JP2006125234A - タービンノズルの一体型支持構造 - Google Patents

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善浩 市川
Takeshi Takehara
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Abstract

【課題】 狭いスペースに収納できる小さなばね体によりタービンノズルを十分な保持力で安定に支持することができる支持構造を提供する。
【解決手段】 タービンノズル7に形成された径方向R外方に突出する外側フランジ20と、タービンノズル7に形成された径方向R内方に突出する内側フランジ19と、燃焼器2からの燃焼ガスGをタービンノズル7に導く遷移ダクト26をハウジング27に支持するダクトサポート28と、遷移ダクト26の後端に設けた取付フランジ26c,26dと外側フランジ20および内側フランジ19とをばね力により突き合わせた状態でハウジング27に支持する支持機構41とを備え、タービンノズル7と遷移ダクト26とを一体型で支持する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガスタービンのセラミック製タービンノズルをガスタービンのハウジングに支持する支持構造に関するものである。
ガスタービンの高効率化を図るためには、タービンノズル出口温度、つまりタービン入口温度を上昇させることが有効である。これに対し、従来の中型および大型のガスタービンにおけるタービンノズルには、金属製の単独翼あるいは複数枚を一体化したセグメント翼が一般的に採用されており、このような金属製のタービンノズルでは、その材料の耐熱限界から、上述のタービン入口温度を上昇させることが困難であるため、ガスタービンの圧縮空気によりタービルノズルを冷却する方法がとられる。ところが、この冷却用の空気は、ガスの燃焼に寄与しないだけでなく、燃焼後のガス温度を低下させる。
そこで、所定のタービン入口温度を保つためには、燃焼器の出口温度を一層上昇させる必要が生じるが、そのようにした場合には、燃焼過程で生じるNOxの増大を招く。また、所定のタービン入口温度を保つためには、ノズル翼を、耐熱材料を用いた複雑な冷却構造を持つ精密鋳造製とする必要があるために、ノズル翼が高価となり、さらに、高温下での酸化や腐食などによる劣化や硬度低下による磨耗などが生じ易い。
一方、上述のタービン入口温度を上昇させる課題を解決するため、高温での酸化、腐食および磨耗などに強い耐久性を発揮するセラミックを燃焼器やタービンなどの高温部品の形成材料に適用する工夫がなされている。ガスタービンの高温部品をセラミック製とした場合には、金属のみを使用したガスタービンに比べて無冷却あるいは少ない冷却空気で高いタービン入口温度を実現でき、高効率化、低公害化および長寿命化などを図ることができる。
ところが、セラミックは脆さや小さい弾性変形能などといった、金属とは異なる特性を有しており、セラミック製部品が隣接する金属製部品と干渉すると、損傷し易いので、その適用には相当の工夫が必要となる。小型のガスタービンでは、環状のタービンノズル全体をセラミックあるいはセラミック系複合材料による一体型構造とすることが可能であるが、中型および大型のガスタービンでは、大きさに伴って増大する熱応力や製造技術上の問題などから一体型構造とすることが困難である。そこで、中型および大型のガスタービンには、タービンノズルを周方向に分割された複数のセラミック製ノズルセグメントにより形成した分割型セグメント構造が採用されている。このようなノズルセグメントの支持構造として、各ノズルセグメントの外周部から突設されたフランジをコイルスプリングで支持部品に押さえ付ける弾性支持構造を採用することにより、ノズルセグメントとこれに隣接する金属製支持部品などとの熱膨張差をコイルスプリングの伸縮により吸収して、金属製支持部品との変形の不適合を解消することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−317577号
しかしながら、ノズルセグメントにおける外周部のフランジの近傍箇所は、前記フランジの保持機構を設けるための十分なスペースをとることが容易でないことから、各ノズルセグメントのフランジを支持部品に押さえ付けるコイルスプリングとして小型のものしか採用することができないので、複数のノズルセグメントからなるタービンノズルを保持するための保持力を十分に確保することが難しい。
