ところで上記構成において、燃料ガス,水素ガスあるいは改質装置で水素ガスを生成する段階で発生する一酸化炭素ガスが、配管接続の緩みなどの何等かの原因で漏れ出した場合には、これをすぐに検知して、ガスの漏出を防ぐ必要がある。このような点を考慮して、例えば特許文献1には、パッケージに設けた換気ファン(換気装置)により常にパッケージ内の雰囲気を排出し、新鮮な外気を取り込むようにすると共に、換気ファンの近傍に設けたガス検知器が、パッケージ内に漏洩する可燃性ガスを検出すると、換気ファンの換気風量を増加させて、ガス濃度の上昇を抑制するようにしたものが開示されている。
こうしたガス検知器に適用されるガス検知センサは、Pt(プラチナ)などの燃焼触媒からなる検知素子をブリッジ回路に組み込んで電圧を加えておき、ガスが検知素子に触れて発熱反応を起こすとブリッジ回路の電圧バランスが変化して、電圧出力としてガス濃度に見合う信号を取り出すことができるようになっている。しかし、ガス検知センサの取付け構造や検知後の処置が適切でないと、ガス検知能力が低下してガス漏れを発見できなかったり、あるいはガスの濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができないといった問題を引き起こす。とりわけ上記特許文献1に開示される燃料電池装置は、換気ファンの近傍にガス検知器を設けて、パッケージ内のどの箇所からのガス漏れも検知できるようにしているが、ガス検知センサは雰囲気の風速が強いと冷やされて正確な測定ができない。
また別な問題として、従来は貯湯槽との組み合せとしてではない装置に、放熱手段を必然的に設けなければならなかったため、貯湯槽を設けた装置においても、そのまま放熱手段が他の構成要素と共に、共通するパッケージ内に配置されたままとなっている。しかし、放熱手段をパッケージの内部に配置した場合、放熱手段は容積が大きく、しかも吸気,排気の方向性や、空気の流路の確保などを考慮すると、パッケージ内のレイアウト上の制約が多いため、結局は無駄な空間部分が多くなって、パッケージの外形寸法が必要以上に大きくなる懸念を生じていた。またパッケージ内には、前述の空気ブロアや電気制御回路の冷却ファン,換気ファンなどを有しており、これらの送風装置の吸排気口との位置が不適切であると、お互いに吸排気が干渉し合って、設定した風量の確保ができなかったり、温度の高い空気を吸い込んで、充分な冷却効果が得られないなどの問題があった。
さらに別な問題として、装置の運転中に地震などが発生した場合には、装置内の各構成要素が振動して、配管が緩んだり破損などが生じて、燃料ガス,水素ガス若しくは一酸化炭素ガスが漏れ出す虞れがある。さらに地震やその他の不慮の外力によって装置本体が転倒した場合には、さらに被害が拡大する虞れがある。
また、こうした燃料電池装置は戸別発電のため、災害発生時における系統電源遮断時の非常用電源としても有用であるが、系統電源遮断時には往々にして燃料ガスの供給路も遮断されてしまうため、折角の装置が運転できないという不満がある。
また別な問題として、装置の運転を停止したときに、開放したままのパッケージ出口部はそこからのガスの排出が停止するため、この出口部より昆虫や塵埃などの異物が容易に侵入して、燃料電池や改質装置の内部に入り込む。そのため、これらの燃料電池や改質装置の性能が著しく低下したり、あるいは運転が困難になる問題を生じる。
こうした異物の侵入を防止するには、出口部にフィルタを設けることが考えられるが、装置の性能に影響を及ぼさないように異物を排除するには数ミクロンの細かいフィルタを取付ける必要がある。しかし、こうしたフィルタを追加すると、かえって出口部に至る排気ガスの流路の圧損が増加し、ひいては上記補助機器の消費電力が増えて、装置全体の効率が低下する。さらにフィルタが目詰まりを起こした場合には、さらに流路の圧損が増加し、正常な運転を維持できなくなる問題があった。
また、こうした排気ガスは水蒸気を飽和に近い状態で含んでいるため、パッケージの外部に排出すると冷たい外気に触れて水蒸気が凝縮し、白煙となって見える。そのため、使用者に対し違和感を与えたり、水滴が出口部付近のパッケージに付着して腐食の原因にもなっていた。
本発明は上記問題点を解決しようとするものであり、パッケージ内に漏洩する気体を適確に検知でき、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる燃料電池装置を提供することを第1の目的とする。
また本発明の第2の目的は、パッケージ内の無駄な空間を極力少なくして、パッケージの外形寸法をコンパクトに形成できる燃料電池装置を提供することにある。
また本発明の第3の目的は、装置に振動や外力が加わっても、装置を安全に保護することができる燃料電池装置を提供することにある。
また本発明の第4の目的は、細かいフィルタで出口部を覆うことなく、燃料電池や改質装置への異物の侵入を防止できる燃料電池装置を提供することにある。
本発明における請求項1の燃料電池装置では、気体検知手段が設定濃度以上の気体を検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上の気体の漏出を防ぐと共に、気体濃度が設定濃度以下になるまでは、換気装置を運転してパッケージ内の気体を外部に排出する。これにより、パッケージ内に気体を溜めることなく、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
請求項2の燃料電池装置では、気体検知手段が設定濃度以上の気体を検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上の気体の漏出を防ぐと共に、換気を行なう換気口を閉塞する。これにより、パッケージの外部に気体が短時間で大量に漏出するのを防止できる。
請求項3の燃料電池装置では、気体検知手段が設定濃度以上の気体を検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上の気体の漏出を防ぐと共に、パッケージ内の空気を循環させて、空気の循環流路中にある吸着手段に気体成分を吸着させる。これにより、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
請求項4の燃料電池装置では、気体検知手段が設定濃度以上の気体を検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上の気体の漏出を防ぐと共に、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで報知して、使用者に気体濃度の異常上昇を速やかに知らせる。これにより、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
請求項5の燃料電池装置では、放熱手段が貯液槽と共に外部の貯液槽部に配置される。すなわち、パッケージ内に放熱手段が存在しない上に、パッケージ内の他の構成要素の配置に際して、放熱手段の吸排気との干渉を気にする必要がなく、パッケージ内の無駄な空間を極力少なくして、パッケージの外形寸法をコンパクトに形成できるとともに、パッケージ内で充分な性能を確保できる。
請求項6の燃料電池装置では、温かい液体が通過する管体から放熱部に伝わった熱が、送風装置の風により冷され、冷たい液体となって戻される。放熱部により放熱面積を増加させることで、温かい液体を効率よく冷却することができる。
請求項7の燃料電池装置では、放熱手段が貯液槽の下部にあるため、貯液槽が温かい液体で満たされても、対流などの影響を受けない。したがって、放熱手段の放熱効率の低下を防止できる。
請求項8の燃料電池装置では、貯液槽や放熱手段を収納する筐体内に、温かい液体の流路を放熱手段側に切替える切替手段が設けられているので、筐体内で弁の配管を行なうことができ、パッケージと貯液部とを繋ぐ配管が温かい液体用と冷たい液体用の2本で済む。したがって、設置工事を容易に行なうことができる。
請求項9の燃料電池装置では、放熱手段の吸気口が筐体に設けられていて、これを住宅側に面する背面に設けることで、室外の例えば塵埃などの異物を吸い込む機会が減り、異物の侵入に伴なう放熱手段の放熱効果の低下も防止できる。
請求項10の燃料電池装置では、装置に加わる加速度を感震装置により検知できるので、装置に振動や外力が加わっても、感震装置によって装置を安全に保護することができる。
