JP2006131654A - 共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

共重合体ラテックスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐湿潤ベタツキ性に優れ、塗工紙のピック強度と湿潤ピック強度の両者を向上させ、更には塗工カラーを調製した際の微細凝固物の発生を低減させるジエン系共重合体ラテックスを、工業的規模で効率よく製造する技術を提供する。
【解決手段】 エチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩の中から選ばれる、少なくとも一種以上の化合物(化合物Aと略する)の存在下に、下記単量体混合物
(a)共役ジエン系単量体20〜80質量%、
(b)不飽和カルボン酸単量体0.5〜10質量%、
(c)シアン化ビニル単量体3〜50質量%、および
(d)その他共重合可能な単量体0〜76.5質量%
(但し(a)+(b)+(c)+(d)=100質量%)を乳化重合して共重合体ラテックスを製造するに当たり、全単量体混合物の添加が終了した時点において、重合系内に添加された化合物Aの反応転化率が70質量%以上である事を特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共重合体ラテックスの製造方法に関するものである。更に詳しくは、高い化学的安定性と耐湿潤ベタツキ性を有し、紙塗工における接着強度及び耐水性に特に優れた効果を発揮する共重合体ラテックスを効率的に製造する方法に関するものである。
共役ジエン系共重合体ラテックスは、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、各種接着剤および粘着剤、繊維結合剤ならびに塗料など広範な用途に用いられてきた。これらの用途に用いられる共重合体ラテックスには、基材や配合される顔料などに対する優れた接着力、耐水性などが要求される。
塗工紙は、抄造された紙の表面の平滑性を高め、光沢や印刷適性を向上させる目的で、原紙にカオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの無機顔料およびプラスチック顔料などの有機顔料を塗布したものであり、これらの顔料のバインダーとしてジエン系共重合体ラテックスが一般的に用いられている。顔料バインダーとして用いられる共重合体ラテックスの性質は、紙の表面強度はもとより、塗工紙の印刷適性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告等の需要の増大に伴い、印刷速度の高速化が進められており、特にインクのタックによる紙の表面の破壊に対する抵抗性(いわゆるピック強度)や湿し水が塗布された際のピック強度(湿潤ピック強度)の向上が以前にも増して要求されるようになった。また塗工紙の品質向上ニーズも高まり、特に白紙光沢を向上させる要求が強い。これに対し、塗工に用いる顔料を小粒子径化させる傾向が進んでいるが、この結果バインダーとして用いられる共重合体ラテックスに対しては、更なるピック強度や湿潤ピック強度の向上が求められている。
ピック強度や湿潤ピック強度を向上させる為には、共重合体ラテックスの粒子径をより小さくする事が有効である事が知られている。通常ラテックスを小粒子径で生産するためには通常の文献(非特許文献1 室井宗一著、高分子ラテックスの化学)等に示されるように、重合初期における開始剤ラジカルの発生量の増加や、乳化剤の増量による重合単量体ミセルの増加が良く知られている。
この他、同様な効果の期待できる方法としては、重合に用いる開始剤を単量体添加開始前に大量に用いる方法等も良く用いられる。また、このような手法に関してはスミス−エバートのエマルジョンの重合理論として一般に良く知られていることである。しかし、このように一般に良く知られている方法で小粒子径のラテックスを生産した場合、応用して得られた製品の耐水性能を著しく損なうという短所も知られている。
さらに、工業的生産に対しては操業的条件や共重合体ラテックスの物性への制限等があるため100nm以下の共重合体ラテックスを製造することは事実上困難であった。これら、工業生産にかかわる問題点でもっとも重要な点は共重合体の固形分に関わる問題である。通常の操業上の経済性に見合う共重合体ラテックスの固形分量は約30質量%以上が確実に必要である。しかし、100nm以下の共重合体ラテックスの固形分の設定を30質量%以上にした場合、重合時の微細凝固物の発生や重合中の2次粒子への成長などにより重合に使用する乳化剤の量が、さらに過剰に必要であった。
これに対し、特許文献1(特開平6−211911号公報)や特許文献2(特許第3106292号公報)にある乳化剤の併用や添加方法による考案も提出されている。一方、非特許文献2「重合性界面活性剤・高分子活性剤」(長井勝利、日本接着学会誌Vol.33N0.6(1997),p233-239)に総説されているように、いわゆる反応性基を有する界面活性剤である反応性乳化剤を用いた乳化重合の技術が従来より良く知られている。このような反応性乳化剤を用いて製造された共重合体ラテックスは乳化剤自身が共重合体の粒子に化学結合を行うため、通常の乳化剤を用いた場合に比べ飛躍的に塗膜の耐水性や湿潤時の接着強度が増大することが多くの文献によって提出されている。
