JP2006131662A - ポリイミド樹脂組成物及びポリイミドフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性を保持しつつ、熱膨張係数を低下させることにより、寸法安定性に優れたポリイミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物において、上記酸無水物として3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物と3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして4,4−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンのうち1種以上から選択されるジアミンを含み、3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物において、上記酸無水物として3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物と3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして4,4−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンのうち1種以上から選択されるジアミンを含み、3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フィルム基板、保護膜等、光学部材(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)に用いられるポリイミド樹脂組成物及びポリイミドフィルムに係り、特に、透明性を保持しつつ寸法安定性に優れるポリイミド樹脂組成物及びポリイミドフィルムに関する。
高度情報化社会の進展に伴い、情報伝達装置に利用される半導体機器、光通信機器、表示装置の技術進捗は目覚ましく、それに伴い関連するオプトエレクトロニクス分野の研究開発が活発に行われている。これらを支える光学材料として、ポリマ材料はガラスなどの無機材料に比べて、デバイスや装置の軽量化、小型化、フレキシブル性などのニーズを満足し得ることから、光ファイバ、マイクロレンズ、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置用部材、光ディスク、導波路等の様々な分野で適用が進んでいる。
光学用途の透明プラスチック材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、透明ABS樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、PET等が挙げられるが、前記の装置に用いる場合、その組み立て工程において熱プロセスを経由することが多いため、前述の材料では耐熱性が不足することがある。そこで、耐熱性に優れるポリイミドが着目される。
ただし、電子回路基材などに多く用いられている汎用のポリイミド、例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから合成されるポリイミド樹脂や、3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから合成されるポリイミド樹脂等に代表される芳香族ポリイミドは、通常無色透明性を有していない。
ポリイミドに透明性を付与する一般的な手法としては、ポリイミド骨格中に、脂肪族系材料、フッ素系材料等を導入する方法が挙げられる。例えば、特許文献1では、脂環式テトラカルボン酸無水物成分に、3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水ピロメリット酸無水物等を導入し、ジアミン成分にシロキサン含有ジアミンを用いることにより、透明なポリイミドを得ている。特許文献2,3においては、3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物と脂肪族のジアミンを用いて透明フィルム、液晶配向膜等に適用する透明なポリイミドを得ている。
しかしながら、これらの透明なポリイミドでは、通常熱膨張係数(線膨張係数)が大きく、寸法安定性に劣るという問題がある。このため、例えばフィルム作製後に、フィルム上に配線パターン、蒸着層等を形成した場合に割れ、剥がれ等の不具合が発生することがある。無色透明性を保持しながら、熱膨張係数の増大を抑え、寸法安定性に優れるポリイミドは見出されていない。
そこで、本発明の目的は、透明性を保持しつつ、熱膨張係数を低下させることにより、寸法安定性に優れたポリイミド樹脂組成物及びポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物において、上記酸無水物として化学式(1)と化学式(2)及び/又は化学式(3)からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして化学式(4)、化学式(5)、化学式(6)のうち1種以上から選択されるジアミンを含み、化学式(1)の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物である。
請求項2の発明は、酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物において、上記酸無水物として化学式(1)と化学式(2)及び/又は化学式(3)からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして化学式(4)、化学式(5)、化学式(6)のうち1種以上から選択されるジアミンを含み、化学式(1)の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物であって、そのポリイミド樹脂組成物を厚さ100±5μmのフィルムとしたときの線膨張係数が30〜60ppm/Kであるポリイミド樹脂組成物である。
請求項3の発明は、上記ポリイミド樹脂組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量が20000〜200000である請求項1または2記載のポリイミド樹脂組成物である。
請求項4の発明は、酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物を用いて作製したポリイミドフィルムにおいて、上記酸無水物として化学式(1)と化学式(2)及び/又は化学式(3)からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして化学式(4)、化学式(5)、化学式(6)のうち1種以上から選択されるジアミンを含み、化学式(1)の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物を用いて作製したポリイミドフィルムである。
請求項5の発明は、フィルム厚が100±5μmにおいて、線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、全光線透過率が90%以上である請求項4記載のポリイミドフィルムである。
請求項6の発明は、上記ポリイミド樹脂組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量が20000〜200000である請求項4または5記載のポリイミドフィルムである。
本発明によれば、透明性を保持しつつ、寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを提供できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
