JP2006138130A - 騒音低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】防音壁に付設される能動制御型の騒音低減装置において、移動音源に対して優れた減音効果を得ることができる騒音低減装置を提供する。
【解決手段】自動車の到来側に指向性を有する音源マイクロホン201で集音された音波は、プリアンプで増幅され、DSP処理装置に入力される。A/D変換器でA/D変換され、逆フィルタでフィルタリング処理された信号は、遅延回路に入力され、スピーカ1〜9の配列順序に応じて遅延される。即ち、スピーカ1〜9は、自動車の到来側(図面の左側)から通過側(図面の右側)に向って昇順で配列されており、スピーカ1〜9には、配列順に0、τ、2τ、...、8τの遅延時間が各々与えられている。配列順序に応じて遅延させることで、斜め方向に制御音の波面を傾けることができる。即ち、斜め方向についても、音源が直線状に配列された「線音源」が疑似的に実現される。
【選択図】図11

Description

本発明は、騒音低減装置に係り、特に、防音壁に付設され且つ能動制御により騒音を低減する能動制御型の騒音低減装置に関する。
わが国では、静かであるべき住宅街や病院の傍らを幹線道路が貫き、この幹線道路を大型トラックが昼夜を問わず往来する。また、暴走族のオートバイがけたたましい爆音を撒き散らして走行する。このような道路交通騒音の問題は、都市部に限らず農村部でも顕在化しており、大きな社会問題となっている。
近年、能動制御により騒音を低減するアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC:Active Noise Control)というシステムが注目されている。ANCの消音原理は「消音すべき元の音波に逆位相の音波を重ね合わせること」である。即ち、図1に示すように、騒音源が発する騒音Aに、制御音源から放射した制御音Bを重ねて、音圧レベルを低下させるものである。
例えば、騒音源から発生し防音障壁の頂点で回折されて障壁外部に伝わる回折音に対しても、上記の消音原理を適用することができる。図2に示すように、騒音源Sから発生した騒音12は、防音壁10の頂点(制御点C)の近傍を通過する際に波動現象として回折の作用を受ける。これは制御点Cがこの点を中心とした新たな音源(二次音源)となることを意味する。この制御点Cに対して、防音壁10の近傍に設置された制御音源(スピーカ)14から制御音16を放射する。この際、制御点Cにおいて騒音源Sからの騒音12と制御スピーカ14からの制御音16とが同振幅で逆位相になるように、制御音16を加工する。これにより、防音壁10の騒音源Sと反対側の領域にある観測点Oで騒音を観測すると、防音壁10による減音量以上の減音効果を得ることができる。
道路交通騒音は、常時走行し続けている複数の移動音源(自動車)が発生する騒音である。高速道路を走行する自動車が発生する騒音の主なものは、エンジン音とタイヤ走行音であり、これらの騒音は高速道路の防音壁の頂点で回折して道路周辺に伝播する。
従来、ANCにより道路交通騒音を低減する技術としては、アクティブ・ソフト・エッジ遮音壁(ASE遮音壁)が提案され、実用化されている(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1乃至3を参照)。ASE遮音壁は、ANCにより遮音壁の先端(エッジ)に音響的にソフト(複素音圧反射率が−1)な境界を形成することにより、主に遮音壁の頂点で回折する500Hz以下の低周波の騒音を低減する。ここでの消音原理は、遮音壁の頂点部分の境界の音響インピーダンスZをZ=ρc、即ち、空気の音響インピーダンスと同じにして完全吸音することで減音する、というものである。
日経ビジネス、2002年10月7日号 日本音響学会誌58巻12号(2002)、pp.753−760 特開平9−119114号公報 特開2001−172925号公報 特開2002−6854号公報
しかしながら、ASE遮音壁は音響制御部であるASEセルの上面近傍でしか減音効果を発揮しないため、道路交通騒音を低減しようとすると、遮音壁に沿って多数のASEセルを隙間無く配置しなければならず、装置が大掛かりになる、という問題がある。また、ASE遮音壁の減音効果は高々4dB程度であり、十分な減音効果が得られているとは言い難い。
本発明は上記事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、防音壁に付設される能動制御型の騒音低減装置であって、移動音源に対して優れた減音効果を有する騒音低減装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の第1の騒音低減装置は、騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された騒音集音マイクロホンと、前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算されたフィルタ係数と、前記騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した制御信号を出力するフィルタと、複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、前記複数のスピーカの各々に、前記制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力する入力回路と、を含んで構成したことを特徴としている。
本発明の第1の騒音低減装置では、騒音源から放射された騒音を低減する防音壁の外側に、騒音を制御するための制御点が設定され、この制御点には制御点マイクロホンが配置されている。一方、防音壁の内側には、防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有する騒音集音マイクロホン(音源マイクロホン)が配置される。
フィルタには、フィルタ係数が設定されている。フィルタ係数は、この制御点マイクロホン出力と騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、制御点における騒音が低減されるように、例えば陽解法により演算される。フィルタ係数が設定されたフィルタは、騒音集音マイクロホン出力のデジタル値と設定されたフィルタ係数とを用いて、デジタルフィルタリング処理を行ない、制御信号を出力する。
また、本発明の第1の騒音低減装置は、複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源を備えている。スピーカは単一指向性のスピーカを用いることができ、制御音源は、複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が防音壁の上辺で回折されて制御点に到達するか、または制御音が直接制御点に到達するように配置される。
入力回路は、この制御音源の複数のスピーカの各々に、制御信号を防音壁への騒音の入射方向に応じた時間ずつ遅延させた遅延制御信号を、複数のスピーカの配列順に応じて、すなわち複数のスピーカの一端側から他端側に向かって入力する。
このように、制御音源に配列されたスピーカの各々に、騒音の入射方向に応じて遅延させた遅延制御信号の各々を入力することで、騒音の入射方向と同じ方向に制御音を放射することができ、防音壁に所定方向から入射する騒音を効率良く低減することができる。即ち、移動音源に対して優れた減音効果を得ることができる。
また、制御音は防音壁の上辺で回折されて、または回折されることなく直接制御点に到達するので、制御点に到達する騒音が制御音により打ち消され、より大きな減音効果を得ることができる。更に、陽解法によりフィルタ係数を演算れば、その演算過程において測定したインパルス応答に窓を掛けることができるので、外乱による影響を受けることなく、安定した制御を行うことができる。
上記の第1の騒音低減装置において、制御音源を複数個設けることができる。この場合には、入力回路によって、制御音源毎に、該制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力する。これにより、制御音源毎に、防音壁に異なる方向から入射する騒音を効率良く低減することができる。
