JP2006161894A - 流体式トルク伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 流体式トルク伝達装置において、部材をトランスミッションの入力シャフトに組み付ける際の作業性を向上させる。
【解決手段】 トルクコンバータ1は、トランスミッションのメインドライブシャフト71と、フロントカバー2と、インペラー10と、タービン11と、ロックアップ用ピストン41とを備えている。インペラー10は、フロントカバー2とともに流体室を形成する。タービン11は、流体室内でインペラー10に対向して配置され、メインドライブシャフト71にトルクを出力する。ロックアップ用ピストン41は、油圧によって移動可能であり、メインドライブシャフト71によって軸方向及び回転方向に移動可能に支持されている。メインドライブシャフト71は、ピストン41からトルクが入力されるスプライン歯71aと、それより軸方向トランスミッション側に配置されピストン41を支持する支持外周面71bとを有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 トルクコンバータ1は、トランスミッションのメインドライブシャフト71と、フロントカバー2と、インペラー10と、タービン11と、ロックアップ用ピストン41とを備えている。インペラー10は、フロントカバー2とともに流体室を形成する。タービン11は、流体室内でインペラー10に対向して配置され、メインドライブシャフト71にトルクを出力する。ロックアップ用ピストン41は、油圧によって移動可能であり、メインドライブシャフト71によって軸方向及び回転方向に移動可能に支持されている。メインドライブシャフト71は、ピストン41からトルクが入力されるスプライン歯71aと、それより軸方向トランスミッション側に配置されピストン41を支持する支持外周面71bとを有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、流体式トルク伝達装置、特に、ロックアップ用ピストンを有する装置に関する。
トルクコンバータは、3種の羽根車(インペラー,タービン,ステータ)を内部に有し、内部の作動油を介してトルクを伝達する流体式トルク伝達装置である。インペラーは入力側回転体としてのフロントカバーに固定されている。タービンは流体室内でインペラーに対向して配置されている。インペラーが回転すると、インペラーからタービンに作動油が流れ、タービンを回転させることでトルクを出力する。
ロックアップ装置は、タービンとフロントカバーとの間の空間に配置されており、フロントカバーとタービンを機械的に連結することでフロントカバーからタービンにトルクを直接伝達するための機構である。
通常、このロックアップ装置は、フロントカバーに押し付けられることが可能な円板状のピストンと、ピストンの外周部に固定されるリティーニングプレートと、リティーニングプレートにより回転方向及び外周側を支持されるトーションスプリングと、トーションスプリングの両端を回転方向に支持するドリブンプレートとを有している。ドリブンプレートはタービンのタービンシェル等に固定されている。
ロックアップ装置が連結状態になると、トルクはフロントカバーからピストンに伝達され、さらにトーションスプリングを介してタービンに伝えられる。また、ロックアップ装置に捩じり振動が入力されると、トーションスプリングがリティーニングプレートとドリブン部材との間で回転方向に圧縮され、捩り振動を吸収・減衰する(例えば、特許文献1を参照。)。
前述したロックアップ装置は、以下の2点の問題を有している。
第1に、タービンハブはトランスミッションのメインドライブシャフトに対してスプライン係合しており、軸方向に移動可能である。そのため、フロントカバーとタービンとの間には、タービンハブからのスラスト荷重を受けるためのスラストワッシャが配置されている。スラストワッシャでは摺動抵抗が生じるため、ロックアップ装置のダンパー機構の捩り振動減衰特性に悪影響を与えている。
第1に、タービンハブはトランスミッションのメインドライブシャフトに対してスプライン係合しており、軸方向に移動可能である。そのため、フロントカバーとタービンとの間には、タービンハブからのスラスト荷重を受けるためのスラストワッシャが配置されている。スラストワッシャでは摺動抵抗が生じるため、ロックアップ装置のダンパー機構の捩り振動減衰特性に悪影響を与えている。
第2に、ピストンはタービンハブによって半径方向に位置決めされている。言い換えると、ピストンの内周面はタービンハブの外周面によって軸方向及び回転方向に移動可能となるように支持されている。このような構造では、ピストンの内径を十分に小さくできず、その結果ピストンの受圧面積が十分に大きくない。このため、ロックアップ装置における伝達トルク容量が十分でない。