本実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物は、酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物であり、
酸無水物(酸成分)として、化学式(1)で表される3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物(ODPA)と化学式(2)で表される3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)及び/又は化学式(3)で表される3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)からなる2種類以上の芳香族成分であるテトラカルボン酸二無水物を含み、
ジアミン(ジアミン成分)として、化学式(4)で表される4,4−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(DAHM)、化学式(5)で表される3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(DMHM)、化学式(6)で表される1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(BAPZ)のうち1種以上から選択される環状構造を有する脂肪族ジアミンを含み、
化学式(1)で表されるODPAの含有量が、酸無水物とジアミンの合計含有量の20〜40、好ましくは25〜37.5モル%である。
酸無水物(酸成分)として、化学式(1)で表される3,3’,4,4’オキシジフタル酸無水物(ODPA)と化学式(2)で表される3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)及び/又は化学式(3)で表される3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)からなる2種類以上の芳香族成分であるテトラカルボン酸二無水物を含み、
ジアミン(ジアミン成分)として、化学式(4)で表される4,4−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(DAHM)、化学式(5)で表される3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(DMHM)、化学式(6)で表される1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(BAPZ)のうち1種以上から選択される環状構造を有する脂肪族ジアミンを含み、
化学式(1)で表されるODPAの含有量が、酸無水物とジアミンの合計含有量の20〜40、好ましくは25〜37.5モル%である。
酸成分として化学式(1)、化学式(2)、化学式(3)でそれぞれ表される芳香族成分を含ませる理由は、酸成分として脂肪族成分(例えば、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)など)を用いた場合、(比較例6)で後述するように、透明性は得られるものの、熱膨張係数が高く、所望の低い熱膨張係数が得られないからである。
酸成分を2種類以上含ませる理由は、酸成分が1成分の場合、(比較例1)、(比較例2)で後述するように、ポリイミドワニス(ワニス)の溶解性が劣る、酸無水物とジアミンの反応が進まない等の問題が発生するからである。しかし、本実施の形態のように、酸成分を2種類以上含み、かつODPAの含有量を限定した2段階反応でポリイミドを合成することにより、透明性、低熱膨張性を保持しつつ、良好なポリイミドフィルムを作製できるワニスを得ることができる。
ここで、2段階反応とは、実施例1〜7で後述するように、全ての酸無水物と全てのジアミンを一度に反応させるのではなく、ある酸無水物とジアミンを1対1で反応させた後、別の酸無水物とジアミンを1対1で反応させることをいう。
ODPAの含有量を酸無水物とジアミンの合計含有量の20〜40モル%とする理由を説明する。酸成分の中でODPAは、透明性の発現に対して効果が高いが、熱膨張係数が高くなる問題がある。一方、BTDA、BPDAを用いることにより、熱膨張係数は低下するが、透明性に劣る問題がある。そこで、ODPAとBTDA及び/又はBPDAを併用することにより、透明性を保持しながら、熱膨張係数を低下させることができる。
ODPAの含有量が酸無水物とジアミンの合計含有量の40モル%を超える多い場合、(比較例7)で後述するように、熱膨張係数が高くなり、ODPAの含有量が酸無水物とジアミンの合計含有量の20モル%未満と少ない場合、(比較例5)で後述するように、透明性が低くなる。したがって、ポリイミド樹脂組成物やポリイミドフィルムの高い透明性と低熱膨張性の両立を満足するには、ODPAの含有量を酸無水物とジアミンの合計含有量の20〜40モル%の範囲にする。
本実施の形態では、低熱膨張性を発現する酸無水物としてBTDAやBPDAを用いる例で説明するが、BTDAやBPDAの代わりに、BTDAやBPDAと同等の低熱膨張性を発現するテトラカルボン酸二無水物を用いてもよい。
ポリイミド樹脂組成物としては、上述したポリイミド樹脂組成物を厚さ100±5μmのフィルムとしたときの線膨張係数αが30〜60ppm/K(×10-6/K)であるとよい。
ポリイミド樹脂組成物としては、上述したポリイミド樹脂組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが20000〜200000であるとよい。
ここで、重量平均分子量Mwをポリスチレン換算で求めたのは、ポリスチレン換算が一般的な分子量測定装置における測定条件であり、分子量測定装置の検量線をポリスチレンの標準試料を用いて作製しているためである。
分子量Mwを20000〜200000とする理由を説明する。ワニスからポリイミドフィルムを成型する際、ポリイミドの分子量を調整する必要がある。分子量Mwが20000未満と低い場合、(比較例3)で後述するように、フィルムに割れ等が発生し、フィルムとして成型することができない。また、分子量Mwが200000を超える高い場合には、(比較例4)で後述するように、ワニス粘度が高くなり、基板上にワニスをキャストすることが困難となる。良好なフィルムを得るには、分子量Mwを20000〜200000の範囲にする。
また、本実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物を用いて膜体を作製することで、ポリイミドフィルムが得られる。
ポリイミドフィルムとしては、フィルム厚が100±5μmにおいて、線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、全光線透過率Tが90%以上であるとよい。
ポリイミドフィルムを作製するためのポリイミド樹脂組成物としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが20000〜200000であるとよい。
本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物は、酸成分として透明性を発現する成分であるODPAと低熱膨張性を発現する成分であるBTDA及び/又はBPDAを含み、ジアミン成分として環状構造を有するジアミンを含み、ODPAの含有量が酸無水物とジアミンの合計含有量の20〜40モル%である。
これにより、ほとんど着色のない透明なポリイミド樹脂組成物において、透明性を保持しつつ、熱膨張係数を低下させることができる。