上記目的を達成するために本発明の第2の騒音低減装置は、騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第1の騒音集音マイクロホンと、前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第2の騒音集音マイクロホンと、前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第1のフィルタ係数と、前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力する第1のフィルタと、前記制御点マイクロホン出力と前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第2のフィルタ係数と、前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力する第2のフィルタと、複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、前記複数のスピーカの各々に、前記第1の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力すると共に、前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力する入力回路と、を含んで構成したことを特徴とする。
本発明の第2の騒音低減装置では、防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する第1の騒音集音マイクロホンに加えて、防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する第2の騒音集音マイクロホンが設けられている。第1のフィルタが、第1のフィルタ係数と第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、デジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力すると共に、第2のフィルタが、第2のフィルタ係数と第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、デジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力する。
防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する第1の騒音集音マイクロホン及びこれに対応する第1のフィルタと、防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する第2の騒音集音マイクロホン及びこれに対応する第2のフィルタと、を制御音源に対応して各々配置することで、異なる方向から入射する騒音を各々集音して独立に制御することができる。
そして、入力回路は、複数のスピーカの各々に、第1の制御信号を防音壁への騒音の入射方向に応じた時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、複数のスピーカの各々に、第2の制御信号を入力する。このように、騒音の入射方向が2以上ある場合にでも、制御音源に配列されたスピーカの各々を、各々の入射方向に応じて遅延させることで、騒音の入射方向と同じ方向に制御音を放射することができ、防音壁に所定方向から入射する騒音を効率良く低減することができる。
上記の第2の騒音低減装置において、制御音源を複数個設けることができる。この場合には、入力回路によって、所定の制御音源を構成する複数のスピーカの各々に、第1の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、他の制御音源を構成する複数のスピーカの各々に、第2の制御信号を入力する。
上記目的を達成するために本発明の第3の騒音低減装置は、騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して第1の斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第1の騒音集音マイクロホンと、前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第2の騒音集音マイクロホンと、前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して前記第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第3の騒音集音マイクロホンと、前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるよう演算された第1のフィルタ係数と、前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力する第1のフィルタと、前記制御点マイクロホン出力と前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第2のフィルタ係数と、前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力する第2のフィルタと、前記制御点マイクロホン出力と前記第3の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第3のフィルタ係数と、前記第3の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第3の制御信号を出力する第3のフィルタと、複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、前記複数のスピーカの各々に、前記第1の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号と、前記第3の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第2の遅延制御信号とを、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力すると共に、前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力する入力回路と、を含んで構成したことを特徴とする。
本発明の第3の騒音低減装置では、防音壁に対して第1の斜め方向から入射する騒音を集音する第1の騒音集音マイクロホンに加えて、防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する第2の騒音集音マイクロホンと、第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向から入射する騒音を集音する第3の騒音集音マイクロホンとが設けられている。第1のフィルタが、第1のフィルタ係数と第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、デジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力すると共に、第2のフィルタが、第2のフィルタ係数と第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、デジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力し、第3のフィルタが、第3のフィルタ係数と第3の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて、デジタルフィルタ処理した第3の制御信号を出力する。
防音壁に対して第1の斜め方向から入射する騒音を集音する第1の騒音集音マイクロホン及びこれに対応する第1のフィルタと、防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する第2の騒音集音マイクロホン及びこれに対応する第2のフィルタと、防音壁に対して第2の斜め方向から入射する騒音を集音する第3の騒音集音マイクロホン及びこれに対応する第3のフィルタと、を制御音源に対応して各々配置することで、異なる方向から入射する騒音を各々集音して独立に制御することができる。
