JP2006186565A - 無線装置 - Google Patents

無線装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006186565A
JP2006186565A JP2004376853A JP2004376853A JP2006186565A JP 2006186565 A JP2006186565 A JP 2006186565A JP 2004376853 A JP2004376853 A JP 2004376853A JP 2004376853 A JP2004376853 A JP 2004376853A JP 2006186565 A JP2006186565 A JP 2006186565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wireless device
wireless
communication
route
wireless communication
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004376853A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Watanabe
正浩 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Original Assignee
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ATR Advanced Telecommunications Research Institute International filed Critical ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Priority to JP2004376853A priority Critical patent/JP2006186565A/ja
Publication of JP2006186565A publication Critical patent/JP2006186565A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Abstract

【課題】 自律的に構築され、かつ、スループットの低下を抑制して複数の無線通信を行なう無線ネットワークを構成する無線装置を提供する。
【解決手段】 無線装置1〜15の各々は、自己に対する他の無線装置の絶対位置を示すルーティングテーブルを保持する。無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11の経路において無線通信が行なわれているとき、無線装置9が無線装置8から無線装置10との無線通信の要求を受けると、無線装置9は、優先度が高いデータを送信する一方の無線通信を優先した実行し、優先度の低い他方の無線通信の送信元へ一方の無線通信に関与する全ての無線装置の情報を知らせる。他方の無線通信の送信元は、一方の無線通信に関与する全ての無線装置を除外し、ルーティングテーブルに基づいて他方の無線通信を行なうための経路を確立する。
【選択図】 図25

Description

この発明は、無線装置に関し、特に、複数の無線装置によって、自律的、かつ、即時的に構築されるアドホックネットワークを構成する無線装置に関するものである。
アドホックネットワークは、複数の無線装置が相互に通信を行なうことによって自律的、かつ、即時的に構築されるネットワークである。アドホックネットワークでは、通信する2つの無線装置が互いの通信エリアに存在しない場合、2つの無線装置の中間に位置する無線装置がルータとして機能し、データパケットを中継するので、広範囲のマルチホップネットワークを形成することができる。
このようなアドホックネットワークは、被災地での無線通信網やITS(Intelligent Transport Systems)車車間通信でのストリーミングなど、様々な方面に応用されようとしている(非特許文献1)。
マルチホップ通信をサポートする動的なルーティングプロトコルとしては、テーブル駆動型プロトコルとオンデマンド型プロトコルとがある。テーブル駆動型プロトコルは、定期的に経路に関する制御情報の交換を行ない、予め経路表を構築しておくものであり、GSR(Global State Routing)、FSR(Fish−eye State Routing)、OLSR(Optimized Link State Routing)およびDSDV(Destination Sequenced Distance Vector)等が知られている。
また、オンデマンド型プロトコルは、データ送信の要求が発生した時点で、初めて宛先までの経路を構築するものであり、DSR(Dynamic Source Routing)およびAODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vector Routing)等が知られている。
そして、従来のアドホックネットワークにおいては、送信元から送信先へデータ通信を行なう場合、送信元から送信先までのホップ数ができる限り少なくなるように通信経路が決定される(非特許文献2)。
渡辺正浩"無線アドホックネットワーク",自動車技術会春季大会ヒューマトロニクスフォーラム,pp18−23,横浜,5月2003年. Guangyu Pei, at al, "Fisheye state routing: a routing scheme for ad hoc wireless networks", ICC2000. Commun., Volume 1, pp70-74, L.A., June 2000.
しかし、従来のアドホックネットワークにおいては、第1の送信元と第1の送信先との間で第1の無線通信が行なわれているときに、第2の送信元と第2の送信先との間で第2の無線装置を行なうための要求が第1の無線通信を行なっている無線装置へ送信されたとき、第1および第2の無線通信は、相互に調整されず、第2の送信元は、第2の無線通信を実行することができなかった。その結果、アドホックネットワーク全体のスループットが低下するという問題があった。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、自律的に構築され、かつ、スループットの低下を抑制して複数の無線通信を行なう無線ネットワークを構成する無線装置を提供することである。
この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、位置情報記憶手段と、通信手段と、通知手段とを備える。位置情報記憶手段は、無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する。通信手段は、第1の送信元と第1の送信先との間で第1の無線通信が行なわれているときに第2の送信元から第2の送信先への第2の無線通信の要求があったとき、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を絶対位置情報に基づいて行なう。通知手段は、絶対位置情報に基づいて、一方の無線通信を行なっている全ての無線装置に関する情報を抽出し、その抽出した全ての無線装置に関する情報を第1および第2の無線通信のいずれか他方の無線通信の送信元へ通知する。
好ましくは、無線装置は、選択手段を更に備える。選択手段は、第2の無線通信の要求があったとき、第1の無線通信において送信される第1のデータと第2の無線通信において送信される第2のデータとのうち、優先度が高いデータが送信される無線通信を一方の無線通信として選択する。そして、通信手段は、絶対位置情報に基づいて、選択手段により選択された無線通信を行なう。また、通知手段は、選択手段による選択結果を受けて、一方の無線装置を行なっている全ての無線装置に関する情報を他方の無線通信の送信元へ通知する。
また、この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、位置情報記憶手段と、通信手段と、通知手段とを備える。位置情報記憶手段は、無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する。通信手段は、第1の送信元と第1の送信先との間で第1の無線通信が行なわれているときに第2の送信元から第2の送信先への第2の無線通信の要求があったとき、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を絶対位置情報に基づいて行なう。通知手段は、絶対位置情報に基づいて、第1および第2の無線通信のいずれか他方の無線通信を行なうための経路情報を抽出し、その抽出した経路情報を他方の無線通信の送信元へ通知する。
好ましくは、通信手段は、絶対位置情報に基づいて、当該無線装置と隣接する無線装置との間で無線通信の遮断に繋がる特定の通信距離以外の通信距離となる経路を介して一方の無線通信を行なう。
好ましくは、通信手段は、第1および第2の通信手段を含む。第1の通信手段は、一方の無線通信の送信元の方向において当該無線装置に隣接する第1の無線装置と第1の周波数で通信する。第2の通信手段は、一方の無線通信の送信先の方向において当該無線装置に隣接する第2の無線装置と第1の周波数と異なる第2の周波数で通信する。
更に、この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、位置情報記憶手段と、通信要求手段と、経路決定手段と、通信手段とを備える。位置情報記憶手段は、無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する。通信要求手段は、絶対位置情報に基づいて、当該無線装置と送信先との間で無線通信を行なうための第1の経路を決定し、その決定した第1の経路に沿って無線通信を行なうための通信要求を送信先へ送信する。経路決定手段は、通信要求の送信後、無線通信の禁止を知らせる第1の通知と、第2の経路において既に行なわれている無線通信に関与する全ての無線装置を知らせる第2の通知とを第2の経路上の無線装置からを受けると、絶対位置情報に基づいて、第2の通知によって指定された全ての無線装置を回避して送信先まで無線通信を行なうための第3の経路を決定する。通信手段は、経路決定手段によって決定された第3の経路に沿って送信先と無線通信を行なう。
好ましくは、経路決定手段は、絶対位置情報に基づいて、隣接する無線装置間の通信距離が無線通信の遮断に繋がる特定の通信距離以外の通信距離となる経路を選択して第3の経路を決定する。
好ましくは、無線装置は、周波数生成手段を更に備える。周波数生成手段は、第3の経路を構成する全ての無線装置が使用する周波数を設定するための周波数設定情報を生成する。通信手段は、周波数設定情報を第3の経路を構成する全ての無線装置へ送信する。そして、周波数設定情報は、第3の経路を構成する全ての無線装置の各々がデータの送信において使用する第1の周波数とデータの受信において使用する第2の周波数とが異なるように設定する情報である。
この発明による無線装置においては、第1の無線通信が行なわれているときに第2の無線通信の要求があったとき、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信が行なわれ、一方の無線通信を行なっている全ての無線装置の情報が他方の無線通信の送信元へ送信される。そうすると、他方の無線通信の送信元は、一方の無線通信を行なっている無線装置を除外して他方の無線通信を行なう経路を絶対位置情報に基づいて決定し、他方の無線通信を行なう。その結果、無線ネットワークにおいて複数の無線通信を同時に行なうことができる。
従って、この発明によれば、無線ネットワークにおけるスループットを向上できる。
また、この発明による無線装置においては、第1の無線通信が行なわれているときに第2の無線通信の要求があったとき、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信が行なわれ、他方の無線通信を行なうための経路情報が絶対位置情報に基づいて抽出されて他方の無線通信の送信元へ送信される。そうすると、他方の無線通信の送信元は、送られてきた経路情報に従って他方の無線通信を行なう。その結果、無線ネットワークにおいて複数の無線通信を行なう複数の経路を迅速に確立でき、複数の無線通信を同時に行なうことができる。
従って、この発明によれば、無線ネットワークにおけるスループットを向上できる。
更に、この発明による無線装置においては、送信先との無線通信を行なうための要求が送信された後に、既に行なわれている無線通信に関与する無線装置から要求した無線通信の禁止を知らせる通知と、既に行なわれている無線通信に関与する全ての無線装置の情報とが受信されると、その全ての無線装置を除外して送信先との無線通信を行なうための経路が確立され、無線通信が行なわれる。
従って、この発明によれば、無線ネットワークにおけるスループットを向上できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークシステムの概略図である。無線ネットワークシステム100は、無線装置1〜15を備える。無線装置1〜15は、無線通信空間に配置され、自律的にネットワークを構成している。そして、無線装置1から無線装置11へデータを送信する場合、無線装置2〜10,12〜15は、無線装置1からのデータを中継して無線装置11へ届ける。
この場合、無線装置1は、各種の経路を介して無線装置11との間で無線通信を行なうことができる。即ち、無線装置1は、無線装置3,4,7,8を介して無線装置11との間で無線通信を行なうことができ、無線装置2,5,8を介して無線装置11との間で無線通信を行なうこともでき、無線装置6,9を介して無線装置11との間で無線通信を行なうこともできる。
無線装置6,9を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”3”と最も少なく、無線装置2,5,8を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”4”であり、無線装置3,4,7,8を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”5”と最も多い。
従って、無線装置6,9を介して無線通信を行なう経路を選択すると、ホップ数が”3”と最も少なくなる。
この場合、例えば、ホップ数が最も少なくなる無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11の経路を介して無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれる。
しかし、無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11の経路を介して無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれているときに、無線装置8と無線装置10との間で無線通信を行なうための要求が無線装置8から無線装置9へ送信されたとき、無線装置9は、無線装置1から無線装置11への無線通信と、無線装置8から無線装置10への無線通信とを調整しなければ、無線装置8は、無線装置10と無線通信を行なうことができない。その結果、無線ネットワークシステム100全体のスループットが低下する。
そこで、以下においては、無線ネットワークシステム100において、スループットの低下を抑制して複数の無線通信を行なう方法について説明する。
なお、送信元と送信先との間で通信経路を確立するプロトコルとしてFSRプロトコルを基本として用いる。このFSRプロトコルは、テーブル駆動型のルーティングプロトコルであり、比較的、近くに存在する無線装置との間で経路情報の交換を密に行ない、遠くに存在する無線装置との間の経路情報の交換を減らすことによりトラフィックの負荷を減らすプロトコルである。
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成を示す概略ブロック図である。無線装置1は、アンテナ11Aと、入力部12Aと、表示部13Aと、電子メールアプリケーション14Aと、通信制御部15Aとを含む。
アンテナ11Aは、指向性と全方位性との間でアンテナ特性を切換え可能なアンテナである。そして、アンテナ11Aは、無線通信空間を介して他の無線装置からデータを受信し、その受信したデータを通信制御部15Aへ出力するとともに、通信制御部15Aからのデータを無線通信空間を介して他の無線装置へ送信する。
入力部12Aは、無線装置1の操作者が入力したメッセージおよびデータの宛先を受付け、その受付けたメッセージおよび宛先を電子メールアプリケーション14Aへ出力する。表示部13Aは、電子メールアプリケーション14Aからの制御に従ってメッセージを表示する。
電子メールアプリケーション14Aは、入力部12Aからのメッセージおよび宛先に基づいてデータを生成して通信制御部15Aへ出力する。
通信制御部15Aは、ARPA(Advanced Research Projects Agency)インターネット階層構造に従って、通信制御を行なう複数のモジュールからなる。即ち、通信制御部15Aは、無線インターフェースモジュール16と、MAC(Media Access Control)モジュール17と、LLC(Logical Link Control)モジュール18と、IP(Internet Protocol)モジュール19と、ルーティングテーブル20と、TCPモジュール21と、UDPモジュール22と、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)モジュール23と、ルーティングデーモン24とからなる。
無線インターフェースモジュール16は、物理層に属し、所定の規定に従って送信信号または受信信号の変復調を行なうとともに、IPモジュール19によって選択された周波数fx,fyでアンテナ11Aを介して信号を送受信する。この場合、無線インターフェースモジュール16は、隣接する一方の無線装置へ周波数fxで信号を送信しながら、隣接する他方の無線装置から周波数fxと異なる周波数fyで信号を受信するとともに、隣接する一方の無線装置から周波数fxで信号を受信しながら、隣接する他方の無線装置へ周波数fyで信号を送信する。即ち、無線インターフェースモジュール16は、2つの無線装置と異なる周波数で同時に通信を行なう。
また、無線インターフェースモジュール16は、隣接する2つの無線装置間の距離および方位角を後述する方法によって測定し、その測定した距離および方位角をルーティングデーモン24へ送信する。
更に、無線インターフェースモジュール16は、隣接する無線装置から信号を受信したときの受信信号強度を検出してルーティングデーモン24へ出力する。
MACモジュール17は、MAC層に属し、MACプロトコルを実行して、以下に述べる各種の機能を実行する。
即ち、MACモジュール17は、無線ネットワークシステム100における経路情報を他の無線装置へ送信するとき、隣接する無線装置に関する情報をボディ部分に挿入してリンクステートパケットLSPを作成し、無線インターフェースモジュール16を介してブロードキャストする。
また、MACモジュール17は、送信元と送信先との間で無線通信を行なうとき、IPモジュール19からのIPパケットおよび無線ネットワークシステム100において各無線装置が使用する周波数を示す周波数設定情報FQIF1をボディ部分に挿入してデータフレームDAFMを作成し、無線インターフェースモジュール16を介して送信する。
更に、MACモジュール17は、データ(パケット)の再送制御等を行なう。そして、MACモジュール17は、データ(パケット)の再送回数が所定値を超えるとリンクが切断されたことを検知し、リンクが切断されたことをルーティングデーモン24に通知する。
LLCモジュール18は、データリンク層に属し、LLCプロトコルを実行して隣接する無線装置との間でリンクの接続および解放を行なう。
IPモジュール19は、インターネット層に属し、IPパケットを生成する。IPパケットは、IPヘッダと、上位のプロトコルのパケットを格納するためのIPデータ部とからなる。そして、IPモジュール19は、TCPモジュール21からデータを受けると、その受けたデータをIPデータ部に格納してIPパケットを生成する。そうすると、IPモジュール19は、テーブル駆動型のルーティングプロトコルであるFSR−MSプロトコルに従ってルーティングテーブル20を検索し、生成したIPパケットを送信するための経路を決定する。そして、IPモジュール19は、IPパケットをLLCモジュール18へ送信し、決定した経路に沿ってIPパケットを送信先へ送信する。なお、FSR−MSプロトコルは、FSRプロトコルを基本としたプロトコルであり、後述するように、隣接する無線装置との通信距離に重みを置いて送信元と送信先との間の経路を決定するプロトコルである。
更に、IPモジュール19は、無線装置1が送信元である場合、送信元、送信先および送信元と送信先との間で無線通信を中継する無線装置が使用する周波数を示す周波数設定情報FQIF1を生成してLLCモジュール18を介してMACモジュール17へ送信する。
更に、IPモジュール19は、周波数fxを選択するための周波数選択信号FQSL1、周波数fyを選択するための周波数選択信号FQSL2、および信号を通過させる周波数を変化させるための周波数切換信号FQEX1,FQEX2を生成し、その生成した周波数選択信号FQSL1,FQSL2および周波数切換信号FQEX1,FGEX2を無線インターフェースモジュール16へ出力する。
ルーティングテーブル20は、インターネット層に属し、後述するように、ある1つの無線装置に対する複数の無線装置の絶対位置を示すx,y座標からなる。
TCPモジュール21は、トランスポート層に属し、TCPパケットを生成する。TCPパケットは、TCPヘッダと、上位のプロトコルのデータを格納するためのTCPデータ部とからなる。そして、TCPモジュール21は、生成したTCPパケットをIPモジュール19へ送信する。
UDPモジュール22は、トランスポート層に属し、ルーティングデーモン24によって抽出された隣接する無線装置に関する情報をボディ部分に格納してリンクステートパケットLSPを作成するために、その隣接する無線装置に関する情報をMACモジュール17へ送信するとともに、他の無線装置からブロードキャストされたリンクステートパケットLSPを受信してルーティングデーモン24へ出力する。