たとえば特許文献3(特開平11−209413号公報)、特許文献4(特開平5−171598号公報)、特許文献5(特開2000−234293)等には表面強度等に優れる紙塗工用バインダーとしての考案が提出されている。
いずれの技術においても、ある程度の小粒子径化を達成することは可能であるが、工業的規模で共重合体ラテックスを生産するに際しては、微細凝固物の発生を充分に抑制する事は不可能であり、更なる改良が求められている。また、小粒子径化されたラテックスは、一般的に化学的安定性が劣り、紙塗工用カラーのバインダとして調製された場合にも、カラー中で微細凝固物の発生を起こし、塗工紙表面へのキズ(ストリーク、スクラッチなど)を起こすという課題を有している。
一方、印刷用紙である塗工紙の生産においても、生産能力および生産性の向上のため、塗工速度の高速化が進められている。顔料、共重合体ラテックスおよびスターチ、カゼインなどの水溶性高分子を主成分とする塗工液においては、塗工の高速化に伴う乾燥能力の低下に対応するため、高固形分化が求められている。塗工液の高固形分化による流動性の低下を改良するため、炭酸カルシウムの配合比率を増加するといった顔料配合面からの検討や、スターチなどの増粘性の大きい水溶性バインダーを減らし、共重合体ラテックスを増加する等のバインダー面からの検討が行われている。しかし炭酸カルシウムの配合比率を高めると塗工紙の光沢が低下するという問題があり、また共重合体ラテックスの配合量を増加すると、塗工紙表面のベタツキ性が増大し、バッキングロールやカレンダーロールの汚れといった操業上の問題を発生しやすくなる。
以上のような塗工紙の品質や塗工紙の生産に関わる問題のため、共重合体ラテックスについても様々な改良がなされてきた。例えば特定の単量体組成で二段もしくは多段で重合を行う共重合体ラテックスの改良が多数提案されている(特許文献6 特公昭62−58371号公報、特許文献7 特公昭62−31116号公報、特許文献8 特公昭64−2716号公報、特許文献9 特公昭60−19927号公報、特許文献10 特開平4−41502号公報、特許文献11 特開平5−272094号公報、特許文献12 特開平7−247327号公報)。しかしながらこれらの発明では、塗工紙のドライピック強度、湿潤ピック強度、および紙塗工における耐ロール汚れ特性の向上手段としていずれも不十分なものであった。
ところで、特許文献13(特開平4−126896号公報)にはスチレンスルホン酸系化合物を共重合したジエン系共重合体ラテックスが、特許文献14(特開昭61−266696号公報)にはエチレン系不飽和スルホン酸単量体及び/又はそのアルカリ塩を共重合したジエン系共重合体ラテックスが、更には特許文献15(特開平7−166494号公報)には水溶性アリール化合物を共重合したジエン系共重合体ラテックスが、更には特許文献16(特開2003−119203)には特定の反応性乳化剤を用いて粒子径とゲル分率が特定の範囲に入るジエン系共重合体ラテックスが開示されているが、いずれの発明においても、上記に記した課題である塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、共重合体ラテックス生産時の微細凝固物の抑制、共重合体ラテックスの化学的安定性と耐湿潤ベタツキ性を全て解決できるものではなかった。
特開平6−211911号公報 特許第3106292号公報 特開平11−209413号公報 特開平5−171598号公報 特開2000−234293 特公昭62−58371号公報 特公昭62−31116号公報 特公昭64−2716号公報 特公昭60−19927号公報 特開平4−41502号公報 特開平5−272094号公報 特開平7−247327号公報 特開平4−126896号公報 特開昭61−266696号公報 特開平7−166494号公報 特開2003−119203
本発明は、以上のような状況から、耐湿潤ベタツキ性に優れ、塗工紙のピック強度と湿潤ピック強度の両者を向上させ、更には塗工カラーを調製した際の微細凝固物の発生を低減させるジエン系共重合体ラテックスを、工業的規模で効率よく製造する技術を提供する事を目的とする。
本発明者らは、上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、共重合体ラテックスを製造するに際し、出発原料である単量体組成を特定範囲に限定し、かつエチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩の存在下に乳化重合を行うと共に、乳化重合途中におけるエチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ塩の反応転化率を特定範囲に定めることによって、上記目的を達成できる事を見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、
[1]エチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩の中から選ばれる、少なくとも一種以上の化合物(以下、化合物Aと略する)の存在下に、下記単量体混合物
