JP2006110419A - マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法 - Google Patents

マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006110419A
JP2006110419A JP2004298120A JP2004298120A JP2006110419A JP 2006110419 A JP2006110419 A JP 2006110419A JP 2004298120 A JP2004298120 A JP 2004298120A JP 2004298120 A JP2004298120 A JP 2004298120A JP 2006110419 A JP2006110419 A JP 2006110419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesia
catalyst
hydrogen
ruthenium
active metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004298120A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Ito
正浩 伊東
Kenichi Machida
憲一 町田
Atsushi Iwamoto
淳 岩本
Yoshio Kajita
義雄 梶田
Shigeki Muroga
茂樹 室賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2004298120A priority Critical patent/JP2006110419A/ja
Publication of JP2006110419A publication Critical patent/JP2006110419A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 ルテニウムを担持させたマグネシア触媒において、より温和な条件で高効率なアンモニアの合成を行える技術を提供する。
【解決手段】 水素と窒素とからアンモニアを合成する技術に利用される触媒層42として、ルテニウムを担持させたマグネシア触媒を用い、さらにこのマグネシア触媒の比表面積を300m/g以上とする。また、このようなマグネシア触媒の作製方法としてルテニウムカルボニルを原料としたゾルゲル法を採用し、さらにカルボニル成分を除去する加熱処理を真空雰囲気で行う。こうすることで、高比表面積のマグネシア触媒を得ることができ、温和な条件において高効率なアンモニアの合成を行うことができる。
【選択図】 図10

Description

本発明は、高比表面積を有するマグネシア系触媒に係り、特にルテニウムを担持させ、アンモニアの合成技術に利用するのに適した触媒材料に関する。また、本発明は、このマグネシウム触媒を用いた反応膜、この反応膜を用いたアンモニア製造装置、さらにこれら構成の作製方法に関する。
古典的なアンモニアの合成技術として、ハーバー法が知られている。ハーバー法は、窒素と水素とを原料とし、鉄系の3元触媒を用いてアンモニアを合成する方法である。ハーバー法においては、温度500℃前後、圧力20MPa程度の合成条件が必要とされる。
ハーバー法は、高温・高圧の合成条件を必要とするので、小規模な設備に利用することは困難である。例えば、ガソリンエンジンの排気ガス中にアンモニアを混合し、排気ガス中に含まれる窒素酸化物を分解する浄化技術が知られているが、ガソリンエンジンを搭載した乗用車に上記ハーバー法を利用したアンモニア製造装置を搭載することは、寸法や重量の点から見て困難である。
このような背景において、ハーバー法より温和な条件でアンモニアを合成する技術が必要とされている。ハーバー法より温和な条件でアンモニアを合成する方法としては、ルテニウム系触媒を用いた方法が知られている。
ルテニウム系触媒を用いた方法は、ハーバー法に比較してより温和な合成条件においてアンモニアの合成が可能となる。ルテニウム系触媒を用いたアンモニアの合成技術としては、マグネシアにルテニウムを担持させたものが知られている。
