JP2006122879A - メタンガスを生産する方法及びその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法 - Google Patents

メタンガスを生産する方法及びその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】
リグノセルロース系材料を粉砕して細かいチップの集合体とする。このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積する。この堆積物をサイロに入れ、水及び泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として加える。サイロ内の内容物と残渣をメタン醗酵に適した温度で嫌気的条件下で培養する。
【効果】
残渣を再利用するため、その中に含まれる微生物群の数が一定になりやすく、前記堆積物の分解速度が一定となる。その結果、メタンガスの発生量も均一になる。また、分解処理するたびに泥土又はヘドロを用意する必要がないため、ランニングコストを抑えることができ、実用性に富む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、メタンガスを生産する方法及びその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法に関するものである。さらに詳しくは、樹木を切ったときに発生する木質系の廃材などに代表される材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料としては不適である、リグニン含有セルロース質材料、即ち木質系も含めたリグノセルロース系資源を原料としてメタンガスを生産する方法とその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法に関するもので、なかでも、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用するところに特徴を有する。
リグノセルロースは地球上で最も多量に存在する有機物であり、構造性多糖のセルロース及びヘミセルロース、芳香族化合物の重合体のリグニンから構成される。なかでも、木質系の廃棄物質は燃やすと高温になるので、廃棄物処分業者にも引き取りをいやがられる存在であり、単に堆肥化するのも加熱を要したりして厄介である。成形物に混ぜたり、熱分解したりして利用する場合もあるが、熱を加えない処理に関しては現状ではシロアリの利用が可能かどうかについて研究がなされている程度で、再利用できないようなものは焼却処分するか、放置するしかないのが現状である。
一方、メタン醗酵やバイオガス製造の原料として(リグノセルロース系資源として畜産糞尿を含めた)種々の廃棄有機物が使用されているにもかかわらず、また、樹木等の成長が多量のリグノセルロース系資源としての廃棄物を生じるにもかかわらず、切り取ったままの樹木の枝など家畜の胃腸管を通ったことのないリグノセルロース系資源は、地球上で最も多量に存在する有機物の一形態でありながら、メタン醗酵又はバイオ生産の原料としてこれまで利用されることが少なかった。さらに、これまで生ゴミ等を用いたバイオガスの製造はメタンの発生量がそれほどでもなかった。
そこで、大量の原料が存在しているにもかかわらず、これまではメタンガスを発生させるための原料としては不適とされてきた樹木の枝など、家畜の胃腸管を通ったことのないリグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料又は廃物を、メタンガスを発生させるための原料として用いてメタンガスを製造することができれば、極めて価値があると言える。
ところで、有機物から生じ得るメタンガスは無制御状態で大気中に放出されると、二酸化炭素の約20倍もの温室効果を持つ温室効果ガスとして環境に悪影響を及ぼす。一方、タンク内でこれを廃棄物の処理工程として大気中に漏れ出ることがないように発生させれば、廃棄物の部分的処理と有用メタンガス生産の両方を一挙に実現出来るはずである。
メタンガスの有用性は、燃料としてエネルギー源になり得ること、燃料電池で使用する改質反応や直接分解により水素を製造するための原料になり得ること、または直接バイオガス利用のリン酸型燃料電池に利用され得ること等にある。
微生物作用によりメタン醗酵で有機物がメタンに変換されることは周知であり、消化ガスやバイオガス(メタンや二酸化炭素等の混合ガス)と呼ばれる廃棄物処理への応用も盛んになって来た。
上記課題を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ね、それを可能ならしめる技術開発に成功した(特許文献1)。
特開2004−243188号公報
ところで、その技術の要旨は、次のようなものである。すなわち、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を用いる場合においては、その材料を粉砕して細かいチップの集合体とし、このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積し、この堆積物をタンクに入れ、水及び前記堆積物の重量に対して少なくとも20重量%の泥土又はヘドロを加え、前記タンク内容物をメタン醗酵に適した温度で嫌気的条件下で培養し、このタンクからメタンガスを取り出すところにある。
また、生ゴミを原料として用いる場合においては、
(a) 搬入口から搬入される生ゴミを、必要ならば、生ゴミを粉砕した後、水性嫌気性菌に富んだ泥土又はヘドロと、攪拌槽で攪拌し、
(b) この攪拌物を嫌気的条件下のサイロに入れ、このサイロ中に一定期間保持して生ゴミを分解させ、
