JP2006164644A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料極と空気極の間のガスの混合や短絡を好適に防止し得る新たな燃料電池を提供する。
【解決手段】 電解質層3を、中間電解質層3aと、該中間電解質層3aの両面に積層する外側電解質層3bとの三層構造として、該中間電解質層3aの外周縁を、両側の外側電解質層3b,3bの外周縁よりも内側に位置させて、中間電解質層3aの周囲で且つ両側の外側電解質層3bの外周部間に、進出溝部6を形成する。そして、電解質層3の周囲に、セパレータ10,10間に挟持される環状のガスケット14を配設し、該ガスケット14の内周縁部14aを電解質層3の進出溝部6に進出させて、該内周縁部14aの表裏面を両側の外側電解質層3bと密接させるようにした。かかる構成によれば、両電極間のガスの混合や短絡をガスケット14の内周縁部14aと外側電解質層3bの密接部分において好適に防止可能となる。
【選択図】 図3
【解決手段】 電解質層3を、中間電解質層3aと、該中間電解質層3aの両面に積層する外側電解質層3bとの三層構造として、該中間電解質層3aの外周縁を、両側の外側電解質層3b,3bの外周縁よりも内側に位置させて、中間電解質層3aの周囲で且つ両側の外側電解質層3bの外周部間に、進出溝部6を形成する。そして、電解質層3の周囲に、セパレータ10,10間に挟持される環状のガスケット14を配設し、該ガスケット14の内周縁部14aを電解質層3の進出溝部6に進出させて、該内周縁部14aの表裏面を両側の外側電解質層3bと密接させるようにした。かかる構成によれば、両電極間のガスの混合や短絡をガスケット14の内周縁部14aと外側電解質層3bの密接部分において好適に防止可能となる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電解質層の両面に一対のガス拡散電極を対向状に配設してなる発電体と、該発電体を挟持するセパレータとを備える燃料電池に関するものである。
燃料電池は、一般的に、電解質層と電極からなる発電体を備え、該発電体において、水素と酸素とを反応させて水を生成し、その際に生じる化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、クリーンで発電効率の高いシステムとして注目されている。
燃料電池は、タイプによって作動温度が異なり、その作動温度により用途が異なる。この中で100℃以下で作動する燃料電池は自動車や携帯電話での利用が期待されている。かかる燃料電池の殆どは、プロトン伝導膜であるイオン交換膜を電解質層に用いた固体高分子型燃料電池と呼ばれるものである。この固体高分子型燃料電池の中では、パーフルオロスルホン酸系のイオン交換膜を用いたものが最も開発が進んでいる。
図9,10は、一般的な固体高分子型の燃料電池41を示す断面図である。かかる燃料電池1は、発電体42と、該発電体42を挟持するセパレータ10,10とを具備してなる。発電体42は、イオン交換膜からなる電解質層43と、燃料極と空気極を形成する一対のガス拡散電極4,4とで構成される。ガス拡散電極4は、電池反応の触媒を担持する触媒層4aと、該触媒層4aへのガス供給路と導電路を形成するガス拡散層4bとからなるものであり、ホットプレス法などによって電解質層3の両面に対向状に接合する。各セパレータ10は導電性板状片からなる。このセパレータ10の中央部にはガス流路溝11が形成されており、セパレータ10は、このガス流路溝11をガス拡散電極4に当接させた状態で発電体2を挟持する。そして、このガス流路溝11を介して、燃料極側のガス拡散電極4に燃料ガス(水素)を供給し、空気極側のガス拡散電極4に空気(酸素)を供給することにより、電池反応が起こり、両極間に電位差が生じることとなる。なお、図示した燃料電池41は単位電池と呼ばれる最小構成のものであり、通常、この燃料電池(単位電池)41は複数積層されて燃料電池スタックを構成し、この燃料電池スタックにさらにガス供給装置や冷却装置等を装着した状態で作動する(特許文献1参照)。
