルム、(o)上記(j)と同様のステンレス板、(p)上記(i)と同様のクッション紙。
上記(i)〜(p)は、重ね合わせる前に少量のエタノールをしみこませたワイピング紙で表面の汚れや異物を取り除き、さらに、上記(k)〜(o)は、重ね合わせる前に、目視検査により表裏の異物を確認し、少量のエタノールをしみこませたワイピングクロス(帝人(株)製、商品名:ミクロスター−CP)を用いてその異物をふき取った後、再度目視検査を行い、異物が除去できたことを確認した後に重ね合わせた。
得られたエポキシ積層物の断面を顕微鏡にて観察し、各層の厚さを測定したところ、第一層の厚さは47μm、第二層の厚さは48μm、FR−4の厚さは1mm、であった。この値より第一層と第二層の比率は49:51と算出した。このもの接着状態を評価したところ、ランク1であり、接着状態は良好と判断した。260℃のハンダ浴にてハンダ耐熱性を上記の方法により評価したところ、ランク1であり、良好と判断した。比誘電率は4.2であり、積層していないFR−4と同レベルで、積層により比誘電率が高くなることはなかった。上記の方法により耐溶剤性を評価したところ、ランク1で、良好であった。プレス成形による積層時のバリ長さは平均値が0.08mm、最大値が0.18mmであった。これらの評価結果を表1に示す。尚、以下、各表中において、本発明の熱可塑性樹脂積層体を「積層体」と略記する。
比較例1
上記のPEEK−1、10kg(100質量部)を、180℃で8時間熱風乾燥した後、幅320mmのTダイを接続した口径40mmの単軸押出機を使用し、390℃にてフィルム状に押出し、設定温度が125℃の循環オイルにて温度調節された金属キャストロールの表面に接触させ、その反対側からシリコンゴムロールにて押しつけて急冷製膜することにより、厚さ40μmの単層フィルム(略号をR1とする。)を得た。F1に代えて上記R1を使用し、実施例1と同様の操作によりガラスクロス強化エポキシ樹脂板との積層を試みたが全く接着せず、「ランク3」と判断し、それ以外の評価は行わなかった。結果を表1に示す。
比較例2
上記PEI−1のペレットを4.4kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し44質量%)、PEI−2を0kg、PEEK−1のペレットを5.6kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し56質量%)をドライブレンドし、180℃で8時間熱風乾燥した後、幅300mmのTダイを接続した口径40mmの単軸押出機を使用し、380℃にてフィルム状に押出し、設定温度155℃の循環オイルにて温度調節された金属キャストロールの表面に接触させ、その反対側からシリコンゴムロールにて押しつけて急冷製膜することにより、厚さ40μmの単層フィルム(略号をR2とする。)を得た。F1に代えて上記R2を使用した以外は実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
第一層の厚さを50μmとし、第二層を構成する樹脂組成物のうちPEEK−1とPEI−2を使用せずPEI−1を単独で使用し、第二層の厚さを50μとしたほかは実施例1と同様の操作を行い、熱可塑性樹脂積層体を得た(略号をR3とする。)。
F1に代えて上記R3を使用した以外は実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
上記FR−4の単体について上記の耐溶剤試験を行ったが、評価結果はランク2(不良)であった。
実施例2
熱可塑性樹脂積層体第一層の厚さを20μmに変更し、同第二層の構成成分を、上記PEEK−1を4.4kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量部に対し44質量%)、PEI−1を5.6kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量部に対し56質量%)、PEI−2を0kgとし、第二層の厚さを15μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い、熱可塑性樹脂積層体(略号をF2とする。)を得た。このものの評価結果を表1に示す。
実施例3
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を10kg(100質量部)とフッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレン樹脂(旭硝子株式会社製、グレード名 フルオンPTFE L−169J、略号をB1とする。)を1.5kg(PEEK−1 100質量部に対して15質量部)、よりなる成分をサイドフィード付き二軸押出機を用いて設定温度390℃で混練し、ストランド状に押出し、カッティングしてペレットとした。(略号をG3とする。)
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層に上記G3を使用し、第二層の樹脂成分をPEEK−1を4kg(PEEK−1、PEI−1、PEI−2との合計質量に対し40質量%)、PEI−1を3kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し30質量%)、及びPEI−2を3kg(PEI−1、PEI−2及びPEEK−1の合計質量に対し30質量%)の樹脂組成物とし、第一層の厚さを90μm、第二層の厚さを10μmにしたほかは実施例1と同様の操作により熱可塑性樹脂積層体(略号をF3とする。)を得た。
実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例4
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1を2.5kg(PEEK−1、100質量部に対して25質量部)に変更したほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG4とする。)を得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を2.8kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して28質量%)、PEI−1を3.8kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して38質量%)、PEI−2を3.4kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して34質量%)、上記B1を1.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して15質量部)よりなる成分をサイドフィード付き二軸押出機を用いて設定温度390℃で混練し、ストランド状に押出し、カッティングしてペレットとした(略号をH4とする。)。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG4を使用し、第二層にH4を使用し、第一層の厚さを30μm、第二層の厚さを60μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF4とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例5
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1を4kg(PEEK−1、100質量部に対して40質量部)に変更したほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG5とする。)を得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
