JP2006168017A - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷適性がよく、特に、例えば、基材として耐水性で透明なものを使用した場合、印刷後、粘着剤層を介して床面に貼付施工したとき、床面を印刷画像で装飾でき、且つ床にこぼれた水などが印刷シート層の周縁端部に接しても、インク受容層の画像のにじみやインク受容層における剥離が生じないインクジェット記録用シートを提供する。
【解決手段】インク受容層の構成成分が、ポリウレタン系樹脂40〜70質量%を必須成分として含む水不溶性樹脂60〜30質量%を含む水不溶性樹脂55〜75質量部と、ポリビニルアルコール及び/又はその変性物30〜70質量%及びポリビニルピロリドン70〜30質量%から成る水溶性樹脂25〜45質量部とを合わせた100質量部に対して、無機質顔料50〜100質量部と、水溶性マグネシウム塩2〜20質量部(無水塩換算)とを添加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷性が優れたインクジェット記録用シートに関し、詳しくは、印刷適性と耐水性が優れたインク受容層を基材表面に積層したインクジェット記録用シートに関する。
インクジェット印刷方式は、記録用シートの表面に向けて染料または顔料からなる色材を含有するインクの微小液滴をノズルから噴射し、記録用シート表面にモノクロ又はカラーの画像を高速に印画する方式である。インクジェット印刷に使用されているインクは、通常、安全性、記録特性の観点から、水を主成分とし、それに少量のアルコール等が加えられた水性インクが使用されている。このような事情から従来インクジェット記録に使用される記録材料には、紙やプラスチックフイルムの表面に、インク溶液微粒子を受容するインク受容層を設けてなるものが使用されている。
インク受容層に印刷したり、記録材料を湿度の高いところに放置したり乾燥したときに発生する膨張、収縮等によるカールを改良するために、上記の受容層として疎水性樹脂と顔料を含むインク受容層を設けるもの(特許文献1)、一般的な汎用の材料を使用し、かさ高でかつ吸油、吸水性の高い塗工吸収層を提供するため吸収層の塗工液に使用する溶媒としてバインダーの良溶媒と貧溶媒との混合溶媒であって、かつ良溶媒の沸点が貧溶媒の沸点より低いものを使用するもの(特許文献2)、基材フィルム上にインクジェット方式による印字画像を記録するためのインク受容層が設けられてなる記録シートにおいて、該インク受容層に、ポリビニルアルコールと、ポリビニルピロリドンと、ポリビニルアルコールを選択的に架橋する架橋剤と、ポリビニルアルコール−ポリエステル共重合体と、カチオン樹脂とを含有させてインク吸収性を阻害せずに耐水性を改良し、印字直後にラミネートする際に塗膜のインクによる膨潤速度とインクの定着性が両立する方法(特許文献3)等が提案されている。
特開平08−258411号公報 特開平08−230174号公報 特開2001−113818号公報
上記の各提案は、一般的用途のためのインクジェット記録材料を作製する場合の改良方法であるが、例えば、基材シートとして耐水性フィルムを使用したインクジェット記録材料に画像をインクジェット印刷した印刷物の表面に、両面粘着シートを貼り合わせ、あるいは他の何らかの方法で粘着層を付与し、これらの粘着層を介して床面に貼付施工したとき、床にこぼれた水や床清掃時の水などが印刷物の周縁端部に接してしまうことがある。このような時にインク受容層に水が浸透して画像がにじんだり、インク受容層において剥離することが多々ある。
本発明は、上記の問題点を克服し、詳しくは、インクジェット記録用シートのインク受容層の端部水浸透防止性を改良することを目的とし、特に、基材シートとして耐水性基材を使用した場合、その印刷物の表面に、例えば両面粘着シートを貼り合わせて形成した粘着剤層を介して床面に貼付施工したとき、床にこぼれた水や床清掃時の水などが印刷物の周縁端部に接しても、水がインク受容層内部に実質的に浸透して行かず(以下、端部水浸透防止性という)、従って、画像のにじみやインク受容層における剥離が生じないインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録用シートを提供する。
すなわち、本発明は、基材シート上にインク受容層が設けられて成るインクジェット記録用シートにおいて、該インク受容層の構成成分が、ポリウレタン系樹脂40〜70質量%を必須成分として含む水不溶性樹脂55〜75質量部と、ポリビニルアルコール及び/又はその変性物30〜70質量%及びポリビニルピロリドン70〜30質量%を含む水溶性樹脂25〜45質量部とを合わせた100質量部に対して、無機質顔料50〜100質量部と、水溶性マグネシウム塩2〜20質量部(無水塩換算)とを添加して成ることを特徴とするインクジェット記録用シートに存する。