以上に述べた問題点を解決するために、ピストンの支持をトランスミッションのメインドライブシャフトで行わせた構造が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。この構造では、タービンハブとフロントカバーとの間で摺動抵抗が発生する問題が解消され、さらに、ロックアップを行うピストンの受圧面積を十分に確保することができる。
特開平3-10455号公報
特開2001-355703号公報
前記従来のトルクコンバータでは、メインドライブシャフトの先端側外周面には、ピストンの内周面を支持するための支持部が形成されている。支持部には環状の溝が形成されており、そこにOリング等のシール部材が配置されている。さらに、メインドライブシャフトの外周面には、支持部の軸方向トランスミッション側において、タービンハブが係合するスプライン歯が形成されている。
以上の構造において、メインドライブシャフトにタービンハブ及びロックアップ用ピストンを組み付ける際には、最初にタービンハブが支持部を通過してメインドライブシャフトのスプライン歯に係合する。そのため、タービンハブのスプライン溝が支持部のシール部材に接触して傷つけることがあり得る。
本発明の課題は、ピストンの受圧面積を増やした流体式トルク伝達装置において、部材をトランスミッションの入力シャフトに組み付ける際の作業性を向上させることにある。
請求項1に記載の流体式トルク伝達装置は、エンジンからのトルクを伝達するためのものであって、トランスミッションの入力シャフトと、フロントカバーと、インペラーと、タービンと、ロックアップ用ピストンとを備えている。フロントカバーは、エンジンからトルクが入力される。インペラーは、フロントカバーとともに流体室を形成する。タービンは、流体室内でインペラーに対向して配置され、入力シャフトにトルクを出力する。ロックアップ用ピストンは、油圧によって移動可能であり、入力シャフトによって軸方向及び回転方向に移動可能に支持されている。入力シャフトは、ピストンからトルクが入力される第1部分と、第1部分より軸方向トランスミッション側に配置されピストンを支持する第2部分とを有している。
この装置では、ピストンが入力シャフトによって支持されているため、従来より受圧面積が増大している。さらに、入力シャフトの第2部分が第1部分より軸方向トランスミッション側に配置されているため、ピストンからのトルク出力部分が入力シャフトに組み付けられる際にトルク出力部分が第2部分を通過することはない。したがって、第2部分に配置されたシール部材が破損しない。
ピストンとは、油圧によって軸方向移動可能な部材をいい、1つの部材であっても良いし、互いに固定された複数の部材であってもよい。また、ピストンは、タービンシェルから完全に離れた部材でも良いし、タービンシェルに固定された部材でも良いし、タービンシェルそのものでも良い。
請求項2に記載の流体式トルク伝達装置では、請求項1において、第2部分の外径は第1部分の外径より大きい。
この装置では、ロックアップ用ピストンが第1部分を通過する際に、両者が接触しにくい。
本発明に係る流体式トルク伝達装置では、入力シャフトに対してロックアップ用ピストンを組み付ける作業が容易になる。
(1)構成
図1は本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータ1を示している。図1において、トルクコンバータ1は、主に、フロントカバー2と、フロントカバー2と同心に配置された3種の羽根車(インペラー10、タービン11、ステータ12)からなるトーラス形状の流体作動室3と、フロントカバー2とタービン11との軸方向間の空間に配置されたロックアップ装置4とから構成されている。フロントカバー2とインペラー10のインペラーシェル15は外周部が溶接により固定されており、両者で作動油が充填された流体室を形成している。
図1は本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータ1を示している。図1において、トルクコンバータ1は、主に、フロントカバー2と、フロントカバー2と同心に配置された3種の羽根車(インペラー10、タービン11、ステータ12)からなるトーラス形状の流体作動室3と、フロントカバー2とタービン11との軸方向間の空間に配置されたロックアップ装置4とから構成されている。フロントカバー2とインペラー10のインペラーシェル15は外周部が溶接により固定されており、両者で作動油が充填された流体室を形成している。
トランスミッションのメインドライブシャフト71は、先端側外周面にスプライン歯71aを有している。メインドライブシャフト71は、さらに、スプライン歯71aの軸方向トランスミッション側に隣接した支持外周面71bを有している。支持外周面71bは軸方向にストレートに延びる断面を有している。図2に示すように、支持外周面71bの外径R1はスプライン歯71aの外径R2より大きい。
