JP2006195099A - 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、水系液体で構成された水系分散媒中に、樹脂材料を含む材料で構成された分散質が分散した水系分散液を用意する工程と、水系分散液を噴霧して、水系分散媒が除去されることにより得られるトナー粒子を、直接、前記絶縁性液体中に分散させる工程とを有することを特徴とする。トナー粒子の含水量は、0.3〜5.0wt%である。
【選択図】なし
Description
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、保存時等における粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
しかしながら、従来の液体現像剤の製造方法では、以下のような問題点があった。
また、従来の方法で製造された液体現像剤は、一般に、紙等の記録媒体に対するトナー粒子の定着性が劣るという問題点もあった。
本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
水系液体で構成された水系分散媒中に、樹脂材料を含む材料で構成された分散質が分散した水系分散液を用意する工程と、
前記水系分散液を噴霧して、前記水系分散媒が除去されることにより得られるトナー粒子を、直接、前記絶縁性液体中に分散させる工程とを有することを特徴とする。
これにより、記録媒体に対するトナー粒子の定着性に優れた液体現像剤を効率良く(生産性良く)製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することができる。特に、環境に優しい方法で、記録媒体に対するトナー粒子の定着性に優れた液体現像剤を製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することができる。
これにより、記録媒体に対するトナー粒子の定着性を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記トナー粒子の含水量は、0.3〜5.0wt%であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電性を十分に良好なものとしつつ、分散性を良くして、記録媒体に対するトナー粒子の定着性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子をより小さなものとして形成することができるとともに、各トナー粒子間での大きさのばらつきを特に小さいものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系分散液は、乳化重合法により製造された微粒子を、前記分散質として含むものであることが好ましい。
これにより、粒径が安定した粒子を形成できる。
これにより、容易かつ確実に、水系分散液を構成する分散質の大きさを十分に小さなものとすることができ、その結果、トナー粒子の大きさを十分に小さなものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系分散液は、前記樹脂材料と着色剤とを含む混練物を用いて調製されたものであることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での組成、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
これにより、各トナー粒子間での形状、大きさのばらつきを特に小さくすることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性等)のばらつきを特に小さくすることができる。また、トナー粒子の粒径をより小さくすることができる。
これにより、分散質同士、トナー粒子同士の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。また、溶媒の除去とともに、脱気処理を施すことができ、例えば、トナー粒子を複数個の分散質の凝集体として得る場合において、異形状のトナー粒子が形成されるのをより効果的に防止することができる。また、溶媒の除去に伴い、水系分散媒(水)を分散質内部に効率良く侵入(置換)させることができ、その結果、最終的なトナー粒子を適度な含水量のものとして得ることができる。
これにより、分散質の不本意な凝集等を効果的に防止しつつ、水系分散媒の除去をより効率良く行うことができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系分散液の吐出は、圧電パルスにより行うことが好ましい。
これにより、分散質の不本意な凝集等を効果的に防止しつつ、水系分散媒の除去をより効率良く行うことができる。また、水系分散液を、より確実に、均一な大きさの液滴として間欠的に吐出することができ、また、吐出される水系分散液の形状の安定性が向上する。その結果、例えば、トナー粒子を複数個の分散質の凝集体として得る場合において、各トナー粒子間での形状、大きさのばらつきの小さい液体現像剤を得ることができるとともに、トナー粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。
これにより、水系分散媒の除去を、より効率良く行うことができる。また、例えば、トナー粒子を複数個の分散質の凝集体として得る場合において、適度な粒径を有するトナー粒子を、より確実に形成することができる。
これにより、記録媒体に対するトナー粒子の定着性に優れた液体現像剤を提供することができる。
本発明の液体現像剤では、トナー粒子の平均粒径が0.1〜5μmであることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.0μm以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