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたもので、タービンノズルを、これの上流側の遷移ダクトと共にハウジングに支持することにより、支持機構を配設するためのスペースの制約を解消して、大きなばね力の付与による十分な保持力で安定に支持することができる支持構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係るタービンノズルの支持構造は、ガスタービンにおけるタービンの入口側に配置されるセラミック製のタービンノズルを前記ガスタービンのハウジングに支持する構造であって、前記タービンノズルに形成された径方向外方に突出する外側フランジと、前記タービンノズルに形成された径方向内方に突出する内側フランジと、燃焼器からの燃焼ガスを前記タービンノズルに導く遷移ダクトを前記ハウジングに支持するダクトサポートと、前記遷移ダクトの後端に設けた取付フランジと前記外側フランジおよび前記内側フランジとをばね力により突き合わせた状態で前記ハウジングに支持する支持機構とを備えている。
このタービンノズルの支持構造によれば、遷移ダクトの後端の取付フランジとタービンノズルの外側フランジおよび内側フランジとをばね力で突き合わせることにより、タービンノズルを遷移ダクトと合わせてハウジングに支持するので、ばね力を付与するためのばね体を有する支持機構は、タービンノズルの上流側の遷移ダクトの近傍の広いスペースに設けられる。したがって、支持機構を配設するためのスペースの制約が解消されるので、大きなばね体を用いて強い押圧力を付与できるから、タービンノズルを遷移ダクトと共にハウジングに安定して支持できる。しかも、遷移ダクトの取付フランジとタービンノズルの外側フランジおよび内側フランジとは、ばね力により突き合わされて密着状態となるので、遷移ダクトとタービンノズルとの間からの空気漏れを確実に防止することができる利点がある。
また、タービンノズルは耐熱性に優れたセラミック製としたので、高いタービン入口温度を実現して、ガスタービンの高効率化、低公害化および長寿命化を実現できる。しかも、セラミック製タービンノズルは、これに隣接する金属製支持部品などとの熱膨張差が支持機構のばね体の伸縮により吸収されることから、金属製支持部品の熱変形による影響を受け難いので、金属製支持部品との変形の不適合による損傷の発生が防止される。
本発明の好ましい実施形態では、前記支持機構が、前記ダクトサポートの支持部との間で、前記取付フランジと前記外側フランジおよび前記内側フランジとを挟持する支持片と、前記ハウジングおよび前記支持片に挿通された棒材と、この棒材の外周に装着されたばね体と、前記棒材の先端部に装着されて前記支持片との間で前記ばね体を圧縮するばね受け材とを備えている。この構成によれば、遷移ダクトの取付フランジと外側フランジおよび内側フランジとに、ばね受け部材と支持片との間で圧縮したばね体のばね力を、棒材を介して互いに圧接させる方向に効果的に付与できるので、遷移ダクトの取付フランジと外側フランジおよび内側フランジとを、確実に密着させた状態でハウジングの一部であるダクトサポートに支持することができるとともに、遷移ダクトとタービンノズルとの間からの空気漏れを一層確実に防止できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、前記タービンノズルが周方向に分割された複数のノズルセグメントにより形成され、複数の前記ノズルセグメントからなるセグメント群の周方向の両外側に位置する前記ノズルセグメントの前記外側フランジに係合部が設けられ、前記ダクトサポートに前記係合部に係合して前記セグメント群の周方向の位置決めを行うストッパ部が設けられている。この構成によれば、タービンノズルが分割型セグメント構造になっているので、熱応力や製造技術上の問題などから一体化構造とすることが困難な中型または大型のガスタービンに採用することができる。また、複数のノズルセグメントからなるセグメント群の周方向における両外側の二つのノズルセグメントの係合部とダクトサポートのストッパ部との係合により、ノズルセグメント群の全てのノズルセグメントの周方向の位置決めがなされるので、各ノズルセグメントの周方向の位置決めを個々に行う場合に比較して、構成を簡略化できる。