フロントカバー2は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)からトルクが入力される部材である。フロントカバー2は主に円板状の本体5から構成されている。本体5の中心にはセンターボス6が固定されている。本体5の外周部エンジン側面には複数のナット7が固定されている。本体5の外周部には軸方向トランスミッション側に延びる外周筒状部8が一体に形成されている。
フロントカバー2の本体5の内側で外周部には環状かつ平坦な摩擦面70が形成されている。摩擦面70は軸方向トランスミッション側を向いている。
流体作動室3は流体室内で軸方向トランスミッション側に配置されている。これにより、流体室内は、流体作動室3と、フロントカバー2の本体5とタービン11との間に形成された空間とに分かれている。
インペラー10は、インペラーシェル15と、インペラーシェル15の内側に固定された複数のインペラーブレード16と、インペラーシェル15の内周縁に固定されたインペラーハブ18とから構成されている。インペラーブレード16は、従来に比べて半径方向寸法が大幅に短く、インペラーシェル15の外周側部分に固定されている。
タービン11は流体室内でインペラー10に対向して配置されている。タービン11は、タービンシェル20と、タービンシェル20に固定された複数のタービンブレード21とから構成されている。
ステータ12は、インペラー10の内周部とタービン11の内周部との間に配置されている。ステータ12はタービン11からインペラー10へと戻る作動油を整流し、トルクコンバータ1におけるトルク増幅作用を実現するための機構である。このトルク増幅作用によって、発進時に優れた加速性能が得られる。ステータ12は、ステータキャリア27と、その外周面に設けられた複数のステータブレード28とから構成されている。
ステータキャリア27はワンウェイクラッチ29を介してステータシャフト72に支持されている。ステータシャフト72は、メインドライブシャフト71の周りに配置された筒状の部材である。ステータキャリア27は、従来に比べて半径方向に長く延び、軸方向エンジン側の面27aが全体にわたって凹んだ形状になっている。具体的には、ステータキャリア27の軸方向エンジン側の面27aの半径方向中間部分は、ステータブレード28の入口側面の外周側部分はもとよりその内周側部分より軸方向トランスミッション側に位置しており、当然、流体作動室3の軸方向中心位置C1より軸方向トランスミッション側に位置している。
また、タービンシェル20の内周側部分20a(タービンブレード21が固定されていない部分)はステータキャリア27に沿って軸方向に湾曲しており、その部分は流体作動室3の軸方向中心位置C1より軸方向トランスミッション側に位置している。タービンシェル20の内周側部分20aは、インペラー10とタービン11の軸方向中心位置C1に近接しており、軸方向トランスミッション側に十分に寄っているため、トルクコンバータ1の内周部の軸方向寸法を十分に短くできる。さらに具体的には、タービンシェル20の内周側部分20aは、インペラー10とタービン11の軸方向中心位置C1よりインペラー10側に位置しており、軸方向トランスミッション側に十分に寄っているため、トルクコンバータ1の内周部の軸方向寸法を十分に短くできる。以上のようにステータキャリア27及びタービンシェル20を軸方向トランスミッション側に大きく湾曲させて、軸方向エンジン側を向いた凹部を形成することで、流体作動室3の内周側、特にタービン11に相当する部分の内周側に、後述のダンパー機構42のためのスペースが確保されている。
フロントカバー2の内周部とドリブン部材51(後述)との軸方向間には、半径方向に作動油が連通可能な第1ポート66が形成されている。第1ポート66は、メインドライブシャフト71内に設けられた油路61と、フロントカバー2とピストン41の間の空間とを連通させている。
ピストン41の内周部41cとワンウェイクラッチ29との間にはスラストベアリング33が配置されている。スラストベアリング33では、半径方向両側を作動油が流通可能となっている。ピストン41の内周部41cとステータ12の内周部(具体的にはワンウェイクラッチ29)との間には、半径方向両側に作動油が連通可能な第2ポート67が形成されている。すなわち、第2ポート67は、メインドライブシャフト71及びステータシャフト72との間の油路62と、流体作動室3とを連通させている。
ステータキャリア27とインペラーハブ18との軸方向間には、スラストベアリング34が配置されている。スラストベアリング34では、半径方向両側を作動油が流通可能となっている。ステータ12(具体的にはステータキャリア27)とインペラー10との軸方向間には、半径方向両側に作動油が連通可能な第3ポート68が形成されている。すなわち、第3ポート68は、ステータシャフト72及びインペラーハブ18との間の油路63と、流体作動室3とを連通させている。
なお、各油路61〜63は、図示しない油圧回路に接続されており、独立して第1〜第3ポート66〜68に作動油の供給・排出が可能となっている。