図1は、水系乳化液(水系分散液)の調製に用いる混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図、図2は、本発明の液体現像剤の製造に用いられる液体現像剤製造装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図、図3は、図2に示す液体現像剤製造装置のヘッド部付近の拡大断面図である。以下、図1中、左側を「基端」、右側を「先端」として説明する。
本発明で用いる水系分散液は、いかなる方法で調製されたものであってもよいが、本実施形態では、着色剤と樹脂材料とを含む混練物を用いて調製したものを用いる。
後述する混練工程で得られる混練物は、液体現像剤のトナーを構成する成分を含むものであり、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
まず、混練物の調製に用いられる材料について説明する。
1.樹脂(バインダー樹脂)
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂(バインダー樹脂)を含む材料で構成されている。
自己分散型樹脂としては、特に限定されないが、例えば、後述する水性液体に対する親液性(親水性)を有する基を多数有する樹脂が挙げられる。
また、前述した基の中でも、特に、−COO−基、−SO3−基が好ましい。このような基を有する自己分散型樹脂は、水系液体に対する分散性が特に優れており、適度な水分保持力を有するとともに、また、製造が比較的容易で、比較的安価に入手でき、その結果、液体現像剤の製造の更なる低コスト化を図ることができる。
例えば、−COO−基を有する自己分散型樹脂は、水難溶性または水不溶性の樹脂(原料樹脂)に不飽和カルボン酸類をグラフト共重合またはブロック共重合させること、または、熱可塑性樹脂を構成する単量体と不飽和カルボン酸類とをランダム共重合させることにより、製造することができる。
また、上記のような自己分散型樹脂は、例えば、前述したような官能基を有する前駆体(例えば、対応するモノマー(単量体)、ダイマー(2量体)、オリゴマー等)を重合させること等によっても製造することができる。
なお、混練物は、上述したような自己分散型樹脂以外の樹脂材料を含むものであってもよい。このような樹脂材料(自己分散型樹脂以外の樹脂材料)としては、例えば、上記で原料樹脂として例示したものを用いることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいる。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、混練物の調製には、上記以外の成分を用いてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、例えば、無機溶媒、有機溶媒等の溶媒として用いられるような材料を用いてもよい。これにより、例えば、混練の効率を向上させることができ、各成分がより均一に混ざり合った混練物を容易に得ることができる。
次に、上記のような成分を含む原料K5を混練して、混練物K7を得る方法の一例について説明する。
混練物K7は、例えば、図1に示すような装置を用いて製造することができる。
[混練工程]
混練に供される原料K5は、前述したような成分を含むものである。特に、原料K5が着色剤を含むことにより、本工程で原料K5中に含まれる空気(特に着色剤が抱き込んだ空気)を効率よく除去することができ、トナー粒子の内部に気泡が混入(残存)するのを効果的に防止することができる。混練に供される原料K5は、これらの各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
混練機K1は、原料K5を搬送しつつ混練するプロセス部K2と、混練された原料(混練物K7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部K3と、プロセス部K2内に原料K5を供給するフィーダーK4とを有している。
プロセス部K2は、バレルK21と、バレルK21内に挿入されたスクリューK22、スクリューK23と、バレルK21の先端にヘッド部K3を固定するための固定部材K24とを有している。
プロセス部K2の全長は、50〜300cmであるのが好ましく、100〜250cmであるのがより好ましい。プロセス部K2の全長が前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2の全長が前記上限値を超えると、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られる液体現像剤(トナー)の物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
プロセス部K2で混練された混練物K7は、スクリューK22とスクリューK23との回転により、ヘッド部K3を介して、混練機K1の外部に押し出される。
ヘッド部K3は、プロセス部K2から混練物K7が送り込まれる内部空間K31と、混練物K7が押し出される押出口K32とを有している。
図示の構成では、内部空間K31は、押出口K32の方向に向って、その横断面積が漸減する横断面積漸減部K33を有している。このような横断面積漸減部K33を有することにより、押出口K32から押し出される混練物K7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物K7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
ヘッド部K3の押出口K32から押し出された軟化した状態の混練物K7は、冷却機K6により冷却され、固化する。
冷却機K6は、ロールK61、K62、K63、K64と、ベルトK65、K66とを有している。
ベルトK65は、ロールK61とロールK62とに巻掛けられている。同様に、ベルトK66は、ロールK63とロールK64とに巻掛けられている。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、混練装置にディスク(ニーディングディスク)部があってもよい。
