JP2006198926A - 平版印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、印刷版の湿し水供給ローラが接触した跡に生ずる汚れ(ローラ跡汚れ)の発生を防止し、機上現像性に優れ、かつ印刷ラチチュードに優れる平版印刷版材料の製版方法を提供することにある。
【解決手段】 基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有する湿し水供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触する湿し水供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする平版印刷方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は平版印刷方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(以下CTPと称す)方式に用いられるダイレクトイメージング印刷版材料を用いて平版印刷を行う方法に関する。
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接印刷版材料に記録するCTP(コンピューター・トゥー・プレート)システムが普及してきた。
また、これらのCTPシステムに使用される印刷版材料として、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
これらのプロセスレスタイプ印刷版材料としては、画像形成層の非画像部を印刷機上で除去する機上現像タイプの印刷版材料が知られており、これらの印刷版材料を用い画像露光済みの印刷版材料に、印刷機の湿し水供給ローラ、印刷インキ供給ローラから湿し水、印刷インキを供給して印刷機上で現像を行う製版方法が知られている(例えば特許文献1及び2参照。)。
また、機上現像タイプの印刷版材料としては、例えば、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する感熱画像形成層を設けた印刷版材料、あるいは親水性層に光熱変換素材を含有させ、この光熱変換素材の発熱により画像を形成させる印刷版材料が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの機上現像タイプの印刷版材料を用いて、露光済みの印刷版材料を印刷機上で現像する方法は、特別な湿式現像処理を必要とせず、かつ高精細な画像が得ることができるが、印刷版の湿し水供給ローラが接触した跡に汚れを生ずる場合がある、印刷の刷り出しまでに使用する損紙の枚数が多い場合がある、印刷ラチチュードが不充分であるといった問題があった。
特開平9−211852号公報 特開2002−219881号公報 特開2003−231374号公報
本発明の目的は、印刷版の湿し水供給ローラが接触した跡に生ずる汚れ(ローラ跡汚れ)の発生を防止し、機上現像性に優れ、かつ印刷ラチチュードに優れる平版印刷版材料の製版方法を提供することにある。
本発明の目的は下記構成により達成される。
(請求項1)
基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有する湿し水供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触する湿し水供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする平版印刷方法。
(請求項2)
前記ニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を増加させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷方法。
(請求項3)
前記ニップ幅を増加させる工程が、平版印刷版材料と湿し水供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際の湿し水供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(A)、から該ニップ幅(A)より大きなニップ幅(B)に増加させる工程であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷方法。
(請求項4)
基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有するインキ供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触するインキ供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする平版印刷方法。
(請求項5)
前記ニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を減少させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷方法。
(請求項6)
前記ニップ幅を減少させる工程が、平版印刷版材料とインキ供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際のインキ供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(C)、から該ニップ幅(C)より小さなニップ幅(D)に減少させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の平版印刷方法。
本発明の上記構成により、印刷版の湿し水供給ローラが接触した跡に生ずる汚れ(ローラ跡汚れ)の発生を防止し、刷り出しまでに使用する損紙の量が少なく機上現像性に優れ、かつ印刷ラチチュードに優れる平版印刷版材料の製版方法が提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有する湿し水供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触する湿し水供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする。