本発明のタービンノズルの支持構造によれば、タービンノズルを遷移ダクトと合わせてハウジングに支持するので、タービンノズルの支持機構を、タービンノズルの上流側の遷移ダクトの近傍の広いスペースに設けることができる。これにより、スペースの制約が解消されるのに伴い大きなばね体を用いて強い押圧力を付与することによって、タービンノズルを遷移ダクトと共にハウジングに安定して支持できる。しかも、狭いスペースに設けられるために複雑化していた従来のタービンノズルのみを支持する支持機構と比較して、構造を簡略化できる。また、遷移ダクトの取付フランジとタービンノズルの外側フランジおよび内側フランジとが、ばね力により突き合わされるので、遷移ダクトとタービンノズルとの間からの空気漏れを防止できる。さらに、タービンノズルをセラミック製としたので、高いタービン入口温度を実現して高効率化、低公害化および長寿命化を図ったガスタービンとしながら、セラミック製タービンノズルが、金属製支持部品による複雑な支持機構で支持されていないので、隣接する金属製支持部品との変形の不適合により損傷するのを防止できる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るタービンノズルの支持構造を適用したガスタービン1を示す一部破断した側面図である。同図において、ガスタービン1は、圧縮機2で空気IAを圧縮して燃焼器3に導くとともに、ガスまたは液体燃料Fを、燃焼器3内に噴射して燃焼させ、その高温高圧の燃焼ガスGのエネルギによりタービン4を駆動する構成になっている。このタービン4は圧縮機2を駆動するとともに、例えば発電機(図示せず)のような負荷を駆動する。
前記圧縮機2として、軸流圧縮機を備えたガスタービン1を例示してある。この軸流圧縮機2は、回転軸12の外周面に配置された多数個の動翼13と、ハウジング14の内周面に複数段に配置された静翼15との組合せにより、吸気ダクト16から吸入した空気IAを圧縮して、その圧縮空気Aを環状に形成された車室17に送給する。
燃焼器3は、環状の車室17に、その周方向に沿って複数個(例えば6個)が等間隔で配置されており、車室17に送給された圧縮空気Aが、矢印a,bで示すように、燃焼筒21内の燃焼室22に導入される。一方、燃焼器3の燃料ノズル23から燃料Fが燃焼室22内に噴射され、この燃料Fが圧縮空気Aと混合されて燃焼し、その高温高圧の燃焼ガスGが、燃焼筒21の下流側(燃焼ガスGの流れ方向の下流側)に接続された遷移ダクト26を通って、タービンノズル7からタービン4内に流入する。
図2は、図1のII−II線から見た前記タービンノズル7および図1のダクトサポートの相対位置を示す拡大図である。タービンノズル7は、図6に示す周方向Qに分割された複数(この実施形態において36個)のセラミック製ノズルセグメント8A〜8Cを周知の連結構造により相互に連結して環状に構成され、図1のタービン4の第1段タービン動翼の入口側に配置される。このノズルセグメント8A〜8Cは、各6個ずつを一つのグループとして組み合わせてセグメント群24に構成されており、その6個のうちの周方向の両外側に位置するノズルセグメント8B,8Cを除く他の4つのノズルセグメント8Aは、同一形状のものが共通に用いられている。
すなわち、図6(a)に示すように、共通のノズルセグメント8Aは、翼部9の径方向Rの両端部に外周壁部10および内周壁部11が一体形成され、さらに、外周壁部10の上流側の前端部からは径方向Rの外方に向け外側フランジ20が一体に突設されているとともに、内周壁部11の前端部からも径方向Rの内方に向け内側フランジ19が一体に突設されている。さらに、外周壁部11の前後方向のほぼ中央部分からは補助フランジ18が径方向Rの外方に向け一体に突設されている。セグメント群24の周方向Qの左端に位置するノズルセグメント8Bは、同図(b)に示すように、外側フランジ20の左端に切欠き状の係合部20aが形成され、周方向Qの右端に位置するノズルセグメント8Cは、同図(c)に示すように、外側フランジ20の右端に切欠き状の係合部20bが形成されており、その他の形状は共通のノズルセグメント8Aと同じである。
前記セグメント群24は、図1の前記遷移ダクト26が後述のダクトカバーを介して支持される図2のダクトサポート28の周方向の両端に突設されたストッパ部28a,28bが、図4にも示すように、前記係合部20a,20bに嵌まり込む状態で係合することにより、セグメント群24の6つのノズルセグメント8A〜8Cが、両ストッパ部28a,28bの範囲内で周方向Qの位置決めが一括してなされている。このように、ダクトサポート28は、環状体を周方向Qに6分割したものであって、36個のノズルセグメント8A〜8Cの6個当たり1つ設けられている。