また、本実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口K32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
次に、上述したような冷却工程を経た混練物K7を粉砕する。このように、混練物K7を粉砕することにより、後述する水系分散液(水系乳化液、水系懸濁液)を、比較的容易に、より微小な分散質が分散したものとして得ることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤においても、トナー粒子の大きさをより小さなものとすることができ、高解像度の画像形成に好適に用いることができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理等の処理を行ってもよい。分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
本実施形態では、上記のような混練物を用いて、水系分散液を調製する。特に、本実施形態では、上記のような混練物を用いて、一旦、水系乳化液を調製し、その後、当該水系乳化液を用いて水系懸濁液を調製する。
次に、上記のような混練物K7を用いて、水系液体で構成された水系分散媒中に、トナー材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を調製する(水系乳化液調製工程)。
水系乳化液においては、分散質が液状である(流動性を有し、比較的容易に変形可能である)ため、分散質はその表面張力により、円形度(真球度)の大きい形状になる傾向を示す。したがって、当該水系乳化液を用いて調製される懸濁液(水系懸濁液)も、分散質の形状が比較的円形度(真球度)の大きいものとなり、最終的に得られるトナー粒子も比較的円形度(真球度)の大きいものとなる。また、分散質が液状である(流動性を有し、比較的容易に変形可能である)乳化液では、乳化液を攪拌すること等により、比較的容易に分散質の大きさの均一性を十分に高いものとすることができる。
以下、水系乳化液の調製方法について詳細に説明する。
本実施形態では、まず、混練物の少なくとも一部が溶解した混練物の溶液を得る。
溶液は、混練物と、混練物の少なくとも一部を溶解し得る溶媒とを混合することにより調製することができる。
溶液の調製に用いる溶媒は、混練物の少なくとも一部を溶解しうるものであればいかなるものであってもよいが、通常、後述する水系液体(水系乳化液の調製の用いる水系液体)との相溶性の低いもの(例えば、25℃における水系液体100gに対する溶解度が10g以下の液体)が用いられる。
なお、溶液中においては、混練物を構成する成分の少なくとも一部が溶解(膨潤を含む)していればよく、溶液中に、溶解していない不溶分が存在していてもよい。
次に、上記のような溶液を水系液体と混合することにより、水系乳化液を得る。この水系乳化液においては、通常、前述した溶媒と混練物の構成材料とを含む分散質が、水系液体で構成された水系分散媒中に分散している。
本発明において、「水系液体」とは、少なくとも水(H2O)を含む液体のことを指し、好ましくは、主として水で構成されたものである。水系液体中に占める水の含有率は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのが好ましく、90wt%以上であるのが好ましい。なお、水系液体は、水以外の成分を含むものであってもよい。例えば、水系液体は、水との相溶性に優れる成分(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の物質)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられる。
溶液と水系液体との混合の具体的な方法としては、例えば、容器内の水系液体中に溶液を加える方法(例えば、滴下する方法)、容器内の溶液中に水系液体を加える方法(例えば、滴下する方法)等が挙げられる。これらの場合、少なくとも、攪拌した状態の液体中に、他方の液体を加えるのが好ましい。これにより、上述した効果は更に顕著に発揮される。
水系乳化液中における分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがより好ましい。これにより、水系乳化液中における分散質同士の不本意な結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
また、水系乳化液中には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフミン酸等が挙げられる。
また、水系乳化液中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等が添加されていてもよい。
上記のようにして得られた水系乳化液は、そのまま、トナー粒子製造用の噴霧液として用いてもよいが、本実施形態においては、(液状の分散質が水系分散媒中に分散した)水系乳化液から、固形状の分散質31が分散媒(水系分散媒)32中に分散した水系懸濁液3を得、当該水系懸濁液3をトナー粒子製造用の噴霧液として用いる。これにより、分散質同士、トナー粒子同士の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。また、溶媒の除去とともに、脱気処理を施すことができ、例えば、トナー粒子を複数個の分散質の凝集体として得る場合において、異形状のトナー粒子が形成されるのをより効果的に防止することができる。また、溶媒の除去に伴い、水系分散媒(水)を分散質内部に効率良く侵入(置換)させることができ、その結果、最終的なトナー粒子を適度な含水量のものとして得ることができる。
以下、水系懸濁液3の調製方法について詳細に説明する。