ルテニウム系触媒に関しては、例えば非特許文献1〜3、特許文献1に記載されている。非特許文献1には、ルテニウムを用いたオンサイト設置式のアンモニア製造装置について記載されている。非特許文献2には、マグネシアに含浸法によりルテニウムを担持させる技術について記載されている。非特許文献3には、ルテニウムを担持させたマグネシアをゾルゲル法によって作製する技術について記載されている。
また、マグネシアに関しては、非特許文献4および特許文献2に記載されている。なお、水素透過膜を用いることで、温和な条件でのアンモニアの製造を行う技術について特許文献3に記載されている。
例えば、非特許文献2に記載されている含浸法を用いる場合、まずマグネシアを用意し、そこに活性金属の前駆体を溶解した水溶液を含浸させ、次いで前駆体成分および溶媒を除去することで、マグネシアに活性金属を担持させる。
また、非特許文献3に記載されているゾルゲル法を用いる場合、活性金属が担持されたマグネシアが直接作製される。つまり、マグネシアを得た後に活性金属を担持させるのではなく、活性金属が担持された状態のマグネシアを直接得ることができる。なお、ゾルゲル法を用いた場合、不要な成分を除去するために、最終段階で加熱処理を施す必要があるが、非特許文献3には、この加熱処理を水素流通雰囲気下において行う点が記載されている。
なお、本発明者らの実測によれば、非特許文献2に記載されている製造方法で製造したマグネシア触媒(ルテニウム担持量:5重量%)の比表面積は109(m/g)であり、非特許文献3に記載されている製造方法で製造したマグネシア触媒(ルテニウム担持量:5重量%)の比表面積は90(m/g)であり、非特許文献4に記載されているマグネシアの比表面積は144(m/g)(カタログスペックは110(m/g)以上)であった。
ちなみに、特許文献3には、比表面積が80〜220m/gのマグネシア粒子に関して記載されているが、これは活性金属を担持させていない状態における値である。なお通常、多孔質構造の担体に活性金属を担持させた場合、担体にある細孔の一部を活性金属が埋めることになるので、担持状態における比表面積は、担持前の状態に比べて低下することが知られている。
NKKグループアラカルト、"オンサイト設置式小型アンモニア製造装置"、エヌケーケー総合設計(株)、「online」、[平成15年7月2日検索]、インターネット〈URL:http://www.jfe-holdings.co.jp/archives/nkk_360/No.47/group.html〉 [Preparation and Characterization of chlorine-free ruthenium catalysts and the promoter effect in ammonia synthesis.] K.Aika, T.Takano and S.Murata, JOURNAL OF CATALYSIS 136,126-140 (1992) [Ru/MgO sol-gel prepared catalysts for ammonia synthesis] P.Moggi, G.Predieri, and A. Maione, Catalysis Letters Vol. 79. Nos. 1-4, April 2002 「気相法高純度超微細粉単結晶マグネシア」吉本良夫、松本龍彦、新素材1992.4.p42 特開2003−267725号公報 特開2004−175644号公報 特開2000−247632号公報
しかしながら、上述した従来技術を利用した場合、満足できる触媒性能を得ることができなかった。この原因について検討した結果、以下に述べるような知見を得た。
まず、活性金属を担持させたマグネシア触媒を得る方法として、含浸法のように予め用意したマグネシアに活性金属を担持させる方法を採用した場合、元来マグネシアに存在している細孔を埋めるような形で活性金属が担持される。そのため、その担持量には限界がある。すなわち、細孔の量以上の活性金属を担持プロセス中に投入しても、マグネシアの表面に固定できる活性金属の量が限られるため、活性金属が流れ出てしまい、担持量を大きくすることができない。
