JP2006133756A - 湿し水不要平版印刷版原版 - Google Patents

湿し水不要平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】現像処理工程、印刷工程等における非画像部のキズ付きを抑制し、印刷物インキ汚れの問題を抑制した水なし平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、支持体が0.01〜0.12kW/m2/分のコロナ放電処理を施された支持体であり、該支持体上に直接設けた光熱変換層が、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が111ml/100g以上のカーボンブラックを含有するか、あるいは1次粒子の平均粒径が25nm〜75nmのカーボンブラックを含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明はレーザー光によるヒートモード記録によって画像形成可能な、湿し水を必要としない印刷ができる高感度な湿し水不要平版印刷版原版(以下、水なし平版印刷版原版と称す。)に関し、特に、耐傷性に優れた水なし平版印刷版原版に関する。
従来の湿し水を必要とする印刷方式は湿し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難しく、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の原因となるなど、大きな問題点を有していた。それに対して、水なし平版印刷版原版は湿し水を必要としないために数多くの利点を有する。
一方、近年プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンターなどの出力システムの急激な進歩によって、印刷画像をデジタルデータ化し、コンピューター・トゥ・プレート、コンピューター・トゥ・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を得る方法が提案されるようになり、これらの印刷システムのための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進められている。
レーザー書き込み可能な水なし平版印刷版原版の例としては、カーボンブラック等のレーザー光吸収剤およびバインダーを含有した層または金属薄膜層からなる光を熱に変換する層(以下、光熱変換層と称す。)上にインキ反撥性のシリコーンゴム層を設けた平版印刷版原版が挙げられる。この平版印刷版原版にレーザー照射することにより、照射部のシリコーンゴム層が除去されてインク付着性領域(画像部)となり、未照射のシリコーンゴム層残存領域が撥インク領域(非画像部)となって、水なし印刷が可能となる。
このような水なし平版印刷版原版は、製造コストが安価であり、かつ、レーザー照射部の光熱変換層がアブレーションすることを利用して画像形成しているため、発生した気体がレーザー照射部のシリコーンゴム層を上に押し上げて、その後のレーザー照射部のシリコーンゴム層の除去(以下、現像ともいう。)が効率的に行えるというメリットを有している。
また、このような水なし平版印刷版原版を、ロール形態にして印刷機版胴内に装着し、前記水なし平版印刷版原版の印刷表面が表側になるように版胴上に供給し、前記水なし平版印刷版原版の新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する態様が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、このような水なし平版印刷版原版は、レーザーによる書き込み記録後の現像処理工程、および印刷工程において、非画像部がキズ付くトラブルを起こしやかった。例えば現像処理工程が、現像処理液を含浸させた現像用パッドやブラシなどで版表面をこすってレーザー照射部のシリコーンゴム層を除去する方式である場合には、現像用パッドなどに付着したゴミなどによって非画像部に微細な亀裂や剥離が発生して、印刷物インキ汚れとなってしまうことがあった。
上記シリコーンゴム層のキズ付きを改良する手段として、支持体にコロナ放電処理を施すことが提案されており、コロナ放電処理の条件(処理量)1W/m2/min〜200W/m2/minが有効であることが記載されている(特許文献2参照。)。
国際公開第90/02045号パンフレット 特開平11−245529号公報
しかし、上記技術では、支持体表面に無用なダメージと残渣発生を生じて支持体と光熱変換層との密着性が劣化し、非画像部がキズ付き、印刷物インキ汚れを起こすことがあった。
従って、本発明の目的は、上記のアブレーションを利用して画像形成を行う水なし平版印刷版原版における問題を解決することであり、現像処理工程、印刷工程等における非画像部のキズ付きを抑制し、印刷物インキ汚れの問題を抑制した水なし平版印刷版原版を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、支持体のコロナ放電処理量と、光熱変換層に含有させるカーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量の範囲を規定すること、あるいは支持体のコロナ放電処理量と、光熱変換層に含有させるカーボンブラックの1次粒径の範囲を規定することが重要であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、支持体が0.01〜0.12kW/m2/分のコロナ放電処理を施された支持体であり、該支持体上に直接設けた光熱変換層が、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が111ml/100g以上のカーボンブラックを含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
(2)支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、支持体が0.01〜0.12kW/m2/分のコロナ放電処理を施された支持体であり、該支持体上に直接設けた光熱変換層が、1次粒子の平均粒径が25nm〜75nmのカーボンブラックを含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
以下に、本発明の好ましい態様を挙げる。
(3)前記支持体が、二軸延伸処理したポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
(4)前記コロナ放電処理量が、0.06〜0.09kW/m2/分であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
