JP2006121957A - ドコサヘキサエン酸の脳蓄積性の高いリン脂質組成物 - Google Patents

ドコサヘキサエン酸の脳蓄積性の高いリン脂質組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ヒトをはじめ動物に対して、副作用が弱く、従来のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量かつ短時間で、ドコサヘキサエン酸を脳細胞に蓄積せしめやすい油脂含有組成物の提供。
【解決手段】 ホタテ由来のリン脂質組成物を有効成分として含有する、ドコサヘキサエン酸の脳蓄積性の高いリン脂質組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明はホタテの組織由来のリン脂質組成物を有効成分として含有するDHAの脳蓄積性の高いリン脂質組成物に関する。
最初の二重結合がメチル基末端(ω末端)から数えて3番目の炭素にあるω−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、動物の脳の大脳皮質シナプス膜や網膜の光受容膜などの神経関連組織に、リン脂質の形態で多く分布している。これらω−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、そのほとんどがドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略す場合がある。)であり、種々の哺乳類大脳、網膜におけるドコサヘキサエン酸の含量が、食餌にかかわらずほぼ一定であることから、脳や神経系との係わりが存在すると推測されている。
ヒト大脳中のドコサヘキサエン酸含量は、妊娠期間の最後の3ヵ月で3〜5倍に増加し、生後12週間にさらに3〜5倍に上昇する。一方、ドコサヘキサエン酸は網膜の桿体外節を構成するリン脂質中の脂肪酸の約35〜60質量%を占めている。ドコサヘキサエン酸と網膜機能の関係についてはラットやリーサス猿を用いた実験がなされており、ドコサヘキサエン酸をはじめとするω−3系脂肪酸の欠乏により、視力閾値の低下や網膜電位の低下が認められることが報告され(非特許文献1−Bourreら、J.Nutr.、第119巻、第1880頁、1989年)、ドコサヘキサエン酸が網膜機能と深くかかわっていることが示唆されている。
ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内でのドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で肝臓から供給されるようになることが示唆されている。その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁から、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認められている(非特許文献2「水産脂質−その特性と生理活性」恒星社厚生閣(1993))。
近年、ドコサヘキサエン酸に関する研究が進んでおり、様々な生理活性が報告されている。例えば、ドコサヘキサエン酸、またはその塩、アミド、エステル、リン脂質、トリグリセリド等の誘導体(特許文献1−特開平1−279827号公報)が公知であり、DHAまたはその誘導体はラットのY路迷路明暗弁別餌取実験で正反応率を向上させることが知られている。
また、Lucas らは、300名の未熟児の7〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳(ドコサヘキサエン酸を含む)を与えられた群は、ドコサヘキサエン酸を含まない人工乳を与えられた群より知能指数がおよそ10高いことを報告している(非特許文献3−ProcNatl Acad Sci USA 第89巻、第7840頁、1992年)。これらの研究から、ドコサヘキサエン酸はヒトに対しても学習能力や記憶保持に有効であるとみられている。特に、ヒトの発育、成長時に必須な成分と考えられ、最近、ドコサヘキサエン酸を強化した育児用調製粉乳等の製品が開発されている。
Soderberg らは、脳の中でも記憶に関与する海馬部位のリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を調べたところ、アルツハイマー病で死亡した人(平均80歳)のドコサヘキサエン酸は、他の疾患で死亡した人(平均79歳)の1/2量に減少していることを報告している(非特許文献4−ProcNatl Acad Sci USA 第89巻、第7836頁、1992年)。一方、老齢ラットにドコサヘキサエン酸を投与した結果、脳内ドコサヘキサエン酸含有量が高められた実験が報告されている(非特許文献5−IntNews Fats Oils Relat Mater 第1巻、第520頁、1990年)。
これらの報告から、ドコサヘキサエン酸が老化や痴呆症と係わっており、高年齢層の脳機能向上に役立つと考えられている。さらにまたドコサヘキサエン酸には、脳神経系機能の維持や向上の他、抗アレルギー作用、制癌作用、抗炎症作用や抗糖尿病作用(血糖値低下作用)等があることが知られている(非特許文献6−丸山一輝ら、New Food Industry 、第34巻、第49頁、1992年)。
