JP2006165364A - フェライト永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

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茂樹 柳田
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Abstract

【課題】 磁気特性ポテンシャルをほとんど低下させることなく、高保磁力(HcJ)のフェライト永久磁石の製造を可能とする。
【解決手段】 六方晶M型フェライトを主成分とし、F:10〜400ppmを含むフェライト永久磁石。
六方晶M型フェライトが下記の式(I)で表される組成を有することが好ましい。
1-xx(Fe12-yMeyz19 …(I)
ただし、AはSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含み、Rは希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含み、MeはCoであるかCo及びZnである。
0.04≦x≦0.9
0.04≦y≦1.0
0.4≦x/y≦5.0
0.7≦z≦1.2
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェライト永久磁石の磁気特性向上に関し、特に磁気特性ポテンシャルを低下させることなく残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)のバランスを調整することのできるフェライト永久磁石を提供する。
フェライト永久磁石には、六方晶系のSrフェライトやBaフェライトがあるが、現在はマグネトプランバイト型(M型)構造のSrフェライト又はBaフェライトが主に用いられており、これらのフェライト焼結体やボンディッド磁石が製造されている。
フェライト永久磁石を用いるモータ、その他の回転機を設計する場合には、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)という2つの磁気特性を考慮する。つまり、高い残留磁束密度(Br)が要求される場合もあれば、高い保磁力(HcJ)が要求される場合もある。通常、高い残留磁束密度(Br)を得ようとすると保磁力(HcJ)が低下し、逆に高い保磁力(HcJ)を得ようとすると残留磁束密度(Br)が低下する傾向にある。
これまで、フェライト永久磁石において、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)のバランスを調整するため、酸化アルミニウム(Al23)、酸化クロム(Cr23)、酸化シリコン(SiO2)、酸化カルシウム(CaO)等の微量の酸化物を添加する方法が従来から行われている(例えば、特開昭55−138204号公報(特許文献1)、特開昭60−152009号公報(特許文献2))。
特開昭55−138204号公報 特開昭60−152009号公報
従来用いられてきた酸化アルミニウム、酸化クロムは、焼結性を抑制する添加物であり、結果的に高保磁力(HcJ)を実現することができる。
ここで、磁気特性ポテンシャルについて、図2を参照しつつ説明する。
同じ組成を有するフェライト永久磁石であっても、焼成温度を調整することにより、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の値を変えることができる。例えば、図2の線分aはその一例を示している。線分aは、あるフェライト焼結磁石を例えば焼成温度を変えて製造したときの残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の変動を示している。図2の線分b、cも同様である。
線分がグラフの右上方にあるほど高い残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を得ることができるので、磁気特性ポテンシャルが高いということができる。
焼成温度の調整による高保磁力(HcJ)化には限界があるため、酸化アルミニウム等を添加する手法が用いられている。この手法によれば、線分aで示される磁気特性を線分bにシフトすることができるものの、通常、磁気特性ポテンシャルは低下してしまう。したがって、線分cのように磁気特性ポテンシャルを低下させることなく高保磁力(HcJ)化することが望まれる。そのため、本発明は、磁気特性ポテンシャルをほとんど低下させることなく、高保磁力(HcJ)のフェライト永久磁石の製造を可能とすることを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の六方晶M型フェライトを主成分とし、F:10〜400ppmを含むことにより前記課題を解決することができる。
本発明において、六方晶M型フェライトが下記の式(I)で表される組成を有すること
が好ましい。
1-xx(Fe12-yMeyz19 …(I)
ただし、AはSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含み、Rは希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含み、MeはCoであるかCo及びZnである。
0.04≦x≦0.9
0.04≦y≦1.0
0.4≦x/y≦5.0
0.7≦z≦1.2
また本発明のフェライト永久磁石は、F:50〜300ppmであることが好ましい。