つぎに、前記タービンノズル7の支持構造について説明する。図3は図2のII−II線に沿って切断した要部の縦断面図であり、同図において、タービンノズル7を支持するための金属製ノズルサポート27は、ハウジング14に支持されてハウジング14の一部を形成しており、径方向Rに2分割された構造を有している。一方、前記遷移ダクト26の上流側は、ダクトカバー29および連結支持部材30A,30Bを介して図2にも示したダクトサポート28に連結して支持されており、このダクトサポート28が、図3のノズルサポート27にボルト31,32により固定されている。すなわち、遷移ダクト26の上流側は、ダクトカバー29、連結支持部材30A,30Bおよびダクトサポート28を介して、ノズルサポート27に支持されている。ダクトカバー29は遷移ダクト26の外面の主要部分を覆う筒状の金属製部材である。
図5に示すように、前記遷移ダクト26は、上流側(図の奥側)が円形の開口を有して燃焼器3に連結され、下流側(図の手前側)の端部(遷移ダクト26の後端)に、タービンノズル7における6個のノズルセグメント8A〜8Cからなるセグメント群24(図2)に対応する円弧状の下流端出口26bが形成されている。この下流端出口26bの外周縁部と内周縁部には、外側取付フランジ26cおよび内側取付フランジ26dがそれぞれ設けられている。
6個のノズルセグメント8A〜8Cからなるセグメント群24は、遷移ダクト26の下流端出口26bに対向する配置とされて、図3に示すように、外側フランジ20が遷移ダクト26の外側取付フランジ26cに、内側フランジ19が遷移ダクト26の内側取付フランジに、それぞれ重合状態に突き合わされて、ダクトサポート28の外側支持部28cおよび内側支持部28dにそれぞれ当接されている。
前記両支持部28c,28dは、図2に示すように、セグメント群24の6個のノズルセグメント8A〜8cにおける外側フランジ20および内側フランジ19にそれぞれ個々に対応して設けられている。また、ダクトサポート28における外側支持部28cの外方側の前面および内側支持部28dの内方側の前面には、円弧状の外側凹所28eおよび内側凹所28fが形成されているとともに、各凹所28e,28fにはそれぞれ2つずつの挿通孔28gが設けられている。
前記ダクトサポート28の外側凹所28eには6分割された円弧状の外側支持片33が取り付けられ、図3に示すように、この外側支持片33の円周の支持突片部33aとダクトサポート28の外側支持部28cとの間で、外側フランジ20と遷移ダクト26の外側取付フランジ26cとが重合状態で挟持されている。一方、前記ダクトサポート29の内側凹所28fには6分割された円弧状の内側支持片34が取り付けられ、この内側支持片34の支持突片部34aとダクトサポート28の内側支持部28dとの間で、内側フランジ19と遷移ダクト26の内側取付フランジ26dとが重合状態で挟持されている。こうして、セグメント群24の上流端部および遷移ダクト26の下流端部がダクトサポート28に支持されている。
さらに、ダクトサポート28の各挿通孔28gおよび両支持片33,34の各々の挿通孔33b,34bには、ボルトからなる棒材37がダクトサポート28の後側から挿通され、その各棒材37の外周には、コイルスプリングからなるばね体38およびぼね受け材39がこの順序で装着されているとともに、棒材37の先端のねじ部にナットからなる締結部材40を螺合することにより、前記ばね体38が、各支持片33,34とばね受け材39との間で圧縮されている。この圧縮されたばね体38のばね力により、ダクトサポート28と外側支持片33との間で、ノズルセグメント8A〜8Cの外側フランジ20と遷移ダクト26の外側取付フランジ26cとが互いに圧接されて密着し、かつ、ダクトサポート28と内側支持片34との間で、内側フランジ19と内側取付フランジ26dとが互いに圧接されて密着している。
すなわち、セグメント群24を構成する各6個のノズルセグメント8A〜8Cは、各々の外側フランジ20および内側フランジ19が遷移ダクト26の外側および内側の取付フランジ26c,26dにばね体38のばね力で圧接されることにより、遷移ダクト26の下流端に連結されて合体され、遷移ダクト26を支持するダクトサポート28を介してハウジング14の一部であるノズルサポート27に支持されている。各ノズルセグメント8A〜8Cはセグメント群24ごとに支持されており、その支持には、6分割された円弧状の外側および内側支持片33,34と、外側および内側各2個ずつ合計4個のばね体38とが割り当てられている。
したがって、ダクトサポート28の両支持部28c,28d、両支持片33,34、棒材37、ばね体38、ばね受け部材39および締結部材40が、ノズルセグメント8A〜8Cを遷移ダクト26と合体してノズルサポート27に支持させる支持機構41を構成している。こうして、各ノズルセグメント8A〜8Cは、図2で説明したセグメント群24の周方向Qの両端のノズルセグメント8B,8Cの係合部20a,20bと、ダクトサポート28のストッパ部28a,28bとの係合によって周方向Qにおいてセグメント群24として位置決めされているとともに、図3に示すガスタービン1の軸方向Pへは、ばね体38の伸縮によって移動自在とされている。
