JP2006196414A - 燃料電池検査システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 膜電極接合体MEA111を具備し、MEA111のアノード111Bにメタノールを含むメタノール水溶液が供給されることで発電するDMFC100に対して、その特性を検査する燃料電池検査システム1Aであって、内部にメタノール水溶液が貯溜されると共に密閉性を有するタンク11と、タンク11とDMFC100とを接続する配管11a、12a、13aとからなる液体燃料供給配管とを具備し、メタノール水溶液をDMFC100のアノード111B側に供給する液体燃料供給手段と、DMFC100のアノード111B側から排出されたメタノール水溶液をタンク11に戻す配管11bと、液体燃料供給配管に設けられ、内部を流通するメタノール水溶液中のメタノール濃度を検出する屈折率計13と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
また、タンクを備えたことにより、液体燃料がカソード側に透過して、タンクに戻される液体燃料の量が少なくても、連続的に液体燃料を燃料電池に供給することができる。ただし、タンクの容量が大きすぎると、燃料成分濃度の変化を検出しにくくなるため、前記液体燃料のクロスオーバーを考慮しつつ、小さくすることが好ましい。
まず、図1を参照して、燃料電池検査システム1Aの説明に先立って、検査対象であるDMFC100について簡単に説明する。DMFC100は、ノートパソコンなどの携帯端末に搭載され、電源として機能する燃料電池である。なお、携帯端末には、DMFC100とは別途に、メタノール水溶液(液体燃料)が充填された燃料カートリッジ(図示しない)が装着される。
MEAモジュール110は、MEA111と、MEA111を挟む挟持部材112および挟持部材113とを主に備えている。
MEA111は、パーフルオロスルホン酸系の一価の陽イオン交換膜などの電解質膜111Aと、電解質膜111Aを挟むアノード111B(燃料極)およびカソード111C(空気極)とを主に備えている。アノード111Bおよびカソード111Cは、例えば、白金などの触媒が担持されたカーボンペーパによって構成される。
挟持部材112、113は、MEA111をその両面側から挟むことによって、電解質膜111Aと、アノード111Bあるいはカソード111Cとの密着性を高める機能を有している。また、挟持部材112および挟持部材113のMEA111側には、フォトリソグラフィ法などで形成された集電板(図示しない)が、それぞれ形成されている。そして、アノード111B側の集電板にはDMFC100のマイナス端子100Bが固定されており、カソード111C側の集電板にはプラス端子100Cが固定されている。ただし、図1では、アノード111Bにマイナス端子100Bが、カソード111Cにプラス端子100Cが、それぞれ接続した模式的な状態で描いている。
一方、カソード111C側の挟持部材113には、MEA111側に開口した溝状の酸化剤ガス流路113aが適宜に形成されている。そして、酸化剤ガス流路113aには、DMFC100が携帯端末に搭載された場合、携帯端末に別途搭載されるコンプレッサなどから、酸素を含む空気(酸化剤ガス)が供給され、カソード111Cに供給されるようになっている。
燃料タンク120は、MEAモジュール110のアノード111B側に配置されており、アノード111Bに供給するメタノール水溶液が、一時的に貯溜されるタンク室120bを有する薄型の容器である。燃料タンク120のMEAモジュール110側の壁(図1では上壁)には、燃料流通孔120aが適宜に形成されており、燃料流通孔120aと、前記燃料流通孔112aを介して、メタノール水溶液がアノード111Bに供給されるようになっている。
また、燃料タンク120は、DMFC100が携帯端末に搭載された場合、前記燃料カートリッジからのメタノール水溶液の取込口となる燃料取込パイプ120cと、使用済みのメタノール水溶液が前記燃料カートリッジに排出される燃料排出パイプ120dとを有している。すなわち、燃料取込パイプ120cおよび燃料排出パイプ120dは、前記燃料カートリッジに接続する部分であり、燃料取込パイプ120cを介して、燃料カートリッジからタンク室120bにメタノール水溶液が供給され、燃料排出パイプ120dを経由して、前記燃料カートリッジに戻るようになっている。つまり、DMFC100と前記燃料カートリッジとの間で、メタノール水溶液が循環するようになっている。
次に、このようなDMFC100の特性を検査する燃料電池検査システム1Aの構成について説明する。
図1に示すように、燃料電池検査システム1Aは、DMFC100のカソード111C側に接続するカソード系と、アノード111B側に接続するアノード系と、DMFC100の出力端子(マイナス端子100B、プラス端子100C)に接続し電力を消費する電力消費系とを主に備えている。