さらに、高比表面積(目安として、BET100m/g以上)を有するマグネシアに含浸法を用いてルテニウムを担持する場合、その細孔量から通常、担持量は8〜9wt%あたりが限界となる。しかも、担持量をこの限界値程度とした場合、前駆体成分および溶媒成分を除去するための熱処理過程において、ルテニウム粒子の凝集が非常に顕著になり、ルテニウムの分散度が低下する。この結果、触媒活性が大きく低下する。また、このようなマグネシア触媒は、実際の使用中においても活性金属のシンタリングが著しい。
つまり、活性向上には、ルテニウム含有量の増加が効果的であるが、上記の理由により含浸法を用いた場合、活性物質の担持量は、担体の比表面積に依存してしまう。活性を向上させるには、担持材料中に多くの活性物質を均一かつ微細に分散させなくてはならない。
不均一触媒反応は、一般的に活性物質と担体の界面で起こっていると考えられている。ここで、含浸法により得たマグネシアの粒子を考えると、マグネシア表面でかつルテニウムに接触している部分は触媒反応に寄与しているものの、マグネシア担体の内部は触媒反応に寄与していない。このことは、触媒粉末の体積効率が低いといえる。
また、公知になっているゾルゲル法を用いてマグネシア触媒を作製する場合、ルテニウムがマグネシアに包まれてしまう現象、つまりルテニウムの表面がマグネシアに覆われてしまう現象が生じる。この結果、活性金属の分散度が低く、かつ比表面積が小さくなる。これは、表面に露出するルテニウムが少なく、気体原料の吸着効率が低く、反応が起き難いことを示している。
触媒を膜反応器の反応膜に使用する場合を考えると、粗大な触媒粒子を膜状に塗布した場合、膜と触媒の接触点(反応部)が少なくなるだけでなく、塗布した触媒自体も剥がれやすくなる問題がある。このように、従来の技術を用いたマグネシア触媒には、様々な問題点がある。
本発明は、このような従来技術における不都合に関する解析結果に基づくものである。すなわち、本発明は、より温和な条件において高効率なアンモニアの合成を行うことができるマグネシア触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、このマグネシア触媒を用いたアンモニアの製造技術を提供することをさらに他の目的とする。
本発明のマグネシア触媒は、多孔質構造を有するマグネシア材料と、このマグネシア材料に担持された活性金属の粒子とを含み、BET法によって測定される比表面積が300m/g以上であることを特徴とする。
後述するように、ゾルゲル法によるルテニウムマグネシア触媒においては、BET法によって測定される比表面積が300m/g以上である場合に、触媒効率が劇的に向上するが実験的に判明している。本発明は、この知見に基づくものである。
すなわち、図1に端的に示されているように、ルテニウムを担持したマグネシウム触媒は、比表面積が200m/g以下では、アンモニア(NH)の合成能力がほとんどない。しかしながら、比表面積が300m/gに近くなると、アンモニアの合成量は劇的に増加し、特に比表面積が300m/g以上になると、1000μmol/h・gを超える合成量を得ることができる。
つまり、マグネシア触媒の比表面積が300m/gに満たない場合、ルテニウムの表面がマグネシアによって覆われるため、マグネシア触媒の触媒機能は十分に発揮されないが、その比表面積が300m/gを超えると、顕著にその作用が現れる。
図1に示すような、現象が見られるのは、マグネシア触媒の比表面積が300m/gを超えたあたりから、マグネシアに覆われていた状態のルテニウム粒子が、その表面を露出する割合が顕著になり、そのために活性効率が劇的に高くなるからである。
このことから、活性金属(特にルテニウム)を担持させたマグネシア触媒において、高い触媒効率を得るには、その比表面積を300m/g以上に設定することが有効であることが結論される。なお、得られる比表面積の最大値は、400m/g程度である。
なお、アンモニアの合成量は、マグネシア触媒1gが1時間に生成するアンモニアの量(単位:μmol)として定義される。