本発明のインクジェット記録用シートは、基材シート表面に形成したインク受容層が、水溶性のポリビニルピロリドン(以下、PVPと略記する)及びポリビニルアルコール及び/又はその変性物(以下、PVA等と略記する)と、水不溶性のポリウレタン系樹脂を必須成分として含む水不溶性樹脂と、無機質顔料と、水溶性マグネシウム塩とをバランスよく含有し、画像をインクジェット印刷した印刷物(以下、印刷シートという)は、印刷適性が優れている。そして、特に、基材シートとして耐水性の基材シートを使用した場合、その印刷シートの表面に例えば両面粘着シートの貼り合わせ等により形成した粘着剤層を介して耐水性床面に貼付施工したとき、床にこぼれた水や床清掃時の水などが印刷シートの周縁端部に接しても、インク受容層の端部からさらに中央部に水が浸透するのを実質的に遮断する(すなわち、端部水浸透防止性)。この理由は定かではないが、両耐水性層に挟まれたインク受容層の周縁端部のPVA等が水を吸収して自ら膨潤すると共に、PVA等と併存する水不溶性のポリウレタン樹脂成分との相互作用によりPVA等が変質して水がさらに浸透していくのを抑制しているものと推定される。従って、水が中央部へ浸透しないためインク受容層の画像のにじみやインク受容層における剥離は生じない。
本発明のインクジェット記録用シートは、基材シートの表面にインク受容層が形成されて成る。
上記の基材シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン及びポリカーボネート等のフィルム、これらの発泡体フィルム、あるいは、これらに炭酸カルシウム又は酸化チタン等の顔料やパール顔料を含有させたフィルム等のプラスチックフイルム類、パルプ紙類、合成紙類、不織布類、織物類、およびそれらの表面にさらに他の皮膜層が形成されたものが挙げられる。
上記基材シートの厚さは、印刷機に供給して印刷操作が可能なものであれば特に限定されず、印刷機の機能によっては可撓性が無いもの、厚さが2mm以上の厚いものであってもよいが、通常、25〜1000μmであり、実用的には50〜250μmである。また、上記基材シート表面には、その表面に形成されるインク受容層との接着性を改善するために、必要により、コロナ放電加工を施したり、アンカーコート層を設けることができる。
なお、本発明のインクジェット記録用シートに印刷後その表面に例えば両面粘着シート等の貼り合わせにより粘着剤層を形成し、この粘着剤層を介して耐水性床面に貼付施工して床面装飾用に使用する場合は、基材シートとしては、耐水性且つ透明なものが使用され、さらに、インク受容層を積層する面の反対の面(歩行面となる面)にハードコート処理を施したものが好ましい。これらの基材シートは、高光沢タイプでもよいし艶消しタイプでもよいが、高光沢タイプの方が画像の鮮やかさ、コントラスト等をよりよく強調できる。かかるハードコート処理した基材シートとしては、特に限定されるものではないが、市販品としては、ポリエステルフィルムに床材専用として開発されたハードコート層を塗布したレイハイパーVC01、VN01(商品名、東京中井商事株式会社発売元)を例示することができる。
上記のインク受容層は、水不溶性樹脂、水溶性樹脂、無機質顔料、水溶性マグネシウム塩を含有するインクジェット受容層塗布液を上記の基材シート面に塗布し、乾燥して形成される。
上記の水不溶性樹脂は、ウレタン系樹脂を必須成分として含む水不溶性樹脂とから成り、インク受容層を構成する水溶性樹脂と水不溶性樹脂との合計100質量部の全樹脂分の内55〜75質量部、好ましくは60〜70質量部を占め、それぞれインクジェット受容層塗布液に対しては、通常、水性エマルジョンの形態で配合される。
上記のポリウレタン系樹脂は、PVA等との相互作用によりPVA等を変質させてインク受容層のインク浸透性を改良するために併用される。上記の水性ポリウレタン系樹脂エマルジョンとしては、特に限定されないが、中でも分子中にポリカーボネート鎖を含有するポリウレタン樹脂エマルジョン、分子中にポリカーボネート鎖とポリエステル鎖とを含有するポリウレタン樹脂エマルジョン、および分子中にポリカーボネート鎖とスルホン酸基とを含有するポリウレタン樹脂エマルジョンが好適に挙げられる。これらのポリウレタン樹脂エマルジョンは、エージングなしに実用性がある被膜を形成することができる。かかるポリウレタン樹脂エマルジョンは、形成される被膜強度や耐水性の問題から、乳化剤含有量のできるだけ少ないものを選定するのが好ましい。
上記の各ポリウレタン樹脂エマルジョンは、公知の製造法にて製造することができる。すなわち、具体的には、例えば、上記のポリカーボネート鎖を含むポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖を含むポリオール(以下ポリカーボネートポリオールという)とジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルジョン化することにより製造することができる。