また、本発明は、基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有するインキ供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触するインキ供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする。
本発明におけるニップ幅とは、平版印刷版材料と湿し水供給ローラあるいはインキローラが接触している部分の、ローラの回転方向の長さをいい、各ローラを版胴に取り付けられた印刷版材料表面に一定時間押し当て、次いでローラを離した際に印刷版材料表面に形成されたニップ跡の幅を測定することで確認することができる。
ローラを押し当てている時間は1〜120秒が好ましく、10〜60秒がより好ましい。
また、ローラを押し当てる際には、湿し水ローラであればローラに薄く水の皮膜を形成した状態で押し当てることでニップ跡をより鮮明に残すことができ、ニップ幅の測定がしやすくなるため好ましい。同様に、インキローラであればローラに薄くインキの皮膜を形成しておくことが好ましい。
(印刷機上現像)
本発明に係る画像形成層は機上現像可能な層であり、印刷機上で湿し水およびまたはインキを用いて非画像部が除去される。
印刷機上での画像形成層の非画像部の除去は、版胴を回転させながら湿し水供給ローラ(以下、水付けローラとも称する)やインキ供給ローラ(以下単に、インキローラとも称する)を露光された印刷版材料に接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インキローラを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インキローラを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラとインキローラとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
本発明の第一の態様は、平版印刷版材料と接触する湿し水供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有する態様である。
上記ニップ幅を変化させる工程を有することにより、印刷版材料に対応して、印刷版材料毎に異なる機上現像性に対応することができ、適正な機上現像を行い、かつ適正な印刷を行うことが可能となる。
本発明においては、特にニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を増加させる工程である場合が特に好ましくい。
ここでいう、ニップ幅を増加させる工程とは、ニップ幅設定の調整を行う工程を意味するものであって、印刷版材料に押し当てる際のごく短時間の間にローラが印刷版材料に接し(ニップ幅は実質的に0)、次いでニップ幅が設定値の幅まで増大するという状態は含まれない。
更に、ニップ幅を増加させる工程が、平版印刷版材料と湿し水供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際の湿し水供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(A)、から該ニップ幅(A)より大きなニップ幅(B)に増加させる工程である場合が特に好ましい。
即ち、ニップ幅(A)をニップ幅(B)より小さくすることで、損紙の増加を抑え、現像ラチチュードを減ずることなく汚れ回復性を改善することができる。
上記の損紙の増加や、汚れ回復性の悪化は、水付けローラの印刷版材料に接触する最の圧力により非画像部の現像性が変化して起こると推測されるが、上記のようにニップ幅を調整することで、印刷版材料に加わる圧力を調製でき、良好な機上現像性を保ち、かつ適正な印刷を行うことが可能となると推測される。
ニップ幅(A)としては、ニップ幅実質0の線状接触以上、使用する印刷機、印刷版材料に応じて設定されている適正ニップ幅未満の範囲が好ましく、印刷する際のニップ幅の1〜60%の幅とすることがより好ましい。
印刷する際のニップ幅としては、使用する印刷機、印刷版材料に応じて設定されている適正ニップ幅の±30%の範囲であることが好ましく、適正ニップ幅の±20%の範囲であることがより好ましい。
水付けロールのニップ幅は、調整ねじで変更が可能である。
実際の印刷作業に先立って、調整ねじの回転位置とロールニップ幅との関係をあらかじめ記録しておくことで、例えば印刷開始時にはロールニップ幅を適正値の50%に設定し、機上現像後(例えば20枚印刷後)に印刷機を止めずにロールニップ幅を適正値に再設定することが可能になる。
ロールニップ幅の調整は、手動で行うこともできるし、調製用の装置を取り付けて機械制御で行うこともできる。
また、ニップ幅調整の速度は特に限定されるものではなく、例えば、ニップ幅(A)からニップ幅(B)への変化を印刷物を一枚印刷する時間未満で変化させることもできるし、印刷開始から20枚印刷するまでの時間をかけて一定の変化率で、もしくは、段階的に変化させることもできる。
この第一の態様は、上記(1)〜(3)いずれの機上現像のシークエンスにも好ましく用いることができるが、特に(1)または(3)のシークエンスで行われる場合に本発明の効果が大きい。
本発明の第二の態様は、平版印刷版材料と接触するインキ供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有する態様である。
上記ニップ幅を変化させる工程を有することにより、印刷版材料に対応して、印刷版材料毎に異なる機上現像性に対応することができ、適正な機上現像を行い、かつ適正な印刷を行うことが可能となる。
本発明においては、上述のようにニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を増加させる工程とすることで、ローラ接触部の現像性劣化を低減させることが可能となり、効果のある態様であるが、本発明においては、後述のように特にニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を減少させる工程である場合が特に好ましい態様である。
更に、ニップ幅を減少させる工程が、平版印刷版材料とインキ供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際のインキ供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(C)、から該ニップ幅(C)より小さななニップ幅(D)に減少させる工程である場合が特に好ましい。