ここで、上記燃料電池41の発電体42では、電解質層43をガス拡散電極4よりも広くしており、電解質層43によって、燃料極側と空気極側のガス拡散電極4とセパレータ10を隔絶し、電気的短絡や、両極に供給される燃料ガスと空気の混合を防止している。
また、図9の燃料電池41以外に、図11,12に示すような燃料電池51も提案されている(特許文献2参照)。かかる燃料電池51の発電体52では、電解質層53とガス拡散電極4は同形状でその外周縁を一致させており、発電体2の周囲に環状のガスケット54を配置することによって、両極のセパレータ10,10の間を電気的に絶縁している。
ところで、固体高分子型燃料電池に用いるパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜は高価であるため、かかるイオン交換膜を用いた燃料電池はコスト面で問題を抱えている。このため、近年は、同等の性能を発揮し得る燃料電池を、電解質層に低廉な無機系プロトン伝導材料を用いて製造する研究もなされている。有力な無機系プロトン伝導材料としては、ゾル‐ゲル多孔質ガラスやリン酸塩ハイドロゲル等が挙げられる(特許文献3,非特許文献1参照)。そして、上記固体高分子型燃料電池の発電体やセパレータの構造は、かかる無機系プロトン伝導材料を用いる燃料電池にも採用されている。
上述のように、従来の燃料電池では、電解質層やガスケット等によって、燃料極と空気極の間を電気的に絶縁すると共に、両極に供給されるガスが混合しないように遮蔽している。しかし、図9,10に示した、電解質層43によってセパレータ10,10全体を隔絶する構成にあっては、発電体42を挟持するセパレータ10の締め付け圧力が電解質層43に直接加わるため、比較的軟質な電解質層43が破損し易く、脆くなった部分からガス漏れや短絡が生じやすいという問題がある。また、ガス拡散電極4のガス拡散層4bには好適な触媒層4aを形成可能なカーボンペーパーが用いられているが、カーボンペーパーの外周縁(図10A部分)からはカーボン繊維の切断端部が多数飛び出ているため、電解質層43をガス拡散電極4より広くすると、電解質層43の、ガス拡散電極4の外周縁と接する部分が、かかる切断端部によって傷つき、傷ついた部分からガス漏れや短絡が生じることもある。
一方、図11,12に示した、発電体2の周囲にガスケット14を配置した構成にあっては、発電体52とガスケット54の間に界面が生じるため、該界面を介して燃料ガスと空気が混合しないように発電体52の外周縁にシール剤55を塗布している。しかし、かかる構成では、シール剤55を漏れなく塗付する作業が難しく、不良率が高いという欠点がある。また、塗付されたシール剤は、両極に供給されるガスの圧力に晒されるためシール性が劣化し易いという問題もある。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、発電体周縁での短絡やガス漏れを好適に防止し得る燃料電池の提供を目的とする。
本発明は、電解質層の両面に一対のガス拡散電極を対向状に配設してなる発電体と、該発電体を挟持するセパレータとを具備する燃料電池において、電解質層は、中間電解質層と、該中間電解質層の両面に積層する外側電解質層との三層構造からなり、該中間電解質層の外周縁は、両側の外側電解質層の外周縁よりも内側に位置し、中間電解質層の周囲で、且つ両側の外側電解質層の外周部間に、進出溝部が形成されたものであり、さらに、電解質層の周囲には、セパレータ間に挟持される環状のガスケットが配設されており、該ガスケットは、その内周縁部を電解質層の進出溝部に進出させて、該内周縁部の表裏面を、両側の外側電解質層と密接させていることを特徴とする燃料電池である。ここで、本発明に係る電解質層は、その外周縁の位置関係によって中間電解質層と外側電解質層との三層に区別されるものであり、各層の構成材料は三層で共通していても構わないし、層間の界面が明確である必要もない。