溶媒の除去は、例えば、水系乳化液を加熱(加温)したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができるが、水系乳化液を減圧下で加熱することにより行うものであるのが好ましい。これにより、分散質31の大きさ、形状のばらつきが特に小さい水系懸濁液3を、比較的容易に得ることができる。また、上記のように溶媒を除去することにより、溶媒の除去とともに、脱気処理を施すことができる。これにより、水系懸濁液3中の気体の溶存量を低減させることができ、液体現像剤製造装置M1の分散媒除去部M3において、水系懸濁液3の液滴5から分散媒32を除去する際に、当該水系懸濁液3中に気泡等が発生するのを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中に異形状のトナー粒子(中空粒子、欠落粒子等)が混入するのをより効果的に防止することができる。
また、水系乳化液を減圧雰囲気下に置く場合、水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力は、0.1〜50kPaであるのが好ましく、0.5〜5kPaであるのがより好ましい。水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力が前記範囲内の値であると、異形状の分散質31の発生を十分に防止しつつ(水系乳化液の分散質の内部から溶媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、溶媒を速やかに除去することができる。
水系懸濁液3中における分散質31の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがより好ましい。これにより、分散質同士の不本意な結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
次に、水系懸濁液(水系分散液)3を噴霧する。これにより、水系懸濁液3(液滴5)から分散媒(水系分散媒)32が除去されトナー粒子8が形成されるとともに、形成されたトナー粒子8を、直接、絶縁性液体9中に分散させる(水系分散液噴霧工程)。これにより、絶縁性液体9にトナー粒子8が分散した液体現像剤10が得られる。また、噴霧液として用いられる分散液は、分散媒が水系液体で構成されたものであるため、環境に優しい方法で液体現像剤を得ることができる。
特に、本実施形態では、図2、図3に示すような液体現像剤製造装置を用いて、水系分散媒の除去を行う。
図2に示すように、液体現像剤製造装置M1は、上述したような水系懸濁液(水系分散液)3を、液滴5として間欠的に吐出するヘッド部M2と、ヘッド部M2に水系懸濁液3を供給する水系懸濁液供給部(水系分散液供給部)M4と、ヘッド部M2から吐出された液滴状(微粒子状)の水系懸濁液3(液滴5)を搬送しつつ分散媒32を除去し、トナー粒子8とする分散媒除去部M3と、絶縁性液体9を貯留する絶縁性液体貯留部M5とを有している。
ヘッド部M2は、分散液貯留部M21と、圧電素子M22と、吐出部M23とを有している。
分散液貯留部M21には、水系懸濁液3が貯留されている。
吐出部M23の形状は、特に限定されないが、略円形状であるのが好ましい。これにより、吐出される水系懸濁液3や、分散媒除去部M3内において形成されるトナー粒子8の真球度を高めることができる。
図3に示すように、圧電素子M22は、下部電極(第1の電極)M221、圧電体M222および上部電極(第2の電極)M223が、この順で積層されて構成されている。換言すれば、圧電素子M22は、上部電極M223と下部電極M221との間に、圧電体M222が介挿された構成とされている。
ヘッド部M2は、圧電素子駆動回路(図示せず)から所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子M22の下部電極M221と上部電極M223との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体M222に変形が生じない。このため、振動板M24にも変形が生じず、分散液貯留部M21には容積変化が生じない。したがって、吐出部M23から水系懸濁液3は吐出されない。
このように、水系懸濁液3の吐出(噴射)を、圧電体M222の振動による圧力パルスで行うことにより、水系懸濁液3を一滴ずつ間欠的に吐出することができ、また、吐出される水系懸濁液3の液滴5の形状が安定する。その結果、各トナー粒子間での形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができるとともに、製造されるトナー粒子を真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることが比較的容易にできる。
ヘッド部M2から分散媒除去部M3に吐出される水系懸濁液3(液滴5)の初速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、2〜8m/秒であるのがより好ましい。水系懸濁液3の初速度が前記下限値未満であると、トナーの生産性が低下する。一方、水系懸濁液3の初速度が前記上限値を超えると、最終的に得られるトナー粒子の真球度が低下する傾向を示す。
各ヘッド部M2は、ほぼ同時に水系懸濁液3(液滴5)を吐出するものであってもよいが、少なくとも隣り合う2つのヘッド部で、水系懸濁液3(液滴5)の吐出タイミングが異なるように制御されたものであるのが好ましい。これにより、隣接するヘッド部M2から吐出された液滴5からトナー粒子8が形成される前に、液滴5同士が衝突し、不本意な凝集が発生するのをより効果的に防止することができる。
また、ガス流供給手段M10には、熱交換器M11が取り付けられている。これにより、ガス噴射口M7から噴射されるガスの温度を好ましい値に設定することができ、分散媒除去部M3に吐出された粒状の水系懸濁液3から分散媒32を効率良く除去することができる。
また、このようなガス流供給手段M10を有すると、ガス流の供給量を調整すること等により、吐出部M23から吐出された水系懸濁液3からの分散媒32の除去速度等を容易にコントロールすることも可能となる。