そこで、ドコサヘキサエン酸を体外から補給するために、ドコサヘキサエン酸を含む魚を多く含む食品を意図的に摂取したり、ドコサヘキサエン酸を含む魚油や魚油濃縮物などを素材とする育児用調製粉乳、健康食品等が市販されている。しかし前記の所望の効果を得るためには、これらを多量かつ長期間にわたり摂取あるいは投与することが必要であった。
ドコサヘキサエン酸を含む素材としては、魚油が多く利用されている。魚油は主にイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、そしてマグロ眼窩油が用いられるが、これらの油脂の化学的構造を調べると、いずれもトリグリセリドの2位にエステル結合するドコサヘキサエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコサヘキサエン酸残基の総量の50モル%以上で、1位およびsn−3位よりも2位に結合するドコサヘキサエン酸残基が多いトリグリセリド構造をとっている。
一方、ドコサヘキサエン酸のような多価不飽和脂肪酸は反面、通常の例えば食用植物油脂の構成脂肪酸に比べて二重結合を分子内に数多く持つため酸化され易く、過剰に摂取すると体内に有害な作用をもたらすことも知られている。生体内で脂質の過酸化反応が進行すると、生体膜に障害を生じ、虚血性疾患、動脈硬化、白内障、癌、アルツハイマー病、膠原病、アミロイドーシス等の病変の原因となることが推測されている。
すなわち、少量で臓器への蓄積効果が高いドコサヘキサエン酸がより望ましいと言える。この課題を解決するため、特許文献2−特開平9−30963号公報では、トリグリセリド型の1位および3位にドコサヘキサエン酸残基を多く持つ油脂が有効としている。しかし、前述のように天然のトリグリセリドはドコサヘキサエン酸残基が2位に結合するものが主であり、1位、3位に結合するものは、人工的に酵素変換等の操作が必要である。
そのため、そのような操作なしに、より臓器への蓄積効果が高いドコサヘキサエン酸の供給が強く望まれていた。
特開平1−279827号公報 特開平9−30963号公報 Bourreら、J.Nutr. 、第119巻、第1880頁、1989年 「水産脂質−その特性と生理活性」恒星社厚生閣(1993) Proc Natl Acad Sci USA 第89巻、第7840頁、1992年 Proc Natl Acad Sci USA 第89巻、第7836頁、1992年 Int News Fats Oils Relat Mater 第1巻、第520頁、1990年 丸山 一輝ら、New Food Industry 、第34巻、第49頁、1992年
本発明は、ヒトをはじめ動物に対して、副作用が弱く、従来のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量かつ短時間で、ドコサヘキサエン酸を脳細胞に蓄積せしめやすい油脂含有組成物を提供することを目的する。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことにホタテ由来のドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸として持つリン脂質は、他のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量かつ短時間の使用で、ドコサヘキサエンサンの脳への蓄積性が高い見出し本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ホタテ由来のリン脂質組成物を有効成分として含有する、ドコサヘキサエン酸の脳蓄積性の高いリン脂質組成物。
(2)前記(1)記載のリン脂質組成物を添加した食品。
酵素処理などの繁雑な操作を行なわずに、ヒトをはじめ動物に対して、副作用が弱く、従来のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量かつ短時間で、ドコサヘキサエン酸を脳細胞に蓄積せしめやすい油脂含有組成物を提供出来る。
本発明でいうホタテ由来のリン脂質組成物とはホタテの組織から抽出したリン脂質組成物のことをいう。ホタテは日本最大の漁獲量を誇り、北海道ではホタテのウロは廃棄物として大量に廃棄されており、環境問題になっている。そのため、安価に大量に入手できる。ホタテのウロとはホタテ貝の貝柱以外の軟体部のことをいう。貝柱以外の軟体部としては、中腸線、生殖腺、ヒモなどがある。一般に中腸線のみを狭義のウロ、貝柱以外の軟体部全てで広義のウロというが、本発明では狭義のみでも広義のみでも、その混合物でも構わない。
