JP2006193494A - 4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性が高い新規な4級アンモニウム化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤を提供する。
【解決手段】 一般式(I)又は(I’)
Figure 2006193494

(式中、Aは水酸基を有してもよい炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R〜Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、R〜Rの一つはCO 又はSO 、残りのうちの多くとも三つは水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる基、それ以外は水素原子、R'〜R'の一つはCOH又はSOH、残りのうちの多くとも三つは保護された水酸基及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる基、それ以外は水素原子、Xは、4級アンモニウム基と塩を形成しうる陰イオンを表す。)で表わされる4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤に関する。
4級アンモニウム系化合物として、[2−(4−メトキシカルボニル−フェノキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウム、及び[2−(4−エトキシカルボニル−フェノキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムが知られているが(特許文献1参照)、それらが心臓疾患に対する治療効果を示すことについては知られていない。
まして、新規なフェノキシ基含有4級アンモニウム系化合物が、安全性に優れ、心臓疾患治療剤として極めて優れた効果を発現することは、これまで全く知られていない。
英国特許919126号明細書
本発明が解決しようとする課題は、安全性が高く、虚血性心疾患及び不整脈等の心臓疾患に対して優れた治療効果を有する、特定な4級アンモニウム化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤を提供することにある。
本発明者らは、多数の化合物を検討し、安全性や薬理効果が高く、虚血性心疾患及び不整脈等の心臓疾患に対して優れた効果を有する新規なフェノキシ基含有4級アンモニウム化合物を見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
一般式(I)又は(I’)
Figure 2006193494
(式中、Aは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、又は水酸基を有する炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基を表わし、RからRは、互いに同一もしくは異なった直鎖状、又は枝分れした炭素数1〜12のアルキル基を表わし、RからRの一つはCO 、又はSO 、残りのRからRのうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のRからRは水素原子を表わし、R'からR'の一つはCOH、又はSOH、残りのR'からR'のうちの多くとも二つは水酸基、それ以外のR'からR'は水素原子を表わし、Xは、4級アンモニウム基と塩を形成しうる陰イオンを表わす。)
で表わされる4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤に関する。
本発明は、心臓疾患治療剤として有用な新規な4級アンモニウム化合物を提供することができる。
本発明の一般式(I)又は(I’)
Figure 2006193494
で示される4級アンモニウム系化合物におけるRからRは、互いに同一もしくは異なった直鎖状、或いは枝分れした炭素数1〜12のアルキル基であり、具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基、特にメチル基が好ましい。
一般式(I)で示されるRからRの一つはCO 、又はSO であり、残りのRからRのうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のRからRは水素原子を表わす。ここで、残りのRからRは、水酸基を含んでも含まなくてもよいが、最低1個の水酸基を含むことが好ましい。また、一般式(I')で示されるR'からR'の一つはCOH、又はSOHであり、残りのR'からR'のうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のR'からR'は水素原子を表わし、Xは、4級アンモニウム基と塩を形成しうる陰イオンを表わす。ここで、残りのR'からR'は、水酸基を含んでも含まなくてもよいが、最低1個の水酸基を含むことが好ましい。
一般式(I)におけるAは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、或いは炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基、又は水酸基を有する炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、或いは炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基を表わす。Aで表わされるアルキル基として、例えば、CH、CHCH、CHCHCH、CHCHCHCH等の直鎖状アルキル基、CH(CH)、CH(CH)CH、CH(CH)CHCH、CHCH(CH)CH等の枝分かれしたアルキル基、又はこれらのアルキル基に水酸基の置換した基が挙げられるが、これらの基のなかで、直鎖状のアルキル基が好ましく、特にCHCHが好ましい。
