JP2006136971A - 圧入部品装着冶具 - Google Patents

Abstract

【課題】 圧入部品の摩耗を防止し、しかも切り粉等の異物を発生させずに圧入部品をワークに設けた挿入孔に装着することができる圧入部品装着冶具を提供する。
【解決手段】スプリングピン６の縮径が可能なピン縮径部１８と、シリンダ１４の挿入ロッド１２がピン縮径部１８内を通過することでスプリングピン６を縮径させ、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔に挿入したときに、スプリングピン６を径方向外方に弾性復帰させて装着するようにしており、挿入孔の開口周縁にスプリングピン６が接触しないので切り粉が発生しないとともに、装着時のスプリングピン６の摩耗が防止される。
【選択図】 図３

Description

本発明は、弾性変形により縮径可能な圧入部品をワークに設けた挿入孔に装着する圧入部品装着冶具であり、例えば、径方向にバネ力が作用する横断面Ｃ形状のスプリングピンをワークの挿入孔に装着する際に好適な圧入部品装着冶具に関する。

前述したスプリングピンをワークに設けた挿入孔に装着する従来の装置として、例えば特許文献１に示す装置が知られている。
この従来装置は、ミッションに組み付けられたシフトロッドとシフトフォークのボス部の両者に形成したピン挿入孔にスプリングピンを圧入する装置であり、圧入部品供給手段から供給されてきたスプリングピンを保持した圧入部品保持手段を、回転軸心回りに回転させることでシフトロッドとシフトフォークのボス部のピン挿入孔の軸線上にスプリングピンを位置させ、圧入手段の圧入パンチを前記軸線に沿って前進させることで、圧入部品保持手段が保持するスプリングピンをピン挿入孔に向けて圧入していく。
特開平０８−７１８６１号公報

ところで、スプリングピンの挿入孔への固着は、スプリングピンを縮径することにより自由形状に戻ろうとする径方向外方への弾性復帰力を利用するものであるため、自由形状における外径が挿入孔の径に対して大きいスプリングピンを使用する。従来の装置は、自然形状のままのスプリングピンを圧入パンチによりピン挿入孔に圧入するので、スプリングピンがピン挿入孔の開口縁部に接触し縮径されて孔内部に入り込んでいく。従って、ピン挿入孔の開口縁部と接触する際に切り粉が発生する可能性があり、ミッション内に異物が混入しやすいという問題がある。また、ピン挿入孔の開口縁部との接触によりスプリングピンが摩耗しやすいという問題がある。

また、従来の装置は、圧入部品供給手段、圧入部品保持手段、圧入パンチを備えた圧入手段等の複数の装置が相互に連動しながらスプリングピンの圧入動作を行うので、装置全体が大掛かりとなり、複雑な制御を必要とする装置であった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、圧入部品の摩耗を防止し、しかも切り粉等の異物を発生させずに圧入部品をワークに設けた挿入孔に装着することができるとともに、コンパクトで操作が簡単な圧入部品装着冶具を提供することを目的としている。

本発明に係る圧入部品装着冶具は、弾性変形により縮径可能な圧入部品をワークに設けた挿入孔に装着する圧入部品装着冶具であって、前記圧入部品を前記挿入孔の孔径以下に縮径する縮径部と、この縮径部で縮径した前記圧入部品を前記挿入孔に装着するアクチュエータ部とを備えたことを特徴とする冶具である。

本発明に係る圧入部品装着冶具によると、圧入部品をワークに設けた挿入孔の孔径以下に縮径を可能とする縮径部と、この縮径部で縮径した前記圧入部品を前記挿入孔に装着するアクチュエータ部とを備えており、挿入孔の開口周縁に圧入部品が接触せずに挿入孔に装着されるので、接触による切り粉が発生せず、ワーク周囲の装置に切り粉による異物が混入することがない。また、装着時の圧入部品の摩耗を防止することで、圧入部品の耐久性を向上させることができる。