(c) 前記サイロ中で発生するメタンガスをサイロから取り出して収集する、
ところにある。
これらの方法を採用することにより、従来の場合よりも効率的にメタンガスを生成することができることが判ったが、本発明者はさらに研究を進めてより大量のメタンガスを生成する方法を見出し、また、特許として出願を済ませている(出願番号:特願2004−278972、出願日:平成16年 9月27日)。ところで、その技術の要旨は、以下のようなものである。
すなわち、前記堆積物あるいは生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミに泥土又はヘドロを加える前に、その泥土又はヘドロを純粋寒天培養するとともに、純粋寒天培養された寒天に少なくとも肉汁を添加し、それを活性剤として前記堆積物あるいは生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミに加える点に特徴がある。すなわち、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを活性剤として前記堆積物あるいは前記生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミに加えることにより、メタンガスの発生を大幅に促進させることができる。
この技術によれば、メタンガスの発生を大幅に促進させることができるが、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを活性剤として前記堆積物あるいは前記生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミの処理ごとに混入させなければならないため、その処理に用いる前記微生物群の数が一定とならないため、前記堆積物あるいは前記生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミの分解速度が異なり、その結果、メタンガスの発生量が均一にならず、採算ベースに乗せにくいという欠点がある。また、この場合には、分解処理するたびに泥土又はヘドロを用意しなければならないため、当然ランニングコストを引き上げることになり、実用性にそぐわないという欠点もある。
そこで、本発明者はさらに研究を進めて行くうちに、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用できること、及び、それによって上記欠点を解消し得ることを見出した。
すなわち、本発明のメタンガスを生産する方法においては、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を粉砕して細かいチップの集合体とし、このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積し、この堆積物をサイロに入れ、水及び泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として加え、前記サイロ内容物をメタン醗酵に適した温度で嫌気的条件下で培養し、前記サイロからメタンガスを取り出すところに特徴がある。
この方法によれば、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用するため、前記残渣中に含まれる微生物群の数が一定になりやすく、前記堆積物あるいは前記生ゴミもしくは粉砕後の生ゴミの分解速度が一定となり、その結果、メタンガスの発生量も均一になって採算ベースに乗せやすいという利点がある。また、分解処理するたびに泥土又はヘドロを用意する必要がないため、ランニングコストを抑えることができ、実用性に富むという利点もある。
また、生ゴミを原料として用いる場合においては、
(a) 搬入口から搬入される生ゴミを、必要ならば、生ゴミを粉砕した後、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣と攪拌し、
(b) この攪拌物を嫌気的条件下のサイロに入れ、このサイロ中に一定期間保持して生ゴミを分解させ、
(c) 前記サイロ中で発生するメタンガスをサイロから取り出して収集し、
(d) 空になったサイロは再び上記ステップ(b)のために用いるステップを含む、
ところに特徴がある。
この場合には、生ゴミを原料として、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。
泥土又はヘドロを純粋寒天培養するに当っては、泥土又はヘドロを寒天培養床で一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、一週間程度培養するのがよい。純粋寒天培養に用いる泥土又はヘドロの量は、寒天培養床2kgに対し500g〜1kg程度が好ましい。また、純粋寒天培養された寒天に肉汁を添加するのが望ましく、肉汁添加後さらに一週間程度培養するとよい。
泥土又はヘドロを純粋寒天培養することにより、微生物群を増殖させることができ、また、純粋寒天培養された寒天への肉汁の添加とその後の培養により、微生物群をさらに増殖させることができ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスの発生をさらに促進させることができる。
なお、「肉汁」とは、牛、豚、鶏その他各種の肉の脂身を煮詰めてゼラチン状にしたものをいい、その添加量は好ましくは10g程度である。コスト削減のために、最も安い肉で、しかも、その不要部位である脂身を利用するのが望ましい。