かかる構成にあっては、発電体の周囲に配置された環状のガスケットによって、セパレータ間を隔絶すると共に、電解質層を外周縁の大きさの異なる三層構造として、その外周側面に沿って進入溝部を形成し、この進入溝部に、電解質層の周囲に配置するガスケットの内周縁部を進入させて、該内周縁部の表裏面を外側電解質層と密接させることにより、電解質層とガスケットとを隙間なく接合し、電解質層とガスケットの界面を介して燃料極と空気極のガスが混合するのを防止する。かかる構成は、電解質層とガスケットが厚み方向で密接するものであるため、その密接状態をセパレータが発電体を挟持する締め付け圧力によって維持することが可能であり、ガス拡散電極に供給されるガスの圧力によってシール性が劣化し難い。また、外側電解質層とガスケットとの接合は、燃料電池の製造する際に、外側電解質層と中間電解質層とを接合して電解質層を形成する段階で、外側電解質層の外周部の間にガスケットの内周縁部を介装することによって容易に実現できるため、製造の手間が少なく、不良率を低下させることもできる。また、本発明にあっては、両極を結ぶ電解質層とガスケットの界面が、進入溝部に沿って屈曲するため、電解質層の厚みに対して該界面の沿面距離も長くなり、該界面を介したガスの通過を好適に抑えることも可能となっている。なお、本発明の燃料電池によれば、発電体の外周縁にシール剤を塗付しなくとも、該外周縁を介した両極間のガス混合を抑制できるが、本発明の構成にあって、さらに電解質層とガスケットとの間にシール剤を配することにより、シール性を更に向上させることも可能である。従って、このような、シール剤を配する構成も本発明に含めるものとする。
このように、本発明の燃料電池では、ガスケットと電解質層とを好適に密接させることにより、両極間のガス混合や短絡を防止するため、従来構造のように、電解質層をガス拡散電極よりも広くして、電解質層43によってセパレータ10,10全体を隔絶することを要しない。従って、セパレータの締め付け圧力によって電解質層が破損することもなく、また、カーボンペーパー外周縁から突出するカーボン繊維の切断端部によって電解質層が傷つく問題も生じない。すなわち、本発明の燃料電池は、カーボンペーパーからなるガス拡散層と、該ガス拡散層の一面に形成され、電解質層と接合する触媒層とで構成されることが望ましい。
なお、外側電解質層と中間電解質層には、種々のプロトン伝導膜を用いることが可能である。すなわち、上述したイオン交換膜や、リン酸塩ハイドロゲルやゲル結晶複合体、ゾルゲルガラス等を用い得る。また、これらの他に、発明者はリン酸ジルコニウム二水和物に代表されるプロトン伝導性のリン酸塩水和物結晶を主材料とするプロトン伝導膜も有用であることを見出しており、本発明は、かかるプロトン伝導膜を外側電解質層や中間電解質層に用いたものも含める。なお、このプロトン伝導膜は、リン酸塩水和物結晶の粉体とフッ素樹脂系の結着剤とを含有する懸濁液を基材上で膜状に成形・乾燥することにより得られるものであり、好適なプロトン伝導性を示すと共に、低廉に製造できるという利点がある。
また、本発明に係るガスケットは、緻密性、弾力性や、締め付け圧力に耐え得る機械的安定性、耐腐食性等を有するものが望ましく、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEという)等のフッ素系樹脂からなるものを用いることが望ましい。
一方、ガスケットの内周域に位置する中間電解質層は、ガスケットよりも硬質であると、セパレータから加わる締め付け圧力が電解質層の中央部に強く加わり、電解質層が破損し易くなると共に、ガスケットと外側電解質層との密接が不十分となり、ガスケットと電解質層の界面をガスが透過し易くなる。従って、中間電解質層はガスケットよりも軟質であることが望ましい。なお、かかる場合には、中間電解質層を、上述したリン酸塩分子鎖を分散相とするリン酸塩ハイドロゲルを主材とすることが望ましい。かかるリン酸塩ハイドロゲルは、軟質であり、薄膜状に成形容易であると共に、低廉で且つ高いプロトン伝導性を有するという利点があるためである。