ホタテのウロは、その構成成分としてグリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質やプラスマローゲン型リン脂質などを保持している。ホタテから抽出したりん脂質組成物はグリセロりん脂質が主成分であり、りん脂質組成はフォスファジルコリンが20〜60質量%、フォスファジルエタノールアミンが15〜45質量%、その他、フォスファジルセリンやフォスファジルイノシトールが1〜20質量%程度含まれる。また、プラスマローゲン型のりん脂質も1〜10質量%含まれる。また、リン脂質の構成成分である脂肪酸組成についても、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アラキドン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸など様々な脂肪酸が存在し、その脂肪酸組成も季節変動により若干の変化がある。通常、全脂肪組成中にドコサヘキサエン酸が15〜30質量%、エイコサペンタエン酸が10〜30質量%含まれる。つまり、その振れ幅はある一定の範囲に収まっており、特定の脂肪酸を濃縮するなどの精製操作は特に必要としない。その一方、抽出段階で特定のリン脂質のみを抽出しないように、出来るだけ、ホタテのウロの持つ全リン脂質を抽出することが好ましい。ホタテのウロから抽出したリン脂質組成物は混合物となるが、本発明は混合物のまま用いることが出来る。
ホタテのウロからリン脂質組成物を抽出するのは一般的な方法を用いればよい。例えば、特開平08−325192号広報のように原料を低温乾燥してから有機溶媒によって抽出する方法、特開2004−26767号広報のように原料の乾燥を行なわずに抽出する方法、特開平11−123052号広報のように酵素処理する方法などを用いれば良い。さらに抽出液からリン脂質組成物を濃縮する方法として、溶媒による分別、カラムによる分離などがあるが、操作の簡便性から溶媒による分別、特にアセトン沈殿法(山川民夫監修:生化学実験講座3、脂質の化学(日本生化学会編)p.19−20、1963、東京化学同人)を用いると良い。
ホタテ由来のリン脂質組成物をラットの餌に混ぜての経口投与することにより、DHAの速やかな脳への蓄積が見られる。リン脂質組成物は食経験のあるホタテのウロから抽出したものであり、生理学的に安全性は極めて高い。例えばラットによる急性毒性試験のLD50は2000mg/kg以上である。
脳への蓄積性は例えばマウスを用いて、DHA欠乏食で飼育してDHA欠乏マウスを作成し、その後、DHA含有飼料を与えて飼育し、その脳の脂肪組成中のDHA含量をGCで分析することにより知ることが出来る。当然、DHAを含む飼料で飼育すれば、臓器中の脂肪酸組成中にDHAの蓄積量は増えていくのだが、回復にはある程度の時間がかかり、素早く回復させるためには大量のDHAが必要となる。
一方、本発明のリン脂質組成物はは短時間かつ少量で、効率よく且つ選択的に脳のDHAの蓄積量を増やせることにその最大の効果がある。驚くべきことに投与量が少ない場合、同量のトリグリセリド型のDHAやDHAのエチルエステル、また、例えばイクラなどから抽出したリン脂質と比較して、ホタテ由来のリン脂質を用いた方がDHAの脳への蓄積速度が速い。しかし、1ヶ月以上の長期にわたりDHA含有飼料で飼育したり、もしくは2週間の短期間でも500mg/kg/dayを超えるような大量のDHAを摂取すれば、DHAの形態に関係なく脳内のDHA含有量は同レベルまで増加し、そのレベルで維持される。つまり、本発明で言う脳蓄積性が高いとは、DHAの脳含有量を最終的により高濃度にするという意味ではなく、DHA欠乏状態から素早く、具体的にはマウスに限れば、DHAとして80mg/kg/day以下の低摂取量で2週間以内に素早く脳のDHA含有量を増やすことのできることをいう。
ホタテのウロから抽出したリン脂質組成物は安全性が高い上に、脳機能改善作用を有する。本発明のリン脂質組成物は例えば散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ピル、液剤、アンプル剤、注射剤などの薬剤の形態だけではなく、一般食品に添加しての利用も可能である。
例えば、緑茶飲料、紅茶飲料、半発酵茶飲料(ウーロン茶など)、清涼飲料水、スポーツドリンク、野菜ジュース、ドリンク剤、アルコール飲料などのような飲料や、ゼリー状食品、サプリメント剤、パン、ラーメン、うどん、そば、プリン、ゼリー、ヨーグルト、スナック菓子、ケーキ、饅頭、羊羹、ういろう、おにぎり、ガム、キャンディー、キャラメル、アイスクリーム、ソフトクリーム、マヨネーズ、マーガリン、ソースなどに用いることが出来る。
また、本発明の成分は人体にとって極めて有用な成分であるため嚥下障害をもつ人のための流動食への添加や、宇宙食への添加など、脂質成分の栄養補助として加えることも出来る。
また、製剤化、食品化の手法においては、それぞれの形態の製造上許容しうる希釈剤などの他の成分が一つ、もしくは複数含まれる混合物として含有されても構わない。
他の成分としては、例えば、デンプンやセルロースのような賦形剤、ビタミンE、ビタミンC、カテキン、アスタキサンチンなどの抗酸化剤、増量剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、矯味剤、矯臭剤、香料、保存剤などが考えられるが、これらに限定されるものではない。また、ホタテのりん脂質にトリグリセライド型のDHAを混ぜることにより、トリグリセライド型DHAの脳蓄積性を向上させたリ、同様に他の由来のりん脂質を混ぜて使用することも可能である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の例によって何ら制限されるものではない。なお、実施例、比較例に記載した脂肪酸組成の分析手法は以下のとおりである。