即ち、ニップ幅(C)をニップ幅(D)より大きくすることで、現像ラチチュードを減ずることなく損紙の増加を抑えることができる。
インキローラは、印刷版材料表面にインキを付与する機能を有しているが、もう一方で、版面上の過剰なインキ(例えば非画線部上のインキ)をローラに再付着させて除去する機能も有している。
本発明に用いられる、機上現像によって画像部と非画像部とを形成する印刷版材料は、後者のインキの除去機能をも利用して機上現像が、行われていると推測され、上記のようにニップ幅を設定することで、機上現像性が良好でかつ適正な印刷を行うことができると推測される。
このようなインキ除去機能を有効に機能させるためには印刷版の版面に接触する順で最後となるインキローラに対して本態様を適用させることが好ましい。
インキローラの適正ニップ幅設定は、版面に接触する順で狭くなるように設定されているが、機上現像初期において、版面に接触する順で最後となるインキローラのニップ幅をこの適正ニップ幅よりもさらに狭くすることでインキの除去効果が高まって、機上現像を促進することができる。
この態様の場合のニップ幅(C)は、その印刷機の適正ニップ幅より大きく適性ニップ幅に対して、+30%以下であることが好まし。
印刷する際のニップ幅は、その印刷機の適正ニップ幅の±30%の範囲に変化させて通常の印刷を行うことが好ましい。
この態様のにおいて、インキローラ中、印刷時の版胴回転時に版面に接触する順で何番目に当たるローラに対してでも適用することができるし、複数のインキローラに対して適用することもできる。
ロールニップ幅の調整は、手動で行うこともできるし、調製用の装置を取り付けて機械制御で行うこともできる。
また、ニップ幅調整の速度は特に限定されるものではなく、例えば、ニップ幅(C)からニップ幅(D)への変化を印刷物を一枚印刷する時間未満で変化させることもできるし、印刷開始から20枚印刷するまでの時間をかけて一定の変化率で、もしくは、段階的に変化させることもできる。
この第二の態様は、上記(1)〜(3)いずれの機上現像のシークエンスにも好ましく用いることができるが、特に(1)または(3)のシークエンスで行われる場合に本発明の効果が大きい。
本発明においては、ローラごとに第一の態様、あるいは、第二の態様を複合して適用することも可能であり、ローラニップ幅を個別に適宜調整することで、ローラの圧力によると推測される汚れ低減し、かつ、機上現像を促進させることが可能になる。
この態様は、上記(3)の機上現像のシークエンスで行われる。
即ち、前記請求項1と3の平版印刷方法を同時に行う平版印刷方法も本発明の好ましい態様である。
(機上現像可能な画像形成層)
本発明に係る機上現像可能な画像形成層とは、画像露光後特に現像工程を経ることなく、印刷工程に供した時点で、即ち印刷準備段階で湿し水、または湿し水と印刷インキにより、印刷時に非画像部となる部分の画像形成層が除去されて、印刷可能な画像が形成され得る画像形成層のことをいい、特に感熱画像形成層である場合が本発明の効果は大きい。
感熱画像形成層は、画像露光により画像形成可能な層であって、画像露光光を熱に変換する光熱変換剤を含む層の発熱により画像形成可能な感熱画像形成層である。
光熱変換剤を含む層は、本発明に係る画像形成層であってもよいし、親水性層、あるいは感熱画像形成層に隣接する別層であってもよい。
感熱画像形成層としては、特に露光部の画像形成層が熱によって親水性層上に固着される方向へと変化する、いわゆるネガ型画像形成層が好ましく用いられる。
上記の露光部が熱によって親水性層上に固着される方向へと変化する画像形成層としては、例えば、露光前は親水性の層であり、熱により親水性の層から疎水性の層へと変化させ得る疎水化前駆体を含有する画像形成層を挙げることができる。
疎水化前駆体としては、熱溶融性粒子または熱融着性粒子等の熱可塑性疎水性粒子、疎水性物質を内包するマイクロカプセル、ブロック化イソシアネート化合物、例えば熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーが挙げられる。
上記熱可塑性疎水性粒子としては、後述する熱溶融性粒子および熱融着性粒子を挙げることができる。
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインキ着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。
又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
[ブロック化イソシアネート化合物]
ブロック化イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物に下記に記載のブロック化剤を反応付加させたものである。
画像形成層に用いることができるブロック化イソシアネート化合物は後述するような化合物の水分散物であることが好ましい。
水分散物から塗布形成することで、良好な機上現像性を得ることができる。
[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート[ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)など];脂肪族ポリイソシアネート[1、6ーヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)など];脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネートなど];芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)など];これらの変性物(ビューレット基、イソシアヌレート基、カルボジイミド基、オキサゾリジン基含有変性物など);およびこれらのポリイソシアネートと分子量50〜5、000の活性水素含有化合物からなる末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが挙げられる。
また、特開平10−72520に記載のポリイソシアネート化合物も好ましく用いることができる。