アノード系は、DMFC100のアノード111B側に接続し、主に、タンク11とDMFC100との間でメタノール水溶液(液体燃料)を循環させると共に、循環するメタノール水溶液中のメタノール(燃料成分)濃度を検出する系である。具体的に説明すると、アノード系は、最上流に位置するタンク11と、プランジャポンプ12と、屈折率計13(燃料濃度検出手段)と、これらを接続する配管11a、11b、12a、13aと、タンク11に付随する電子天秤14(タンク質量測定手段)およびレーザ水位計15(体積検出手段、液面センサ)とを主に備えている。
タンク11は、内部にメタノール水溶液が貯溜されると共に、密閉性を有する容器である。これにより、タンク11内のメタノール水溶液が気化して、タンク11の隙間などから外部に流出しないようになっている。そして、タンク11は、配管11aを介して、下流側のプランジャポンプ12に接続している。
タンク11の容量は、MEA111におけるメタノール水溶液のクロスオーバーを考慮しつつ、なるべく小さくする方が好ましい。また、タンク11内に適宜な撹拌手段を設け、この撹拌手段によりタンク11内を撹拌し、メタノール水溶液のメタノール濃度が均一となるようにしてもよい。
また、レーザ水位計15はタンク11の上部に設置されおり、このレーザ水位計15からタンク11内のメタノール水溶液の液面に向かってレーザを照射することで、タンク11内のメタノール水溶液の水位を計測可能となっている。したがって、タンク11内の水位とその容積とを事前に関連付けて求めておくことで、メタノール水溶液の水位から、その体積を算出可能となっている。
プランジャポンプ12は、タンク11からDMFC100にメタノール水溶液を供給する動力源である。そして、プランジャポンプ12は、配管12aを介して、下流側の屈折率計13に接続している。ただし、動力源の種類はプランジャポンプに限定されず、その他のポンプであってもよい。
屈折率計13は、DMFC100に供給されるメタノール水溶液に、所定の光線を所定方向から照射することによって、メタノール水溶液の屈折率を計測する機器である。また、屈折率計13は、計測された屈折率と、屈折率とメタノール濃度とが関連付けられ、記憶されたデータ(いわゆる検量線)とから、メタノール濃度を求める機器である。このような屈折率計13としては、例えば、(株)日立ハイテクトレーディング社製の「濃度測定用プロセス屈折率計 PR−03−M」などを使用することができる。そして、屈折率計13は、配管13aを介して、DMFC100の燃料取込パイプ120cに接続している。
そして、配管11b(液体燃料戻し配管)が、DMFC100の燃料排出パイプ120dとタンク11とを接続しており、DMFC100から排出されたメタノール水溶液が配管11bを介して、タンク11に戻されるようになっている。
カソード系は、DMFC100のカソード111C側に接続し、主に、DMFC100の酸化剤ガス流路113aに、酸素を含む空気(酸化剤ガス)を供給する酸化剤ガス供給手段である。カソード系は、最上流に位置するコンプレッサ21と、開閉弁22と、流量計23と、開閉弁24と、リリーフ弁25と、これらを接続する配管21a、22a、23a、24a、24b、25aを主に備えている。
開閉弁22は、コンプレッサ21からの圧縮空気の流通/非流通を適宜に切り換える弁である。そして、開閉弁22は、配管22aを介して、流量計23に接続している。
流量計23は、酸化剤ガス流路113aに供給される圧縮空気の流量を検出する機器である。そして、流量計23は、配管23aを介して、挟持部材113の酸化剤ガス流路113aの上流端に接続している。
一方、DMFC100の発電の進行により、カソード111Cで生成する水によって、循環する圧縮空気中の水分量が多くなった場合などに、リリーフ弁25は開かれる。これにより、含水量の高い圧縮空気が外気中に排出されるようになっている。また、リリーフ弁25は、DMFC100の検査後は開かれ、配管24a内などの圧縮空気が外気中に開放されるようになっている。
電力消費系は、DMFC100の出力端子(マイナス端子100B、プラス端子100C)に接続する系である。すなわち、電力消費系で電力を消費することによって、DMFC100が発電する。電力消費系は、電流電圧検出器31と、外部負荷32とを主に備えており、外部負荷32は、電流電圧検出器31を介して、DMFC100のマイナス端子100B、プラス端子100Cに接続している。外部負荷32は、DMFC100が携帯端末に搭載された場合において電力を消費する液晶モニタなどに相当する負荷である。電流電圧検出器31は、DMFC100の出力電流、出力電圧を検出する機器であり、外部負荷32と直列に配置された電流計、外部負荷32と並列に配置された電圧計などから構成される。
次に、燃料電池検査システム1AによるDMFC100の一検査方法について説明する。