ロックアップ装置4は、フロントカバー2の本体5とタービン11との軸方向間に形成された環状の空間内に配置され、空間内の油圧変化によってフロントカバー2とタービン11とを機械的に連結・連結解除するための装置である。ロックアップ装置4は、空間内で油圧変化によって作動するピストン機能と、回転方向の捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。ロックアップ装置4は、主に、ピストン41とダンパー機構42とから構成されている。ピストン41は空間内においてタービン11側に近接して配置された円板状の板部材である。ピストン41の外周部は、フロントカバー2の摩擦面70の軸方向トランスミッション側に配置された摩擦連結部49となっている。摩擦連結部49は、環状かつ平坦な板状部分であり、軸方向エンジン側に環状の摩擦フェーシング46が貼られている。
ピストン41は、外周部から半径方向中間部41bまでがタービンシェル20の形状に沿って湾曲するように形成されており、わずかな隙間を介してタービンシェル20の近傍に配置されている。
ピストン41は内周面がメインドライブシャフト71によって支持されている。より具体的には、ピストン41の内周縁には軸方向トランスミッション側に延びる内周側筒状部41aが形成されており、内周側筒状部41aがメインドライブシャフト71の支持外周面71bによって回転方向及び軸方向に移動可能に支持されている。支持外周面71bには環状の溝が形成され、その溝内にOリング等を含むシールリング44が配置されている。シールリング44は、内周側筒状部41aの内周面に当接し、ピストン41の内周縁を軸方向にシールしている。なお、ピストン41の内径R3は、従来より大幅に小さく、支持外周面71bの外径R1とほぼ等しく、スプライン歯71aの外径R2より大きい。
ピストン41の半径方向中間部41bは、タービンシェル20の内周側部分20aに沿って軸方向トランスミッション側に突出しており、軸方向エンジン側を向く凹部を形成している。半径方向中間部41bは複数のリベット32によってタービンシェル20の内周側部分20aに固定されている。このように絞り加工によって軸方向トランスミッション側に突出させられた半径方向中間部41bを有することで、ピストン41の剛性が高くなっている。つまり、ピストン41のロックアップ連結動作時の耐油圧強度が十分に高くなる。
ダンパー機構42は、ピストン41からのトルクをメインドライブシャフト71に伝達すると共に、捩じり振動を吸収・減衰するための機構である。ダンパー機構42は、ピストン41の半径方向中間部41b及び内周部41cとフロントカバー2の内周部との間に配置されている。ダンパー機構42は、主に、ドライブ部材50と、ドリブン部材51と、トーションスプリング52とから構成されている。
ドライブ部材50は、トーションスプリング52に対してトルクを入力するための駆動部材であって、さらにトーションスプリング52をピストン41に保持する機能を有している。ドライブ部材50は、軸方向に間隔を空けて配置された、軸方向エンジン側の第1プレート部材53と軸方向トランスミッション側の第2プレート部材54とから構成されている。両部材53,54は外周部分が複数のリベット31によって固定されている。また、両部材53,54は軸方向外側に切り起こされた複数の窓部53a,54aを有している。第2プレート部材54の内周部54bは第1プレート部材53よりさらに半径方向内側に延び、複数のリベット32によってピストン41の内周部分に固定されている。
トーションスプリング52は、捩り振動を吸収するための弾性部材であって、例えばコイルスプリングからなる。トーションスプリング52は、円周方向に並んで複数配置されている。トーションスプリング52は、窓部53a、54a内に配置されている。
ドリブン部材51は、環状のプレート部材であり、外周部が部材53,54の軸方向間に配置されている。ドリブン部材51の外周部には、窓部53a、54aに対応する位置に窓孔51aが形成されている。ドリブン部材51の内周部は筒状のハブ51bとなっており、中心孔がメインドライブシャフト71のスプライン歯71aに係合するスプライン孔51bとなっている。また、ドリブン部材51の半径方向中間部分には、軸方向に貫通する円周方向に並んだ複数の孔51dが形成されている。孔51dは、リベット32をかしめる作業時に利用される。さらに、ハブ51bとフロントカバー2の内周部との間には軸方向に隙間が確保されており、この隙間はロックアップ装置4のクラッチオン・オフにかかわらず確保されている。つまり、ドリブン部材51はフロントカバー2に対して回転方向に摺動することはない。この結果、不要なヒスが低減され、捩り振動減衰性能が向上する。
トーションスプリング52は、窓部53a、54a及び窓孔51a内に配置され、円周方向両端が各部分によって支持されている。このようにトーションスプリング52がタービンシェル20によって支持されていないため、タービンシェル20に摩耗対策のために熱処理等を施す必要がない。そのため、タービンブレード21をタービンシェル20に固定する際にロー付けを行うことができる。