SMTPモジュール23は、プロセス/アプリケーション層に属し、電子メールアプリケーション14Aから受け取ったデータに基づいて、全二重通信チャネルの確保およびメッセージの交換等を行なう。
ルーティングデーモン24は、プロセス/アプリケーション層に属し、他の通信制御モジュールの実行状態を監視するとともに、他の通信制御モジュールからのリクエストを処理する。また、ルーティングデーモン24は、FSR−MSプロトコルに従って比較的近くに存在する他の無線装置と経路情報を定期的に交換し合い、取得した経路情報および無線インターフェースモジュール16から受けた受信信号強度、距離および方位角に基づいて、後述する方法によって無線装置1に対する各無線装置2〜15の絶対位置を示す絶対位置情報からなるルーティングテーブル20をインターネット層に動的に作成する。
更に、ルーティングデーモン24は、方位角の測定を指示する信号DIRを生成して無線インターフェースモジュール16へ送信するとともに、方位角の測定において、無線インターフェースモジュール16が他の無線装置から受信した信号RQ(方位角の測定を要求する信号)を無線インターフェースモジュール16から受信すると、方位角を測定するためのデータDADRを生成して無線インターフェースモジュール16へ送信する。
なお、図1に示す無線装置2〜15の各々も、図2に示す無線装置1の構成と同じ構成からなる。
図3は、図2に示す無線インターフェースモジュール16の実施の形態1における構成を示す概略ブロック図である。無線インターフェースモジュール16は、通信部161,162と、距離測定部163と、方位角測定部164とを含む。図1に示す無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれる場合、中継器である無線装置6,9の通信部161は、送信元である無線装置1側に存在する無線装置と周波数fxで無線通信を行ない、通信部162は、送信先である無線装置11側に存在する無線装置と周波数fyで無線通信を行なう。また、無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれる場合、送信元である無線装置1の通信部162は、無線装置6と周波数fyで無線通信を行ない、送信先である無線装置11の通信部161は、無線装置9と周波数fxで無線通信を行なう。
即ち、通信部161,162は、相互に異なる周波数で相互に異なる2つの無線装置と無線通信を同時に行なう。
距離測定部163は、隣接する2つの無線装置間の通信距離を後述する方法によって測定し、その測定した通信距離をルーティングデーモン24へ送信する。
方位角測定部164は、隣接する2つの無線装置間において、一方の無線装置に対する他方の無線装置の方位角を後述する方法によって測定し、その測定した方位角をルーティングデーモン24へ送信する。
図4は、図3に示す通信部161,162の構成を示す概略ブロック図である。図4において、図4の(a)は、通信部161の構成を示し、図4の(b)は、通信部162の構成を示す。
通信部161は、送受信部1611と、チャネル部1612と、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)1613とからなる。送受信部1611は、周波数fxを選択するための周波数選択信号FQSL1をIPモジュール19から受け、上位層であるMACモジュール17からリンクステートパケットLSPおよびデータフレームDAFMを受ける。そして、送受信部1611は、周波数選択信号FQSL1によって指定された周波数fxでリンクステートパケットLSPまたはデータフレームDAFMを変調する。また、送受信部1611は、周波数選択信号FQSL1によって指定された周波数fxと同じ周波数を有するチャネルをチャネル部1612の14チャネルの中から選択する。そうすると、送受信部1611は、変調したリンクステートパケットLSPまたはデータフレームDAFMを選択したチャネルを介してBPF1613へ出力する。
また、送受信部1611は、チャネル部1612を介して受けた信号を復調して上位層へ出力する。
チャネル部1612は、チャネルCh1〜Ch14からなる。チャネルCh1〜Ch14は、それぞれ、周波数f1〜f14を有する信号を送受信部1611とBPF1613との間でやり取りする。
BPF1613は、信号を通過させる周波数を変化させるための周波数切換信号FQEX1と、周波数選択信号FQSL1とをIPモジュール19から受ける。そして、BPF1613は、周波数切換信号FQEX1を受けると、周波数を周波数f1〜f14の範囲で変化させながらアンテナ11Aからの信号を受信し、その変化させた周波数と信号の周波数とが一致した場合、その一致した周波数と同じ周波数を有するチャネル(チャネルCh1〜Ch14のいずれか)を介してアンテナ11Aからの信号を送受信部1611へ出力する。
また、BPF1613は、周波数選択信号FQSL1をIPモジュール19から受けると、周波数選択信号FQSL1によって指定された周波数fxの信号をチャネル部1612とアンテナ11Aとの間でやり取りする。
通信部162は、送受信部1621と、チャネル部1622と、BPF1623とからなる。送受信部1621は、周波数選択信号FQSL2をIPモジュール19から受け、BPF1623は、周波数切換信号FQEX2および周波数選択信号FQSL2をIPモジュール19から受ける。そして、チャネル部1622は、チャネル部1612と同じ構成からなり、送受信部1621およびBPF1623は、それぞれ、通信部161の送受信部1611およびBPF1613と同じ機能を果たす。従って、通信部161の説明における周波数選択信号FQSL1および周波数切換信号FQEX1をそれぞれ周波数選択信号FQSL2および周波数切換信号FQEX2に読替えればよい。
図5は、図3に示す距離測定部163の構成を示す第1の概略ブロック図である。また、図6は、図3に示す距離測定部163の構成を示す第2の概略ブロック図である。
図5に示す概略ブロック図は、距離測定部163が搭載された無線装置が送信機である場合の距離測定部163の概略ブロック図であり、図6に示す概略ブロック図は、距離測定部163が搭載された無線装置が受信機である場合の距離測定部163の概略ブロック図である。
従って、以下においては、送信機の距離測定部163を距離測定部163Aとし、受信機の距離測定部163を距離測定部163Bとする。
図5を参照して、距離測定部163Aは、入力端子1631と、アンプ1632,1635と、BPF1633,1636と、変調器1634と、パワーアンプ1637と、基準発振器1638と、電力分配器1639と、PLL発振器1640,1642と、電力結合器1641と、制御部1643とを含む。
入力端子1631は、MACモジュール17から信号波を受け、その受けた信号波をアンプ1632へ出力する。アンプ1632は、入力端子1631から入力された信号波を増幅する。BPF1633は、アンプ1632により増幅された信号波の所定の周波数帯域の成分を通過させる。
基準発振器1638は、例えば、10MHzの基準信号を発生する。電力分配器1639は、基準信号をPLL発振器1640,1642に分配する。PLL発振器1640は、基準発振器1638により発生された基準信号を逓倍することにより周波数fmを有する第1の搬送波を出力する。PLL発振器1642は、基準発振器1638により発生された基準信号を逓倍することにより周波数fnを有する第2の搬送波を出力する。
制御部1643は、例えば、CPU(Central Processing Unit)からなり、PLL発振器1642から出力される第2の搬送波の周波数fnを制御する。この発明においては、PLL発振器1640から出力される第1の搬送波の周波数fmは、例えば、100MHzであり、PLL発振器1642から出力される第2の搬送波の周波数fnは、例えば、100MHz〜(100+k−1)MHzに制御される。なお、kは、2以上の整数である。
電力結合器1641は、PLL発振器1640により発生された第1の搬送波とPLL発振器1642により発生された第2の搬送波とを結合し、結合された第1および第2の搬送波を変調器1634に与える。
変調器1634は、電力結合器1641から与えられた第1および第2の搬送波をBPF1633から出力された信号波でそれぞれ変調し、変調波を出力する。ここで、変調器1634による変調の方式は特に限定されない。GFSK(ガウシアン周波数シフトキーイング)方式、およびOFDM(直交周波数分割多重)方式等の種々のデジタル変調方式またはアナログ変調方式を用いることができる。
アンプ1635は、変調器1634から出力される変調波を増幅する。BPF1636は、不要輻射を除去するためにアンプ1635により増幅された変調波の所定の周波数帯域の成分を通過させる。パワーアンプ1637は、BPF1636から出力される変調波を増幅し、電波としてアンテナ11Aから送信する。電波の周波数は、例えば、2.5GHz程度であるが、これに限定されない。
このようにして、図5に示す距離測定部163Aからは、異なる周波数を有する2つの変調波が送信される。この場合、2つの変調波の周波数差は可変となっている。
図6を参照して、距離測定部163Bは、低雑音アンプ1644と、BPF1645と、復調器1646と、PLL発振器1647と、アンプ1648,1661,1663と、電力分配器1649と、BPF1651〜165kと、位相検波器1660と、処理部1662と、フィルタ1664とを含む。
低雑音アンプ1644は、アンテナ11Aに接続され、アンテナ11Aにより受信された変調波を増幅する。BPF1645は、外部からの不要信号を除去するために低雑音アンプ1644により増幅された変調波の所定の周波数帯域の成分を通過させる。
PLL発振器1647は、所定の基準信号を発生する。復調器1646は、BPF1645から出力された変調波をPLL発振器1647により発生された基準信号を用いてダウンコンバートするとともに、変調波を復調することにより信号波をアンプ1663へ出力し、周波数fmを有する第1の搬送波および周波数fnを有する第2の搬送波をアンプ1648へ出力する。
アンプ1663は、復調器1646から出力された信号波を増幅し、フィルタ1664を通して出力する。アンプ1648は、復調器1646により復調された第1および第2の搬送波を増幅する。電力分配器1649は、アンプ1648により増幅された第1および第2の搬送波をBPF1651〜165kに分配する。BPF1651は、電力分配器1649により与えられた搬送波のうち、周波数fmを有する第1の搬送波を通過させる。また、BPF1652〜165kのいずれか1つが電力分配器1649により与えられた搬送波のうち、周波数fnを有する第2の搬送波を通過させる。
この発明においては、BPF1651は、例えば、100MHzの搬送波を通過させ、BPF1652〜165kは、それぞれ、101MHz〜(100+k−1)MHzの搬送波を通過させる。
位相検波器1660は、BPF1651から出力される第1の搬送波とBPF1652〜165kのいずれかから出力される第2の搬送波との位相差を検出し、位相差に対応する直流の電圧信号を出力する。
アンプ1661は、位相検波器1660から出力された電圧信号を増幅する。処理部1662は、アナログ−デジタル変換器、CPU、およびメモリ等を含み、後述する方法により、位相差に基づいて隣接する2つの無線装置間の距離を算出する。
図7は、図3に示す方位角測定部164の構成を示す概略ブロック図である。方位角測定部164は、制御部1671と、送受信部1672と、指向性制御部1673と、方位角検出部1674とを含む。
制御部1671は、方位角の測定を指示する信号DIRをルーティングデーモン24から受けると、方位角の測定を他の無線装置へ要求するための信号RQを生成して送受信部1672へ出力するとともに、アンテナ11Aが信号RQを送信した後、アンテナ11Aの指向性を順次切換えるように指示するための信号EXDRを生成して指向性制御部1673へ出力する。
また、制御部1671は、送受信部1672から信号RQを受けると、その受けた信号RQをルーティングデーモン24へ送信する。
送受信部1672は、制御部1671から信号RQを受けると、その受けた信号RQを変調および増幅等してアンテナ11Aを介して送信する。また、送受信部1672は、MACモジュール17等の上位層から方位角を測定するためのデータDADRを受けると、その受けたデータDADRを変調および増幅等してアンテナ11Aを介して送信する。更に、送受信部1672は、アンテナ11Aを介して信号RQを他の無線装置から受信すると、その受信した信号RQを復調および増幅等して制御部1671へ出力する。更に、送受信部1672は、アンテナ11Aを介してデータDADRを他の無線装置から受信すると、その受信したデータDADRを復調および増幅等し、データDADRの受信信号強度RSSIを検出して方位角検出部1674へ出力する。
指向性制御部1673は、ルーティングデーモン24から信号DIRを受信すると、全方位性のビーム(オムニパターンのビーム)を放射するようにアンテナ11Aを制御し、制御部1671から信号EXDRを受けると、指向性を順次切換えるようにアンテナ11Aを制御するとともに、切換えられたアンテナ11Aの指向性DR1,DR2,・・・,DR12を方位角検出部1674へ出力する。
方位角検出部1674は、送受信部1672から受信信号強度RSSI1〜RSSI12を受けるとともに、順次切換えられたアンテナ11Aの指向性DR1,DR2,・・・,DR12を指向性制御部1673から受ける。そして、方位角検出部1674は、受信信号強度RSSI1〜RSSI12および指向性DR1〜DR12に基づいて、後述する方法によって、隣接する無線装置の方位角θrを検出し、その検出した方位角θrをルーティングデーモン24へ送信する。
図8は、IPヘッダの構成図である。IPヘッダは、バージョン、ヘッダ長、サービスタイプ、パケット長、識別番号、フラグ、フラグメントオフセット、生存時間、プロトコル、ヘッダチェックサム、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、およびオプションからなる。
図9は、TCPヘッダの構成図である。TCPヘッダは、送信元ポート番号、送信先ポート番号、シーケンス番号、確認応答(ACK)番号、データオフセット、予約、フラグ、ウィンドサイズ、ヘッダチェックサムおよびアージェントポインタからなる。
送信元ポート番号は、送信元の無線装置で複数のアプリケーションが動作しているときに、TCPパケットを出力したアプリケーションを特定する番号である。また、送信先ポート番号は、送信先の無線装置で複数のアプリケーションが動作しているときに、TCPパケットを届けるアプリケーションを特定する番号である。
TCP通信は、エンド・ツー・エンドのコネクション型通信プロトコルである。TCP通信のコネクション接続を要求する無線装置(以下、「TCP通信接続要求装置」という。)のTCPモジュール21は、コネクションの確立時に、TCPヘッダ内のCode BitにSYN(Synchronize Flag)を設定したコネクションの接続要求を示す第1パケットをTCP通信のコネクション接続を受理する端末(以下、「TCP通信接続受理装置」という。)のTCPモジュール21へ送信する。これを受けて、TCP通信接続受理装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitにSYNおよびACK(確認応答)を設定したコネクションの接続要求受理および接続完了を示す第2パケットをTCP通信接続要求装置のTCPモジュール21へ送信する。更に、これを受けて、TCP通信接続要求装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの接続完了を示す第3パケットをTCP通信接続受理装置のTCPモジュール21へ送信する。
コネクションの切断要求は、TCP通信要求装置およびTCP通信受理装置のいずれの側からでも行なうことができる。TCP通信のコネクション切断を要求する無線装置(以下、「TCP通信切断要求装置」という。)のTCPモジュール21は、コネクションの切断時に、TCPヘッダ内のCode BitをFIN(Finish Flag)に設定したコネクションの切断要求を示す第1パケットをTCP通信のコネクション切断を受理する無線装置(以下、「TCP通信切断受理装置」という。)へ送信する。これを受けて、TCP通信切断受理装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの切断要求受理を示す第2パケットと、TCPヘッダ内のCode BitをFINに設定したコネクションの切断完了を示す第3パケットをTCP通信切断要求装置のTCPモジュール21へ送信する。更に、これを受けて、TCP通信切断要求装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの切断完了を示す第4パケットをTCP通信切断受理装置のTCPモジュール21へ送信する。
図10は、リンクステートパケットLSPの内容図である。リンクステートパケットLSPは、パケット長と、予約と、隣接端末情報IFT1,IFT2,・・・とからなる。
隣接端末情報IFT1は、送信先アドレス1、送信先シーケンス番号1、隣りの無線装置の個数、隣りの無線装置のアドレス1〜N、リンクメトリック1〜N、距離1〜N、方位角1〜Nおよび予約からなる。
送信先アドレス1は、送信先の無線装置のIPアドレスである。送信先シーケンス番号1は、送信先アドレス1によって表わされた無線装置に対する経路を生成した順序を表す。隣りの無線装置の個数は、リンクステートパケットLSPを送信した無線装置に隣接する無線装置の個数である。
[隣りの無線装置のアドレス1、予約、リンクメトリック1、距離1、方位角1]、・・・、[隣りの無線装置のアドレスN、予約、リンクメトリックN、距離N、方位角N]の各々は、1つのセットになっており、リンクステートパケットLSPを送信した無線装置に隣接する無線装置のIPアドレスと、そのIPアドレスによって表された無線装置とリンクステートパケットLSPを送信した無線装置との間の経路の安定度合と、そのIPアドレスによって表された無線装置とリンクステートパケットLSPを送信した無線装置との間の通信距離と、そのIPアドレスによって表された無線装置がリンクステートパケットLSPを送信した無線装置に対して存在する方向とを表す。
即ち、隣りの無線装置のアドレス1〜Nの各々は、リンクステートパケットLSPを送信した無線装置に隣接する無線装置のIPアドレスを表し、リンクメトリック1〜Nの各々は、IPアドレスによって表された無線装置とリンクステートパケットLSPを送信した無線装置との間の経路の安定度合を表し、距離1〜Nの各々は、リンクステートパケットLSPを送信した無線装置とIPアドレスによって表された無線装置との間の通信距離を表し、方位角1〜Nの各々は、IPアドレスによって表された無線装置がリンクステートパケットLSPを送信した無線装置に対して存在する方向を表す。
リンクメトリック1〜Nの各々は、受信信号強度に基づいて決定される。表1は、信号強度とメトリック値との関係を示す。
Figure 2006186565
信号強度が−60dBよりも強いとき、リンクメトリック値は、”1”となり、信号強度が−60dB〜−65dBの範囲であるとき、リンクメトリック値は、”2”となり、信号強度が−65dB〜−70dBの範囲であるとき、リンクメトリック値は、”4”となり、信号強度が−70dB〜−75dBの範囲であるとき、リンクメトリック値は、”8”となり、信号強度が−75dBよりも弱いとき、リンクメトリック値は、”16”となる。
このように、受信信号強度に基づいて決定されたリンクメトリック値が隣接端末情報IFT1のリンクメトリック1〜Nに格納される。
距離1〜Nの各々には、距離測定部163が後述する方法によって測定した距離が格納され、方位角1〜Nの各々には、方位角測定部164が後述する方法によって測定した方位角が格納される。
隣接端末情報IFT2,・・・の各々は、隣接端末情報IFT1と同じ構成からなる。そして、隣接端末情報IFT1,IFT2,・・・は、それぞれ、異なる送信先に対して無線通信を中継し、かつ、リンクステートパケットLSPを送信した無線装置に隣接する無線装置の情報を示す。
例えば、図1に示す無線装置2がリンクステートパケットLSPを無線装置1へ送信する場合、リンクステートパケットLSPは、2つの隣接端末情報IFT1,IFT2からなる。そして、隣接端末情報IFT1は、無線装置11のIPアドレスからなる送信先アドレス1と、“2”からなる隣りの無線装置の個数と、所定の正の整数からなる送信先シーケンス番号1と、無線装置5のIPアドレスからなる隣の無線装置のアドレス1と、所定の正の整数からなるリンクメトリック1と、無線装置2と無線装置5との間の通信距離を示す距離1と、無線装置2に対して無線装置5が存在する方向を示す方位角1と、無線装置6のIPアドレスからなる隣りの無線装置のアドレス2(=N)と、所定の正の整数からなるリンクメトリック2(=N)と、無線装置2と無線装置6との間の通信距離を示す距離2(=N)と、無線装置2に対して無線装置6が存在する方向を示す方位角2(=N)とからなる。また、隣接端末情報IFT2は、無線装置12のIPアドレスからなる送信先アドレス2と、“2”からなる隣の無線装置の個数と、所定の正の整数からなる送信先シーケンス番号2と、無線装置3のIPアドレスからなる隣りの無線装置のアドレス1と、所定の正の整数からなるリンクメトリック1と、無線装置2と無線装置3との間の通信距離を示す距離1と、無線装置2に対して無線装置3が存在する方向を示す方位角1と、無線装置4のIPアドレスからなる隣の無線装置のアドレス2(=N)と、所定の正の整数からなるリンクメトリック2(=N)と、無線装置2と無線装置4との間の通信距離を示す距離2(=N)と、無線装置2に対して無線装置4が存在する方向を示す方位角2(=N)とからなる。
図11は、リンクステートパケットLSPおよびデータフレームDAFMの構成図である。リンクステートパケットLSPおよびデータフレームDAFMの各々は、MACヘッダと、フレームボディと、FSC(Frame Check Sequence)とからなる。MACヘッダは、24Octetにより構成され、フレームボディは、0〜2313Octetにより構成され、FCSは、4Octetにより構成される。なお、1Octetは、8ビットに等しい。