また、図示の構成では、ハウジングM31内の圧力は、圧力調整手段M12により調整される構成となっている。このように、ハウジングM31内の圧力を調整することにより、より効率良くトナー粒子8を形成することができ、結果として、液体現像剤の生産性が向上する。なお、図示の構成では、圧力調整手段M12は、接続管M121でハウジングM31に接続されている。また、接続管M121のハウジングM31と接続する端部付近には、その内径が拡大した拡径部M122が形成されており、さらに、トナー粒子8等の吸い込みを防止するためのフィルターM123が設けられている。
また、ハウジングM31には、電圧を印加するための電圧印加手段M8が接続されている。電圧印加手段M8で、ハウジングM31の内面側に、トナー粒子8(液滴5)と同じ極性の電圧を印加することにより、これにより、以下のような効果が得られる。
上記のようにして分散媒除去部M3(ハウジングM31内)で形成されたトナー粒子8は、通常、液滴5に含まれる分散質31に対応する大きさを有するものである。これにより、最終的に得られる液体現像剤は、比較的小粒径で、円形度(球形度)が高く、各粒子間での形状、大きさのばらつきの小さいトナー粒子を含むものとなる。
また、絶縁性液体9の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
このような条件を満足する絶縁性液体9としては、例えば、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、各種シリコーンオイル、アマニ油、大豆油等の植物油、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。
上記のようにして得られる液体現像剤は、トナー粒子の記録媒体に対する定着性に優れている。また、上記のようにして得られる液体現像剤は、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが小さい。したがって、このような液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中(液体現像剤中)で泳動し易く、高速現像にも有利である。また、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが小さいため、トナー粒子の分散性に優れており、液体現像剤中でのトナー粒子の沈降や浮遊等が効果的に防止される。したがって、このような液体現像剤は、長期安定性にも優れている。
図4は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。画像形成装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
同様に、中間転写ローラP18から情報記録媒体P20へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する紙等の情報記録媒体P20に画像が転写され、紙等の情報記録媒体P20上でのトナー画像は図6に示す定着装置使用して定着が行われる。
なお、図4、図5共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
図に示すように、定着装置F40は、熱定着ロール(以下、加熱ロールともいう)F1、加圧ロールF2、耐熱ベルトF3、ベルト張架部材F4、およびクリーニング部材F6を備えている。
例えば、液体現像剤製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
このように、図示のような構成とすることにより、水系懸濁液3として、より粘度の高い材料や、凝集力の大きい材料を用いた場合であっても、トナー粒子8を所望の形状、大きさにコントロールすることができるので、材料選択の幅が特に広くなり、所望の特性を有するトナーをさらに容易に得ることができる。
さらに、図8〜図10に示すように、音響レンズM25と吐出部M23との間に、吐出部M23に向けて、収斂する形状を有する絞り部材M13等を配置してもよい。これにより、圧電素子M22が発生した圧力パルス(振動エネルギー)の収束を補助することができ、圧電素子M22が発生した圧力パルスをさらに効率よく利用することができる。
また、前述した実施形態では、トナーの構成成分が固形成分として、分散質中に含まれるものとして説明したが、トナーの構成成分の少なくとも一部は、分散媒中に含まれていてもよい。
(実施例1)
まず、自己分散型樹脂としての、側鎖に多数の−SO3 −基(スルホン酸Na基)を有するポリエステル樹脂(ガラス転移点:58℃、軟化温度:120℃、吸水量:0.2wt%):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。自己分散型樹脂は、当該自己分散型樹脂100g中に、−SO3 −基を0.1mol有するものであった。
次に、この原料(混合物)を、図1に示すような2軸混練押出機を用いて、混練した。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が125〜135℃となるように設定した。
このような条件から求められる、原料がプロセス部を通過するのに要する時間は約4分間である。
なお、上記のような混練は、脱気口を介してプロセス部に接続された真空ポンプを稼動させることにより、プロセス部内を脱気しつつ行った。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、図1中に示すような冷却機を用いて、冷却した。冷却工程直後の混練物の温度は、約40℃であった。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物の自己分散型樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
一方、イオン交換水:700重量部からなる水系液体を用意した。