ここでは、(1)外部負荷32で電力を消費せず、つまり、DMFC100を発電させずに、タンク11とDMFC100との間でメタノール水溶液を循環させて、MEA111でのクロスオーバーによるメタノール濃度変化を測定する場合と、(2)外部負荷32で電力を消費して、つまり、DMFC100を発電させて、この発電によるメタノール濃度変化を測定する場合について説明する。
まず、DMFC100を発電させず、MEA111におけるクロスオーバーによるメタノール濃度変化を測定する場合について説明する。
燃料タンク120の燃料取込パイプ120cに配管13aの下流端を、燃料排出パイプ120dに配管11bの上流端を、それぞれ接続する。このとき、配管11a、11b、12a、13a内のエア抜きをする。
そして、プランジャポンプ12を適宜な作動条件で作動させる。そうすると、タンク11内のメタノール水溶液が、タンク11から、配管11a、プランジャポンプ12、配管12a、屈折率計13、配管13a、燃料取込パイプ120c、タンク室120b、燃料排出パイプ120d、配管11bを経由し、タンク11に戻るルートで循環する。
また、カソード系のコンプレッサ21の上流側に、窒素が充填された窒素タンクなどの窒素供給源を取り付け、コンプレッサ21を作動すると共に、開閉弁22、開閉弁24を開き、酸化剤ガス流路113aに窒素を流通させる。
なお、外部負荷32による電力の消費は行わず、DMFC100を発電させない。
そして、電子天秤14でタンク11内のメタノール水溶液の質量を連続的に求める。これと共に、レーザ水位計15でタンク11内のメタノール水溶液の水位を計測し、この水位に基づいて、メタノール水溶液の体積を連続的に求める。
このようにして求めたメタノール水溶液の質量と体積とから、タンク11内のメタノール水溶液の密度を連続的に算出する。次いで、タンク11内のメタノール水溶液の密度と、予め求めておいたメタノール水溶液の密度とメタノール水溶液の濃度との関係、つまり検量線とに基づいて、タンク11内のメタノール水溶液の濃度および濃度変化を連続的にリアルタイムで求めることができる。
また、単に、電子天秤14によって、タンク11内のメタノール水溶液の減少量を測定することもできる。
また、屈折率計13で、その内部を流通するメタノール水溶液の屈折率を測定する。次いで、測定した屈折率と、予め求めておいたメタノール濃度と屈折率との関係、つまり検量線とから、メタノール濃度および濃度変化を連続的に求めることができる。
したがって、メタノール水溶液を循環させながら、MEA111においてクロスオーバーしたメタノールの量を求めることができる。つまり、MEA111の一特性であるメタノールのクロスオーバー量を求めることができる。
次に、外部負荷32で電力を消費して、DMFC100を発電させた場合において、発電によるメタノール濃度変化の測定などについて説明する。なお、プランジャポンプ12などアノード系の操作については、DMFC100を発電させない場合と同様であるため、ここでは省略する。
次いで、電子天秤14、レーザ水位計15により、タンク11内のメタノール水溶液の密度を求め、この密度と前記検量線とに基づいて、メタノール濃度および濃度変化を求めることができる。また、屈折率計13により、その内部を流通するメタノール水溶液の屈折率を測定し、この屈折率と前記検量線とに基づいて、メタノール濃度および濃度変化を求めることができる。
そして、これらに基づいて、例えば、DMFC100とは別に携帯端末に搭載される燃料カートリッジ内のメタノール水溶液のメタノール濃度を、好適に設定することもできる。その他、単に、電子天秤14によって測定されたタンク11内のメタノール水溶液の減少量から、DMFC100の発電継続時間に関係する燃料カートリッジの容量を設定することもできる。
また、電流電圧検出器31により、発電するDMFC100の出力電流、出力電圧を検出することができる。具体的には、外部負荷32での電力消費の程度を変化させて、図2に示すような、DMFC100の電流密度−電圧に係るグラフ、いわゆるDMFC100の電流−電圧特性を得ることもできる。
さらに、燃料電池検査システム1Bは、レーザ水位計18(体積測定手段)を備えており、このレーザ水位計18により、タンク16内のメタノール水溶液の水位を計測し、前記実施形態と同様に、メタノール水溶液の体積を測定可能となっている。
したがって、タンク16内のメタノール水溶液の質量と、タンク16内のメタノール水溶液の体積とから、タンク16内のメタノール水溶液の密度を求め、この密度と検量線とに基づいて、メタノール濃度および濃度変化を測定可能となっている。
なお、図3に示す燃料電池検査システム1Bにおいて、タンク11は特許請求の範囲の「第1タンク」に、タンク16は「第2タンク」に、電子天秤14は「第1タンク質量測定手段」に、電子天秤17は「第2タンク質量測定手段」にそれぞれ相当する。