請求項11の燃料電池装置では、装置に加わる加速度が設定した値以上になると、異常を検知して装置を安全に保護することができる。
請求項12の燃料電池装置では、加速度検知手段で検出した加速度の大きさに基づき、感震装置自体が異常であるか否かを判定できるので、感震装置の出力から装置の異常を直接的に判断することが可能になる。
請求項13の燃料電池装置では、装置の姿勢の変化を状態検知装置により検知できるので、装置に振動や外力が加わっても、状態検知装置によって装置を安全に保護することができる。
請求項14の燃料電池装置では、装置の姿勢の変化が所定値以上傾くと、異常を検知して装置を安全に保護することができる。
請求項15の燃料電池装置では、状態検知装置で検出した姿勢の変化量に基づき、状態検知装置自体が異常であるか否かを判定できるので、状態検知装置の出力から装置の異常を直接的に判断することが可能になる。
請求項16の燃料電池装置では、感震装置または状態検知装置が異常を検知すると、気体の供給を遮断してガスの漏出を防ぐと共に、装置の運転を強制的に停止して、装置の安全性をより高めることができる。
請求項17の燃料電池装置では、感震装置または状態検知装置が異常を検知すると、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで報知するので、使用者に振動や外力による装置の異常を速やかに知らせることができる。
請求項18の燃料電池装置では、装置に加わる加速度を感震装置により検知できるとともに、装置の姿勢の変化を状態検知装置により検知できる。したがって、装置に振動や外力が加わっても、これらの感震装置または状態検知装置によって、装置を安全に保護することができる。また、感震装置または状態検知装置の少なくとも一方が正常に動作すれば、装置の異常を検知できるので、安全性をより高めることができる。
請求項19の燃料電池装置では、感震装置の検知加速度が設定加速度未満であれば、主燃料ラインからの燃料供給が途絶えても、ガスボンベから燃料ガスを供給して装置の運転を継続する。これにより、災害発生時などにおいて系統電源が遮断され、且つ主燃料ラインも遮断された状態でも、装置の運転を継続して非常用電源として利用することができる。一方、感震装置の検知加速度が設定加速度以上であったら、燃料供給を全て遮断して、装置の運転を停止することで、装置への振動や外力が大きい場合には、装置を安全に保護することができる。
請求項20の燃料電池装置では、主燃料ラインからの燃料ガスの供給停止を、遮断検知装置によってより直接的且つ確実に検知できる。
請求項21の燃料電池装置では、広く普及している圧力検知手段または流量検知手段を遮断検知装置として用いることができる。
請求項22の燃料電池装置では、燃料電池からのカソード排気出口部を、必要に応じて開閉機構により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池への異物の侵入を防止することができる。
請求項23の燃料電池装置では、改質装置からの燃料排気出口部を、必要に応じて開閉機構により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、改質装置への異物の侵入を防止することができる。
請求項24の燃料電池装置では、燃料電池からのカソード排気出口部と、改質装置からの燃料排気出口部とを、必要に応じて開閉機構によりそれぞれ開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池や改質装置への異物の侵入を防止することができる。
請求項25の燃料電池装置では、燃料電池からのカソード排気と、改質装置からの燃料排気とを混合した混合部の出口部を、必要に応じて開閉機構により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池や改質装置への異物の侵入を防止することができる。
請求項26の燃料電池装置では、装置の運転時に出口部が開放するので、出口部に至る排気流路の圧損は増加しない。一方、装置の運転停止時には出口部が閉塞するので、異物の侵入を確実に防止できる。
請求項27の燃料電池装置では、駆動装置から伝達装置を介して閉塞手段を動かすことで、出口部を簡単に開放または閉塞することが可能になる。
請求項28の燃料電池装置では、燃料電池および/または改質装置からの排気は、外気温よりも幾分温度が高く、また水蒸気も飽和状態に近くなっているが、出口部に達すると、そこで換気装置の排気口からの排気で直ちに希釈され、水蒸気が凝縮することなく大気中に拡散する。これにより出口部からの排気が白煙となって見えたり、出口部付近のパッケージに水滴が付着するのを防止できる。
請求項29の燃料電池装置では、燃料電池および/または改質装置からの排気は、外気温よりも幾分温度が高く、また水蒸気も飽和状態に近くなっているが、出口部に達すると、そこで換気装置からの排気流路を通過する排気で直ちに希釈され、水蒸気が凝縮することなく大気中に拡散する。これにより出口部からの排気が白煙となって見えたり、出口部付近のパッケージに水滴が付着するのを防止できる。
本発明の請求項1の燃料電池装置によれば、パッケージ内に気体を溜めることなく、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることが可能になる。
本発明の請求項2の燃料電池装置によれば、パッケージの外部に気体が短時間で大量に漏出するのを防止できる。
本発明の請求項3の燃料電池装置によれば、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることが可能になる。
本発明の請求項4の燃料電池装置によれば、気体の濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることが可能になる。
本発明の請求項5の燃料電池装置によれば、パッケージ内の無駄な空間を極力少なくして、パッケージの外形寸法をコンパクトに形成できるとともに、パッケージ内で充分な性能を確保できる。
本発明の請求項6の燃料電池装置によれば、温かい液体を効率よく冷却することができる。
本発明の請求項7の燃料電池装置によれば、放熱手段は貯液槽からの対流などの影響を受けず、放熱手段の放熱効率の低下を防止できる。
本発明の請求項8の燃料電池装置によれば、パッケージと貯液槽部とを繋ぐ配管が2本で済み、設置工事を容易に行なうことができる。
本発明の請求項9の燃料電池装置によれば、異物の侵入に伴なう放熱手段の放熱効果の低下が防止できる。
本発明の請求項10の燃料電池装置によれば、感震装置によって装置を安全に保護することができる。
本発明の請求項11の燃料電池装置によれば、設定値の加速度を基準として異常を検知して、装置を安全に保護することができる。
本発明の請求項12の燃料電池装置によれば、感震装置の出力から異常を直接的に判断することができる。
本発明の請求項13の燃料電池装置によれば、状態検知装置によって装置を安全に保護することができる。
本発明の請求項14の燃料電池装置によれば、設定値の傾斜を基準として異常を検知して、装置を安全に保護することができる。
本発明の請求項15の燃料電池装置によれば、状態検知装置の出力から異常を直接的に判断することが可能になる。
本発明の請求項16の燃料電池装置によれば、装置の安全性をより高めることができる。
本発明の請求項17の燃料電池装置によれば、使用者に振動や外力による装置の異常を速やかに知らせることができる。
本発明の請求項18の燃料電池装置によれば、感震装置または状態検知装置によって、装置を安全に保護することができると共に、感震装置と状態検知装置を両方設けたことで、装置の安全性をより高めることができる。
本発明の請求項19の燃料電池装置によれば、災害発生時などにおいて装置を非常用電源として有効に利用できる。また、装置への振動や外力が大きい場合には、装置を安全に保護することができる。
本発明の請求項20の燃料電池装置によれば、主燃料ラインからの燃料ガスの供給停止を、より直接的且つ確実に検知できる。
本発明の請求項21の燃料電池装置によれば、圧力センサや流量センサを遮断検知装置として利用できる。
本発明の請求項22の燃料電池装置によれば、フィルタで出口部を覆わなくても、燃料電池への異物の侵入を防止できる。
本発明の請求項23の燃料電池装置によれば、フィルタで出口部を覆わなくても、改質装置への異物の侵入を防止することができる。
本発明の請求項24の燃料電池装置によれば、フィルタで出口部を覆わなくても、燃料電池や改質装置への異物の侵入を防止することができる。