そして、入力回路は、複数のスピーカの各々に、第1の制御信号を防音壁への騒音の入射方向に応じた時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、複数のスピーカの各々に、第2の制御信号を入力し、更に、複数のスピーカの各々に、第3の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じた時間ずつ遅延させた第2の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力する。
このように、騒音の入射方向が3以上ある場合にでも、制御音源に配列されたスピーカの各々を、各々の入射方向に応じて遅延させることで、騒音の入射方向と同じ方向に制御音を放射することができ、防音壁に所定方向から入射する騒音を効率良く低減することができる。
上記の第3の騒音低減装置において、制御音源を複数個設けることができる。この場合には、入力回路によって、所定の制御音源を構成する複数のスピーカの各々に、第1の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、他の制御音源を構成する複数のスピーカの各々に、第2の制御信号を入力し、更に他の制御音源を構成する複数のスピーカの各々に、第2の遅延制御信号を複数のスピーカの配列順に応じて入力する。
第4の騒音低減装置は、放音方向が所定方向を向くように配列された複数個のスピーカを備えた複数の制御音源と、前記制御音源と前記騒音源との間に配置されて、前記騒音源から放音された騒音を集音し、集音した騒音に対応する音響信号を出力するマイクロホンと、前記音響信号と逆位相の制御音を放音するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記制御信号を予め定められた時間ずつ遅延させた複数の遅延制御信号を出力する遅延手段と、前記制御信号がいずれかの制御音源の前記スピーカの各々に同時に入力され、かつ制御音源の一端側のスピーカから他端側のスピーカに向かって遅延時間が徐々に長くなるように前記遅延制御信号の各々が他の制御音源の前記スピーカの各々に入力されるように制御する制御手段と、を含んで構成したものである。
以上説明したように本発明によれば、防音壁に付設される能動制御型の騒音低減装置において、騒音の入射方向と同じ方向に制御音を放射することができ、防音壁に所定方向から入射する騒音を効率良く低減することができる。即ち、移動音源に対して優れた減音効果を得ることができる、という効果が得られる。
また、制御音は防音壁の上辺で回折されて、または回折されることなく直接制御点に到達するので、制御点では騒音源から放出され防音壁で回折された騒音が制御音により制御され、より大きな減音効果を得ることができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明の騒音低減装置を、高速道路の交通騒音低減システムに適用した実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
(騒音低減の制御区間)
本実施の形態では、図3(A)に示すように、騒音源Sである自動車から発生した騒音を低減するために、高速道路100の両側に該道路と平行に所定高さの防音壁10が設けられている。防音壁10は、通常、鉄板等の金属板を走行面に対し垂直に立設して構成されている。なお、防音壁10の騒音源S側に遮音増強パネルを設置してもよい。遮音増強パネルは、パネル自体に低音域の遮音性能が10dB以上有るものが好ましく、例えば、騒音源S側のパネル表面にグラスウール等の吸音材を貼り付けたものを好適に使用することができる。
この防音壁10の外側に観測点Oを設定すると、高速道路100を自動車が走行している場合には、A点、B点、C点、D点と自動車の走行に応じて騒音源Sの位置が変化することから、観測点Oには種々の方向から騒音が伝播してくる。図3(B)に、騒音源Sの各位置から伝播する騒音の観測点Oにおける音圧レベルを示す。A点及びD点からの音圧レベルは、例えば70dB(デシベル)であり、観測点Oの正面に位置するC点からの音圧レベルは、例えば80dBである。例えば、自動車の走行速度をV(km/h)、所定音圧レベル、例えば70dB以上の騒音レベルが継続する時間をT(秒)とすると、所定音圧レベル以上の騒音を制御、低減するための騒音低減の制御区間L(m)は下記式で表される。
L=1000VT/3600
(騒音制御ユニット)
上記の制御区間Lは、図4に示すように、1〜数メートルの長さの複数(図では6個)の小区間に分割され、分割された小区間毎に騒音制御ユニット102が配置される。
騒音制御ユニット102は、図5に示すように、防音壁10の騒音源側に配置され、複数(図では9個)のスピーカが防音壁10に沿って1列に配列されたスピーカアレイ40を備えたスピーカユニット14と、スピーカユニット14の近傍に配置された複数(図では3個)の音源マイクロホン201〜203とを備えている。音源マイクロホン201、203は自動車の到来側と通過側とにそれぞれ配置され、音源マイクロホン202は防音壁10の正面に配置されている。音源マイクロホン201〜203の各々は、制御対象となる騒音波の入射方向(図では、到来側と通過側の2つの斜め方向と正面方向)に強い指向性を有している。
スピーカユニット14は、図6に示すように、防音壁10の頂点で制御音16が回折するように、防音壁10の上辺から所定距離離間して、防音壁10の内側に配置されている。スピーカユニット14は、防音壁10の頂点で回折された制御音16が、防音壁10の外側で且つスピーカユニット14の近傍に設定された制御点Cに到達するように、防音壁10の頂点に向って制御音16を放射する。このように、回折音を用いてANCを実施することにより、騒音源Sから放射されて防音壁10の頂点で回折された騒音を減音させることができる。なお、スピーカユニット14のスピーカ配列方向の長さは、防音壁頂点と制御点Cとの距離と同じ長さとすることが好ましい。例えば、1m〜数m程度の長さが好適である。
また、騒音制御ユニット102は、DSP(Digital Signal Processing)処理を行うDSP処理装置24を備えている。DSP処理装置24は、プリアンプ221〜223を介して音源マイクロホン201〜203の各々に接続されると共に、スピーカユニット14に接続されている。音源マイクロホン201〜203の各々で集音された音波は、対応するプリアンプ221〜223の各々で増幅され、DSP処理装置24に入力される。
騒音源Sから制御点Cまでの音波の伝播方向に沿った距離をR1(m)、スピーカユニット14から制御点Cまでの同様の距離をR2(m)、騒音源Sから音源マイクロホン201〜203の何れかまでの同様の距離をR3(m)とすると、騒音の制御点Cへの直接(経路A)の到達時間T1(ms)、DSP処理装置24を介した場合(経路B)の到達時間T2(ms)は、DSP処理装置24での処理時間をTDSPとすると、以下の式で表される。なお、cは音速(m/秒)である。
T1=R1/c
T2=(R2+R3)/c+TDSP
ここで、R1>R2+R3であるから、T1>T2である。また、DSP処理装置24は、処理に1ms程度の時間を要するので、TDSP=1、即ち、T2+1<T1の関係を満たすように、音源マイクロホン201〜203を各々配置する。
DSP処理装置24は、図7に示すように、プリアンプ221〜223の各々に対応して設けられたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器261〜263、フィルタ係数が予め設定された時不変の逆フィルタ281〜283、スピーカの配列順序に応じて信号を遅延する遅延回路301〜303、マルチチャンネル加算回路32、及びデジタル信号をアナログ信号に変換するマルチチャンネルD/A変換器34を備えている。なお、フィルタ係数W1、W2、W3は、図示しないコンピュータにより演算され、逆フィルタ281〜283の各々に設定される。フィルタ係数の演算方法については後述する。
逆フィルタ281〜283の各々は、A/D変換器261〜263の各々から入力されたデジタル信号と設定されたフィルタ係数とを用いて、デジタルフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理された信号は、遅延回路301〜303に入力される。