以上のフェライト永久磁石は、六方晶M型フェライトの原料粉末と、フッ素化合物:0.01〜0.45wt%を含む組成物を加圧成形して成形体を得る工程(a)と、成形体を所定温度で加熱保持して焼結体を得る工程(b)と、を備えるフェライト永久磁石の製造方法により製造することができる。
ここで、フッ素化合物としてはSrF2であることが好ましい。
本発明によれば、磁気特性ポテンシャルをほとんど低下させることなく、高保磁力(HcJ)のフェライト永久磁石の製造を可能とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェライト永久磁石は、F(フッ素)を含有することにより磁気特性ポテンシャルを低下させることなく、高保磁力(HcJ)のフェライト永久磁石を得ることを可能とする。ただし、Fの含有量が10ppm未満では保磁力(HcJ)向上の効果を享受することが困難である。一方で、Fの含有量が400ppmを超えると保磁力(HcJ)の低下を引き起こす。したがって、本発明のフェライト永久磁石は、F含有量を10〜400ppmとする。好ましいF含有量は、50〜300ppm、さらに好ましいF含有量は80〜200ppmである。
本発明において、Fを含有させることにより上述した効果が得られる理由は明確ではないが、後述する実施例にて示すように、保磁力(HcJ)向上のために従来から用いられている酸化アルミニウムは飽和磁化(σs)を低下させるのに対し、Fを含有させると飽和磁化(σs)が高くなる。また、Fを含有するフェライト永久磁石は、焼結体の結晶粒径が、Fを含有しない場合に比べて微細化するものの、酸化アルミニウムを添加する場合よりも絶対的な結晶粒径は大きい。そのために、酸化アルミニウムを含有するフェライト永久磁石に比べて残留磁束密度(Br)が高く、磁気特性ポテンシャルの低下を防ぐことができる。
本発明を適用することのできるフェライト永久磁石は、特に限定されず、六方晶M型フェライトを主相とするフェライト永久磁石全般に適用することができる。
ここで、六方晶M型フェライトについて念のため言及しておくと、A2+O・6Fe23又はAFe1219の一般式で示される。そして、Aは一般的に、Sr、Ba、Ca及びPbの1種又は2種以上である。
本発明は、Aの一部をLaで置換し、さらにFeの一部をCoで置換したLa−Co含有M型フェライトに適用することが好ましい。このLa−Co含有M型フェライトは、下記の式(I)で表される主成分を有することが好ましい。
1-xx(Fe12-yMeyz19 …(I)
ただし、AはSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含み、Rは希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含み、MeはCoであるかCo及びZnである。
0.04≦x≦0.9
0.04≦y≦1.0
0.4≦x/y≦5.0
0.7≦z≦1.2
より好ましくは、
0.04≦x≦0.5、
0.04≦y≦0.5、
であり、さらに好ましくは、
0.1≦x≦0.4、
0.04≦y≦0.4、
である。
元素A:
式(I)によるフェライト永久磁石の飽和磁化および保磁力を高くするためには、元素
AとしてSrおよびCaの少なくとも1種を用いることが好ましく、特にSrを用いることが好ましい。元素A中においてSr+Caの占める割合、特にSrの占める割合は、好ましくは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。元素A中のSrの比率が低すぎると、飽和磁化と保磁力とを共に高くすることが難しくなる。
R(x):
式(I)において、元素Rの量を示すxが小さすぎる、つまり元素Rの量が少なすぎる
と、六方晶M型フェライトに対する元素Meの固溶量を多くできなくなってきて、飽和磁化向上効果および/または異方性磁場向上効果が不充分となってくる。xが大きすぎると、六方晶M型フェライト中に元素Rが置換固溶できなくなってきて、例えば元素Rを含むオルソフェライトが生成し、飽和磁化が低くなってくる。したがって式(I)におけるx
は、0.04≦x≦0.9とすることが好ましい。
元素Rとして用いる希土類元素は、Y、Scおよびランタノイド元素である。元素Rとしては、Laを必ず用い、そのほかの元素を用いる場合には、好ましくはランタノイド元素の少なくとも1種、より好ましくは軽希土類元素の少なくとも1種、さらに好ましくはNdおよびPrの少なくとも1種を用いる。元素R中においてLaの占める割合は、好ましくは40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽和磁化向上のためには元素RとしてLaだけを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。したがって、元素R中のLaの割合が低すぎると元素Rの固溶量を多くすることができず、その結果、元素Meの固溶量も多くすることができなくなり、磁気特性向上効果が小さくなってしまう。なお、Biを併用すれば、仮焼温度および焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。
Me(y):
式(I)において、元素Meの量を示すyが小さすぎると飽和磁化向上効果および/ま
たは異方性磁場向上効果が不充分となってくる。yが大きすぎると、六方晶M型フェライト中に元素Meが置換固溶できなくなってくる。また、元素Meが置換固溶できる範囲であっても、異方性定数(K1)や異方性磁場(Ha)の劣化が大きくなってくる。したがって本発明におけるyは、0.04≦y≦1.0とすることが好ましい。