なお、中間電解質層にリン酸塩ハイドロゲルを用いた場合には、外側電解質層として、リン酸塩水和物結晶を主材料とするプロトン伝導膜を用いることが望ましい。かかるプロトン伝導膜は、リン酸塩ハイドロゲルと比べて硬質であり、またリン酸塩ハイドロゲルとの親和性が高いため、中間電解質層と外側電解質層を一体的に接合可能で、界面での接触抵抗を低減できるからである。
以上に述べたように、本発明は、電解質層が、中間電解質層と、該中間電解質層の両面に積層する外側電解質層との三層構造からなり、該中間電解質層の外周縁は、両側の外側電解質層の外周縁よりも内側に位置し、中間電解質層の周囲で、且つ両側の外側電解質層の外周部の間に、進出溝部が形成されたものであり、さらに、電解質層の周囲には、セパレータ間に挟持される環状のガスケットが配設されており、該ガスケットは、その内周縁部を電解質層の進出溝部に進出させ、該内周縁部の表裏面を、両側の外側電解質層と密接させていることを特徴とする燃料電池であるから、ガスケットの内周縁部と外側電解質層との密接部分により、両極間の短絡とガス漏れを確実に防止することができる。特に、本発明にあっては、ガスケットと外側電解質層との密接状態は、セパレータからの締め付け圧力により保持できるため、シール性が劣化し難いという利点がある。また、かかる構造は、ガスケットと外側電解質層との重ね合わせによって容易に作製可能であるため、製造コストを抑制できると共に、不良率が低減することにより生産管理も簡易化できる。
ここで、ガス拡散電極が、カーボンペーパーからなるガス拡散層と、該ガス拡散層の一面に形成されて、電解質層と接合する触媒層とで構成される場合には、外周縁から突出するカーボン繊維によって短絡やガス漏れを生じるといったカーボンペーパーの問題点が、本発明の構成では問題とならないため、カーボンペーパーの長所を活かした優れた燃料電池を実現できる。
また、中間電解質層がガスケットよりも軟質である場合には、電解質層の中央部に強い圧力を加えることなく、外側電解質層とガスケットとを好適に密接させることができる。
本発明の燃料電池の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の一実施例の燃料電池(単位電池)1を示す断面図及び分解斜視図である。本実施例の燃料電池1は、電解質層3の両面に一対のガス拡散電極4を配設してなる矩形の発電体2と、該発電体2の周囲を囲繞する環状のガスケット14と、該発電体2を挟持する一対のセパレータ10,10とで構成される。この燃料電池1は最小構成のものであり、通常は、これを複数積層することにより燃料電池スタックを構成し、該燃料電池スタックにガス供給装置から燃料ガス(例えば水素)と空気を供給することにより発電を行う。なお、燃料電池スタックの構成やガス供給装置等は既存の固体高分子型燃料電池用の構成を適用できる。
セパレータ10,10は、水素非透過性カーボンを矩形に切削加工してなるものであり、その周縁部には、ガス供給・排出用の4つのマニホールド12,12と、位置決め孔13が形成される。燃料電池1は、この位置決め孔13に図示しない位置決め用の杆を挿通した状態で上下方向から締め付けられる。また、各セパレータ10の、発電体2と当接する部分には、発電体2のガス拡散電極4を嵌めこむための矩形の装着凹部15が形成され、該装着凹部15の底面には蛇行するガス流路溝11が形成される。このガス流路溝11は、二つのマニホールド12,12を連通し、一方のマニホールド12から燃料ガス又は空気を取り込んでガス拡散電極4に供給すると共に、反応済みのガスを他方のマニホールド12へ排出する働きをする。なお、かかるセパレータ10,10は、固体高分子型燃料電池に用いられる従来構成のセパレータを好適に用いることができる。例えば、カーボン製のセパレータに替えて既存の金属製セパレータ等も使用可能である。