遅延回路301〜303は、図8に示すように、複数の単位遅延素子を直列に接続して構成されている。この単位遅延素子の数は、遅延信号のサンプル数(ここでは9個)よりも1個少なくなるように構成されている。また、遅延信号のサンプル数は、隣接するスピーカのセパレ−ションの問題を勘案して決定される。
遅延回路301〜303の出力端は、マルチチャンネル加算回路32に接続されており、遅延回路301〜303で得られた遅延信号の各々は、マルチチャンネル加算回路32に入力される。この例では、各遅延回路301、303から、0、τ、2τ、3τ、4τ、5τ、6τ、7τ、8τ(τは単位遅延素子の遅延時間)ずつ遅延させた信号がマルチチャンネル加算回路32に入力され、遅延回路302から表1に示すように遅延させない信号(遅延時間0)の信号がマルチチャンネル加算回路32に入力される。なお、単位遅延素子の遅延時間は、単位遅延素子毎に異なっていても良く、任意の値とすることができる。
遅延された信号は、マルチチャンネル加算回路32に入力され、スピーカ毎に加算される。遅延回路301による遅延時間をD1、遅延回路302による遅延時間をD2、及び遅延回路303による遅延時間をD3とした場合に、スピーカアレイ40の9個のスピーカの各々について、遅延時間D1の信号、遅延時間D2の信号、及び遅延時間D3の信号がデジタル加算される。この加算は、各スピーカアレイの対応する位置に位置するスピーカの各々に入力すべきデジタル信号を全て加算して、各スピーカから出力するようにする。このように加算することによりスピーカアレイからは、図11に示す3方向に伝播する音波を出力することができる。
遅延時間D1〜D3は、例えば、下記の表1に示す組合せとすることができる。この例では、スピーカ2に対応して、遅延回路301からの遅延時間τの信号、遅延回路302からの遅延時間0の信号、及び遅延回路303からの遅延時間7τの信号が加算される。このようにスピーカ毎に加算された信号は、マルチチャンネルD/A変換器34に入力され、D/A変換されて、スピーカユニット14に出力される。すなわち、制御音が伝搬する方向は、遅延時間に応じて定めることができ、スピーカの配列方向に対して直交する方向に制御音を伝搬させる場合には、遅延時間を0にすればよい。
Figure 2006138130
スピーカユニット14は、上述のスピーカアレイ40の外に、スピーカアレイ40の各スピーカに対応してパワーアンプが配列されたパワーアンプアレイ38を備えている。DSP処理装置24でスピーカ毎に加算されたアナログ信号は、各スピーカに対応するパワーアンプの各々で増幅され、スピーカアレイ40の各スピーカに出力される。そして、フィルタリング処理された信号に対応する音波、即ち、騒音に対して逆相の音波が、制御音16としてスピーカユニット14を構成するスピーカの各々から出力される。即ち、音源が直線状に配列された「線音源」が実現される。線音源は円筒波を放出し、配列方向と直交する方向に強い指向性を有する。
(フィルタ係数の設定)
次に、DSP処理装置24のデジタルフィルタへのフィルタ係数の設定手順について説明する。ここでは、フィルタ係数W2を設定して逆フィルタ282を生成する場合について説明するが、逆フィルタ281及び逆フィルタ283も同様の方法で生成することができる。
騒音源Sから放射された騒音は、音源マイクロホン202で集音され、プリアンプ222を介してDSP処理装置24に入力される。入力された信号は、DSP処理されて、スピーカユニット14に出力される。そして、騒音の逆相波が、制御音16としてスピーカユニット14を構成するスピーカの各々から防音壁10の頂点に向けて放射され、そのときの回折音が制御点Cに向けて伝播される。制御点Cに設置した図示しないマイクロホンにより、騒音源Sから放射された騒音とスピーカユニット14から放射された制御音とが集音される。集音された音波は、A/D変換されて、図示しないコンピュータに入力される。
デジタルフィルタの伝達関数をW(ω)と仮定し、伝達関数W(ω)のインパルス応答の係数をδ(t−tdelay)に設定する。tdelayはデジタルフィルタによる遅延時間(ms)であり、例えば300msに設定することができる。
騒音源Sから放射された騒音の一部は、制御点Cに到達する。この伝達経路を経路Aとする。経路Aの伝達関数はA(ω)である。また、放射された騒音の一部は、音源マイクロホン202で集音され、DSP処理装置24を経由して、スピーカユニット14から放射されて制御点Cに到達する。この伝達経路を経路Bとする。経路Bの伝達関数はB(ω)である。制御点Cでは、経路Aからの信号音と経路Bからの信号音とが同時に集音される。
騒音源Sから音源マイクロホン202までの経路C1の伝達関数をC1(ω)とし、スピーカユニット14から制御点Cまでの経路C2の伝達関数をC2(ω)とすると、経路Bの伝達関数はB(ω)は下記式で表される。なお、C1(ω)とC2(ω)との積を、経路C(経路C1+C2)の伝達関数C(ω)とする。
B(ω)=C1(ω)C2(ω)W(ω)=C(ω)W(ω)
例えば、ここでデジタルフィルタの伝達関数W(ω)=1とすると、経路Bの伝達関数B(ω)と経路Cの伝達関数C(ω)とが等しくなる。
デジタルフィルタのフィルタ係数は、以下の手順で、陽解法により演算される。この演算は、デジタルフィルタに接続された図示しないコンピュータにより行われる。ここでいう陽解法とは、上記の経路Aのインパルス応答と経路Bのインパルス応答とを事前に計測し、数値計算によりフィルタ係数を演算する方法である。
1.制御点Cに設置したマイクロホンからDSP処理装置24に取り込んだ信号を、相互相関関数の逆フーリエ変換によりインパルス応答に変換する。図9(A)に示すように、経路Cのインパルス応答はtdelay(ms)遅延されており、経路Aと経路Cの各々のインパルス応答は時間的に分離しているので、これに各々時間窓70、72を掛けて、各々の経路毎にインパルス応答を切り出すことができる。経路Aのインパルス応答を関数a(t)で表し、経路Cのインパルス応答を関数c(t)で表す。更に、図9(B)に示すように、経路Aのインパルス応答a(t)に時間窓52を掛けることにより、直接音のインパルス応答だけを切り出すことができる。
2.c(t)を遅延時間分だけ時間を巻き戻したc(t−tdelay)を改めてc(t)とする。また、直接音に対応する部分だけを切り出した経路Aのインパルス応答を改めてa(t)とする。そして、経路Aのインパルス応答a(t)をフーリエ変換して伝達関数A(ω)を求め、経路Cのインパルス応答c(t)をフーリエ変換して伝達関数C(ω)を求める。
3.経路Aの伝達関数A(ω)と経路Bの伝達関数B(ω)とが、A(ω)+B(ω)=0、という消音条件を満足すると仮定すると、ディジタルフィルタの伝達関数W(ω)は下記式で表される。
W(ω)=−A(ω)/C(ω)
そして、フーリエ変換して得られた伝達関数A(ω)及び伝達関数C(ω)を用いてW(ω)を演算し、これを逆フーリエ変換して関数w(t)を求める。この関数w(t)の係数が、デジタルフィルタのフィルタ係数W2である。なお、関数w(t)は、下記式に示す関係から行列演算により時間領域で直接求めてもよい。
w(t)*c(t)=−a(t) (*は畳み込み演算を表す。)
得られたフィルタ係数が、デジタルフィルタに設定される。これによりディジタルフィルタは、W(ω)の伝達関数を持ち、騒音を打ち消すことができる逆相波の制御音を発生させる逆フィルタ282となる。
(騒音の制御)
次に、騒音の制御動作について説明する。騒音源Sから放射された騒音12は、音源マイクロホン201〜203の各々で集音され、対応するプリアンプ221〜223の各々で増幅されて、DSP処理装置24に入力される。DSP処理装置24の逆フィルタ281〜283の各々は、A/D変換器261〜263の各々から入力されたデジタル信号と、設定されたフィルタ係数W1〜W3とを用いて、デジタルフィルタリング処理を行う。
ここで、図10を参照して、逆フィルタ281〜283の作用について説明する。実線で表した関数a(t)は、制御対象である経路Aのインパルス応答であり、点線で表した関数b(t)は、逆フィルタ281〜283を備えないパス回路を通した場合の経路Bのインパルス応答である。両者を比較すれば分かるように、逆フィルタ281〜283を通すことで、インパルス応答b(t)の波形が整形されると共に時間移動され、実線で表した通り、制御対象と同一の波形となる。従って、これを逆相にして制御音として放射することにより、減音効果を得ることができる。