また、上記の分子中にポリカーボネート鎖とポリエステル鎖とを含有するポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖を含むポリオールと、ポリエステル鎖を有するポリオール(以下ポリエステルポリオールという)と、ジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルジョン化することにより製造する方法、あるいは、まず、ポリカーボネートポリオールとジイソシアネートとを溶剤中で反応させその後エマルジョン化したものと、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとを溶剤中で反応させその後エマルジョン化したもの、とを混合することにより製造する方法、により製造することができる。
また、上記の分子中にポリカーボネート鎖とスルホン酸基とを含有するポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖を含むポリオールと、スルホン酸基を有するジオール、ジアミン、ジイソシアネート等と、ジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルジョン化することにより製造することができる。
上記のポリカーボネートポリオールとしては、例えば1,4ーブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジフェニールカーボネート、ホスゲンとの反応によって得られる化合物が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記のジイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられ、それぞれ単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記のジイソシアネートのうち、安定性と耐光性等の点から脂肪族ジイソシアネートが好ましい。かかる脂肪族ジイソシアネートとしては、上記で掲げたジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネートに属するものがそのまま使用できる。
上記のポリエステルポリオールとしては、アルコール類と酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステル、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル及びこれらの共重合ポリエステル等が挙げられる。
上記のポリエステルポリオールを製造するのに使用されるアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキサイド付加体等のグリコール成分が挙げられる。
また、上記のポリエステルポリオールを製造するのに使用される酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p'−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
前記のポリウレタン樹脂エマルジョンを製造するのに使用するポリオールとしては、上記ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールの他に、これら以外のポリオールを使用することができる。上記以外のポリオールとしては、例えばアルキレンオキサイド鎖を有するポリオールがある。アルキレンオキサイド鎖とは、代表的なものとしてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられ、これら単独又は2種以上組み合わされていてもよい。アルキレンオキサイド鎖の含有量に特に制限はないが、一般には他のポリオール成分と併用することで、皮膜の機械的強度が実用レベルになる。
上記の分子中にポリカーボネート鎖を含有するポリウレタン樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば大日本インキ化学工業(株)製の「パテラコール」(商品名)、「ボンディック」(商品名)、「ハイドラン」(商品名)やバイエル社製の「インプラニール」(商品名)等が挙げられる。
上記のポリウレタン系樹脂エマルジョンの平均粒子径は、樹脂エマルジョンの透明性や安定性や耐水性の観点から、3.0μm以下であるのが好ましい。また、上記のポリウレタン系樹脂は、前記の全水不溶性樹脂の中で、固形分として、通常40〜70質量%、好ましくは50〜60質量%となるように配合される。40質量%未満では、PVA等との相互作用によるインク受容層の水浸透性を十分に抑制することができない。また、70質量%を超える場合は、PVA等の変質が過度になってインク受容層の吸水性が低下し、印刷後のインクが表面に残って色写りが生じ易い。
前記のポリウレタン系以外の水不溶性樹脂としては、例えば、アクリルまたはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル系樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などが挙げられ、中でもインク受容層の皮膜強度及び発色性の点で、酢酸ビニル系樹脂が好ましく、重合度が300〜10000のものが特に好ましい。