前記泥土又はヘドロをより具体的にいうと、水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいるもの、あるいは、水をはったレンコン畑の中の泥土又はヘドロ、生活排水や温泉浴場の排水等によりある程度有機物を含む河川の水のよどんだ所の底にある泥土又はヘドロ、及び有機物を多く含んでいる湖沼の底の泥土又はヘドロからなる群から選択される泥土又はヘドロを挙げることができる。
「泥土」とは、ぬかるみのような物性の水分の多い泥土を意味する。「ヘドロ」が水底に沈澱した有機物含有の泥を意味するときは、「泥土」に含まれ得る。また、「汚泥」も「泥土」に含まれる場合があり得る。粉砕物腐朽化チップの堆積物の重量に対するその様な泥土の重量パーセントが示される場合は、そのような水分を含んだものの重量%で示され、乾物のパーセントではない。
「水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいる泥土」に関して、水素生成菌とメタン産生菌の利用する栄養は異なっているとされているが、嫌気性条件下水素生成菌のいる所にメタン産生菌もいると考えられる。
「水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいる泥土又はヘドロ」については、一例として、土壌がタンパク質分解物又は有機物にもある程度富んでいる場所において、その土壌が嫌気性となっている(例えば、水底に存在する)場合であって、水が流れておらず澱んでおり、なおかつ、水が汚れていない(上の水が澄んでいる)場合に、そのような泥土又はヘドロは水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していると考えられる。
水をはったレンコン畑の中の泥土又はヘドロ、生活排水や温泉浴場の排水等によりある程度有機物を含む河川の水のよどんだ所の底にある泥土又はヘドロ、及び有機物を多く含んでいる湖沼の底の泥土又はヘドロは、このような条件を満たすものである。
一方、木質の原料の例としては、樹木の枝や幹を切って生じた処分材、倒木や廃棄樹木及びそれらの一部、及び落葉からなる群から選択される1以上のもの、又はそれの実質的な量又は主要量と廃棄野菜、雑草ゴミ、ワラ、生ゴミからなる群から選択される1以上のものとの混合物を挙げることができる。木質の原料として、製材工程や解体で生じる廃木材及び木屑等も使用できる場合があるが、近年主流の外国産材木は海水が侵入していることにより、また、新建材は化学物質が含まれているので、適しない場合も多い。
木質材の粉砕は、8mmの篩の目に通る程度に粉砕するのが好ましい。木質系廃棄物は小枝を含んでいたり、繊維状で細長いものであるから、長さは8mmよりも長い断片のものも含まれる。例えば、あらかじめ2cm程度に粉砕しておいて、次に8mmの篩の目に通る程度に粉砕することができる。
木質材粉砕物チップを堆積して腐朽化させる際の堆積物全体の水分は60%程度が好ましい。堆積して腐朽化させる段階では、水を撒き好気性にするために通気すればよく、それ以外に混ぜ物をする必要はない。混ぜ物をすると逆効果となる場合もあり得る。例えば、茸(ナメコ及びシメジ)の菌の残渣を混入して腐朽を試みた場合、後のメタン醗酵段階に悪影響がみられた。堆積段階で温度は50〜60℃程度に上昇することが認められた。堆積期間は20〜30日が良い。すなわち、腐朽の開始の認められた程度から少し腐朽が進行した程度の時点であり、チップの形状は維持された状態のままとする。
木質材粉砕物腐朽化チップを原料として用い、効率良くメタンを生産することができるのは、次のようなプロセスを経るからであると推測される。木質材の粉砕物の好気的な条件下での堆積により木材腐朽菌が粉砕物の表面に付着し、部分的な腐朽が進行した粉砕物が水中に浸漬されることによって、好気性の腐朽菌は粉砕物表面で細かい気泡を生じる。気泡の酸素を消費し尽くした状態で腐朽菌は死滅し、それに代わって気泡と水との界面に泥土又はヘドロ中の嫌気性の水素生成菌が繁殖しやすい状態になる。水素生成菌はセルロース、ヘミセルロース等を分解し、リグニンとセルロースとの結合は破壊されて粉砕物は柔らかくなり、水素生成菌の繁殖によりそれを栄養とする泥土又はヘドロ中に存在したメタン産生菌が繁殖し、メタンを生成すると考えられる。
一方、生ゴミを原料として用いる場合においても、効率良くメタンを生産することができるのは、水素生成菌の繁殖により生ゴミが分解され、水素生成菌を栄養とする泥土又はヘドロ中に存在していたメタン産生菌が繁殖し、メタンを生成すると考えられる。
そして、本発明においては、メタンガスを発生させるに当って、上述した泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を廃棄することなく、それを爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。
残渣をそのまま用いてそれを爾後のメタンガス生成のための活性剤としてもよいが、残渣から分離した液状分を種菌床として培養器に移し、再利用までの間微生物群をさらに増殖させることが好ましい。この場合には、残渣から分離した液体に含まれる微生物群を培養器でさらに増殖させることができ、それを爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスの発生をさらに促進させることができる。
一方、本発明のメタンガスを生産する装置においては、少なくとも、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を粉砕して得られる細かいチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積した堆積物又は生ゴミと、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣とを混合し、その混合物を気密状態で一定期間保持するために、複数設けられた嫌気性のサイロと、ガスを採取すべく使用中のサイロ内を、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保つためのガスホルダと、サイロ内で発生したメタンガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段とを有するところに特徴がある。