ここでいう比表面積というのは、多孔質材料の実質的な表面積を評価する指標であり、1g当たりの物質における表面積の値のことをいう。より微細な多孔質構造を有する材料は、比表面積が大きくなる。また、より粒の細かい粒子状の材質は、比表面積が大きくなる。なお、本明細書における比表面積は、BET法によって評価された値である。
BET法は、粉体粒子の表面に吸着占有面積が予め判明している分子を液体窒素の温度で吸着させ、その吸着量から試料の比表面積を求める方法である。
また、図2から明らかなように、担持させた活性金属の金属分散度に対して、アンモニア合成量は特徴的な依存性を示す。すなわち、マグネシア触媒に担持された活性金属(この場合は、ルテニウム)の金属分散度が0〜5の範囲において、アンモニアの合成量が鋭い上昇曲線を示し、金属分散度が5を超えると、アンモニアの合成量の増加率は飽和する傾向を示す。
このことから、本発明のマグネシア触媒の触媒効率を効果的に発揮させるには、金属分散度の値として5以上を目安とすればよいことが結論される。
なお、金属分散度を20程度以上としても、触媒効率の向上はほとんど見込めない。したがって、実用的な金属分散度の上限は、20〜25程度となる。
金属分散度は、触媒材料中における活性物質表面の割合を評価するパラメータとして把握される。例えば、金属分散度が大きい程、触媒中の活性金属粒子の露出割合が大きいことを意味する。本発明の活性金属を担持したマグネシア触媒においては、マグネシアと活性金属とが作用して、窒素分子を解離吸着するといった触媒機能を発現するので、金属分散度が大きければ大きいほど良い。金属分散度の具体的な算出方法については後述する。
本発明のマグネシア触媒において、活性金属粒子はマグネシア材料と一体化され、その一部がマグネシア材料に埋没した構造を有することは好ましい。この構造は、マグネシア材料中に活性金属の粒子が分散した構造を有し、またこの分散した活性金属の粒子がマグネシア材料に埋没しつつ一部分がマグネシア材料の表面から露出した状態を備えている。また、細孔を埋める形で活性金属が担持された構造でないので、細孔構造が損なわれず、大きな比表面積を確保できる。
また、活性金属がマグネシア材料中に埋没した状態が分散しているので、触媒として機能させた段階において、活性金属粒子同士が焼結作用により結合し、分散状態が損なわれる現象(シンタリング)が発生し難い。このため、活性金属粒子を高分散状態のまま維持させ、触媒効率が低下することを抑制することができる。
本発明のマグネシア触媒において、活性金属としてルテニウムが選択されることは好ましい。後述するように活性金属としてルテニウムを採用した場合、アンモニア合成において顕著な効果を得ることが確かめられている。
本発明のマグネシア触媒は、平均粒径が5nm以下を有することは好ましい。後述するようにゾルゲル法を用いた場合、活性金属を担持させたマグネシア触媒を非常に細かい粒子状にすることができる。これにより、比表面積を稼ぎ、それにより埋没した活性金属粒子の露出割合および露出点密度を大きくすることができ、温和な反応条件においても高い触媒効率を得ることができる。
なお、上述したマグネシア触媒の粒径の下限は、計測限界以下に及んでいるが、およそ0.5nm程度である。なお、再現性が高く、さらに高活性が得られるマグネシア触媒の粒径の値は、平均粒径で考えておよそ1〜3nm、より好ましくは2nm±20%程度の範囲である。
本発明のマグネシア触媒において、他の金属成分をさらに担持させることは好ましい。本発明のマグネシア触媒は、大きな比表面積を確保することができるので、それ自体を基材として、さらに他の活性金属を2次的に担持させることができる。この場合、含浸法により担持を行えばよい。この方法によれば、例えばルテニウムと他の活性金属触媒とを担持させた2元系触媒材料を得ることができる。また、2次的に担持させる活性金属粒子として2種類以上のものを用い、3元系、さらには4元系の触媒材料を得ることもできる。
本発明のマグネシア触媒を利用して、反応膜を構成することは好ましい。すなわち、水素透過膜と、この水素透過膜の一方の面上の触媒層とを備え、この触媒層は、上述したマグネシア触媒を含む態様とすることは好ましい。