発電体2は、図3〜5に示すように、電解質層3(3a,3b)の両面にシート状のガス拡散電極4,4を対向状に接合してなる矩形の積層体であり、その周囲には環状のガスケット14が組み付けられる。ガス拡散電極4は、電池反応の触媒を担持する触媒層4aと、該触媒層4aへのガス供給路と導電路を形成するガス拡散層4bとからなる。このガス拡散電極4に関しては、既存の固体高分子型燃料電池用のガス拡散電極を用いることができる。すなわち、ガス拡散層4bはカーボンペーパーにより構成でき、また、触媒層4aは触媒を担持する導電体や撥水剤、結着剤等により構成できる。そして、触媒層4aの構成材料の混合物をカーボンペーパーの表面に膜状成形することにより、ガス拡散電極4を製造することができる。なお、電池反応の反応効率を向上させるため、触媒層4aには、外側電解質層3bを構成するプロトン伝導材料を混合し、電解質層3との界面を三次元的に増大させることが望ましい。
電解質層3は、表裏に位置する外側電解質層3b,3bと、該外側電解質層3bの間に介在する中間電解質層3aとからなる三層構造をなす。両側の外側電解質層3b,3bは、ガス拡散電極4と同形状のプロトン伝導膜であり、各ガス拡散電極4の触媒層4a表面に、その外周縁を一致させた状態で密着する。中間電解質層3aは、外側電解質層3bよりも四辺の短い矩形のプロトン伝導膜からなり、その外周縁を、両側の外側電解質層3bの外周縁よりも内側に位置させるようにして、外側電解質層3b,3bと接合する。そして、中間電解質層3aの外周縁より外側に突出する外側電解質層3bの外周部と、中間電解質層3aの側面とにより、断面コ字状をなす進出溝部6が電解質層3の外周に沿って形成される。
本実施例の中間電解質層3aは、リン酸塩ハイドロゲル又は、該ハイドロゲル中にリン酸塩水和物結晶が析出したゲル結晶複合体を主材とするプロトン伝導膜を用いる。ここで中間電解質層3aに高いプロトン伝導性を発揮させるためには、リン酸塩ハイドロゲルに、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンのいずれかを含有させることが望ましく、また、リン酸をP2O5換算で40〜60mol%の範囲内で含有させることが望ましい。
また、外側電解質層3bには、層状構造を有するリン酸塩水和物結晶と結着剤とを主材料とするプロトン伝導膜を用いる。利用可能なリン酸塩水和物結晶としては、Ca(H2PO4)2・H2OやCa3H2(P2O7)2・4H2O,Mg(H2PO4)2・H2O,Mg3H2(P2O7)2・4H2O,Zn2P2O7・3H2O,ZnHPO4・3H2O,Zr(HPO4)2・2H2O,Ti(HPO4)2・H2O,Ti(HPO4)2・2H2Oなどが挙げられる。また、リン酸塩水和物結晶に替えて、ゾルゲルガラスの粉末を用いることも可能である。また、結着剤は、PTFE等のフッ素樹脂系結着剤を用いることが望ましい。なお、本実施例のプロトン伝導膜に限らず、本発明の中間電解質層や外側電解質層には既存のパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜を用いることもできる。
ガスケット14は、前記中間電解質層3aと同じ厚みのPTFE製薄板よりなり、その中央には中間電解質層3aが内嵌する矩形の内周域が形成されている。そして、このガスケット14は、その外周縁形状をセパレータ10と一致させており、図4に示すように、燃料電池1への組付状態において、ガスケット14が発電体2の周囲でセパレータ10,10の間に介在し、セパレータ10,10と発電体2とを適当な力で圧接させると共に、両セパレータ10,10の間を電気的に絶縁する。ここで、本実施例のガスケット14は、その内周縁部14aを電解質層3の進出溝部6へ進出させて、該内周縁部14aの表裏面を、対向する外側電解質層3b,3bの外周部と密接させている。このガスケット14と外側電解質層3bの密接は、セパレータ10,10の締め付け圧力によって好適に保たれる。