[脂肪酸組成(DHA、EPA)] マウスを解剖して脳を取り出し、Bligh−Dyer法で全脂質を抽出した。抽出液の溶媒を留去し基準油脂分析試験法に準じてメチルエステル化してガスクロで分析した。また、DHAの値は各群10匹のマウスの平均値とし、有為さの判定にはt検定を用いて統計処理を行った。t検定とは量的なデータにおいて、2つの標本平均間の相違が母平均間においても相違として認められるかについて推測する方法である。
また、実施例に用いたホタテ由来のりん脂質は次のような方法で得た。ボイルしたホタテの広義ウロ25kgからヘキサンおよびエタノールを用いて脂溶性成分を抽出した後、溶媒を留去して抽出粗油410gを得た。その粗抽出油をヘキサン800mLに溶かし、50質量%アセトン水溶液1.6Lで有機相を洗浄した。有機相のヘキサンを留去し、その残留物を冷アセトン4Lで1回、0.3Lで2回の計3回洗浄して中性脂質を取り除き、洗浄された残留物より、残留アセトンを留去してホタテ由来のりん脂質組成物を2.6kgを得た。このように得られたりん脂質組成物のりん脂質含量は92質量%、DHA含量は全脂肪酸組成に対して20.4質量%であった。
比較例で用いたイクラ由来のりん脂質は、原料をホタテのウロの代わりにイクラを用いて同様の操作をおこなうことにより得た。りん脂質含量は90質量%、全脂肪酸組成に対するDHAの含量は25.2質量%であった。
[実施例1、比較例1]
各群10匹ずつのStd:ddy4週齢の雄マウスを、AIN−93組成に準じた10%の紅花油(高オレイン酸)を混合した飼料(DHA欠乏飼料)で5週間飼育した。その後、DHA欠乏飼料摂取群とホタテ由来のリン脂質組成物を含む飼料(DHAとして飼料中に0.125%含む。マウスの体重と餌の摂取量からおよそ150mg/kg/dayの摂取量)および、DHAエチルエステルを含む飼料(DHAとして飼料中に0.125%含む。)で、それぞれ2週間飼育した。そして脳の脂肪酸組成を分析した。
図1に示すように欠乏飼料で飼育を続けたマウスの脳のDHAが平均13.3質量%、標準偏差は0.43であるのに対して、ホタテ由来のリン脂質含有飼料で飼育したマウスの脳のDHAは平均15.4質量%、標準偏差は1.01であり有為に増加していた。(危険率pが0.5%、つまりp<0.005で有為さあり。)
一方、DHAエチルエステル(試薬、和光純薬)で飼育したマウスの脳のDHAの量は、平均では14.4質量%であるが、標準偏差が1.40と個体間のばらつきが大きく、統計処理を行ったところ、危険率5%でも欠乏飼料で飼育を続けたマウスの脳のDHA量に対して、有為差が見られなかった。
[実施例2、比較例2]
各群10匹ずつのStd:ddy4週齢の雄マウスを、AIN−93組成に準じた10%の紅花油(高オレイン酸)を混合した飼料(DHA欠乏飼料)で7週間飼育した。その後、DHA欠乏飼料摂取群とホタテ由来のリン脂質組成物を含む飼料(DHAとして飼料中に0.05%含む。マウスの体重と餌の摂取量からおよそ60mg/kg/dayの摂取量)および、イクラ由来のリン脂質組成物を含む飼料(DHAとして飼料中に0.05%含む。)で、それぞれ2週間飼育した。そして脳の脂肪酸組成を分析した。
図2に示すように欠乏飼料で飼育を続けたマウスの脳のDHAは平均11.6質量%、標準偏差は1.99なのに対して、ホタテ由来のリン脂質含有飼料で飼育したマウスの脳のDHAは平均14.4質量%、標準偏差は0.8であり有為に増加していた。(p<0.005で有為さ有り。)
一方、イクラ由来のリン脂質含有飼料で飼育したマウスの脳のDHAの量は、平均12.6質量%、標準偏差0.42であり、欠乏飼料で飼育を続けたマウスの脳のDHA量より危険率5%としたとき有為に増加していたものの、ホタテ由来に比べて蓄積量が少なかった。(p<0.01で有為さあり。)
本発明は、ヒトをはじめ動物に対して、副作用が弱く、従来のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量かつ短時間で、ドコサヘキサエン酸を脳細胞に蓄積せしめやすい油脂含有組成物を得ることが出来るので、健康食品や医薬品などの分野で好適に利用できる。
実施例1および比較例1におけるマウスの脳脂肪酸組成中のDHA含量の平均値および標準偏差を示すグラフ。 実施例2および比較例2におけるマウスの脳脂肪酸組成中のDHA含量の平均値および標準偏差を示すグラフ。

Claims (2)

  1. ホタテ由来のリン脂質組成物を有効成分として含有する、ドコサヘキサエン酸の脳蓄積性の高いリン脂質組成物。
  2. 請求項1記載のリン脂質組成物を添加した食品。
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