フィルタリング処理された信号は、遅延回路301〜303に入力され、スピーカの配列順序に応じて遅延される。遅延された信号は、マルチチャンネル加算回路32に入力され、スピーカ毎に加算される。スピーカ毎に加算された信号は、マルチチャンネルD/A変換器34に入力され、D/A変換されて、スピーカユニット14に出力される。そして、フィルタリング処理された信号に対応する音波、即ち、騒音の逆相波が、制御音16としてスピーカユニット14から制御点Cに向けて放射され、制御点Cにおいて騒音源Sからの騒音12が、制御音16により打ち消される。
このとき、防音壁10に正面から入射して頂点で回折して広がる騒音(正面入射波)と同じ方向に放射された制御音16が回折されて、正面入射波が打ち消される。また、防音壁10に斜め方向から入射して頂点で回折して広がる騒音(斜め入射波)と同じ方向に放射された制御音16が回折されて、斜め入射波が打ち消される。本実施の形態では、図11(A)〜(C)に示すように、正面方向と斜め2方向とに制御音16が放射される。
自動車の到来側に指向性を有する音源マイクロホン201で集音された音波は、プリアンプで増幅され、DSP処理装置24に入力される。A/D変換器261でA/D変換され、逆フィルタ281でフィルタリング処理された信号は、遅延回路301に入力され、スピーカ1〜9の配列順序に応じて遅延される。即ち、図11(A)に示すように、スピーカ1〜9は、自動車の到来側(図面の左側)から自動車の通過側(図面の右側)に向って昇順で配列されており、スピーカ1〜9には、配列順に0、τ、2τ、3τ、4τ、5τ、6τ、7τ、8τの遅延時間が各々与えられている。このように、配列順序に応じて遅延させることで、点線で示すように、スピーカ1〜9を実際の配列方向と所定角度を成す方向に1列に配列した場合と同様に、斜め方向に制御音の波面を傾けることができる。即ち、斜め方向についても、音源が直線状に配列された「線音源」が疑似的に実現される。
図12に示すように、複数(図では4個)のスピーカを、所定方向に間隔l(m)で1列に配列し、配列順に0、τ、2τ、3τの遅延時間を与える場合を考える。θはスピーカの配列方向に対して斜めに入射する騒音(入射波)の波面が成す角度、cは音速(m/秒)である。この場合は、τ=lsinθ/c(秒)とすることで、スピーカを実際の配列方向と角度θを成す方向に1列に配列した場合と同様、角度θだけ制御音(逆相波)の波面を傾けることができ、斜め入射波を逆相波で効率良く打ち消すことができる。すなわち、θ、すなわち遅延時間τを定めることにより、スピーカの配列方向に対する制御音の波面を定めることができ、θ=0、すなわち、τ=0とすることにより、波面がスピーカの配列方向と平行の制御音を放射放射することができる。
正面方向に指向性を有する音源マイクロホン202で集音された音波は、プリアンプで増幅され、DSP処理装置24に入力される。A/D変換器262でA/D変換され、逆フィルタ282でフィルタリング処理された信号は、遅延回路302に入力されるが、遅延時間を0に設定してあるので遅延はされない。従って、図11(B)に示すように、スピーカ1〜9の配列方向と直交する方向(正面方向)に強い指向性を有する制御音が放射される。
自動車の通過側に指向性を有する音源マイクロホン203で集音された音波は、プリアンプで増幅され、DSP処理装置24に入力される。A/D変換器263でA/D変換され、逆フィルタ283でフィルタリング処理された信号は、遅延回路303に入力され、スピーカ1〜9の配列順序に応じて遅延される。即ち、図11(C)に示すように、スピーカ1〜9は、自動車の到来側から自動車の通過側に向って昇順で配列されており、スピーカ1〜9には、配列順に8τ、7τ、6τ、5τ、4τ、3τ、2τ、1τ、0の遅延時間が各々与えられている。このように、配列順序に応じて遅延させることで、点線で示すように、スピーカ1〜9を実際の配列方向と所定角度を成す方向に1列に配列した場合と同様、斜め方向に制御音の波面を傾けることができる。
図13は、騒音源Sから伝播する騒音の制御点Cにおける音圧レベルの時間変化を示す。騒音源Sの位置は、自動車の走行に応じてA点、B点、C点、D点と変化するので、制御点Cにおける音圧レベルもこれに応じて変化する。実線は、ANCを行わない場合の音圧レベルである。点線は、正面入射波の制御のみを行う場合の音圧レベルであり、一点鎖線は、正面入射波の制御と斜め入射波の制御とを同時に行う場合の音圧レベルである。この図から分かるように、正面入射波の制御のみを行う場合は、騒音源Sが制御点Cの正面のC点に在る場合にだけ音圧レベルが低下するが、正面入射波の制御と斜め入射波の制御とを同時に行う場合には、騒音源Sの位置に拠らず全体的に音圧レベルが低下する。
また、図14は、防音壁10の周辺での音圧レベル分布のシミュレーション結果である。このシミュレーションは、高さ2mの防音壁が設けられた道路の防音壁から3.5m離れ、かつ路面から0.5mの高さの位置に、パワーレベル0dBの点音源を設定すると共に、防音壁の外側の地表面から1.5mの高さに受音点を設定し、無指向性点音源で厚みが無い条件で、Brown&Seniorの漸近式を使用(川井孝雄、学術論文(1979))して行った。この結果から分かるように、防音壁の外側では、正面だけでなく斜め方向にも音が伝搬している。
また、図20は、正面方向のみ制御した場合の減音量のシミュレーション結果である。図14の音圧レベルのシミュレーション結果に対して、図20の減音量のシミュレーション結果を引いたものが、正面方向のみ制御した場合の音圧レベルのシミュレーション結果となる。
また、図21は、斜め方向に制御音の波面を傾け、斜め方向のみ制御した場合の減音量のシミュレーション結果である。図14の音圧レベルのシミュレーション結果に対して、図21の減音量のシミュレーション結果を引いたものが、斜め方向のみ制御した場合の音圧レベルのシミュレーション結果となる。この結果から分るように、斜め方向に制御することにより、斜め方向の音に対しても効率よく制御することができる。
以上説明した通り、本実施の形態では、高速道路の防音壁に騒音制御ユニットが付設されているが、この騒音制御ユニットは、各々異なる方向に強い指向性を有する複数の音源マイクロホンを配置し、騒音の入射方向に応じて制御音を発生させることで、正面入射波と共に斜め入射波を制御し、移動音源である自動車の走行により種々の方向から伝播してくる騒音を効果的に低減することができる。
なお、上記ではマルチチャンネル加算回路でデジタル信号を加算した後にアナログ信号に変換する例について説明したが、逆フィルタ出力を複数に分割した後アナログ信号に変換し、マルチチャンネルアナログ加算回路を用いてアナログ信号を加算してスピーカに入力するようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る交通騒音低減システムは、騒音制御ユニットを単一の音源マイクロホンと複数のスピーカユニットとを含んで構成した以外は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一部分については説明を省略し相違点のみ説明する。
本実施の形態の騒音制御ユニットは、複数個防音壁に沿って配置されている。各騒音制御ユニットの構成は同一であるので、1つの騒音制御ユニットについて説明すると、騒音制御ユニット104は、図15に示すように、防音壁10の騒音源側に配置され、複数(図では3個)のスピーカユニット141〜143と、単一の音源マイクロホン20aとを備えている。
スピーカユニット141〜143は、防音壁10に沿って所定間隔で配列され、スピーカユニット141〜143の各々は、複数(図では9個)のスピーカが防音壁10に沿って1列に配列されたスピーカアレイ401〜403を備えている。なお、各スピーカユニットのスピーカ配列方向の長さは、例えば、5m程度の長さとすることができる。従って、騒音制御ユニット104のスピーカ配列方向の長さは15m程度である。
音源マイクロホン20aは、中央のスピーカユニット142の正面に配置され、制御対象となる騒音波の入射方向(図では、到来側と通過側の2つの斜め方向と正面方向の3方向)に強い指向性を有している。
スピーカユニット141〜143の各々は、第1の実施の形態と同様に、防音壁10の頂点で制御音16が回折するように、防音壁10の上辺から所定距離離間して、防音壁10の内側に配置されている。また、スピーカユニット141〜143の各々は、防音壁10の頂点で回折された制御音16が、防音壁10の外側で且つスピーカユニット毎に設定された制御点C1〜C3に到達するように、防音壁10の頂点に向って制御音16を放射する。