したがって、本実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物を用いて膜体を形成することで、透明性を保持しつつ、低い熱膨張係数を有する(例えば、フィルム厚が100±5μmにおいて、線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、全光線透過率Tが90%以上である)寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを作製できる。
このポリイミドフィルムを用いることで、その上に形成される配線パターン、蒸着膜等の各種の構造に、製造や組み立て工程時の熱プロセスを経た後においても、剥離、割れ、脱落等の不具合が生じることはなく、要求される機能を発揮することができる。
本実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物及びポリイミドフィルムは、耐熱透明性が要求される液晶ディスプレイ(例えば、液晶用配向膜)、有機ELディスプレイ等の表示装置分野で特に利用価値が高い。
(実施例1)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)
攪拌器を取り付けた500mLの4つ口のセパラブルフラスコに、シリコンコック付のトラップを備えた玉付き冷却管を取り付けた。フラスコ内にBPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.77g(20mM)を入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100g、トルエン20gを加えた。窒素雰囲気中で15分攪拌した後、180℃に昇温させたオイルバスにフラスコを浸し1時間攪拌した。
攪拌器を取り付けた500mLの4つ口のセパラブルフラスコに、シリコンコック付のトラップを備えた玉付き冷却管を取り付けた。フラスコ内にBPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.77g(20mM)を入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100g、トルエン20gを加えた。窒素雰囲気中で15分攪拌した後、180℃に昇温させたオイルバスにフラスコを浸し1時間攪拌した。
その後オイルバスからフラスコを外し、室温まで冷却させた後、ODPAを9.31g(30mM)、DMHMを9.54g(40mM)、NMP71.6g、トルエン14.3gを加えた。その後再び180℃まで昇温した後、3時間攪拌しワニスを得た。この際反応中に生成する水はシリコンコックより適宜取り除いた。
GPC(ゲル透過クロマトグラフ分析)装置を用い、得られた樹脂溶液のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを測定したところ、約7万であった。また、ワニスをガラス基板上にアプリケータを用いて塗布し、恒温槽で乾燥し溶媒を除去した。ガラス基板よりフィルムを剥がし、得られたフィルムの赤外吸収スペクトルを測定したところ、波数が1715cm-1および1785cm-1のところでイミド環の特性吸収が認められた。
合成されたワニスをメタノール中に入れ再沈殿させ、沈殿した樹脂をガラスフィルターを用いてメタノールで5回洗浄した。洗浄した樹脂を減圧乾燥によりメタノールを除去し、ポリイミド樹脂粉末を得た。この樹脂粉末をN,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させ、固形分量25重量%のポリイミドワニスを調製した。このワニスを用いてキャスト法により厚さ約100μのポリイミドフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ90.2%であった。また熱膨張係数αは41ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(実施例2)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:37.5モル%)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、BTDAを6.44g(20mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP65.0g、トルエン13.0gを加えた。180℃まで再加熱し3時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約12万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのポリイミドフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ90.8%、熱膨張係数αは52ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(実施例3)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:37.5モル%)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、BPDAを5.88g(20mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP62.8g、トルエン12.6gを加えた。180℃まで再加熱し3時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約8万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのポリイミドフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ90.5%、熱膨張係数αは45ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(実施例4)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.77g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.77g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、ODPAを9.31g(30mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP71.6g、トルエン14.3gを加えた。180℃まで再加熱し5時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約16万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスを用いて厚さ約100μmのポリイミドフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ90.1%、熱膨張係数αは36ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(実施例5)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:37.5モル%)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、BTDAを6.44g(20mM)、DAHMを8.41g(40mM)入れ、NMP56.0g、トルエン11.2gを加えた。180℃まで再加熱し3時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約10万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ91.0%、熱膨張係数αは55ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(実施例6)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:37.5モル%)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