MACヘッダは、フレーム制御と、デュレーション/IDと、優先フラグと、アドレス1〜3と、シーケンス制御とからなる。フレーム制御は、プロトコルバージョン等の各種の制御情報を含む。アドレス領域は、3個のアドレス1〜3が用意されているが、フレームタイプによってアドレス数が変化する。通常、宛先アドレスおよび送信元アドレスとして2つのアドレス1,2が用いられる。デュレーション/IDは、無線回線を使用する予定期間が格納される。優先フラグは、フレームボディに格納されるデータの種類に応じて決定される優先度が正の整数によって格納される。例えば、緊急を要するデータを送信するときは、優先度は、最も高く設定され、通常のデータを送信するときは、優先度は、相対的に低く設定される。この場合、優先度が高いほど、小さい整数が優先フラグに格納される。
シーケンス制御は、リンクステートパケットLSPまたはデータフレームDAFMのシーケンス番号と、フラグメントのためのフラグメント番号とを示す。
フレームボディは、送信データを格納する。FCSは、MACヘッダと、フレームボディの誤り検出符号を格納する。
図10に示すリンクステートパケットLSPの内容をフレームボディに格納してリンクステートパケットLSPが生成され、送信先へ送信するデータおよび周波数設定情報FQIF1をフレームボディに格納してデータフレームDAFMが生成される。
図12は、図2に示すルーティングテーブル20の例を示す図である。なお、図12に示すルーティングテーブル20は、無線装置1が保持するルーティングテーブルである。
ルーティングテーブル20は、x−y直交座標において、無線装置1の位置を原点に設定した場合における無線装置1に対する無線装置2〜15の絶対位置をx,y座標で表した構成からなる。そして、2つの無線装置間に表示されたm1〜m32の各々は、2つの無線装置間のリンクメトリック値を表わす。
このように、無線装置1は、他の無線装置2〜15の自己に対する絶対位置をx,y座標で表したルーティングテーブル20を保持する。
無線装置2〜15の各々は、自己に対する他の無線装置の絶対位置を図12に示すルーティングテーブル20の形式で保持する。
[距離測定方法]
図13は、隣接する2つの無線装置間の距離を測定する方法を説明するための図である。図13においては、送信機として機能する一方の無線装置に搭載された距離測定部163Aから、受信機として機能する他方の無線装置に搭載された距離測定部163Bへ送信される第1および第2の搬送波が示されている。第1の搬送波は、周波数fmを有し、第2の搬送波は、周波数fnを有する。
また、図13においては、縦軸は、第1および第2の搬送波の振幅を表し、横軸は、距離を表す。Rは、送信機としての一方の無線装置から受信機としての他方の無線装置までの通信距離を表す。送信機としての一方の無線装置では、第1および第2の搬送波は、同期が取られている。そのため、送信機としての一方の無線装置においては、第1および第2の搬送波の位相は、一致している。
Δφは、受信機としての他方の無線装置における第1の搬送波と第2の搬送波との位相差を表す。ここで、−π≦Δφ≦πである。
電波の速度をcとし、搬送波の波長をλとし、搬送波の周波数をfとし、搬送波の周期をTとすると、次式が成り立つ。
c=λ/T=λf・・・(1)
式(1)から搬送波の角周波数ωは次式のようになる。
ω=2π/T=2πf・・・(2)
送信機としての一方の無線装置から受信機としての他方の無線装置までの距離Rを位相で表すと、2πR/λ[rad]となる。
従って、式(1)を用いれば、位相2πR/λは次式のようになる。
2πR/λ=2πRf/c・・・(3)
ここで、送信機としての一方の無線装置における第1および第2の搬送波をそれぞれ式(4)および(5)によって表す。
1T=sin(2πfmt+φ)・・・(4)
2T=sin(2πfnt+φ)・・・(5)
式(4)および(5)において、w1Tおよびw2Tは、それぞれ、送信機としての無線装置における第1および第2の搬送波の振幅を表し、tは、時間を表し、φおよびφは、それぞれ、送信機としての一方の無線装置における第1および第2の搬送波の位相である。
式(3)〜(5)より、受信機としての他方の無線装置における第1および第2の搬送波は、それぞれ、式(6)および(7)によって表すことができる。
1R=sin(2πfmt−2πRfm/c+φ)・・・(6)
2R=sin(2πfnt−2πRfn/c+φ)・・・(7)
式(6)および式(7)において、受信機としての他方の無線装置におけるw1Rおよびw2Rは、それぞれ、第1および第2の搬送波の振幅を表し、tは、時間を表す。
送信機としての一方の無線装置において、第1および第2の搬送波は、同期が取られているので、φ=φとなる。
従って、式(6)および式(7)より、受信機としての他方の無線装置における第1および第2の搬送波の位相差Δφは、次式のようになる。
Δφ=2πR/c(fm−fn)=2πR/c・Δf・・・(8)
式(8)において、Δfは、周波数fmと周波数fnとの差である。式(8)を変形すると、次式のようになる。
R=(c/2π)・(Δφ/Δf)
=(cΔφ)/(2πΔf) (−π≦Δφ≦π)・・・(9)
ここで、周波数fmと周波数fnとの差Δfを1.0MHzに設定した場合を想定する。この場合、位相差Δφがπになると、式(9)より距離Rは、次のように算出される。
R=(3.0×10×π)/(2π×1.0×10)=150[m]
次に、周波数fmと周波数fnとの差Δfを5.0MHzに設定した場合を想定する。この場合、位相差Δφがπになると、式(9)より距離Rは次のように算出される。
R=(3.0×10×π)/(2π×5.0×10)=30[m]
また、位相差Δφの検出の分解能Δφを1.0°とすると、Δφ=1.0°=π/180[rad]である。
周波数fmと周波数fnとの差Δfが1.0MHzの場合、距離の検出の分解能ΔRは、式(9)より次式のようになる。
ΔR=(3.0×10×π)/(2π×1.0×10×180)=0.83[m]
また、周波数fmと周波数fnとの差Δfが5.0MHzの場合、距離の検出の分解能ΔRは、式(9)より次式のようになる。
ΔR=(3.0×10×π)/(2π×5.0×10×180)=0.17[m]
このように、周波数fmと周波数fnとの差Δfが小さく設定された場合には、低い分解能で遠距離の測定が可能となる。また、周波数fmと周波数fnとの差Δfが大きく設定された場合には、高い分解能で近距離の測定が可能となる。
従って、無線装置間の距離に応じて送信機としての一方の無線装置が周波数fmと周波数fnとの差Δfを制御することにより、適切な分解能で無線装置間の距離を測定することができる。
上述したように、この実施の形態1においては、送信機としての一方の無線装置に搭載された距離測定部163Aから周波数fmを有する第1の搬送波および周波数fnを有する第2の搬送波が受信機としての他方の無線装置へ送信される。そして、他方の無線装置に搭載された距離測定部163Bは、第1および第2の搬送波を受信し、その受信した第1および第2の搬送波の位相差Δφを検出する。その後、距離測定部163Bは、その検出した位相差Δφ、周波数fmおよび周波数fnに基づいて、式(9)により一方の無線装置と他方の無線装置との間の通信距離Rを算出する。
このように、異なる周波数を有する第1および第2の搬送波を用いることにより、簡単な構成で、かつ、低コストで無線装置間の距離を測定することができる。
また、距離測定部163Aにおいて、周波数fnを可変制御できるので、通信すべき無線装置間の通信距離が近い場合には、周波数fmと周波数fnとの差Δfを大きくすることにより、高い分解能で通信距離を測定でき、通信すべき無線装置間の通信距離が遠い場合には、周波数fmと周波数fnとの差Δfを小さくすることにより、低い分解能にはなるものの、長い通信距離の測定を行なうことができる。
図1に示す無線装置1〜15の距離測定部163は、上述した2つの距離測定部163A,163Bからなる。この場合、距離測定部163A,163Bは、アンテナ11Aを共用する。そして、距離測定部163Aのパワーアンプ1637および距離測定部163Bの低雑音アンプ1644と、アンテナ11Aとの間に送信および受信を切換えるスイッチが設けられる。
従って、無線装置1〜15の各々は、距離測定において、送信機または受信機として機能し、隣接する無線装置との間の通信距離Rを測定できる。
図14は、送信元から送信先までの無線通信経路上に存在する複数の無線装置の各々が隣接する無線装置間の距離を測定する概念図である。無線装置1,2間で通信距離r12が測定される場合、無線装置1が送信機として機能し、無線装置2が受信機として機能する。また、無線装置2,5間で通信距離r25が測定される場合、無線装置2が送信機として機能し、無線装置5が受信機として機能する。以下、同様にして、通信距離r58,r811,r1115が測定される場合、それぞれ、無線装置5,8,11が送信機として機能し、無線装置8,11,15が受信機として機能する。
従って、無線装置1,2,5,8,11は、距離測定部163Aによって周波数fmを有する第1の搬送波と周波数fnを有する第2の搬送波とを送信し、無線装置2,5,8,11,15は、距離測定部163Bによって第1および第2の搬送波を受信し、その受信した第1および第2の搬送波に基づいて、上述した方法によって、それぞれ、通信距離r12,r25,r58,r811,r1115を算出する。
[方位角測定方法]
図15は、図2に示すアンテナ11Aから放射されるビームパターンの平面図である。アンテナ11Aは、指向性制御部1673からの制御に従って、全方位性のビームパターンBPM0、または指向性DR1〜DR12をそれぞれ有するビームパターンBPM1〜BPM12を放射する。
指向性DR1の方向を0度の方向とすると、ビームパターンBPM1〜BPM12は、それぞれ、0度、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度および330度の方向に放射される。なお、この0度の方向は、図12に示すルーティングテーブル20のx軸の方向である。
指向性制御部1673は、アンテナ11Aの指向性を順次切換えるとき、例えば、指向性DR1,DR2,・・・,DR12の順序でアンテナ11Aの指向性を切換えるので、上述したように指向性DR1,DR2,・・・,DR12を、順次、方位角検出部1674へ出力する。
図14に示す無線装置1に対する無線装置2の方位角θr12を測定する方法について説明する。
無線装置1のルーティングデーモン24は、信号DIRを生成して無線インターフェースモジュール16の方位角測定部164へ送信する。無線装置1の方位角測定部164の制御部1671は、ルーティングデーモン24からの信号DIRに応じて、信号RQを生成して送受信部1672へ出力する。また、無線装置1の指向性制御部1673は、ルーティングデーモン24からの信号DIRに応じて、全方位性のビームパターンBPM0を放射するようにアンテナ11Aを制御する。
無線装置1の送受信部1672は、制御部1671からの信号RQを変調および増幅等し、全方位性のビームパターンBPM0を放射するアンテナ11Aを介して信号RQを送信する。
無線装置2のアンテナ11Aは、全方位性のビームパターンBPM0により無線装置1からの信号RQを受信し、その受信した信号RQを方位角測定部164の送受信部1672へ出力する。無線装置2の送受信部1672は、信号RQを復調および増幅等して制御部1671へ出力する。無線装置2の制御部1671は、信号RQをルーティングデーモン24へ送信し、ルーティングデーモン24は、信号RQに応じて、方位角を測定するためのデータDADRを生成し、その生成したデータDADRをMACモジュール17等の下位層を介して方位角測定部164の送受信部1672へ送信する。
無線装置2の送受信部1672は、ルーティングデーモン24からのデータDADRを変調および増幅等して全方位性のビームパターンBPM0を放射するアンテナ11Aを介して送信する。
無線装置1において、制御部1671は、信号RQをアンテナ11Aを介して無線装置2へ送信した後、信号EXDRを生成して指向性制御部1673へ出力し、指向性制御部1673は、信号EXDRに応じて、アンテナ11Aの指向性を指向性DR1,DR2,・・・,DR12に順次切換え、その切換えた指向性DR1,DR2,・・・,DR12を、順次、方位角検出部1674へ出力する。
無線装置1のアンテナ11Aは、その指向性を指向性DR1,DR2,・・・,DR12に順次変えながら、無線装置2からのデータDADRを受信し、その受信したデータDADRを送受信部1672へ出力する。そして、送受信部1672は、アンテナ11Aから受けたデータDADRを復調および増幅等し、データDADRの受信信号強度RSSIを検出する。この場合、送受信部1672は、アンテナ11Aの指向性DR1,DR2,・・・,DR12に対応して、12個の受信信号強度RSSI1〜RSSI12を検出する。そして、送受信部1672は、その検出した12個の受信信号強度RSSI1〜RSSI12を、順次、方位角検出部1674へ出力する。
方位角検出部1674は、送受信部1672から12個の受信信号強度RSSI1〜RSSI12を順次受け、指向性制御部1673から12個の指向性DR1,DR2,・・・,DR12を順次受ける。そして、方位角検出部1674は、受信信号強度RSSI1〜RSSI12をそれぞれ指向性DR1,DR2,・・・,DR12に対応付け、受信信号強度RSSI1〜RSSI12のうち、最大の受信信号強度RSSI_MAXを検出する。
そうすると、方位角検出部1674は、最大の受信信号強度RSSI_MAXに対応する指向性(指向性DR1,DR2,・・・,DR12のいずれか)を検出し、その検出した指向性の方向を無線装置2が存在する方位角θr12とする。そして、方位角検出部1674は、検出した方位角θr12をルーティングデーモン24へ送信する。
図14に示す無線装置2,5,8,11も、上述した無線装置1と同じ方法によって、それぞれ、無線装置5,8,11,15が存在する方位角θr25,θr58,θr811,θr1115を検出する。
無線装置1のルーティングデーモン24がルーティングテーブル20を作成する方法について説明する。無線装置1は、短期間ごとに、例えば、5秒ごとに隣接する無線装置2,3,6からリンクステートパケットLSPを受信し、長期間ごとに、例えば、15秒ごとに無線装置4,5,7〜15からリンクステートパケットLSPを受信する。これにより、無線装置1は、周囲に存在する無線装置2〜15を認識する。
そして、無線装置1は、周囲に存在する無線装置2〜15から受信したリンクステートパケットLSPの端末情報に基づいて、自己に対する無線装置2〜15の絶対位置と、隣接する無線装置間のリンクメトリック値とを示すルーティングテーブル20を作成する。
図16〜図19は、それぞれ、送信元の無線装置1が受信するリンクステートパケットの第1〜第4の内容図である。無線装置1は、無線装置2から図16に示すリンクステートパケットLSP1を受信し、無線装置3から図17に示すリンクステートパケットLSP2を受信し、無線装置6から図18に示すリンクステートパケットLSP3を受信し、無線装置5から図19に示すリンクステートパケットLSP4を受信する。なお、リンクステートパケットLSP1〜LSP4の各々は、送信先を無線装置15とする隣接端末情報IFT1のみを示す。
無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置2,3,6からそれぞれリンクステートパケットLSP1〜LSP3を短期間に受信すると、リンクステートパケットLSP1〜LSP3のMACヘッダに含まれる送信元アドレスにそれぞれ無線装置2,3,6のIPアドレスが格納されていることを検出して、無線装置2,3,6が無線装置1に隣接することを認識する。
そして、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置2,3,6が無線装置1に隣接することを認識すると、無線装置1と無線装置2,3,6の各々との通信距離r12,r13,r16を測定するように距離測定部163を制御し、無線装置1に対して無線装置2,3,6の各々が存在する方位角θr12,θr13,θr16を測定するように方位角測定部164を制御する。
そうすると、距離測定部163は、上述した方法によって無線装置1と無線装置2,3,6の各々との通信距離r12,r13,r16を測定してルーティングデーモン24へ送信する。
この場合、無線装置1が送信機として機能し、無線装置2,3,6が受信機として機能するとき、無線装置1のルーティングデーモン24は、測定した通信距離r12,r13,r16を無線装置1へ送信するように無線装置2,3,6へ要求し、無線装置2,3,6のルーティングデーモン24は、測定した通信距離r12,r13,r16を無線装置1へ送信する。
また、送信機1が受信機として機能し、無線装置2,3,6が送信機として機能するとき、無線装置1のルーティングデーモン24は、周波数fm,fnの電波を無線装置1へ送信するように無線装置2,3,6へ要求し、無線装置2,3,6は、周波数fm,fnの電波を無線装置1へ送信する。そして、無線装置1の距離測定部163は、上述した方法によって、通信距離r12,r13,r16を測定してルーティングデーモン24へ送信する。
そして、方位角測定部164は、上述した方法によって無線装置1に対して無線装置2,3,6の各々が存在する方位角θr12,θr13,θr16を測定してルーティングデーモン24へ送信する。
無線装置1のルーティングデーモン24は、距離測定部163が測定した通信距離r12,r13,r16と、方位角測定部164が測定した方位角θr12,θr13,θr16とに基づいて、無線装置1に対する無線装置2,3,6の絶対位置をx,y座標にプロットする。
即ち、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置1の位置をx,y座標の原点に設定し、通信距離r12と方位角θr12とに基づいて、無線装置1に対する無線装置2の絶対位置を示す座標[r12cos(θr12),r12sin(θr12)]を演算し、その演算した座標[r12cos(θr12),r12sin(θr12)]を無線装置1に対する無線装置2の絶対位置としてx,y座標にプロットする。
また、無線装置1のルーティングデーモン24は、通信距離r13と方位角θr13とに基づいて、無線装置1に対する無線装置3の絶対位置を示す座標[r13cos(θr13),r13sin(θr13)]を演算し、その演算した座標[r13cos(θr13),r13sin(θr13)]を無線装置1に対する無線装置3の絶対位置としてx,y座標にプロットする。
更に、無線装置1のルーティングデーモン24は、通信距離r16と方位角θr16とに基づいて、無線装置1に対する無線装置6の絶対位置を示す座標[r16cos(θr16),r16sin(θr16)]を演算し、その演算した座標[r16cos(θr16),r16sin(θr16)]を無線装置1に対する無線装置6の絶対位置としてx,y座標にプロットする。
その後、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置2,3,6からそれぞれリンクステートパケットLSP1〜LSP3を受信したときの受信電界強度を無線インターフェースモジュール16から受け、その受けた受信電界強度を表1を参照してリンクメトリック値m1〜m3に変換し、その変換したリンクメトリック値m1〜m3をそれぞれ無線装置3,2,6との間に表記する。
引続いて、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置2から受信したリンクステートパケットLSP1に基づいて、無線装置2に隣接する無線装置が無線装置4,5であることを検出し、無線装置1に対する無線装置4,5の絶対位置を上述した方法によってx,y座標にプロットする。
即ち、無線装置1のルーティングデーモン24は、リンクステートパケットLSP1に含まれる無線装置4のIPアドレスおよび無線装置5のIPアドレスに基づいて、無線装置2に隣接する無線装置が無線装置4,5であることを検出する。
また、リンクステートパケットLSP1は、無線装置2と無線装置4との通信距離r24および無線装置2に対して無線装置4が存在する方向を示す方位角θr24を含むので、無線装置1のルーティングデーモン24は、通信距離r24と、方位角θr24とに基づいて、無線装置2に対する無線装置4の絶対位置を示す座標[r24cos(θr24),r24sin(θr24)]を演算し、その演算した座標[r24cos(θr24),r24sin(θr24)]を無線装置1に対する無線装置2の絶対位置を示す座標[r12cos(θr12),r12sin(θr12)]に加算して無線装置1に対する無線装置4の絶対位置を示す座標[r12cos(θr12)+r24cos(θr24),r12sin(θr12)+r24sin(θr24)]を演算する。そして、無線装置1のルーティングデーモン24は、演算した座標[r12cos(θr12)+r24cos(θr24),r12sin(θr12)+r24sin(θr24)]を無線装置1に対する無線装置4の絶対位置としてx,y座標にプロットするとともに、リンクステートパケットLSP1に含まれていたリンクメトリック値m7を無線装置2と無線装置4との間に表記する。
無線装置1のルーティングデーモン24は、リンクステートパケットLSP1に含まれる通信距離r25および方位角θr25に基づいて、同様にして、無線装置1に対する無線装置5の絶対位置を示す座標[r12cos(θr12)+r25cos(θr25),r12sin(θr12)+r25sin(θr25)]を演算し、その演算した座標[r12cos(θr12)+r25cos(θr25),r12sin(θr12)+r25sin(θr25)]を無線装置1に対する無線装置5の絶対位置としてx,y座標にプロットするとともに、リンクステートパケットLSP1に含まれていたリンクメトリック値m8を無線装置2と無線装置5との間に表記する。
無線装置1のルーティングデーモン24は、同様にして、図17に示すリンクステートパケットLSP2に基づいて、無線装置1に対する無線装置4の絶対位置をx,y座標にプロットするとともに、リンクステートパケットLSP2に含まれるリンクメトリック値m6を無線装置3と無線装置4との間に表記する。