この装置を用いることにより、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。特に、ガスを採取すべく使用中のサイロ内はこの装置に備えられているガスホルダにより、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保たれているため、残渣中の微生物群が十分活動している状況下でメタンガスを発生させることができ、それをガス貯蔵手段に貯蔵することができる。
ガスホルダ内のガス圧を上限圧力以下、下限圧力以上に保つとともに、サイロから取り出したメタンガスを使用中のサイロにフィードバックするための加圧ポンプを備えていることが望ましい。この場合には、加圧ポンプによりガスホルダ内が上限圧力以下、下限圧力以上の圧力に保たれ、また、加圧ポンプによりサイロから取り出したメタンガスを使用中のサイロにフィードバックできるから、そのガスで使用中のサイロ内の被分解物を攪拌することができる。
ガス生成後のサイロ内の残渣中に含まれる微生物群を、再利用までの間さらに増殖させるための培養器を備えていることが望ましい。この場合には、ガス生成後サイロ内に残っている残渣を培養器に移し変え、その残渣中に含まれる微生物群を再利用までの間さらに増殖させることができる。したがって、培養器内で微生物群がさらに増殖された残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、サイロ内でメタンガスを効率良く、しかも、大量に発生させることができ、それをガス貯蔵手段に貯蔵することができる。前記培養器は微生物群を増殖させた後の残渣を再利用までの間一時保管しておくためのものでもある。
複数のガス貯蔵手段に適正な圧力でメタンガスが順次充填されるようにするための二次収納器を備えていることが望ましい。この場合には、二次収納器により複数のガス貯蔵手段に適正な圧力でメタンガスが順次充填されるので、複数のガス貯蔵手段に自動的に適正な圧力でメタンガスを順次充填することができる。
電気を生じさせるために、メタンガスを燃料電池のための原料に供給するとよい。このようにすると、メタンの製造を直に燃料電池へ組み合わせて利用することができるので、極めて便利である。
請求項1記載の方法によれば、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用するため、前記残渣中に含まれる微生物群の数が一定になりやすく、メタンガスの発生量も均一になって採算ベースに乗せやすいという利点がある。また、分解処理するたびに泥土又はヘドロを用意する必要がないため、ランニングコストを抑えることができ、実用性に富むという利点もある。さらに、原料コストがかからず、かつ、入手しやすい、リグノセルロース系資源と泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。
請求項2記載の方法によれば、生ゴミを原料として、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。
請求項3記載の方法によれば、残渣から分離した液体に含まれる微生物群を培養器でさらに増殖させることができ、それを爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に発生させることができる。
請求項4記載の方法によれば、原料コストがかからず、かつ、入手しやすく、また、使用しても枯渇の心配がない泥土又はヘドロを用いて、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。
請求項5記載の装置を用いた場合には、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。特に、ガスを採取すべく使用中のサイロ内はこの装置に備えられているガスホルダにより、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保たれているため、残渣中の微生物群が十分活動している状況下でメタンガスを発生させることができ、それをガス貯蔵手段に貯蔵することができる。
請求項6記載の発明によれば、加圧ポンプによりガスホルダ内が上限圧力以下、下限圧力以上の圧力に保たれ、また、加圧ポンプによりサイロから取り出したメタンガスを使用中のサイロにフィードバックできるから、そのガスで使用中のサイロ内の被分解物を攪拌することができる。
請求項7記載の発明によれば、培養器内で微生物群をさらに増殖させることができ、それを爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、サイロ内でメタンガスを効率良く、しかも、大量に発生させることができ、それをガス貯蔵手段に貯蔵することができる。
請求項8記載の発明によれば、二次収納器により複数のガス貯蔵手段に適正な圧力でメタンガスが順次充填されるので、複数のガス貯蔵手段に自動的に適正な圧力でメタンガスを順次充填することができる。
請求項9記載の発明によれば、メタンの製造を直に燃料電池へ組み合わせて利用することができるので、極めて便利である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す例はあくまでも一例を示すものであって、それらに限定されるということではない。