(5)前記光熱変換層中のカーボンブラック含有率が、光熱変換層全固形分に対して35質量%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
本発明の水なし平版印刷版原版は、ロール形態で印刷機版胴内に装着し、画像形成表面が表側になるように版胴上に供給し、印刷機上でデジタル信号に基づいて赤外線レーザー光による画像の走査露光による像パターンの形成および平版印刷版の製版を行い、その同じ印刷機でその印刷版を用いて印刷する態様においても、現像処理工程や印刷工程における非画像部キズ付き起因によるインキ汚れが抑制された印刷が可能である。
本発明によれば、レーザー光照射および露光部のシリコーンゴム層除去による画像パターン形成を行い、印刷する態様において、非画像部のキズによるインキ汚れのない印刷が可能である水なし平版印刷版原版を提供できる。
以下に、本発明の水なし平版印刷版原版を詳しく説明する。
本発明の水なし平版印刷版原版の構成について述べる。本発明に係る水なし平版印刷版
原版は、支持体上に、少なくとも、光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層するものである。ここで、順次積層とは、これらの層が上記の順に積層されていることを指し、他の層、例えば、オーバーコート層、中間層など他の層の存在を否定するものではないが、光熱変換層は支持体上に直接設けられる。また、該光熱変換層およびシリコーンゴム層と反対面の支持体上にバック層を有していてもよい。
まず、本発明の水なし平版印刷版原版の特徴的構成要素であるコロナ放電処理支持体とカーボンブラック含有光熱変換層について説明する。
〔支持体〕
本発明の水なし平版印刷版原版に用いられる支持体は、通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従って、代表的な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックフイルム、およびそれらと紙や金属、合金を複合させたもの(例えば、紙の上下をポリエチレンで挟んだコート紙や、アルミニウム上にポリエチレンテレフタレートを積層させたもの)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、プラスチックフイルムは、未延伸、一軸延伸、あるいは二軸延伸のいずれであってもよく、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムである。このポリエチレンテレフタレートフイルムには、特開平9−314794号公報に記載されているように、空洞を含有させたものを使用することができる。
本発明においては、これらの支持体の光熱変換層およびシリコーンゴム層を積層する側の表面にコロナ放電処理を施すことが必須である。コロナ放電処理の処理条件は、一般に単位面積及び単位時間当たりの放電量で表される。本発明における実用的な範囲は、0.01〜0.12kW/m2/分であり、好ましくは0.06〜0.09kW/m2/分である。処理量をこの範囲にすることによって、後述する本発明のもう一つの要件である光熱変換層との組合せで、非画像部の耐傷性が向上する。これは、処理量を0.01kW/m2/分以上にすることで支持体と光熱変換層との密着性が向上し、0.12kW/m2/分以下にすることで、コロナ放電処理による支持体表面の無用なダメージと残渣発生を防ぎ、この残渣による支持体と光熱変換層との密着性劣化を回避することが出来るためと考えている。一方、コロナ放電処理量が本発明範囲を外れると、非画像部の耐傷性が著しく劣化するため好ましくない。
本発明に用いられる支持体の厚さは25μmから3mm、好ましくは75μmから500μmが適当であるが、印刷条件により最適な厚さは変動する。一般には100μmから300μmが最も好ましい。
〔光熱変換層〕
本発明の水なし平版印刷版原版に用いられる光熱変換層は、書き込みに使用される赤外線レーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する層であり、この機能を有する光熱変換剤を他の成分中に分散して塗布することにより形成した光熱変換層である。
本発明においてはこの光熱変換剤として、一つの形態において、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が111ml/100g以上のカーボンブラックが用いられる。ここで言うDBP吸油量とは、JIS K6217のアブソープメーターを使用し、カーボンブラックにDBPを添加したときの100g当たりのDBPの吸収量を示す。カーボンブラックの種類によってはカーボンブラックの性状、すなわち粉状か粒状かでDBP吸油量の値
が若干変動するが、本明細書においては特に指定しない限り、粉状のDBP吸油量を指し示しているものとする。
このDBP吸油量は、カーボンブラックの1次粒子の凝集度合いを表す指標となり得る。カーボンブラックのDBP吸油量が高いほど凝集の度合いは高くなり(ハイストラクチャー構造を有する)、DBP吸油量が低くなるにつれて凝集の度合いは低くなる。
カーボンブラックは様々なDBP吸油量のものが市販されているが、この値が版材感度に影響を及ぼすことが従来知られていた。すなわち、1次粒子の凝集度合いが高いと、同じ添加量で比較した場合、版材の黒色度が上がらず、そのためにレーザー光の吸収率が低下し結果的に感度が低下してしまう。また、その粒子凝集のために光熱変換層塗布液の粘度が高くなったりチキソトロピー性を帯びてきたりして、塗布液の取り扱いが困難になり、塗布膜が均一にならなくなる。一方、吸油量が低い場合にはカーボンブラックの分散性が低下し、やはり版材感度が低下しやすくなる。これらから従来、吸油量が20〜300ml/100gの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましいとされてきたが、このDBP吸油量が、コロナ処理した支持体を用いて作製した本発明の水なし平版印刷版の耐傷性にも影響を及ぼすことを、本発明者らは見出した。発現機構はまだ十分には解明できていないが、光熱変換層に用いるカーボンブラックのDBP吸油量を111ml/100g以上にすることによって光熱変換層とコロナ処理支持体との密着性が向上し非画像部の耐傷性が良化する。DBP吸油量が111ml/100g未満であると、非画像部の耐傷性が著しく劣化するため好ましくない。カーボンブラックのDBP吸油量のより好ましい範囲は、113〜130ml/100gである。
また本発明は、この光熱変換剤として、他の形態において、1次粒子の平均粒径が25nm〜75nmのカーボンブラックが用いられる。