本発明の請求項25の燃料電池装置によれば、フィルタで出口部を覆わなくても、燃料電池や改質装置への異物の侵入を防止することができる。
本発明の請求項26の燃料電池装置によれば、出口部に至る排気流路の圧損を増加させずに、装置全体の効率をそのまま維持して安定した運転を継続することができ、しかも装置の運転停止時には異物の侵入を確実に防止できる。
本発明の請求項27の燃料電池装置によれば、出口部を簡単に開放または閉塞することが可能になる。
本発明の請求項28の燃料電池装置によれば、出口部からの排気が白煙となって見えたり、出口部付近のパッケージに水滴が付着するのを防止できる。
本発明の請求項29の燃料電池装置によれば、出口部からの排気が白煙となって見えたり、出口部付近のパッケージに水滴が付着するのを防止できる。
以下、本発明における燃料電池装置の各実施例について、添付図面を参照しながら説明する。図1〜図3は本発明の第1実施例を示すものであり、本装置の構成を示す図1において、1は燃料ガスを昇圧する昇圧ブロアで、この昇圧ブロア1の吐出口には活性炭などからなる脱硫器2が接続される。また昇圧ブロア1の入口には、燃料ガスの供給を遮断するための燃料遮断弁3が設けられている。前記脱硫器2の出口には、触媒からなる改質部とこの改質部を加熱するバーナー部とにより構成される改質器4の入口が接続され、改質器4の出口には、触媒からなるCOシフト反応器5の入口が接続される。さらに、COシフト反応器5の出口には、触媒からなるCO選択酸化器6の入口が接続される。CO選択酸化器6の出口は燃料電池7のアノード8に接続され、アノード8の出口は前記改質器4のバーナー部に接続される。
燃料電池7は、触媒を担持した電極としてのアノード8とカソード9との間に、固体高分子からなる電解質膜10を挟持すると共に、アノード8およびカソード9のそれぞれに燃料ガスや空気を送り込むための流路を形成したセパレータ(図示せず)を備えて構成される。また11は、空気供給装置としての空気ブロアで、この空気ブロア11の吐出口は3方向に分岐され、1つは燃料電池7のカソード9へ、他の1つは改質器4のバーナー部へ、他のもう1つはCO選択酸化器6へそれぞれ接続される。
燃料電池7を構成するカソード9のガス口すなわちカソード排気ガスの出口は、カソード排ガス配管14により排熱利用熱交換器15のガス口に接続される。また排熱利用熱交換器15には、フィルター(孔径1ミクロン)などからなる浄化装置16と、イオン交換樹脂からなるイオン交換装置17と、水ポンプ18が順次接続される。水ポンプ18の吐出口は2方向に分岐され、一方の吐出口は燃料電池7のアノード9に接続され、他方の吐出口は水蒸気発生用熱交換器21を経由して、改質器4の入口に接続される。
改質器4を構成するバーナー部の燃焼排気ガスの出口は、水蒸気発生用熱交換器21の入口に接続される。そして、この改質器4のバーナー部からの燃焼排気ガスは、水蒸気発生用熱交換器21を経由してバーナー燃焼排気ガス配管22を通り、この配管22が燃料電池7のカソード9のガス口に接続されることで、燃料電池7からのカソード排気ガスと共に、排熱利用熱交換器15に送り出されるようになっている。
23は市水取入れ口24からの市水の流入量を制御する市水遮断弁で、その出口は排熱利用熱交換器15を経由し、温水取出し口25から熱利用外部機器である貯湯槽26の温水入口27に接続される。また28は、貯湯槽26の温水出口である。29は貯湯槽26の冷水出口であり、この冷水出口29は循環ポンプ30と冷水取入れ口31とを順に経由して、排熱利用熱交換器15の入口に接続される。循環ポンプ30は、貯湯槽26の冷水を排熱利用熱交換器15に送り込むものである。
33は燃料電池装置本体の外郭を形成するパッケージで、これは燃料電池7とその周辺の構成要素を内部に収納するものである。パッケージ33の上部には、メタン,水素,一酸化炭素などのガス濃度を検出するガス検知センサ34が設けられる。なお、単独のガス検知センサ34で各ガスの濃度を測定できない場合には、幾つかのガス検知センサを組み合わせて構成してもよい。また35は、パッケージ33に取付けられた換気装置としての換気ファンである。
その他、この図1には図示していないが、ガス,空気および水の流れや温度を制御するためのセンサ,コントローラおよび開閉器(例えば電磁弁)などの補助機器や、燃料電池7で得た直流発電電力を交流電力に変換するインバータや、装置の運転を制御する電気制御装置(ガス濃度判定装置を含む)なども、本装置内に配置・接続される。
図2は、前記貯湯槽26を除く燃料電池装置の主要部における構成を示すものである。33は前述した箱状のパッケージで、パッケージ33の底面には、燃料遮断弁3,空気ブロア11,浄化装置16,イオン交換装置17,水ポンプ18,市水遮断弁23,循環ポンプ30などにより構成される補助機器すなわち補機41が配設載置される。また、補機41の上部には、仕切り板42により仕切られた状態で、改質器4,COシフト反応器5,CO選択酸化器6,水蒸気発生用熱交換器15などの燃料改質装置43が配置される。燃料電池7は、パッケージ33の上部に位置しており、この燃料電池7と補機41との間に、仕切り版42を貫通する電気制御装置44が配置される。この電気制御装置44は、燃料電池7の発電電力(直流電力)を商用電圧・周波数の交流電力に変換するインバータと、装置各部の運転を制御する運転制御部(ガス濃度判定装置を含む)とにより構成される。前記補機41に臨んでパッケージ33の一側には、天然ガスなどの燃料ガスを取入れるための燃料取入れ口45が設けられ、また補機41に臨んでパッケージ33の他側には、市水取入れ口24と、貯湯槽26の温水入口27に接続される温水取出し口25と、貯湯槽26の冷水出口29に接続される冷水取入れ口31がそれぞれ設けられる。
上記構成において、燃料改質装置43は、燃料取入れ口45から取入れた原燃料としての燃料ガスから水素ガスを生成するためのもので、空気ブロア11から取り込まれる空気中の酸素すなわち酸化剤ガスと、燃料改質装置43からの水素ガスが、燃料電池7により電気化学反応を起こし、燃料電池7内で発電を行なうようになっている。また補機41は、燃料電池7や、燃料改質装置43などの各構成要素を円滑に作動させるためのものである。
パッケージ33の最上部は壁部によりその全体が覆われているが、この最上部に形成した上面内壁46には、ガス検知センサ34を取付ける位置に上方に凹んだ凹部47が形成される。ここでのガス検知センサ34は、パッケージ33の一側寄り上面に配置されるが、これに対向するパッケージ33の他側側面の上部には、パッケージ33内に新鮮な外気を取入れるための換気ファン35が設けられる。すなわちガス検知センサ34は、換気ファン35から取り込まれる外気の影響を受けない位置に設けられる。48は、電気制御装置44とワイヤレスまたはワイヤードで信号のやり取りを行ない、装置の運転を遠隔操作する操作部としての操作リモコンである。この操作リモコン48には、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知した場合に、電気制御装置44からの異常信号を受けて、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで異常を報知する異常報知装置49が設けられている。
次に、上記構成についてその作用を説明する。操作リモコン48の操作により燃料電池装置を運転状態に設定すると、燃料ガスが燃料取入れ口45より開放した燃料遮断弁3を通過して昇圧ブロア1に入って昇圧され、脱硫器2に送り出される。ここで燃料ガスに含まれる硫黄分が脱硫剤の吸着作用により取り除かれる。なお、本実施例では脱硫剤として活性炭を用いたが、他の触媒を用いてもよく、要するに燃料ガス中に含まれる硫黄分を除去できればよい。脱硫器2により硫黄分を除去する目的は、その後の改質器4などの触媒が燃料硫黄分により劣化するのを防止することにある。なお、本実施例では細かく説明しないが、改質器4は電熱装置あるいはガスバーナーなどで、事前に改質に必要な温度まで昇温を行なっている。
脱硫器2を通過した燃料ガスは、水蒸気発生用熱交換器15で発生した水蒸気と混合され、改質器4の改質部に入る。この改質部はバーナー部により約750℃前後に加熱されており、燃料ガスはここで触媒の作用により水素ガスと炭酸ガス(二酸化炭素)とに変化する。しかし、ここで生成したガスには、一酸化炭素も若干含まれているが、後述する固体高分子型の燃料電池7は、一酸化炭素によりその性能が著しく低下するため、一酸化炭素の濃度を一定値以下にする必要がある。