また、騒音制御ユニット104のDSP処理装置24は、プリアンプ22を介して音源マイクロホン20aに接続されると共に、スピーカユニット141〜143の各々に接続されている。本実施の形態では、マルチチャンネルD/A変換回路34と各スピーカユニットとの間に、アナログ信号を加算するマルチチャンネルアナログ加算回路36が接続されている。隣り合う騒音制御ユニットのマルチチャンネルアナログ加算回路は、相互に接続されている。なお、マルチチャンネルアナログ加算回路を各スピーカユニット内に設けて騒音制御ユニット単位で相互に接続すると共に、隣り合う騒音制御ユニットのマルチチャンネルアナログ加算回路を相互に接続するようにしてもよい。音源マイクロホン20aで集音された音波は、対応するプリアンプ22で増幅され、DSP処理装置24に入力される。
DSP処理装置24は、図16に示すように、プリアンプ22に対応して設けられたA/D変換器26、フィルタ係数が予め設定された逆フィルタ284〜286、スピーカの配列順序に応じて信号を遅延する遅延回路301〜303、及びマルチチャンネルD/A変換器34を備えている。逆フィルタ、遅延回路、スピーカユニットは、各々同じ個数設けられている。なお、フィルタ係数W4、W5、W6の設定については、既に説明した通りである。
逆フィルタ284〜286の各々は、A/D変換器26から入力されたデジタル信号と設定されたフィルタ係数とを用いて、デジタルフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理された信号は、遅延回路301〜303に入力され、スピーカの配列順序に応じて遅延される。遅延回路301〜303で得られた遅延信号の各々は、マルチチャンネルD/A変換器34に入力され、D/A変換されて、マルチチャンネルアナログ加算回路36で加算された後、対応するスピーカユニット141〜143に出力される。このとき、マルチチャンネルアナログ加算回路36では、各スピーカアレイの対応する位置に位置するスピーカの各々に入力すべきアナログ信号を加算すると共に、必要に応じて隣接する騒音制御ユニットに入力すべきアナログ信号を加算してスピーカから出力する。これによって、騒音の移動に伴ってスピーカユニットから放音される音波の方向が変化するので、効率よく騒音を低減することができる。
本実施の形態では、自動車の到来側に配置されたスピーカユニット141に出力される信号には、スピーカ1〜9に対応して、例えば、配列順に8τ、7τ、6τ、5τ、4τ、3τ、2τ、1τ、0の遅延時間が各々与えられる。また、自動車の通過側に配置されたスピーカユニット143に出力される信号には、スピーカ1〜9に対応して、例えば、配列順に0、τ、2τ、3τ、4τ、5τ、6τ、7τ、8τの遅延時間が各々与えられる。このように、信号をスピーカの配列順序に応じて遅延させることで、図15に点線で示すように、スピーカ1〜9を実際の配列方向と所定角度を成す方向に1列に配列した場合と同様、斜め方向に制御音の波面を傾けることができ、斜め入射波を逆相波で効率良く打ち消すことができる。
なお、中央のスピーカユニット142に出力される信号は、遅延されない。従って、スピーカユニット142からは、スピーカ1〜9の配列方向と直交する方向(正面方向)に強い指向性を有する制御音が放射される。
スピーカユニット141〜143は、対応するスピーカアレイ401〜403の外に、スピーカアレイ401〜403の各スピーカに対応してパワーアンプが配列されたパワーアンプアレイ381〜383を備えている。DSP処理装置24でスピーカユニット毎に処理されD/A変換された信号は、対応するスピーカユニット141〜143のパワーアンプアレイ381〜383で増幅され、スピーカアレイ401〜403の各スピーカに出力される。
そして、フィルタリング処理された信号に対応する音波、即ち、騒音の逆相波が、制御音16としてスピーカユニット141〜143の各々から制御点C1〜C3に向けて放射され、制御点C1〜C3の各々において騒音源Sからの騒音12が、制御音16により打ち消される。
以上説明した通り、本実施の形態では、高速道路の防音壁に騒音制御ユニットが付設されているが、この騒音制御ユニットは、複数のスピーカユニットを備えており、騒音の入射方向に応じてスピーカユニット毎に異なる方向に制御音を発生させることで、正面入射波と共に斜め入射波を制御し、移動音源である自動車の走行により種々の方向から伝播してくる騒音を効果的に低減することができる。
また、単一の音源マイクロホンで集音された音波をDSP処理すると共に、騒音の入射方向に応じて設けられたスピーカユニット毎に処理を行うので、DSP処理装置の構成が簡単になる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係る交通騒音低減システムは、騒音制御ユニットを単一の音源マイクロホンと複数のスピーカユニットとを含んで構成した以外は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一部分については説明を省略し相違点のみ説明する。
騒音制御ユニット106は、図17に示すように、防音壁10の騒音源側に配置された複数(図では3個)のスピーカユニット144〜146と、単一の音源マイクロホン20bとを備えている。スピーカユニット144〜146は、防音壁10に沿って所定間隔で配列され、スピーカユニット144〜146の各々は、複数(図では9個)のスピーカが防音壁10に沿って1列に配列されたスピーカアレイ404〜406を備えている。音源マイクロホン20bは、スピーカユニット144に対し自動車の到来側に配置され、制御対象となる騒音波の入射方向(図では、自動車の到来側の斜め方向)に強い指向性を有している。
スピーカユニット144〜146の各々は、第1の実施の形態と同様に、防音壁10の頂点で制御音16が回折するように、防音壁10の上辺から所定距離離間して、防音壁10の内側に配置されている。また、スピーカユニット144〜146の各々は、防音壁10の頂点で回折された制御音16が、防音壁10の外側で且つスピーカユニット毎に設定された制御点に到達するように、防音壁10の頂点に向って制御音16を放射する。
また、騒音制御ユニット106のDSP処理装置24は、図18に示すように、プリアンプ22を介して音源マイクロホン20bに接続されると共に、スピーカユニット144〜146の各々に接続されている。音源マイクロホン20bで集音された音波は、対応するプリアンプ22で増幅され、DSP処理装置24に入力される。
DSP処理装置24は、プリアンプ22に対応して設けられたA/D変換器26、フィルタ係数が予め設定された逆フィルタ287〜289、スピーカの配列順序に応じて信号を遅延する遅延回路301〜303、及びマルチチャンネルD/A変換器34を備えている。なお、フィルタ係数W7、W8、W9の設定については、既に説明した通りであり、本実施の形態においても第2の実施の形態と同様にマルチチャンネルアナログ加算回路36が設けられている。
逆フィルタ287〜289の各々は、A/D変換器26から入力されたデジタル信号と設定されたフィルタ係数とを用いて、デジタルフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理された信号は、遅延回路301〜303に入力され、スピーカの配列順序に応じて遅延される。遅延回路301〜303で得られた遅延信号の各々は、マルチチャンネルD/A変換器34に入力され、D/A変換されて、マルチチャンネルアナログ加算回路36で加算された後、対応するスピーカユニット144〜146に出力される。
本実施の形態では、自動車の到来側に配置されたスピーカユニット144に出力される信号には、スピーカ1〜9に対応して、例えば、配列順に0、τ、2τ、3τ、4τ、5τ、6τ、7τ、8τの遅延時間が各々与えられる。また、中央に配置されたスピーカユニット145に出力される信号には、スピーカ1〜9に対応して、例えば、配列順に0、2τ、4τ、6τ、8τ、10τ、12τ、14τ、16τの遅延時間が各々与えられる。更に、自動車の通過側に配置されたスピーカユニット146に出力される信号には、スピーカ1〜9に対応して、例えば、配列順に0、3τ、6τ、9τ、12τ、15τ、18τ、21τ、24τの遅延時間が各々与えられる。