元素Me中においてCoの占める割合は、好ましくは20原子%以上、より好ましくは50原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。元素Me中におけるCoの割合が低すぎると、保磁力向上が不充分となる。
z:
式(I)において、zが小さすぎると、Srおよび元素Rを含む非磁性相が増えるため
、飽和磁化が低くなってくる。zが大きすぎると、α−Fe23相または元素Meを含む非磁性スピネルフェライト相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。したがって本発明におけるzは、0.7≦z≦1.2とすることが好ましい。
式(I)において、x/yが小さすぎても大きすぎても元素Rと元素Meとの価数の平
衡がとれなくなり、W型フェライト等の異相が生成しやすくなる。元素Mが2価イオンであって、かつ元素Rが3価イオンである場合、価数平衡の観点からはx/y=1とすべきであるが、元素Rを過剰にすることが好ましい。なお、x/y>1の領域で許容範囲が大きい理由は、yが小さくてもFe3+→Fe2+の還元によって価数の平衡がとれるためである。
式(I)において、酸素Oの原子数は19となっているが、これは、元素Meがすべて
2価、元素Rがすべて3価であって、かつx=y、z=1のときの、酸素の化学量論組成比を示したものである。元素MeおよびRの種類やx、y、zの値によって、酸素の原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Co等の元素Meも価数が変化する可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比率は変化する。本発明では、元素Rの種類やx、y、zの値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値であってよい。
本発明によるフェライト永久磁石の組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができるが、主成分および副成分以外の成分の含有を排除するものではない。
本発明によるフェライト永久磁石には、Si成分、さらにはCa成分を含有することができる。Si成分およびCa成分は、六方晶M型フェライトの焼結性の改善、磁気特性の制御、および焼結体の結晶粒径の調整等を目的として添加される。Si成分としてはSiO2を、Ca成分としてはCaCO3を、それぞれを使用するのが好ましいが、この例に限定されるものではない。添加量は、Si成分について好ましくは、SiO2換算で0.15〜1.35wt%で、かつCa成分のモル量とSi成分のモル量の比Ca/Siが0.35〜2.10、より好ましくはSiO2換算で0.30〜0.90wt%で、Ca/Siが0.70〜1.75、さらに好ましくは0.45〜0.90wt%で、Ca/Siが1.05〜1.75である。
本発明のフェライト永久磁石には、副成分としてAl23および/またはCr23が含有されていてもよい。Al23およびCr23は、保磁力を向上させるが残留磁束密度を低下させる。したがって、Al23とCr23との合計含有量は、残留磁束密度の低下を抑えるために好ましくは3wt%以下とする。なお、Al23および/またはCr23添加の効果を充分に発揮させるためには、Al23とCr23との合計含有量を0.1wt%以上とすることが好ましい。
本発明のフェライト永久磁石には、Na、K、Rb等のアルカリ金属元素は含まれないことが好ましいが、不純物として含有されていてもよい。これらをNa2O、K2O、Rb2O等の酸化物に換算して含有量を求めたとき、これらの含有量の合計は、フェライト永久磁石全体の3wt%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
また、これらのほか、例えばGa、In、Li、Mg、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Sb、As、W、Mo等が酸化物として含有されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の酸化物に換算して、それぞれ酸化ガリウム5wt%以下、酸化インジウム3wt%以下、酸化リチウム1wt%以下、酸化マグネシウム3wt%以下、酸化チタン3wt%以下、酸化ジルコニウム3wt%以下、酸化ゲルマニウム3wt%以下、酸化スズ3wt%以下、酸化バナジウム3wt%以下、酸化ニオブ3wt%以下、酸化タンタル3wt%以下、酸化アンチモン3wt%以下、酸化砒素3wt%以下、酸化タングステン3wt%以下、酸化モリブデン3wt%以下であることが好ましい。
本発明をフェライト焼結磁石に適用する場合、その平均結晶粒径は、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
<用途>
本発明のフェライト永久磁石は、フェライト焼結磁石、フェライト磁石粉末、樹脂中に分散されるフェライト磁石粉末としてボンディッド磁石、および膜状の磁性相として磁気記録媒体などを構成することができる。