また、無線装置1のルーティングデーモン24は、同様にして、図18に示すリンクスステートパケットLSP3に基づいて、無線装置5,9,10の無線装置1に対する絶対位置をx,y座標にプロットするとともに、リンクステートパケットLSP2に含まれるリンクメトリック値m9,m10,m11をそれぞれ無線装置6と無線装置5との間、無線装置6と無線装置9との間および無線装置6と無線装置10との間に表記する。
なお、リンクステートパケットLSP3に基づいてプロットされる無線装置1に対する無線装置5の絶対位置は、無線装置1から無線装置6を経由する無線装置5の絶対位置である。そして、リンクステートパケットLSP3の距離r65および方位角θr65に基づいて演算された無線装置1に対する無線装置5の絶対位置は、リンクステートパケットLSP1の距離r25および方位角θr25に基づいて演算された無線装置1に対する無線装置5の絶対位置に一致する。
更に、無線装置1のルーティングデーモン24は、図19に示すリンクステートパケットLSP4を無線装置5から受信し、その受信したリンクステートパケットLSP4に基づいて、同様にして、無線装置1に対する無線装置7,8,9の絶対位置をx,y座標にプロットするとともに、リンクステートパケットLSP4に含まれるリンクメトリック値m13,m17,m18をそれぞれ無線装置5と無線装置7との間、無線装置5と無線装置8との間および無線装置5と無線装置9との間に表記する。なお、リンクステートパケットLSP3に基づいてプロットされる無線装置1に対する無線装置7,8,9の絶対位置は、無線装置1から無線装置2,5を経由する無線装置7,8,9の絶対位置である。
無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置7〜15から受信したリンクステートパケットに基づいて、同様にして、無線装置1に対する無線装置7〜15の絶対位置をx,y座標にプロットするとともに、隣接する無線装置間にリンクメトリック値を表記する。
これによって、図12に示すルーティングテーブル20が完成する。
無線装置2〜15の各々のルーティングデーモン24は、無線装置1のルーティングデーモン24と同じ方法によって自己に対する他の無線装置の絶対位置と、各隣接する無線装置間のリンクメトリック値とからなるルーティングテーブル20を作成する。
ルーティングテーブル20に表記されるリンクメトリック値m1〜m32は、受信電界強度RSSIに基づいて表1に従って決定されるが、受信信号強度RSSIをリンクメトリック値m1〜m32に変換する場合、受信信号強度RSSIを複数の領域(−60dBよりも強い領域RGE1、−60dB〜−65dBの領域RGE2、−65dB〜−70dBの領域RGE3、−70dB〜−75dBの領域RGE4、−75dBよりも弱い領域RGE5)に分割し、受信信号強度RSSIが領域RGE1から領域RGE5の方向へ弱くなるに従って、リンクメトリック値は、2の累乗によって大きくなる。即ち、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従って、リンクメトリック値は、指数関数的に大きくなる。
このように、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従って経路安定指標としてのリンクメトリック値を指数関数的に大きくすることによって(即ち、受信信号強度RSSIが直線的に強くなるに従って経路安定指標としてのリンクメトリック値を指数関数的に小さくすることによって)、安定度合がより大きい経路を容易に選択できる。
即ち、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってリンクメトリック値を直線的に大きくした場合、受信信号強度RSSIの違いによるリンクメトリック値の差は小さくなる。そして、ルーティングテーブル20を参照すれば、無線装置1から無線装置15までの全体の経路における総合メトリック数(=各経路のリンクメトリック値の加算値)を演算できるが、受信信号強度RSSIが変動しても値が大きく変化しないリンクメトリック値を用いた場合には、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数に大きな差が生じないことになる。
これに対し、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってリンクメトリック値を指数関数的に大きくした場合、受信信号強度RSSIの変化に対してリンクメトリック値が大きく変化するので、総合メトリック数も大きく変化することになり、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数に大きな差が生じることになる。
従って、この発明においては、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってリンクメトリック値が指数関数的に大きくなるようにしたものである。
[無線通信経路の確立動作]
図20は、マルチパス環境下における受信電力と距離との関係を示す図である。図20において、縦軸は、受信電力を表し、横軸は、距離を表す。また、曲線k1は、垂直偏波における受信電力と距離との関係を示し、曲線k2は、水平偏波における受信電力と距離との関係を示す。
受信電力は、距離が長くなるに従って指数関数的に低下し、距離が約2mを超えると、受信電力が大きく低下する距離が周期的に現れる。そして、この受信電力の大きな低下は、垂直偏波の方が水平偏波よりも大きい。
そこで、この発明においては、受信電力Pにしきい値Prthを設け、隣接する無線装置間の受信電力Pがしきい値Prthよりも低下する経路を除外して送信元から送信先へデータを送信する。即ち、送信元は、隣接する無線装置間の受信電力Pがしきい値Prthよりも低下する特定の通信距離以外の通信距離を有する経路を介して送信先へデータを送信する。
従って、送信元である無線装置1のIPモジュール19は、受信電力Pがしきい値Prthよりも低下する特定の通信距離rdsを保持しており、データを送信先である無線装置11へ送信するとき、ルーティングテーブル20を参照して、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rds以外の通信距離になる経路を選択して無線装置11までの通信経路を決定する。
例えば、無線装置8と無線装置11との間の通信距離r811および無線装置6と無線装置10との間の通信距離r610が特定の通信距離rdsであるとき、無線装置1のIPモジュール19は、無線装置8→無線装置11の経路および無線装置6→無線装置10の経路を避け、無線装置11までの総合メトリック数が最小となる経路:無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11を無線装置11までの通信経路と決定する。
なお、IPモジュール19は、全ての隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない場合、無線装置11までの総合メトリック数が最小となる経路を無線装置11までの通信経路と決定する。
このように、無線装置1のIPモジュール19は、上位層であるTCPモジュール21からTCPパケットを受信すると、ルーティングテーブル20にプロットされた無線装置1〜15の絶対位置(x,y座標)に基づいて、各隣接する無線装置間の通信距離を演算し、その演算した通信距離のうち、特定の通信距離rdsに一致する通信距離が存在するか否かを判定する。そして、無線装置1のIPモジュール19は、特定の通信距離rdsに一致する無線装置間の通信距離が存在する場合、その通信距離を有する経路以外の経路を用いて、送信先までの総合メトリック数が最小となる経路を決定する。また、無線装置1のIPモジュール19は、特定の通信距離rdsに一致する無線装置間の通信距離が存在しない場合、ルーティングテーブル20に示される全ての経路を対象として、送信先までの総合メトリック数が最小となる経路を決定する。
無線装置1のIPモジュール19は、特定の通信距離rdsを保持していると説明したが、この発明においては、無線装置1のIPモジュール19は、次の方法によって特定の通信距離rdsを決定してもよい。
マルチパス環境下においては、受信電力と距離との関係は、次式によって表される。
=P[D{λ/(4πr)}+D{λ/(4πr)}Γexp[−j{k(r−r)+φ}]]・・・(10)
但し、P:受信電力、P:送信電力、G:受信アンテナの利得、G:送信アンテナの利得、D:直接波の送受信アンテナの指向性利得、D:間接波の送受信アンテナの指向性利得、r:直接波の伝搬距離、r:間接波の伝搬距離、k=2π/λ、λ:電波の波長、Γ:アスファルト路面の反射係数、Φ:アスファルト路面の反射係数の位相遅れ
図21は、反射係数の絶対値|Γ|および位相遅れΦと入射角度θiとの関係を示す図である。図21において、縦軸は、反射係数の絶対値|Γ|および位相遅れΦを表し、横軸は、入射角度θiを表す。また、曲線k3は、垂直偏波における反射係数の絶対値|Γ|と入射角度θiとの関係を示し、曲線k4は、垂直偏波における位相遅れΦと入射角度θiとの関係を示す。また、曲線k5は、水平偏波における反射係数の絶対値|Γ|と入射角度θiとの関係を示し、曲線k6は、水平偏波における位相遅れΦと入射角度θiとの関係を示す。
入射角度θiは、各無線装置1〜15のアンテナ11Aから放射された電波が路面へ入射するときの角度であり、無線装置2〜15におけるアンテナ11Aの路面からの高さによって決定される。そして、入射角度θiは、無線装置1〜15におけるアンテナ11Aの路面からの高さが相対的に高くなれば、相対的に小さくなり、無線装置1〜15におけるアンテナ11Aの路面からの高さが相対的に低くなれば、相対的に大きくなる。
従って、入射角度θiがアンテナ11Aの路面からの高さを用いて決定されれば、図21に示す曲線k3〜k6を用いて垂直偏波および水平偏波における反射係数の絶対値|Γ|および位相遅れΦが決定される。また、送信電力P、受信アンテナの利得G、送信アンテナの利得G、直接波の送受信アンテナの指向性利得D、間接波の送受信アンテナの指向性利得D、k=2π/λ、および電波の波長λは、既知であるので、無線装置1のIPモジュール19は、反射係数の絶対値|Γ|、位相遅れΦ、送信電力P、受信アンテナの利得G、送信アンテナの利得G、直接波の送受信アンテナの指向性利得D、間接波の送受信アンテナの指向性利得D、k=2π/λ、および電波の波長λを式(10)に代入して受信電力Pがしきい値Prthよりも低下する直接波の伝搬距離rを演算し、その演算した伝搬距離rを特定の通信距離rdsと決定する。そして、無線装置1のIPモジュール19は、その決定した特定の通信距離rdsを用いて上述した方法により送信先までの経路を決定する。
無線装置2〜15のIPモジュール19も、無線装置2〜15が送信元である場合、上述した動作によって送信先までの経路を決定する。
図22は、送信元と送信先との間で無線通信経路を確立する動作を説明するためのフローチャートである。無線装置1が無線装置11と無線通信を行なう場合、送信元である無線装置1のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20を参照して、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rds以外の通信距離を有する経路の中から総合メトリック数が最小である経路を無線装置11と無線通信を行なうための経路と決定する。即ち、無線装置1のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20を参照して、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外する(ステップS1)。そして、無線装置1のIPモジュール19は、特定の通信距離rdsに一致する通信距離を有する経路以外の経路から、より安定な経路である無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11の経路rt1を無線装置11と無線通信を行なうための経路と決定する。この場合、無線装置1のIPモジュール19は、ステップS1において、特定の通信距離rdsに一致する通信距離がルーティングテーブル20に存在しない場合、ルーティングテーブル20の全ての経路を対象として経路rt1を無線装置11と無線通信を行なうための経路と決定する。
その後、無線装置1のIPモジュール19は、ルーティングデーモン24によって生成されたルート要求パケットRREQ1に経路rt1を示す経路情報=[無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11]を追加し、より安定な経路に沿ってルート要求パケットRREQ1を周波数f1でユニキャストする(ステップS2)。即ち、無線装置1は、ルート要求パケットRREQ1を周波数f1で無線装置2へ送信する。
このルート要求パケットRREQ1は、IPヘッダ部HED_Qと、データ部DA_Qとからなる。IPヘッダ部HED_Qは、送信元アドレスと、送信先アドレスとからなる。データ部DA_Qは、タイプと、ホップ数と、ルート要求パケット特定IDと、送信先IPアドレスと、送信元IPアドレスと、経路情報とからなる。
IPヘッダ部HED_Qの送信元アドレスは、ルート要求パケットRREQ1を送信する無線装置のアドレスであり、ルート要求パケットRREQ1を受信する各無線装置が送信先から送信元への逆通信経路において次に送信すべき無線装置であると認識するアドレスである。そして、この送信元アドレスは、ルート要求パケットRREQ1を中継する無線装置によって変えられる。
IPヘッダ部HED_Qの送信先アドレスは、[無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11]の経路rt1に沿って順次変えられる。
データ部DA_Qのタイプは、ルート要求パケットRREQ1がルートの確立を要求するパケットであることを示す”rreq”からなり、この”rreq”は、変更されない。
ホップ数は、ルート要求パケットRREQ1の生成元からルート要求パケットRREQ1を中継する各無線装置までのホップ数を表す。従って、このホップ数は、ルート要求パケットRREQ1を中継する無線装置によって”1”づつインクリメントされる。
ルート要求パケット特定IDは、順次生成される複数のルート要求パケットRREQ1の各々を特定するシーケンス番号である。そして、このルート要求パケット特定IDは、一度付与されると、変更されない。
送信先IPアドレスは、確立しようとしている通信経路における最終的な送信先である無線装置のIPアドレスである。そして、送信先IPアドレスは、不変である。
送信元IPアドレスは、ルート要求パケットRREQ1の生成元のIPアドレスである。従って、この送信元IPアドレスは、不変である。
経路情報は、送信元である無線装置1のIPモジュール19によって決定された経路rt1=[無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11]からなる。
従って、無線装置1のIPモジュール19は、[{src1/dst6}/{rreq/1/rreqID/dst11/src1/(addr1−addr6−addr9−addr11)}]からなるルート要求パケットRREQ1を生成してより安定な経路に沿って周波数f1でユニキャストする。
無線装置1の隣りの無線装置2,3,6は、無線装置1からのルート要求パケットRREQ1を周波数f1で受信する。そして、無線装置2,3のルーティングデーモン24は、ルート要求パケットRREQ1に含まれる送信先アドレスとして“dst6”を検出し、ルート要求パケットRREQ1が無線装置2,3へ送信されたものでないことを検知し、ルート要求パケットRREQ1の中継を中止する。
一方、無線装置6のルーティングデーモン24は、ルート要求パケットRREQ1に含まれる送信先アドレスとして“dst6”を検出し、ルート要求パケットRREQ1が無線装置6へ送信されたものであることを検知する。そして、無線装置6のIPモジュール19は、ルート要求パケットRREQ1のデータ部DA_Qに含まれる経路情報(addr1−addr6−addr9−addr11)を参考にして、より安定な経路を選択してルート要求パケットRREQ1を中継する。
即ち、無線装置6のIPモジュール19は、無線装置11への方向において、無線装置6に隣接する無線装置5,9,10との経路のうち、通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外し(ステップS3)、通信距離が特定の通信距離rds以外の通信距離になる経路からより安定な経路を選択してルート要求パケットRREQ1を中継する(ステップS4)。なお、無線装置6のIPモジュール19は、無線装置6と無線装置5,9,10の各々との間の通信距離がいずれも特定の通信距離rdsに一致しないとき、無線装置6と無線装置5,9,10との3つの経路の中からより安定な経路を選択してルート要求パケットRREQ1を中継する。
この場合、無線装置6のIPモジュール19は、無線装置6→無線装置9の経路を選択し、ルート要求パケットRREQ1の送信先アドレスを“dst6”から“dst9”に代え、送信元アドレスを“src1”から“src6”に代え、更に、無線装置1から無線装置6までのホップ数に“1”を加算してルート要求パケットRREQ1=[{src6/dst9}/{rreq/2/rreqID/dst11/src1/(addr1−addr6−addr9−addr11)}]を生成する。
そして、無線装置2のIPモジュール19は、その生成したルート要求パケットRREQ1=[{src6/dst9}/{rreq/2/rreqID/dst11/src1/(addr1−addr6−addr9−addr11)}]を周波数f1でユニキャストして中継する。
また、無線装置6のIPモジュール19は、送信元アドレスsrc1に基づいて、無線装置11から無線装置1への逆通信経路において無線装置6が次に送信すべき無線装置が無線装置1であると認識する。
その後、無線装置9は、無線装置6と同様にして、ルート要求パケットRREQ1が送信先の無線装置11へ到達するまで、通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外し、かつ、より安定な経路を選択してルート要求パケットRREQ1を周波数f1で中継する(ステップS3,S4)。
送信先である無線装置11のルーティングデーモン24は、ルート要求パケットRREQ1を受信すると、ルート要求パケットRREQ1に含まれる送信先IPアドレスdst11に基づいて自己が送信先であることを検知し、ルート返答パケットRREP1を生成する。
この場合、ルート返答パケットRREP1は、IPヘッダ部HED_Pと、データ部DA_Pとからなる。IPヘッダ部HED_Pは、送信元アドレスと、送信先アドレスとからなる。また、データ部DA_Pは、タイプと、ホップ数と、送信先IPアドレスと、送信元IPアドレスと、経路情報とからなる。
IPヘッダ部HED_Pの送信元アドレスは、ルート返答パケットRREP1を送信する無線装置のアドレスである。そして、この送信元アドレスは、ルート返答パケットRREP1を中継する無線装置によって変えられる。
IPヘッダ部HED_Pの送信先アドレスは、ルート要求パケットRREQ1に含まれている送信元IPアドレスである。
データ部DA_Pのタイプは、ルート返答パケットRREP1がルート要求パケットRREQ1に対する返答であることを示す”rrep”からなり、この”rrep”は、変更されない。
ホップ数は、ルート要求パケットRREQ1に含まれる送信先IPアドレスの無線装置からルート返答パケットRREP1を中継する各無線装置までのホップ数を表す。従って、このホップ数は、ルート返答パケットRREP1を中継する無線装置によって”1”づつインクリメントされる。
送信先IPアドレスは、確立された通信経路の送信先のIPアドレスである。そして、この送信先IPアドレスは、変更されない。
送信元IPアドレスは、確立された通信経路の送信元のIPアドレスである。
経路情報は、[無線装置11→無線装置9→無線装置6→無線装置1]からなる。
従って、無線装置11のルーティングデーモン24は、[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/経路情報}]からなるルート返答パケットRREP1を生成し、その生成したルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/経路情報}]をIPモジュール19へ送信する。
IPモジュール19は、ルーティングデーモン24から受信したルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/経路情報}]の“経路情報”に“(addr11−addr9−addr6−addr1)”を格納してルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]を生成し、その生成したルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]をルート要求パケットRREQ1を受信した経路に沿って周波数f1で送信する。即ち、無線装置11のルーティングデーモン24は、ルート要求パケットRREQ1を無線装置9から受信したので、無線装置11のIPモジュール19は、ルート返答パケットRREP1を無線装置9へ送信する。
無線装置9のルーティングデーモン24は、無線装置11からルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]を受信し、その受信したルート返答パケットRREP1=[{src11/dst9}/{rrep/1/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]の送信元アドレスsrc11を無線装置9を示す送信元アドレスsrc9に代え、送信先アドレスdst9を経路情報(addr11−addr9−addr6−addr1)に基づいて送信先アドレスdst6に代え、無線装置11から無線装置9までの経路数であるホップ数に”1”を加算してルート返答パケットRREP1=[{src9/dst6}/{rrep/2/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]を生成し、その生成したルート返答パケットRREP1=[{src9/dst6}/{rrep/2/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]をIPモジュール19へ送信する。そして、無線装置9のIPモジュール19は、ルート返答パケットRREP1=[{src9/dst6}/{rrep/2/dst11/src1/(addr11−addr9−addr6−addr1)}]を周波数f1で無線装置6へ送信する。