(a)共役ジエン系単量体20〜80質量%、
(b)不飽和カルボン酸単量体0.5〜10質量%、
(c)シアン化ビニル単量体3〜50質量%、および
(d)その他共重合可能な単量体0〜76.5質量%
(但し(a)+(b)+(c)+(d)=100質量%)を乳化重合して共重合体ラテックスを製造するに当たり、全単量体混合物の添加が終了した時点において、重合系内に添加された化合物Aの反応転化率が70質量%以上である事を特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
[2]上記化合物Aの存在下、単量体混合物を少なくとも2段階以上の多段階に分けて乳化重合し共重合体ラテックスを製造するに当たり、最終段階の単量体混合物の添加を開始する時点において、重合系内に添加された化合物Aの反応転化率が60質量%以上である事を特徴とする、[1]記載の共重合体ラテックスの製造方法、に関する。
本発明の製造方法によれば、塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、耐ベタツキ性、塗工カラーに対する安定性などに優れる共重合体ラテックスを、乳化重合時の微細凝固物の発生を低減させて、安定に重合することができる。
本発明は、エチレン系不飽和カルボン酸のアルカリ塩の中から選ばれる、少なくとも一種以上の化合物(化合物A)の存在下に、後述する単量体混合物を乳化重合して共重合体ラテックスを製造する方法である。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明で用いる、エチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩とは、その分子中にビニル基、アクリロレイル基、あるいはメタアクリロレイル基等のラジカル重合性の二重結合を有したスルホン酸のアルカリ塩であり、1種単独で、又は2種以上併用して使用可能である。具体例としては、分子中にビニル基、アクロレイル基、あるいはメタアクロレイル基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩、カリウム塩、あるいはアンモニウム塩であり、例えばスチレンスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、アリルスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸カリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、メタアリルスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸カリウム、メタアリルスルホン酸アンモニウム、アクリルスルホン酸ソーダ、アクリルスルホン酸カリウム、アクリルスルホン酸アンモニウム、メタアクリルスルホン酸ソーダ、メタアクリルスルホン酸カリウム、メタアクリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸カリウム、ビニルスルホン酸アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンアンモニウム等があげられる。
更には分子中にラジカル重合性の二重結合、硫酸基、ポリオキシアルキレン基を有する、所謂、反応性乳化剤も使用可能であり、このような反応性乳化剤の例としては下記一般式(I)〜(VII)で示されるものが例としてあげられる。
Figure 2006131654
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上記に例示したエチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩の中でも、接着強度向上、及び化学的安定性への効果の観点から、スチレンスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、アリルスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸カリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、メタアリルスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸カリウム、メタアリルスルホン酸アンモニウムが好ましく、更に好ましいものはスチレンスルホン酸ソーダであり、最も好ましくはp−スチレンスルホン酸ソーダである。
これらのエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩は、通常単量体混合物100質量部当たり、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。この範囲で用いる事により、得られた共重合体ラテックスは取り扱いに支障を及ぼさない粘度を維持し、かつ塗工紙の良好な接着強度を発現させる。このましくは0.1〜3質量部、更に好ましくは0.3〜2質量部の範囲である。