上記一般式(I’)に於けるXとしては、通常のアンモニウム基と塩形成が可能な陰イオンであればよく、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、水酸化物イオン、有機酸のイオンとして、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、マレイン酸アニオン、フタル酸アニオン等が含まれる。また、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の鉱酸類の陰イオンが挙げられる。
また、炭素原子の置換基によっては、光学活性体になるが、ここで含まれる光学活性体は、R体、S体どちらであってもよい。
次に、本発明の一般式(I)及び(I’)で表される化合物は、例えば以下の製造方法によって、製造することができる。
Figure 2006193494
又は
Figure 2006193494

(式中、Aは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、又は水酸基を有する炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基を表わし、RからRは、互いに同一もしくは異なった直鎖状、又は枝分れした炭素数1〜12のアルキル基を表わし、RからRの一つはCO 、又はSO 、残りのRからRのうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のRからRは水素原子を表わす。R'からR'の一つはCOH、又はSOH、残りのR'からR'のうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のR'からR'は水素原子を表わし、Xは、4級アンモニウム基と塩を形成しうる陰イオンを表わす。また、RからR13の一つは、エステル基により保護されたカルボキシル基、又はスルホン酸基、残りのRからR13のうちの多くとも三つは保護された水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のRからR13は水素原子を表わし、R14からR15は、互いに同一もしくは異なった直鎖状、又は枝分れした炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
先ず、第一工程として、上記一般式(II)で表わされる化合物と一般式(IV)
Figure 2006193494
(IV)
(上式中の記号は前出と同じ。)

で表されるスルホン酸エステルとのアルキル化反応を行う。一般式(IV)で表される化合物としては、例えば、AがCHCHである化合物を製造する場合、(2−ジメチルアミノエチル)−メタンスルホネート塩酸塩等のスルホン酸エステル類を用いる。ここで、スルホン酸エステル類としては、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、トリフロロメタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、ニトロ−トルエンスルホン酸エステル類が挙げられるが、メタンスルホン酸エステルが好ましい。これらのスルホン酸エステル類は、公知の製造方法によって製造することができる。
反応は、塩基性物質の存在下に行い、使用される塩基性物質としては、通常のアルキル化反応に用いる物質が挙げられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、一般式(II)で表される化合物の種類によっては、金属アルコラート、金属水酸化物等を挙げることができる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を、また、アルカリ金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物を、金属アルコラートとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物を挙げることができる。
これらの塩基性物質は、通常、反応させる化合物(II)に対し、1〜5倍モル用いることができるが、1〜3倍モルが好ましい。
また、本反応は、有機溶媒中で行う。使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の炭素数4〜6の環状、又は鎖状エーテル類が挙げられ、特に1,2−ジメトキシエタンが好ましい。また、アミド系有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の有機溶媒が挙げられる。
反応温度は、用いる塩基性物質、並びに反応溶媒の種類によっても異なるが、一般に−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜10時間である。
同様にして、AがCHCH以外の化合物についても、対応するアルキル基を有するスルホン酸エステルを用いて製造することができる。
次に、第二工程として、得られた化合物(III)の4級アンモニウム化反応を行う。