以下、本発明に係るスプリングピン装着冶具の１実施形態について図面を参照しながら説明する。
自動変速機のトランスミッション内にはパーキング装置を構成するマニュアルシャフトが組み込まれており、このマニュアルシャフトにはマニュアルプレートが一体に連結されている。

図１は、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の連結構造を示す図であり、マニュアルシャフト２は孔径ｄの挿入孔２ａが径方向に貫通して形成され、マニュアルプレート４はマニュアルシャフト２に外挿する最大外径ｈのボス部４ｂを備え、このボス部４ｂにマニュアルシャフト２の挿入孔２ａと同径の挿入孔４ａが径方向に貫通して形成されている。そして、挿入孔２ａ、４ａの芯合わせを行った後、スプリングピン６を装着することでマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４が一体に連結される。

スプリングピン６は、図２に示すように、円筒部材の軸線に沿う方向にスリット６ａを設けてなる横断面Ｃ形状の部材であり、長手寸法Ｈはマニュアルプレート４のボス部４ｂの最大外径ｈより長く、自由形状の外径Ｄは、前記挿入孔２ａ、４ａの孔径ｄより僅かに大きな寸法に設定されている。

図３は、前述したマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａにスプリングピン６を装着するピン装着冶具１０を示す図である。
ピン装着冶具１０は、挿入ロッド１２が進退移動する油圧駆動式のアクチュエータ部１４と、挿入ロッド１２が前進する方向に配置した装填ブロック１６及びピン縮径部１８を保持する台座１４ｉと、アクチュエータ部１４と台座１４ｉを連結する連結ブロック１０２を備えている。

アクチュエータ部１４は、シリンダ１４ａと、このシリンダ１４ａ内の軸方向に移動し段部１０３及び段部１０４を設けているとともに、先端部に挿入ロッド１２を同軸に連結しているピストン１４ｂと、シリンダ１４ａの一方の開口部を閉塞しているヘッドカバー１４ｄと、シリンダ１４ａ内に連通するようにヘッドカバー１４ｄに形成した油入出ポート１４ｅと、ピストン１４ｂをヘッドカバー１４ｄ側に戻すバネ力が作用し、段部１０４と連結ブロック１０２間に介装されるリターンスプリング１４ｈとを備えている。なお、図示しない油圧発生手段により、油入出ポート１４ｅから油圧の導入、油圧の排出が行われるようになっている。

台座１４ｉは、シリンダ１４ａの他方の開口部に連通しピストン１４ｂが通過するロッド通過孔１４ｆと、ワーク保持部２０とを備えている。ワーク保持部２０は、マニュアルシャフト２の外周を保持する曲面形状のシャフト保持部２０ａと、マニュアルシャフト２に外挿したマニュアルプレート４のボス部４ｂの外周が面接触するように曲率半径ｈの保持曲面を設けたボス保持部２０ｂとを備えている。また、挿入ロッド１２は、ピストン１４ｂの先端部に同軸に連結してロッド通過孔１４ｆに遊挿されている。

装填ブロック１６は、台座１４ｉ上に、ピン縮径部１８よりシリンダ１４ａに寄った位置でボルトにより固定されている。この装填ブロック１６の固定位置は、後述するピン縮径部１８の入側の孔開口２２ａに向けてスプリングピン６を装填する位置である。この装填ブロック１６には、図４に示すように、挿入ロッド１２が通過する装填空間１６ａと、この装填空間１６ａと外部とを連通する装填口１６ｂとが形成されている。装填口１６ｂは、スプリングピン６の自由形状の外径より僅かに大きな幅とした矩形状の小窓形状として形成されているとともに、装填口１６ｂの長手方向の周縁には、面取り部１６ｃが設けられている。

