本発明を実施したデジタルカメラの正面を図1に、背面を図2にそれぞれ示す。デジタルカメラのカメラ本体2の前面には、撮影レンズ3,レリーズボタン4,ストロボ発光部5を設けてある。また、背面には、各種操作ボタン7a,カーソルキー7bからなる操作部7と、LCD9とを設けてある。LCD9は、撮影レンズ3を通して撮影される被写体像をリアルタイムで表示する、いわゆる電子ビューファインダを構成するとともに、画像の再生等に使用される。操作部7を操作することにより、静止画を撮影するための静止画撮影モード,動画を撮影する動画撮影モード,撮影済みの静止画,動画を再生する再生モードを選択することができる。
レリーズボタン4は、半押しと、この半押しからさらに押し込んだ全押しとに押圧操作可能となっている。静止画撮影モード下では、レリーズボタン4を押圧操作していないときにはスルー画モードとなる。スルー画モードでは、撮影レンズ3の奧に配されたCCDイメージセンサ10(図3参照)によって、被写体の動画撮影を行い、その撮影した被写体像をいわゆるスルー画としてLCD9に表示する。
レリーズボタン4が半押しとなると、静止画撮影用の電子シャッタ速度,絞り値,撮影感度を決定するAE処理、被写体に撮影レンズ3のピントを合致させるAF処理、CCDイメージセンサ10の駆動モードを変更する処理等からなる第1準備処理を行う。第1準備処理の後、レリーズボタン4の半押しを維持している間では、再びスルー画モードとなる。
静止画撮影モード下でレリーズボタン4が全押しとされると、スチルモードとなって、先の半押しに応答して決定された静止画撮影用の電子シャッタ速度,撮影感度,絞り値を設定するための設定処理,CCDイメージセンサ10の動作を静止画撮影用の駆動モードに変更する処理等からなる第2準備処理を行った後に、CCDイメージセンサ10による静止画露光を行う。この静止画露光で得られる静止画は、画像データに変換されて、着脱自在にされたメモリカード11(図3参照)に記録される。
スルー画モードは、これまでのデジタルカメラと同様に被写体輝度に応じて絞り値,CCDイメージセンサ10の電荷蓄積時間、すなわち電子シャッタ速度,撮影感度を変化させる。なお、レリーズボタン4の半押しが維持されている間のスルー画モード下で、静止画撮影用の絞り値を固定的に使用して撮影を行うことにより、レリーズボタン4を全押したときの絞りの切り替え動作をなくし、少ない遅延で静止画の露光を行うことができるようにしてもよい。
図3に上記デジタルカメラの構成を示す。操作部7は、それを構成する操作ボタン7a,カーソルキー7bの操作に応じた操作信号をCPU15に送る。スイッチ部16は、レリーズボタン4の押圧に連動してオン・オフするレリーズスイッチS1,S2からなる。レリーズスイッチS1は、レリーズボタン4が半押しとされるとオンとなり、レリーズスイッチS2はレリーズボタン4が全押しとされるとオンとなる。レリーズスイッチS1,S2のオン・オフはCPU15に送られる。
CPU15は、操作部7,スイッチ部16からの各種信号に基づいて各部を制御する。CPU15には、ROM15a,RAM15bが接続されている。ROM15aには、各種シーケンスを実行するためのプログラムや、シャッタ速度,絞り値,撮影感度の組み合せを決定するための各種プログラム線図に相当するプログラム等を書き込んであり、このプログラムにしたがってCPU15は各部を制御する。RAM15bは、撮影シーケンスなどを実行する際に必要なデータを一時的に記憶するワークメモリとして利用される。
撮影レンズ3には、ズーム機構21,フォーカス機構22,絞り装置23,メカニカルシャッタ装置24が組み込まれている。ズーム機構21は、操作部7のズーム操作に応答して、撮影レンズ3を構成するレンズを移動してズーミングを行う。フォーカス機構22は、フォーカスレンズ22aを移動してピント合せを行う。このフォーカス機構22によるピント合せは、撮影モード下でレリーズボタン4の押圧を解除しているときには被写体距離の変化に追従するように常に行われるが、レリーズボタン4が半押しされると、その半押し時点の被写体にピントが合致した位置で固定される、いわゆるフォーカスロック状態となる。絞り装置23は、絞り(絞り開口径)を調節することで、CCDイメージセンサ10に入射する被写体光の光強度を調節する。
上記ズーム機構21,フォーカス機構22,絞り装置23は、対応するドライバ25〜27を介してCPU15によって駆動が制御される。
メカニカルシャッタ装置24は、通常はシャッタ羽根を開いた開き状態であり、CCDイメージセンサ10の静止画の露光の完了時にシャッタ羽根を閉じた閉じ状態となる。これにより、静止画撮影時、被写体の露光の完了後におけるCCDイメージセンサ10への外光の入射を阻止し、スメアの発生を防止する。このメカニカルシャッタ装置24は、ドライバ28を介してタイミングジェネレータ30に接続してあり、このタイミングジェネレータ30からのメカシャッタ駆動信号により作動する。