このように、本実施例の燃料電池1では、ガスケット14の内周縁部14aと外側電解質層3bとが密接することによって、電解質層3とガスケット14とが隙間なく接合するため、電解質層3とガスケット14の界面を介して、燃料極と空気極のガスが混合したり両極間が電気的に短絡するのを防止できる。ここで、外側電解質層3bとガスケット14とは表裏面で密接しているため、その密接状態はセパレータ10,10からの締め付け圧力によって維持することができ、ガス拡散電極4のガス圧によってもシール性が劣化し難い。また、本実施例では、電解質層3とガスケット14との界面が平面ではなく進出溝部6に沿って断面コ字状となっているため、燃料極と空気極との間の沿面距離を稼ぐこともでき、かかる点においてもガスの混合や短絡が生じ難くなっている。また、セパレータ10,10の外周部の間は、電解質層3よりも強靭なガスケット14で絶縁されるため、セパレータ10,10の締め付け圧力によって破損する危険性も少ない。また、ガス拡散電極4の外周縁の間にも、ガスケット14が介装されているため、ガス拡散電極4の外周縁でカーボン繊維の切断端部によって電解質層3が傷ついたとしてもガス漏れや短絡が生じ難い。
なお、本発明の実施形態は、上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、実施例の外側電解質層3bとガス拡散電極4は外周縁を一致させているが、その外周縁を一致させる必要はない。また、実施例の燃料電池1は、燃料極側と空気極側で対称構造をなしており両極を差別化していないが、本発明は、セパレータやガス拡散電極、外側電解質層等の構成を燃料極側と空気極側とで非対称にしたものを排除しない。また、セパレータ10やガスケット14の構造も実施例に限らず、例えば、図6に示す変形例のように、ガスケット14とセパレータ10の間に、別のガスケット16を介在させた構成にすることも可能である。さらに、実施例では明示していないが、セパレータ10とガスケット14との接合面や、ガスケット14の内周縁部14aと電解質層3との接合面に、シリコングリス等の封入剤を塗付することにより、シール性をより高めることが可能であり、かかる実施形態も本発明に含めるものとする。
次に本発明の燃料電池の一製造方法を説明する。なお、かかる製造方法により製造する燃料電池は、リン酸塩水和物結晶と結着剤を主材とするプロトン伝導膜を外側電解質層に用い、リン酸塩ハイドロゲルを主材とするプロトン伝導膜を中間電解質層に用いたものである。
この製造方法は、ガス拡散電極4と外側電解質層3bとが接合してなる半接合体5を製造する工程と、製造した二つの半接合体5をリン酸塩ハイドロゲルやガスケット、セパレータ等に組み付けて燃料電池1を製造する工程とからなる。
半接合体5を製造する工程は、まず、外側電解質層3bの構成材料、すなわちリン酸塩水和物結晶とフッ素樹脂系の結着剤を含有する懸濁液を作製する。そして、これをスクリーン印刷や塗装、ロール、ドクターブレード等の方法によって、触媒層4a表面に薄層状に形成した後、熱処理や凍結乾燥、蒸発除去等の方法によって溶媒を除去することにより、リン酸塩水和物結晶と結着剤からなる外側電解質層3bがガス拡散電極4の触媒層4aに密着した半接合体5を得る。
なお、上記のように外側電解質層3bをリン酸塩水和物結晶と結着剤とで構成する場合、リン酸塩水和物結晶の混合比率が高いほどプロトン伝導性が向上し、結着剤の混合比率が高いほど機械的強度が向上する。リン酸塩水和物結晶と結着剤の好適な混合比率は材料によって変化するため一意にには決定されないが、一般的には、リン酸塩水和物結晶と結着剤の構成比率を質量比で3:1〜100:1の範囲にすることが望ましい。