上記の酢酸ビニル系樹脂としては、具体的に、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸ジエステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及び酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記のポリウレタン系以外の水不溶性樹脂を配合する際の形態である水性エマルジョンの平均粒子径は、樹脂エマルジョンの透明性や安定性や耐水性の点から、3.0μm以下とすることが好ましい。粒子径が3.0μmを超えると、耐水性や安定性、透明性、印刷光沢等が若干劣る傾向がある。また、かかるポリウレタン系以外の水不溶性樹脂は、全水不溶性樹脂の中で30〜60質量%、好ましくは、40〜50質量%となるように配合される。
前記の水溶性樹脂は、PVPとPVA等とから成り、インク受容層を構成する水溶性樹脂と水不溶性樹脂の合計100質量部の樹脂分の内25〜45質量%、好ましくは30〜40質量%を占める。上記のPVP及びPVA等は、共に親水性樹脂であり、その内、PVPは、きわめて優れたインク液吸収性を有しており、インクジェットヘッドから放出されるインクを素早く且つ大量に吸収する役割を担っている。また、PVA等は、吸水性であり且つインク受容層の結着剤としての役割を担っているが、本発明においては、さらに、本発明のインクジェット記録用シートに印刷後、例えば、その表面に両面粘着シート貼り合わせ等により形成した粘着剤層を介して耐水性床面に貼付施工したときのように両面が耐水性層に挟まれたときのインク受容層の周縁端部では、PVA等は、水を吸収して自ら膨潤し、一方、併用される水不溶性のポリウレタン樹脂との相互作用により変質しており、その結果、水がインク受容層のさらに中央部に浸透するのを実質的に遮断し、インク受容層の画像のにじみやインク受容層における剥離を生じさせない、という効果を呈する。
上記のPVPは、通常、上記の水溶性樹脂の内30〜70質量%配合され、好ましくは40〜60質量%である。30質量%未満では、インク受容層のインクの吸収性が不十分であり、70質量%を超える場合は、PVA等の割合が低下して、併用されるウレタン系樹脂との相互作用によるインクジェット受容層の水浸透性を十分に抑制できない。また、前記のPVA等としては、吸水性と共に端部水浸透防止性があるものが使用され、具体的には、PVAの他、カチオン化PVA、カルボキシル基を導入したPVA等の変性PVAであっても良く、また、部分ケン化PVAと完全ケン化PVAのいずれをも使用可能である。その際、PVA等の質量平均重合度は、十分な耐水性を発揮するために、1000以上、好ましくは1500以上である。かかるPVA等は、水溶性樹脂の中で30〜70質量%配合され、好ましくは40〜60質量%配合される。
前記の無機質顔料としては、例えば、カオリン、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、合成スメクタイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの顔料が挙げられ、通常、白色のものが使用され、中でも多孔質である合成非晶質シリカが特に好ましい。
上記の無機質顔料の粒径は、通常、平均粒径(質量平均)として6〜10μmであり、好ましくは7〜9μmである。中でも、その粒子群の粒径分布が広いものが好ましく、例えば粒径6μm以下の粒子(小粒子)を20質量%以上、粒径10μm以上の粒子(大粒子)を20質量%以上含むものが好ましい。かかる分布は、例えば平均粒径が6μm以下の粒子群と平均粒径が10μm以上の粒子群を配合することにより構成することができる。上記の大粒子が20質量%未満ではインクの吸収性が不十分であり、小粒子が20質量%未満では、大粒子が多いことになるため、端部水浸透防止性が低下する。かかる大粒子および小粒子は、例えば合成非晶質シリカの場合、上記の大粒子はミズカシルP78D(平均粒径12μm、水澤化学工業株式会社製商品)が、また、上記の小粒子はサイリシア435(平均流度4μm、富士シリシア化学株式会社製商品)が、それぞれ市販されている。なお、かかる顔料は、そのインクのにじみ防止効果を向上するため、上記のサイリシア435のように表面をマグネシウムイオン処理したものがより好ましい。上記の無機質顔料は、前記の水溶性樹脂および水不溶性樹脂を合わせた100質量部に対して、通常、50〜100質量部、好ましくは60〜90質量部が配合される。
前記の水溶性マグネシウム塩は、インク受容層のインクのにじみ防止特性をより一層改善するために添加される。かかるマグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、乳酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを挙げることができるが、中でも塩化マグネシウムが好適に使用できる。上記の水溶性マグネシウム塩の配合比は、前記の水溶性樹脂および水不溶性樹脂を合わせた100質量部に対して、無水塩換算で通常、2〜20質量部、実用的には、3〜15質量部である。