水素透過膜は、金属水素化物を構成材料とするものが好ましい。金属水素化物は、パラジウムに代表される水素を吸蔵する性質を有する金属材料のことをいう。金属水素化物は、水素を原子状態で吸蔵する性質を有する。この性質により、水素透過膜は、一方の面から水素を原子状水素として吸収し、膜厚方向における濃度差を駆動力として、他方の面から原子状の水素を放出する。この性質を利用することで、水素透過膜を原子状水素の供給手段として利用することができる。
この態様によれば、本発明のマグネシア触媒の高い触媒効率を利用した反応膜を得ることができる。例えば、この反応膜には、水素透過膜側に水素が供給され、触媒層側に窒素が供給される。この場合、触媒層において窒素が解離吸着し、原子状窒素が得られ、この原子状窒素と水素透過膜を透過してきた原子状水素とが反応し、アンモニア(NH)を合成することができる。
なお、水素透過膜は、水素のみを透過させる分離能力も有しているので、水素透過膜側に流す気体は、水素を含有していればよい。
この場合、窒素を解離吸着する触媒効率が高いので、温和な条件において、高いアンモニア合成効率を得ることができる。また、この構成では、水素透過膜を用いることで、原子状の水素を触媒材料に直接供給することができるので、触媒材料上での水素を解離吸着するエネルギー負担を軽減することができる。
本発明のような、微細な触媒を膜反応器の反応膜に使用する場合には、粗大な触媒粒子を塗布する場合に比べて、膜と触媒との接触点(反応部)が多くなり、反応効率が上がるだけではなく、塗布した触媒自体も剥がれにくくなり、耐久性が向上する。
本発明を利用して、アンモニア製造装置を構成することは好ましい。すなわち、水素透過膜と、この水素透過膜の一方の面上の触媒層と、前記水素透過膜に水素を供給する水素供給手段と、前記触媒層に窒素を供給する窒素供給手段とを備え、前記触媒層は、上述した本発明のマグネシア触媒を用いて構成することは好ましい。
本発明のマグネシア触媒は、ゾルゲル法を用いることで作製することができる。すなわち、本発明のゾルゲル法を用いたマグネシア触媒の作製方法は、マグネシアの出発材料となる溶液に対して、この溶液がゲル化する以前の段階において、金属カルボニルを含む溶液を加える第1の工程と、この第1の工程において得られた混合溶液から固体成分を得る工程と、前記固体成分からカルボニル成分を除去する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、マグネシア材料の最終状態を得る段階において、同時に活性金属が担持された状態が得られる。この方法によれば、マグネシアの前駆体となる溶液に活性金属の前駆体となる金属カルボニルを溶解させた溶液を加え、その後ゲル化させ、乾燥させることにより固体を得、さらに加熱処理することでカルボニル成分を分解し除去する。このカルボニル成分の除去工程において、多孔質化が進行し、高比表面積を確保することができる。
また、このゾルゲル法を用いたマグネシア触媒の作製方法においては、活性金属粒子を微細かつ均一に分散させてマグネシア材料に担持させることができ、さらに高比表面積を確保することができるので、金属分散度が5程度でも高い触媒機能を得ることができる。
すなわち、触媒反応は、一般的に担体と活性種の接点で起こると考えられているが、本発明においては、担体(マグネシア)を小さくすることで、反応に寄与しない担体部分を減少させ、それにより上記接点を増加させることができる。そのため、金属分散度が小さくても反応効率を高くすることができる。
以上述べたゾルゲル法を用いて作製した本発明のマグネシア触媒の優位性は、含浸法を用いてマグネシア触媒を作製する場合と比較することで、より明確になる。
すなわち、含浸法を用いてマグネシア触媒に活性金属を担持させる場合、予め用意したマグネシア材料の表面に活性金属を付着させることで担持が行われる。このため、大きな比表面積のマグネシア材料を用意しても、元来存在しているマグネシア材料表面の細孔が活性金属粒子によって埋まる状態となる。このため、最終的に得られるマグネシア触媒の比表面積を大きく確保することが困難となる。