さらに、各ノズルセグメント8の内周部は以下のような構造で支持されている。すなわち、内周壁部11の軸方向の中間部は、セラミック製のシール部材42およびセラミックばね43を介して、インナハウジング50に固定された金属製のばね受け部材44に支持されている。ばね受け部材44は、タービン軸心C(図1)の回りにリング状に形成され、インナハウジング50に固定されている。そのばね受け部材44には、シール部材42およびセラミックばね43をばね受け部材44との間に挟むようにして保持する保持体47が固定されている。インナハウジング50は、外側のハウジング14に連結されている。
また、前記遷移ダクト26の上流側は以下のような構造でダクトカバー29に支持されている。すなわち、遷移ダクト26の上流側は、ダクトカバー29のフランジ状の連結部29bに、コイルスプリング48、コイルスプリング48に挿通されたボルト49、ボルト49の先端部に螺合されたナット51を介して、ダクトカバー29に、軸方向に移動自在に支持されている。
上記構成の支持構造では、ハウジング14のノズルサポート27に支持される遷移ダクト26の後端に取付フランジ26c,26dを設けて、この取付フランジ26c,26dとタービンノズル7の外側フランジ20および内側フランジ19とを突き合わせた状態で、ばね体38のばね力により互いに圧接して密着させることにより、タービンノズル7を遷移ダクト26と一体化してハウジング14のノズルサボート27に支持させるようにしたので、ばね力を付与するためのばね体38を有する支持機構41は、タービンノズル7の上流側の遷移ダクト26における下流端近傍の広いスペースに位置することになる。したがって、支持機構41を配設するためのスペースの制約が解消されるので、大きなばね体38を用いて強い保持力を付与することが可能となる。これにより、タービンノズル7を、周辺から作用する励振力、例えば隣接する周辺部品の振動や燃焼ガスGの振動に起因する励振力、あるいは後段のタービン翼からの気流を介しての励振力に抗して、振動することなく安定して支持することができる。
しかも、遷移ダクト26の取付フランジ26c,26dとタービンノズル7の外側フランジ20および内側フランジ19とは、比較的大きなばね体38のばね力により突き合わされて密着状態となるので、遷移ダクト26とタービンノズル7との間からの空気漏れを、専用の空気漏れ部材を別途設けることなしに、防止することができる。
また、タービンノズル7は耐熱性に優れたセラミック製としたので、高いタービン入口温度を実現して、ガスタービン1の高効率化、低公害化および長寿命化を実現できる。しかも、セラミック製タービンノズル7は、セラミック製の遷移ダクト26に連結されていることから、金属製支持部品による複雑な支持機構を用いる場合と比較して、セラミックと金属との熱膨張差に起因して金属製支持部品の熱変形による影響を受けにくい。
また、タービンノズル7の外側フランジ20および内側フランジ19と遷移ダクト26の取付フランジ26c,26dとを重合状態でノズルサポート27に支持する支持機構41は、ばね体38のばね力によって支持力を発揮するから、金属製のダクトサポート28、外側支持片33および内側支持片34の大きな変形が吸収されて、セラミック製のタービンノズル7の両フランジ20,19および遷移ダクト26の両取付フランジ26c,26dに、熱変形の不適合による損傷が発生するのを抑制できる。
さらに、タービンノズル7が分割型セグメント構造になっているので、熱応力や製造技術上の問題などから一体化構造とすることが困難な中型または大型のガスタービンに採用することができる。また、複数のノズルセグメント8A〜8Cからなるセグメント群24の周方向Qにおける両外側の二つのノズルセグメント8B,8Bの外側フランジ20の係合部20a,20bとダクトサポート28のストッパ部28a,28bとの係合により、両ストッパ部28a,28bの間の範囲内でセグメント群24の全てのノズルセグメント8A〜8Cの周方向Qの位置決めがなされるので、従来のように各ノズルセグメントの周方向の位置決めをノズルセグメントごとに個々に行う場合と比較して、構成を簡略化できるとともに、以下に説明するように、コストダウンを達成することができる。