本発明によるフェライト焼結磁石、およびボンディッド磁石は所定の形状に加工され、以下に示すような幅広い用途に使用される。例えば、フューエルポンプ用、パワーウィンド用、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータとして使用することができる。また、FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD/LD/MDスピンドル用、CD/LD/MDローディング用、CD/LD光ピックアップ用等のOA/AV機器用モータとして使用することができる。さらに、エアコンコンプレッサー用、冷凍庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータとしても使用することができる。さらにまた、ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータとしても使用することが可能である。その他の用途としては、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネトラッチ、アイソレータ等に、好適に使用される。
本発明によるフェライト磁石粉末をボンディッド磁石に用いる場合には、その平均粒径を0.1〜5.0μmとすることが望ましい。ボンディッド磁石用粉末のより望ましい平均粒径は0.1〜2.0μm、さらに望ましい平均粒径は0.1〜1.0μmである。ボンディッド磁石を製造する際には、フェライト磁石粉末を樹脂、金属、ゴム等の各種バインダと混練し、磁場中または無磁場中で成形する。バインダとしては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、塩素化ポリエチレン、ポリアミド樹脂などが好ましい。成形後、硬化を行ってボンディッド磁石とする。
本発明のフェライト永久磁石を用いて、磁性層を有する磁気記録媒体を作製することができる。この磁性層は、前述したM型フェライト相を含む。磁性層の形成には、例えば蒸着法、スパッタ法などを用いることができる。スパッタ法で磁性層を形成する場合には、本発明によるフェライト焼結磁石をターゲットとして使用することもできる。なお、磁気記録媒体としては、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気テープ等が挙げられる。
<製造方法>
次に、本発明によるフェライト焼結磁石の好適な製造方法について説明する。本発明のフェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、仮焼工程、粉砕工程、粉砕工程、磁場中成形工程、および焼成工程を含む。なお、粉砕工程は、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれる。
<配合工程>
配合工程は、原料粉末を所定の割合となるように秤量後、湿式アトライタ、ボールミル等で1〜20時間程度混合、粉砕処理する。出発原料としては、フェライト構成元素(Fe、元素A、元素R、元素Me等)の1種を含有する化合物、またはこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。化合物としては酸化物、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度とすることが好ましい。出発原料は、仮焼前の本工程ですべてを混合する必要はなく、各化合物の一部または全部を後添加とする構成にしても良い。例えば、Co等の元素M成分は、一部または全部を仮焼後に添加する方が好ましい。
本発明では、配合工程において、F(フッ素)の供給源を出発原料の1つとして配合することができる。Fの供給源としては、F化合物を用いることになる。例えば、F化合物としては、SrF2、FeF2、FeF3、ClF、F2Oが掲げられる。
さらに、本発明では、配合工程において、添加物としてのSi成分及び/又はCa成分を所定量添加することができる。
なお、本願明細書において、仮焼工程の前に副成分等の添加物を添加する行為を前添加といい、仮焼工程の後に添加する行為を後添加ということにすると、以上ではF化合物、Si成分及び/又はCa成分を前添加する例をしめしている。しかし、本発明においてF化合物、Si成分及び/又はCa成分は前添加に限らず、後添加することもできる。また、一部を前添加し、他の一部を後添加することもできる。
<仮焼工程>
配合工程で得られた原料組成物を仮焼する。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。仮焼条件は特に限定されないが、通常、安定温度は1000〜1350℃、安定時間は1秒間〜10時間とすればよい。仮焼体は、実質的にマグネトプランバイト(M)型のフェライト構造を有し、その一次粒子径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。
<粉砕工程>
仮焼体は、一般に顆粒状、塊状等になっており、そのままでは所望の形状に成形ができないため、粉砕する。また、所望の最終組成に調整するための原料粉末、および添加物等を混合するために、粉砕工程が必要である。本工程で原料粉末等を添加することは後添加に該当する。粉砕工程は、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれる。なお、仮焼体を所定の粒度に粉砕することにより、ボンディッド磁石用のフェライト磁石粉末とすることもできる。
<粗粉砕工程>
前述のように、仮焼体は一般に顆粒状、塊状等であるので、これを粗粉砕することが好ましい。粗粉砕工程では、振動ミル等を使用し、平均粒径が0.5〜10μmになるまで処理される。なお、ここで得られた粉末を粗粉砕粉と呼ぶことにする。
<微粉砕工程>