PEEK−1を3kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して30質量%)、PEI−1を3kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して30質量%)、PEI−2を4kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して40質量%)、上記B1にかえて市販の合成マイカ(平均粒子径:6μm、アスペクト比:25、略号をC1とする。)を2.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して25質量部)に変更したほかは実施例3と同様の操作を行い、第二層用の樹脂組成物(略号をH5とする。)を得た。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG5を使用し、第二層にH5を使用し、第一層の厚さを80μm、第二層の厚さを40μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF5とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例6
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1を0kg、上記合成マイカ(C1)を2.5kg(PEEK−1、100質量部に対して25質量部)加えたほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG6とする。)を得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を4kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して40質量%)、PEI−1を6kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して60質量%)、PEI−2を0kg、B1を2kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して20質量部)とし、さらに、下記の操作により得た表面処理合成マイカを2kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して20質量部)添加したほかは実施例3と同様の操作を行い、第二層用の樹脂組成物(略号をH6とする。)を得た。
(表面処理合成マイカの作製)
表面処理合成マイカは、以下の方法により作製した。ヘンシェルミキサーに、市販の合成マイカ(平均粒子径:6μm、アスペクト比:25)2kgを入れ、その上から、水分約3質量%のイソプロピルアルコール160gに溶解した表面処理剤ヘキシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、試薬グレード)40g(マイカ100質量部に対して2質量部)を溶解して得た20質量%溶液200gを振りかけ、ミキサー上部に蓋をした。窒素を供給しながらミキサーを10分間作動させて撹拌混合した。このものを、ステンレス製のバットに広げ、室内にて4日間放置した後、120℃のオーブン中で48時間加熱処理し、室温まで冷却して表面処理された合成マイカ(略号をC2とする。)を得た。さらに、同様の操作を10回繰り返して、約20kgの表面処理合成マイカを得た。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG6を使用し、第二層にH6を使用し、第一層の厚さを50μm、第二層の厚さを40μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF6とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例7
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1、2.5kgにかえて、上記表面処理合成マイカ(C2)を2kg(PEEK−1、100質量部に対して20質量部)に変更したほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG7とする。)を得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を3.5kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して35質量%)、PEI−1を2kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して20質量%)、PEI−2を4.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して45質量%)、上記B1にかえて下記の操作により得た表面処理マイカ(C3)を2.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して25質量部)に変更したほかは実施例3と同様の操作を行い、第二層用の樹脂組成物(略号をH7とする。)を得た。
(表面処理マイカの作製)
表面処理マイカは、以下の方法により作製した。ヘンシェルミキサー(商品名)に、市販の金雲母(平均粒子径:4μm、アスペクト比:20)2kgを入れ、その上から、水分約2質量%のイソプロピルアルコール160gに溶解した表面処理剤フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、試薬グレード)40g(合成マイカ100質量部に対して2質量部)を溶解して得た20質量%溶液200gを振りかけ、ミキサー上部に蓋をした。窒素を供給しながらミキサーを10分間作動させて撹拌混合した。このものを、ステンレス製のバットに広げ、室内にて4日間放置した後、120℃のオーブン中で48時間加熱処理し、室温まで冷却して表面処理されたマイカ(略号をC3とする。)を得た。さらに、この操作を10回繰り返して、約20kgの表面処理マイカを得た。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG7を使用し、第二層にH7を使用し、第一層の厚さを50μm、第二層の厚さを50μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF7とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例8
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1を0.5kg(PEEK−1、100質量部に対して5質量部)に変更し、上記C2を1.5kg(PEEK−1、100質量部に対して15質量部)加え、さらに、下記の方法により作成した表面処理合成シリカ(略号をC4とする。)0.5kg(PEEK−1、100質量部に対して5質量部)を加えるように変更したほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG8とする。)を得た。
(表面処理球状シリカの作製)