改質器4を通過した燃料ガスは、次のCOシフト反応器5に入り、ここでも触媒の作用により一酸化炭素は水蒸気と反応して水素ガスと二酸化炭素とに変化し、一酸化炭素の濃度はかなり低いレベルにまで低下する。COシフト反応器14を通過した燃料ガスは、さらにCO選択酸化器6に入り、空気ブロア11により送り込まれた空気(酸素)と混合され、その中に含まれる一酸化炭素が触媒の作用により二酸化炭素に変化する。この時点で初めて燃料電池7に悪影響を及ぼさない濃度まで、燃料ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を下げることができる。
CO選択酸化器6を通過した燃料ガスは、燃料電池7の一方の電極であるアノード8に送り込まれる。また、他方の電極であるカソード9には、空気ブロア11により空気(酸素)が送り込まれる。アノード8の水素は触媒の作用によりイオン化し、電解膜質10を通ってカソード9側の酸素と結び付く。これにより、水が生成されると同じに反応熱が発生する。またこの電気化学反応によって、アノード8にマイナス極、カソード9にプラス極の電位が生じ、燃料電池7より電力を取り出すことができる。
アノード8を通過した燃料ガスは、大部分の水素ガスが消費されているが、まだかなりの濃度で水素ガスを含んでおり、これを改質部4のバーナー部に戻して、空気ブロア11により送り込まれた空気と混合させ、バーナー部で燃焼する。これにより、残留する水素ガスを改質部の昇温に用いることができる。
カソード9を通過した空気は、燃料電池7で発生した水(水蒸気)と熱を有しており、これを燃料電池7のカソード9からカソード排ガス配管14を経て排熱利用熱交換器15に通過させることにより水に戻し、水ポンプ30によって燃料電池3のアノード17に送り込むことで、固体高分子膜(電解質膜10)の加湿および燃料電池7の冷却に使用する。その際、冷却した水は、浄化装置16を通過することで不純物を除去され、次にイオン交換装置17を通過することで電解質が除去される。また、同じく水ポンプ18により、水蒸気発生用熱交換器15に送り込まれた水は、改質器4のバーナー部から排出されるバーナー排気ガス(燃焼排気ガス)によって加熱され、水蒸気となって昇圧ブロア1からの燃料ガスと共に改質器4の改質部に入る。水蒸気発生用熱交換器22を通過したバーナー排気ガスは、カソード9からの排気ガスと一緒になって排熱利用熱交換器15に送り込まれ、そこで持っている熱エネルギーを放出する。
次に、貯湯槽26を含む熱利用外部機器の動作について説明する。先ず、燃料電池装置を運転する前に市水遮断弁23を開放し、市水を貯湯槽26に満たしておく。その後、燃料電池装置の運転を開始すると循環ポンプ30が作動し、この循環ポンプ30によって貯湯槽26の冷水が冷却出口29から排熱利用熱交換器15に送り込まれ、燃料電池7のカソード9や改質器4のバーナー部からの排気ガスの熱エネルギーを貰って温水となる。この温水は排熱利用熱交換器15から貯湯槽26の温水入口27に送り出され、再び貯湯槽26に戻る。貯湯槽26の内部は水温の違いにより2層状態となっており、温水は貯湯槽26の上層に、冷水は貯湯槽26の下層に位置している。ここで貯水槽26の上部に取付けられた温水出口28を開放することにより、排熱利用熱交換器15を利用して得た温水を使用することが可能になる。
このような運転状態で、仮にパッケージ33内の構成要素間を接続する配管などが緩んだりして、燃料ガス,水素ガス,一酸化炭素ガスなどの可燃性若しくは有毒ガスがパッケージ33内に漏れた場合、これらのガスの密度は空気より低いので、パッケージ33の上部に溜まる。パッケージ33の上面内壁46は略水平な面を形成しているが、ガス検知センサ34を取り付けた箇所には、上面内壁46よりもさらに上方に位置して凹部47が形成されているので、ここに漏出したガスが集中して溜まるようになる。そのため、ガス検知センサ34は素早くガス漏れを検知することができる。
次に、ガス漏れ検知に係わる一連の手順を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。同図において、装置の起動スイッチを入れると、先ずステップS1においてガス検知センサ34がパッケージ33内の燃料ガスなどの濃度を測定する。次にステップS2において、電気制御装置44内のガス濃度判定装置は、このガス検知センサ34で測定したガス濃度が、第1の設定濃度すなわち第1設定値(例えばメタンガスでは爆発範囲濃度の5.3%以下に設定)以下であるか否かを判定する。そして、ガス検知センサ34で測定したガス濃度が第1設定値以下であれば、ステップS3にて装置を起動して運転を開始する。
装置の運転中は、燃料改質装置43にて燃料ガスの改質が行なわれているので、水素ガスや一酸化炭素ガスの濃度についてもガス検知センサ34により測定を行なう、例えば、水素ガスに関しては爆発範囲濃度の4%以下であれば、運転を継続し、一酸化炭素ガスに関しては健康障害防止指標の50ppm以下であれば、運転を継続する。
ここで、燃料ガス(メタン),水素ガス,一酸化炭素のいずれかが第1設定値を超えたならば、ガス濃度判定装置は異常があったと判定して装置の運転を停止する(ステップS4)と共に、ステップS5において、ガス漏れの異常信号を操作リモコン48に送出し、操作リモコン48の異常報知装置49により警告音,警告灯の点灯,あるいは表示などで異常状態の報知を行なう。また同時に、換気ファン34の排気量を増加させる強力運転を継続する(ステップS6)。なお、換気ファン34がそれまで停止した場合には直ちに換気を開始し、また換気ファン34が通常の換気量でもパッケージ33内の漏出ガスを充分に排気できる場合には、そのままの状態で換気を継続してよく、要はパッケージ33内の異常ガス濃度が速やかに減少できるような換気ファン34の運転状態であればよい。
その後のステップS7において、ガス検知センサ34はパッケージ33内のガス濃度を測定し、続くステップS8で、測定したガス濃度が第2の設定濃度である第2設定値(充分安全なガス濃度以下に設定する。例えば、第1設定値の1/10の値)以下になったら、ステップS9に移行して換気ファン34の運転を停止する。この状態では、パッケージ33内に漏れ出したガスの大部分が外部に排出され、パッケージ33内は安全なガス濃度になっている。
以上のように本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、パッケージ33内のガス濃度を検知する気体検知手段としてのガス検知センサ34を、パッケージ33の上部すなわち上面内壁46に配置している。
この場合、とりわけ燃料電池装置のパッケージ33内に漏れ出した可燃性若しくは有毒な気体すなわちガスは、空気よりも密度が低く軽いため、パッケージ33の上部に溜まる。したがって、このパッケージ33の上部にガス検知センサ34を配置すれば、パッケージ33内部に漏れ出したガスを適確に検知することができる。
また本実施例では、パッケージ33の上面内壁46に設けた凹部47にガス検知センサ34を配置しており、パッケージ33内の上面に達した気体すなわちガスが、その最上部に位置する凹部47に移動して集まる。そのため、この凹部47に配置したガス検知センサ34によって、パッケージ33内部に漏れ出したガスをさらに適確に検知することができる。
また本実施例では、パッケージ33内の換気を行なう換気装置としての換気ファン35と対向する側にガス検知センサ34を設けている。この場合、ガス検知センサ34が換気ファン35と対向して離れた位置に設けられているので、換気ファン35による強い風速の影響でガス検知センサ34が冷やされることがなく、正しく測定を行なうことが可能になる。
また本実施例では、水素、メタン、一酸化炭素を検知するようにガス検知センサ34が構成される。これにより、パッケージ33内に漏れ出す主たるガス成分である水素,メタンおよび一酸化炭素の各ガスを、ガス検知センサ34により適確に検知することが可能になる。
また本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、パッケージ33内のガス濃度を検知するガス検知センサ34が、第1の設定濃度(第1設定値)以上のガスを検知した場合には、装置の運転を停止すると共に、ガス検知センサ34が第2の設定濃度(第2設定値)以下を検知するまでは、パッケージ33内の換気を行なう換気装置である換気ファン35を運転するように構成している。
