JP2006131976A - 還元反応容器およびスポンジチタン製造方法 - Google Patents

還元反応容器およびスポンジチタン製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設備費用の高騰を招かずに、寿命延長ができ、またスポンジチタンの純度を向上することができる還元反応容器およびスポンジチタン製造方法を提供する。
【解決手段】スポンジチタンの製造に用いる還元用の反応容器において、前記反応容器を構成する材料が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下とするステンレス鋼を用いた還元反応容器である。また、このような還元反応容器を使用して、四塩化チタンを溶融Mgによって還元反応させるスポンジチタン製造方法、さらに前記還元反応の途中で、前記還元反応容器から生成した塩化マグネシウムを抜き出し、その後あらたに前記還元反応容器に溶融Mgを装入して、再度還元反応させるスポンジチタン製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロール法によるスポンジチタンの製造に係わる還元反応容器とそれを用いたスポンジチタンの製造方法に関し、さらに詳しくは、容器材料が耐酸化性を有する材料で構成され、寿命延長できる還元反応容器とそれを用いてスポンジチタンの品質向上を図るスポンジチタン製造方法に関するものである。
通常、クロール法によるスポンジチタンの製造において、還元反応容器に溶融状態のマグネシウム(本明細書では、単に「溶融Mg」という)を装入し、この溶融Mgに四塩化チタンを供給することで還元反応させて、チタンを生成し、塩化マグネシウムを副生する。副生した塩化マグネシウムは、溶融Mgより比重が大きいので還元反応容器の下方に溜まる。一方、チタンは粒状に生成し、還元反応容器の底部に設置したロストルと呼ばれる底板上に沈降堆積する。反応終了後、還元反応容器の下方部に溜まった塩化マグネシウムは、未反応の溶融Mgとともに、導管を通じて還元反応容器の底部から吸引され、他の容器に移される。
次に、この還元反応容器は、空の反応容器と連結配管で接続される。そして、還元反応容器と連結配管は、加熱される。このとき、還元反応容器内に残留した未反応の溶融Mgおよび塩化マグネシウムは、蒸発し、連結配管を経由して空の反応容器内に流入する。空の反応容器は、外部から冷却されており、流入した溶融Mgおよび塩化マグネシウムはこの反応容器内に凝縮する(本工程を「分離工程」という)。そして、加熱された還元反応容器には、沈降したチタンが底板上にスポンジ状の塊として残る。
このようにして、スポンジチタンは、分離工程で、マグネシウムおよび塩化マグネシウムと分離され、冷却された後、還元反応容器から取り出され、切断され、破砕され、篩い分けられて製品となる。
スポンジチタン中の不純物は、還元反応容器に装入される溶融Mgに含まれるFeなどの重金属、および還元反応容器の内表面が溶融Mgや塩化マグネシウムによって侵食されて溶出するFeなどの重金属が、溶融Mgと四塩化チタンとが還元反応する際に、一部が塩化物として生成することで生じる。また分離工程で、前記塩化物、および還元反応容器内面から溶出し溶融Mgおよび塩化マグネシウムに混入する重金属は、溶融Mgおよび塩化マグネシウムを蒸発除去する時にスポンジチタンに付着する。
一方、溶融Mgに含まれるFeなどの重金属は、溶融Mgに四塩化チタンを供給して還元反応を生じる際に、還元反応初期に生成するスポンジチタンにゲッタリングされ、その後の溶融Mgは、Feなどの重金属が除かれた純度の高いものとなる。
しかし、還元反応では、反応式が2Mg(液)+TiCl4(液)→Ti(固)+2MgCl2(液)であり、還元反応前の溶融Mgの液体容量に対し、ほぼ四塩化チタンの供給分、還元反応容器内の液体容量が増加することになり、還元反応容器の容積効率が良くない。そこで、通常の製造工程では、容積効率を良くし生産性を上げるために、上記の還元反応途中で、還元反応容器底部から塩化マグネシウムを抜き出し、さらに溶融Mgをあらたに追加装入して、還元反応を継続する方法を用いる。この場合、あらたに装入する溶融Mgに含まれる不純物に起因して、スポンジチタンの純度が悪化する。