次に乳化重合に際しての、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の使用方法であるが、これは特に制約はなく、乳化重合を行う系内に予め一括で全量を仕込んでおいてもよく、また、乳化重合開始後に追添しても良い。しかし得られる共重合体ラテックスの化学的安定性、微細凝固物抑制効果の観点から判断すると、使用するエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の全量の内、50質量%以上については予め系内に仕込んでおいてから乳化重合を開始する事が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
工業的規模で本発明の共重合体ラテックスの製造方法を適用するには、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩については、水溶液として使用する事が取り扱い上好ましい。水溶液の濃度については特に規定はないが、5〜50質量%の範囲で使用される。またエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩が、乳化重合に供する前の段階で、変質をしてしまう事を防ぐ為に、水溶液のPHは7〜14、好ましくは9〜13.5、最も好ましくは10〜13に調製する事が望ましい。水溶液のPH調整は、水溶液に公知の塩基性物質を添加する事によって可能となる。
本発明において目的の効果を発現させる為には、乳化重合途中における、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応転化率が特定の範囲に入る事が必須である。すなわち、共役ジエン系単量体等の単量体混合物を添加して乳化重合するに当たり、全単量体混合物の添加が完了した時点において、その時点までに乳化重合系内に添加されたエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応転化率が70質量%以上である事が必要である。この反応転化率を70質量%以上にさせる事によって、得られた共重合体ラテックスの湿潤ピック強度、耐湿潤ベタツキ性、及び化学的安定性を良好にさせる事が可能となり、乳化重合時に発生する微細凝固物の量を著しく低減させる事ができる。更に好ましい範囲は80%質量以上、より好ましくは90質量%以上である。
また、単量体混合物を2段以上の複数の段階に分けて乳化重合の系内に添加し、共重合体ラテックスを製造する場合には、最終段階の単量体混合物の添加を開始する時点において、その時点までに乳化重合系内に添加されたエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応添加率が60質量%以上である事が好ましい。この反応添加率を60質量%以上にさせる事によって、得られた共重合体ラテックスの湿潤ピック強度、耐湿潤ベタツキ性、及び化学的安定性を良好にさせる事ができ、更には、乳化重合時に発生する微細凝固物の量を低減せしめることができる。更に好ましい範囲は70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上である。
エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応転化率の制御は、乳化重合時の重合温度や、乳化重合系内への単量体混合物の添加速度、併用する重合遅延剤の量や添加速度、乳化重合系のPH等のコントロールで所望の範囲に調整可能である。
本発明における単量体混合物を構成する(a)共役ジエン系単量体は、共重合体に柔軟性を与え、接着力、衝撃吸収性を与えるために必須の成分であり、該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、最も好ましくは35〜55質量%の割合で用いられる。この単量体の使用量を上記範囲に設定する事により、共重合体に適度の柔軟性と弾性を付与して接着力を向上させ、更には耐湿潤ベタツキ性を向上させる事ができる。使用される共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
本発明における(b)不飽和カルボン酸単量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え、接着力を高めるための必須成分であり、該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、全単量体に対し0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、更に好ましくは1〜5質量%の割合で用いられる。この単量体の使用量を上記範囲に設定する事により、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与えることが可能となり顔料混和時および塗工工程におけるさまざまな問題発生を回避する事ができる。また共重合体の粘度を取り扱いに支障をきたさない適度な範囲に調整する事が可能であり、かつ耐水性も良好なレベルを実現する。不飽和カルボン酸単量体の好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸などのエチレン系不飽和カルボン酸などがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