こうすると、ガス検知センサ34が第1の設定濃度以上のガスを検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上のガスの漏出を防ぐと共に、ガス濃度が第2の設定濃度以下になるまでは、換気ファン35を運転してパッケージ33内のガスを直ちに外部へ排出する。これにより、パッケージ33内にガスを溜めることなく、ガスの濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
さらに本実施例では、装置の運転を遠隔操作する操作部としての操作リモコン48と、パッケージ33内のガス濃度を検知するガス検知センサ34とを備え、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、前記ガス検知センサが設定濃度以上のガスを検知した場合には装置の運転を停止すると共に、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで操作リモコン48より異常を報知するように構成している。
この場合、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上のガスの漏出を防ぐと共に、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで、装置の運転を遠隔操作する操作リモコン48より異常を報知して、使用者にガス濃度の異常上昇を速やかに知らせる。これにより、ガスの濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
次に、上記第1実施例の各変形例を、図4〜図6に基づきそれぞれ説明する。なお、これらの各変形例は、いずれもパッケージ33上部の構成が一部異なるだけであり、それ以外の各部の構成および動作は、上述した第1実施例の説明と共通している。
図4に示す変形例において、ここではガス検知センサ34がパッケージ33の上部に取付けられており、パッケージ33の上面内壁46は、ガス検知センサ34側に向けて昇り傾斜となるように形成されている。すなわち、ここでの上面内壁46は水平ではなく傾斜しており、その傾斜した最上部にガス検知センサ34を取り付けている。このように、パッケージ33の上面内壁46をガス検知センサ34側に向けて昇り傾斜に形成してあれば、パッケージ33内の上面に達したガスが、傾斜した上面内壁46に沿ってさらに上方へ移動して集まる。そのため、傾斜面の上部に配置したガス検知センサ34によって、パッケージ33内部に漏れ出したガスをさらに早く適確に検知することができる。
図5に示す別の変形例では、図2の構成に加えて、換気ファン35の排気側に換気口50を開閉する閉塞板51を設けている。そして、ガス漏れ異常が発生して、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知した場合には、閉塞板51により換気口50を閉じ、パッケージ33の外部にガスが短時間で大量に漏れないようにしている。
すなわち、この変形例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、パッケージ33内のガス濃度を検知するガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知した場合には、装置の運転を停止すると共に、パッケージ33内の換気を行なう換気口50を閉塞するように構成している。
この場合、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上のガスの漏出を防ぐと共に、パッケージ33内の換気を行なう換気口50を閉塞する。これにより、パッケージ33の外部にガスが短時間で大量に漏出するのを防止できる。
図6に示すさらに別の変形例では、図2の構成に加えて、パッケージ33内の空気を強制循環する循環ファン52と、ガス成分を吸着するゼオドライトなどの吸着手段たるガス吸着剤53とを備えている。そして、ガス漏れ異常が発生して、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知した場合には、循環ファン52が起動してパッケージ33内の空気がガス吸着剤53を通過し、ガス濃度を速やかに低下させる。
すなわち、この変形例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知した場合には装置の運転を停止すると共に、パッケージ33内の空気を循環させ、この空気の循環流路に設けたガス吸着剤53によりガスを吸着させるように構成している。
この場合、ガス検知センサ34が設定濃度以上のガスを検知すると装置の運転を直ちに停止し、それ以上のガスの漏出を防ぐと共に、パッケージ33内の空気を循環させて、空気の循環流路中にあるガス吸着剤53にガスを吸着させる。これにより、ガスの濃度を安全な範囲にまで速やかに低下させることができる。
次に、本発明の第2実施例を図7〜図9に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
燃料電池装置の詳細な構成は、図7に示すとおりで、基本的には第1実施例とほぼ共通しているが、貯液槽である貯湯槽26周辺の構成などが異なっている。具体的には、55はパッケージ33とは別体に設けられる貯液槽部すなわち貯湯槽部であり、これは前述の貯湯槽26の他に、貯湯槽26内の温水(温かい液体)が満水になったときに、温水の熱を外部に放出する放熱手段56と、必要に応じて貯湯槽26への温水の流路を放熱手段56側に切替える温水流路切替弁57とを、貯湯槽部55の外郭となる筐体58(図8,図9を参照)の内部に収納して構成される。
排熱利用熱交換器15の受熱側流路の入口は二方向に分岐されており、一方は循環ポンプ30の出口に接続され、他方はパッケージ市水入口59を通り、市水遮断弁23に接続される。また、排熱利用熱交換器15の受熱側流路の出口は、パッケージ温水出口60を経由して貯湯槽部55の温水入口27に接続されている。ここでの温水入口27は二方向に分岐され、一方は貯湯槽26の上部に接続され、他方は管体に相当する温水循環パイプ61の入口に接続される。62は温水循環パイプ61に取付けられたフィンで、これはフィン62に風を送る送風装置63に対向した位置に設けられる。これらの温水循環パイプ61,フィン62および送風装置63により、温水から熱を奪う放熱手段56が構成される。
温水循環パイプ61の出口は、前記温水流路切替弁57の一方の入口に接続されると共に、温水流路切替弁57の他方の入口は、前記貯湯槽26の冷水出口が接続され、いずれか一方の入口が出口と繋がるようになっている。温水流路切替弁57の出口は、貯湯槽部55の冷水出口64から、パッケージ冷水入口65を経由して循環ポンプ30の入口に接続される。さらに循環ポンプ30の出口側には、冷水取入れ口31を流れる水の温度を検出する温水温度センサ66が設けられる。なお67は、排熱利用熱交換器15からの排気ガスを換気ファン35に案内する排気ガス排出口である。
図8および図9は、本実施例における装置の配置構成を示したものである。これらの各図において、パッケージ33の内部構成は、補機41の一部が燃料改質装置43の上部に一部分割して配置される他は、第1実施例の図2に示すものと概ね一致している。パッケージ市水入口59,パッケージ冷水入口60,パッケージ温水出口65は、いずれもパッケージ33の外面から突出して設けられており、パッケージ冷水入口60が貯湯槽部55の冷水出口27に接続されると共に、パッケージ温水出口65が貯湯槽部55の温水入口64に接続される。それ以外の配管は、パッケージ33と貯湯槽部55との間に設けられていない。また、パッケージ33の正面下部には、パッケージ33内に空気を取入れるためのパッケージ吸気口73が設けられる。
貯湯槽部55を構成する筐体58の内部には、貯湯槽脚69に取付けられた貯湯槽26が収納される。また、同じく筐体58の内部には、貯湯槽26の下側に位置して放熱手段56と、温水流路切替弁57が設けられる。さらに、筐体58の前面部には、放熱手段56と対向する位置に排気口としての放熱排気口70が設けられ、筐体58の後面部には、同じく放熱手段56と対向する位置に吸気口としての放熱吸気口71が設けられる。
次に上記構成につき、その作用を説明するが、第1実施例と同じ作用については省略する。