以下、同様にして、無線装置6は、ルート返答パケットRREP1を中継し、無線装置1は、無線装置11からのルート返答パケットRREP1を受信する(ステップS5)。これによって、無線装置1と無線装置11との間で無線通信を行なうための無線通信経路が確立される。
図23は、図22に示すステップS2,S4における詳細な動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置1または中継器(無線装置6等)のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20を参照し、送信先(無線装置11)に対して総合メトリック数が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS11)。より具体的には、無線装置1または中継器(無線装置2等)のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20に示された各隣接する無線装置間のリンクメトリック値m1〜m32を加算して各経路における総合メトリック数を演算し、その演算した総合メトリック数に基づいて、総合メトリック数が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する。
そして、総合メトリック数が同じである複数の経路が存在しないとき、無線装置1または中継器(無線装置6等)のIPモジュール19は、総合メトリック数が最小である経路を複数の経路から選択し、その選択した経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS12)。
一方、ステップS11において、総合メトリック数が同じである複数の経路が存在すると判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置6等)のIPモジュール19は、送信先(無線装置11)に対してホップ数が同じ複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS13)。
そして、ホップ数が同じである複数の経路が存在するとき、無線装置1または中継器(無線装置6等)のルーティングデーモン24は、いずれかの経路を複数の経路から選択し、その選択した経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS14)。
一方、ステップS13において、ホップ数が同じ複数の経路が存在しないと判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置6等)のIPモジュール19は、ホップ数が最小である経路を複数の経路から選択し、その選択した経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS15)。
これにより、図22に示すステップS2,S4の詳細な動作が終了する。
上述したように、この発明は、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外し、総合メトリック数に基づいて、通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない経路の中からデータを送信または中継する経路を決定し、総合メトリック数によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。即ち、この発明は、無線通信の遮断に繋がる経路(=通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路)を除外し、経路の安定度合に基づいて、より安定な経路をデータを送信または中継する経路として決定し、経路の安定度合によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。
これによって、安定な経路を介してデータを送信先へ送信することができる。その結果、データを送信するときのスループットを向上できる。従来のアドホックネットワークにおいては、送信先までのホップ数が増加すると、そのホップ数の増加に伴ってスループットは低下するが、この発明による無線装置は、送信先までのホップ数が多くても、無線通信の遮断に繋がる経路を除外し、総合メトリック数がより小さい、即ち、安定度合がより大きい経路を介してデータを送信先まで送信するので、ホップ数が多くなってもデータを安定して送信先まで送信でき、スループットを向上できる。つまり、この発明による無線装置は、安定度合がより大きい経路を選択してデータを送信または中継するので、各無線装置間においてデータの再送が発生することが極めて低くなり、スループットを向上できる。
[送信元と送信先との間の無線通信動作]
送信元(無線装置1)と送信先(無線装置11)との間で無線通信を行なう動作について説明する。図24は、送信元と送信先との間の無線通信動作を説明するためのフローチャートである。
一連の動作が開始されると、送信元である無線装置1のTCPモジュール21は、送信すべきデータを上位層から受け、その受けたデータをTCPデータ部に格納し、TCPデータ部にTCPヘッダを付加してTCPパケットを作成してIPモジュール19へ送信する。
無線装置1のIPモジュール19は、TCPモジュール21からTCPパケットを受けると、その受けたTCPパケットをIPデータ部に格納し、IPデータ部にIPヘッダを付加してIPパケットを作成する。そして、IPモジュール19は、その作成したIPパケットをLLCモジュール18を介してMACモジュール17へ送信する。
また、無線装置1のIPモジュール19は、無線装置1,6,9,11が使用する周波数を示す周波数設定情報FQIF1を作成する。即ち、IPモジュール19は、[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]からなる周波数設定情報FQIF1を作成し、その作成した周波数設定情報FQIF1をLLCモジュール18を介してMACモジュール17へ送信する。
更に、無線装置1のIPモジュール19は、周波数fyとして周波数f1を選択するための周波数選択信号FQSL2を生成して無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部162の送受信部1621およびBPF1623へ出力する。
そうすると、無線装置1のMACモジュール17は、IPモジュール19から受信したIPパケットおよび周波数設定情報FQIF1をフレームボディに格納し、かつ、IPパケットに含まれるデータの種類に応じた優先度を優先フラグに格納してデータフレームDAFMを作成し、その作成したデータDAFMを無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部162の送受信部1621へ送信する。
通信部162の送受信部1621は、IPモジュール19から受信した周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f1を周波数fyとして選択し、その選択した周波数f1によってMACモジュール17から受信したデータフレームDAFMを変調する。そして、送受信部1621は、その変調したデータフレームDAFMを周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f1を有するチャネルCh1を介してBPF1623へ送信する。
BPF1623は、IPモジュール19からの周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f1を有するデータフレームDAFMを通過させ、アンテナ11Aへ送信する。そして、アンテナ11Aは、通信部162からのデータフレームDAFMをユニキャストする。これによって、送信元である無線装置1は、データおよび周波数設定情報FQIF1を周波数f1でユニキャストする(ステップS21)。
無線装置6のIPモジュール19は、周波数切換信号FQEX1を生成して無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部161へ出力する。通信部161のBPF1613は、IPモジュール19からの周波数切換信号FQEX1に基づいて、周波数を周波数f1〜f14の範囲で変化させながらアンテナ11Aからの信号を受信する。
無線装置1は、周波数f1でデータフレームDAFMを送信したので、無線装置6の通信部161のBPF1613は、アンテナ11Aが受信した信号のうち、周波数f1を有するデータフレームDAFMのみを通過させ、その通過させたデータフレームDAFMを周波数f1を有するチャネルCh1を介して送受信部1611へ出力する。
そして、送受信部1611は、チャネル部1612を介して受けたデータフレームDAFMを復調等して上位層へ送信する。
無線装置6のMACモジュール17は、データフレームDAFMのフレームボディに格納された周波数設定情報FQIF1を抽出し、その抽出した周波数設定情報FQIF1をLLCモジュール18を介してIPモジュール19へ送信する。無線装置6のIPモジュール19は、周波数設定情報FQIF1をMACモジュール17から受信し、その受信した周波数設定情報FQIF1=[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]に基づいて、無線装置6が周波数f2でデータフレームDAFMを無線装置9へ中継すべきことを検知する。
そうすると、無線装置6のIPモジュール19は、周波数fyとして選択すべき周波数f2を周波数f1〜f14の範囲から選択し、周波数f2を選択するための周波数選択信号FQSL2を生成して無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部162の送受信部1621およびBPF1623へ出力する。また、無線装置6のIPモジュール19は、周波数設定情報FQIF1をLLCモジュール18を介してMACモジュール17へ送信する。
そして、無線装置6のMACモジュール17は、IPモジュール19から周波数設定情報FQIF1を受けると、その受けた周波数設定情報FQIF1をデータフレームDAFMのフレームボディに格納して無線インターフェースモジュール16へ送信する。
無線装置6の無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部162の送受信部1621は、IPモジュール19から受信した周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f2を周波数fyとして選択し、その選択した周波数f2によってMACモジュール17から受信したデータフレームDAFMを変調する。そして、送受信部1621は、その変調したデータフレームDAFMを周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f2を有するチャネルCh2を介してBPF1623へ送信する。
BPF1623は、IPモジュール19からの周波数選択信号FQSL2によって指定された周波数f2を有するデータフレームDAFMを通過させ、アンテナ11Aへ送信する。そして、アンテナ11Aは、通信部162からのデータフレームDAFMをユニキャストする。これによって、中継器である無線装置6は、データおよび周波数設定情報FQIF1を周波数f2でユニキャストする。
無線装置9も、無線装置6と同じようにしてデータフレームDAFMを無線装置6から受信するとともに、データフレームDAFMを無線装置11へ送信し、データフレームDAFMを中継する。
即ち、無線装置6,9からなる中継器は、周波数を探索し、周波数fi(i=1,2)で送信元(無線装置1)または送信元の方向に存在する中継器(無線装置6)からデータフレームDAFM(データおよび周波数設定情報FQIF1)を受信する(ステップS22)。
そして、無線装置6,9は、周波数設定情報FQIF1に基づいて、周波数fiと異なる周波数fj(j=2,3)を選択し、データフレームDAFM(データおよび周波数設定情報FQIF1)を周波数fjでユニキャストする(ステップS23)。
そうすると、無線装置11のIPモジュール19は、周波数切換信号FQEX1を生成して無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部161へ出力する。通信部161のBPF1613は、IPモジュール19からの周波数切換信号FQEX1に基づいて、周波数を周波数f1〜f14の範囲で変化させながらアンテナ11Aからの信号を受信する。
無線装置9は、周波数f3でデータフレームDAFMを送信するので、無線装置11の通信部161のBPF1613は、アンテナ11Aが受信した信号のうち、周波数f3を有するデータフレームDAFMのみを通過させ、その通過させたデータフレームDAFMを周波数f3を有するチャネルCh3を介して送受信部1611へ出力する。
そして、送受信部1611は、チャネル部1612を介して受けたデータフレームDAFMを復調等して上位層へ送信する。
無線装置11のMACモジュール17は、データフレームDAFMのフレームボディに格納された周波数設定情報FQIF1を抽出し、その抽出した周波数設定情報FQIF1をLLCモジュール18を介してIPモジュール19へ送信する。無線装置11のIPモジュール19は、周波数設定情報FQIF1をMACモジュール17から受信し、その受信した周波数設定情報FQIF1=[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]に基づいて、無線装置11が周波数f3で無線装置9と無線通信を行なうべきことを検知する(ステップS24)。
そうすると、無線装置11のIPモジュール19は、周波数fxとして選択すべき周波数f3を周波数f1〜f14の範囲から選択し、周波数f3を選択するための周波数選択信号FQSL1を生成して無線インターフェースモジュール16に含まれる通信部161の送受信部1611およびBPF1613へ出力する。
送受信部1611は、周波数選択信号FQSL1に基づいて周波数f3を有するチャネルCh3を介してBPF1613と信号をやり取りし、BPF1613は、周波数f3を有する信号のみをチャネル部1612またはアンテナ11Aへ通過させる。
その後、送信元である無線装置1、送信先である無線装置11、および中継器である無線装置6,9は、異なる周波数で隣接する無線装置と無線通信を行なう(ステップS25)。
即ち、無線装置6は、周波数f1で無線装置1と無線通信を行ない、かつ、周波数f2で無線装置9と無線通信を行なう。また、無線装置9は、周波数f2で無線装置6と無線通信を行ない、かつ、周波数f3で無線装置11と無線通信を行なう。
その結果、無線装置6は、無線装置1からのデータフレームDAFMの受信と無線装置9へのデータフレームDAFMの送信とを同時に行なうことができ、無線装置9は、無線装置6からのデータフレームDAFMの受信と、無線装置11へのデータフレームDAFMの送信とを同時に行なうことができる。つまり、無線装置1,6,9,11は、同時に無線通信を行なうことができ、スループットが向上する。
従って、この発明においては、各無線装置の絶対位置を示すルーティングテーブル20(図12参照)に基づいて、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外し、総合メトリック数という経路の安定度合に基づいて、より安定な経路を選択して送信元から送信先への無線通信経路を確立し(図22および図23参照)、その確立した無線通信経路上に存在する無線装置1,6,9,11が相互に異なる周波数f1〜f3を用いてデータを送受信するので、より安定な無線通信経路の確立と相互に異なる周波数を用いた無線通信とにより、スループットを従来のアドホックネットワークに比べ飛躍的に向上できる。
この場合、中継器である無線装置6,9は、それぞれ、無線装置1,6からのデータを周波数fiで受信しながら、それぞれ、無線装置9,11へデータを周波数fjで送信する。つまり、無線装置6,9は、受信と送信とを同時に行なうが、アンテナ11Aは、全方位性のアンテナであるので、1つのアンテナ11Aを用いて周波数の異なる2つのデータを同時に送受信することは可能である。
図25は、図1に示す無線ネットワークシステム100における無線通信の状態を示す概念図である。また、図26は、図1に示す無線ネットワークシステム100における無線通信の状態を示す他の概念図である。無線装置1が無線装置11との間で無線通信を行なっているときに、無線装置8と無線装置10との間で無線通信を行なうためのルート要求パケットRREQ2を無線装置9が無線装置8から受信すると、無線装置9のルーティングデーモン24は、無線装置1と無線装置11との間で無線通信されているデータフレームDAFMの優先フラグに格納された優先度PROT1と、ルート要求パケットRREQ2の優先フラグに格納された優先度PROT2とを比較する。
そして、無線装置9のルーティングデーモン24は、優先度PROT1が優先度PROT2以上であるとき、無線装置1と無線装置11との無線通信を優先し、無線装置8と無線装置10との無線通信を拒否する。即ち、無線装置9のルーティングデーモン24は、無線装置6と無線装置11との間で無線通信を中継するように無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21を制御するとともに、無線装置8と無線装置10との無線通信を拒否する通知MESG1と、無線装置1と無線装置11との間の無線通信を行なっている無線装置の情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)とを生成して無線装置8へ送信することを指示する指示信号INST1を生成してIPモジュール19へ送信する。
無線装置9のIPモジュール19は、ルーティングデーモン24からの指示信号INST1に応じて、通知MESG1を生成するとともに、ルーティングテーブル20を参照して情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)を生成する。そして、IPモジュール19は、通知MESG1と情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)とをLLCモジュール18等を介して無線装置8へ送信する。
また、無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21は、無線装置1と無線装置11との間の無線通信を中継する。
無線装置8のルーティングデーモン24は、無線装置9から通知MESG1を受信し、IPモジュール19は、無線装置9から情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)を受信する。そして、無線装置8のルーティングデーモン24は、通知MESG1に応じて、別の経路を決定するようにIPモジュール19を制御する。無線装置8のIPモジュール19は、ルーティングデーモン24からの制御に応じて、無線装置10と無線通信を行なうための別の経路を次の方法により決定する。
即ち、無線装置8のIPモジュール19は、情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)に基づいて、無線装置1,6,9,11が”BUSY”であることを検知し、無線装置10と無線通信を行なうための経路から無線装置1,6,9,11を経由する経路を除外する。そして、無線装置8のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20を参照して、無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない経路の中から、無線装置12,15,14,13を経由する経路(=無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10)を無線装置10と無線通信を行なうための新たな経路として決定する。
そして、無線装置8は、図22および図23にフローチャートに従って、無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10からなる経路を介して無線装置10との間で無線通信経路を確立するとともに、図24に示すフローチャートに従って、無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10からなる経路を介して無線装置10と無線通信を行なう(図25参照)。
一方、優先度PROT1が優先度PROT2よりも低いとき、無線装置9のルーティングデーモン24は、無線装置8と無線装置10との間の無線通信を優先し、無線装置1と無線装置11との間の無線通信を拒否する。即ち、無線装置9のルーティングデーモン24は、無線装置8と無線装置10との間で無線通信を中継するように無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21を制御するとともに、無線装置1と無線装置11との無線通信を拒否する通知MESG2と、無線装置8と無線装置10との間で無線通信を行なう無線装置の情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)とを生成して無線装置1へ送信することを指示する指示信号INST2を生成してIPモジュール19へ送信する。
無線装置9のIPモジュール19は、ルーティングデーモン24からの指示信号INST2に応じて、通知MESG2を生成するとともに、ルーティングテーブル20を参照して情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)を生成する。そして、IPモジュール19は、通知MESG2と情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)とをLLCモジュール18等を介して無線装置1へ送信する。