本発明における(c)シアン化ビニル単量体は、耐湿潤ベタツキ性および湿潤ピック強度の向上に必須の成分であり、該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、全単量体に対し3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは7〜30質量%の割合で用いられる。この単量体の使用量を上記範囲に設定する事により、本発明の目的である耐湿潤ベタツキ性や湿潤ピック強度の向上効果が得られ、かつ共重合体ラテックスの重合安定性を低下させる事がない。シアン化ビニル単量体の好ましい例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
本発明においては(d)共重合可能な他の単量体を併用して含む事が好ましい。この共重合可能な他の単量体の出発物質となる単量体を適宜選択することにより、共重合体ラテックスにさまざまな特性を付与できる。共重合可能な他の単量体の好ましい例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
この(d)共重合可能な単量体は、該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、全単量体に対し0〜76.5質量%、好ましくは25〜66質量%の割合で用いられる。この単量体を上記範囲で使用する事で、好適な接着強度が発現させる事が可能となる。
本発明の製法で製造される共重合体ラテックスのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、塗工紙用途における接着強度とラテックスの耐湿潤ベタツキ性を両立させる観点から、−50℃〜+40℃、好ましくは−40℃〜+45℃、よりこのましくは−30〜+40℃の範囲にあることである。Tgは1種類の共重合体ラテックスおいて1点だけでなく、複数のTgを有していても良い。
本発明の製造法で製造される共重合体ラテックスにおいては、その粒子径は50〜150nm、好ましくは60〜110nmにあることが好適である。この範囲の粒子径に設定する事により、ラテックスの粘度を好適な範囲に調整する事が可能であり、作業性を低下せしめない。更には、接着強度の低下や塗料粘度の上昇が発生を抑制させる事ができる。
本発明の製造法で製造される共重合体ラテックスについては、共重合体中のゲル分率(トルエン不溶分)が60〜98質量%に有ることが好ましく、更に好ましくは70〜95質量%、最も好ましくは85〜93質量%の範囲にあることである。この範囲にゲル分率を調整する事によって、ラテックスの耐湿潤ベタツキ性と塗工紙の湿潤ピック強度を同時に向上させる事ができる。
本発明の共重合体ラテックスの製造法は、従来商業的に用いられている乳化重合法の装置を使用して行われるものであり、その方法については特に制限はなく、水性媒体中で界面活性剤の存在下、ラジカル開始剤により重合を行うなどの方法を用いることができる。
使用する乳化剤についても特に制限はなく、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。反応性乳化剤を除いて、使用する乳化剤の合計量は、単量体100質量部当たり、0.1〜0.4質量部である事が好ましい。
ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を用いることもできる。
本発明の共重合体ラテックスの製造法を適用する場合、ラジカル重合において通常用いられる公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好ましい例としては、核置換α−メチルスチレンのニ量体のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の添加方法にも特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
本発明の共重合体ラテックスの製造法を適用する場合の重合温度は、特に制約はないが、通常40〜100℃の範囲で行う事が一般的であるが、生産効率と、得られる共重合体ラテックスの接着強度等の品質の観点からは、55〜95℃の範囲が好ましい。
本発明の共重合体ラテックスの製造法を適用する場合の重合固形分は、生産効率と乳化重合時の微細凝固物抑制の観点から、35〜60質量%、更に好ましくは38〜52質量%である。