また、還元反応容器の内表面が溶融Mgや塩化マグネシウムによって侵食されて溶出するFeなどの不純物は、還元反応中および分離工程を通じ、スポンジチタンに付着、混入する。
前述のように、還元反応容器は、溶融Mgおよび塩化マグネシウムの蒸発時における高温、さらに溶融Mgとの接触や四塩化チタンなどの酸化雰囲気に曝されて還元反応容器材の成分が溶出する。具体的には、還元反応容器は、大気雰囲気で900℃前後の高温域に加熱され、さらに還元反応時間が、数十時間の長時間にわたって使用される。その間、還元反応容器には、自重および内容物の重量による応力および加熱または冷却による熱応力が付加され、さらにその外面は酸化して肉厚が薄くなるとともに、内面は、容器材の成分が溶出して溶損する。
不純物は、前述のように、還元反応初期にゲッタリングされてスポンジチタンに付着する。また、還元反応時に飛散した溶融Mgや塩化マグネシウム、四塩化チタンおよび生成したチタン粒子が還元反応容器内の上部に付着し、これらが還元反応後の分離工程を経て、スポンジチタンを取り出す際に、スポンジチタン上に落下、混入することがある。また、還元反応中では、還元反応容器から溶出した不純物は、チタンに付着して沈降する。容器内面から溶出する不純物による汚染は、スポンジチタン塊表面から進展するので不純物濃度はスポンジチタン塊の中心部に比較して周囲が高くなる。
このため、還元反応初期に底板上に沈降したチタン粒子および還元反応終期や分離工程で落下するチタン粒子、またはスポンジチタンの周囲にあり、特に不純物濃度が高いチタン粒子は、切断または破砕される前に取り除かれる。
以上のような環境で使用される還元反応容器は、生産規模の拡大に伴い大型化する際に、その材料として高温強度に優れたステンレス鋼を用いることで、その寿命を大きく延ばすことができる。スポンジチタンは、半導体用として高純度のものが使用されたり、また最近では展伸材などの用途にも高純度のものが要求されるようになり、ステンレス鋼中のクロム(Cr)やニッケル(Ni)および鉄(Fe)などの溶出に伴う重金属不純物の総量低減が求められるようになった。
そこで、高純度のスポンジチタンについては、還元反応容器の材料として、外面がSUS304などのステンレス鋼、直接溶融Mgなどと接触する内面が炭素鋼とする複合材、いわゆるクラッド鋼が使用されている。このように、還元反応容器にクラッド鋼が使用されることによって、スポンジチタンへのCrやNiといったステンレス鋼に多く含まれる成分からの汚染は低減できた。しかし、還元反応容器に使用するクラッド鋼は、例えば、ステンレス鋼と炭素鋼を爆着などによって貼り合わせたり、溶着したりするため、高価となる。これに対し、設備コストを低減するために、還元反応容器の長寿命化が求められている。
また、一般工業用、機械加工用などに使用される展伸材などの一般用スポンジチタンについては、純度を高めようとする際に、上記のようなクラッド鋼を用いた還元反応容器を使用すれば、高純度のスポンジチタンが得られるので、従来の純度のスポンジチタンとの配合割合を変更することにより製造できるが、製造コストが大きく高騰する。そのため、製造コスト低減のため、設備費用が安価または設備寿命の長い還元反応容器を使用し、またスポンジチタンへの重金属汚染を低減することが求められている。
これに対して、例えば、特許文献1では、ステンレス鋼またはクラッド鋼を使用する還元反応容器の長寿命化を図るため、上記のような大気雰囲気で高温かつ長時間、自重および内容物の重量による応力および加熱または冷却による熱応力を受ける環境のもとで、還元反応容器の外表面が損耗しやすい上半分を、Crを22%以上含有するフェライト系のステンレス鋼または耐熱鋼で、肉盛り溶接またはクラッド圧接した後還元反応容器に加工することにより補強しようとするものである。なお、このフェライト系のステンレス鋼または耐熱鋼は、耐酸化性や耐摩耗性に優れるものであることが示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されたように、SUS304やSUS316のようなオーステナイト系ステンレス鋼またはそれらを用いたクラッド鋼を用いる還元反応容器において、その外表面が損耗しやすい部分を肉盛り溶接またはクラッド圧接で補強しても、その補強に要する費用のため、設備費用が高騰または設備費用がさらに高価となり、その上、延びた寿命では、このような補強の費用を回収できるものでない。さらに、上記のようなステンレス鋼を用いる還元反応容器では、Fe、CrおよびNiを主とする重金属の不純物総量を低減することが困難である。