また、無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21は、無線装置8からのルート要求パケットRREQ2を無線装置10へ中継する。そして、無線装置10のルーティングデーモン24は、無線装置8からのルート要求パケットRREQ2を受信し、ルート要求パケットRREQ2に応じてルート返答パケットRREP2を生成して無線装置8へ送信する。
無線装置9は、無線装置10からのルート返答パケットRREP2を無線装置8へ中継し、無線装置8は、無線装置10からのルート返答パケットRREP2を受信する。これにより、無線装置8と無線装置10との間で無線装置8−無線装置9−無線装置10からなる無線通信経路が確立され、無線装置8は、図24に示すフローチャートに従って無線装置10との間で無線通信を行なう。
一方、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置9から通知MESG2を受信し、IPモジュール19は、無線装置9から情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)を受信する。そして、無線装置1のルーティングデーモン24は、通知MESG2に応じて、別の経路を決定するようにIPモジュール19を制御する。無線装置1のIPモジュール19は、ルーティングデーモン24からの制御に応じて、無線装置11と無線通信を行なうための別の経路を次の方法により決定する。
即ち、無線装置1のIPモジュール19は、情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)に基づいて、無線装置8,9,10が”BUSY”であることを検知し、無線装置11と無線通信を行なうための経路から無線装置8,9,10を経由する経路を除外する。そして、無線装置1のIPモジュール19は、ルーティングテーブル20を参照して、無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない経路の中から、無線装置2,5,7,12を経由する経路(=無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11)を無線装置11と無線通信を行なうための新たな経路として決定する。
そして、無線装置1は、図22および図23にフローチャートに従って、無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11からなる経路を介して無線装置11との間で無線通信経路を確立するとともに、図24に示すフローチャートに従って、無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11からなる経路を介して無線装置11と無線通信を行なう(図26参照)。
これによって、無線ネットワークシステム100において、無線装置1と無線装置11との間の無線通信と、無線装置8と無線装置10との間の無線通信とを同時に行なうことができ、無線ネットワークシステム100におけるスループットを向上できる。
なお、上述した無線装置9の動作は、無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれているが、無線装置9が無線装置6と無線装置11との間で無線通信を中継していないタイミングに行なわれる。
このように、無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11からなる経路rt1において無線通信が行なわれているときに、経路rt1外の無線装置8から経路rt1において無線通信を行なっている無線装置9へ通信要求が送信されたとき、無線装置9は、既に行なわれている無線通信におけるデータの優先度PROT1と、新たに要求された無線通信におけるデータの優先度PROT2とに基づいて、2つの無線通信のうち、優先度がより高い一方の無線通信を行ない、他方の無線通信を別の経路で行なうように、2つの無線通信を調整する。
そして、無線装置9は、他方の無線通信を行なうときの別の経路を新たに確立するための情報として、一方の無線通信を行なう全ての無線装置の情報を他方の無線通信の送信元へ送信する。これにより、他方の無線通信の送信元は、他方の無線通信を行なうための別の経路を確実に、かつ、迅速に構築できる。
このように、無線装置9は、一方の無線通信を行なう全ての無線装置の情報(INFO1=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11またはINFO2=無線装置8−無線装置9−無線装置10)を送信元(無線装置8または無線装置1)へ送信するが、これは、無線装置9が、無線装置9に対する他の無線装置1〜8,10〜15の絶対位置からなるルーティングテーブル20を保持しているからである。
即ち、従来のルーティングプロトコルに従って作成されるルーティングテーブルは、送信先までの”ホップ数”、送信先の方向に存在する”隣りの無線装置”を含んでいるが、送信元と送信先との間の無線通信に関与する全ての無線装置の情報を含んでいないため、上述した無線装置9のように情報INFO1,INFO2を送信元へ送信できない。
しかし、この発明による無線装置1〜15の各々は、自己に対する他の全ての無線装置の絶対位置からなるルーティングテーブル20を保持しているので、無線装置9のように情報INFO1,INFO2を作成して送信元へ送信できる。
なお、上記においては、無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11からなる経路rt1において無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれているときに、この無線通信を中継する無線装置9へ経路rt1外の無線装置8から新たな通信要求があった場合について説明したが、この発明は、これに限られず、経路rt1における無線通信の送信元(無線装置1)または送信先(無線装置11)へ経路rt1外の無線装置8から新たな通信要求があった場合も、上述した動作と同じ動作によって、2つの無線通信が調整され、2つの無線通信が別々の経路を介して行なわれる。
図27は、第1の無線通信の実行中に第2の無線通信の要求があった場合の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11からなる経路rt1においてデータの優先度が優先度PROT1である第1の無線通信が行なわれている(ステップS31)。そして、経路rt1外の無線装置8から第2の無線通信が無線装置9へ要求される(ステップS32)。この場合、第2の無線通信は、無線装置8−無線装置9−無線装置10からなる経路においてデータの優先度が優先度PROT2である無線通信である。
そうすると、無線装置9のルーティングデーモン24は、優先度PROT1と優先度PROT2とを抽出し、優先度PROT1が優先度PROT2以上であるか否かを判定する(ステップS33)。
そして、優先度PROT1が優先度PROT2以上であるとき、無線装置9のルーティングデーモン24は、第1の無線通信を維持するように無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21を制御するとともに、第2の無線通信を拒否する通知MESG1と、第1の無線通信に関与する全ての無線装置の情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)とを生成して無線装置8へ送信するように指示する指示信号INST1を生成してIPモジュール19へ出力する。
無線装置9のIPモジュール19は、指示信号INST1に応じて、通知MESG1を生成するとともに、ルーティングテーブル20を参照して情報INFO1(=無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)を生成する。そして、無線装置9のIPモジュール19は、通知MESG1と情報INFO1とを無線装置8へ送信する(ステップS34)。
無線装置8は、通知MESG1、情報INFO1およびルーティングテーブル20に基づいて、上述した方法によって、新たな経路(=無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10)を確立し(ステップS35)、その確立した新たな経路を介して送信先(無線装置10)と無線通信を行なう(ステップS36)。
一方、ステップS33において、優先度PROT1が優先度PROT2よりも低いと判定されたとき、無線装置9のルーティングデーモン24は、第2の無線通信を実行するように無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21を制御するとともに、第1の無線通信を拒否する通知MESG2と、第2の無線通信に関与する全ての無線装置の情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)とを生成して無線装置1へ送信するように指示する指示信号INST2を生成してIPモジュール19へ出力する。
そして、無線装置9の無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19およびTCPモジュール21は、無線装置8からのルート要求パケットRREQ2を無線装置10へ中継し、無線装置10は、ルート要求パケットRREQ2を受信する。そうすると、無線装置10は、ルート返答パケットRREP2を生成して無線装置8へ送信し、無線装置9は、ルート返答パケットRREP2を無線装置8へ中継する。無線装置8は、無線装置10からのルート返答パケットRREP2を受信し、無線装置8と無線装置10との間で無線通信経路が確立される。その後、無線装置8は、確立された無線通信経路を介して無線装置10と無線通信を行なう(ステップS37)。
引続いて、無線装置1は、通知MESG2、情報INFO2(=無線装置8−無線装置9−無線装置10)およびルーティングテーブル20に基づいて、上述した方法によって新たな経路(無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11)を確立し(ステップS38)、その確立した新たな経路を介して無線装置11との間で無線通信を行なう(ステップS39)。
そして、ステップS36またはステップS39の後、一連の動作は終了する。
なお、上記においては、無線装置9は、許可される無線通信に関与する全ての無線装置の情報INFO1,INFO2を、拒否される無線通信の送信元へ送信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、無線装置9は、拒否される無線通信のための無線通信経路を示す経路情報をルーティングテーブル20を参照して作成し、その作成した経路情報を、拒否される無線通信の送信元へ送信するようにしてもよい。
即ち、無線装置9のIPモジュール19は、優先度PROT1が優先度PROT2以上であるとき、経路情報=[無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10]を作成し、その作成した経路情報=[無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10]を無線装置8へ送信する。また、無線装置9のIPモジュール19は、優先度PROT1が優先度PROT2よりも低いとき、経路情報=[無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11]を作成し、その作成した経路情報=[無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置7−無線装置12−無線装置11]を無線装置1へ送信する。
これにより、拒否される無線通信の送信元は、無線装置9から送信された経路情報に基づいて、送信先と無線通信を行なうための新たな経路を迅速に確立でき、無線ネットワークシステム100において複数の無線通信を早期に実現できる。その結果、無線ネットワークシステム100におけるスループットを向上できる。
また、上記においては、送信元である無線装置1がデータフレームDAFMを送信先である無線装置11へ送信する際に、周波数設定情報FQIF1=[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]をデータフレームDAFMのフレームボディに格納して送信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、送信元である無線装置1は、周波数設定情報FQIF1=[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]を送信元から送信先までの経路を確立するとき(図22および図23)に送信してもよい。
この場合、経路情報=[無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11]に代えて周波数設定情報FQIF1=[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]がルート要求パケットRREQ1に格納されて送信される。
これによって、送信元から送信先までの経路が確立された時点で無線装置1,6,9,11の各々が使用すべき周波数f1〜f3を各無線装置1,6,9,11へ通知することができ、データフレームDAFMの送信時には、各無線装置1,6,9,11が相互に異なる周波数で無線通信を行なうので、スループットを向上させた無線通信を迅速に行なうことができる。
更に、上記においては、優先度PROT1が優先度PROT2以上であるとき、無線装置9は、既に行なわれている無線通信に関与する全ての無線装置(無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11)に関する情報を新たな無線通信の送信元(無線装置8)へ送信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、無線装置9は、各無線装置1,6,9,11が使用している周波数情報を含めて新たな無線通信の送信元(無線装置8)へ送信するようにしてもよい。即ち、無線装置9は、[無線装置1→f1→無線装置6→f2→無線装置9→f3→無線装置11]を新たな無線通信の送信元(無線装置8)へ送信するようにしてもよい。
これにより、無線装置8は、[無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11]において使用されている周波数を除外して新たな無線通信を無線装置10と行なうことができ、[無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11]における無線通信と、[無線装置8−無線装置12−無線装置15−無線装置14−無線装置13−無線装置10]における無線通信とが混信するのを抑制できる。その結果、無線ネットワークシステム100におけるスループットを向上できる。
更に、上記においては、FSR−MSプロトコル、即ち、経路の安定度合を示す総合メトリック数に重みを置いて送信元から送信先までの経路を確立するプロトコルを用いたが、この発明においては、これに限らず、従来のFSRプロトコルを用いて送信元から送信先までの経路を確立する場合にも、周波数設定情報FQIF1を送信し、送信元から送信先までの複数の無線装置が相互に異なる周波数で無線通信を行なうようにしてもよい。
FSRプロトコルを用いた場合には、送信元から送信先までの経路は、メトリック、即ち、ホップ数に基づいて決定され、受信信号強度が相対的に弱い経路が選択されることもあるが、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外して送信先までの無線通信経路を確立し、かつ、送信元から送信先までの複数の無線装置が相互に異なる周波数で無線通信を行なうことによって、複数の無線装置がほぼ同時に無線通信を安定して行なうことができるので、従来のアドホックネットワークに比べスループットを向上できる。
なお、FSRプロトコルを用いた場合、リンクステートパケットLSPの内容は、図10に示す内容からリンクメトリック1〜Nを削除した内容になる。従って、各無線装置は、隣接する無線装置から5秒ごとに受信した隣接端末情報と、隣接する無線装置よりも遠くの無線装置から15秒ごとに受信した隣接端末情報とに基づいて、図12に示すルーティングテーブル20から”リンクメトリック値m1〜m32”を削除したルーティングテーブルを作成する。
更に、上記においては、送信元(無線装置1)から送信先(無線装置11)へデータを送信するとき、無線装置1,6,9,11は、相互に異なる周波数f1〜f3を用いて無線通信を行なうと説明したが、この発明においては、これに限らず、無線装置1,6,9,11は、相互に同じ周波数で無線通信を行なってもよい。この場合、無線装置1,6,9,11は、同時に無線通信を行なうことができないが、無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11の経路は、隣接する無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない経路(=無線通信の遮断に繋がらない経路)からなるので、データの再送を極力回避してデータを安定して送信先へ送信できる。その結果、スループットを向上できる。
更に、この発明においては、無線装置1〜15の各々は、それぞれ、異なる周波数でリンクステートパケットLSPを送信してもよい。これにより、無線装置1〜15が同じ周波数でリンクステートパケットLSPを送信する場合に比べ、同時に送信できるリンクステートパケットLSPの数を増加させることができ、無線装置1に対する無線装置2〜15の絶対位置をプロットしたルーティングテーブル20(図12参照)を迅速に作成できる。
即ち、各無線装置1〜15が同じ周波数でリンクステートパケットLSPを送信する場合、無線装置1は、隣接する無線装置2,3からのリンクステートパケットLSPを同時に受信できないが、無線装置2,3が相互に異なる周波数でリンクステートパケットLSPを送信すれば、無線装置1は、無線装置2,3からのリンクステートパケットLSPを同時に受信できるので、ルーティングテーブル20をより迅速に作成できる。
また、各無線装置1〜15が同じ周波数でリンクステートパケットLSPを送信する場合、無線装置1は、短期間(約5秒)ごとの無線装置2等(=隣接する無線装置)からのリンクステートパケットLSPと、長期間(約15秒)ごとの無線装置8等(=隣接しない無線装置)からのリンクステートパケットLSPとを同時に受信できないが、無線装置2,8が相互に異なる周波数でリンクステートパケットLSPを送信すれば、無線装置1は、無線装置2,8からのリンクステートパケットLSPを同時に受信できるので、ルーティングテーブル20を迅速に作成できる。
アンテナ11Aが同時に受信できる電波は、周波数が異なる2つの電波であるため、無線装置1が同時に受信できるリンクステートパケットLSPの数は、2個に制限されるが、同時に受信可能な電波の数が2よりも多くなれば、無線装置1は、2以上のリンクステートパケットLSPを同時に受信できるため、ルーティングテーブル20を更に迅速に作成できる。
このように、各無線装置1〜15が異なる周波数でリンクステートパケットLSPを送信することによって、ルーティングテーブル20を迅速に作成できる。
この発明においては、ルーティングテーブル20は、ある1つの無線装置に対する複数の無線装置の絶対位置を示す「絶対位置情報」を構成する。
また、通信制御部15Aのインターネット層は、ルーティングテーブル20を記憶するので、絶対位置情報を記憶する「位置情報記憶手段」を構成する。
更に、ルーティングデーモン24は、ルーティングテーブル20を作成するので、「位置情報作成手段」を構成する。
無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19、TCPモジュール21およびルーティングデーモン24は、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を絶対位置情報に基づいて行なう「通信手段」を構成する。
更に、IPモジュール19は、「通知手段」を構成する。
優先度PROT1,PROT2に基づいて、要求とおりに実行する無線通信を選択するルーティングデーモン24は、「選択手段」を構成する。
更に、IPモジュール19および通信部161は、「第1の通信手段」を構成し、IPモジュール19および通信部162は、「第2の通信手段」を構成する。
[実施の形態2]
図28は、実施の形態2における無線装置1〜15の構成を示す概略ブロック図である。実施の形態2においては、図1に示す無線装置1〜15の各々は、図28に示す無線装置1Aからなる。無線装置1Aは、例えば、自動車に搭載された無線装置等の移動体端末装置である。従って、実施の形態2においては、無線装置1〜15の各々は、移動体端末装置からなる。
無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の無線インターフェースモジュール16、IPモジュール19、ルーティングテーブル20およびルーティングデーモン24をそれぞれ無線インターフェースモジュール16A、IPモジュール19A、ルーティングテーブル20Aおよびルーティングデーモン24Aに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
無線インターフェースモジュール16Aは、無線装置1Aの移動速度を測定し、その測定した移動速度をルーティングデーモン24Aへ送信する。無線インターフェースモジュール16Aは、その他、無線インターフェースモジュール16と同じ機能を果たす。
IPモジュール19Aは、自己が搭載された無線装置が送信元である場合、ルーティングテーブル20Aを参照して、送信先までの経路を後述する方法によって決定し、その決定した経路に沿ってIPパケットを送信先へ送信する。
IPモジュール19Aは、その他、IPモジュール19と同じ機能を果たす。
ルーティングデーモン24Aは、無線インターフェースモジュール16Aから受信した受信電界強度、距離、方位角および移動速度に基づいて、後述する方法によってルーティングテーブル20Aを作成する。
ルーティングデーモン24Aは、その他、ルーティングデーモン24と同じ機能を果たす。
図29は、図28に示す無線インターフェースモジュール16Aの構成を示す概略ブロック図である。無線インターフェースモジュール16Aは、通信部161,162と、距離/方位角測定部167と、速度センサ168とを含む。