本発明の共重合体ラテックスの製造法においては、乳化重合の系内に単量体混合物を添加する手段については特に制約はない。単量体混合物の一部を一括して予め乳化重合系内に仕込み重合した後、残りの単量体混合物を連続的もしくは間欠的に仕込む方法、あるいは単量体混合物を重合最初から連続的または間欠的に仕込む方法を採りうるものであり、これらの重合方法を組み合わせて重合してもよいが、得られる共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性を高め、かつ優れた接着強度を発現させる為には、単量体混合物を複数の段階に分け、各段階で単量体混合物の組成を変えて仕込む、多段階重合法が好ましい。この場合、全単量体を合計した混合組成が請求項1記載の内容に該当している範囲においては特に制約はないが、得られる共重合体ラテックスのポリマーについては、粒子中心部が比較的軟質な組成であり、かつ粒子表層部が比較的硬質な組成となるべく、各段階の単量体組成を設定する事が、耐湿潤ベタツキ性と接着強度を発現させるために好ましい。
本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスには、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスの、最終製品としての固形分についても特に制限はなく、通常固形分は30〜60質量%の範囲に希釈もしくは濃縮して調製される。
本発明の共重合体ラテックスの製造に際しては、粒子径の調整のため公知のシード重合法を用いることも可能であり、シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法を適宜選択して用いることができる。
本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加すること、あるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、印刷適性剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともに共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。ここで、本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスは、紙塗工用塗料を構成する顔料については、その平均粒子径が小さいものを主として用いた場合に、特に顕著なピック強度、湿潤ピック強度を発現する。即ち、カオリンクレーについては、2μm以下の粒子が84質量%以上であるもの、炭酸カルシウムについては2μm以下の粒子が90質量%以上である顔料を用いる場合に有効である。
顔料と本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスの使用割合は、組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、好ましくは顔料100質量部に対してラテックス3〜30質量部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。塗工形態も原紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであり、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル塗工に供する事もできる。この場合、本発明の共重合体ラテックスはその下塗り用顔料組成物、及び上塗り用顔料組成物のいずれにも用いる事ができる。
本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物は、オフセット枚葉式印刷用紙、オフセット輪転式印刷用紙、グラビア式印刷用紙、凸版式印刷用紙等の各種印刷用紙及び板紙、ダンボール用紙、包装紙等に好的に用いられるが、特にオフセット枚葉式印刷用紙及びオフセット輪転印刷用紙に用いられる事が望ましい。
更に本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスは、紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、その他接着剤、各種塗料にも用いる事ができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例によって制約を受けるものではない。
各物性は、以下の方法で評価した。
(1)ピック強度:RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク(T&KTOKA社製SDスーパーデラックス50紅B;タック18)0.4ccを重ね刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(2)湿潤ピック強度:RI印刷試験機(明製作所製)を用いてスリーブロールで塗工紙表面に給水し、その直後に印刷インク(T&KTOKA社製SDスーパーデラックス50紅B;タック15)0.4cc1回刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(3)エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応添加率:反応途中の共重合体ラテックス中に残存する、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩を定量する事により求めた。即ち共重合体ラテックスを約1g採取し、125倍に水で希釈した。次いで10質量%の硫酸アルミニウム水溶液0.5gを添加して、共重合体ラテックスのポリマー分を沈殿させた。上澄み液を0.2μm孔径の濾紙を通して濾過し、続いてイオンクロマトグラフィー(東ソー株式会社製 IC−2001型)を使用して、上澄み液中のエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩量を測定し、反応添加率(質量%)を算出した。