特開平09−272928号公報
従来のステンレス鋼を用いた還元反応容器やその外表面を補強する還元反応容器を用いて製造する場合は、上記のように、Fe、CrおよびNiなどの重金属の不純物の総量を低減するのが難しい。また、ステンレス鋼と炭素鋼を用いたクラッド鋼を還元反応容器に使用する場合、クラッド鋼自体が高価であり、またそのクラッド鋼の成形や加工にコストが掛かり、その上、補強するとなればさらに設備費用が高騰する。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、従来のステンレス鋼の代わりに本発明で提案するステンレス鋼を還元反応容器に用いることにより、設備費用の高騰を招かずに還元反応容器の長寿命化を図ることができ、さらに生成するスポンジチタン中の不純物を低減できる還元反応容器、およびその還元反応容器を用いて純度の高いスポンジチタンを製造する方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであり、下記(1)および(2)の還元反応容器、並びに(3)および(4)のスポンジチタン製造方法を要旨としている。
(1)スポンジチタンの製造に用いる還元用の反応容器において、その構成材料が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下のステンレス鋼であることを特徴とする還元反応容器である。
(2)スポンジチタンの製造に用いる還元用の反応容器において、その外表面がステンレス鋼で、その内表面が炭素鋼で構成される二層構造であり、前記ステンレス鋼が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下であることを特徴とする還元反応容器である。
(3)クロール法によりスポンジチタンを製造する方法において、四塩化チタンを溶融Mgによって還元反応させる反応容器として、前記(1)および(2)の還元反応容器を用いることを特徴とするスポンジチタン製造方法である。
(4)クロール法によりスポンジチタンを製造する方法において、四塩化チタンを溶融Mgによって還元反応させる反応容器として、前記(1)の還元反応容器を用い、さらに還元反応の途中で、前記還元反応容器内に生成した塩化マグネシウムを抜き出し、その後あらたに前記還元反応容器に溶融Mgを装入して、再度還元反応させることを特徴とするスポンジチタン製造方法である。
本発明で規定する「酸化増量」とは、ステンレス鋼の耐酸化性の指標であって、大気中で高温、かつ長時間連続維持し、また常温とその高温の間で加熱と冷却とを繰り返すとき、ステンレス鋼中のMn、Si、Alなどの成分が酸化し、スケールとして表面を覆って重量が増加し、また高温でステンレス鋼中のC、N、Bなどの成分が酸化蒸発して減量することにより、その表面積当たりの重量増減を数値で示されるものである。
本発明の還元反応容器および製造方法によれば、通常のSUS304やSUS316(例えば、JIS記号表示のSUS304、SUS316)などのステンレス鋼を使用した還元反応容器と比較して材料費が少し割高であるが設備費用に大きな差がなく、また本発明の還元反応容器を用いてクロール法によりスポンジチタンを製造する際に、還元反応容器の外表面での減肉を低減できるので長期間の使用に耐え、また内表面での溶融Mgや塩化マグネシウムの溶出に起因する溶損が低減できるので、Feをはじめ、CrやNiなどの重金属がスポンジチタン中に不純物として混入するのを抑制できる。
上記で規定した本発明の還元反応容器およびスポンジチタン製造方法について、その内容を説明する。
本発明の還元反応容器は、その構成する材料が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下とするステンレス鋼である。このようなステンレス鋼には、一例として、その成分組成が、質量%でC:0.05〜0.15%、Cr:20〜30%、Ni:10〜15%およびLa+Ce:0.06〜0.1%の高温用オーステナイト系ステンレス鋼がある。そして、このような成分組成の範囲では、上記酸化試験で表面の酸化増量を12g/m2以下にすることができるので、外表面の減肉速度(以下、「外面減肉速度」という)が大幅に低減できるだけでなく、溶融Mgや塩化マグネシウムに対して耐食性があり、Cr、NiおよびFeなどの重金属をはじめその他の金属成分などの溶出にともなう内表面の減肉速度(以下、「内面減肉速度」という)を低減できるからである。さらに、炭素鋼とともにクラッド鋼としたとき、還元反応容器の寿命を延長することができる。