ピン縮径部１８は、台座１４ｉ上の装填ブロック１６下方にボルトにより固定されており、挿入ロッド１２の軸線と一致する方向にテーパ状の貫通孔２２を設けている。このテーパ状の貫通孔２２は、図５に示すように、装填ブロック１６の装填空間１６ａを向く入側の孔開口２２ａを、スプリングピン６の自由形状の外径Ｄより大きな孔径とし、出側の孔開口２２ｂを、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａの孔径ｄと同径としている。

そして、貫通孔２２の入側の孔開口２２ａ側は、装填空間１６ａと連通している。入側の孔開口２２ａは、装填口１６ｂと略同幅の切り欠き１０１によりＵ字型のピン装填案内部２４が形成される。装填口１６ｂ及び切り欠き１０１からスプリングピン６を装填するとき、スプリングピン６の端部をピン装填案内部２４の底面２４ａに当接させながら、スプリングピン６を完全に装填すると、スプリングピン６の軸が貫通孔２２の軸と一致する。また、貫通孔２２の出側の孔開口２２ｂには、同径部１００と同径のストレート部２６が形成されている。

次に、本実施形態のピン装着冶具１０を使用してマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａにスプリングピン６を装着する手順について説明する。
先ず、トランスミッション内に組み込まれているマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４をピン装着冶具１０のワーク保持部２０で保持する。
そして、装填ブロック１６の装填口１６ｂからスプリングピン６を装填する。この際、装填口１６ｂは、矩形状の小窓形状として形成されており、しかも、装填口１６ｂの長手方向の周縁に面取り部１６ｃが設けられているので、スプリングピン６を安全で且つ容易に装填することが可能となる。そして、スプリングピン６の長手方向の端部を切り欠き１０１と対向するピン装填案内部２４の底面２４ａに当接させて装填することで、スプリングピン６はピン縮径部１８の貫通孔２２と一致し、テーパ状の貫通孔２２の途中で止まり保持される。

次に、アクチュエータ部１４の油入出ポート１４ｅに油圧発生手段から油圧を導入することでピストン１４ｂの移動によって挿入ロッド１２を前進させる。前進した挿入ロッド１２は、ピン縮径部１８の貫通孔２２に入り込んでいく。挿入ロッド１２及びピストン１４ｂの前進は、ピストン１４ｂに設けられた段部１０３が連結ブロック１０２に当接することにより停止されるため、スプリングピン６が挿入ロッド１２により押し出される変位量は常に一定である。

スプリングピン６は挿入ロッド１２に押されて貫通孔２２内を徐々に縮径しながら出側の孔開口２２ｂを通り過ぎ、挿入孔２ａ、４ａに向けて移動していく。スプリングピン６は挿入ロッド１２から押圧を受けて貫通孔２２内を移動し、縮径される。その際、図７（ａ）に示すように、スプリングピン６は貫通孔２２のテーパに沿うように押し出されるため、スプリングピン６先端は、後端より孔径が小さくなる。同径部１００より下方に押し出されたスプリングピン６の先端の孔径はストレート部２６及び挿入孔２ａ，４ａの孔径ｄより小さくなっており、挿入孔２ａ、４ａの開口周縁には接触せずに挿入される。また、スプリングピン６の縮径動作の繰り返しに伴って同径部１００が摩耗する。しかし、ストレート部２６が長手方向に所定の長さを有しているので、ストレート部２６に新たな同径部（図示せず）が形成されるためスプリングピン６を縮径させて、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ，４ａに挿入することができる。

そして、図７（ｂ）に示すように挿入ロッド１２がさらに前進してスプリングピン６がピン縮径部１８から出ると、スプリングピン６が径方向外方に弾性復帰して、挿入孔２ａ、４ａに完全に装着された状態となり、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４にスプリングピン６が固着される。