前記水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が3μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
水系懸濁液供給部内の水系懸濁液を攪拌手段で攪拌しつつ、定量ポンプによりヘッド部に供給し、吐出部から分散媒除去部に吐出(噴射)させた。吐出部は、直径:25μmの円形状をなすものとした。また、ヘッド部としては、吐出部付近に、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)コートによる疎水化処理が施されたものを用いた。なお、水系懸濁液供給部内における水系懸濁液の温度は、35℃になるように調節した。
また、分散媒除去部のハウジングには、その内表面側の電位が−100Vとなるように電圧を印加し、内壁に水系懸濁液(トナー粒子)が付着するのを防止するようにした。
混練物のトルエン溶液調製時におけるトルエンの使用量、水系乳化液の調製時における水系液体の攪拌条件、溶液の滴下速度、ヘッド部内での水系懸濁液の温度、ガス噴射口から噴射する空気の温度を変更することにより、水系乳化液中における分散質の平均粒径、含有率、トナー粒子の含水量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。
混練物の調製において、自己分散型樹脂として、側鎖に多数の−PO4 −基を有するポリエステル樹脂((軟化温度:115℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。なお、自己分散型樹脂は、当該自己分散型樹脂100g中に、−PO4 −基を0.1mol有するものであった。
トナー製造用の原料(混練物)の調製において、自己分散型樹脂の代わりに、エポキシ樹脂(自己分散型樹脂ではない)を用い、更に、分散剤としてのドデシルトリメチルアンモニウムクロライド:0.5重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
以下に示すような乳化重合法により水系懸濁液を調製した。
オクタデシルメタクリレート:100g、トルエン:150gおよびイソプロパノール:50gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。2,2’−アゾビス(4−シアノ吉草酸):30gを加え8時間反応した。冷却後、メタノール:2リットル中に再沈し白色粉末を凝集後、乾燥した。得られた白色粉末:50g、酢酸ビニル:3.3g、ハイドロキノン:0.2gおよびトルエン:100gの混合物を温度40℃に加温して、3時間反応した。次に70℃に昇温し、100%硫酸:3.8×10−3mlを加え10時間反応反応した。温度25℃まで冷却し酢酸ナトリウム三水和物:0.02gを加え30分間攪拌した後、メタノール:1リットル中に再沈し、凝集後、乾燥し、分散安定用樹脂を得た。
上記の白色ラテックス粒子:30gを水中に分散させた。
上記のようにして得られた水系懸濁液を噴霧液として用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
水系懸濁液の代わりに、前記実施例1で調製したトルエン溶液を噴霧液として用いた以外は、前記実施例1と同様にして、主として樹脂材料で構成された微粒子が絶縁性液体中に分散した分散液を得た。
その後、この分散液を攪拌しつつ、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの環境下に置くことにより、トルエンが除去された液体現像剤を得た。
まず、前記実施例1と同様にして混練物の粗粉砕物(平均粒径:1.5mm)を得た。
次に、ジェットミルを用いて、この粗粉砕物を微粉砕し、平均粒径:5.2μmの微粉末とした。
その後、上記のようにして得られた微粉砕物:20重量部を、アイソパーH(エクソン化学社製):100重量部と、分散剤(ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド):1重量部との混合物中にボールミル粉砕と分散させることにより、液体現像剤を得た。
まず、前記実施例6と同様にして混練物の粗粉砕物(平均粒径:1.5mm)を得た。
次に、ジェットミルを用いて、この粗粉砕物を微粉砕し、平均粒径:5.4μmの微粉末とした。
その後、上記のようにして得られた微粉砕物:20重量部を、アイソパーH(エクソン化学社製):100重量部と、分散剤(ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド):1重量部との混合物中にボールミル粉砕と分散させることにより、液体現像剤を得た。
まず、電気絶縁性液体として、アイソパーH(エクソン化学社製)を用意した。この電気絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は1014Ωcm、絶縁性液体の比誘電率は2.3であった。
オクタデシルメタクリレート:100g、トルエン:150gおよびイソプロパノール:50gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。2,2’−アゾビス(4−シアノ吉草酸):30gを加え8時間反応した。冷却後、メタノール:2リットル中に再沈し白色粉末を凝集後、乾燥した。得られた白色粉末:50g、酢酸ビニル:3.3g、ハイドロキノン:0.2gおよびトルエン:100gの混合物を温度40℃に加温して、2時間反応した。次に70℃に昇温し、100%硫酸:3.8×10−3mlを加え10時間反応反応した。温度25℃まで冷却し酢酸ナトリウム三水和物:0.02gを加え30分間攪拌した後、メタノール:1リットル中に再沈し、凝集後、乾燥し、分散安定用樹脂を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化樹脂(商品名:デュミランC−2280、武田薬品工業社製):80重量部を、2−エチルヘキサン酸エステル(商品名:エキセパールHO、花王社製):200重量部に加熱時溶解させた後、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部と混合し、80℃に加熱した熱3本ロールミル(井上製作所社製)で分散した。