トーションスプリング52は流体作動室3の内周側に配置されている。より正確には、トーションスプリング52の外周側縁は、流体作動室3の内周側縁(ステータキャリア27の外周面)より内周側に位置している。また、トーションスプリング52は、ピストン41の凹部である半径方向中間部41bに対応して配置されており、流体作動室3の内周側に一部が入り込んでいる。具体的には、トーションスプリング52の軸方向トランスミッション側縁は、タービン11のタービンブレード21の軸方向トランスミッション側縁を越えてトーラスの軸方向中心位置C1に近接している。
以上より、トーションスプリング52は、トルクコンバータ1全体の軸方向寸法を大きくすることなく、コイル径が従来に比べて大幅に大きくなっている。このようにトーションスプリング52のコイル径を大きくできることで、トーションスプリング52の性能を向上させることが容易になる。この結果、トルクコンバータ1のトーラスによる流体トルク伝達を車輌の発進時のみに利用し、その後はロックアップ装置4を連結させた機械トルク伝達状態で使用することが可能となる。
(2)動作
次に、動作について説明する。
次に、動作について説明する。
エンジン側のクランクシャフトからのトルクは、フレキシブルプレートを介してフロントカバー2に入力される。これにより、インペラー10が回転し、作動油がインペラー10からタービン11へと流れる。この作動油の流れによりタービン11は回転し、さらにダンパー機構42からトルクはメインドライブシャフト71に出力される。
トルクコンバータ1の速度比が上がり、メインドライブシャフト71が一定の回転速度になると、フロントカバー2とピストン41の間の作動油が第1ポート66からドレンされる。この結果、タービン11及びピストン41がフロントカバー2側に移動させられる。この結果、摩擦フェーシング46がフロントカバー2の摩擦面70に押し付けられ、フロントカバー2のトルクはピストン41に機械的に伝達される。トルクは、ピストン41からダンパー機構42に伝達され、最後にメインドライブシャフト71に出力される。
この実施形態では、タービン11も油圧の変化によってピストン41とともに軸方向に移動可能になっている。そのため、ピストンとしての受圧面積が増大している。特に、従来であればピストンの内径はタービンハブの外周面によって支持されていたため十分な受圧面積を確保することができなかったが、この実施形態ではピストン41の内周面をメインドライブシャフト71によって支持しているため、ピストンとしての受圧面積が十分に大きくなっている。以上の結果、差圧が従来と同じであればより大きな伝達トルク容量が得られ、又は従来と同程度の伝達トルク容量を得るのに差圧を小さくできる。
(3)タービン・ロックアップ組立体
前述のように、タービン11とピストン41とダンパー機構42とは互いに固定され、タービン・ロックアップ組立体77を構成している。具体的には、タービン11とピストン41はリベット30によって互いに固定されており、ピストン41とダンパー機構42はリベット32によって互いに固定されている。リベット32はドリブン部材51の孔51dを介して固定される。以上に述べたように、タービン・ロックアップ組立体77は組立が容易である。
前述のように、タービン11とピストン41とダンパー機構42とは互いに固定され、タービン・ロックアップ組立体77を構成している。具体的には、タービン11とピストン41はリベット30によって互いに固定されており、ピストン41とダンパー機構42はリベット32によって互いに固定されている。リベット32はドリブン部材51の孔51dを介して固定される。以上に述べたように、タービン・ロックアップ組立体77は組立が容易である。
図2〜図4を用いて、メインドライブシャフト71にタービン・ロックアップ組立体77(ピストン41及びドリブン部材51)を組み付ける際の動作について説明する。
最初に、図2に示すように、ピストン41及びドリブン部材51をメインドライブシャフト71の先端側から近づけていく。ピストン41の内周筒状部41aはメインドライブシャフト71のスプライン歯71aを通過していく。内周筒状部41aの内径R3はスプライン歯71aの外径R2より大きいため、両者が接触することは起こりにくい。次に、図3に示すように、ドリブン部材51のスプライン孔51bがメインドライブシャフト71のスプライン溝71aに係合する。この係合、初期段階では、ピストン41の内周筒状部41aは支持外周面71bに当接していない。図3の状態以降は、スプライン歯71aにドリブン部材51が支持された状態が保たれる。したがって、ピストン41の内周筒状部41aは支持外周面71bに対して半径方向位置が合わされた状態で接近していく。この結果、内周筒状部41aと支持外周面71bはスムーズに係合し、両部材が衝突による損傷を被りにくい。以上の結果をもたらす条件は、スプライン孔51bの軸方向トランスミッション側端と内周筒状部41aの軸方向トランスミッション側端との距離L1が、スプライン歯71aの軸方向エンジン側端と支持外周面71bの軸方向エンジン側端との距離L2より短いことである。