撮影レンズ3の背後にCCDイメージセンサ10を配してあり、撮影レンズ3を透過した被写体光がCCDイメージセンサ10の受光面に入射する。CCDイメージセンサ10は、その受光面に多数の受光部が設けてあり、駆動手段としてのタイミングジェネレータ30からの各種の駆動信号により駆動され、各受光部で露光した被写体像をアナログの撮影信号に変換して出力する。このCCDイメージセンサ10は、タイミングジェネレータ30からの電子シャッタパルスの入力により、それまでに蓄積した電荷を掃き出して消去することで電荷蓄積時間を調節する電子シャッタ機能を有しており、電子シャッタパルスの入力期間を調節することで電子シャッタ速度を調節することができる。なお、イメージセンサとしては、被写体像を撮影信号に変換して出力するものであれば、CCDイメージセンサ10以外のものを用いることができる。
上記のCCDイメージセンサ10は、後述するように1個の受光部(画素)が高感度の主受光素子と低感度の副受光素子とから構成され、スチルモード時には、主受光素子で被写体像を撮影した撮影信号と、副受光素子で被写体像を撮影した撮影信号とをそれぞれ出力する。以下の説明では、撮影信号を区別する場合に、主受光素子によるものを主撮影信号と称し、副受光素子によるものを副撮影信号と称する。CCDイメージセンサ10は、例えば1フレーム分の主撮影信号を出力してから、1フレーム分の副撮影信号を出力する。なお、スルー画モード時には、主撮影信号だけを出力する。
タイミングジェネレータ30は、各種動作を所定のタイミングで行うための各種のパラメータがCPU15によって設定(ロード)され、各部の動作の基準となる垂直同期信号VIやCCDイメージセンサ10を駆動するための駆動信号等の各種信号を発生する。タイミングジェネレータ30は、各種パラメータが設定されると、その設定の完了後の垂直同期信号VIの立ち下がり、すなわち次のフレーム期間の開始時点で、設定されたパラメータが有効化となる。なお、垂直同期信号VIの立ち下がりから次の立ち下がりまでが1フレーム期間となる。
タイミングジェネレータ30に設定されるパラメータとしては、例えばCCDイメージセンサ10の撮影フレームレートのパラメータ,電子シャッタ速度のパラメータ,動画撮影または静止画撮影のいずれで作動させるかを指定するパラメータ,メカニカルシャッタ装置24の動作に関わるパラメータ、CCDイメージセンサ10の内部での電荷の転送形態のパラメータ等がある。
CCDイメージセンサ10からの撮影信号は、アナログ信号処理部31に送られる。アナログ信号処理部31は、CDS回路31a,AMP回路31b,A/D変換器31cから構成されており、タイミングジェネレータ30からの同期パルスが入力されることで、CCDイメージセンサ10の電荷読み出し動作と同期して作動する。
CDS回路31aは、相関二重サンプリングを行うことによって撮影信号からノイズの除去を行なう。AMP回路31bはCPU15によって設定される撮影感度に応じたゲインで撮影信号を増幅する。A/D変換器31cは、AMP回路31bからの撮影信号をデジタル変換して画像データとして出力する。
A/D変換器31cからの画像データは、画像入力コントローラ32に送られる。画像入力コントローラ32は、バス33への画像データの入力を制御する。バス33には、CPU15,画像処理部34,圧縮処理部35,AF検出部36,AE/AWB検出部37,メディアコントローラ38,内部メモリ39,LCDドライバ40,タイマ41が接続されており、これら各部はバス33を介してCPU15に制御されるとともに、相互間でデータの授受が可能になっている。
画像処理部34は、スルー画モード時には、主撮影信号から得られる主画像データに対してγ補正,ホワイトバランス補正等の画像処理を行う。また、スチルモードでは、画像処理部34は、階調合成処理を行い広いダイナミックレンジを持つ合成画像を生成した後、この合成画像の画像データに対してγ補正,ホワイトバランス補正等の画像処理を行う。階調合成処理では、主画像データと副撮影信号から得られる副画像データとを用いて、例えば高輝度域の主画像データを対応する副画像データで補正してから、所定の階調幅となるように階調圧縮を行う。
圧縮処理部35は、スチルモード下において、画像処理部34からの画像データに対して例えばJPEG形式にデータ圧縮を行う。また、この圧縮処理部35は、再生モード下ではメモリカード11から読み出した圧縮された画像データの伸長を行う。