前記のインキ受容層塗布液は、前記の水不溶性樹脂のエマルジョン(水性ポリウレタン系樹脂エマルジョンを必須成分として含む水不溶性樹脂エマルジョン)、水溶性樹脂(PVP及びPVA等)、無機質顔料および水溶性マグネシウム塩を、水系溶媒に溶解および/または分散させて得られる。上記の塗布液の濃度は、特に限定されないが、通常、固形分濃度として10〜30質量%、実用的には12〜25質量%とされる。
上記の水系溶媒は、主成分が水であり、配合する成分に応じて適宜有機溶媒を配合する。かかる有機溶媒としては、特に制限されないが、工程の環境への配慮から、例えばメタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒が好適に使用される。かかる有機溶媒の種類および配合比は、添加する樹脂成分の種類および添加量により適宜設定される。
上記のインキ受容層塗布液の調製の際、PVA等の内、比較的難溶性のものは、他の成分と配合する前に、それぞれ別途、溶媒によく溶解しておくのが好ましい。また、合成非晶質シリカなどの無機質顔料は、同様に、インキ受容層塗布液に配合する前に、水系溶媒に添加してホモミキサーなどを使用してよく分散しておくのが好ましい。この際、分散した無機質顔料は、経時的に沈降しやすく、一旦沈降すると再度攪拌して分散させても好ましい分散状態に回復するのが困難である。かかる沈降現象は特にPVPやPVA等の濃度が低い場合に生じやすい。かかる無機質顔料の分散安定性を改良するため、上記の無機質顔料を分散処理する際に同じく無機質顔料の一つでもある炭酸カルシウム微粒子を共存させておくのが好ましい。かかる炭酸カルシウム微粒子の添加量は、通常、無機質顔料の内の3〜15質量部とされ、実用的には3〜10質量部である。
上記のインキ受容層塗布液には、必要に応じて、本発明の趣旨に反しない範囲で、その他の顔料分散剤、無機及び合成樹脂のビーズ、着色顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤などの他の添加剤を適宜添加することが出来る。
上記のインキ受容層塗布液を基材シート表面に塗布する方法は、公知の方法で行うことができるが、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ファンテンリバースコーター、スプレーコーター、カーテンコーター及びコンマコーター等により実施することができる。このようにして塗布される塗布量は、乾燥後の厚さとして、通常、15〜40μm、実用的には20〜30μmである。
また、上記のインキ受容層塗布液を乾燥する方法は、基材が熱劣化等の支障をきたさず、有機溶剤が十分に蒸発し、皮膜が形成される条件であれば、どのような乾燥方法も用いることができるが、例えば、熱風乾燥炉や乾燥ドラム等を用いることができる。かかる熱風の温度としては、例えば、80〜120℃である。
以上のようにして得られる本発明のインクジェット記録用シートは、そのままインクジェットプリンタに供して印刷処理することにより、印刷性および耐水性が優れた印刷シートを作成することができるが、その印刷シートを、床材に積層して画像模様付き床材を製造する場合など、上記のインク受容層に両面粘着シートの接合などによりアクリル系などの粘着剤層を形成する場合は、その粘着剤との接着性を改良するために、上記のインク受容層の表面に、オーバーコート層を被覆するのが好ましい。かかるオーバーコート層を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブチレン・スチレン樹脂、アクリル系カチオン性樹脂、アクリルウレタン樹脂、ニトリルゴム・フェノール樹脂などが挙げられ、市販品としては、サフトマー(商品名、主成分はアクリル系カチオン性樹脂、綜研化学株式会社製)、ビニロール2400(商品名、主成分はニトリルゴム・フェノール樹脂、昭和高分子株式会社製)などが挙げられる。
上記のオーバーコート層は、上記の樹脂成分を適切な有機溶媒に溶解して1〜5質量%の希薄な塗布液とし、塗布し、乾燥して形成される。上記の有機溶媒は、樹脂成分がビニロール2400の場合は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びダイアセトンアルコールの混合溶媒が使用される。かかるオーバーコート層塗布液を塗布する方法は、公知の方法で行うことができるが、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、スプレーコーター等により実施することができる。上記のオーバーコート層の塗布量は、乾燥後の塗布量として、通常、0.05〜1.0g/m、実用的には、0.1〜0.5g/mとされる。