これらを180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却した。次にBPDAを5.88g(20mM)、DAHMを8.41g(40mM)入れ、NMP53.7g、トルエン10.7gを加えた。180℃まで再加熱し3時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約8万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ91.5%、熱膨張係数αは50ppm/K(常温〜150℃)が得られた。
(実施例7)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)(1/2BPDA+1/2ODPA+BAPZ)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、BAPZを4.01g(20mM)をフラスコに入れ、γ-カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、BAPZを4.01g(20mM)をフラスコに入れ、γ-カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
これを180℃で1時間加熱攪拌し、その後室温まで戻し、ODPAを9.31g(30mM)、BAPZを8.01g(40mM)入れ、NMP40.0g、トルエン8.0gを加えた。180℃まで再加熱し10時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約10万となった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製し、全光線透過率Tを測定したところ90.1%、熱膨張係数αは55ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(比較例1)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:0モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、DMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
窒素雰囲気中で15分攪拌した後、180℃に加熱し、1時間攪拌した。その後室温まで冷却し、BPDAを8.83g(30mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP68.9g、トルエン13.8gを加えた。180℃まで再加熱し、3時間反応させ、重量平均分子量Mw約6万のポリイミドワニスを得た。
実施例1と同様にワニスをメタノール中で再沈殿させ、ポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスを作製したが、ワニスの粘度が増加し、1日以内で固化したため、フィルム作製に至らなかった。
反応溶媒であるNMPに再溶解させワニスを作製しフィルム化したところ、表面に凹凸のあるフィルムとなり成膜性に問題が発生し、またフィルムに着色が観察された。なおNMP溶媒のワニスにおいても1ヶ月以内で固化し保存安定性に問題があった。
(比較例2)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:0モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BTDAを19.33g(60mM)、DMHMを14.31g(60mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.61g、ピリジン0.95g、NMP125.9g、トルエン25.2gを加えた。これらを180℃で、加熱攪拌し反応させた。その結果、反応溶液に濁りが発生し、正常なワニスを得ることが出来なかった
(比較例3)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、脂肪族ジアミンとしてDMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BTDAを19.33g(60mM)、DMHMを14.31g(60mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.61g、ピリジン0.95g、NMP125.9g、トルエン25.2gを加えた。これらを180℃で、加熱攪拌し反応させた。その結果、反応溶液に濁りが発生し、正常なワニスを得ることが出来なかった
(比較例3)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、脂肪族ジアミンとしてDMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、ODPAを9.31g(30mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP71.6g、トルエン14.3gを加えた。180℃まで再加熱し、45分反応させ、重量平均分子量Mw約1万のポリイミドワニスを得た。ワニスをメタノール中で再沈殿させ、ポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いてフィルム作製を試みたが、基板よりフィルムを引き剥がす際に、割れ、切れが発生し、十分な強度を有するフィルムに作製できなかった。
(比較例4)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:25モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、脂肪族ジアミンとしてDMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを8.83g(30mM)、脂肪族ジアミンとしてDMHMを4.47g(20mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.68g、ピリジン0.95g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、ODPAを9.31g(30mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP71.6g、トルエン14.3gを加えた。180℃まで再加熱し反応させた。反応時間10時間程度で、粘度の増加により攪拌器のトルク許容値を越え、攪拌ができなくなった。このワニスの分子量を測定した所、重量平均分子量Mw約25万であった。この高粘度ポリイミドワニスを高速攪拌器を用いてメタノール中に粉末状に再沈殿させ、実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製した。この樹脂粉末をN,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。樹脂の濃度20重量%のワニスを用いてフィルム作製を試みたが、粘度が高く、ワニスを基板にキャストすることが困難であり、均一なフィルムを得ることができなかった。