本反応では、4級アンモニウム系化合物を製造する通常の試薬を用いることができ、このような試薬として、例えば、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化ブチル、臭化イソブチル、臭化ヘキシル、臭化オクチル、臭化デシル、臭化ドデシル等の直鎖状、又は枝分れした炭素数1〜12のハロゲン化アルキルを挙げることができ、ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。また、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ヘキシル、メタンスルホン酸オクチル、メタンスルホン酸デシル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸オクチル、トルエンスルホン酸ドデシル等のスルホン酸エステル等の試薬を挙げることができる。本反応は、反応を阻害しない有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。
反応温度は、用いる塩基性物質、並びに反応溶媒の種類によっても異なるが、一般に−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜5時間である。
最後に脱保護反応を行う。RからR13の一つがエステル基により保護されたカルボキシル基の場合、有機溶媒、含水有機溶媒、或いは水中で、塩基性物質と反応させることにより行うことができる。塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルキル金属類が挙げられ、用いられる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。また、水酸基が保護基を有する場合、保護基は、先のアルキル化反応に影響を受けない通常の水酸基の保護基として用いられるものでよく、例えば、メチル基等の低級アルキル基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。これらの脱保護反応は、公知の方法により行うことができる。
更に、一般式(I)で表わされる化合物の製造には、イオン交換樹脂による処理を行う。イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂が好ましく、樹脂を円筒形のカラムに投入し、脱保護後の化合物を付し、精製水で展開し、留分を減圧下に濃縮を行う等の通常の処理法により行うことができる。
また、一般式(I')で表わされる化合物の製造には、脱保護後の化合物に、反応容器中で酸性物質を添加し、処理することによって製造することができる。酸性物質としては、塩酸、臭化水素酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類の酸性物質を挙げることができる。こうして得られた一般式(I')で表わされる化合物は、通常、再結晶法による精製を行い、精製品を得ることができる。
更に、一般式(I)、又は(I')で表される化合物のうち、RからRの一つがSO 、又はR'からR'の一つがSOHである場合でも、同様にして製造することができる。
こうして得られた、本発明の一般式(I)で示される4級アンモニウム系化合物の具体例としては、例えば、以下の表1及び表2に記載の化合物が挙げられる。
但し、表中のMeはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、Hexはヘキシル基、Octはオクチル基、Dodはドデシル基を、空欄は水素原子を表わすが、これらの記載によって、本発明にいう4級アンモニウム系化合物の範囲が限定されるものではない
Figure 2006193494
Figure 2006193494
Figure 2006193494
本発明にいう4級アンモニウム系化合物は、一般式(I)で表される化合物、即ち分子内で塩を形成する化合物であっても、一般式(I’)で表される化合物分子間で生理学的に許容される陰イオンと塩を形成する化合物であってもよい。
本発明の4級アンモニウム系化合物は、極めて優れた心臓疾患治療剤として使用することができる。ここで本発明にいう心臓疾患とは、上室性期外収縮、発作性上室頻拍、発作性心房細動、慢性心房細動、心房細動、心室性期外収縮、心室性頻拍、心室細動及び房室ブロック等の不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)に伴う不整脈、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、心不全、狭心症、ウルフ−パーキンソン−ホワイト(WPW)症候群等である。
本発明化合物の投与法は、通常医薬品の投与法として用いられる方法であればよく、経口、或いは非経口投与のどちらでも差し支えなく、例えば、好ましい投与法の一例として、注射剤による静脈内投与が挙げられる。
かかる製剤中における本発明化合物の含有量は、その剤型に応じて異なるが、一般に0.01〜100重量%であることが望ましい。
本発明化合物の投与量は、対象とする人間をはじめとする温血動物の種類、症状の軽重、医師の判範断等により広範囲に変えることが出来るが、一般に有効成分として、経口投与の場合、体重1kg当たり1日に0.01〜50mgが好ましく、特に0.05〜10mgが好ましい。また、非経口投与の場合の投与量は、同様に、体重1kg当たり1日に0.01〜10mgが好ましい。また、上記投与量は1日1回又は数回に分けて投与することが出来、患者の症状の軽重、医師の診断に応じて適宜変えることができる。
次に、実施例、及び参考例によって本発明を具体的に説明するが、もとより本実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(実施例1)安全性試験
本発明化合物の安全性を確認するため表1〜3に記載された化合物3、9、27〜33、39、56、60、66、71、77について、ラット静脈内投与による安全性の確認を行い、何れの化合物でも150mg/kgの投与で死亡例が確認されず、本発明化合物は安全性に優れていることが確認された。