本発明のインクジェット記録用シートに印刷して得られた印刷シートを床材などに貼り付けるのに使用される接着剤は、耐水性のものであれば特に制限されないが、オーバーコート層として上記のニトリルゴム・フェノール樹脂を使用した場合は、粘着剤として市販のアクリル系粘着剤が好適に使用できる。特に白色基材にアクリル系粘着剤を両面塗布した両面粘着シートが好適に使用できる。かかる白色基材としてはポリエチレンテレフタレートに酸化チタンなどの白色顔料を練り込むなどして成膜した白色PETフィルムが好ましい。市販品としては、ルミラー50E20、ルミラー75E20(商品名、東レ株式会社製)が挙げられる。白色PETは、粘着剤を塗布後、インクジェットプリンタで印刷されたインク受容層と貼り合わされるが、それによって鮮明で高コントラストな印刷画像を得る効果を有する。また、両面に塗布するアクリル系粘着剤は一般に市販されているものを使用できるが、インク受容層と貼り合わせる側の粘着剤は透明、あるいは白色のものが前述の鮮明で高コントラストな画像を得る上で好ましい。上記の両面粘着シートとしては、例えば、アクリル系粘着剤を両面に塗布した白色PETフィルム・FD−AD1000(商品名:フットプリント用ADフィルム、桜井株式会社発売)が市販されている。
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中の部および%はそれぞれ質量部および質量%を示す。また、実施例および比較例で得られたインクジェット記録用シートについて、印刷時の端部水浸透防止性、インクにじみ度、インク色写り、インクべたつき、及びカール発生を、以下の方法で評価した。なお、印刷処理は、ミマキ社製インクジェットプリンタ(JV22−130型)に、専用の水性顔料インクを使用して行った。
(端部水浸透防止性)
得られたインクジェット記録用シートについて、インク受容層全面に風景写真画像をフルカラー印刷(目的とする画像のミラー印刷)して印刷シートとし、24時間後に、その印刷面に、アクリル系粘着剤を両面に塗布した白色PETフィルム・FD−AD1000(商品名:フットプリント用ADフィルム、桜井株式会社発売)の片面の離型紙が積層されていない面を重ね合わせ、ロール温度40℃に設定したラミネーターで貼り合わせて粘着剤層付き印刷シートを得、その粘着剤層付き印刷シートから1辺20cmの正方形を裁断し、その離型シートを剥離して露出した粘着剤層を介してこれを床板の代わりとした厚さ5mm、1辺30cmの正方形のアクリル板に貼り付けた。これを深さ50mmのバット中に載置し、そのバット中に深さが30mmになるように酸性染料ネオランブラック0.01%水溶液を注水し、室温下に48時間放置した後、取り出して表面を軽く水洗した後、印刷シートの端部からの染料のしみこみ具合を観察して端部水浸透防止性を評価し、端部より3mm以上内部にしみこんでいる場合を「×」とし、3mm未満の場合を「○」とした。
(インクにじみ度)
得られたインクジェット記録用シートについて、水性顔料インクのシアン、マゼンタ、イエロー及び黒色インクについて線幅0.1mm、0.2mm、0.5mmの線を縦横の格子模様にしたテストチャートを印刷し、印刷して5分後に、各線から髭状のにじみがあるかどうかを10倍のルーペを用いて観察し、いずれかの線からにじみが視認された場合を「×」、いずれの線においても視認されなかった場合を「○」とした。
(インク色写り)
得られたインクジェット記録用シートについて、シアン色インクとマゼンタ色インクを重ねた紫色でベタ印刷(長さ20mm、幅10mmの長方形)し、10分後に、その上に厚さ75μmのPETフィルム:クリスパー(東洋紡績株式会社製)を重ね合わせ、指先で押しつけた後、PETフィルムを剥がし取り、PETフィルムの接触面を観察し、インクが色写りしていた場合を「×」、フィルム面がまったく汚染していない場合を「○」とした。
(インクべたつき)
指先をアルコール含浸ガーゼで清め、よく乾燥した後、その指先を印刷して10分後の印刷面に押し当てた後、引き離す際にべたつきにより引っ張られる力を感じた場合を「×」、感じなかった場合を「○」と判定した。
(カール発生)
印刷前のインクジェット記録用シートから20cm角部分を裁断して試験片とし、平面ガラス板上に載置し、25℃×60%RHの環境下で5時間後に四隅部分のカールによる浮き上がりの程度を観察し、最大浮き上がり高さが10mm未満の場合は「○」、10mm以上の場合は「×」と評価した。この際、四隅部分のカールの方向が下向きになる場合に備えて、上下反対向きの試験片についても準備した。
[実施例1]
(シリカ微粒子分散液の調製)
先ず、イオン交換水155部とIPA(イソプロピルアルコール)18部からなる混合溶媒に、平均粒径が12μmの合成非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP78D、水澤化学工業株式会社製)20部、平均粒径が4μmの表面をマグネシウムイオン処理した合成非晶質シリカ微粒子(サイリシア435、富士シリシア化学株式会社製)20部および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム6部を投入し、ホモミキサーを用いて6000rpmで10分間分散処理した。次いで、IPAの31部を追加して、さらにホモミキサーを用いて6000rpmで10分間分散し、シリカ微粒子分散液を得た。
(インク受容層用塗布液の調製)