AF検出部36は、撮影レンズ3のピント合せのために、画像入力コントローラ32から出力される画像データを用いて撮影中の画像のコントラストを検出し、そのコントラスト情報をCPU15に送る。CPU15は、コントラスト情報を参照し、撮影中の画像のコントラストが最大となるように、ドライバ26を介してフォーカス機構22を駆動する。
AE/AWB検出部37は、画像入力コントローラ32からの画像データに基づいて、被写体輝度の検出と、光源の種類の検出を行い、それらをCPU15に送る。CPU15は、光源の種類に基づいて、画像処理部34のホワイトバランスのパラメータを設定する。
AE/AWB検出部37は、後述するように撮影画面を複数の小領域に分割し、その各小領域について被写体輝度を検出し、それら各被写体輝度をCPU15に送る。CPU15は、AE/AWB検出部37からの被写体輝度を用いて、スルー画モード,スチルモードの際の露出値を算出する。スチルモードの際の露出値は、レリーズボタン4の半押しに応答して行われる第1準備処理のAE処理の際に、後述するように被写体輝度の測定範囲をずらした第1〜第3測光シーケンスで得られる被写体輝度から決定される。なお、この例では3回の測光シーケンスを実行するが、2回あるいは4回以上の測光シーケンスであってもよい。
CPU15は、スルー画モードの露出値は、スルー画用プログラムにしたがって絞り値,シャッタ速度,撮影感度の組み合わせに変換し、スチルモードの露出値はスチル用プログラムにしたがって絞り値,シャッタ速度,撮影感度の組み合わせに変換する。決定された電子シャッタ速度,撮影絞り,撮影感度は、レリーズボタン4の全押しに応答して行われる第2準備処理で対応する各部に設定される。
メディアコントローラ38は、メモリカード11のデータの書き込み及び読み出しを制御する。記録すべき画像データは、画像処理部34,圧縮処理部35での処理が施されてから、メディアコントローラ38に送られて、メモリカード11に書き込まれる。また、再生時には、メディアコントローラ38によってメモリカード11に記録されている画像データが読み出され、圧縮処理部35に送られて画像データの伸長が行われた後に、内部メモリ39に送られる。
内部メモリ39は、例えば高速な読み出しと書き込みが可能なSDRAMとなっている。この内部メモリ39には、LCD9に表示すべき画像データ、静止画撮影でメモリカード11に記録すべき画像データが書き込まれる。各動画モード下では、それぞれの垂直同期信号VIに同期して画像データが内部メモリ39に順次に入力され書き込まれる。
LCDドライバ40は、スルー画モード及び再生モード下では、内部メモリ39から画像データを再生用の垂直同期信号VDに同期して読み出し、その画像データをに基づいてLCD9を駆動する。これにより、LCD9には、CCDイメージセンサ10で撮影中の被写体やメモリカード11から読み出された画像が表示される。
タイマ41は、垂直同期信号VIを基準とした経過時間を測定する。CPU15は、このタイマ41に計時される経過時間に基づいて、各種パラメータをタイミングジェネレータ30に設定するタイミングを決める。
図4にCCDイメージセンサ10を模式的に示す。CCDイメージセンサ10の各受光部50は、一対の主受光素子51と副受光素子52とから構成される。この例では、主受光素子51の受光面積を大きくし、副受光素子52の受光面積を受光素子51よりも小さくすることによって、相対的に受光素子51を高感度とし、受光素子52を低感度としてある。
受光部50の列毎に、垂直転送路53を設けてあり、各垂直転送路53の端部に水平転送路54を設けてある。各転送路53,54には、転送電極(図示省略)を設けてある。各転送電極に、所定のタイミングで電圧を印加することにより、各受光素子51,52で蓄積された電荷が垂直転送路53,水平転送路54を介して出力アンプ55に向けてシリアルに読み出される。出力アンプ55によって各電荷はその電荷量に応じた電圧に変換され、撮影信号として出力される。この電荷の読み出しは、最初に主受光素子51のものから行なわれ、全ての主受光素子51の電荷の読み出しが完了した後に副受光素子52の電荷の読み出しが行なわれる。これにより1フレーム分ずつ主撮影信号と副撮影信号とが出力される。
図5に被写体輝度を検出する際の撮影画面57の状態と、小領域58ごとに付与された重みの一例を示す。AE/AWB検出部37は、撮影画面57をn個(この例では64個)の小領域58に分割して、それぞれの小領域58について被写体輝度を検出する。各小領域58内に記した数字は適正露出値を算出する際の「重み」を表している。CPU15は、各小領域57aごとに被写体輝度に対応する重みを付けて露出演算処理を行い、適正露出値を算出する。適正露出値をE,小領域58ごとの被写体輝度をDi(i=1,2,・・・n)、小領域58ごとの重みをWi(i=1,2,・・・n)としたときに、次の式(1)によって算出する。