(実施例2)モルモットのウアバイン誘発不整脈モデルによる薬効試験
本発明化合物の心臓疾患治療作用を確認するため、実施例1で用いた化合物に於いて、抗不整脈薬の薬効評価に広く用いられているウアバイン誘発不整脈モデルを用いた薬効試験(新薬開発のための動物モデル利用集成、R&Dプランニング、166頁、1985年)を行なった。
モルモット(ハートレイ系、6週齢)をウレタン麻酔した後、後肢及び前肢に誘導電極を装着し、標準第二誘導での心電図を動物用心電図解析システム(ECG-01、株式会社ジャパンエナジー製)により記録、解析した。心電図の波形及び心拍数が正常の範囲内であることを確認した後、頸の表皮を切開し、気管挿管後、左の外頸静脈及び左総頸動脈にポリエチレンチューブをカニュレーションした。
右外頸静脈から注射針を用いて本発明化合物を生理的食塩水溶液として投与した直後に、左外頸静脈にカニュレーションしたポリエチレンチューブからウアバイン 3μg/0.1ml/分をシリンジポンプ(アトムシリンジポンプ1235、アトム株式会社製)を用いて持続投与した。
また、左総頸動脈にカニュレーションしたポリエチレンチューブを圧トランスデューサーに(P23XL、Gould Electronics)に接続し、プレッシャープロセッサーシグナルコンディショナー(Gould Electronics)に導き、サーマルアイレコーダー(TA-11、Gould Electronics)上に血圧及び心拍数を記録した。
効果の判定は不整脈の出現及び心停止が起こるまでに投与したウアバインの投与量(μg/kg)を比較した(抗不整脈効果が高ければ、多量のウアバインを投与しても不整脈は誘発されない)。尚、溶剤投与群(被験薬剤群と同量の生理的食塩水のみを投与)と、陽性対照群として代表的抗不整脈薬であるリン酸ジソピラミド(生理的食塩水溶液)を投与した群とを設けた。試験結果を表4に示す。
Figure 2006193494
表4に示すように、本発明の溶剤投与群ではウアバインを持続注入して総投与量が132μg/kgで不整脈が誘発され、引き続き176μg/kgにて心停止に至った。これに対して代表的な抗不整脈薬のリン酸ジソピラミド3.9mg/kg(ジソピラミドとして3.0mg/kg)の投与によりウアバインの不整脈及び心停止誘発閾値が増加され、各々175μg/kg、247μg/kgとなり、リン酸ジソピラミドには抗不整脈作用が認められた。
一方、本発明化合物の投与では、リン酸ジソピラミドと同等又はそれ以上の不整脈及び心停止誘発閾値の増加が認められた。
本実施例が示すように本発明化合物は市販の抗不整脈薬と同等以上の抗不整脈作用を有し、心臓疾患治療剤として有用である。
(実施例3)モルモットにおける不整脈誘発作用の検討
心臓疾患治療薬、特に抗不整脈薬は副作用として心毒性を示すものが多く、実施例2において陽性対照として使用したリン酸ジソピラミドも抗不整脈作用を有する一方で催不整脈作用を有することが知られている(医薬品要覧第5版、大阪府病院薬剤師会、543頁、1992年)。
本実施例では実施例2と同様の操作方法により、ウアバインを投与せずリン酸ジソピラミド、又は本発明化合物のみを投与して投与後1時間まで不整脈又は心停止誘発の有無を観察した。検討結果を表5に示す。
Figure 2006193494
表5に示すように、リン酸ジソピラミドは12.9mg/kg(ジソピラミドとして10mg/kg)を投与した直後、不整脈発生を確認する間もなく心停止し、その治療量と毒性量との間は極めて狭かった。これに対して、本発明の化合物を、3又は10mg/kgを投与しても心臓に対する毒性は観察されず、有効性を示す3mg/kgの約3倍量の10mg/kgでも安全であることが判明した。
(実施例4) イヌ虚血再潅流心筋障害モデルよる薬効試験
本発明化合物の心筋梗塞及び心筋梗塞に起因する不整脈に対する有効性を確認するため、実施例1で用いた化合物に於いて、イヌを用いた虚血再潅流心筋障害モデルによる薬効試験を行なった。
体重約10kgのイヌをペントバルビタール(30mg/ml/kg)により麻酔し、人工呼吸を開始してから手術部位を毛刈りした。大腿静脈及び大腿動脈を剥離しカニュレーションした。大腿静脈は被験薬を投与するルートとして、大腿動脈は血圧測定用とした。
次に左胸部を開胸し心嚢膜を切開し、左心室を露出した後、左冠動脈を剥離した。冠動脈に閉塞用の絹糸を通し、血流測定用電磁流量計プローブを装着した。
また、心室壁長の変化を心筋収縮力として測定するため一対の超音波クリスタルプローブを固定し、更に左心室内圧測定用留置針を設置した。本発明化合物3mg/kg(15%生理食塩水溶液)を大腿静脈より投与し、その10分後から20分間冠動脈を閉塞し、その後、冠動脈を再潅流させた。虚血再潅流前の心筋収縮力を100として、虚血再潅流後の心筋収縮力を各群比較した。また生理食塩水のみを投与した溶剤投与群と比較した。試験結果を表6に示す。
Figure 2006193494
表6に示すように、溶剤投与群(薬剤非投与群)では虚血再潅流障害により心筋収縮力が41%に低下した。これに対して、本発明化合物の投与群では心筋収縮力は虚血前の71〜89%であり、明らかに虚血再潅流心筋障害を低減した。本実験モデルは心筋梗塞に伴う心筋障害及び、臨床上問題となっている心筋領域への血流再潅流時における心筋障害の実験モデルであり(新薬開発のための動物モデル利用集成、R&Dプランニング、167頁、1985年)、本実施例から本発明化合物は心筋梗塞及び心筋梗塞に伴う心筋障害の治療に有用な心臓疾患治療剤であることが明らかとなった。
(実施例5) ラット虚血再潅流心筋障害モデルよる薬効試験
実施例1で用いた化合物に於いて、ラットを用いた虚血再潅流心筋障害モデルによる薬効試験を行なった。