(1) 木質原料の選定
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、木質原料として、針葉樹と広葉樹の両方のもの、そして、針葉樹と広葉樹の両方のものを全て含んでいる廃樹木、切り枝、及び葉(通常の庭木の剪定で生じる割合)や、杉の葉と幹、落葉樹、落ち葉、檜の葉と幹、松の葉と幹などを用いると良いことが実証されている。そして、それらを粉砕機で粉砕して8mmの目の篩を通る寸法の粉砕物(チップ)にする。一度での粉砕が困難な場合には、一旦粗い粉砕物にしてから再び細かく粉砕すれば良い。
(2) 木質原料の部分的腐朽化処理
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、上記粉砕物チップを堆積させ、2日に1回の間隔で湿り気を与えながら、20日〜1ケ月保つと良いことが実証されている。内部温度が約50〜60℃となること、及び、内部で好気性従属栄養最近(主に白色腐朽菌及び糸状腐朽菌)が自然に(1週間程度で)付着し始めることを目視確認している。酸素を供給した場合には、上記の好気性菌の活性化により好気性菌のより早い付着が認められることも確認している。大規模生産において、この腐朽菌処理工程は時々水をかけるだけであって、屋外の堆積で良く、比較的場所を選ばないから、20日〜1ケ月という期間はプロセスの能率を悪化させることにはならない。
(3) 泥土の選定
また、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)では、前記ステップ(2)、すなわち、木質原料の部分的腐朽化処理工程で得られた部分的に腐朽化が進行している腐朽菌の付着したままの木質材粉砕物腐朽化チップ(以下、粉砕物腐朽化チップ又は木質材粉砕物腐朽化チップと称する)1kgを、10リットルの容器に入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、粉砕物腐朽化チップ重量に対し30重量%〜50重量%の種々の泥土を加え、それぞれの試料についてメタンガスの発生量を調べることを試みた。その結果、泥土成分としては、レンコン畑の泥土が最も適しており、その次に、濁川下流の泥土が適していることが実証されている。そして、この度の実験では、メタンガスの発生のために使用し得る泥土成分のうち、最も成績の良かったレンコン畑の泥土を泥土成分として使用する。
(4) 泥土の純粋寒天培養
本発明においては、上記粉砕物腐朽化チップに泥土又はヘドロ(以下、単に泥土と称する)を加える前に、その泥土を純粋寒天培養する。泥土を純粋寒天培養するに当っては、その泥土を寒天培養床で一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、一週間程度培養するのが良い。その場合における泥土の量は、寒天培養床2kgに対し500g〜1kg程度とするのが良い。泥土又はヘドロを純粋寒天培養することにより、微生物群を増殖させることができる。
(5) 肉汁の添加
純粋寒天培養された寒天に、少なくとも肉汁を添加する。「肉汁」とは、牛、豚、鶏その他各種の肉の脂身を煮詰めてゼラチン状にしたものをいい、その添加量は好ましくは10g程度である。純粋寒天培養された寒天に肉汁を添加した後、一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、さらに一週間程度培養するのが良い。純粋寒天培養された寒天への肉汁の添加とその後の培養により、微生物群をさらに増殖させることができる。
(6) 泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣の回収
20kgの粉砕物腐朽化チップを200リットルの嫌気的条件化のサイロに入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに肉汁を添加した後一週間程度培養した寒天を粉砕物腐朽化チップ重量に対し50重量%加えて窒素によるエアーパージを行う。すると、前記サイロ内でメタンガスを発生させることができる。前記サイロ内の温度は35℃に保つ。その際に発生する残渣から半固形分と液状分とを分離し、そのうちの少なくとも液状分を回収し、それを爾後のメタンガスの生成に再利用する。前記半固形分は、堆肥・客土製造時の添加剤として利用できる。
(7) 回収した残渣の培養
メタンガスを生成した後の残渣をそのまま用いてその中に含まれている微生物群を活性剤としてメタンガスを発生させてもよいが、回収された液状の残渣10kgを種菌床として培養器に移し、この培養器に0.5kgの肉汁と4kgの井戸水(軟水)を投入し、窒素によるエアーパージを行い、再利用までの間1週間微生物群をさらに増殖させる。この場合には、残渣から分離した液体に含まれる微生物群を培養器でさらに増殖させることができ、この残渣を使用することによりメタンガスの発生をさらに促進させることができる。
(8) メタンガス発生
前記ステップ(6)において泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに肉汁を添加後一週間程度培養した寒天を用いたのに代えて、前記ステップ(7)により培養された残渣を用い、上述した場合と同じ要領でメタンガスを発生させる。その際、前記サイロ内は低酸素状態にあるが、その中の温度を35℃に保ち、以降2週間後のメタンガスの発生量を測定した。メタンガスの測定は、JIS K 2301ガスクロマトグラフィー(TCD)法に基づいて行った。なお、水道水は殺菌作用がある可能性があるから、ここで使用する水は井戸水(軟水)を使用した。
(9) メタンガスの採集
前記サイロへの仕込みから2週間後、100リットルのタンクにメタンガスを収納し、その値を測定した。
(実施例1)