以上に述べたように、メインドライブシャフト71の支持外周面71bがスプライン歯71aより軸方向トランスミッション側に配置されているため、ドリブン部材51のスプライン孔51bが支持外周面71bを通過することはない。したがって、支持外周面71bに配置されたシールリング44はドリブン部材51によっては破損しない。この結果、本発明に係る流体式トルク伝達装置では、メインドライブシャフト71に対してロックアップ用ピストン41やドリブン部材51の組み付けが容易になる。
(4)第2実施形態
図5を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。トルクコンバータ及びロックアップ装置の基本的構造は前記実施形態と同様であるので、ここでは異なる点のみを説明する。
図5を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。トルクコンバータ及びロックアップ装置の基本的構造は前記実施形態と同様であるので、ここでは異なる点のみを説明する。
タービン111のタービンシェル120は、タービンシェル120が固定された部分よりさらに内周側の半径方向中間部分120a、内周部分120b、及び内周筒状部120cを有している。半径方向中間部分120aは、絞り加工で形成されており、ステータキャリア27の凹部に沿った形状であり、軸方向エンジン側を向いた凹部を有している。また、半径方向中間部分120aにはさらに絞り加工が形成されており、剛性が高くなっている。内周部分120bは軸方向トランスミッション側面がスラストベアリング33によって支持されている。さらに、内周部分120bには、複数のリベット32によってドライブ部材150の第2プレート部材154(後述)に固定されている。内周筒状部120cは内周縁から軸方向トランスミッション側に延びており、内周面がメインドライブシャフト71の支持外周面71bによって支持されている。以上より、タービンシェル120すなわちタービン111は流体室内を半径方向全体にわたって軸方向に分割するように配置されており、油圧によって軸方向に移動可能なピストンとしての機能を有している。このため、タービンシェル120は前記実施形態に比べて板厚を大きくしており、剛性も高くなっている。
ドライブ部材150の第2プレート部材154は、リベット31によって固定された部分からさらに半径方向外側に延びる外周部154cを有している。外周部154cは、フロントカバー2の摩擦面70の軸方向トランスミッション側に配置された摩擦連結部149となっている。摩擦連結部149は、環状かつ平坦な板状部分であり、軸方向エンジン側に環状の摩擦フェーシング146が貼られている。また、第2プレート部材154は、外周縁から軸方向に延びる外周筒状部154dをさらに有している。外周筒状部154dの先端はタービンシェル120の外周部に当接している。このため、タービンシェル120が軸方向エンジン側に移動すると、その荷重が第2プレート部材154に作用し、摩擦連結部149をフロントカバー2の摩擦面70に押し付ける。
この実施形態においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
特に、タービン111をピストンして利用しているため、ピストンの受圧面積が増大している。また、従来であればピストンの内径はタービンハブの外周面によって支持されていたため十分な受圧面積を確保することが困難であったが、この実施形態ではピストンの内周面をメインドライブシャフト71によって支持しているため、ピストンとしての受圧面積が十分に大きくなっている。以上の結果、差圧が従来と同じであればより大きな伝達トルク容量が得られ、又は従来と同程度の伝達トルク容量を得るのに差圧を小さくできる。
特に、タービン111をピストンして利用しているため、ピストンの受圧面積が増大している。また、従来であればピストンの内径はタービンハブの外周面によって支持されていたため十分な受圧面積を確保することが困難であったが、この実施形態ではピストンの内周面をメインドライブシャフト71によって支持しているため、ピストンとしての受圧面積が十分に大きくなっている。以上の結果、差圧が従来と同じであればより大きな伝達トルク容量が得られ、又は従来と同程度の伝達トルク容量を得るのに差圧を小さくできる。
前述のように、タービン111とダンパー機構142とは互いに固定され、タービン・ロックアップ組立体177を構成している。具体的には、タービン111とダンパー機構142はリベット32によって互いに固定されている。以上に述べたように、タービン・ロックアップ組立体177は組立が容易である。