AE処理の際には、第1〜第3輝度検出シーケンスと、露出演算処理と、設定値変換処理とを行う。各輝度検出シーケンスは、CCDイメージセンサ10による露光及びその画像データ(撮影信号)に基づいて上記のようにAE/AWB検出部37によって被写体輝度を検出する検出処理からなる測光と、測光範囲内の被写体輝度を抽出するCPU15の抽出処理とからなる。なお、被写体輝度の検出は主撮影信号に基づいて行う。
図6に各輝度検出シーケンスの測光範囲を示す。なお、図6中の点線は、被写体輝度を測定可能であるが測定範囲外とする部分を表している。第1〜第3輝度検出シーケンスの各測定範囲は、重ならないように予め設定してある。第1輝度検出シーケンスでは、CPU15の制御によって露出値を8EVに設定して、CCDイメージセンサ10による露光を行い、4EV以上9.5EV未満の第1測光範囲について測光を行う。同様に、第2輝度検出シーケンスでは、露出値を12EVに設定してCCDイメージセンサ10による露光を行い、9.5EV以上13.5EV未満の第2測光範囲で測光を行う。第3輝度検出シーケンスでは、露出値を16EVに設定して13.5EV以上18EV以下の第3測光範囲で測光を行う。
各輝度検出シーケンスにおける絞り値と電子シャッタ速度の組み合せは、例えば第1輝度検出シーケンスでは、絞り値がF2.8(=AV3),電子シャッタ速度が1/30秒(=TV5)、第2輝度検出シーケンスでは、絞り値がF4(=AV4),電子シャッタ速度が1/250秒(=TV8)、第3輝度検出シーケンスでは、絞り値がF8(=AV6),電子シャッタ速度が1/1000秒(=TV10)としてあり、撮影感度はいずれの測光シーケンスにおいてもISO100としてある。
輝度検出シーケンスの抽出処理では、対応する輝度検出シーケンスの測光範囲内の被写体輝度を抽出する。露出演算処理と設定値変換処理とは、第3測光シーケンスの後にCPU15によって行われる。露出演算処理では、3回の輝度検出シーケンスで抽出されるn個の被写体輝度を上記式(1)に適用し適正露出値を算出する。設定値変換処理では、露出演算処理で算出した適正露出値を、スチル用プログラムを用いて絞り値,電子シャッタ速度,撮影感度に変換する。
なお、上記の被写体輝度,露出値は、撮影感度ISO100を基準としたものである。また、AE/AWB検出部37が検出する各小領域58の被写体輝度は、絶対的な被写体輝度ではなく、その測光を行ったときの露出値を基準とする相対的な被写体輝度である。このため、CPU15は、露出演算処理を行う際には、測光時の絞り値,撮影感度,電子シャッタ速度を用いて、測定した被写体輝度を絶対的な被写体輝度に変換する処理を行う。さらに、被写体輝度を抽出するごとに順次に適正露出演算を行ってもよい。
次に上記構成の作用について図7及び図8を参照しながら説明する。静止画の撮影を行う場合には、デジタルカメラの電源をオンとして撮影モードを選択し、さらに静止画撮影モードを選択する。静止画撮影モードとなると、スルー画モードとなり動画撮影が開始される。
CCDイメージセンサ10が動作を開始すると、各主画素51で露光された被写体像が主撮影信号として出力され、CDS回路31a,AMP回路31b,A/D変換器31cを介して主画像データに変換されてから、画像入力コントローラ32,バス33を介して画像処理部34,AF検出部36,AE/AWB検出部37,内部メモリ39にそれぞれ送られる。
そして、AF検出部36からの主画像データに基づいたコントラスト情報がCPU15に送られ、このCPU15でフォーカス機構22が制御されて、現在撮影中の被写体にピントが合致するように調節される。このピントの調節は、随時行われるから被写体までの撮影距離が変化しても、それに追随してピントが合わせられる。
また、AE/AWB検出部37からは、小領域58ごとに検出された1画面分の被写体輝度と、光源の種類とがCPU15に送られる。このスルー画モードでは、このように得られる1画面分の被写体輝度を基に所定のアルゴリズムを用いて適正露出値がCPU15によって算出され、その算出結果がスルー画用プログラムに適用されることで電子シャッタ速度,撮影感度,絞り値がそれぞれ求められる。そして、このように求められた電子シャッタ速度がタイミングジェネレータ30に、撮影感度がAMP回路31bに設定されるとともに、その絞り値となるようにドライバ27を介して絞り装置23が制御される。被写体輝度が変化すれば、これに応じて電子シャッタ速度,絞り,撮影感度が再び求められ、設定・制御されることによって、撮影中の被写体が常にほぼ適正な露出となるように調節される。