前記ステップ(1)〜(9)の工程により生成したメタンガスの採集量を、表1に容量%で示す。実施例1では、レンコン畑の泥土を純粋寒天培養し、その寒天に肉汁を添加した後、さらに培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、さらに培養して用いた。
(比較例1)
これに対して、レンコン畑の泥土を純粋寒天培養し、その寒天に肉汁を添加した後、さらに培養した寒天をメタンガス生成のための活性剤として、実施例1と同様の実験を行った。その場合のデータを比較例1として同じく表1に示す。
Figure 2006122879
表1から明らかなように、実施例1の場合(レンコン畑の泥土を純粋寒天培養し、その寒天に肉汁を添加した後、さらに培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、さらに培養して爾後のメタンガス生成のための活性剤として用いた場合)には、比較例1の場合(レンコン畑の泥土を純粋寒天培養し、その寒天に肉汁を添加した後、さらに培養した寒天を用いた場合)に比べて、メタンガスの発生量が大きく増加することが実証された。
なお、メタンガスの生成量が仕込みから2週間以降上昇することは、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号、および、特願2004−278972、出願日:平成16年 9月27日)からも既に実証されているので、仕込みから2週間までの測定及び2週間以降の測定は省略した。
また、泥土(促進剤)の量を変えても、メタン発生量が変わらないことは、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において既に実証されており、本発明の場合にも適用され得る。すなわち、泥土は必要十分量が供給された状態でその量が変化しても、メタン生成量の変化に大きく関係してこない。このことは、泥土がメタンの原料としてよりも、ある範囲の量でメタン発生を促進するように作用していると考えられる。例えば、微生物の供給に寄与するものとの考え方が成り立つと思われる。
次に、この方法によりメタンガスを生産する装置について、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本装置の全体を示す概要図である。図1において、図面符号1はメタンガスを生成するための嫌気性のサイロで、複数(図面では4基)併設されている。図面符号2はサイロ1内で生成されたガスに混入している硫化水素を除去するための脱硫器、図面符号3はガスを採取すべく使用中のサイロ内を、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保つためのガスホルダ、図面符号4はガスホルダ3内のガス圧を上限圧力以下、下限圧力以上に保つとともに、サイロ1から取り出したメタンガスを使用中のサイロ1にフィードバックするための加圧ポンプである。
また、図面符号5はサイロ1から発生する水蒸気と加圧ポンプ4から排出される油ミストをメタンガスから分離させるためのミスト分離器、図面符号6は複数のタンク7,7内に適正な圧力でメタンガスを充填するのに用いられる二次収納器である。
各機器1〜7は実線で示すパイプにより互いに連通しており、各サイロ1,1内で発生したメタンガスを最終的に複数のタンク7,7に順次収納し得るようになっている。
また、図面符号8はガス生成後のサイロ1内の残渣中に含まれる微生物群を、再利用までの間さらに増殖させるための培養器である。
さらに、図面符号9はサイロ1内の被分解物、すなわち、サイロ1に投入した粉砕物腐朽化チップと泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣の温度を35℃の適正温度に保つために、温水を循環供給するためのガスボイラで、二次収納器6の出口側とタンク7の入口側とを結ぶパイプの途中から分岐させた位置に配置されている。
各サイロ1,1には、少なくとも、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を粉砕して得られる細かいチップの集合体を投入する。そして、サイロ1内に投入された細かいチップの集合体を湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積した堆積物又は生ゴミと、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣とを混合し、その混合物を気密状態で一定期間保持することによりメタンガスを発生させることができる。
各サイロ1,1は前記ガスボイラ9から各サイロ1,1側に延び出させたパイプ9aから分岐するパイプ1f(図1において、点線で示す)により互いに連通しており、また、実線で示すパイプ1gにより窒素によるエアーパージのための窒素ガスタンク10に連通している。そして、各サイロ1,1には、その中に投入した堆積物又は生ゴミと、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣の温度を管理するための温度センサ1aや、加温用の温水ヒータコイル1bが備えられている。また、各サイロ1,1には、それぞれのサイロで窒素のエアーパージを行い得るように、窒素封入口1cとエアーリリースバルブ1dが備えられている。さらに、各サイロ1,1には、前記加圧ポンプ4によりフィードバックされたメタンガスを使用中のサイロ1の底部から吐出し、細かいチップの集合体と前記残渣とを攪拌するためのガス吐出口1eが備えられている。