さらに、メインドライブシャフト71の支持外周面71bがスプライン歯71aより軸方向トランスミッション側に配置されているため、支持外周面71bをドリブン部材151のスプライン孔151bが通過することはない。したがって、ドリブン部材151が支持外周面71bに配置されたシールリング44を破損することはない。この結果、トルクコンバータ101では、メインドライブシャフト71に対してタービン111やドリブン部材151の組み付けが容易になる。
(5)他の実施形態
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形等は可能であり、本願発明は上記の実施形態に限定されない。
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形等は可能であり、本願発明は上記の実施形態に限定されない。
ダンパー機構とピストンまたはタービンシェルとの連結は、リベットではなく、弾性変形可能なストラッププレート等を介しても良い。又は、軸方向に移動可能に噛み合うスプラインやラグによって、両部材が係合していても良い。
ピストンの内周面にシール部材を固着し、入力シャフトの外周面には環状溝を設けない構造でもよい。また、ピストンの内周側筒状部は軸方向エンジン側に延びていてもよい。
流体式トルク伝達装置は、フルード・カップリングであっても良い。
1 トルクコンバータ(流体式トルク伝達装置)
4 ロックアップ装置
41 ピストン
41a 内周筒状部
42 ダンパー機構
44 シールリング
50 ドライブ部材
51 ドリブン部材
51b スプライン孔
52 トーションスプリング
71 メインドライブシャフト
71a スプライン歯(第1部分)
71b 支持外周面(第2部分)
4 ロックアップ装置
41 ピストン
41a 内周筒状部
42 ダンパー機構
44 シールリング
50 ドライブ部材
51 ドリブン部材
51b スプライン孔
52 トーションスプリング
71 メインドライブシャフト
71a スプライン歯(第1部分)
71b 支持外周面(第2部分)
Claims (2)
- エンジンからのトルクを伝達するための流体式トルク伝達装置であって、
トランスミッションの入力シャフトと、
前記エンジンからトルクが入力されるフロントカバーと、
前記フロントカバーとともに流体室を形成するインペラーと、
前記流体室内で前記インペラーに対向して配置され、前記入力シャフトにトルクを出力するためのタービンと、
油圧によって移動可能であり、前記入力シャフトによって軸方向及び回転方向に移動可能に支持されたロックアップ用ピストンとを備え、
前記入力シャフトは、前記ピストンからのトルクが入力される第1部分と、前記第1部分より軸方向トランスミッション側に配置され前記ピストンを支持する第2部分とを有している、
流体式トルク伝達装置。 - 前記第2部分の外径は前記第1部分の外径より大きい、請求項1に記載の流体式トルク伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004351672A JP2006161894A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 流体式トルク伝達装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004351672A JP2006161894A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 流体式トルク伝達装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=36664144
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JP2004351672A Pending JP2006161894A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 流体式トルク伝達装置 |
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JP (1) | JP2006161894A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019171812A1 (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | ジヤトコ株式会社 | 変速機及びその製造方法 |
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-
2004
- 2004-12-03 JP JP2004351672A patent/JP2006161894A/ja active Pending
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