すなわち、従来では、ノズルセグメントごとに個々に周方向の位置決めを行うために、図6(a)に2点鎖線Tで示すように、セラミック製のノズルセグメントの軸方向の中央部において周方向Qの全体に延びる形状に形成したフランジの両側をそれぞれ削除して係合部を設ける際に、これがセラミック製であることから、形成後のフランジの周方向の両端部をダイヤモンドなどにより研磨する手段で削除しなければならず、加工費が増大する。これに対し、前記支持構造では、6個のノズルセグメント8A〜8Cのうちの両側の2個に係合部20a,20bを形成するだけであるから、ノズルセグメント8A〜8Cの加工費を従来に比べて低減できる。
また、図3の各ノズルセグメント8A〜8Cごとに対応して、計4個のばね体38を有する支持機構41を個々に設けているので、各ノズルセグメント8A〜8Cの外側フランジ20および内側フランジ19を、個々に付与するばね力でノズルサポート27およびインナハウジング50に押し付けて支持しているから、タービンノズル7の全体を周方向Qに対して均等に支持することができる。
なお、図示を省略しているが、ノズルセグメント8A〜8Cの外側および内側フランジ20,19を押圧するダクトサポート28の支持部28c,28dの押圧部を図3に示す縦断面において円弧状となる円筒面形状として線接触で、または球面形状として点接触で押圧するようにすれば、ノズルセグメント8が正常な姿勢からずれて前後に傾いても、外側および内側フランジ20,19上の接触位置がほとんど変化しないので、面接触の場合と異なり、外側および内側フランジ20,19に片当たりして押圧点がずれることがなく、安定してノズルセグメント8A〜8C、つまりタービンノズル7を支持できる。
本発明の一実施形態に係るタービンノズルの支持構造を適用したガスタービンを示す一部破断した側面図である。 図1のII−II線から見た前記タービンノズルの支持構造を示す正面図である。 図2のII−II線に沿って切断した縦断面図である。 図2のIV−IV線に沿って切断した要部の縦断面図である。 同上のガスタービンにおける遷移ダクトを示す背面図である。 (a)〜(c)は同上の支持機構における異なるノズルセグメントを示す斜視図である。
符号の説明
1 ガスタービン
2 燃焼器
4 タービン
7 タービンノズル
8A〜8C ノズルセグメント
19 内側フランジ
20 外側フランジ
20,20b 係合部
24 セグメント群
26 遷移ダクト
26c,26d 取付フランジ
27 ノズルサポート(ハウジング)
28 ダクトサポート
28a,28b ストッパ部
28c,28d 支持部
33,34 支持片
37 棒材
38 ばね体
44 ばね受け部材

Claims (3)

  1. ガスタービンにおけるタービンの入口側に配置されるセラミック製のタービンノズルを前記ガスタービンのハウジングに支持する構造であって、
    前記タービンノズルに形成された径方向外方に突出する外側フランジと、
    前記タービンノズルに形成された径方向内方に突出する内側フランジと、
    燃焼器からの燃焼ガスを前記タービンノズルに導く遷移ダクトを前記ハウジングに支持するダクトサポートと、
    前記遷移ダクトの後端に設けた取付フランジと前記外側フランジおよび前記内側フランジとをばね力により突き合わせた状態で前記ハウジングに支持する支持機構とを備えているタービンノズルの支持構造。
  2. 請求項1において、前記支持機構は、前記ダクトサポートの支持部との間で、前記取付フランジと前記外側フランジおよび前記内側フランジとを挟持する支持片と、前記ハウジングおよび前記支持片に挿通された棒材と、この棒材の外周に装着されたばね体と、前記棒材の先端部に装着されて前記支持片との間で前記ばね体を圧縮するばね受け材とを備えているタービンノズルの支持構造。
  3. 請求項1または2において、前記タービンノズルが周方向に分割された複数のノズルセグメントにより形成され、複数の前記ノズルセグメントからなるセグメント群の周方向の両外側に位置する前記ノズルセグメントの前記外側フランジに係合部が設けられ、前記ダクトサポートに前記係合部に係合して前記セグメント群の周方向の位置決めを行うストッパ部が設けられているタービンノズルの支持構造。
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KR20190086264A (ko) * 2018-01-12 2019-07-22 두산중공업 주식회사 진동 특성이 향상된 가스터빈용 연소기 노즐의 장착 구조
KR102126810B1 (ko) * 2018-01-12 2020-06-25 두산중공업 주식회사 진동 특성이 향상된 가스터빈용 연소기 노즐의 장착 구조

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