脱硫器2は、上述したように、サイロ1内で生成されたガスに混入している硫化水素を除去(脱硫)するためのもので、交互に脱硫と活性炭の取替えを行いながら、複数のサイロ1,1内に順次連続してガスを生成させ得るよう、複数(図面では、2基)設けられている。複数の脱硫器2,2の切替えは、両脱硫器2,2の吸入側に設けた電磁三方弁2aを交互に切替えることにより行うことができる。活性炭は硫化水素を除去(脱硫)するためにそれを吸着させるためのものであって、小さい岩状のもので用を足すことができる。
脱硫器2では、活性炭を取替える際その中に残っているメタンガスが大気中に放出されないようにそれを回収する必要がある。活性炭を取替えようとする脱硫器2の吸入側のバルブ2bを閉じ、脱硫器2の吐出側の電磁三方弁2cを加圧ポンプ4側にするとともに、加圧ポンプ4の吐出側の電磁三方弁4bを二次収納器6側にして加圧ポンプ4を運転することにより、二次収納器6に送り込んでメタンガスを回収することができる。
また、脱硫器2では、活性炭取替え後その中に入った空気を排出するためにエアーパージを行う必要がある。活性炭取替え後の脱硫器2の吸入側のバルブ2bを閉じ、脱硫器2の吐出側の電磁三方弁2cを加圧ポンプ4側にするとともに、加圧ポンプ4の吐出側の電磁三方弁4bを開放状態にして加圧ポンプ4を運転することにより、脱硫器2内に入った空気を排出するためのエアーパージを行うことができる。
なお、脱硫器2の吸入側の電磁三方弁2a、吐出側の電磁三方弁2c、加圧ポンプ4の吸入側の電磁三方弁4a、吐出側の電磁三方弁4bのそれぞれを、制御盤でユニット制御することにより、脱硫器2での脱硫・メタンガス回収・空気排出のためのエアーパージを誤動作なく行うことができる。
ガスホルダ3は、上述したように、ガスを採取すべく使用中のサイロ1内を、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保つためのものであり、上限圧力スイッチ3a、下限圧力スイッチ3bが設けられている。ガスを採取すべく使用中のサイロ1内のガス圧が高くなると微生物の活動が弱まるので、ガスホルダ3によりサイロ1内を適正な圧力に保つ必要がある。
ガスホルダ3内のガス圧が上限圧力(例えば、2KPa)になると、前記加圧ポンプ4を自動運転して二次収納器6へガスを転送する。ガスホルダ3内のガス圧が下限圧力(例えば、1KPa以下)になると、前記加圧ポンプ4の自動運転を終了する。その際、ガスホルダ3の吐出口に設置してある電磁弁3cも制御盤によりユニット制御される。
なお、図面符号3dはガスホルダ3に設けた圧力計である。
加圧ポンプ4は、上述したように、ガスホルダ3内のガス圧を上限圧力以下、下限圧力以上に保つとともに、サイロ1から取り出したメタンガスを使用中のサイロ1にフィードバックするためのものである。ガスホルダ3内のガス圧を上限圧力以下、下限圧力以上に保たせるために、ガスホルダ3内のガスを二次収納器6に圧送する。真空ポンプとしての機能を持たせるために、油封式としてある。本加圧ポンプ4の運転は、制御盤によるユニット制御と現場での手動運転とに切替えできるようにしてある。
ミスト分離器5は、上述したように、サイロ1から発生する水蒸気と加圧ポンプ4から排出される油ミストをメタンガスから分離させるためのもので、ミスト分離器5内の圧力を測定することができる圧力計5aが設けられている。
二次収納器6は、上述したように、複数のタンク7,7内に適正な圧力でメタンガスを充填するのに用いられるもので、これに設けられている上限圧力スイッチ6aによってそれぞれのタンク7,7の繋ぎ口に設けてある各電磁弁7a,7aを制御盤によるユニット制御で開放・閉鎖し、複数のタンク7,7内に適正な圧力で順次メタンガスを自動的に充填することができる。タンク7はサイロ内で発生したメタンガスを最終的に貯蔵するためのガス貯蔵手段である。
1つのタンク7内にメタンガスが充填されたことを制御盤に表示させることにより、そのタンク7のバルブを現場で手動により閉鎖することができるようにしておくとよい。
なお、二次収納器6には、その中の圧力を測定することができる圧力計6bが設けられている。
培養器8は、上述したように、ガス生成後のサイロ1内の残渣中に含まれる微生物群を、再利用までの間さらに増殖させるためのものである。メタンガス生成のために用いる微生物群はライフサイクルが48時間程度と短いから、ガス生成完了後サイロ1内の残渣中に含まれる微生物群をこの培養器8に移してそこで再利用までの間さらに増殖させることができる。この培養器8は、微生物群を増殖させた後の残渣を再利用までの間一時保管しておくためのものでもある。
メタンガス生成の際に発生する残渣から半固形分と液状分とを分離し、そのうちの少なくとも液状分を回収し、それを爾後のメタンガスの生成に再利用する。前記半固形分は、堆肥・客土製造時の添加剤として利用できる。
ガスボイラ9は、上述したように、サイロ1内の被分解物、すなわち、サイロ1に投入した粉砕物腐朽化チップと泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣の温度を35℃の適正温度に保つために、温水を循環供給するためのガスボイラである。
このガスボイラ9は二次収納器6の出口側とタンク7の入口側とを結ぶパイプの途中から分岐させた位置に配置されており、このガスボイラ9からはパイプ9aが各サイロ1,1側に延び出させてあり、このパイプ9aから分岐するパイプ1f(図1において、点線で示す)によりガスボイラ9と各サイロ1,1とが互いに連通している。
ガスボイラ9に暖房用のボイラを用いると吐出温度が高過ぎるため、貯湯式ボイラを用いるのが好ましい。そして、このガスボイラ9の吸水口にリターンさせて循環させ得るようにシスターンポンプ(図示しない)を設置し、このボイラ9に吸水するのが望ましい。
ガスボイラ9を燃焼させるためのガス圧が一定でない場合があり得るので、圧力調整器9bを設けておき、ボイラの定格燃焼ガス圧力を保ち得るようにすれば、ガスボイラ9を安全運転させることができる。
