JP2006156999A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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しかし、前記のような芳香族縮環材料は一般にT1のエネルギーレベルが低いため、ドーパントに対するエネルギー移動効率の点で不利である。発光効率向上のためには、より高いT1エネルギーレベルを有する芳香族炭化水素材料を開発することが望まれている。
(2)前記一般式(2)で表される化合物がテトラフェニレン構造を一つのみ有する化合物であることを特徴とする(1)記載の有機電界発光素子。
(3)前記一般式(2)で表される化合物に構造上相当する基を部分構造として有する化合物が、前記一般式(2)で表される化合物が互いに複数結合した、連結化合物、オリゴマー化合物またはポリマー化合物であることを特徴とする(1)記載の有機電界発光素子。
(4)前記一般式(2)で表される(部分構造を有する)化合物のテトラフェニレン構造中、1つの6員環が有する窒素原子が2個以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
(5)前記一般式(2)で表される(部分構造を有する)化合物のテトラフェニレン構造を形成する6員環のうち、窒素原子を有する6員環が置換基を有していないことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
(6)前記一般式(2)で表される(部分構造を有する)化合物の少なくとも1種とりん光発光材料を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有する表示素子。
アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイルベンゾイル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表す。
一般式(2)で表される化合物中テトラフェニレン構造を形成する2価の6員環基のうち、窒素原子を有する2価の6員環基は、縮合環の形成を除いて、置換基を有さないことが好ましい。さらに、前記一般式(2)で表される化合物のテトラフェニレン構造中、1つの2価の6員環基内に有する窒素原子の数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
一般式(2)中、A1〜A16のうち、少なくとも1つは窒素原子であるが、特に好ましくはA1、A4、A5、A8、A9、A12、A13、およびA16から選ばれる原子が窒素原子である。また、A1〜A16のうち2つ以上が窒素原子であることがさらに好ましく、1つの2価の6員環がピリミジン環あるいはピラジン環を表す場合がより好ましく、ピラジン環を表す場合が最も好ましい。
詳しくは、種々の常用の芳香族炭素炭素結合生成反応あるいは炭素窒素結合生成反応を利用して合成可能であり、例えば、テトラフェニレン骨格を有するハロゲン化合物とホウ酸誘導体、あるいはテトラフェニレン骨格を有するハロゲン化合物と芳香族アミン化合物とのパラジウム触媒存在下における反応により合成することができる。
また、本発明はいずれの波長領域の発光素子にも適用可能であるが、特に技術的に困難とされるているりん光λmax(発光極大値)495nm以下の波長領域であるのが好ましい。りん光λmaxは、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、さら好ましくは465nm以下、特に好ましくは460nm以下である。
以下、一般式(2)で表される化合物について好ましい実施態様をさらに詳細に説明するが、一般式(2)で表される部分構造を有する化合物についても同様である。
一般式(2)で表される化合物は本発明の有機電界発光素子中、いずれの層に含まれていてもよいが、有機層に含まれていることが好ましく、電子輸送層もしくは発光層中に含まれることがより好ましい。また、一般式(2)で表される化合物は有機電界発光素子中に1種または複数含まれていてもよく、複数含まれる場合、同一の層に含まれていても、複数の層に含まれていてもよい。さらに、一般式(2)で表される化合物は、有機電界発光素子中に、他の発光材料またはりん光材料と共に、同一のまたは異なる有機層に含有してもよい。
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給するものである。陽極を形成する材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料を用いる。具体例としては、金属(金、銀、クロム、ニッケル等)、導電性金属酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等)、これら金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、無機導電性物質(ヨウ化銅、硫化銅等)、有機導電性材料(ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等)およびこれらとITOとの積層物等が挙げられる。陽極は導電性金属酸化物からなるのが好ましく、生産性、高導電性、透明性等の観点からITOが特に好ましい。
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。陰極の材料としては、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができ、発光層等の隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選択すればよい。
具体例としては、アルカリ金属(リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等)およびそのフッ化物や酸化物、アルカリ土類金属(マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等)およびそのフッ化物や酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウムおよびカリウムからなる合金および混合金属、リチウムおよびアルミニウムからなる合金および混合金属、マグネシウムおよび銀からなる合金および混合金属、希土類金属(インジウム、イッテリビウム等)、それらの混合物等が挙げられる。陰極は仕事関数が4eV以下の材料からなるのが好ましく、アルミニウム、リチウムとアルミニウムからなる合金または混合金属、あるいはマグネシウムと銀からなる合金または混合金属からなるのがより好ましい。
正孔注入層および正孔輸送層に用いる材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、および陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーやポリチオフェン等の導電性高分子、有機シラン、上記一般式(2)で表される化合物、これらの誘導体、カーボン等が挙げられる。
発光素子に電界を印加すると、発光層において陽極、正孔注入層または正孔輸送層から注入された正孔と、陰極、電子注入層または電子輸送層から注入された電子とが再結合し、光を発する。発光層をなす材料は、電界印加時に陽極等から正孔を受け取る機能、陰極等から電子を受け取る機能、電荷を移動させる機能、および正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば特に限定されない。発光層の材料としては例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、金属錯体(8−キノリノール誘導体の金属錯体等)、高分子発光材料(ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等)、有機シラン、遷移金属錯体(イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、白金ポルフィリン錯体等)、これらの誘導体等が使用できる。発光層をなす材料の少なくとも1つが、りん光発光材料であることが好ましい。