表面処理球状シリカは、以下の方法により作製した。ヘンシェルミキサー(商品名)に、市販の球状シリカ(平均粒子径:1μm)2kgを入れ、その上から、水分約2質量%のイソプロピルアルコール160gに溶解した表面処理剤ヘキシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、試薬グレード)40g(合成マイカ100質量部に対して2質量部)を溶解して得た20質量%溶液200gを振りかけ、ミキサー上部に蓋をした。窒素を供給しながらミキサーを10分間作動させて撹拌混合した。このものを、ステンレス製のバットに広げ、室内にて4日間放置した後、120℃のオーブン中で48時間加熱処理し、室温まで冷却して表面処理された球状シリカ(略号をC4とする。)を得た。さらに、この操作を5回繰り返して、約10kgの表面処理球状シリカを得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を3.5kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して35質量%)、PEI−1を6kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して60質量%)、PEI−2を0.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して5質量%)、上記B1にかえてテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(ダイキン工業株式会社製、商品名 ネオフロンPFA AP−230、融点310℃、測定温度372℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート 2g/10分、略号をB2とする。)を0.5kg(PEEK−1、
PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して5質量部)、表面処理合成マイカ(C2)を1.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して15質量部)を加え、さらに上記表面処理合成シリカ(C4)を0.5kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して5質量部)を加えるよう変更したほかは実施例3と同様の操作を行い、第二層用の樹脂組成物(略号をH8とする。)を得た。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG8を使用し、第二層にH8を使用し、第一層の厚さを60μm、第二層の厚さを30μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF8とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
実施例9
(第一層に使用する樹脂組成物の作製)
上記B1をB2、1.5kg(PEEK−1 100質量部に対して15質量部)に変更し、上記C2を1kg(PEEK−1 100質量部に対して10質量部)加え、さらに上記C4を0.5kg(PEEK−1 100質量部に対して5質量部)加えるように変更したほかは実施例3と同様の操作を行い第一層に使用する樹脂組成物(略号をG9とする。)を得た。
(第二層に使用する樹脂組成物の作製)
上記PEEK−1を3kg、(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して30質量%)、PEI−1を4kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して40質量%)、PEI−2を3kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計質量に対して30質量%)、B1を上記B2、1kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して10質量部)に変更し、C2を2kg(PEEK−1、PEI−1、及びPEI−2の合計100質量部に対して20質量部)加えるよう変更したほかは実施例3と同様の操作を行い、第二層用の樹脂組成物(略号をH9とする。)を得た。
(熱可塑性樹脂積層体の成形と評価)
第一層にG9を使用し、第二層にH9を使用し、第一層の厚さを35μm、第二層の厚さを25μmとしたほかは実施例1と同様の操作を行い熱可塑性樹脂積層体(略号をF9とする。)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
Figure 2006198993
Figure 2006198993
Figure 2006198993
表1〜3より、本発明の範囲の実施例1〜9の熱可塑性樹脂積層体は、エポキシ樹脂積層物とした場合に、接着性が良好であり、積層物とする前のプリント配線用基板用のガラスクロス強化エポキシ樹脂板の比誘電率を高くすることがなく、電気信号の伝送速度に悪影響を生じにくい。また、積層物の耐溶剤性が改善されており、さらに、プレス積層時のバリが低減されていることが分かり、本発明の効果を確認できる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、耐有機溶剤性と耐アルカリ薬品性が良好で、比誘電率も通常のエポキシ樹脂系プリント配線基板など種々の絶縁材と同等か低い値を示し、エポキシ樹脂系プリント配線板など種々の絶縁材や銅、アルミニウム、鉄などの金属系被着体と約210℃〜340℃の範囲の温度で熱圧着することができ、また接着性が良好なことから、その用途としては、電気工業や電子工業におけるプリント配線基板の表面保護層、多層プリント配線基板の表面保護層、マルチチップパッケージの表面カバー層、PEEK系回路基板と共存して使用される用途等が挙げられる。また、耐熱性が良好であることから、宇宙、航空機器の回路基板の保護層、化学プラントの内張、燃料電池部品、エネルギー発生機器部品、熱遮蔽板、各種機器の筐体等の表面保護層、さらには機械用部材、自動車部品等としての用途が挙げられる。


Claims (7)

  1. ポリアリールケトン系樹脂(A)100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第一層と、ポリアリールケトン系樹脂(A)に、ガラス転移温度が180〜350℃の熱可塑性接着性付与樹脂(D)を(A)/(D)=95/5〜5/95の質量比で含む樹脂成分100質量部に対して、フッ素樹脂(B)を0〜100質量部、及び充填材(C)を0〜100質量部の割合で含んでなる第二層とを、上記第一層に隣接して配してなる熱可塑性樹脂積層体。
  2. 熱可塑性接着性付与樹脂(D)が、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  3. 第一層の厚さと第二層の厚さの比が、第一層/第二層=99/1〜1/99である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  4. (A)成分が下記構造式(1)で表される繰り返し単位を有する結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主成分とするものであり、(D)成分が下記構造式(2)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂又は下記構造式(3)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂を主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
    Figure 2006198993
  5. (B)成分のフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
  6. (C)成分の充填材が、板状のものである請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
  7. (C)成分の充填材が、マイカ、ガラスフレーク、及び二酸化珪素粉末の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。

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