上記の中では特にトリレンジイソシアネートが、反応性が速く好ましい。
[ブロック化剤]
イソシアネート基のブロック剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系ブロック剤、フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどの酸アミド系ブロック剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤、コハン酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤、尿素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤、N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤などが挙げられる。これらの中では特にオキシム系ブロック剤を用いることが好ましい。
ブロック化剤の含有量としては、ブロック剤中の活性水素基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましいが、後述するポリオール等の活性水素基を有する添加剤と併用する場合は、ブロック剤と活性水素基を有するその他の添加剤とを合計した活性水素基が、イソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましい。1.0未満では未反応のイソシアネート基が残存し、また、1.1を超えるとブロック剤等が過剰となるため好ましくない。
ブロック剤の解離温度としては、80〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
[ポリオール]
ブロック化イソシアネート化合物は、さらにポリオールが付加したポリオール付加物であることが好ましい。
ポリオールを含有させることにより、ブロック化イソシアネート化合物の保存安定性を向上させることができる。また、加熱して画像を形成した際の画像強度が向上し、耐刷性が向上する。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコール、これらの多価アルコールあるいはポリアミンにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを、あるいは両者を付加重合して得られるポリエーテルポリオール類、ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、さらに上記多価アルコールとたとえばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸などの多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、アクリルポリオール類、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得られるポリマーポリオール類、エポキシ変性ポリオール類などが挙げられる。これらの中では、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトールなど分子量50〜5000のポリオールを好ましく使用することができ、特に分子量50〜500程度の低分子量ポリオールをより好ましく使用できる。
ポリオールの好ましい含有量としては、ポリオール中の水酸基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して0.1〜0.9当量となるような範囲であり、この範囲において特にブロック化イソシアネート化合物の保存安定性が向上する。
[ブロック化方法]
イソシアネート化合物のブロック化方法としては、例えば、イソシアネート化合物を無水の条件下、不活性ガス雰囲気下で40〜120℃程度に加温し、攪拌しながらブロック剤を所定量滴下して混合し、攪拌を続けながら数時間かけて反応させるという方法が挙げられる。この際、何らかの溶媒を用いることもできる。また、公知の触媒、例えば、有機金属化合物、第3級アミン、金属塩等を用いることもできる。
有機金属触媒としては、たとえば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートなどのスズ系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛などの鉛系触媒などが、第3級アミンとしては、たとえばトリエチルアミン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N、N′−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロ(2、2、2)−オクタンなどが、金属塩触媒としては、たとえば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸鉛酸化リチウムなどが挙げられる。これらの触媒の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対し、通常0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
ブロック化イソシアネート化合物において、ポリオールとの化合物でもある態様の場合は、ブロック剤およびポリオールをイソシアネート化合物と反応させるが、先にイソシアネート化合物とポリオールとを反応させた後に、残ったイソシアネート基とブロック剤とを反応させてもよく、また、先にイソシアネート化合物とブロック剤とを反応させた後に、残ったイソシアネート基とポリオールとを反応させてもよい。
ブロック化イソシアネート化合物の好ましい平均分子量としては、重量平均分子量で500〜2000であることが好ましく、600〜1000であることがより好ましい。この範囲で反応性と保存安定性とのバランスが良好となる。
[水分散物の製造]