カーボンブラックは、様々な粒径のものが市販されているが、この1次粒子の粒径が、コロナ処理した支持体を用いて作製した本発明の水なし平版印刷版の耐傷性に影響を及ぼすことを、本発明者らは見出した。発現機構はまだ十分には解明できていないが、光熱変換層に用いるカーボンブラックの1次粒子の平均粒子径を25nm〜75nmにすることによって光熱変換層とコロナ処理支持体との密着性が向上し非画像部の耐傷性が良化する。平均粒子径が上記範囲を外れると、非画像部の耐傷性が著しく劣化するため好ましくない。カーボンブラックの1次粒子の平均粒子径は、好ましくは28〜65nmの範囲であり、より好ましくは30〜50nmである。
このようなカーボンブラックの例としては、酸性カーボンブラック、塩基性カーボンブラック、中性カーボンブラックなど各種カーボンブラック、分散性改良等のために表面修飾もしくは表面コートされた各種カーボンブラック等が挙げられる。
またその製造方法から、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのものが市販されており、商業的にも安価であるため、好ましく使用される。
また、導電性カーボンブラックを使用することにより、版材感度を向上させることができる。このときの電気伝導度は、0.01〜100Ω-1cm-1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10Ω-1cm-1である。具体的には、“CONDUCTEX”40−220、“CONDUCTEX”975BEADS、“CONDUCTEX”900BEADS、“CONDUCTEX”SC、“BATTERY BLACK”(コロンビヤンカーボン日本(株)製)、#3000(三菱化学(株)製)、“デンカブラック
”(電気化学工業(株)製)、“VULCAN XC−72R”(キャボット社製)等がより好ましく使用される。
本発明に用いられる光熱変換層の光熱変換剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して5質量%以上、好ましくは35質量%以上で範囲としては好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは、35〜50質量%である。添加量を5質量%以上とすることにより版材感度が低くならず、70質量%以下とすることで光熱変換層の膜強度が低下せず、隣接する層との密着性も低下しない。
これら光熱変換層は、通常光熱変換剤をバインダーに分散して他の成分と共に塗布法により形成される。前記バインダーには光熱変換剤を溶解又は分散する公知のバインダーが使用され、その例としては、セルロース、ニトロセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体類、アクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体及び共重合体、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等の各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル類の単独重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニルエステル含有の共重合体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル及びポリカーボネート等の縮合系各種ポリマー、並びに「J.Imaging Sci.,P59−64,30(2),(1986)(Frechetら)」、「Polymers in Electronics(Symposium Series,P11,242,T.Davidson,Ed.,ACS Washington,DC(1984)(Ito,Willson ))及び「Microelectronic Engineering,P3−10,13(1991)(E.Reichmanis,L.F.Thompson)」に記載のいわゆる「化学増幅系」に使用されるバインダー等が挙げられる。
その中でも、後述のシリコーンゴム層との密着性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。光熱変換層に使用されるポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物との重付加反応により得ることができる。ジイソシアネート化合物としては例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−(2,2−ジフェニルプロパン)ジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の如き脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等の如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、ジオール化合物としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ジプロピレングリコール、1,2−トリプロピレングリコール、1,2−テトラプロピレングリコール、1,3−ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシ
シクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、2,2’−ジメチロールプロパン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。更にこれらのジオール化合物の縮合反応で得られるポリエーテルや、アジピン酸やテレフタル酸のようなジカルボン酸化合物と上記ジオール化合物の縮合反応で得られるポリエステルジオールも挙げることができる。また、これらのポリウレタン樹脂はその合成時にジアミン化合物やヒドラジンもしくはヒドラジン誘導体のような鎖連結剤を用いてもよい。
特に、特開2001−188339号公報や特開2002−144749号公報に記載されているポリウレタンが感度や感材の保存安定性の観点から極めて良好に使用される。
本発明の光熱変換層に用いられる上記バインダーの添加量は、高熱変換剤全固形分の10〜95質量%が好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。
光熱変換層には、光熱変換層の機械的強度を向上させたり、レーザー記録感度を向上させたり、光熱変換層中の光熱変換剤等の分散性を向上させたり、後述する中間層およびシリコーンゴム層等のような光熱変換層に隣接する層に対する密着性を向上させる等種々の目的に応じて光熱変換層に各種の添加剤を添加することができる。
例えば、感度を向上させるために前記カーボンブラック以外の光熱変換剤を添加してもよい。このような光熱変換剤としては、ニグロシン類、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、アルミニウム、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン、インジウムスズ酸化物等の金属酸化物等、これらの金属の水酸化物、硫酸塩等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