(比較例5)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:12.5モル%)
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを17.65g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、BPDAを17.65g(60mM)、DMHMを9.54g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100g、トルエン20gを加えた。
実施例1と同様に180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却し、ODPAを6.20g(20mM)、DMHMを9.54g(40mM)入れ、NMP59.8g、トルエン12.0gを加えた。180℃まで再加熱し5時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約10万であった。
ポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解させワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ88%、熱膨張係数αは43ppm/K(常温〜150℃)を得た。
(比較例6)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:0モル%)
実施例1と同様の装置を用い、CPDAを12.61g(60mM)、DMHMを14.31g(60mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.61g、ピリジン0.95g、NMP99.0g、トルエン19.8gを加えた。これらを180℃で30時間、加熱攪拌し反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約7万であった。
実施例1と同様の装置を用い、CPDAを12.61g(60mM)、DMHMを14.31g(60mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.61g、ピリジン0.95g、NMP99.0g、トルエン19.8gを加えた。これらを180℃で30時間、加熱攪拌し反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約7万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ91.5%、熱膨張係数αは75ppm/K(常温〜150℃)であった。
(比較例7)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:45モル%)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100.0g、トルエン20.0gを加えた。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを18.61g(60mM)、DAHMを8.41g(40mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP100.0g、トルエン20.0gを加えた。
これらを180℃で1時間、加熱攪拌し、その後室温まで冷却した。次にBPDAを2.35g(8mM)、ODPAを3.72g(12mM)、DAHMを8.41g(40mM)入れ、NMP54.5g、トルエン10.9gを加えた。180℃まで再加熱し3時間反応させた。得られたポリイミドワニスの重量平均分子量Mwを測定したところ、約8万であった。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ91.1%、熱膨張係数αは63ppm/K(常温〜150℃)が得られた。
(比較例8)(酸無水物とジアミンの合計含有量に対するODPAの含有量:50モル%)(OPDA+DAHM)
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを23.54g(80mM)、DMHMを16.82g(80mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP149.9g、トルエン30.0gを加えた。窒素雰囲気中で15分攪拌した後、180℃に加熱し、7時間攪拌し反応させた。重量平均分子量約6万のポリイミドワニスを得た。
実施例1と同様の装置を用い、ODPAを23.54g(80mM)、DMHMを16.82g(80mM)をフラスコに入れ、γ−カプロラクトン0.91g、ピリジン1.27g、NMP149.9g、トルエン30.0gを加えた。窒素雰囲気中で15分攪拌した後、180℃に加熱し、7時間攪拌し反応させた。重量平均分子量約6万のポリイミドワニスを得た。
実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂粉末を作製し、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解させワニスとした。このワニスを用いて厚さ約100μmのフィルムを作製し、このフィルムの全光線透過率Tを測定したところ91.3%、熱膨張係数αは68ppm/K(常温〜150℃)が得られた。
Claims (6)
- 酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物において、上記酸無水物として化学式(1)と化学式(2)及び/又は化学式(3)からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして化学式(4)、化学式(5)、化学式(6)のうち1種以上から選択されるジアミンを含み、化学式(1)の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物であって、そのポリイミド樹脂組成物を厚さ100±5μmのフィルムとしたときの線膨張係数が30〜60ppm/Kであることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
- 上記ポリイミド樹脂組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量が20000〜200000である請求項1または2記載のポリイミド樹脂組成物。
- 酸無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド樹脂組成物を用いて作製したポリイミドフィルムにおいて、上記酸無水物として化学式(1)と化学式(2)及び/又は化学式(3)からなる2種類以上の酸無水物を含み、上記ジアミンとして化学式(4)、化学式(5)、化学式(6)のうち1種以上から選択されるジアミンを含み、化学式(1)の含有量が上記酸無水物と上記ジアミンの合計含有量の20〜40モル%であるポリイミド樹脂組成物を用いて作製したことを特徴とするポリイミドフィルム。
- フィルム厚が100±5μmにおいて、線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、全光線透過率が90%以上である請求項4記載のポリイミドフィルム。
- 上記ポリイミド樹脂組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量が20000〜200000である請求項4または5記載のポリイミドフィルム。
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