上述のようにして得られたブロック化イソシアネート化合物は、例えば、界面活性剤と水とを加えて、ホモジナイザ等を用いて強力に混合攪拌することで水分散物とすることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のノニオン系界面活性剤、あるいはラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などのアルキルベタイン型の塩、ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型の両界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中ではノニオン界面活性剤が好ましい。
ブロック化イソシアネート化合物水分散物の固形分としては、10〜80質量%であることが好ましい。界面活性剤の添加量としては、水分散物の固形分中の0.01〜20質量%であることが好ましい。
イソシアネート化合物のブロック化反応等に有機溶媒を用いた場合には、水分散物としてから有機溶媒を除去することもできる。
画像形成層は水溶性素材を含んでもよく水溶性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
[水溶性高分子化合物]
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらの中では、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
[オリゴ糖]
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
また、画像形成層には光熱変換素材として、赤外線吸収色素を含有させることができる。
赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
(光熱変換剤)
本発明に係る印刷版材料は上記のように、光熱変換剤を含む層を有することが好ましく、光熱変換剤としては後述のものが挙げられる。光熱変換剤を含む層は、画像形成層であってもよいし、親水性層あるいは画像形成層に隣接する層であってもよい。
光熱変換剤としては赤外吸収色素または顔料が挙げられる。
(赤外吸収色素)
赤外吸収色素としては例えば、シアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開平1−33547号、同1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号、同7−43851号、同7−102179号、特開2001−117201号の各公報等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。可視光域で黒色を呈している素材としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号の各公報等に開示されている方法により製造することができる。本発明に用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。但し、添加量に対する光熱変換能は粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると、分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材の添加量としては、これを含む層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
(基材)
本発明に係る基材は、画像形成層を担持し得る板状体あるいはフィルム体であり、印刷版の基材として使用される公知の材料を使用することができる。
本発明に係る基材は、親水性層を有することが好ましい。親水性層は、印刷時には画像形成層の非画像部が除去されて露出され、湿し水受容性、印刷インキ反撥性となりうるものであり、基材の表面を親水化処理して親水性層を設ける方法、親水性層を塗設して設ける方法などで形成することができる。
基材としては例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。
基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
基材として用いられる金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。
脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。
また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目に親水化処理を施したものを親水性層として有するアルミニウム基材を、親水性層を有する基材として使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に用いる基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートも好ましく用いられる。
これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
(親水性層)
親水性層は、上記のように印刷時印刷インキの着肉しない非画像部となりうる層であって、基材上に設層された層、あるいは、基材表面を親水化したときの表面層である。
又親水性層は親水性素材を含む。
本発明に用いられる印刷版材料の態様の一つとして、基材上に塗設された親水性層を有する態様が挙げられる。この場合親水性層は一層であっても良いし、複数の層から形成されていても良い。
この親水性層の付量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。
この親水性層に用いられる親水性素材としては、実質的に水に不溶で親水性の素材が好ましく、特に金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、ネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95(質量比)が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明に用いられる印刷版材料の親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。多孔質金属酸化物粒子としては、多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