この他にも、有機色素として「赤外増感色素」(松岡著 Plenum Press ,New York,NY(1990))、米国特許第4833124号、欧州特許第321923号、米国特許第4772583号、米国特許第4942141号、米国特許第4948776号、米国特許第4948777号、米国特許第4948778号、米国特許第4950639号、米国特許第4912083号、米国特許第4952552号、米国特許第5023229号等の明細書に記載の各種化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
更にレーザー記録感度を向上させるために、加熱により分解しガスを発生する公知の化合物を添加することができる。この場合には光熱変換層の急激な体積膨張によりレーザー記録感度が向上でき、これらの添加剤の例としては、ジニチロペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4、4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジアミドベンゼン等を使用することができる。また、レーザー記録感度を向上させるために、各種のヨードニウム塩、スルフォニウム塩、フォスフォニウムトシレート、オキシムスルフォネート、ジカルボジイミドスルフォネート、トリアジン等、加熱により分解し酸性化合物を生成する熱酸発生剤の公知の化合物を添加剤として使用することができる。これらを化学増幅
系バインダーと併用することにより、光熱変換層の構成物質となる化学増幅系バインダーの分解温度を大きく低下させ、結果としてレーザー記録感度を向上させることが可能である。
光熱変換剤のカーボンブラックの分散度の向上のため、各種の顔料分散剤添加剤として使用することができる。本発明に用いられる顔料分散剤の添加量は、光熱変換剤に対して1〜70質量%であり、好ましくは、5〜50質量%である。添加量が1質量%以上であれば顔料分散度向上の効果があり版材感度が低くならず、70質量%以下であれば隣接する層との密着力が低下しない。隣接する層に対する密着性を向上させるために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の公知の密着向上剤や、ビニル基含有アクリレート系樹脂、水酸基含有アクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ゼラチン等、隣接する層に対する密着性の良好なバインダーを添加してもよい。本発明に用いられる前記の密着向上剤や密着向上バインダーの添加量は、全光熱変換層組成物に対して5〜70質量%であり、好ましくは、10〜50質量%である。添加量が5質量%以上であれば隣接する層との密着性向上の効果があり、70質量%以下とすることで版材感度が低下しない。
光熱変換層の機械的強度を向上させるために、光熱変換層を硬化させる各種の架橋剤を添加してもよい。この架橋剤としては、例えば、多官能イソシアネート化合物もしくは多官能エポキシ化合物等と、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物、アミン系化合物、尿素系化合物等との組合せが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明に用いられる架橋剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜50質量%であり、好ましくは、2〜20質量%である。添加量が1質量%以上とすることで架橋の効果が現れ、50質量%以下とすることにより光熱変換層の膜強度が強くなりすぎず、シリコーンゴム層に外圧がかかったときのショックアブソーバー効果が無くならず、耐傷性が低化しない。
塗布性を改良するために、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加剤として使用することができる。本発明に用いられる界面活性剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して0.01〜10質量%であり、好ましくは、0.05〜1質量%である。添加量が0.01質量%以上とすることで塗布性が良く均一な光熱変換層の形成が容易となり、10質量%以下とすることにより隣接する層との密着力が低下しない。この他にも必要に応じて、各種の添加剤を使用することができる。
本発明に用いられる光熱変換層の乾燥塗布量は、通常0.05〜10g/m2、好ましくは0.1〜5g/m2である。本発明に用いられる光熱変換層は、光熱変換層形成用塗布液を支持体上に、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布し、乾燥することで形成することができる。
〔シリコーンゴム層〕
本発明において用いられるインキ反撥性のシリコーンゴム層は、光熱変換層上にシリコーンゴムの皮膜を反応形成させることによって形成される。具体的には、縮合型シリコーンを架橋剤を用いて硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により付加重合させて形成することが好ましい。縮合型シリコーンを用いる場合には、(a)ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、(b)縮合型架橋剤を3〜70質量部、(c)触媒0.01〜40質量部を加えた組成物を用いるのが好適である。前記成分(a)のジオルガノポリシロキサンは、下記一般式で示されるような繰り返し単位を有するポリマーである。R1およびR2は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリール基であり、更に置換基を有していてもよい。一般的にはR1およびR2の60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化
ビニル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好ましい。
Figure 2006133756
このようなジオルガノポリシロキサンは両末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。また、前記成分(a)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。成分(b)の架橋剤は縮合型のものであればいずれであってもよいが、次の一般式で示されるようなものが好ましい。
Figure 2006133756