このように、互いに関連する各機器1〜10を備えた本装置を用いることにより、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として再利用することにより、メタンガスを効率良く、しかも、大量に生成することができる。特に、ガスを採取すべく使用中のサイロ1内はこの装置に備えられているガスホルダ3により、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保たれているため、残渣中の微生物群が十分活動している状況下でメタンガスを発生させることができ、それを複数のタンク7,7に自動的に適正な圧力で順次充填することができる。
なお、図1において、図面符号11は本装置で生成されたメタンガスを利用して本装置内で必要とする電力を発生させ賄うための発電機であり、二次収納器6の出口側とタンク7の入口側とを結ぶパイプの途中から分岐させた位置に配置されている。また、図1において、図面符号12は本装置を利用して起こした電気を電力会社に売電するための受送電盤で、本装置を用いれば極めて効率良くメンガスを生成できて全てを消費し切れない可能性が高いので、その余剰電力を電力会社に利用してもらおうという趣旨である。本発電機12が余熱利用タイプのものであれば、前記ガスボイラ9は不要である。
本発明によるメタンガスを生産する装置の一例を示す全体の概要図である。
符号の説明
1…サイロ、2…脱硫器、3…ガスホルダ、3a…上限圧力スイッチ、3b…下限圧力スイッチ、4…加圧ポンプ、5…ミスト分離器、6…二次収納器、7…タンク、8…培養器、9…ガスボイラ、10…窒素ガスタンク。

Claims (9)

  1. 植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を粉砕して細かいチップの集合体とし、
    このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積し、
    この堆積物をサイロに入れ、水及び泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣を、爾後のメタンガス生成のための活性剤として加え、
    前記サイロ内容物をメタン醗酵に適した温度で嫌気的条件下で培養し、
    前記サイロからメタンガスを取り出すことを特徴とする、メタンガスを生産する方法。
  2. (a) 搬入口から搬入される生ゴミを、必要ならば、生ゴミを粉砕した後、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣と攪拌し、
    (b) この攪拌物を嫌気的条件下のサイロに入れ、このサイロ中に一定期間保持して生ゴミを分解させ、
    (c) 前記サイロ中で発生するメタンガスをサイロから取り出して収集し、
    (d) 空になったサイロは再び上記ステップ(b)のために用いるステップを含む、
    ことを特徴とする、メタンガスを生産する方法。
  3. 残渣から分離した液状分を種菌床として培養器に移し、再利用までの間微生物群をさらに増殖させることを特徴とする、請求項1又は2記載のメタンガスを生産する方法。
  4. 泥土又はヘドロとして、水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいるものを使用するか、あるいは、水をはったレンコン畑の中の泥土又はヘドロ、生活排水や温泉浴場の排水等によりある程度有機物を含む河川の水のよどんだ所の底にある泥土又はヘドロ、及び有機物を多く含んでいる湖沼の底の泥土又はヘドロからなる群から選択される泥土又はヘドロを使用することを特徴とする、請求項1又は2記載のメタンガスを生産する方法。
  5. 少なくとも、
    植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を粉砕して得られる細かいチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積した堆積物又は生ゴミと、泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣とを混合し、その混合物を気密状態で一定期間保持するために、複数設けられた嫌気性のサイロと、
    ガスを採取すべく使用中のサイロ内を、残渣中に含まれている微生物群が活動できる適正な圧力に保つためのガスホルダと、
    サイロ内で発生したメタンガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段と、
    を有することを特徴とする、メタンガスを生産する装置。
  6. ガスホルダ内のガス圧を上限圧力以下、下限圧力以上に保つとともに、サイロから取り出したメタンガスを使用中のサイロにフィードバックするための加圧ポンプを備えていることを特徴とする、請求項5記載のメタンガスを生産する装置。
  7. ガス生成後のサイロ内の残渣中に含まれる微生物群を、再利用までの間さらに増殖させるための培養器を備えていることを特徴とする、請求項5又は6記載のメタンガスを生産する装置。
  8. 複数のガス貯蔵手段に適正な圧力でメタンガスが順次充填されるようにするための二次収納器を備えていることを特徴とする、請求項5記載のメタンガスを生産する装置。
  9. 電気を生じさせるために、メタンガスを燃料電池のための原料に供給するステップを含む請求項1〜4のいずれかに記載のメタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法。
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