そして、上記半接合体5を用いて、図7,8に示すようにして発電体2及び燃料電池1を製造する。すなわち、まず、各セパレータ10の装着凹部15に、半接合体5を、そのガス拡散電極4側を接するようにして装着する(図7a,7b)。そして、半接合体5を装着したセパレータ10の一方を、外側電解質層3bを上向きして載置し、外側電解質層3bの上面全体にペースト状のペースト状のリン酸塩ハイドロゲルpを配置する(図7c)。さらに、ペースト状のリン酸塩ハイドロゲルpの周囲にガスケット14を配置する(図8d)。そして、このペースト状のリン酸塩ハイドロゲルpが配置されたセパレータ10に、半接合体5を装着した他方のセパレータ10を上方から重ねる。この重ね合わせ状態では、二つの半接合体5の外側電解質層3b同士が、リン酸塩ハイドロゲルpを介して対向状に重なるようにする。これにより、ペースト状のリン酸塩ハイドロゲルpは変形して、余剰のリン酸塩ハイドロゲルpが半接合体5の間から押し出され、残ったリン酸塩ハイドロゲルpが外側電解質層3b,3bの間に充填されて、ガスケット14の内側に、外側電解質層3bより小さい中間電解質層3aを形成する。そして、二つの半接合体5,5が中間電解質層3aを介して接合した発電体2が製造されると共に、該発電体2は、セパレータ10,10とガスケット14に組み付けられて燃料電池1が製造されることとなる(図8e)。
なお、かかる燃料電池1の製造方法は、半接合体5,5とガスケット14、リン酸塩ハイドロゲルpを、直接セパレータ10,10で挟持することにより、燃料電池1を製造するものであるが、半接合体5,5とガスケット14およびリン酸塩ハイドロゲルpを、成形型を用いて組み付けて、発電体2とガスケット14とが一体となった構造体を作製し、その後に該構造体をセパレータ10,10で挟持することにより、燃料電池1を作製することも可能である。また、上記製造方法は、リン酸塩水和物結晶と結着剤を主材とするプロトン伝導膜を外側電解質層に用い、リン酸塩ハイドロゲルを主材とするプロトン伝導膜を中間電解質層に用いた燃料電池1に適するものであるが、中間電解質層3aや外側電解質層3bを構成するプロトン伝導膜が異なる場合には、その物性に応じて上記製造方法を適宜変更することにより、本発明の燃料電池を製造することができる。
1,41,51 燃料電池(単位電池)
2,42,52 発電体
3,43,53 電解質層
3a 中間電解質層
3b 外側電解質層
4 ガス拡散電極
4a 触媒層
4b ガス拡散層
5 半接合体
6 進出溝部
10 セパレータ
11 ガス流路溝
12 マニホールド
13 位置決め孔
14,16,54 ガスケット
14a 内周縁部
15 装着凹部
55 シール剤
2,42,52 発電体
3,43,53 電解質層
3a 中間電解質層
3b 外側電解質層
4 ガス拡散電極
4a 触媒層
4b ガス拡散層
5 半接合体
6 進出溝部
10 セパレータ
11 ガス流路溝
12 マニホールド
13 位置決め孔
14,16,54 ガスケット
14a 内周縁部
15 装着凹部
55 シール剤
Claims (3)
- 電解質層の両面に一対のガス拡散電極を対向状に配設してなる発電体と、該発電体を挟持するセパレータとを具備する燃料電池において、
電解質層は、中間電解質層と、該中間電解質層の両面に積層する外側電解質層との三層構造からなり、
該中間電解質層の外周縁は、両側の外側電解質層の外周縁よりも内側に位置し、中間電解質層の周囲で、且つ両側の外側電解質層の外周部の間に、進出溝部が形成されたものであり、
さらに、電解質層の周囲には、セパレータ間に挟持される環状のガスケットが配設され、
該ガスケットは、その内周縁部を電解質層の進出溝部に進出させて、該内周縁部の表裏面を、両側の外側電解質層と密接させていることを特徴とする燃料電池。 - ガス拡散電極は、カーボンペーパーからなるガス拡散層と、該ガス拡散層の一面に形成され、電解質層と接合する触媒層とで構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 中間電解質層が、ガスケットよりも軟質であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-12-03 JP JP2004351892A patent/JP2006164644A/ja active Pending
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