一方、光源の種類に基づき光源の種類がCPU15で特定され、その光源に応じたホワイトバランス用のパラメータが画像処理部34にセットされて、画像処理部34ではそれに入力される画像データに対してホワイトバランス補正,γ補正等の画像処理が行わる。被写体輝度と同様、光源の種類が変化すれば、これに応じてホワイトバランス用のパラメータが再設定されることによって、常に適正なホワイトバランスに維持される。
上記のように電子シャッタ速度,絞り,撮影感度が被写体輝度に応じて調節されると、その電子シャッタ速度,絞り値の下でCCDイメージセンサ10による露光が行われ、出力される主撮影信号がAMP31bで撮影感度に応じたゲインで増幅される。そして、得られる画像データが画像処理部34で画像処理されてから内部メモリ39にいったん書き込まれた後に、LCDドライバ40によって読み出される。これにより、CCDイメージセンサ10で撮影している被写体像が動画でLCD9に表示される。
レリーズボタン4を半押しとすると、レリーズスイッチS1がオンとなる。このレリーズスイッチS1のオンに応答して第1準備処理が行われる。第1準備処理では、まず図8に示すAE処理が行われ、第1〜第3輝度検出シーケンスが順次に行われて、静止画撮影に用いる適正露出値が算出される。
図9に一例を示すように、レリーズスイッチS1がオンとなったフレーム期間を0番目とすると、第1輝度検出シーケンスが1番目のフレーム期間に開始される。まず、1番目のフレーム期間中にパラメータ設定処理P1が行われ、電子シャッタ速度を1/30秒とするパラメータを含む各種パラメータがタイミングジェネレータ30に設定される。
2番目のフレーム期間となると、その期間開始時にCPU15の制御により絞り装置23が駆動されて絞り値がF2.8とされてから、CCDイメージセンサ10による露光E1が開始される。この露光E1は、パラメータ設定処理P1のパラメータに基づくので露光時間、すなわち電子シャッタ速度が1/30秒となっている。
露光E1の完了後、3番目のフレーム期間となると、CPU15によってISO100の撮影感度に相当するゲインがAMP31bにセットされてから、露光E1によってCCDイメージセンサ10に蓄積された電荷のうち各主画素51の電荷の転送が開始され、主撮影信号が出力される(R1)。この主撮影信号は、CDS回路31a,AMP回路31b,A/D変換器31cを介して主画像データに変換され、画像入力コントローラ32を介してAE/AWB検出部37に送られる。結果として、AE/AWB検出部37には、絞り値をF2.8、電子シャッタ速度を1/30秒、撮影感度をISO100として露光を行った主画像データが入力される。AE/AWB検出部37によって、主画像データから各小領域58ごとの被写体輝度が検出されてCPU15に送られる。
CPU15に入力された1画面分の被写体輝度は、3番目のフレーム期間中に例えばRAM15bにいったん書き込まれて保持される。そして、4番目のフレーム期間になると、CPU15が抽出処理S1を行い、RAM15bにアクセスして記録されている各被写体輝度のうち第1測光範囲(4EV以上9.5EV未満)内の被写体輝度だけを抽出する。そして、抽出が完了すると第1輝度検出シーケンスが完了する。
一方、第1輝度検出シーケンスの露光E1が行われている2番目のフレーム期間には、第2輝度検出シーケンスが開始される。2番目のフレーム期間中にパラメータ設定処理P2が行われ、電子シャッタ速度を1/250秒とするパラメータを含む各種パラメータがタイミングジェネレータ30に設定され、3番目のフレーム期間となると、絞り装置23による絞り値がF4とされてから、CCDイメージセンサ10による露光E2が行われる。この露光E2は、絞り値がF4であり、電子シャッタ速度が1/250秒である。
4番目のフレーム期間となると、露光E2による主撮影信号が出力され(R2)、CDS回路31a,AMP回路31b,A/D変換器31c,画像入力コントローラ32を介してAE/AWB検出部37に送られる。このときにAMP回路31bには、第1輝度検出シーケンスの際にISO100の撮影感度に相当するゲインが設定されている。したがって、AE/AWB検出部37には、絞り値をF4、電子シャッタ速度を1/250秒、撮影感度をISO100として露光を行った主画像データが入力され、その主画像データに基づいて、小領域58ごとに検出された被写体輝度がCPU15に送られる。
第1輝度検出シーケンスの場合と同様に、第2輝度検出シーケンスの被写体輝度についてもRAM15bに保持されてから、5番目のフレーム期間に第2測光範囲(9.5EV以上13.5EV未満)内の被写体輝度だけが抽出される。
さらに、露光E2が行われている3番目のフレーム期間には、第3輝度検出シーケンスが開始され、第1,第2輝度検出シーケンスと同様に行われる。このときに、第3輝度検出シーケンスでは、電子シャッタ速度が1/1000秒であり、絞り値がF8である。また、第3輝度検出シーケンスは、6番目のフレーム期間において第3測光範囲(13.5EV以上18EV以下)内の被写体輝度だけが抽出される。