ここでR1は先に説明したR1と同じ意味であり、Xは、Cl、Br,I等のハロゲン原子、水素原子、水酸基、あるいは、以下に示す如き有機置換基を表す。
Figure 2006133756
式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基を、R4およびR5は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
成分(c)としては、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン等の金属カルボン酸塩、例えば、ラウリン酸ジブチル錫、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等、あるいは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙げられる。
付加型シリコーンを用いる場合には、(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、(e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜25質量部、および(f)付加触媒0.00001〜1質量部を添加した組成物を用いることが好ましい。上記成分(d)の付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル基は分子量末端、中間いずれにあってもよく、アルケニル基以外の有機基として、置換もしくは非置換の炭素数1
〜10のアルキル基、アリール基を有していてもよい。また、成分(d)には水酸基を微量有することも任意である。成分(d)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜150,000である。
成分(e)としては、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシロキサン、両末端メチル基のメチルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体、環状ポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体等が例示される。成分(f)としては、公知の重合触媒の中から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金等が例示される。
これらの組成物においてシリコーンゴム層の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロキサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の架橋抑制剤を添加することも可能である。本発明に用いられる(D)シリコーンゴム層は、前記したシリコーンを含む組成物を溶剤を用いて光熱変換層上に塗布、乾燥することによりに形成しうる。このとき、シリコーンゴム層形成用塗布液の塗布後の溶剤乾燥時にシリコーンゴム層組成物が縮合反応もしくは付加反応することで皮膜を形成するので、乾燥温度が低いとシリコーンゴムの硬化性が低下し、硬化不良となるおそれがある。このため、シリコーンゴム層の塗布後の乾燥温度は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や光重合開始剤を添加してもよい。本発明に用いられるシリコーンゴム層の膜厚は、乾燥膜厚として0.5〜5.0g/m2が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0g/m2であり、更に好ましくは1.5〜2.0g/m2である。膜厚が0.5g/m2以上とすることによりインキ反撥性が低下せず、キズが入りやすい等の問題点が解消し、5.0g/m2以下とすることで現像性が悪くならない。また、シリコーンゴム層の上に、耐刷性、耐傷性、画像再現性および汚れ性等の向上の目的で、更に種々のシリコーンゴム層を塗工し、表面層を形成してもよい。
〔バック層〕
本発明の水なし平版印刷版原版は、光熱変換層とシリコーンゴム層が設けられた面と反対側の支持体面側に少なくとも1層のバック層が望ましくは設けられる。
バック層は、特に限定されないが、結合剤中に導電性金属酸化物粒子が分散した層が好ましい。
また、本発明のバック層は、必要に応じて2層以上の層構成としても良い。バック層を2層以上の層構成とする場合、広義には、この2層以上の全ての層を総称してバック層と称し、狭義には、下側の層をバック層、その上の層をオーバーコート層とも称したり、下側の層からバック第1層、バック第2層等と称することもある。なお、本明細書の実施例ではバック第1層、バック第2層等と称した。
該バック層にはマット剤を含有してもよい。さらに、該バック層には界面活性剤や滑り剤、ワックスなどを含有してもよい。
マット剤としては、好ましくは平均粒径が0.5μm〜20μm、より好ましくは平均粒径が1.0μm〜15μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が挙げられる。特にこれらの重合体あるいは共重合体の架橋粒子が好ましい。
これらのマット剤をバック層側の少なくともいずれかの層に(バック及び/またはオーバーコート層)所定量含有させることによって、バック層側の表面のベック平滑度(秒)を50〜500秒、好ましくは60〜450秒、より好ましくは200〜400秒とすることができる。ここで、バック層側の表面のベック平滑度(秒)は、JIS−P8119−1998ならびにJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載された方法で測定された値を意味する。バック層側の表面のベック平滑度(秒)が50秒以上にすることにより、バック側の表面の凹凸が大きすぎずマット剤が層から脱落し難くなり、原版の搬送性が経時的に低下しない。一方、バック層側の表面のベック平滑度(秒)が500秒以下であると、バック層側の平滑度が高すぎず原版の搬送性が低下せず、搬送不良に伴う種々の弊害が生じない。
該バック層には、導電性金属酸化物粒子を含有させてもよい。導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO及びMoO3及びこれらの複合酸化物、及び/該金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、及びMgOが好ましく、さらにSnO2、ZnO、In23及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が0.01モル%以上である場合は、酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができ、30モル%以下とすることにより粒子の黒化度が増すことがなく、バック層が黒まず感材用として適する。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