貯湯槽部55の動作について、貯湯槽26の内部は前述したように水温の違いにより2層状態となっており、温水は貯湯槽26の上層に、冷水は貯湯槽26の下層に位置している。しかし、温水を使用することなく運転を継続していくと、貯湯槽26は温水で満たされ、その冷水出口29から温水が出てしまうため,排熱利用熱交換器15において、燃料電池7からのカソード排気ガスや、改質器4からのバーナー排気ガスを冷却できなくなり、ひいては凝縮水が得られなくなる。本実施例では、この貯湯槽26が温水で満たされた状態を、温水温度センサ66若しくは排熱利用熱交換器15内の凝縮水の水位を検知する水位センサ(図示せず)などで検知し、排熱利用熱交換器15から貯湯槽26への温水流路を、温水流路切替弁57によって放熱手段56側に切替える。
温水流路を放熱手段56側に切替えると、放熱手段56の温水循環パイプ61に温水が通過することにより、温水の熱がフィン62に伝わり、フィン62が送風装置63により空冷されることで、温水循環パイプ61から冷水となって循環パイプ30により排熱利用熱交換器15に戻される。これにより、燃料電池7からのカソード排気ガスや、改質器4からのバーナー排気ガスを、排熱利用熱交換器15にて冷却することが可能になる。
次に、パッケージ33および貯湯槽部55の吸排気について説明すると、パッケージ33および貯湯槽部55は、いずれも背面を住宅側に面した状態で空間距離をおいて設置される。装置の運転中は、パッケージ33の正面下部にあるパッケージ吸気口73から空気が取り込まれ、パッケージ33内部の空気ブロア11によって、それぞれの用途の機器に送り込まれ使用される、また、同じくパッケージ吸気口73から取り込まれた空気は、パッケージ33内の空気と置換し、パッケージ33内を冷却して、パッケージ排気口としての換気口50より外部へ排出される。
また、放熱手段56がパッケージ33とは別体の貯湯槽部55に設けられているので、パッケージ33には放熱手段56を構成する送風装置63の吸排気口が不要になり、上記空気ブロア11,換気ファン35などの他に、パッケージ吸気口73や換気口50の配置に際して、放熱手段56の吸排気口との干渉を気にすることがなくなる。したがって、パッケージ33をコンパクトな形状にできる上に、補機41の性能が確保できる最適な配置を得ることが可能になる。
また、貯湯槽部55においては、筐体58の背面に設けられた放熱吸気口71より外気が取り込まれ、送風装置63により対向するフィン62の熱を奪う。そして、温められた外気は、筐体58の正面に設けられた放熱排気口70より外部へ排出される。放熱手段56は貯湯槽26の下側に位置しているので、貯湯槽26が温水で満たされた状態でも対流などの影響で放熱手段56の放熱効率が低下することはない。
本実施例の構成では、温水流路切替手段57が貯湯槽部55に収納されている関係で、パッケージ33と貯湯槽部55とを繋ぐ配管は2本で済み、装置の設置工事が容易となっている。また放熱吸気口71は筐体58の背面に設けられており、住宅側に面しているので、塵埃などの異物を吸い込みにくくなっており、放熱効率の低下も防止できる。
さらに装置の運転状態において、仮にパッケージ33内の構成要素間を接続する配管などが緩んだりして、燃料ガス,水素ガス,一酸化炭素ガスなどの可燃性若しくは有毒ガスがパッケージ33内に漏れた場合でも、それが微量であれば換気ファン35により危険になる前にパッケージ33の外部に排出できる。また、換気ファン35による通常の換気ではパッケージ33内のガス濃度が低下しない場合においても、これらのガスの密度は空気より低いので、ガスはパッケージ33の上部に溜まり、さらには上面内壁47に設けた凹部47に溜まる。したがって、この凹部47に取付けたガス検知センサ34によって、素早くガス漏れを検知でき、装置を安全に停止することができる。
以上のように本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、発電により発生する熱を温水として貯える貯湯槽26と、温水が満水になったときに装置外部に熱を放出する放熱手段56とを、パッケージ33の外部に独立して設けた貯湯槽部55に配置している。
この場合、放熱手段56が貯湯槽26と共にパッケージ33の外部にある貯湯槽部56に配置される。すなわち、パッケージ33内に放熱手段56が存在しない上に、パッケージ33内の他の構成要素の配置に際して、放熱手段56の吸排気との干渉を気にする必要がなく、パッケージ33内の無駄な空間を極力少なくして、パッケージ33の外形寸法をコンパクトに形成できるとともに、パッケージ33内で充分な性能を確保できる。
また本実施例の放熱手段56は、温水を循環する管体としての温水循環パイプ61と、この温水循環パイプ61に取り付けた放熱部としてのフィン62と、このフィン62に風を送る送風装置63とにより構成される。
この場合、温水が通過する温水循環パイプ61からフィン62に伝わった熱が、送風装置63の風により冷され、冷水となって戻される。フィン62により放熱面積を増加させることで、温水を効率よく冷却することができる。
また本実施例では、放熱手段56を貯湯槽26の下部に設けているため、貯湯槽26が温水で満たされても、対流などの影響を受けない。したがって、放熱手段56の放熱効率の低下を防止できる。
また本実施例では、貯湯槽26および放熱手段56を筐体58に収納すると共に、温水の流路を放熱手段56側に切り替える弁としての切替手段すなわち温水流路切替弁57を筐体58の内部に配置している。
この場合、貯湯槽26や放熱手段56を収納するパッケージ33外部の筐体58内に、温水の流路を放熱手段56側に切替える温水流路切替弁57が設けられているので、筐体58内で温水流路切替弁57の配管を行なうことができ、パッケージ33と貯湯槽部56とを繋ぐ配管が温水用と冷水用の2本で済む。したがって、設置工事を容易に行なうことができる。
また本実施例では、貯湯槽26および放熱手段56を筐体58に収納すると共に、放熱手段56の吸気口である放熱吸気口70を筐体58の背面側に設け、放熱手段56の排気口である放熱排気口71を筐体58の前面側に設けている。
この場合、放熱手段56の放熱吸気口70が住宅側に面する筐体58の背面に設けられているので、室外の例えば塵埃などの異物を吸い込む機会が減り、異物の侵入に伴なう放熱手段56の放熱効果の低下も防止できる。
次に、本発明の第3実施例を図10および図11に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例に記載されていたものと同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
燃料電池装置の詳細な構成を示す図10において、75はパッケージ33に取付けられた姿勢検知装置76を兼ねた感震装置で、その出力信号は電気制御装置44に送られる。また77は、感震装置75または姿勢検知装置76が異常を検知したときに、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで異常を報知する異常報知器で、これもパッケージ33の正面側に取付けられている。なお、感震装置75は例えば加速度センサと加速度判定部により構成してよく、また姿勢検知装置76も例えば球体などの姿勢センサと、無接点スイッチなどの姿勢判定部により構成してよい。
78は所定量の燃料ガスを封入する補助燃料ガスボンベで、燃料取入れ口45から燃料遮断弁4に至る管路の途中に設けられた燃料切替弁79により、燃料取入れ口45若しくは補助燃料ガスボンベ78のいずれか一方から燃料ガスを供給するようになっている。また80は、燃料取入れ口45からの燃料ガス(主燃料ガス)の供給が遮断されたか否かを検知する主燃料ライン遮断検知装置である。それ以外は、上述した第2実施例の構成と概ね一致している。
次に、加速度(振動)検知と姿勢検知の動作手順について、図11のフローチャートを参照して説明する。
同図において、装置の起動指示時および運転時には、先ずステップS11において姿勢検知装置76が装置本体すなわちパッケージ33の姿勢を検知する。ここでパッケージ33の傾きが設定値未満(例えば、装置本体が安全に運転できる傾斜角度が8度である場合には、それよりも少ない約5度を設定値とする)であれば、ステップS12からステップS13に移行して、パッケージ33に加わる加速度を感震装置75により検知する。そして、次のステップS14において、このパッケージ33に加わる加速度が設定値未満(例えば、装置本体が安全に運転できる加速度が200galとした場合には、それよりも少ない約150galを設定値とする)であれば、ステップS15に移行して、燃料取入れ口45を通過する主燃料ラインからの燃料ガスの供給が正しく行なわれているか否かを、主燃料ライン遮断検知装置80で検知する。