得られた40℃に加温している顔料分散溶液:30重量部に、アイソパーH(エクソン化学社製):70重量部をホモジナイザーにて7000rpmで攪拌混合しながら添加し、その後更にホモジナイザーにて7000rpmで30分間攪拌混合した。次いで、サリチル酸Al塩(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製):1重量部をアイソパーH:100部に溶解した溶液をホモジナイザーにて7000rpmで攪拌分散しながら添加し、その後更にホモジナイザーにて7000rpmで30分間攪拌分散を行うことにより、液体現像剤を得た。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、定着強度、透明性、保存安定性の評価を行った。
[2.1]定着強度
図4に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙上に形成された画像について、オーブンによる熱定着を行った。この熱定着は、120℃×30分間という条件で行った。
○:画像濃度残存率が90%以上。
△:画像濃度残存率が70%以上90%未満。
×:画像濃度残存率が70%未満。
図4に示すような画像形成装置、図6に示すような定着装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像をOHPシート(エーワン社製、27081)上に形成した。
その後、HAZEメーター(日本電色工業社製、MODEL1001DP)でHAZE値を測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。なお、HAZE値は、拡散透過率を全透過率で除した値であり、トナー中の各成分の分散性が良い程、この値は小さくなる。
◎:HAZE値が47未満。
○:HAZE値が47以上50未満。
△:HAZE値が50以上53未満。
×:HAZE値が53以上。
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜20℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の凝集沈降がまったく認められない。
○:トナー粒子の凝集沈降がほとんど認められない。
△:トナー粒子の凝集沈降がわずかに認められる。
×:トナー粒子の凝集沈降がはっきりと認められる。
これらの結果を、トナー粒子の含水量、体積基準の平均粒径、粒径標準偏差とともに表2に示す。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (15)
- 絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
水系液体で構成された水系分散媒中に、樹脂材料を含む材料で構成された分散質が分散した水系分散液を用意する工程と、
前記水系分散液を噴霧して、前記水系分散媒が除去されることにより得られるトナー粒子を、直接、前記絶縁性液体中に分散させる工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 前記トナー粒子は、前記樹脂材料の吸水量以上の水分を含むものである請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記トナー粒子の含水量は、0.3〜5.0wt%である請求項1または2に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記トナー粒子は、前記水系分散液を構成する個々の分散質に対応するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液は、乳化重合法により製造された微粒子を、前記分散質として含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液は、粉砕法により得られた粉末を用いて調製されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液は、前記樹脂材料と着色剤とを含む混練物を用いて調製されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液は、前記混練物の少なくとも一部を溶解可能な溶媒に、前記混練物を溶解して溶液を得る工程と、当該溶液を前記水系液体中に分散させる工程とを経て調製されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液は、前記溶液を水系液体中に分散させた後に、前記溶媒を除去することにより調製されたものである請求項8に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液の噴霧は、前記水系分散液の液滴を間欠的に吐出することにより行う請求項1ないし9のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系分散液の吐出は、圧電パルスにより行う請求項10に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記液滴の平均粒径は、1.0〜100μmである請求項10または11に記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
- トナー粒子の平均粒径が0.1〜5μmである請求項13に記載の液体現像剤。
- 各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.0μm以下である請求項13または14に記載の液体現像剤。
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