上記のシリカ微粒子分散液375部に、ルビテックK90(:商品名、BASFジャパン発売、ポリビニルピロリドン20%水溶液)を75部、PVA235(:商品名、クラレ株式会社製、PVA変性物)の8%水溶液を188部、パテラコールIJ−26(:商品名、大日本インキ株式会社製、水性ポリウレタン系樹脂エマルジョン、固形分15%)を280部、ポリゾールAM3000(:商品名、昭和高分子株式会社製、酢酸ビニル−エチレン共重合体の56%水溶液)を50部、塩化マグネシウムの20%(無水塩換算)水溶液を50部およびメタノール67%水溶液を8部添加し、さらにホモミキサーを用いて6000rpmで10分間分散して固形分が約17.4%のインク受容層用塗布液を得た。
基材シートとして、厚さ100μmのポリエステルフィルムの片面にハードコート処理したレイハイパーVC01(発売元:東京中井商事株式会社)の非ハードコート処理面に、1.8mmのワイヤーを捲いたメイヤーバーを使用して上記のインク受容層用塗布液を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、110℃の熱風中で3分間乾燥し、本発明のインク受容層を得た。
(オーバーコート層塗布液の調製)
別に、メチルエチルケトン55部、メチルイソブチルケトン55部およびジアセチルアセトン55部の混合溶媒中に、ビニロール2400の40部を添加して溶解し、オーバーコート層塗布液を得た。
上記のオーバーコート層塗布液を0.1mmのワイヤーを捲いたメイヤーバーを使用して上記のインクジェット記録用シートの受容層の表面に、乾燥後の塗布量が0.5g/mとなるように塗布し、100℃の熱風中で乾燥してオーバーコート層を被覆し、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[実施例2]
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、ルビテックK90を100部、PVA235を250部、パテラコールIJ−26を240部、ポリゾールAM3000を43部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[実施例3]
実施例1のシリカ微粒子分散液の調製において、平均粒径が12μmの合成非晶質シリカ微粒子20部および平均粒径が4μmの表面をマグネシウムイオン処理した合成非晶質シリカ微粒子20部の代わりに、平均密度が8μmの合成非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP−709、水澤化学工業株式会社製)53.3部のみに変更した以外は実施例1の場合と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。また、実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、このシリカ微粒子分散液を395部に、ルビテックK90を90部、PVA235を150部、パテラコールIJ−26を187部、ポリゾールAM3000を75部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の成分組成と共に表1に示した。
[比較例1]
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、ルビテックK90を150部、PVA235を375部、パテラコールIJ−26を160部、ポリゾールAM3000を28.6部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例2]
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、ルビテックK90を50部、PVA235を125部、パテラコールIJ−26を320部、ポリゾールAM3000を57部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例3]
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、ルビテックK90を30部、PVA235を300部、パテラコールIJ−26を280部、ポリゾールAM3000を50部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例4]
実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、ルビテックK90を75部、PVA235を188部、パテラコールIJ−26を93.3部、ポリゾールAM3000を100部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例5]
実施例1のシリカ微粒子分散液の調製において、平均粒径が12μmの合成非晶質シリカ微粒子を10部および平均粒径が4μmの表面をマグネシウムイオン処理した合成非晶質シリカ微粒子を10部に変更した以外は実施例1の場合と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。また、実施例1のインク受容層用塗布液の調製において、各成分の添加量の内、このシリカ微粒子分散液を330部に変更した以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例6]