55mg/kgのペントバルビタールナトリウム腹腔内投与による麻酔下に背位に保定し、頸部を切開し気管内に人工呼吸用のチューブを挿入し、人工呼吸器(SN-480-7、シナノ)を稼働させた(1.5mL/100g:50回/分)。血圧は、左大腿動脈に血圧測定用のカニューレを挿入し、圧トランスジューサー(TP-400T、日本光電)及び圧ひずみ計(AP-601G、日本光電)を介して測定した。
また薬剤投与用のカニューレを左大腿動脈に挿入し、第II誘電心電図は電極を前肢、後肢に付け心電計(JB-101J、AB-651J、日本光電)を介し測定した。心拍数は脈圧の波形から心拍計(AT-601G、日本光電)により測定し、体温は保温用マットを用いて36.5±0.5℃に維持した。
次に第五肋間を開胸し心嚢膜を切開し心臓を露出させ、リング付きピンセットを用いて心臓を胸腔外に出し、糸付き縫合針を肺動脈円錐の筋肉内に刺し込み左冠動脈下行肢の下をくぐらせて糸を通し、直ちに心臓を胸腔内に戻した。この糸をポリエチレンチューブの中に通し結紮の準備をした。
約20分間血圧及び心拍数が安定するのを確認後、被験物質を静脈内投与した。5分後、ポリエチレンチューブを絞り込みモスキート鉗子で固定し冠動脈を5分間結紮した。結紮後血液を再通過させ、5分間における心室頻拍、及び心室細動の発現を測定し、死亡例の有無を観察した。ラットは1群8匹用い、本発明化合物、リドカインは、ラット体重1kg当り3mg(2mL)、コントロール群である生理的食塩水は2mL投与した。試験結果を表7に示す。
Figure 2006193494
表7に示すように、溶剤投与群(薬剤非投与群)では虚血再潅流障害により心室頻拍、心室細動が100%出現し、死亡率も87.5%と高率であった。また、陽性対照であるリドカイン投与群においては、各々62.5%、12.5%、12.5%と抑制効果が見られた。
これに対して、本発明化合物の投与群には、陽性対照であるリドカイン投与群と同等、又はそれ以上の効果が確認され、本実施例より本発明化合物は心筋梗塞及び心筋梗塞に伴う心筋障害の治療に有用な心臓疾患治療剤であることが明らかである。
(実施例6)(5%散剤)
表1に示す化合物27の結晶50mgを乳鉢で粉砕し、それに乳糖950mgを添加し、乳棒で粉砕しながら、充分混合し、5%散剤とした。
(実施例7)(10%顆粒)
乳鉢内で、300mgの表1に示す化合物27を300mgのでんぷんと混合粉砕した。これに2000mgの乳糖、370mgのでんぷんを加え混合した。別にゼラチン30mgに精製水1mlを加えて、加熱溶解し、冷後かき混ぜながらこれにエタノール1mlを加え、ゼラチン液としたものを調製し、先の混合物にゼラチン液を添加練合し、造粒した後、乾燥して整粒した。
(実施例8)(0.1%注射剤)
10mgの表1に示す化合物31を、全量が10mlになるように注射用蒸留水に溶解し、無菌的にアンプルに充填した。

Claims (9)

  1. 一般式(I)又は(I')
    Figure 2006193494
    (式中、Aは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、又は水酸基を有する炭素数2〜4の枝分かれしたアルキル基を表わし、RからRは、互いに同一もしくは異なった直鎖状、又は枝分れした炭素数1〜12のアルキル基を表わし、RからRの一つはCO 、又はSO 、残りのRからRのうちの多くとも三つは水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のRからR'は水素原子を表わし、R'からR'の一つはCOH、又はSOH、残りのR'からR'のうちの多くとも三つは保護された水酸基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる基、それ以外のR'からR'は水素原子を表わし、Xは、4級アンモニウム基と塩を形成しうる陰イオンを表わす。)
    で表わされる4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  2. 請求項1において、RからRの一つはCO 、又はR'からR'の一つはCOHである4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  3. 請求項1において、RからRの一つはSO 、又はR'からR'の一つはSOHである4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  4. 請求項2において、残りのRからR、又はR'からR'の一つが水酸基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  5. 請求項3において、残りのRからR、又はR'からR'の一つが水酸基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  6. 請求項4において、Aが炭素数2の直鎖状アルキル基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  7. 請求項5において、Aが炭素数2の直鎖状アルキル基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  8. 請求項6において、RからRは、メチル基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。
  9. 請求項7において、RからRは、メチル基である4級アンモニウム系化合物を有効成分とする心臓疾患治療剤。



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