導電性金属酸化物粒子は、バック層中に、結合剤の合計質量に対して10〜1000質量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜800質量%の範囲が好ましい。10質量%以上である場合は、充分な帯電防止性が得られ、1000質量%以下である場合は導電性金属酸化物粒子の感材からの脱落を防止することができる。
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。
本発明の水なし平版印刷版原版のバック層中の金属酸化物粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.2μmの範囲である。ここでいう、平均粒径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
上記金属酸化物の微粒子のバック層形成用塗布液への添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を添加することが好ましい。
本発明において、バック層に上記した本発明の金属酸化物粒子を含有させることに原版のバック層側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を、1×107〜1×1012Ω、好ましくは1×109〜1×1011Ωに調整することができ、また高温高湿下における表面電気抵抗値も所定の値に調整することができる。水なし平版印刷版原版のバック層側
の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を1×107Ω以上とすることは、多量の導電性金属酸化物粒子が不要のため、この粒子が脱落し難くなり、脱落した粒子が塗布膜のハジキの核となるというような二次故障を引き起こすことがない。また、1×1012Ω以下であれば、高温高湿下においても所望の帯電防止性能を有し、高温高湿下における水なし平版印刷版原版の製造時の塗布欠陥を防止し、また、水なし平版印刷版原版へのゴミ等の付着による記録書き込み時にレーザー光の焦点のずれが防止し、画像記録の鮮鋭性(再現性)を向上させることができる。
本発明の製版方法に用いる水なし平版印刷版原版のバック層に用いられる結合剤としては、特に限定されないが、アクリル樹脂とメラミン化合物との硬化物が望ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもメラミン化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有することが好ましい。
その中でも水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜10当量/1kgが好ましく、特に0.01〜1当量/1kgが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。
上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
本発明で使用されるメラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基またはアルコキシメチル基を含有する化合物およびそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂などを挙げることができる。
メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えばスミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK及び同MC(住友化学(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂等を挙げることができる。市販品としては、MA−1及びMA−204(住友ベークライト(株製)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製)、大鹿レジンM31及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これらの限定されるものではない。
上記メラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能基とはメチロール基またはアルコキシメチル基を示す。この値が300以下とすることで硬化密度が適度となり高い強度が得らる。官能基当量が50以上であることにより硬化密度が適当であり透明性が損なわれなく、良化する。該水性メラミン化合物の添加量は、上記ポリマーに対して0.1〜100質量%、好ましくは10〜90%質量%である。
これらのメラミン化合物は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。また、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などが挙げられる。
上記硬化剤の代表的な例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビト−ルポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物;2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活
性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
該バック層は、上記成分をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を、結合剤及び適当な添加剤を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)してバック層形成用塗布液を調製し、これを塗布乾燥することによって得られる。
該バック層は、上記バック層形成用塗布液を支持体の表面(光熱変換層及びシリコーンゴム層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により塗布することができる。
該バック層の層厚は、特に限定されないが、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難く、1μm以下であることにより帯電防止性能や耐傷性が劣下しない。
[製版方法]
次に、本発明の水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法について説明する。