前記ステップS12やステップS14において、パッケージ33の傾きが設定値以上である場合、若しくはパッケージ33に加わる加速度が設定値以上である場合、ステップS16に移行して、パッケージ33内の電気制御装置44は装置の起動を禁止するか、装置の運転を停止する。なお、上述のようにこれらの設定値に余裕をもたせるのは、感震装置75や姿勢検知装置76の検知誤差などにより、装置本体が危険な状態であるにも拘らず、装置が起動したり運転を継続するのを避けるためである。それと共に、異常報知器77により、光,音,表示などで異常の発生を報知する(ステップS17)。
一方、前記ステップS15において、主燃料ラインからの燃料ガスの供給が正しく行なわれていれば、ステップS18に移行して電気制御装置44は燃料切替弁79を主燃料ライン側に切替え、主燃料ラインから装置本体に燃料ガスを供給させる。これに対して、主燃料ラインからの燃料ガスの供給が正常でない場合は、ステップS19に移行して燃料切替弁79を補助燃料ガスボンベ78側に切替え、補助燃料ガスボンベ78から燃料ガスを装置本体に供給させる。そして、いずれの場合においても、次のステップS20にて装置の起動を許可若しくは運転を継続し、前記ステップS11の手順に戻る。
なお、上記姿勢検知,加速度検知,主燃料ラインの遮断検知を実行する順序は、この実施例に限定されるものではない。また、ここでは感震装置75と姿勢検知装置76を兼用して検知を行なったが、それぞれ別々に設けてもよく、いずれか一方だけ備えていてもよい。また,上記設定値はあくまでも一例に過ぎず、装置本体が安全に運転できる値であれば、適宜変更してよい。
以上のように本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行なう燃料電池装置において感震装置75を設けており、装置に加わる加速度を感震装置75により検知できるので、装置に振動や外力が加わっても、感震装置75によって装置を安全に保護することができる。
また本実施例の感震装置75は、所定値である例えば150gal以上の加速度を異常として検知するように構成している。これにより、装置に加わる加速度が設定した例えば150gal(1gal=1cm/s2なので150cm/s2)になると、異常を検知して装置を安全に保護することができる。
また本実施例の感震装置75は、加速度センサである加速度検知手段と加速度判定部である制御部とにより構成され、加速度センサで検出した加速度の大きさに基づき、感震装置75自体が異常であるか否かを判定できるので、感震装置75の出力から装置の異常を直接的に判断することができる。
また本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行なう燃料電池装置において、状態検知手段である姿勢検知装置76を設けており、装置の姿勢の変化をこの姿勢検知装置76によって検知できるので、装置に振動や外力が加わっても、姿勢検知装置76によって装置を安全に保護することができる。
また本実施例の姿勢検知装置76は、所定値である例えば5度以上の傾きを異常として検知するように構成している。これにより、装置の姿勢の変化が例えば5度以上傾くと、異常を検知して装置を安全に保護することができる。
また本実施例の姿勢検知装置76は、姿勢センサである状態検知手段と姿勢判定部である制御部とにより構成され、姿勢センサで検出した姿勢の変化量に基づき、姿勢検知装置76自体が異常であるか否かを判定できるので、姿勢検知装置76の出力から装置の異常を直接的に判断することが可能になる。
また本実施例では、感震装置75または姿勢検知装置76が異常を検知したときに、燃料ガスの供給を遮断し、装置の運転を停止するように構成している。これにより、感震装置75または姿勢検知装置76が異常を検知すると、燃料ガスの供給を遮断してガスの漏出を防ぐと共に、装置の運転を強制的に停止して、装置の安全性をより高めることができる。
また本実施例では、感震装置75または姿勢検知装置76が異常を検知したときに、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで異常を報知するように構成している。この場合、感震装置75または姿勢検知装置76が異常を検知すると、光,音,表示のいずれかまたは組み合わせで異常を報知するので、使用者に振動や外力による装置の異常を速やかに知らせることができる。
また本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行なう燃料電池装置において、感震装置75と姿勢検知装置76とを一つの検知装置として設けている。この場合、装置に加わる加速度を感震装置75により検知できると共に、装置の姿勢の変化を姿勢検知装置76により検知できる。したがって、装置に振動や外力が加わっても、これらの感震装置75または姿勢検知装置76によって、装置を安全に保護することができる。また、感震装置75または姿勢検知装置76の少なくとも一方が正常に動作すれば、装置の異常を検知できるので、安全性をより高めることができる。
また本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行なう燃料電池装置において、ガスボンベである補助燃料ガスボンベ78と、遮断検知装置である主燃料ライン遮断検知装置80と、感震装置75とを設け、感震装置75の検知加速度が設定加速度未満であり、且つ主燃料ライン遮断検知装置80により検知される主燃料ラインの燃料供給が停止した場合に、燃料ガスの供給を補助燃料ガスボンベ78側に切替えて装置の運転を継続し、感震装置75の検知加速度が設定加速度以上であったら、燃料ガスの供給を遮断して装置の運転を停止するように構成している。
感震装置75の検知加速度が設定加速度未満であれば、主燃料ラインからの燃料ガスの供給が途絶えても、補助燃料ガスボンベから燃料ガスを供給して装置の運転を継続する。これにより、災害発生時などにおいて系統電源が遮断され、且つ主燃料ラインも遮断された状態でも、装置の運転を継続して非常用電源として利用することができる。一方、感震装置75の検知加速度が設定加速度以上であったら、燃料ガスの供給を全て遮断して、装置の運転を停止することで、装置への振動や外力が大きい場合には、装置を安全に保護することができる。
また本実施例では、主燃料ラインに設けた主燃料ライン遮断検知装置80により、主燃料ラインの燃料供給の停止が検知される。すなわち、主燃料ライン遮断検知装置80が主燃料ラインに設けられているので、主燃料ラインからの燃料ガスの供給停止を、より直接的且つ確実に検知できる。
本実施例の主燃料ライン遮断検知装置80は、主燃料ラインの燃料入口に設けた圧力センサまたは燃料流路に設けた流量センサにより構成してもよい。広く普及している圧力センサや流量センサを主燃料ライン遮断検知装置80として用いることができる。
次に、本発明の第4実施例を図12〜図14を参照しながら説明する。なお、上記第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
装置全体の構成を示す図12と、パッケージ本体33の斜視図を示す図13において、本実施例では、排熱利用熱交換器15に接続する排気ガス排出口67の出口側にあるパッケージ出口部90の構成が、第2実施例と異なっている。すなわち排気ガス排出口67のパッケージ出口部90には、排気ガス排出口67を開閉する開閉機構91と、排気ガス出口フィルタ92がそれぞれ設けられており、排気ガス排出口67内の排気ガスは、開閉機構91と排気ガス出口フィルタ92を順次通過し、パッケージ33の側面に開口すると共に、換気ファン35の近傍に設けられた排気ガス排出口67のガス出口93より、パッケージ33の外部に排出されるようになっている。なお、排気ガス出口フィルタ92は、大きな異物が入らない程度の比較的粗いメッシュにより構成される。
89は、燃料改質装置43の改質器4から排出する燃焼排気ガスと、燃料電池7のカソード9から排出するカソード排気ガスとを混合して排気ガス排出口67に導く排気ガス混合部である。この場合、改質器4からの燃焼排気ガスと燃料電池7からのカソード排気ガスを混合したもの(混合ガス)が、排気ガス排出口67のパッケージ出口部90に排出されることになるが、排気ガス混合部89を設けず、燃焼排気ガスおよびカソード排気ガスのそれぞれに対応して排気ガス排出口67を設け、各排気ガス排出口67のパッケージ出口部90にそれぞれ開閉機構91を設けてもよい。