前述したように、スプリングピン６の長手寸法Ｈはマニュアルプレート４のボス部４ｂの最大外径より長くなっており、また、挿入ロッド１２及びピストン１４ｂの前進に伴うスプリングピン６の変位量は常に一定であるため、挿入ロッド１２の長手寸法により図７(ｂ)に示すように、マニュアルプレート４のボス部４ｂからスプリングピン６の両端が突出する。
なお、油入出ポート１４ｅから油圧を排出すると、リターンスプリング１４ｈがピストン１４ｂをヘッドカバー１４ｄ側に戻し、それにより、ワーク保持部２０側まで前進していた挿入ロッド１２はロッド支持部１４ｇ側に後退していく。
本実施形態では、以下の効果を奏する。

（ａ）スプリングピン６をマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａの孔径以下に縮径するピン縮径部１８と、このピン縮径部１８で縮径したスプリングピン６を挿入孔２ａ、４ａに装着するアクチュエータ部１４を備えているので、挿入孔２ａ、４ａの開口周縁にスプリングピン６が接触せず切り粉が発生せず、トランスミッション内に切り粉による異物が混入しない。また、装着時のスプリングピン６の摩耗を防止することで、スプリングピン６の耐久性を向上させることができる（請求項１に対応）。

（ｂ）ピン縮径部１８は、入側の孔開口２２ａをスプリングピン６の自由形状の外径寸法より大きな開口とし、出側の孔開口２２ｂを挿入孔２ａ、４ａの孔径以下の開口としたテーパ状の貫通孔２２を備えているので、入側の孔開口２２ａから出側の孔開口２２ｂまでスプリングピン６を通過させることで、簡単に縮径動作を行うことができる（請求項２に対応）。

（ｃ）貫通孔２２の出側の孔開口２２ｂには、ストレート部２６を同径部１００より下方に所定の長さを有して設けているので、スプリングピン６が挿入孔２ａ、４ａに挿入される際のスプリングピン６の先端は挿入孔２ａ、４ａの孔径以下となる。また、スプリングピン６の縮径動作の繰り返しに伴って生じる同径部１００部分の摩耗に対して、長期にわたってスプリングピン６を目的の径以下に縮径可能である（請求項３に対応）。

（ｄ）入側の孔開口２２ａに、貫通孔２２の長手方向に対して直交しスプリングピン６を装填するための切り欠き１０１を設けたので、スプリングピン６を貫通孔２２にセットする際、入側の孔開口２２ａに設けられた切り欠き１０１によりスプリングピン６をピン装填案内部２４の底面２４ａに沿って装填することで、スプリングピン６を確実に貫通孔２２に導くことができる（請求項４に対応）。

（ｅ）ピン縮径部１８の入側の孔開口２２ａ側に装填ブロック１６を設け、装填ブロック１６には貫通孔２２に連通する空間部と、同空間に通じスプリングピン６の自由形状の外径と略同幅の装填口１６ｂを設けたので、作業者の指が入り込まず、スプリングピン６を安全に装填することができる。また、装填口１６ｂの周縁に面取り部１６ｃを設けたので、スプリングピン６の装填を容易に行うことができる（請求項５に対応）。

（ｆ）出側の孔開口２２ｂの下方に、マニュアルシャフト２の外周を保持するシャフト保持部２０ａと、マニュアルシャフト２に外挿したマニュアルプレート４のボス部４ｂの外周を受けるボス保持部２０ｂとを備えているので、スプリングピン６の装着時に、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４のボス部４ｂに加わる負荷を受けることができ、マニュアルシャフト２及びボス部４ｂの変形を防止し、スプリングピン６を確実にマニュアルシャフト２及びボス部４ｂに装着することができる（請求項６に対応）。

（ｇ）アクチュエータ部１４の挿入ロッド１２の前進動作により、スプリングピン６を貫通孔２２に挿通し、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａに装着することができるので、コンパクトで操作が簡単な圧入部品装着冶具１０となる（請求項７に対応）。
（ｈ）径方向にバネ力が作用する横断面Ｃ形状のスプリングピン６を簡単に縮径し、確実にマニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４の挿入孔２ａ、４ａに装着することができる（請求項８に対応）。