上記のようにして、3回の測光シーケンスを行い、それぞれ対応する測光範囲の被写体輝度を抽出することで、n個の小領域58のそれぞれについて1つの被写体輝度が得られる。そして、第3測光シーケンスの完了後、CPU15によって、露出演算処理C0が行われ、n個の抽出された被写体輝度が前記式(1)に適用される。これにより、4EV〜18EVを測定範囲として測定された各被写体輝度に基づいた適正露出値が算出される。
図10に被写体輝度の測定状態の一例を模式的に示す。なお、図10中の小領域58内に記した数字は、対応する輝度検出シーケンスで抽出された被写体輝度であり、丸印は測定された被写体輝度が測定範囲より高いことを示しており、バツ印は測定範囲よりも低いことを示している。
第1輝度検出シーケンスでは、図10(a)に示すように、第1測光範囲が4EV以上9.5EV未満の被写体輝度が抽出されるが、その他の被写体輝度は無効とされる。また、第2輝度検出シーケンスでは、第2測光範囲が9.5EV以上15EV未満であるから、図10(b)に示すように、その範囲の被写体輝度だけが抽出され、その他の被写体輝度は無効となる。もちろん、第1輝度検出シーケンスで抽出された小領域の被写体輝度については、この第2輝度検出シーケンスでは無効となる。さらに、第3輝度検出シーケンスでは、第3測光範囲が15EV以上18EV以下であるから、図10(c)に示すように、その15EV以上18EV以下の被写体輝度が抽出され、その他の被写体輝は無効となる。以上のような3回の測光により、結果的には図10(d)に示すように、4EV以上18EV以下の範囲を測光範囲として撮影画面57内の被写体輝度の分布が測定され、その測定結果に基づいた適正露出値が算出される。
適正露出値が算出された後、この適正露出値を静止画用プログラムに適用する設定変換処理が行われ、静止画撮影に用いられる電子シャッタ速度,撮影絞り,撮影感度が決定される。その決定内容がCPU15に保持されて、AE処理が完了する。
続いて、AF処理が行われ、コントラス情報に基づいてフォーカスレンズ22aが駆動されて撮影レンズ3のピントの再調節が行われる。この再調節されたフォーカスレンズ22aの位置は、レリーズボタン4の押圧が解除されるまで固定され、フォーカスロックの状態となる。
以上のようにして第1準備処理が完了すると、再びスルー画モードとされて、上記と同様にCCDイメージセンサ10で動画撮影を行い、LCD9にスルー画を表示する。
レリーズボタン4が全押しとされて、レリーズスイッチS2がオンとなると、第2準備処理が行われる。この第2準備処理では、スチルモードで駆動するためのパラメータと、レリーズボタン4の半押しに応答して決定された静止画撮影用の電子シャッタ速度,メカニカルシャッタ装置24の駆動タイミングのためのパラメータ等がタイミングジェネレータ30に設定される。また、静止画撮影用の絞り値が絞り装置23に設定されるとともに、撮影感度に対応するゲインがAMP31bに設定される。
上記のように第2準備処理が完了すると、CCDイメージセンサ10による静止画露光が行われる。そして、この静止画露光のときには、設定された電子シャッタ速度で電荷蓄積が行われ、その露光の終了の際にメカニカルシャッタ装置24が閉じ状態とされる。
静止画露光が行われた後に、CCDイメージセンサ10から主撮影信号の出力が行われ、アナログ信号処理部31を介して主画像データとされてから画像処理部34に送られ、画像処理部20のバッファメモリに書き込まれる。続いて、CCDイメージセンサ10から副撮影信号が出力され、その副撮影信号が主撮影信号と同様にアナログ信号処理部31を介して副画像データとされて画像処理部34に送られる。そして、副画像データは、画像処理部20のバッファメモリに書き込まれる。
主画像データと副画像データとがバッファメモリに書き込まれた後、これら各画像データを用いて階調合成処理が行われて、広いダイナミックレンジを持つ合成画像が生成される。そして、この合成画像の合成画像データに対してγ補正,ホワイトバランス補正等の画像処理が行われる。これらの処理の後、合成画像データが圧縮処理部35に送られて圧縮処理されてから、メディアコントローラ38によってメモリカード11に記録される。
上記のように、測光範囲をずらして3回の測光を行うことで被写体輝度の測定輝度を広くした測光結果に基づいて決定した適正露出値で静止画の撮影を行っているので、CCDイメージセンサ10の広いダイナミックレンジを活かした階調を持つ静止画を得ることができる。