次に、開閉機構91のより詳細な構成について、図14を参照しながら説明する。開閉機構91は、回転軸94を中心として回動自在に設けられ、パッケージ出口部90を開閉する閉塞板95と、この閉塞板95の回転軸94に取付けられ、回転軸94に駆動力を伝達する伝達機構96と、この伝達機構96を駆動するための駆動装置97とにより構成される。そして、装置が運転を開始すると、開閉機構91の閉塞板95を排気ガスの流れFと平行になる位置に回動させてパッケージ出口部90を開放する一方、装置が運転を停止すると、閉塞板95を排気ガスの流れFと直交する位置に回動させて、パッケージ出口部90を閉塞するように構成している。
次に、上記構成について、特に開閉機構91に関する動作を説明すると、燃料電池装置の運転を開始すると、改質器4から排出する燃焼排気ガスや、燃料電池7から排出するカソード排気ガスが発生する直前に、駆動装置97の動作力が伝達機構96により回転軸94から閉塞板95に伝えられ、閉塞板95はパッケージ出口部90を開放する方向に回動する。これにより、排気ガス混合部89で混合され、さらに排熱利用熱交換器15で水蒸気と熱を放出した排気ガスは、開閉機構91と排気ガス出口フィルタ92を通過し、パッケージ33に取り付けられたガス出口93から外部に放出される。このとき排気ガスはまだ外気温よりも幾分温度が高く、また水蒸気も飽和状態に近いものであるが、ガス出口93の近傍には換気装置35のパッケージ排気口50が設けられており、排気ガスはパッケージ排気口50からの排気によって直ちに希釈され、水蒸気が凝縮することなく大気中に放散される。したがって、排気ガスを大気中に放出した際に、白煙が発生したり、凝縮した水滴によりパッケージ33が腐食するなどの不具合を防止できる。
その後、装置の運転を停止すると、改質器4から排出する燃焼排気ガスや、燃料電池7から排出するカソード排気ガスの発生も停止する。これらの排気ガス(混合ガス)の発生が停止する直後に、開閉機構91の閉塞板95はパッケージ出口部90を閉塞する方向に回動する。これにより、排気ガス出口フィルタ92を通過できる小さな昆虫や、塵埃などの異物の侵入を防止できる。
以上のように本実施例では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ33内で発電を行なう燃料電池装置において、燃料電池7から排出するカソード排気ガスのパッケージ33に面した出口部すなわちパッケージ出口部90に開閉機構91を設けている。
この場合、燃料電池7からのカソード排気ガスのパッケージ出口部90を、必要に応じて開閉機構91により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池7への異物の侵入を防止することができる。
また、改質装置である燃料改質装置43から排出する燃焼排気ガスの出口部すなわちパッケージ出口部90に開閉機構91を設けてもよい。燃料改質装置43からの燃料排気ガスのパッケージ出口部90を、必要に応じて開閉機構91により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料改質装置43への異物の侵入を防止することができる。
さらに、燃料電池7から排出するカソード排気ガスと、燃料改質装置43から排出する燃焼排気ガスの各パッケージ出口部90に、それぞれ開閉機構91を設けてもよい。この場合、燃料電池7からのカソード排気ガスのパッケージ出口部90と、燃料改質装置43からの燃料排気ガスのパッケージ出口部90とを、必要に応じて開閉機構91によりそれぞれ開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池7や燃料改質装置43への異物の侵入を防止できる。
また本実施例のように、燃料電池7から排出するカソード排気ガスと、燃料改質装置43から排出する燃焼排気ガスとを混合する混合部としての排気ガス混合部89を、パッケージ出口部90に至る流路の途中に設け、この混合ガスのパッケージ出口部90に開閉機構91を設けてもよい。この場合、燃料電池7からのカソード排気ガスと、燃料改質装置43からの燃料排気ガスとを混合した混合ガスのパッケージ出口部90を、必要に応じて開閉機構91により開閉することができるので、従来のようなフィルタで出口部をわざわざ覆わなくても、燃料電池7や燃料改質装置43への異物の侵入を防止することができる。
特に本実施例では、装置が運転を開始すると開閉機構91によりパッケージ出口部90を開放し、装置が運転を停止すると開閉機構91によりパッケージ出口部90を閉塞するように構成している。この場合、装置の運転時にパッケージ出口部90が開放するので、パッケージ出口部90に至る排気ガス流路の圧損は増加しない。一方、装置の運転停止時にはパッケージ出口部90が閉塞するので、異物の侵入を確実に防止できる。
また本実施例の開閉機構91は、パッケージ出口部90に設けた回動自在な閉塞板95と、この閉塞板95の回転軸94に取付けられた伝達装置としての伝達機構96と、この伝達機構96を駆動する駆動装置97とにより構成される。このように、駆動装置97から伝達機構96を介して閉塞板95を動かすことで、パッケージ出口部90を簡単に開放または閉塞することが可能になる。
また、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によりパッケージ内で発電を行なう燃料電池装置において、燃料電池7から排出するカソード排気ガスと、燃料改質装置43から排出する燃焼排気ガスの両方またはいずれか一方の出口部すなわちガス出口93、若しくはカソード排気ガスと燃焼排気ガスとを混合したガスの出口部すなわちガス出口93を、換気装置である換気ファン35の排気口(パッケージ排気口50)近傍に設けてもよい。燃料電池7および/または燃料改質装置43からの排気ガスは、外気温よりも幾分温度が高く、また水蒸気も飽和状態に近くなっているが、排気ガスがガス出口93に達すると、そこで換気ファン35の排気口からの排気で直ちに希釈され、水蒸気が凝縮することなく大気中に拡散する。これによりガス出口93からの排気ガスが白煙となって見えたり、ガス出口93付近のパッケージ33に水滴が付着するのを防止できる。
また、パッケージ排気口50とガス出口93が各々独立して設けられているので、これらのものをパッケージ33に開口形成する際に、それぞれ背圧などの影響を考える必要がなく、設計上の制約が少なくなるという利点もある。
さらに、燃料電池7から排出するカソード排気ガスと、燃料改質装置43から排出する燃焼排気ガスの両方またはいずれか一方の出口部すなわちガス出口93、若しくはカソード排気ガスと燃焼排気ガスとを混合したガスのガス出口93を、換気ファン35の排気流路の途中に設けてもよい。この場合も、燃料電池7および/または燃料改質装置43からの排気ガスは、外気温よりも幾分温度が高く、また水蒸気も飽和状態に近くなっているが、排気ガスがガス出口93に達すると、そこで換気ファン35からの排気流路を通過する排気で直ちに希釈され、水蒸気が凝縮することなく大気中に拡散する。これによりガス出口93からの排気ガスが白煙となって見えたり、ガス出口93付近のパッケージ33に水滴が付着するのを防止できる。
この場合、換気ファン35の排気流路の途中にガス出口93が設けられるので、換気ファン35の排気口と、排気ガスの排気口が共通してパッケージ33に開口形成される。したがって、孔の数が少なくなる分、パッケージ33の外観性が向上する。また、塵埃などの異物侵入対策も1箇所でよいという利点がある。
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、各実施例では固体高分子型の燃料電池装置について説明したが、溶融炭素型や固体酸化物型などの他の発電方式でも構わない。また、単独の空気ブロア11でCO選択酸化器6や改質器4のバーナー部や燃料電池7のカソード9に空気を送っているが、別々の空気ブロアを用いてもよい。水パイプ18についても同様で、別々の水パイプにより水蒸気発生用熱交換器21と燃料電池7のアノード8にそれぞれ水を供給してもよい。さらに排熱利用に関しても、上記各実施例では温水を利用しているが、暖房に使用してもよく、その用途は限定しない。