本発明における減肉速度の定義について説明すると、外面減肉速度および内面減肉速度は、加熱、還元、分離および冷却等を所定の回数、例えば、10回繰り返したとき、還元反応容器の外表面の減肉量および内表面の減肉量で表す。
上記のような本発明の還元反応容器に用いるステンレス鋼(以下、「本発明ステンレス鋼」という)は、上記のように、高温の耐酸化性、耐食性、耐摩耗性およびクリープ特性が優れており、外表面での耐酸化性による減肉と、内表面での溶融Mgや塩化マグネシウムに起因する組成成分の溶出に伴う減肉が低減できる上、価格が通常のSUS304のようなステンレス鋼と比較して特に高価でない。また、還元反応容器の加工費用はステンレス鋼の種類に依存しないので、還元反応容器の設備費用には、大差がない。
本発明において、還元反応容器に用いるステンレス鋼の表面の酸化増量を12g/m2以下としたのは、いわゆるSUS304やSUS316を用いる還元反応容器と比較して、表面の酸化増量が少ないので、外面減肉速度が大幅に低減できるためである。
本発明でいう高純度チタンスポンジは、半導体製造に用いるもので、その含有する重金属の総量が10ppm以下のものとする。また、一般工業用、機械加工用などに使用される展伸材などの一般用スポンジチタンは、その含有する重金属の総量が5000ppm以下のものとする。
以下に、本発明の還元反応容器を用いてクロール法によりスポンジチタンを製造する場合と、SUS304やSUS316を用いた還元反応容器を使用する場合と、その作用および効果の違いを比較する。
まず、還元反応容器の外表面の減肉について、上述のように、本発明ステンレス鋼は、高温での耐酸化性が優れているので、高温の大気雰囲気において、スポンジチタンの還元反応容器に用いて、外面減肉速度が大幅に低減できる。後述する実施例では、SUS304やSUS316を用いた還元反応容器と比較して、外面減肉速度がほぼ半分になり、寿命が40%も延びる。そして、内表面での減肉について、上述のように、本発明ステンレス鋼は、耐食性に優れており、溶融Mgや塩化マグネシウムによる溶損が低減できるので、SUS304やSUS316を用いた還元反応容器を使用する場合と比較して、内面減肉速度がほぼ80%になる。そのため、スポンジチタンに含まれるFeをはじめCrおよびNiなどの重金属の不純物を低減できる。このようにして、従来のSUS304やSUS316を用いる還元反応容器を使用した場合に、スポンジチタンに含まれるFe、CrおよびNiの総量は、8〜13%低減することができる。
次に、還元反応の途中で、還元反応容器から生成した塩化マグネシウムを抜き出し、その後あらたに還元反応容器に溶融Mgを装入して、再度還元反応させる場合と、上記のような還元反応を一度で行う場合と、その作用および効果を比較する。この再度還元反応させる場合においても、還元反応容器の外表面や内表面の使用環境は、ほとんど差がない。 還元反応容器の減肉について、還元反応時間が塩化マグネシウムの抜き出しや溶融Mgの装入に要し長くなるので、外表面の減肉量が増加し、外面減肉速度は大きくなる。また、還元反応の途中で溶融Mgを追加装入するため、内表面での減肉量が増加するので、内面減肉速度も大きくなる。従来のSUS304やSUS316を用いる還元反応容器を使用し、上記のような還元反応の途中で塩化マグネシウムの抜き出しと溶融Mgの装入を行うことによって、スポンジチタン中のFe、CrおよびNiの総量は、13%程度低減でき、純度の高い一般用スポンジチタンを容易に製造することができる。
また、本発明のクラッド鋼を使用した還元反応容器と、SUS304やSUS316をその外表面に、炭素鋼をその内表面とするクラッド鋼を用いた還元反応容器とで、その作用および効果を比較すると、高純度チタンを製造する場合に、Fe、CrおよびNiなどの重金属の総量は、ほとんど差はないが、クラッド鋼とした本発明の還元反応容器は、SUS304やSUS316を用いてクラッド鋼とした還元反応容器と比較して、寿命を大きく延長できる。