(4)共重合体ラテックスの粒子径:動的光散乱法により、光散乱光度計(シーエヌウッド社製、モデル6000)を用いて、初期角度45度−測定角度135度で測定した。
(5)共重合体ラテックス中の微細凝固物生成量:500gのポリマー分を含有する共重合体ラテックスを秤量し、#200の金網で濾過したときに金網上に残る残渣物の乾燥質量(g)を測定した。
(6)共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性
マイラーフィルムに得られた共重合体ラテックスをNo.12のワイヤーバーで塗布して130℃で30秒乾燥した。このフィルムを30℃の水中に5秒間浸漬させた後、黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度60℃、線圧19600N/mのスーパーカレンダーを通過させた後、黒ラシャ紙を剥離する。この黒ラシャ紙繊維のラテックスフィルムのベタツキによる転移状態を目視評価した。評価は10点評価法で行ない、転移の少ないものほど高得点とした。
(7)共重合体ラテックスのゲル分率:約2倍に希釈したラテックスを130℃で30分間乾燥しラテックスフィルムを得る。このラテックスフィルムを約0.5gとり秤量する。これをトルエン30mlと混合して3時間浸透したのち、目開き32μmの金属網にてろ過した場合の残留物の乾燥質量を秤量する。もとのラテックスフィルム質量に対する残留物の乾燥質量の割合をゲル分率(質量%)とする。
(8)共重合体ラテックスの粘度:得られた共重合体ラテックスを、固形分50質量%、PH8.0、温度23℃の状態に調製し、B型粘度計で測定した。
(9)塗工カラーの調製と微細凝固物の発生量測定:始めに、共重合体ラテックスを除く以下の構成材料でマスターカラーを調製した。
微粒カオリンクレー 50 質量部
粗粒カオリンクレー 20 質量部
重質炭酸カルシウム(微粒) 20 質量部
重質炭酸カルシウム(粗粒) 10 質量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2質量部
水酸化ナトリウム 0.1質量部
リン酸エステル化でんぷん 2.5質量部
水(塗工液の全固形分が68質量%となるように添加)
なお、微粒カオリンクレーとしては、ハイドラグロス90(米国、J.M.HUBER社製;粒子径2μm以下の割合=96質量%以上)、粗粒カオリンクレーとしては、ハイドラスパース(米国、J.M.HUBER社製;粒子径2μm以下の割合=80〜82質量%)、微粒重質炭酸カルシウムとしてはカービタル95(ECC社製;粒子径2μm以下の割合=95質量%以上)、粗粒重質炭酸カルシウムとしてはカービタル75(ECC社製;粒子径2μm以下の割合=75〜80質量%)、ポリアクリル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。
このマスターカラーを200メッシュのフィルターを通過させて濾過した後、小分けし、各々のマスターカラーに、顔料100質量部当たり12質量部の割合で共重合体ラテックスを、及び最終固形分が64質量%になるよう、水をそれぞれ添加し、混合した。その後再び200メッシュのフィルターを通過させ、フィルター上に残留した微細固形物の乾燥質量を測定し、カラー質量に対する濃度(ppm)を算出した。この値が小さいもの程、効果が大きい事を示す。
(10)塗工紙の調製:各々の塗工カラーを、塗工量が片面13g/m2になるように坪量74g/m2の塗工原紙にブレードコーターで塗工し、乾燥した後、ロール温度50℃、線圧150kg/cmでスーパーカレンダー処理を行い塗工紙を得た。得られた塗工紙を印刷試験に用いた。
実施例1〜4
耐圧反応容器に水80質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部、および表1中に記載された、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩を含む重合初期原料を一括して仕込み、75℃にて十分に攪拌した。尚、この時用いたエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩は、30質量%に調整された水溶液であり、この水溶液のPHは11であった。次いで表1中に記載した1段目の単量体混合物を、4時間かけて連続的に添加し、次いで表2中に記載した2段目の単量体混合物を、2時間かけて連続的に添加した。一方これと並行して、1段目の単量体混合物の添加開始15分後に、過硫酸ナトリウム0.5質量部を容器内に一括して添加し、重合反応を開始させた。さらに水20質量部、水酸化ナトリウム0.1質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、及び過硫酸ナトリウム0.9質量部からなる水系混合物を、3時間かけて連続的に添加し、重合反応を加速させた。