通信部161,162については、上述したとおりである。
距離/方位角測定部167は、後述する方法によって、隣接する2つの無線装置間の距離および方位角を測定し、その測定した距離および方位角をルーティングデーモン24Aへ送信する。
速度センサ168は、自己が搭載された無線装置の移動速度を後述する方法によって測定し、その測定した移動速度をルーティングデーモン24Aへ送信する。
図30は、図29に示す距離/方位角測定部167の構成を示す概略ブロック図である。距離/方位角測定部167は、サーキュレータ1670と、指向性制御部1680と、データパケット送受信部1690と、トラヒックモニタ部1730と、回線制御部1740とを含む。
サーキュレータ1670は、アンテナ11Aが受信したパケットをデータパケット送受信部1690へ出力するとともに、データパケット送受信部1690からのパケットをアンテナ11Aへ出力する。
指向性制御部1680は、電気的な制御によって、セクタパターンの主ビーム(図15に示すビームパターンBPM1〜BPM12参照)の方向を、例えば、0度から330度までの範囲で30度毎に変更可能にアンテナ11Aを制御する。
データパケット送受信部1690は、データパケットの送信処理および受信処理を行なう。
トラヒックモニタ部1730は、方位角の測定の処理を実行するとともに、他の無線装置とのパケット通信において使用すべき通信チャネルを決定し、その決定した通信チャネルに対応する通信チャネル用拡散符号を回線制御部1740を介してデータパケット送受信部1690に与える。
回線制御部1740は、データパケット送受信部1690とトラヒックモニタ部1730との間、またはMACモジュール17等の上位層とデータパケット送受信部1690との間でデータ等をやり取りする。また、回線制御部1740は、距離/方位角測定部167内の各部を制御する。
データパケット送受信部1690は、データパケット受信部1700と、拡散符号発生器1710と、データパケット送信部1720とを含む。データパケット受信部1700は、アンテナ11Aが受信した受信信号をサーキュレータ1670を介して受け、その受けた受信信号を増幅および復調して上位層へ出力する。
拡散符号発生器1710は、トラヒックモニタ部1730からの通信チャネル用拡散符号を回線制御部1740を介して受け、その受けた通信チャネル用拡散符号に基づいて、指定されたCDMA(Code Division Multiple Access)方式の拡散符号を発生する。そして、拡散符号発生器1710は、その発生した拡散符号をデータパケット受信部1700およびデータパケット送信部1720へ出力する。
データパケット送信部1720は、上位層からデータを受け、その受けたデータを変調および増幅してサーキュレータ1670を介してアンテナ11Aへ出力する。
データパケット受信部1700は、高周波受信機1701と、復調器1702と、受信バッファメモリ1703とを含む。データパケット送信部1720は、送信タイミング制御部1721と、送信バッファメモリ1722と、変調器1723と、高周波送信機1724とを含む。
トラヒックモニタ部1730は、管理制御部1731と、検索エンジン1732と、更新エンジン1733と、データベースメモリ1734とを含む。
高周波受信機1701は、サーキュレータ1670を介してアンテナ11Aから入力された受信信号を低雑音増幅し、その増幅した受信信号を復調器1702へ出力する。
復調器1702は、拡散符号発生器1710から拡散符号を受け、その受けた拡散符号によって受信信号をスペクトル逆拡散して受信信号を復調し、その復調したデータを受信バッファメモリ1703へ出力する。
受信バッファメモリ1703は、復調されたデータを一時保持し、その後、復調されたデータを上位層およびトラヒックモニタ部1730へ出力する。
送信タイミング制御部1721は、回線制御部1740からの制御に従って、送信バッファメモリ1722に格納されたデータの変調器1723への出力タイミングを制御する。
送信バッファメモリ1722は、上位層から受けたデータを一時保持し、送信タイミング制御部1721によって制御された出力タイミングに同期してデータを変調器1723へ出力する。
変調器1723は、所定の無線周波数を有する搬送波を拡散符号発生器1710からの拡散符号によってスペクトル拡散するとともに、スペクトル拡散された搬送波をデータによって変調して変調信号を生成し、その生成した変調信号を高周波送信機1724へ出力する。
高周波送信機1724は、変調信号を増幅し、その増幅した変調信号をサーキュレータ1670を介してアンテナ11Aに与える。
データベースメモリ1734は、ASテーブルと、ルーティングテーブルと、信号対干渉雑音電力比(SINR;Signal to Inference and Noise Ratio)に対する電界強度と方位角との関係を示す情報とを記憶する。
なお、ASテーブルは、SINRを示すテーブル(Angle SINR Table)である。
管理制御部1731は、検索エンジン1732および更新エンジン1733と回線制御部1740との間でデータ等をやり取りする。また、管理制御部1731は、検索エンジン1732および更新エンジン1733を制御する。
検索エンジン1732は、管理制御部1731からの制御に従ってデータベースメモリ1734内のデータを検索し、その検索した所定のデータを管理制御部1731に与える。
更新エンジン1733は、管理制御部1731からの制御に従ってデータベースメモリ1734内のデータを更新する。
距離/方位角測定部167は、自己が搭載された無線装置(自局)を中心とした所定の方位角毎に他の無線装置(他局)に対するSINRを予め測定しておき、その測定したSINRを示すASテーブルを作成する。そして、距離/方位角測定部167は、その作成したASテーブルに基づいて概略の方位角を測定し、更に、ASテーブルに基づいて、後述するモノパルス処理を実行して詳細な方位角を測定する。
なお、隣接する2つの無線装置間の距離の測定は、後述するモノパルス処理により測定された詳細な方位角に基づいて行なわれる。
[距離/方位角の測定方法]
まず、方位角の測定手順について説明する。
図31は、方位角を測定する手順を示す説明図である。なお、図31においては、図1に示す無線装置1を基準とし、例えば、無線装置2,3,6の方位角を測定する場合について説明する。
最初に、無線装置1の距離/方位角測定部167がCSMA/CS(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式により、キャリアセンスを行ないながら、第1のセットアップ信号をオムニパターンで無線装置2,3,6へ送信することにより、概略の方位角の測定処理の開始を通知する。
次に、無線装置2,3,6の距離/方位角測定部167は、それぞれ、第1のセットアップ信号を受信する。その後、無線装置1の距離/方位角測定部167は、0度から330度までの30度毎のセクタパターンで12個の第1の要求信号(以下、「RQ1信号」と言う。)を送信する。無線装置2,3,6の距離/方位角測定部167は、無線装置1から送信された12個のRQ1信号をオムニパターンで受信して受信電界強度を測定するとともに、RQ1信号を受信したときのBER(Bit Error Rate)を測定し、受信電界強度をSINRに換算する。
引続いて、無線装置2,3,6の距離/方位角測定部167は、キャリアセンスを行ないながら、順次キャリアを検出していない期間に、SINRを示すデータを返信信号(以下、「RE信号」と言う。)によりセクタパターンで無線装置1へ送信する。
無線装置1の距離/方位角測定部167は、無線装置2,3,6から受信したRE信号に基づいてASテーブルを作成する。そして、作成されたASテーブルは、データベースメモリ1734に格納される。
無線装置2,3,6の各々の距離/方位角測定部167は、自己が基準となって無線装置1の距離/方位角測定部167と同じ方法によってASテーブルを作成する。
図32は、図30に示すデータベースメモリ1734に格納されるASテーブルの一例を示す説明図である。ASテーブルは、無線装置1からの指向性ビームを受信した無線装置2,3,6におけるSINRの値をビームの角度に対応付けて格納する。なお、図32において、SINRの値が記載されていない部分は、測定限界以下であることを示し、SINRの単位は、dBである。
以下、一例として無線装置2の概略の方位角をASテーブルにより測定した後、後述するモノパルス処理により詳細な方位角を測定する場合について説明する。
無線装置2における12個のセクタパターンに対する12個のSINRのうち、最大値を検出し、その検出した最大値に対応するビームの角度が無線装置1を基準とした無線装置2の概略の方位角となる。
この場合、SINRの最大値は、2.3dBであり、2.3dBに対応するビームの角度は、90度であるので、無線装置1に対する無線装置2の概略の方位角は、90度である。
その後、モノパルス処理が行なわれる。このモノパルス処理とは、セクタパターンによる受信電界強度を用いることにより詳細な方位角を測定する処理を言う。
無線装置1の距離/方位角測定部167は、CSMA/CS方式によりキャリアセンスを行ないながら、順次キャリアを検出していない期間において、オムニパターンで第2のセットアップ信号を無線装置2,3,6へ送信することにより、詳細な方位角の測定処理の開始を通知する。
その後、無線装置1の距離/方位角測定部167は、オムニパターンで第2の要求信号(以下、「RQ2信号」と言う。)を無線装置2,3,6へ送信する。
図33は、無線装置から出力される3方向のセクタパターンを示す模式図である。無線装置2,3,6の距離/方位角測定部167は、図33に示すように、それぞれが保持するASテーブルから決定した無線装置1に対する概略の方位角のセクタパターン(以下、「中心セクタパターン」という)と、この中心セクタパターンから両側にそれぞれ30度回転した方向のセクタパターン(以下、「左セクタパターン」および「右セクタパターン」と言う。)とにより、RQ2信号を受信し、その受信したRQ2信号の受信電界強度を測定する。
無線装置2,3,6の各々の距離/方位角測定部167は、自己が基準となって無線装置1の距離/方位角測定部167と同じ方法によって他の無線装置から受信したRQ2信号の受信電界強度を測定する。
その後、中心セクタパターンによる受信電界強度と、右セクタパターンによる受信電界強度とを用いて詳細な方位角を測定する第1の処理と、中心セクタパターンによる受信電界強度と、左セクタパターンによる受信電界強度とを用いて詳細な方位角を測定する第2の処理とが行なわれる。
図34は、隣接する2つのセクタパターンによる受信電界強度を示す模式図である。図34において、縦軸は、受信電界強度を表し、横軸は、方位角を表す。各受信電界強度を示す曲線(以下、「電界強度パターン」と言う。)は、扇型形状を有する。
図35は、和パターンおよび差パターンを示す模式図である。また、図36は、差パターンを和パターンで除算することにより算出した正規化パターンを示す模式図である。
距離/方位角測定部167は、図35に示すように、上述した2つの電界強度パターンの和からなる電界強度パターン(以下、「和パターン」と言う。)および上述した2つの電界強度パターンの差からなる電界強度パターン(以下、「差パターン」と言う。)を算出する。
そして、距離/方位角測定部167は、図36に示すように、差パターンを和パターンで除算することによって正規化パターンを算出する。なお、和パターン、差パターンおよび正規化パターンは、データベースメモリ1734に記憶される。
その後、距離/方位角測定部167は、算出した正規化パターンを直線近似することにより直線近似式を算出する。この場合、直線近似式の傾きaが算出されるとともに、データベースメモリ1734に記憶される。
引続いて、距離/方位角測定部167は、右セクタパターンおよび中心セクタパターンによる無線装置2の受信電界強度を求める。この右セクタパターンによる無線装置2の受信電界強度をLとし、中心セクタパターンによる無線装置2の受信電界強度をRとする。
そうすると、上述した直線近似式は、次式のようになる。
(R−L)/(R+L)=a×θ・・・(11)
式(11)より、方位角θは、次式のようになる。
θ=(R−L)/{a×(R+L)}・・・(12)
データベースメモリ1734には、0度から330度までの12個のセクタパターンに対応する12個の電界強度パターンの傾きaが記憶されている。従って、電界強度LおよびRを取得し、その取得した電界強度LおよびRと、データベースメモリ1734に記憶された傾きaとを式(12)に代入することによって、方位角θを算出できる。
方位角θが測定されると、その測定された方位角θに基づいて、隣接する2つの無線装置間の距離が測定される。図37は、隣接する2つの無線装置間の距離を測定する方法を示す説明図である。
以下においては、例えば、無線装置1と無線装置2との間の距離を測定する場合について説明する。無線装置1と無線装置2とを結ぶ線分をVとする。無線装置1は、進行方向を示す直線Uに沿って移動するものとする。ここで、直線Uに沿って移動した後の無線装置1を無線装置1aとする。
無線装置1の直線Uに沿った移動距離をrとする。移動距離rは、トラヒックモニタ部1730により無線装置1の移動速度と移動時間とを乗算することによって算出される。なお、移動速度は、速度センサ168によって検出され、移動時間は、ASテーブルの更新周期に設定される。
無線装置1aと無線装置2とを結ぶ線分をWとし、この線分の長さをd1とする。この長さd1が無線装置1aと無線装置2との距離に相当する。
また、直線Uと線分Vとが成す角度をθとし、直線Uと線分Wとが成す角度をθとする。この場合、線分Vと線分Wとが成す角度は、θ−θとなる。
ここで、角度θ,θは、上述したASテーブルに基づいたモノパルス処理により測定された角度である。
そうすると、余弦定理により次式によって示される関係が成り立つ。
d1・sin(θ−θ)=r・sin(θ)・・・(13)
式(13)により、無線装置1aと無線装置2との距離d1は、次式により算出される。
d1=r・sin(θ)/sin(θ−θ)・・・(14)
なお、無線装置1が移動距離rを移動する間において、無線装置2は静止しているか、あるいは無線装置1の移動速度に比べて十分に遅い速度で移動しているものとする。
距離/方位角測定部167は、上述した方法によって、隣接する2つの無線装置間の距離および方位角を測定し、その測定した距離および方位角をルーティングデーモン24Aへ送信する。
距離/方位角測定部167は、無線装置が移動している場合に、移動後の無線装置と隣接する無線装置との間の距離を測定することを特徴とする。従って、距離/方位角測定部167は、移動する無線装置によって構成される無線ネットワークにおいて、隣接する2つの無線装置間の距離および方位角を測定するのに特に適している。
速度センサ168は、速度計と方位計とからなり、自己が搭載された無線装置(自動車に搭載された無線装置)が移動する速さを速度計により検出し、自己が搭載された無線装置が移動する方向を方位計により検出する。そして、速度センサ168は、速さと方向とからなる移動速度をルーティングデーモン24Aへ送信する。このように、この発明においては、移動速度は、大きさと方向とからなるベクトル量である。
図38は、実施の形態2におけるリンクステートパケットの内容図である。実施の形態2におけるリンクステートパケットLLSPは、実施の形態1におけるリンクステートパケットLSP(図10参照)の隣接端末情報IFT1,IFT2,・・・の各々に移動速度1〜Nを追加したものであり、その他は、リンクステートパケットLSPと同じである。
従って、無線装置1〜15の各々は、短期間(約5秒)ごとに隣接する無線装置からリンクステートパケットLLSPを受信し、隣接する無線装置よりも遠い無線装置から長期間(約15秒)ごとにリンクステートパケットLLSPを受信し、その受信したリンクステートパケットLLSPに基づいてルーティングテーブル20Aを作成する。
図39は、図28に示すルーティングテーブル20Aの例を示す図である。送信元である無線装置1がルーティングテーブル20Aを作成する方法について説明する。
無線装置1のルーティングデーモン24Aは、無線装置2〜15からリンクステートパケットLLSPを受信すると、リンクステートパケットLLSPに含まれている距離1〜Nおよび方位角1〜Nに基づいて、ルーティングデーモン24と同じ方法によって無線装置1に対する無線装置2〜15の絶対位置をx,y座標にプロットするとともに各無線装置間にリンクメトリック値m1〜m32を表示する。つまり、無線装置1のルーティングデーモン24Aは、無線装置2〜15から受信したリンクステートパケットLLSPに基づいて、ルーティングテーブル20を作成する。
その後、無線装置1のルーティングデーモン24Aは、無線装置1の速度センサ168が検出した無線装置1の移動速度v1を速度センサ168から受信し、その受信した移動速度v1を無線装置1の絶対位置を示す座標にベクトル表示する。
引続いて、無線装置1のルーティングデーモン24Aは、無線装置2〜15から受信したリンクステートパケットLLSPに含まれている移動速度1〜N(v2〜v15)を検出し、その検出した移動速度1〜N(v2〜v15)を対応する無線装置2〜15の絶対位置を示す座標にベクトル表示する。
この場合、無線装置1のルーティングデーモン24Aは、移動速度v1〜v15の長さが移動する速さを表すように表示する。
このようにして、無線装置1のルーティングデーモン24Aは、無線装置2〜15から受信したリンクステートパケットLLSPに基づいて、無線装置1に対する無線装置2〜15の絶対位置と、各無線装置間のリンクメトリック値m1〜m32と、各無線装置1〜15が移動する移動速度v1〜v15とからなるルーティングテーブル20Aを作成する。この場合、無線装置1に対する無線装置2〜15の絶対位置は、無線装置1に対する無線装置2〜15の現在位置を示すものである。
無線装置2〜15のルーティングデーモン24Aは、無線装置1のルーティングデーモン24Aと同じ方法によってルーティングテーブル20Aを作成する。
送信元である無線装置1と送信先である無線装置11との間で無線通信経路が確立される場合の動作は、基本的には、図22および図23に示すフローチャートに従って実行される。
この場合、送信元である無線装置1のIPモジュール19Aは、ルーティングテーブル20Aを参照して、無線装置2〜15の現在位置に基づいて各無線装置間の通信距離を演算し、特定の通信距離rdsに一致する通信距離を有する経路を除外するのではなく、無線装置2〜15の現在位置と移動速度v2〜v15とに基づいて、各無線装置2〜15が移動した後の絶対位置を演算し、その演算した絶対位置に基づいて、各無線装置間の通信距離を演算して特定の通信距離rdsに一致する通信距離を有する経路を除外する。
そして、無線装置1のIPモジュール19Aは、特定の通信距離rdsに一致する通信距離を有する経路を除外すると、IPモジュール19と同じ方法によって、送信先である無線装置11までの経路としてより安定した経路を決定し、その決定した経路に沿って、ルーティングデーモン24Aから受信したルート要求パケットRREQ1を送信する。
この場合、無線装置1のIPモジュール19Aは、無線装置1→無線装置6→無線装置9→無線装置11の経路に沿ってルート要求パケットRREQ1を送信すると決定した場合、ルート要求パケットRREQ1を中継する無線装置6,9のIPモジュール19Aは、ルート要求パケットRREQ1を受信した時点において、ルート要求パケットRREQ1を中継すべき無線装置との間の経路のうち、通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外してルート要求パケットRREQ1を中継する経路を決定する。
例えば、無線装置6のIPモジュール19Aは、ルート要求パケットRREQ1に含まれる経路情報に従えば、ルート要求パケットRREQ1を無線装置9へ中継すべきであるが、無線装置6,9の移動後における無線装置6と無線装置9との間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する場合、無線装置5を経由する経路を選択してルート要求パケットRREQ1を無線装置5へ中継する。
この場合、無線装置6のIPモジュール19Aは、無線装置6,5の移動後における無線装置6と無線装置5との間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しないことを第1の条件とし、その次に、リンクメトリック値m9が最小であることを第2の条件とし、送信先である無線装置11までのホップ数が最小であることを第3の条件として、無線装置9に代わってルート要求パケットRREQ1を中継する無線装置5を選択する。
送信元である無線装置1と送信先である無線装置11との間で無線通信経路が確立された後の送信元と送信先との間の通信動作は、基本的には、図24に示すフローチャートに従って実行される。
但し、送信元と送信先との間で無線通信を中継する無線装置6,9のIPモジュール19Aは、この場合も、本来の中継先との通信距離が特定の通信距離rdsに一致する場合、上述した方法によって別の中継先を選択してデータを無線装置15へ中継する。
なお、上記においては、現在位置と移動速度とにより予想した無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する場合、通信距離が特定の通信距離rdsに一致しない経路を選択すると説明したが、この発明においては、これに限られず、各無線装置は、本来の中継先までの通信距離が特定の通信距離rdsにならないように周波数またはアンテナ11Aの指向性を変えてもよい。
特定の通信距離rdsに一致する通信距離は、式(10)によって決定されるが、アンテナ11Aの指向性を変えれば、式(10)に含まれる直接波の送受信アンテナの指向性利得D、および間接波の送受信アンテナの指向性利得Dを変えることができ、式(10)に従って演算される直接波の伝搬距離rが特定の通信距離rdsに一致しないようにできる。
また、周波数を変えることによって、式(10)に含まれる電波の波長λおよびk=2π/λを変えることができるので、式(10)に従って演算される直接波の伝搬距離rが特定の通信距離rdsに一致しないようにできる。
従って、この発明においては、各無線装置は、本来の中継先との通信距離が特定の通信距離rdsに一致する場合、本来の中継先との通信距離が特定の通信距離rdsに一致しないように、送信する電波の周波数またはアンテナ11Aの指向性を変えてもよい。