このように、信号をスピーカの配列順序に応じて遅延させることで、図17に点線で示すように、スピーカ1〜9を実際の配列方向と所定角度を成す方向に1列に配列した場合と同様、斜め方向に制御音の波面を傾けることができ、斜め入射波を逆相波で効率良く打ち消すことができる。
スピーカユニット144〜146は、対応するスピーカアレイ404〜406の外に、スピーカアレイ404〜406の各スピーカに対応してパワーアンプが配列されたパワーアンプアレイ384〜386を備えている。DSP処理装置24でスピーカユニット毎に処理されD/A変換された信号は、加算された後、対応するスピーカユニット144〜146のパワーアンプアレイ384〜386で増幅され、スピーカアレイ404〜406の各スピーカに出力される。
そして、フィルタリング処理された信号に対応する音波、即ち、騒音の逆相波が、制御音16としてスピーカユニット144〜146の各々から対応する制御点に向けて放射され、制御点の各々において騒音源Sからの騒音12が、制御音16により打ち消される。
以上説明した通り、本実施の形態では、高速道路の防音壁に騒音制御ユニットが付設されているが、この騒音制御ユニットは、複数のスピーカユニットを備えており、騒音の入射方向に応じてスピーカユニット毎に異なる斜め方向に制御音を発生させることで、斜め入射波を制御し、移動音源である自動車の走行により種々の方向から伝播してくる騒音を効果的に低減することができる。
特に、スピーカユニットに対し自動車の到来側に音源マイクロホンを配置しているので、遠方から到来する斜め入射波、即ち、ドップラー効果を生じている音波を集音することができる。そして、この音波を元にして制御音を発生させるので、ドップラー効果にも対応することができる。また、制御音の波面を傾ける角度を、自動車の到来側から通過側に向って徐々に大きくすることで、種々の角度で入射する斜め入射波を効率良く打ち消すことができる。
また、単一の音源マイクロホンで集音された音波をDSP処理すると共に、騒音の入射方向に応じて設けられたスピーカユニット毎に処理を行うので、DSP処理装置の構成が簡単になる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係る交通騒音低減システムは、第2の実施の形態の騒音制御ユニット104と、第3の実施の形態の騒音制御ユニット106とを組合せて構成したものである。この構成によれば、騒音制御ユニット104により騒音制御ユニット104の正面近傍に位置する消音範囲1内の騒音を制御、低減することができると共に、騒音制御ユニット106により騒音制御ユニット104の斜め方向に位置する消音範囲2内の騒音を制御、低減することができる。
消音範囲2に到来する騒音は、ドップラー効果を生じている。騒音制御ユニット104では、中央のスピーカユニットの正面に音源マイクロホン20aを配置し、この音源マイクロホン20aで集音された音波をDSP処理して制御音を発生させるので、ドップラー効果には対応することができない。
一方、騒音制御ユニット106では、スピーカユニットに対し自動車の到来側に音源マイクロホン20bを配置しているので、遠方から到来する斜め入射波、即ち、ドップラー効果を生じている音波を集音し、この音波を元にして制御音を発生させるので、ドップラー効果にも対応することができる。
以上説明した通り、本実施の形態では、正面入射波と共に斜め入射波を制御し、移動音源である自動車の走行により種々の方向から伝播してくる騒音を、より広い領域で効果的に低減することができる。
なお、上記の第1、第2、及び第4の実施の形態では、正面方向と斜め前方向とから入射する騒音を低減する例について説明したが、正面方向、斜め前方向、及び斜め後ろ方向とから入射する騒音を低減するように、騒音制御ユニットを構成してもよい。
また、スピーカとしては、一般に使用されるボックス型のスピーカを用いることもできるが、防音壁に取り付けて使用するため、コンパクトな平面スピーカを用いることが好ましい。
上記各実施の形態では、マイクロホンとして指向性が異なる複数種類のマイクロホンを用いる例について説明したが、一方向、例えば正面方向に指向性を有する一種類のマイクロホンを用いるようにしてもよい。
次に、スピーカユニット及びマイクロホンの取り付け位置の変形例について説明する。上記では、防音壁の上辺にスピーカユニットを取り付けた例について説明したが、スピーカユニット及びマイクロホンは、以下で説明するように取り付けるようにしてもよい。なお、以下では1つのスピーカユニット及びこのスピーカユニットに対応するマイクロホンについて説明するが、他のスピーカユニット及びマイクロホンについても同様であるので、説明を省略する。
図22(1)の変形例は、遮音板62を防音壁10の上辺側の内側壁面に水平に取り付け、スピーカユニット14k(kは、例えば1〜6である)を遮音板62の上面の略中央部に取り付けると共に、マイクロホン20をスピーカユニットの下側で防音壁から防音壁の内側に離れた位置に配置したものである。この変形例の場合、制御音は斜め上方に放音されるため、騒音の直接音を低減する場合に好適である。
図22(2)の変形例は、遮音板62の一端側を防音壁10の上辺に固定して遮音板62を防音壁の内側に張り出すように水平に取り付け、スピーカユニット14kを遮音板62の上面の防音壁10への固定側と反対の縁側に取り付けると共に、マイクロホン20をスピーカユニットの下側で防音壁から防音壁の内側に離れた位置に配置したものである。
図22(3)の変形例は、遮音板62の一端側を防音壁10の上辺に固定して遮音板62を防音壁の外側に張り出すように水平に取り付け、スピーカユニット14kを遮音板62の上面の防音壁10への固定側と反対の縁側に取り付けると共に、マイクロホン20を防音壁の下側内壁面に配置したものである。
図22(4)の変形例は、図22(3)の変形例と同様に遮音板62を取り付け、スピーカユニット14kを遮音板62の下面の防音壁10への固定側と反対の縁側に取り付けると共に、マイクロホン20を防音壁の上側内壁面から離れた位置にに配置したものである。
図22(5)の変形例は、遮音板を用いることなくスピーカユニット14kを防音壁の上辺に沿って取り付けると共に、マイクロホン20を防音壁の下側内壁面に配置したものである。
アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)の消音原理を説明するための図である。 従来のANCシステムを備えた防音障壁の構成を示す概略図である。 (A)は、高速道路を走行する自動車(騒音源S)、騒音の観測点O、及び騒音低減の制御区間Lの位置関係を示す図であり、(B)は、騒音源Sの各位置から伝播する騒音の観測点Oにおける音圧レベルを示すグラフである。 制御区間Lにおける騒音制御ユニットの配置を示す平面図である。 第1の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示す平面図である。 第1の実施の形態の騒音制御ユニットを防音壁に垂直な面で切断した模式的な断面図である。 第1の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。 遅延回路の回路構成を示すブロック図である。 (A)及び(B)は、制御点に配置されたマイクロホンの入力に基づくインパルス応答を示す線図である。 DSP処理装置の逆フィルタの作用を説明するための説明図である。 (A)〜(C)は、第1の実施の形態の騒音制御ユニットから正面方向と斜め2方向とに制御音が放射される原理を説明するための説明図である。 遅延時間τと制御音の波面の傾きθとの関係を説明する説明図である。 騒音源Sから伝播する騒音の制御点Cにおける音圧レベルの時間変化を示すグラフである。 第1の実施の形態の騒音制御ユニット近傍での音圧レベルの変化をシミュレーションした結果を示す線図である。 第2の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示す平面図である。 第2の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示す平面図である。 第3の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。 第4の実施の形態の騒音制御ユニットの概略構成を示す平面図である。 第1の実施の形態において、正面方向のみ制御した場合の減音量のシミュレーション結果を示す線図である。 第1の実施の形態において、斜め方向に制御音の波面を傾け、斜め方向にのみ制御した場合の減音量のシミュレーション結果を示す線図である。 スピーカユニット及びマイクロホンの取り付け位置を示す変形例を示す図である。