最終段階の単量体混合物の添加が完了した時点で、容器の内温を95℃に昇温し、さらに1時間反応させた後冷却して共重合体ラテックスを得た。この時点で、前述の方法により乳化重合中に発生した微細凝固物の量を測定した。この共重合体ラテックスには、スチームストリッピング法で未反応の単量体を除去した後、ポリアクリル酸ソーダ0,5質量部を添加し、水酸化ナトリウムを用いてPHを8,0に調整し、最後に固形分を50質量%に調整した。この共重合体ラテックスを325メッシュのフィルターを通過させて濾過した後、各物性を測定した。その結果を表1に記す。また、乳化重合途中での、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応添加率の測定結果も、表1中に併せて記す。
Figure 2006131654
表1に記載内容から明らかな様に、本発明の製造法の範囲で製造した共重合体ラテックスについては、製造時の微細凝固物の発生量が少なく、得られた共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性も優れている。加えてこれらの共重合体ラテックスを使用して調整した塗工カラーは、その微細凝固物の発生量も少ない。更に本発明の製造法で得られた共重合体ラテックスを使用した場合、塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度はいずれも高いレベルにあった。
実施例5
表1に記した原料、単量体混合物を用い、1段目の単量体混合物の添加開始後3時間の段階で、p−スチレンスルホン酸ソーダ0.3質量部を水溶液として一括添加した事以外は、実施例1と同様の方法で共重合体ラテックスを製造し、物性評価に供した。結果を表1に記す。
表1から明らかなように、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の一部を、重合反応開始前でなく、開始後に添加した場合でも、本発明の製造法の範囲を適用したものについては、実施例1〜4と同じく、高い効果を発現した。
比較例1〜6
表2に記した原料、単量体混合物を用いで実施例1と同様の方法で共重合体ラテックスを製造し、物性評価に供した。尚、比較例6は、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩を全く用いないで共重合体ラテックスを製造した。各物性評価結果を表2に記す。
Figure 2006131654
表2は、いずれも本発明の共重合体ラテックスの製造法の範囲を外れたものの結果を記したものである。比較例1、4および5は共重合体ラテックス製造途中における、エチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩の反応添加率が低く、共重合体ラテックス製造時、および該共重合体ラテックスを使用した塗工カラー調製時の微細凝固物の発生量が多い。また、共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性は劣り、得られた塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度も低い。比較例2は使用したシアン化ビニル単量体の量が少なく、得られた共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性が劣ると共に、塗工紙の湿潤ピック強度が低い。比較例3は使用した共役ジエン系単量体の量が多い為に、耐湿潤ベタツキ性および塗工紙の湿潤ピック強度が劣る。比較例6はエチレン性不飽和スルホン酸のアルカリ塩を使用せずに共重合体ラテックスを製造した為、耐湿潤ベタツキ性、微細凝固物発生量、塗工紙のピック強度および湿潤ピック強度がいずれも大きく劣る結果となった。

Claims (2)

  1. エチレン系不飽和スルホン酸のアルカリ塩の中から選ばれる、少なくとも一種以上の化合物(以下、化合物Aと略する)の存在下に、下記単量体混合物
    (a)共役ジエン系単量体20〜80質量%、
    (b)不飽和カルボン酸単量体0.5〜10質量%、
    (c)シアン化ビニル単量体3〜50質量%、および
    (d)その他共重合可能な単量体0〜76.5質量%
    (但し(a)+(b)+(c)+(d)=100質量%)を乳化重合して共重合体ラテックスを製造するに当たり、全単量体混合物の添加が終了した時点において、重合系内に添加された化合物Aの反応転化率が70質量%以上である事を特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 上記化合物Aの存在下、単量体混合物を少なくとも2段階以上の多段階に分けて乳化重合することにより共重合体ラテックスを製造し、最終段階の単量体混合物の添加を開始する時点において、重合系内に添加された化合物Aの反応転化率が60質量%以上である事を特徴とする、請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法。
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