なお、本実施形態では、マニュアルシャフト２及びマニュアルプレート４を連結するために、それらの挿入孔２ａ、４ａにスプリングピン６を装着するための冶具として説明したが、他のワークに設けた挿入孔に縮径可能な圧入部品を装着するための冶具として使用しても、同様の効果を奏することができる。

本発明に係るワークに設けた挿入孔に圧入部品を装着する構造を示した図である。 本発明に係る圧入部品としてのスプリングピンの形状を示す図である。 本発明に係る圧入部品装着冶具の全体構造を示す図である。 本発明の圧入部品装着冶具を構成する装填ブロックを示す図であって図３のIV−IV線矢視図である。 本発明の圧入部品装着冶具を構成する縮径部を示す図である。 図５のVI−VI線矢視図である。 本発明に係る圧入部品装着冶具を簡略化して圧入部品の装着動作を示す図である。

符号の説明

２ マニュアルシャフト（ワーク）
２ａ マニュアルシャフトの挿入孔
４ マニュアルプレート（ワーク）
４ａ マニュアルプレートの挿入孔
４ｂ マニュアルプレートのボス部
６ スプリングピン（圧入部品）
１０ ピン装着冶具（圧入部品装着冶具）
１２ 挿入ロッド
１４ アクチュエータ部
１６ 装填ブロック
１６ｂ 装填口
１６ｃ 面取り部
１８ ピン縮径部（縮径部）
２０ ワーク保持部
２２ テーパ状の貫通孔
２２ａ 入側の孔開口
２２ｂ 出側の孔開口
２４ ピン装填案内部
２４ａ ピン装填案内部の底面
２６ ストレート部
１００ 同径部
１０１ 切り欠き
１０２ 連結ブロック
１０３ 段部
１０４ 段部

Claims (8)

1. 弾性変形により縮径可能な圧入部品をワークに設けた挿入孔に装着する圧入部品装着治具であって、
   前記圧入部品を前記挿入孔の孔径以下に縮径する縮径部と、この縮径部で縮径した前記圧入部品を前記挿入孔に装着するアクチュエータ部とを備えたことを特徴とする圧入部品装着治具。
2. 前記縮径部は、入側の孔開口を前記圧入部品の自由形状の外径寸法より大きな開口とし、出側の孔開口を前記挿入孔の孔径以下の開口としたテーパ状の貫通孔を設けており、前記圧入部品を前記貫通孔の前記入側の孔開口から前記出側の孔開口まで通過させて縮径させることを特徴とする請求項１記載の圧入部品挿入治具。
3. 前記出側の孔開口は、ストレート部を設けていることを特徴とする請求項２記載の圧入部品装着治具。
4. 前記入側の孔開口には、貫通孔の長手方向に対して直交し前記圧入部品を装填するための切り欠きを設けたことを特徴とする請求項２又は３に記載の圧入部品装着治具。
5. 前記縮径部の前記入側の孔開口側に装填ブロックを設け、前記装填ブロックには前記貫通孔に連通する空間部と、同空間に通じ前記圧入部品の自由形状の外径と略同幅の装填口を設け、前記装填口の周縁に面取り加工を施したことを特徴とする請求項２乃至４の何れかに記載の圧入部品装着治具。
6. 前記縮径部の前記出側の孔開口の下方にワークを保持する保持部を設けたことを特徴とする請求項２乃至５の何れかに記載の圧入部品装着治具。
7. 前記アクチュエータ部は、互いに軸線を一致させた前記貫通孔及び前記ワークの挿入孔の前記軸線上を進退移動する挿入ロッドを備えた流体シリンダであり、前記挿入ロッドの前進動作により、前記圧入部品を前記貫通孔に挿通し、前記ワークの挿入孔に装着することを特徴とする請求項２乃至６の何れかに記載の圧入部品装着治具。
8. 前記圧入部品は、径方向にバネ力が作用する横断面C形状のスプリングピンであることを特徴とする請求項１乃至７の何れかに記載の圧入部品装着治具。

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