製版は、一般的な製版方法と同様に、画像様露光により露光部のシリコーンゴム層の隣接する層との密着性を低下させる露光工程と、密着性の低下したシリコーンゴム層を除去し、インキ受容性の領域を形成する現像工程とを含む。
(I)露光工程
本発明の水なし平版印刷版原版を露光するのに使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が剥離除去されるのに十分な密着力の低下が起きるような露光量を与えるものでなくてはならない。前記条件を充たしていればレーザー種などの制限は特になく、Arレーザー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、半導体レーザーおよび半導体励起の固体レーザー(YAGレーザー等)が好適に使用される。これらのレーザーの記録波長は赤外線の波長領域であり、800nmから1100nmの発振波長を利用することが多い。また、特開平6−186750号公報に記載されているイメージング装置やハイデルベルグ(Heidelberg)社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”(商品名)などを用いて露光することも可能である。
(II)現像工程
本発明の水なし平版印刷版原版から平版印刷版を製版する際に用いられる現像液としては、水なし平版印刷版原版の現像液として公知のもの、例えば、炭化水素類、極性溶媒、水およびこれらの組合せ等、が使用できるが、安全性の観点から、水または水を主成分と
する有機溶剤の水溶液を用いることが好ましく、安全性および引火性等を考慮すると有機溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。用い得る炭化水素類としては、脂肪族炭化水素類〔具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ガソリン、灯油、市販の溶剤である“アイソパーE、H、G”(エッソ化学社製)等〕、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)等が挙げられる。また、極性溶媒としては、アルコール類(具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート等)、その他、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等が挙げられる。また、単に水道水、純水、蒸留水等の水そのものを用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上、例えば、炭化水素類に水を添加したり、極性溶媒に水を添加したり、炭化水素類と極性溶媒を組み合わせて、用いることもできる。更に、上記炭化水素類や極性溶媒のうち水に対する親和性の低いものについては界面活性剤等を添加して水に対する溶解性を向上させてもよい。また、界面活性剤とともにアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加することもできる。
現像は、例えば、上記のような現像液を含む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこする等、公知の方法で行うことができる。現像液温は任意の温度とすることができるが、好ましくは10℃〜50℃である。これにより画像部のインキ反撥層であるシリコーンゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。以上のような現像処理、又はそれに続く水洗、乾燥処理は、自動処理機で行うこともできる。このような自動処理機の好ましいものは、特開平2−220061号公報に記載されている。また、さらに先に述べたHeidelberg社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”を用いることにより、好適な条件での露光及び機上現像を連続的に行うことができる。
また、本発明の水なし平版印刷版原版は接着層をシリコーンゴム層表面に張り合わせた後に、接着層を剥離することにより現像することも可能である。接着層は、シリコーンゴム層の表面に密着できる公知のものがいずれも使用できる。これらの接着層を可撓性支持体に設けたものは、例えば、住友スリーエム社の「スコッチテープ#851A」の商品名で市販されている。
このように処理され、製版された平版印刷版を積み重ねて保管する場合には、刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくことが好ましい。該製版方法により得られた平版印刷版は印刷機に装着され、多数枚の、画像部のインキ着肉性に優れた良好な印刷物を得ることができる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜34、比較例1〜12]
(バック第1層の形成)
厚さ180μmの表面に0.01kW/m2/分のコロナ放電処理を施した2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフイルム上に、下記の塗布液をワイヤーバーコート法により塗布し、180℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.2μmのバック第1層を形成した。
<バック第1層塗布液>
・ジュリマーET−410
(日本純薬(株)製アクリル樹脂水分散物、固形分30質量%) 1.9質量部
・導電性粒子(酸化スズ−酸化アンチモン水分散物、
平均粒径0.05μm、17質量%) 9.1質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物、
有効成分濃度:100質量%) 0.18質量部
・サンデッドBL(三洋化成工業(株)製
アルキルスルホン酸ナトリウム塩水溶液、44質量%) 0.14質量部
・エマレックス710(日本エマルジョン(株)製
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、100質量%) 0.06質量部
・蒸留水 89質量部
(バック第2層の形成)
下記の塗布液を上記バック第1層上に、ワイヤーバーコート法により塗布し、170℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.07μmのバック第2層を形成した。
<バック第2層塗布液>
・ケミパールS−120(三井化学(株)製
ポリオレフィン系ラテックス、固形分27質量%) 1.6質量部
・スノーテックスC(日産化学(株)製
コロイダルシリカ、固形分20質量%) 1.1質量部
・サンデッドBL(三洋化成工業(株)製
アルキルスルホン酸ナトリウム塩水溶液、44質量%) 0.12質量部
・エマレックス710(日本エマルジョン(株)製