符号の説明
S 騒音源
O 観測点
C 制御点
L 制御区間
10 防音壁
12 騒音
14、141〜146 スピーカユニット
16 制御音
20、201〜203、20a、20b 音源マイクロホン
22、221〜223 プレアンプ
24 DSP処理装置
281〜289 逆フィルタ
301〜303 遅延回路
32 マルチチャンネル加算回路
34 マルチチャンネルD/A変換器
36 マルチチャンネルアナログ加算回路
38、381〜386 パワーアンプアレイ
40、401〜406 スピーカアレイ
100 高速道路
102、104、106 騒音制御ユニット

Claims (7)

  1. 騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された騒音集音マイクロホンと、
    前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算されたフィルタ係数と、前記騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した制御信号を出力するフィルタと、
    複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、
    前記複数のスピーカの各々に、前記制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力する入力回路と、
    を含む騒音低減装置。
  2. 前記制御音源を複数個設け、入力回路によって、前記制御音源毎に、該制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力する請求項1に記載の騒音低減装置。
  3. 騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第1の騒音集音マイクロホンと、
    前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第2の騒音集音マイクロホンと、
    前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第1のフィルタ係数と、前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力する第1のフィルタと、
    前記制御点マイクロホン出力と前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第2のフィルタ係数と、前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力する第2のフィルタと、
    複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、
    前記複数のスピーカの各々に、前記第1の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号を、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力すると共に、前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力する入力回路と、
    を含む騒音低減装置。
  4. 前記制御音源を複数個設け、入力回路によって、所定の制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記第1の遅延制御信号を前記複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、他の制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力する請求項3に記載の騒音低減装置。
  5. 騒音源から放射され且つ該騒音源から放射された騒音を低減する防音壁に対して第1の斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第1の騒音集音マイクロホンと、
    前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して正面方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第2の騒音集音マイクロホンと、
    前記騒音源から放射され且つ前記防音壁に対して前記第1の斜め方向と異なる第2の斜め方向から入射する騒音を集音する指向性を有し、且つ前記防音壁の内側に配置された第3の騒音集音マイクロホンと、
    前記防音壁の外側に設定された制御点に配置された制御点マイクロホン出力と前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるよう演算された第1のフィルタ係数と、前記第1の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第1の制御信号を出力する第1のフィルタと、
    前記制御点マイクロホン出力と前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第2のフィルタ係数と、前記第2の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第2の制御信号を出力する第2のフィルタと、
    前記制御点マイクロホン出力と前記第3の騒音集音マイクロホン出力とに基づいて前記制御点における騒音が低減されるように演算された第3のフィルタ係数と、前記第3の騒音集音マイクロホン出力とに基づいてデジタルフィルタ処理した第3の制御信号を出力する第3のフィルタと、
    複数のスピーカが所定方向に配列されると共に、該複数のスピーカの各々から放射される音で構成される制御音が前記制御点に到達するように配置された制御音源と、
    前記複数のスピーカの各々に、前記第1の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第1の遅延制御信号と、前記第3の制御信号を前記防音壁への騒音の入射方向に応じて所定時間ずつ遅延させた第2の遅延制御信号とを、前記複数のスピーカの配列順序に応じて入力すると共に、前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力する入力回路と、
    を含む騒音低減装置。
  6. 前記制御音源を複数個設け、入力回路によって、所定の制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記第1の遅延制御信号を前記複数のスピーカの配列順に応じて入力すると共に、他の制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記第2の制御信号を入力し、更に他の制御音源を構成する前記複数のスピーカの各々に、前記第2の遅延制御信号を前記複数のスピーカの配列順に応じて入力する請求項5に記載の騒音低減装置。
  7. 放音方向が所定方向を向くように配列された複数個のスピーカを備えた複数の制御音源と、
    前記制御音源と前記騒音源との間に配置されて、前記騒音源から放音された騒音を集音し、集音した騒音に対応する音響信号を出力するマイクロホンと、
    前記音響信号と逆位相の制御音を放音するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    前記制御信号を予め定められた時間ずつ遅延させた複数の遅延制御信号を出力する遅延手段と、
    前記制御信号がいずれかの制御音源の前記スピーカの各々に同時に入力され、かつ制御音源の一端側のスピーカから他端側のスピーカに向かって遅延時間が徐々に長くなるように前記遅延制御信号の各々が他の制御音源の前記スピーカの各々に入力されるように制御する制御手段と、
    を含む騒音低減装置。
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