また、本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として、層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作製した後、塗布液に添加することが好ましい。
親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
本発明では、親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
本発明のより好ましい態様としては、親水性層中に含有される親水性有機樹脂は水溶性であり、かつ、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが挙げられる。
親水性層に含有される水溶性素材としては、糖類が好ましい。
糖類としては、後に詳細に説明するオリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。
表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
また、本発明の親水性層形成のための親水性層塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。
該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
基材の表面を親水化して親水性層を設ける場合の好ましい態様はアルミニウム基材を使用する場合であり、アルミニウム基材に親水性層を設けるため、表面を粗面化して用いられる。
粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
(保護層)
本発明に係る画像形成層の上に保護層を設けることもできる。
保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。
また、特開2002−19318号や特開2002−86948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。
保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(画像露光)
印刷版材料は、画像データに応じてレーザー光で画像露光され、その後印刷機上で現像され印刷版が得られる。
画像露光は、より具体的には赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。
レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用して、走査露光を行うことが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に1本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から1本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から1本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。
(湿し水)
本発明に用いられる湿し水は、一般に平版印刷版の印刷に用いられている湿し水を適用することができる。水のみでもよいし、添加剤を含んでもよい。
湿し水として、従来使用されてきたイソプロパノール、を含有しない湿し水が好ましく用いられる(この場合含有しないとは、含有量が0.5%未満のものをいう)。
湿し水は、微量成分として、酸類、例えば、りん酸またはその塩、クエン酸またはその塩、硝酸またはその塩、酢酸またはその塩、さらに具体的には、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリム等、クエン酸、クエン酸アンモニム、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム等、また、水溶性高分子化合物として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、デキストリン等を含んでもより。
これらの微量成分の含量は、0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下であることが好ましい。
またさらにグリコール系化合物、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル等も含むことができる、これらグリコール系化合物の含量も少量が好ましく、0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下である。
また、界面活性剤を含んでもよく、界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれら界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはこれらの混合した界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン型界面活性剤の具体例としては、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン錯塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレンと無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが挙げられる。
非イオン型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル化物類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル化物類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル化物類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。その他弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤も使用することができる。
カチオン型界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