上述したように、ルーティングテーブル20Aに基づいて、無線装置1−無線装置6−無線装置9−無線装置11からなる経路において無線装置1と無線装置11との間で無線通信が行なわれているとき、無線装置8と無線装置10との間で無線通信するための要求が無線装置8から無線装置9へ送信された場合、図27に示すフローチャートに従って2つの無線通信が調整され、2つの無線通信が同時に行なわれるように新たな経路が確立される。
この場合、新たな経路は、ルーティングテーブル20Aに基づいて、各無線装置の移動後の位置が演算され、その演算された移動後の位置に基づいて、各無線装置間の通信距離が演算され、各無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致しないように決定される。
その他は、実施の形態1と同じである。
このように、実施の形態2においては、各無線装置のルーティングデーモン24Aは、各無線装置間の通信距離、各無線装置が存在する方位角、および各無線装置の移動速度を含むリンクステートパケットLLSPに基づいて、各無線装置の現在位置と、各無線装置の移動速度と、各無線装置間のリンクメトリック値とからなるルーティングテーブル20Aを作成し、各無線装置のIPモジュール19Aは、その作成されたルーティングテーブル20Aに基づいて、各無線装置が移動した後の絶対位置を予想し、無線装置間の通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外して無線通信を行なうとともに、2つの無線通信を優先度に応じて調整し、2つの無線通信を同時に実行できるように無線通信経路を確立することを特徴とする。
この特徴により、無線アドホックネットワークが移動体端末装置により構成される場合であっても、無線ネットワークシステム100において、通信距離が特定の通信距離rdsに一致する経路を除外して複数の無線通信を同時に行なうことができる。その結果、移動体端末装置により構成される無線ネットワークシステム100においてスループットを向上できる。
なお、上述した実施の形態1,2においては、各無線装置が使用する周波数を変えることにより、複数の無線装置が同時に無線通信を行なうと説明したが、この発明は、これに限らず、各無線装置が放射する電波の偏波を変えることによって複数の無線装置が同時に無線通信を行なうようにしてもよい。
この発明においては、ルーティングテーブル20Aは、ある1つの無線装置に対する複数の無線装置の絶対位置を示す「絶対位置情報」を構成する。
また、通信制御部15Aのインターネット層は、ルーティングテーブル20Aを記憶するので、絶対位置情報を記憶する「位置情報記憶手段」を構成する。
更に、ルーティングデーモン24Aは、ルーティングテーブル20Aを作成するので、「位置情報作成手段」を構成する。
無線インターフェースモジュール16A、MACモジュール17、LLCモジュール18、IPモジュール19A、TCPモジュール21およびルーティングデーモン24Aは、第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を絶対位置情報に基づいて行なう「通信手段」を構成する。
更に、IPモジュール19Aは、「通知手段」を構成する。
優先度PROT1,PROT2に基づいて、要求とおりに実行する無線通信を選択するルーティングデーモン24Aは、「選択手段」を構成する。
更に、IPモジュール19Aおよび通信部161は、「第1の通信手段」を構成し、IPモジュール19Aおよび通信部162は、「第2の通信手段」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、自律的に構築され、かつ、スループットの低下を抑制して複数の無線通信を行なう無線ネットワークを構成する無線装置に適用される。
この発明の実施の形態による無線ネットワークシステムの概略図である。 図1に示す無線装置の実施の形態1における構成を示す概略ブロック図である。 図2に示す無線インターフェースモジュールの実施の形態1における構成を示す概略ブロック図である。 図3に示す通信部の構成を示す概略ブロック図である。 図3に示す距離測定部の構成を示す第1の概略ブロック図である。 図3に示す距離測定部の構成を示す第2の概略ブロック図である。 図3に示す方位角測定部の構成を示す概略ブロック図である。 IPヘッダの構成図である。 TCPヘッダの構成図である。 リンクステートパケットの内容図である。 リンクステートパケットおよびデータフレームの構成図である。 図2に示すルーティングテーブルの例を示す図である。 隣接する2つの無線装置間の距離を測定する方法を説明するための図である。 送信元から送信先までの無線通信経路上に存在する複数の無線装置の各々が隣接する無線装置間の距離を測定する概念図である。 図2に示すアンテナから放射されるビームパターンの平面図である。 送信元の無線装置が受信するリンクステートパケットの第1の内容図である。 送信元の無線装置が受信するリンクステートパケットの第2の内容図である。 送信元の無線装置が受信するリンクステートパケットの第3の内容図である。 送信元の無線装置が受信するリンクステートパケットの第4の内容図である。 マルチパス環境下における受信電力と距離との関係を示す図である。 反射係数の絶対値|Γ|および位相遅れΦと入射角度θiとの関係を示す図である。 送信元と送信先との間で無線通信経路を確立する動作を説明するためのフローチャートである。 図22に示すステップS2,S4における詳細な動作を説明するためのフローチャートである。 送信元と送信先との間の無線通信動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示す無線ネットワークシステムにおける無線通信の状態を示す概念図である。 図1に示す無線ネットワークシステムにおける無線通信の状態を示す他の概念図である。 第1の無線通信の実行中に第2の無線通信の要求があった場合の動作を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2における無線装置の構成を示す概略ブロック図である。 図28に示す無線インターフェースモジュールの構成を示す概略ブロックである。 図29に示す距離/方位角測定部の構成を示す概略ブロック図である。 方位角を測定する手順を示す説明図である。 図30に示すデータベースメモリに格納されるASテーブルの一例を示す説明図である。 無線装置から出力される3方向のセクタパターンを示す模式図である。 隣接する2つのセクタパターンによる受信電界強度を示す模式図である。 和パターンおよび差パターンを示す模式図である。 差パターンを和パターンで除算することにより算出した正規化パターンを示す模式図である。 隣接する2つの無線装置間の距離を測定する方法を示す説明図である。 実施の形態2におけるリンクステートパケットの内容図である。 図28に示すルーティングテーブルの例を示す図である。
符号の説明
1〜15,1A 無線装置、100 無線ネットワークシステム、11A アンテナ、12A 入力部、13A 表示部、14A 電子メールアプリケーション、15A 通信制御部、16,16A 無線インターフェースモジュール、17 MACモジュール、18 LLCモジュール、19,19A IPモジュール、20,20A ルーティングテーブル、21 TCPモジュール、22 UDPモジュール、23 SMTPモジュール、24,24A ルーティングデーモン、30 空間、161,162 通信部、163,163A,163B 距離測定部、164 方位角測定部、167 距離/方位角測定部、168 速度センサ、1611,1621、1672 送受信部、1612,1622 チャネル部、1613,1623,1633,1636,1645,1651〜165k BPF、1631 入力部、1632,1635,1663,1648,1661 アンプ、1634 変調器、1637 パワーアンプ、1638 基準発振器、1639,1649 電力分配器、1640,1642,1647 PLL発振器、1641 電力結合器、1643 制御部、1644 低雑音アンプ、1646 復調器、1660 位相検波器、1662 処理部、1670 サーキュレータ、1671 制御部、1673,1680 指向性制御部、1673 方位角検出部、1690 データパケット送受信部、1700 データパケット受信部、1701 高周波受信機、1702 復調器、1703 受信バッファメモリ、1710 拡散符号発生機、1720 データパケット送信部、1721 送信タイミング制御部、1722 送信バッファメモリ、1723 変調器、1724 高周波送信機、1730 トラヒックモニタ部、1731 管理制御部、1732 検索エンジン、1733 更新エンジン、1734 データベースメモリ、1740 回線制御部。

Claims (8)

  1. 自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、
    前記無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、
    第1の送信元と第1の送信先との間で第1の無線通信が行なわれているときに第2の送信元から第2の送信先への第2の無線通信の要求があったとき、前記第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を前記絶対位置情報に基づいて行なう通信手段と、
    前記絶対位置情報に基づいて、前記一方の無線通信を行なっている全ての無線装置に関する情報を抽出し、その抽出した全ての無線装置に関する情報を前記第1および第2の無線通信のいずれか他方の無線通信の送信元へ通知する通知手段とを備える無線装置。
  2. 前記第2の無線通信の要求があったとき、前記第1の無線通信において送信される第1のデータと前記第2の無線通信において送信される第2のデータとのうち、優先度が高いデータが送信される無線通信を前記一方の無線通信として選択する選択手段を更に備え、
    前記通信手段は、前記絶対位置情報に基づいて、前記選択手段により選択された無線通信を行ない、
    前記通知手段は、前記選択手段による選択結果を受けて、前記全ての無線装置に関する情報を前記他方の無線通信の送信元へ通知する、請求項1に記載の無線装置。
  3. 自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、
    前記無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、
    第1の送信元と第1の送信先との間で第1の無線通信が行なわれているときに第2の送信元から第2の送信先への第2の無線通信の要求があったとき、前記第1および第2の無線通信のいずれか一方の無線通信を前記絶対位置情報に基づいて行なう通信手段と、
    前記絶対位置情報に基づいて、前記第1および第2の無線通信のいずれか他方の無線通信を行なうための経路情報を抽出し、その抽出した経路情報を前記他方の無線通信の送信元へ通知する通知手段とを備える無線装置。
  4. 前記通信手段は、前記絶対位置情報に基づいて、当該無線装置と隣接する無線装置との間で無線通信の遮断に繋がる特定の通信距離以外の通信距離となる経路を介して前記一方の無線通信を行なう、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線装置。
  5. 前記通信手段は、
    前記一方の無線通信の送信元の方向において当該無線装置に隣接する第1の無線装置と第1の周波数で通信する第1の通信手段と、
    前記一方の無線通信の送信先の方向において当該無線装置に隣接する第2の無線装置と前記第1の周波数と異なる第2の周波数で通信する第2の通信手段とを含む、請求項4に記載の無線装置。
  6. 自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、
    前記無線ネットワークを構成する他の複数の無線装置の当該無線装置に対する絶対位置を示す絶対位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、
    前記絶対位置情報に基づいて、当該無線装置と送信先との間で無線通信を行なうための第1の経路を決定し、その決定した第1の経路に沿って前記無線通信を行なうための通信要求を前記送信先へ送信する通信要求手段と、
    前記通信要求の送信後、前記無線通信の禁止を知らせる第1の通知と、第2の経路において既に行なわれている無線通信に関与する全ての無線装置を知らせる第2の通知とを前記第2の経路上の無線装置からを受けると、前記絶対位置情報に基づいて、前記第2の通知によって指定された前記全ての無線装置を回避して前記送信先まで前記無線通信を行なうための第3の経路を決定する経路決定手段と、
    前記決定された第3の経路に沿って前記送信先と前記無線通信を行なう通信手段とを備える無線装置。
  7. 前記経路決定手段は、前記絶対位置情報に基づいて、隣接する無線装置間の通信距離が無線通信の遮断に繋がる特定の通信距離以外の通信距離となる経路を選択して前記第3の経路を決定する、請求項6に記載の無線装置。
  8. 前記第3の経路を構成する全ての無線装置が使用する周波数を設定するための周波数設定情報を生成する周波数生成手段を更に備え、
    前記通信手段は、前記周波数設定情報を前記第3の経路を構成する全ての無線装置へ送信し、
    前記周波数設定情報は、前記第3の経路を構成する全ての無線装置の各々がデータの送信において使用する第1の周波数と前記データの受信において使用する第2の周波数とが異なるように設定する情報である、請求項6または請求項7に記載の無線装置。
JP2004376853A 2004-12-27 2004-12-27 無線装置 Pending JP2006186565A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004376853A JP2006186565A (ja) 2004-12-27 2004-12-27 無線装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004376853A JP2006186565A (ja) 2004-12-27 2004-12-27 無線装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006186565A true JP2006186565A (ja) 2006-07-13

Family

ID=36739356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004376853A Pending JP2006186565A (ja) 2004-12-27 2004-12-27 無線装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006186565A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008118484A (ja) * 2006-11-07 2008-05-22 Advanced Telecommunication Research Institute International 無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク
JP2008245242A (ja) * 2007-02-27 2008-10-09 Mitsubishi Electric Corp 通信装置及び通信プログラム及び移動アドホックネットワークシステム
JP2009260911A (ja) * 2008-04-11 2009-11-05 Trellisware Technologies Inc 無線ネットワーク内に協調型経路を設定する方法とシステム
JP2011055374A (ja) * 2009-09-03 2011-03-17 Fujitsu Ltd 無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法
US8040817B2 (en) 2007-06-26 2011-10-18 Ricoh Company, Ltd. Wireless communication device, wireless communication method, and computer program product

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008118484A (ja) * 2006-11-07 2008-05-22 Advanced Telecommunication Research Institute International 無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク
JP2008245242A (ja) * 2007-02-27 2008-10-09 Mitsubishi Electric Corp 通信装置及び通信プログラム及び移動アドホックネットワークシステム
US8040817B2 (en) 2007-06-26 2011-10-18 Ricoh Company, Ltd. Wireless communication device, wireless communication method, and computer program product
JP2009260911A (ja) * 2008-04-11 2009-11-05 Trellisware Technologies Inc 無線ネットワーク内に協調型経路を設定する方法とシステム
JP2011055374A (ja) * 2009-09-03 2011-03-17 Fujitsu Ltd 無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法
US8774732B2 (en) 2009-09-03 2014-07-08 Fujitsu Limited Wireless device, wireless communication system, and wireless communication method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2052497B1 (en) Route tree building in a wireless mesh network
US9648547B1 (en) Self-organizing topology management
US8755336B2 (en) Wireless device which can improve stability in wireless communications and wireless network using the same
Wang et al. A stable weight-based on-demand routing protocol for mobile ad hoc networks
US7664054B2 (en) Neighbor location discovery with directional antennas in a mesh network
US7221268B2 (en) Method and system for providing an active routing antenna
US7280073B2 (en) Method and system for determining direction of transmission using multi-facet antenna
Westphal Opportunistic routing in dynamic ad hoc networks: The OPRAH protocol
JP4877778B2 (ja) 無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク
JP4264451B2 (ja) 通信システム内でのルート発見の方法および装置
Núñez-Martínez et al. A Survey on Routing Protocols that really Exploit Wireless Mesh Network Features.
JP3899045B2 (ja) 無線ネットワークの制御方法及び制御装置
GB2455794A (en) Establishing a multi-hop route in wireless network
JP2007174368A (ja) 端末装置およびそれを備えた無線ネットワークシステム
JP3445549B2 (ja) 無線ネットワークのためのルーチング方法及びルータ装置
JP2007235895A (ja) 無線装置およびそれを備えた無線通信ネットワーク
JP2006186565A (ja) 無線装置
JP2006174145A (ja) 無線装置
JP2006186583A (ja) 無線装置
Ghormare et al. Detection and prevention of wormhole attack in WiMAX based mobile adhoc network
EP1744468B1 (en) Method and system for determining direction of transmission using multi-facet antenna
KR20170059887A (ko) 모바일 애드혹 라우팅 장치 및 방법
Quintero et al. A location routing protocol based on smart antennas for ad hoc networks
EP1744467B1 (en) Method and system for providing an active routing antenna
Li Link quality aware geographical routing in hybrid cognitive radio mesh networks

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070131