図11は、スルー画モード中に測定された被写体輝度を利用する第2実施形態を示すものである。なお、以下に説明する他は、上記実施形態と同様であり、同じ構成部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
レリーズボタン4が半押しとなると、それに応答してスルー画モード中に測定した被写体輝度を第1輝度検出シーケンスの測定値(被写体輝度)として取得するとともに、その取得した被写体輝度に後述のように決まる第1測定範囲で測定の上限よりも高い被写体輝度が含まれるときに、第2,第3測光シーケンスを実行するように構成してある。
スルー画モード中では、動画撮影時の露出値を決めるための被写輝度の測定を行っており、被写体輝度がフレーム期間毎にAE/AWB検出部37からCPU15に入力されるので、その被写体輝度を例えばRAM15bに一時的に保持しておくことで、レリーズボタン4の半押しの直前に測定した被写体輝度を取得することができる。
この例では、レリーズボタン4の半押しの直前の被写体輝度を、半押し時点でRAM15に取得済みの最新の被写体輝度としているが、例えば半押し時点のフレーム期間中にCCDイメージセンサ15で露光結果、あるいは出力されている撮影信号に基づいて得られる被写体輝度であってもよい。また、垂直同期信号VIに対するレリーズボタン4の半押しのタイミングに応じて、これらを切り替えてもよい。なお、レリーズタイムラグを短くするという点からは、取得済みの最新の被写体輝度を用いるのが好ましい。
第1測定範囲としては、第1輝度検出シーケンスの被写体輝度として取得した被写体輝度を得た露光の際の露出値(以下、スルー画露出設定値という)を基準に低輝度側、高輝度側に適当な幅を持つよう設定される。この例では、第1測定範囲は、「スルー画露出設定値−2.5EV」以上「スルー画露出設定値+1.5EV」未満)に設定する。
第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した被写体輝度に第1測光範囲の上限以上の値が含まれる場合に、図12に示すように、レリーズボタン4の半押し後に第2,3輝度検出シーケンスが実行される。第2輝度検出シーケンスは、その第2測定範囲が第1測定範囲よりも高輝度側にずらして行われる。第1測定範囲が「スルー画露出設定値−2.5EV」以上「スルー画露出設定値+1.5EV」未満となっているので、第2輝度検出シーケンスは、露出値を「スルー画露出設定値+4EV」として露光を行い、第2測定範囲を「(スルー画露出設定値+4EV)−2.5EV」「(スルー画露出設定値+4EV)+1.5EV」未満に設定して行う。同様に第3輝度検出シーケンスは、露出値を「スルー画露出設定値+8EV」として露光を行い、第3測光範囲を「(スルー画露出設定値+8EV)−2.5EV」以上「(スルー画露出設定値+8EV)+1.5EV」以下に設定して行う。
第2,第3輝度検出シーケンスを行う場合の一例を示す図13において、スルー画設定露出値(図12中の露光E1の露出値)が9.5EVであった場合では、第1測定範囲は7EV以上11EV未満となる。第2輝度検出シーケンスでは露出値を13.5EVに設定して露光E2を行い、第2測定範囲が11EV以上15EV未満となる。さらに、第3輝度検出シーケンスでは露出値を17.5EVに設定して露光E3を行い、第3測定範囲が15EV以上19EV未満となる。
他方、第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した全ての被写体輝度が第1測定範囲内である場合には、図14に示すように、レリーズボタン4の半押し後に第2,3輝度検出シーケンスを実行しないで、第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した被写体輝度だけから適正露出値を算出する。例えば、図15に示すようにスルー画露出設定値が9.5EVであった場合で、第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した被写体輝度が7.5EV〜10.8EVの範囲である場合には、第2,3輝度検出シーケンスを実行しない。
この例によれば、レリーズボタン4の半押し後に、輝度検出シーケンスを行わないので、適正露出値の算出が完了するまでの時間を短くすることができ、レリーズボタン4の半押しから静止画撮影可能となるまでの時間、すなわちレリーズタイムラグを短くできるという利点がある。
なお、上記実施形態では、第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した被写体輝度が第1測光範囲の上限以上のものが含まれるときに、より高輝度域を測定する第2,第3輝度検出シーケンスを実行するが、第1測光範囲よりも低い値のものが含まれるときに、第1測光範囲より低輝度域を測定する輝度検出シーケンスを実行してもよい。さらに、第2輝度検出シーケンスの測定結果に第2測光範囲の上限以上の被写体輝度が含まれるときにだけ、第3輝度検出シーケンスを実行するように構成してもよい。