粗粉砕粉を湿式アトライタ、ボールミル、あるいはジェットミル等によって粉砕し、平均粒径0.08〜2μm、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.2〜0.8μm程度に粉砕する。微粉砕工程は、粗粉砕粉をなくすこと、後添加物を充分に混合すること、および磁気特性向上のために焼結体の結晶粒子を微細化すること等を目的として行われる。得られた微粉砕粉の比表面積(BET法により求められる)としては、7〜12m2/g程度とすることが好ましい。粉砕時間は、粉砕方法にもよるが、例えば湿式アトライタでは30分間〜10時間、ボールミルによる湿式粉砕では10〜40時間程度、処理すればよい。
また、本発明においては、焼結体の磁気的配向度を高めるために、一般式Cn(OH)nHn+2で示される多価アルコールを微粉砕工程で添加することが好ましい。ここで、前記一般式において、炭素数を表すnの好ましい値は4〜100、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20、より一層好ましくは4〜12である。多価アルコールとしては、例えばソルビトールが望ましいが、2種類以上の多価アルコールを併用しても良い。さらに、本発明で使用する多価アルコールに加えて、他の公知の分散剤を使用しても良い。
前述の一般式は、骨格がすべて鎖式であって、かつ不飽和結合を含んでいない場合の一般式である。多価アルコール中の水酸基数、水素数は、一般式で表される数よりも多少少なくても良い。すなわち、飽和結合に限らず、不飽和結合を含んでいても良い。基本骨格は鎖式であっても環式であっても良いが、鎖式であることが好ましい。また、水酸基数が炭素数nの50%以上であれば、本発明の効果が実現するが、水酸基数は多い方が好ましく、水酸基数と炭素数が同程度であることが最も好ましい。この多価アルコールの添加量としては、添加対象物に対して0.05〜5wt%、好ましくは0.1〜3wt%、より好ましくは0.3〜2wt%程度とすればよい。なお、添加した多価アルコールは、磁場中成形工程後の焼成工程で熱分解除去される。
<磁場中成形工程>
磁場中成形工程は、乾式成形、もしくは湿式成形のいずれの方法でも行うことができるが、磁気的配向度を高くするためには、湿式成形で行うことが好ましい。よって、以下では、湿式成形用スラリーの調製について説明した上で、磁場中成形工程の説明を行う。
湿式成形を行う場合、微粉砕工程を湿式で行い、得られたスラリーを所定の濃度に濃縮し、湿式成形用スラリーとする。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えば良い。この場合、微粉砕粉が、湿式成形用スラリー中の30〜80wt%程度を占めることが好ましい。また、分散媒としては水が好ましく、さらに、グルコン酸および/またはグルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤を添加することが好ましい。次いで、湿式成形用スラリーを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm2程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすれば良い。なお、分散媒は水に限らず、非水系溶媒を使用しても良い。非水系の分散媒を使用する場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが好ましい。
<焼成工程>
得られた成形体を焼成し、焼結体とする。焼成は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。焼成条件は特に限定されないが、通常、例えば5℃/時間程度で昇温し、安定温度は1100〜1300℃、より好ましくは1150〜1250℃で、安定時間は0.5〜3時間程度とすれば良い。
湿式成形で成形体を得た場合、成形体を充分に乾燥させないまま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生する可能性がある。その場合、室温から100℃程度まで、例えば10℃/時間程度のゆっくりとした昇温速度にすることで、成形体を充分に乾燥し、クラック発生を抑制することが好ましい。また、界面活性剤(分散剤)等を添加した場合、100〜500℃程度の範囲で、例えば2.5℃/時間程度の昇温速度とすることで脱脂処理を行い、分散剤を充分に除去することが好ましい。
以上、フェライト焼結磁石の製造方法について説明したが、フェライト磁石粉末を製造する場合も、同様の工程を適宜採用することができる。本発明によるフェライト磁石粉末は、仮焼体から作製する場合と、焼結体から作製する場合の2つのプロセスが存在する。すなわち、仮焼体を粉砕し、これに必要な熱処理を施すことによりフェライト磁石粉末を得ることができる。また、焼結体を粉砕し、これに必要な熱処理を施すことによりフェライト磁石粉末を得ることもできる。つまり、フェライト磁石粉末としては、仮焼粉末、仮焼後に粉砕された粉末、仮焼および焼成を経た後に粉砕された粉末、いずれの形態も包含している。このフェライト磁石粉末は、ボンディッド磁石に供することができる。
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、および水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主組成がSr0.8La0.2Co0.15Fe11.8519となるように秤量した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1100〜1150℃で2.5時間保持する仮焼を行った。得られた仮焼粉を小型ロッド振動ミルで10分間粗粉砕した。