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、100質量%) 0.05質量部
・デナコールEX−614B(ナガセケムテックス(株)製
エポキシ化合物、有効成分濃度:100質量%) 0.15質量部
・ケミパールW−950(三井化学(株)製
ポリオレフィンマット剤、固形分40質量%) 0.04質量部
・蒸留水 97質量部
(光熱変換層の形成)
下記の混合液をガラスビーズとともにペイントシェーカーにて30分間攪拌しカーボンブラックを分散させ、ガラスビーズをろ別した後、界面活性剤KF333(大日本インキ化学工業(株)製)を0.005g添加、攪拌し、光熱変換層塗布液を作成した。
この塗布液を、上記のバック層を設けた支持体の反対側の表面に、表1に記載の処理量でコロナ放電処理を施した後、ワイヤーバーコート法により乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布した。これを150℃で1分、加熱乾燥して光熱変換層を形成した。
<光熱変換層塗布液>
・ポリウレタン(ジフェニルメタンジイソシアネート:5モル、ポリプロピレン
グリコール:1モル、2,2’−ジメチロールプロパン酸:4モルの
反応生成物) 3.0質量部
・表1および2に記載のカーボンブラック 表1および2に記載の量
・ソルスパースS24000R(ICI社製) 0.15質量部
・ソルスパースS17000(ICI社製) 0.15質量部
・メチルエチルケトン 29質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 15質量部
(シリコーンゴム層の形成)
下記の塗布液を前記光熱交換層上に塗布し、150℃で1分、加熱乾燥することにより、乾燥塗布量1.5g/m2の付加型シリコーンゴム層を形成した。
<シリコーンゴム層塗布液>
・FS−42(信越化学工業(株)製、
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、平均重合度1300) 9.0質量部
・(CH33SiO(SiH(CH3)O)8−Si(CH33 0.2質量部
・オレフィン配位白金触媒 0.1質量部
・制御剤[HC≡C−C(CH32−O−Si(CH33] 0.2質量部
・アイソパーE(エクソン化学(株)製) 120.0質量部
上記のようにして、実施例1〜34及び比較例1〜12に用いる水なし平版印刷版原版を得た。
Figure 2006133756
Figure 2006133756
〔水なし平版印刷版原版の評価〕
(耐傷性のモデル評価)
得られた本発明の水なし平版印刷版原版を、Presstek社製プレートセッターPEARLsetter(波長830nm、ビ−ム径28μm(1/e2)、最大出力750mWの半導体レーザー搭載)にて、175lpi(1270dpi)の網点画像形成を行った。その後、下記組成の処理液1を含ませた現像用パッドで版面をこすり、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した。その結果、網点面積率2%から98%までが再現されたシャープなエッジのシリコーン画像を有する水なし平版印刷版が形成された。
<処理液1>
・ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
(花王(株)製レオドールTW−O106) 5g
・水垢防止剤BK2(富士写真フイルム(株)製) 2g
・水 993g
これらの水なし平版印刷版の耐傷性を評価するため、得られた水なし平版印刷版の非画像部に、HEIDON−14(新東化学(株)製表面性試験機)を用い、0.5ミリφのサファイア針に50〜500gまで50gおきに荷重を変えてスクラッチ試験を行った。
このようにして形成された水なし平版印刷版を用いて印刷(印刷機:三菱重工業(株)製ダイヤ1F−2、インキ:東洋インキ製造(株)製アクアレスエコーニューM墨、インキ着けローラー冷却:20℃)を行い、500枚印刷後の印刷物で非画像部スクラッチ部の汚れ発生有無を観察し、インキ汚れが発生し始めるサファイア針荷重を読み取り本評価の指標とした。結果を表3および4に示す。
Figure 2006133756
Figure 2006133756
表3および4から明らかなように、本発明に係る実施例1〜実施例34の水なし平版印刷版原版は、良好な耐傷性を有しているが、比較例1〜12の水なし平版印刷版原版は不満足な結果であった。
(耐傷性の実技評価)
得られた本発明の実施例及び比較例に用いられる水なし平版印刷版原版をロール形態に加工し、Heidelberg社製フルカラー印刷システム機“QuickmasterDI46−4 pro”に搭載した。続いてこの印刷機上で、露光、露光部のシリコーンカスの除去、印刷(インキ:東洋インキ製造(株)製アクアレスエコーニューM墨)を行い、2万枚印刷後の印刷物上に非画像部のキズによるインキ汚れがないか評価したところ、比較例の水なし平版印刷版では1版当たり平均2個のインキ汚れが発生したが、実施例の水なし平版印刷版では全くインキ汚れが発生せず、良好な印刷物が得られた。

Claims (5)

  1. 支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、支持体が0.01〜0.12kW/m2/分のコロナ放電処理を施された支持体であり、該支持体上に直接設けた光熱変換層が、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が111ml/100g以上のカーボンブラックを含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
  2. 支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、支持体が0.01〜0.12kW/m2/分のコロナ放電処理を施された支持体であり、該支持体上に直接設けた光熱変換層が、1次粒子の平均粒径が25nm〜75nmのカーボンブラックを含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
  3. 前記支持体が、二軸延伸処理したポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
  4. 前記コロナ放電処理量が、0.06〜0.09kW/m2/分であることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
  5. 前記光熱変換層中のカーボンブラック含有率が、光熱変換層全固形分に対して35質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
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