これら界面活性剤の使用は単独で用いても、2種以上を併用しても良い。湿し水中の界面活性剤の量は0.01質量%以下がこのましく、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
(印刷機)
本発明において、印刷機としては、印刷版面上に湿し水を供給する部材、インキを供給する部材を有する公知の平版印刷機を用いることができる。
本発明に係る湿し水は、呼び出し給水方式、連続給水方式のいずれの湿し水の供給装置でも使用できるが、特に連続給水方式の湿し水の供給装置で用いられることが好ましい。
又、三菱ダイヤマチックダンプナー、コモリマチック、ダールグレンダンプナーやハイデルベルグのアルカラーダンプナーといった印刷機でも使用することができる。
(印刷インキ)
本発明に係る印刷で用いることができるインキは、平版印刷に使用できるインキであればいずれのインキでも良いが、具体的には、ロジン変性フェノール樹脂と植物油(アマニ油、桐油、大豆油等)、石油系溶剤、顔料、酸化重合触媒(コバルト、マンガン、鉛、鉄、亜鉛等)等の成分よりなる油性インキ、及びアクリル系オリゴマー、アクリルモノマー、光重合開始剤、顔料等の成分よりなる紫外線硬化型のUVインキ、さらに、油性インキの性質とUVインキの性質を併せ持つハイブリッドインキが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。
この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を30C/dm2とし、合計で360C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。
また、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、50℃に保たれた0.5質量%の3号ケイ酸ソーダ水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。
基材1の表面粗さRaは400nmであった(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
(基材2の作製)
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下記下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。
また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材2を得た。
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
Figure 2006198926
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2006198926
印刷版材料の作製
印刷版材料1
下記素材を十分に混合攪拌し、濾過して、画像形成層用塗布液aを得た。
画像形成層用塗布液a組成(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
Figure 2006198926
次に、基材1の粗面化表面に画像層塗布液aをワイヤーバーを用いて塗布し、55℃で3分間乾燥した。
画像形成層の乾燥付量は0.6g/m2であった。次いで、45℃で24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料1を得た。
印刷版材料2
下引き層用塗布液を調製した。下引き層用塗布液は、界面活性剤を除く下記に示す素材をホモジナイザを用いて十分に分散した後、界面活性剤を添加して十分に攪拌し、濾過して調製した。
下引き層用塗布液組成(固形分20質量%)(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
Figure 2006198926
基材2の下引きA面に下引き層を塗布形成した。塗布はワイヤーバーを用いて行い、120℃で2間乾燥させた。下引き層の乾燥付量は2.0g/m2であった。
次に、親水性層用塗布液を調製した。
親水性層用塗布液は、界面活性剤を除く下記に示す素材をホモジナイザを用いて十分に分散した後、界面活性剤を添加して十分に攪拌し、濾過して調製した。
親水性層用塗布液組成、(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
Figure 2006198926
調製した親水性層用塗布液を下引き層を形成した基材2の下引き層上にワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥した。親水性層の乾燥付量は6g/m2となるようにした。
次いで、60℃48時間のエイジング処理を行って、塗布型親水性層形成基材を得た。
次に、画像形成層塗布液bを調製した。
下記素材を十分に混合攪拌し、濾過して、画像形成層用塗布液bを得た。
画像形成層用塗布液b組成、(表中単位記載のない数値は質量部を示す)
Figure 2006198926
塗布型親水性層形成基材の親水性層表面に画像層塗布液bワイヤーバーを用いて塗布し、55℃で3分間乾燥した。
各画像形成層の乾燥付量は0.4g/m2であった。
次いで、45℃で24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料2を得た。
印刷版材料の露光
印刷版材料を画像形成層を外側にして、外面露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを、印刷版材料1に対しては400mJ/cm2、印刷版材料2に対しては300mJ/cm2とした条件で、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。
露光した画像は、下くわえ側が2cm幅の非画像部、その上に2cm幅のベタ帯、その他は全面50%の網点画像であった。
実施例1〜4、比較例1〜3
印刷機として,:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いた。版胴に接触するローラは、水付けローラ:1、インキローラ:4の計5本であり、図1に示したような配置であった。