得られた粗粉砕粉に、主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を、また1.4wt%となるように炭酸カルシウム(CaCO3)を添加した。さらに、表1に示す添加物、0.5wt%のソルビトールを添加し、湿式ボールミルにて比表面積(BET値8.5m2/g)程度になるまで微粉砕を行った。得られた微粉砕スラリーの固形分濃度を70〜75%に調整し、湿式磁場成形機を使用して、12kOeの印加磁場中で直径30mm×厚み15mmの円柱状成形体を得た。成形体は大気中、室温にて充分に乾燥し、ついで大気中1180〜1220℃で1時間保持する焼成を行った。
得られた焼結体の中で、SrF2を添加したものについてはイオンクロマト法により各々F含有量を測定した。その結果を表1に示す。
次に、得られた焼結体の平均結晶粒径を測定した。この結果も表1に示す。
さらに、得られた焼結体について、飽和磁化(σs)、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。この結果も表1に示す。また、焼成温度毎の飽和磁化(σs)と残留磁束密度(Br)の関係を図1に示す。図1中の「ref.」は表1の添加物を含まない焼結体を示す。なお、飽和磁化(σs)は、VSM(Vibrating Sample Magnetometer:振動試料型磁力計)を用いて最大印加磁界20kOeで測定した磁化容易軸方向の磁化曲線及び磁化困難軸方向の磁化曲線に基づいて求めている。ただし、測定の便宜上、飽和磁化(σs)は磁化容易軸方向の磁化曲線上で最大の磁化の値とした。また、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)は、最大印加磁場25kOeのB−Hトレーサにて測定した。
表1に示すように、SrF2を添加したフェライト永久磁石から、F(フッ素)の残存が確認された。
また、表1より、SrF2を添加することにより結晶粒を微細化できるが、Al23を添加した場合に比べて微細化の程度は小さいことがわかる。
飽和磁化(σs)についてみると、Al23を添加すると飽和磁化(σs)は低下するのに対して、SrF2を添加しても飽和磁化(σs)は低下せずに向上することがわかる。
Figure 2006165364
次に、図1を参照すると、Al23添加によるフェライト永久磁石は、5000Oe程度の高い保磁力(HcJ)を得ることはできるが、残留磁束密度(Br)が4100G程度である。また、調整しうる残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の範囲が極めて狭く、磁気特性ポテンシャルが低い。これに対して、0.1wt%、0.3wt%SrF2を添加したフェライト永久磁石は、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)は、Al23添加によるフェライト永久磁石のそれよりも右上方に存在し、またその変動は直線的でかつ範囲が広い。そして、Fを90ppm、260ppm含有するフェライト永久磁石は、熱処理温度を調整することにより、4150G以上の残留磁束密度(Br)及び4700Oe以上の保磁力(HcJ)を得ることができる。
以上の通りであり、フッ素化合物であるSrF2添加を所定量添加することにより、磁気特性ポテンシャルが高く、かつ高保磁力(HcJ)のフェライト永久磁石を得ることができる。
実施例で得られたフェライト永久磁石の焼成温度毎の飽和磁化(σs)と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。 磁気特性ポテンシャルを説明するグラフである。

Claims (5)

  1. 六方晶M型フェライトを主成分とし、F:10〜400ppmを含むことを特徴とするフェライト永久磁石。
  2. 前記六方晶M型フェライトが下記の式(I)で表される組成を有することを特徴とする
    請求項1に記載のフェライト永久磁石。
    1-xx(Fe12-yMeyz19 …(I)
    ただし、AはSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含み、Rは希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含み、MeはCoであるかCo及びZnである。
    0.04≦x≦0.9
    0.04≦y≦1.0
    0.4≦x/y≦5.0
    0.7≦z≦1.2
  3. F:50〜300ppmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェライト永久磁石。
  4. 六方晶M型フェライトの原料粉末と、フッ素化合物:0.01〜0.45wt%を含む組成物を加圧成形して成形体を得る工程(a)と、
    前記成形体を所定温度で加熱保持して焼結体を得る工程(b)と、
    を備えることを特徴とするフェライト永久磁石の製造方法。
  5. 前記フッ素化合物がSrF2であることを特徴とする請求項4に記載のフェライト永久磁石の製造方法。
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