本発明における減肉速度および寿命の評価方法について、以下に説明する。
減肉速度の評価は、SUS304を用いる還元反応容器を、還元反応途中で塩化マグネシウムの抜き出しと、溶融Mgの追加装入しない場合の還元反応容器の外面減肉速度および内面減肉速度を100とし、本発明の還元反応容器とSUS316を用いる還元反応容器でのそれぞれの減肉速度を相対的に示す。
また、還元反応容器の寿命は、最も損耗の激しい部分の肉厚が、高温強度として必要な材料の肉厚の1.2倍になったときをその寿命としている。そして、還元反応容器製作時の肉厚は、高温強度として必要な材料の肉厚の2.4倍とした。そして、寿命の評価は、SUS304を用いる還元反応容器を、還元反応途中で塩化マグネシウムの抜き出しと、溶融Mgの追加装入しない場合の寿命を100とし、本発明の還元反応容器とSUS316を用いる還元反応容器の寿命を相対的に示す。
なお、炭素鋼を内表面に使用したクラッド鋼を用いる還元反応容器では、炭素鋼が高温時に有する強度をほとんど期待できないので、ステンレス鋼の肉厚をもとに評価する。また、寿命を判定する際に、使用中に急激な変形や割れが発生し、事故の恐れが生じる可能性があるなど危険と判断される場合、また上記の寿命前であっても、使用中に発生した変形が矯正できない程度にまで大きくなった場合にも寿命と判断するが、この場合は使用回数の評価をしない。
また、スポンジチタン中の、Fe、CrおよびNiなどの重金属の総量は、還元反応初期に底板上に沈降したチタン粒子および還元反応終期や分離工程で落下するチタン粒子、またはスポンジチタンの周囲にあり、特に不純物濃度が高いチタン粒子を除いた部分のスポンジチタンを破砕し、整粒した後、無作為に複数点をサンプリングして濃度を測定し、その平均濃度で比較する。この重金属の総量の評価は、SUS304を用いる還元反応容器を使用し、前述のように、塩化マグネシウム還元反応容器の底部から塩化マグネシウムを抜き出し、さらに溶融Mgをあらたに追加装入して、還元反応を継続する場合のFe、CrおよびNiなどの重金属の総量を100とした相対的に示す。
以下に、本発明の還元反応容器およびスポンジチタン製造方法が発揮する効果を、説明する。
外径を2m、長さを5mとした肉厚30mmとする還元反応容器を、本発明ステンレス鋼、JIS記号SUS304およびSUS316の試験材で製作し、下記のような試験条件で10tバッチのスポンジチタンを製造する試験を行った。
試験に使用した本発明ステンレス鋼の化学組成(単位%)は、C:0.07、Si:0.37、Mn:0.56、P:0.026、S:0.001、Ni:11.27、Cr:23.16、Al:0.10、およびLa+Ce:0.03で、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物である。
そして、SUS304の化学組成は、C:0.002、Si:0.43、Mn:1.20、P:0.032、S:0.004、Ni:8.35およびCr:18.40であり、またSUS316の化学組成は、C:0.004、Si:0.63、Mn:0.89、P:0.034、S:0.001、Ni:10.50、Cr:16.75およびMo:2.06であり、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物である。
試験条件は、還元反応容器内をアルゴンガスで置換した後、加熱し、溶融Mgを装入し、900℃前後で連続して還元反応に使用し、その後1040℃前後で90Hr連続して溶融Mgや塩化マグネシウムの蒸発分離に使用し、その後常温まで冷却してスポンジチタンを取り出し、さらに整備された後再度還元反応に使用することを寿命まで繰り返した。
また、還元反応の途中で、還元反応容器の底部から塩化マグネシウムを抜き出し、さらに溶融Mgを追加装入して、還元反応を再開する工程を、2度行った場合を試験し、比較した。この場合の還元反応時間は、100Hrである。
試験に際して、本発明ステンレス鋼、SUS304およびSUS316の表面の酸化増量を調査したところ、それぞれ7〜12g/m2、32g/m2以上および30g/m2以上であった。
表1は、還元反応中に、塩化マグネシウムの抜き出しや溶融Mgの追加装入を行わない場合に、本発明の還元反応容器、並びに、SUS304およびSUS316を用いる還元反応容器を使用して試験した際の、外面減肉速度、内面減肉速度、寿命およびFe、CrおよびNiなどの重金属の総量の相対比較をしたものである。