図1において、ローラAは水付けローラであり、ローラB、C、D、Eはインキローラであり、版胴1の回転時に、版胴1に装着された印刷版材料2A、B、C、D、Eの順に接触する。
各ローラの適正ニップ幅は下記に示す通りである。
ローラA:5mm
ローラB:4mm
ローラC:4mm
ローラD:4mm
ローラE:3mm
印刷に先立って、各ローラのニップ幅と調整ねじ回転角との関係を調べた。
印刷評価には、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インキ(東洋インキ社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用した。
湿し水供給量、インキ供給量はPS版印刷時と同等の設定とした(基準設定)。
印刷刷り出しのシークエンスは版胴を回転させながら、版胴に水付けローラを接触させてから3回転回転させた後、インキローラを接触させて(4本同時)3回転回転させたタイミングで印刷用紙が送られて、胴入れ,印刷が行われるシークエンスとした。
印刷評価は、版胴に露光済の印刷版材料1をそのまま取り付け、上記シークエンスで刷り出し、200枚までの印刷を行った(500枚で一旦印刷中断)。この500枚と前の200枚まで、との関係を教えて下さい。
その際、各ローラのニップ幅調整は表5に示すように行った。
次いで、印刷を再開して、後述する印刷ラチチュード評価を行った。
印刷評価項目は下記の通りであり、これらの評価結果は表5に示した。
(ローラ跡汚れ防止性)
刷り出しから20枚目の印刷物を観察し、水付けローラの接触が起因と考えられる汚れ(50%網点画像のカラミ)の有無を観察して、ローラ跡汚れ防止性の指標とした。
評価のランクは下記の通りとした。
○:ローラ跡汚れなし
△:ローラ跡汚れがわずかに確認できる
×:ローラ跡汚れが明瞭に確認できる
(機上現像性−刷り出し性)
刷り出し後1〜200枚までの印刷物を観察し、刷り出し性の評価を行なった。非画像部の汚れがなく、ベタ濃度が1.5以上で、かつ、50%の網点画像のカラミがない状態が得られた印刷枚数を測定し、機上現像性の指標とした。
ローラ接触起因と考えられる汚れ(50%網点画像のカラミ(印刷インキの非画像部への着肉))が見られた場合には,それが完全に消えた印刷枚数とした(消えなかった場合は200以上とした)。
(印刷ラチチュード)
基準設定の湿し水供給量から、供給量を減少させ、50%網点画像のいずれかの場所にカラミ(印刷インキの非画像部への着肉)が生じる供給量を、印刷ラチチュードの指標とし、基準設定からのメモリ値の差として示した。
ローラ接触起因と考えられるカラミが見られた場合には、その時点の水供給量とした。
水供給量が減少しても汚れにくいことが好ましい性能であり、数値のマイナス値が大きい方が良好である。
また、基準設定の湿し水供給量でローラ接触起因と考えられるカラミが見られた場合には、水供給量を増加させてカラミが消える水供給量を印刷ラチチュードの指標とした(数値はプラス値)。
水供給量メモリ値をプラス15としてもカラミが消えなかった場合には、15以上とした。
表5から本発明の平版印刷方法は、ローラ跡汚れを生ずることなく、刷り出し性が良好で、機上現像性に優れ、印刷ラチチュウードが広いことが分かる。
Figure 2006198926
実施例5〜7、比較例4〜6
印刷機、その他印刷条件は、実施例1と同様の条件とした。
印刷評価は、版胴に露光済の印刷版材料2をそのまま取り付け、上記シークエンスで刷り出し、200枚までの印刷を行った。
その際、各ローラのニップ幅調整は表6に示すように行った。
実施例1と同様にして刷り出し性の評価を行った。
結果を表6に示した。
Figure 2006198926
表6から本発明の平版印刷方法は、刷り出し性が良好で、機上現像性に優れていることが分かる。
実施例で用いた、印刷機の一部の模式図である。
符号の説明
1 版胴
2 露光された平版印刷版材料
A 湿し水供給ローラ
B インキ供給ローラ
C インキ供給ローラ
D インキ供給ローラ
E インキ供給ローラ

Claims (6)

  1. 基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有する湿し水供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触する湿し水供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする平版印刷方法。
  2. 前記ニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を増加させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷方法。
  3. 前記ニップ幅を増加させる工程が、平版印刷版材料と湿し水供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際の湿し水供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(A)、から該ニップ幅(A)より大きなニップ幅(B)に増加させる工程であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷方法。
  4. 基材上に機上現像可能な画像形成層を有する平版印刷版材料を画像露光し、画像露光された平版印刷版材料を、少なくとも、平版印刷機が有するインキ供給ローラと接触させて、機上現像を行い、機上現像後印刷する平版印刷方法において、平版印刷版材料と接触するインキ供給ローラと、この平版印刷版材料とのニップ幅を変化させる工程を有することを特徴とする平版印刷方法。
  5. 前記ニップ幅を変化させる工程が、ニップ幅を減少させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷方法。
  6. 前記ニップ幅を減少させる工程が、平版印刷版材料とインキ供給ローラとが前記機上現像の最初に接触する際のインキ供給ローラとこの平版印刷版材料とのニップ幅(C)、から該ニップ幅(C)より小さなニップ幅(D)に減少させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の平版印刷方法。
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