図16,図17は、スメア成分の影響を除去して適正露出値を算出する第3実施形態を示すものである。なお、以下、説明する他は、最初の実施形態と同じであり、同じ部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例では、第1〜第3輝度検出シーケンスとともに、スメア検出シーケンスを行う。スメア検出シーケンスでは、例えば第3輝度検出シーケンスと同様にCCDイメージ10のよる露光E4,撮影信号の出力R4を行って画像データを生成するが、露光を行った後に各受光部50の電荷を垂直転送路53に移動させないで、垂直,水平転送路53,54の電荷を転送させるようにタイミングジェネレータ30にパラメータ設定を行う(P4)。このように、各受光部50の電荷を垂直転送路53に移動させずに電荷転送を行うことにより、被写体像の成分を含まないスメア成分だけの撮影信号(以下、スメア信号という)を出力する。
AE/AWB検出37は、スメア信号をデジタル変換した画像データが入力されると、その画像データを用いてスメア輝度を生成する。このスメア輝度は、各小領域57のスメア成分を被写体輝度と同様に表したものである。CPU15は、同じ小領域58の第3輝度検出シーケンスで抽出された被写体輝度から対応するスメア輝度を減じるスメア補正演算CSをそれぞれの小領域58について行う。このようにすることにより、第3輝度検出シーケンスで得られる各小領域58の被写体輝度かスメア成分を除去している。なお、高速な電子シャッタ速度を用いて露光を行う場合に、スメア成分の影響が大きくなるので、この例では第3輝度検出シーケンスの被写体輝度を補正している。
CPU15は、上記のように第3輝度検出シーケンスで抽出した被写体輝度を補正した後に、その補正した被写体輝度、及び第1,第2輝度検出シーケンスで抽出した被写体輝度とをを用いて露出演算処理C0を行って、適正露出値を算出する。これにより、スメア成分の影響をなくした適正露出値を算出することができる。
図18は、第2の実施形態のようにスルー画モード中に測定された被写体輝度を利用する構成において、スメア成分を除去して適正露出値を算出する第4実施形態を示すものである。なお、以下に説明する他は、上記実施形態と同様であり、同じ部材には同一の符号を付してその説明を省略する。また、レリーズボタン4の半押しの直前のスルー画モード時の被写体輝度を第1シーケンスの被写体輝度として取得し、その被写体輝度に応じて第2,第3輝度検出シーケンスの実行の有無を判断する点は、第2実施形態と同じであり、スメア成分の検出、補正の動作については第3実施形態と同じである。
レリーズボタン4が半押しとなると、それに応答してスルー画モード中に測定した被写体輝度を第1輝度検出シーケンスの測定値として取得され、第2,第3測光シーケンスを実行するか否かの判断がCPU15によって行われる。
例えば取得した被写体輝度にスルー画露出設定値に応じて決まる第1測定範囲の上限以上のものがあれば、図19に示すように、第2,3輝度検出シーケンスが実行され、第3輝度検出シーケンスの後にスメア検出シーケンスが行われる。このスメア検出シーケンスからその結果を用いて第3輝度検出シーケンスの結果を補正して露出演算処理を適正露出値を算出する。
一方、取得した被写体輝度が第1測定範囲内である場合には、電子シャッタ速度が高速となるとスメアの影響が大きくなり、低速であれば影響を無視できるので、電子シャッタ速度に応じてスメア検出シーケンスを行うか否かの判断を行う。この例ではスルー画設定露出値が15EV以上である場合には、スメアの影響が大きくなる電子シャッタ速度となるように露出変換処理を行うので、スルー画露出設定値が15EV以上であったか否かを調べる。
スルー画設定露出値が15EV未満である場合には、第1輝度検出シーケンスの測定値として取得した被写体輝度だけを用いて露出演算処理を行う。したがって、この場合には、第2実施形態の図15に示す動作となる。
スルー画設定露出値が15EV以上である場合には、図20に示すように、レリーズボタン4を半押しとした後にスメア検出シーケンスを行う。そして、スメア検出シーケンスで得られる結果を用いて、第1輝度検出シーケンスの測定値、すなわちレリーズボタン4が半押しに応答して取得したスルー画モード中に測定した被写体輝度を補正し、その補正した被写体輝度を用いて適正露出値を算出する。
なお、第2,第3輝度検出シーケンスを実行する場合にも、電子シャッタ速度の高低によってスメア検出シーケンスの実行の有無を決めるようにしてもよい。