Figure 2006131976
表1では、外面減肉速度について、本発明の還元反応容器の相対値は、SUS304を用いた還元反応容器と比較して、半減する。また、内面減肉速度について、本発明の還元反応容器では、SUS304を用いた還元反応容器と比較して、相対値が80に低減した。
寿命については、外面減肉速度の改善に伴い、相対値が140と大きく延びる。重金属の総量について、後述する表2のSUS304を用いた還元反応容器が、還元反応途中に塩化マグネシウムの抜き出しや溶融Mgの追加装入をする場合を100としたときの相対値で70になるが、本発明の還元反応容器では、さらに65となり大きく向上する。
また、表2は、還元反応途中に、塩化マグネシウムの抜き出しや溶融Mgの追加装入をする場合に、本発明の還元反応容器、並びに、SUS304およびSUS316を用いる還元反応容器を使用して試験した際の、外面減肉速度、内面減肉速度、寿命およびFe、CrおよびNiなどの重金属の総量を相対比較したものである。
Figure 2006131976
次に、外径および長さを上記の還元反応容器と同じとし、本発明ステンレス鋼、SUS304およびSUS316の肉厚を28mmとし、また炭素鋼の肉厚を9mmとするクラッド鋼を用いる還元反応容器を製作し、下記のような試験条件で10tバッチのスポンジチタンを製造する試験を行った。
試験条件は、上記の還元反応中に、塩化マグネシウムの抜き出しや溶融Mgの追加装入を行わない場合と同じとした。この場合、還元反応容器の寿命は、外面減肉速度によって決まるので、前述の表1に示す寿命と同様に、SUS304やSUS316を用いたクラッド鋼を使用した還元反応容器と比較して、寿命が大きく改善した。
本発明の還元反応容器によれば、還元反応容器を構成する材料が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量が12g/m2以下とする高温の耐酸化性、耐食性、耐摩耗性およびクリープ特性に優れるステンレス鋼とすることで、従来のステンレス鋼を用いる還元反応容器より寿命が長くできる。また、本発明の還元反応容器を用いてクロール法によりスポンジチタンを製造すれば、還元反応容器が長寿命なので製造コストが低減でき、スポンジチタン中にFeをはじめCrやNiなどが不純物として溶出するのが抑制できる。これにより、本発明の還元反応容器およびスポンジチタン製造方法は、純度の高いスポンジチタンの製造において広く適用することができる。

Claims (4)

  1. スポンジチタンの製造に用いる還元用の反応容器において、その構成材料が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下のステンレス鋼であることを特徴とする還元反応容器。
  2. スポンジチタンの製造に用いる還元用の反応容器において、その外表面がステンレス鋼で、その内表面が炭素鋼で構成される二層構造であり、前記ステンレス鋼が、1000℃の大気雰囲気中で200時間の連続酸化試験した際に、表面の酸化増量を12g/m2以下であることを特徴とする還元反応容器。
  3. クロール法によりスポンジチタンを製造する方法において、四塩化チタンを溶融Mgによって還元反応させる反応容器として、請求項1または2に記載の還元反応容器を用いることを特徴とするスポンジチタン製造方法。
  4. クロール法によりスポンジチタンを製造する方法において、四塩化チタンを溶融Mgによって還元反応させる反応容器として、請求項1に記載の還元反応容器を用い、さらに還元反応の途中で、前記還元反応容器内に生成した塩化マグネシウムを抜き出し、その後あらたに前記還元反応容器内に溶融Mgを装入して、再度還元反応させることを特徴とするスポンジチタン製造方法。
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CN114425648A (zh) * 2021-11-29 2022-05-03 中国船舶重工集团公司第七二五研究所 一种高纯净度海绵钛还蒸炉罐体的制备方法

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