実施例1において、水溶性マグネシウムを添加しなかったこと以外は実施例1の場合と全く同様にして本発明のインクジェット記録用シートを得た。得られたインクジェット記録用シートについて、前記の評価方法により、端部水浸透防止性、印刷時のにじみ度、インク色写り、インクべたつき及びカール性について評価し、その結果を受容層の主な成分組成と共に表1に示した。
[比較例7]
実施例1においてシリカ微粒子分散液を調製するとき併用した炭酸カルシウム微粒子を添加しないでシリカ微粒子分散液を調製し、このシリカ微粒子分散液を使用してインク受容層用塗布液を調製し、このインク受容層用塗布液と実施例1で調製したインク受容層用塗布液とをそれぞれ100ml容メスシリンダーに100ml注ぎ、そのまま24時間放置した後に、各塗布液中のシリカ粒子の懸濁安定性を観察したところ、炭酸カルシウム微粒子を添加しなかった方だけが、下方に約15cc目盛りの部分までシリカ粒子が沈降していた。
Figure 2006168017
本発明のインクジェット記録用シートは、これに画像をインクジェット印刷するときは印刷適性が優れており、特に、基材シートとして耐水性の基材シートを使用した場合、その印刷シートのインク受容層の表面に例えば両面粘着シート貼り合わせ等により形成した粘着剤層を介して耐水性床面に貼付施工したとき、床にこぼれた水や床清掃時の水などが印刷シートの周縁端部に接しても、端部水浸透防止性が優れているため、インク受容層の画像のにじみやインク受容層における剥離は生じない。
これにより床材の画像による装飾、あるいは広告媒体としての利用が可能であり、耐水性の床面を幅広く装飾して、生活環境の面から或いは商業上の面から、快適な空間を提供することに有用で、産業上の利用可能性は大である。
実施例1のインクジェット記録用シートの層構成の説明図 実施例1のインクジェット記録用シートを積層した床材の層構成の説明図
符号の説明
1:ハードコート層
2:基材シート
3:インク受容層
4:オーバーコート層
5:粘着剤層
6:床材

Claims (10)

  1. 基材シート上にインク受容層が設けられて成るインクジェット記録用シートにおいて、該インク受容層の構成成分が、ポリウレタン系樹脂40〜70質量%を必須成分として含む水不溶性樹脂55〜75質量部と、ポリビニルアルコール及び/又はその変性物30〜70質量%及びポリビニルピロリドン70〜30質量%を含む水溶性樹脂25〜45質量部とを合わせた100質量部に対して、無機質顔料50〜100質量部と、水溶性マグネシウム塩(無水塩換算)2〜20質量部とを添加して成ることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 基材シートが耐水性かつ透明であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 無機質顔料が合成非晶質シリカであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
  4. 無機質顔料成分中に炭酸カルシウム微粒子3〜15質量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のインクジェット記録用シート。
  5. 水溶性マグネシウム塩が塩化マグネシウムであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シート。
  6. ポリウレタン系樹脂が分子中にポリカーボネート鎖を含有するポリウレタン樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シート。
  7. 受容層の表面に水不溶性樹脂を主成分とするオーバーコート層を被覆して成ることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シート。
  8. 基材シートのインク受容層を積層する面と反対の面がハードコート処理されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シート。
  9. 請求項1から8までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シートにおいて、基材シートが透明であって、インク受容層に画像を印刷した後、当該印刷面に粘着剤層を形成し、物品の表面に貼り付けて物品表面を装飾することを特徴とするインクジェット記録用シートの使用方法。
  10. 請求項1から8までのいずれか一つに記載のインクジェット記録用シートと、当該インクジェット記録用シートのインク受容層に印刷後その印刷された表面に積層して粘着性を付与するための透明または白色の粘着層を積層した両面粘着シートとのキット。


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