電子注入層および電子輸送層をなす材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、並びに陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、金属錯体(8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体等)、有機シラン、上記一般式(2)で表される化合物、これらの誘導体等が挙げられる。
保護層は水分、酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有する。保護層の材料としては、金属(インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等)、金属酸化物(MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等)、金属フッ化物(MgF2、LiF、AlF3、CaF2等)、窒化物(SiNx、SiOxNy等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が使用できる。
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、TPD(N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(m-トリル)-ベンジジン)を40nm蒸着し、この上に例示化合物(2−3)およびbを17対1の質量比で20nm共蒸着し、さらにこの上に下記アゾール化合物cを40nm蒸着した。得られた有機薄膜上に発光面積が4mm×5mmとなるようにパターニングしたマスクを設置し、蒸着装置内でマグネシウムおよび銀(マグネシウム:銀=10:1(質量比))を50nm共蒸着した後、銀を50nm蒸着して実施例1の発光素子を作製した。
例示化合物(2−3)に替えて例示化合物(2−2)を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例2の発光素子を作製した。実施例2の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、青色発光が得られ、外部量子効率は3.9%であった。
例示化合物(2−3)に替えて例示化合物(2−10)を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例3の発光素子を作製した。実施例3の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、青色発光が得られ、外部量子効率は1.2%であった。
例示化合物(2−3)に替えて化合物aを用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例1の発光素子を作製した。比較例1の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、色度値(0.21,0.53)の青色発光が得られ、外部量子効率は1.2%であった。
例示化合物(2−3)に替えて下記化合物dを用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例2の発光素子を作製した。比較例2の発光素子の発光輝度および発光波長を実施例1と同様に測定した結果、色度値(0.18,0.38)の青色発光が得られ、外部量子効率は0.3%であった。
化合物bに替えて化合物fを使用し、さらに化合物cに替えて例示化合物(2−3)を用いたこと以外は前記実施例1と同様にして、実施例4の発光素子を作製した。実施例4の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、外部量子効率は7.9%であった。
例示化合物(2−3)に替えて例示化合物(2−2)を用いたこと以外は上記実施例4と同様にして、実施例5の発光素子を作製した。実施例5の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、外部量子効率は9.0%であった。
例示化合物(2−3)に替えて例示化合物(2−10)を用いたこと以外は上記実施例4と同様にして、実施例6の発光素子を作製した。実施例6の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、外部量子効率は8.1%であった。
例示化合物(2−3)に替えて化合物h を用いたこと以外は前記実施例4と同様にして、比較例3の発光素子を作製した。比較例3の発光素子の発光輝度を実施例1と同様に測定した結果、外部量子効率は6.5%であった。
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、TPDを40nm蒸着し、この上に例示化合物(2−3)および下記化合物gを17対1の質量比で5nm共蒸着し、この上に例示化合物(2−2)および化合物bを17対1の質量比で15nm共蒸着し、さらこの上に例示化合物(2−3)を40nm蒸着した。得られた有機薄膜上に発光面積が4mm×5mmとなるようにパターニングしたマスクを設置し、蒸着装置内でフッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウムを60nm蒸着して実施例7の発光素子を作製した。実施例7の発光素子の発光輝度および発光波長を実施例1と同様に測定した結果、色度値(0.33,0.32)の白色発光が得られ、この発光素子の外部量子効率を算出したところ3.1%であった。
Baytron P(PEDOT−PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸ドープ体)溶液、バイエル社製)を洗浄したITO基板上にスピンコート(1000rpm、30sec)し、150℃で1.5時間、真空乾燥して膜厚70nmの有機層を得た。次に、18mgの例示化合物(2−2)および2mgの化合物bを1.5mlのジクロロエタンに溶解し、これを上記有機層の上にスピンコートして110nmの有機薄膜を得た。これを蒸着装置に入れ有機薄膜上に例示化合物(2−3)を40nm真空蒸着した後、発光面積が4mm×5mmとなるようにパターニングしたマスクを設置し、蒸着装置内でフッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウムを60nm蒸着して実施例8の発光素子を作製した。実施例8の発光素子の発光輝度および発光波長を実施例1と同様に測定した結果、青色発光が得られ、最高輝度は1100cd/m2であった。
Claims (3)
- 前記一般式(2)で表される化合物がテトラフェニレン構造を一つのみ有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
- 前記一般式(2)で表される化合物に構造上相当する基を部分構造として有する化合物が、前記一般式(2)で表される化合物が互いに複数結合した、連結化合物、オリゴマー化合物またはポリマー化合物であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
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