また、アノード111B側に燃料タンク120を備えず、アノード111B側の挟持部材に、MEA111側に開口した溝状の燃料ガス流路が形成され、この燃料ガス流路にメタノール水溶液が流通するDMFCであってもよい。
さらに、DMFCはその出力を高めるために、複数のMEA111が面状で配列したDMFCであってもよいし、複数のMEAがセパレータを介して重ねられたスタック状のDMFCなどであってもよいことは言うまでもない。
11 タンク(第1タンク)
13 屈折率計(燃料成分濃度検出手段)
14 電子天秤(タンク質量検出手段、第1タンク質量検出手段)
15、18 レーザ水位計(体積測定手段)
16 タンク(第2タンク)
17 電子天秤(第2タンク質量検出手段)
31 電流電圧検出器
32 外部負荷
Claims (10)
- 膜電極接合体を具備し、当該膜電極接合体のアノードに燃料成分を含む液体燃料が供給されることで発電する燃料電池に対して、当該燃料電池の特性を検査する燃料電池検査システムであって、
内部に液体燃料が貯溜されると共に密閉性を有するタンクと、当該タンクと前記燃料電池とを接続する液体燃料供給配管とを具備し、前記タンク内の液体燃料を前記液体燃料供給配管を介して前記燃料電池のアノード側に供給する液体燃料供給手段と、
前記燃料電池のアノード側から排出された液体燃料を前記タンクに戻す液体燃料戻し配管と、
前記液体燃料供給配管および前記液体燃料戻し配管の少なくとも一方の配管に設けられ、当該少なくとも一方の配管内を流通する液体燃料中の前記燃料成分濃度を検出する燃料成分濃度検出手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池検査システム。 - 前記燃料成分濃度検出手段は、屈折率計を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池検査システム。
- 膜電極接合体を具備し、当該膜電極接合体のアノードに燃料成分を含む液体燃料が供給されることで発電する燃料電池に対して、当該燃料電池の特性を検査する燃料電池検査システムであって、
内部に液体燃料が貯溜されると共に密閉性を有するタンクを具備し、当該タンク内の液体燃料を前記燃料電池のアノード側に供給する液体燃料供給手段と
前記燃料電池のアノード側から排出された液体燃料を前記タンクに戻す液体燃料戻し配管と、
液体燃料が貯溜された前記タンクの質量を測定するタンク質量測定手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池検査システム。 - 膜電極接合体を具備し、当該膜電極接合体のアノードに燃料成分を含む液体燃料が供給されることで発電する燃料電池に対して、当該燃料電池の特性を検査する燃料電池検査システムであって、
内部に液体燃料が貯溜されると共に密閉性を有する第1タンクを具備し、当該第1タンク内の液体燃料を前記燃料電池のアノード側に供給する液体燃料供給手段と
前記燃料電池のアノード側から排出された液体燃料が貯溜されると共に密閉性を有する第2タンクと、
液体燃料が貯溜された前記第1タンクの質量を測定する第1タンク質量測定手段と、
液体燃料が貯溜された前記第2タンクの質量を測定する第2タンク質量測定手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池検査システム。 - 前記各タンク内に貯溜された液体燃料の体積を検出する体積検出手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の燃料電池検査システム。
- 前記燃料電池の出力端子に接続する外部負荷を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池検査システム。
- 膜電極接合体を具備し、当該膜電極接合体のアノードに燃料成分を含む液体燃料が供給されることで発電する燃料電池に対して、当該燃料電池の特性を検査する燃料電池検査システムであって、
前記燃料電池のアノード側に前記液体燃料を供給する液体燃料供給手段と、
前記燃料電池から排出された液体燃料が流通する配管に設けられ、当該配管内を流通する液体燃料中の燃料成分濃度を検出する燃料成分濃度検出手段と、
前記燃料電池の出力端子に接続する外部負荷と、
を備えたことを特徴とする燃料電池検査システム。 - 前記燃料成分濃度検出手段は、屈折率計を備えたことを特徴とする請求項7に記載の燃料電池検査システム。
- 前記燃料電池の出力電流および出力電圧を検出する電流電圧検出器を、さらに備えたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池検査システム。
- 前記燃料電池のカソード側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池検査システム。
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