これに対して、ゾルゲル法を用いたマグネシア触媒の作製方法においては、ゲル化前の段階、すなわち固体化する前の段階において、活性金属の出発材料を加えることができる。そのため、活性金属とマグネシア材料とが一体化した状態のマグネシア触媒を直接得ることができる。つまり、ゾルゲル法を用いた場合、マグネシア材料を得、そこに活性金属を担持させる2段階を経るのではなく、マグネシア材料中に活性金属の粒子が分散し、その分散した活性金属の粒子がマグネシア材料に埋没した状態で、さらにその一部がマグネシア材料の表面から露出した状態を一挙に得ることができる。
このような担持構造は、マグネシア材料に後から担持を行うのでないから、比表面積を大きくできることと相まって、比表面積を大きくした時に、活性金属の露出密度が大きくなり、活性点が増加し、触媒効率を大きくすることができる。さらにこの担持構造は、マグネシア材料中に活性金属が埋没した状態を有しているので、触媒として使用する際に高温状態に長時間維持しても、活性金属の焼結現象(シンタリング)が発生し難く、触媒機能の低下が抑えられる。
本発明のマグネシア触媒の作製方法において、マグネシアの出発材料となる溶液は、マグネシウムエトキシド、水およびエタノールを含むものが好ましい。また、金属カルボニルを含む溶液は、金属カルボニルの脱水有機溶剤(低沸点のもの)、特にTHF(テトラヒドロフラン)溶液であることは好ましい。また、この金属カルボニルとしては、ルテニウムカルボニルを用いることが好ましい。
また、上記カルボニル成分を除去する工程を、非水素存在雰囲気において、最高到達温度が300〜450℃の加熱により行うことは好ましい。
カルボニル成分の除去は、加熱処理により行われるのであるが、この加熱処理時の雰囲気を非水素存在雰囲気とすることで、水酸化マグネシウムとCOとの反応により水素が発生する反応が妨げられることがなくなる。この水素が発生する反応と金属カルボニルの分解反応とが同時に進行することで、マグネシアの生成を促進すると共に高比表面積化を効果的に進行させることができる。
ゲルを蒸発乾固した水酸化マグネシウムは、実際には水酸基のない部分もあり、不均一構造となっている。この水酸化マグネシウムとマグネシアの不均一構造体を水素雰囲気中において450℃で焼成すると、244cm/g程度の比表面積となる。
これに対して、上述した非水素存在雰囲気における加熱過程では、後述するようにカルボニル成分から脱離したCOとマグネシウムについている水酸基とが反応して、マグネシアが生成される反応が促進される。このため反応に不均一要因が生まれ、マグネシア結晶の粗大化が妨げられる。そのため、300cm/g以上の比表面積を得ることができる。
また、金属カルボニル添加量が少ない場合、金属カルボニル自体がマグネシア成分や水酸化マグネシウム成分に包まれてしまうため、COの脱離が進まない。その結果、多孔質化が進行せず、比表面積の値が小さくなる。
例えば、ルテニウムカルボニルの添加量を1wt%とした場合、得られるマグネシア触媒の比表面積は164m/gと、ルテニウムカルボニルを添加しない場合に比較して、表面積は低下する。この状態では、ルテニウムの金属分散度も低く、活性効率も低い。これは、ルテニウムがマグネシア成分や水酸化マグネシウム成分に包まれた状態にあり、そのためマグネシア触媒の粒子が粗大になったためであると考えられる。
しかしながら、ルテニウムカルボニルの添加量を3wt%とすると、300m/g以上の高比表面積化を図ることができる。これは、ルテニウムカルボニルの露出割合がある程度高くなり、カルボニル成分の除去が進行し易く、そのためCOと水酸化マグネシウムの反応が進み、マグネシア触媒粒子の多孔質化と微粒化が効果的に進行するためであると考えられる。
また、カルボニル成分の分解、および水酸化マグネシウムの分解は、概略300℃を下回る温度で進行するので、加熱時の到達温度が300℃に至らない場合、カルボニル成分の分解、および水酸化マグネシウムの分解を十分に行えない。そのため、比表面積を大きくすることができない。また、450℃を超える温度で加熱すると、比表面積の低下が顕著になる。したがって、カルボニル成分を除去するための加熱は、最高到達温度を300〜450℃の範囲で行うことが好ましい。
ここで、非水素存在雰囲気というのは、水素が混入しないように意図的に水素を排除した雰囲気のことをいう。好ましい非水素存在雰囲気としては、0.1原子%以下に水素濃度が低減された雰囲気を挙げることができる。
非水素含有雰囲気のより好ましい態様として、真空雰囲気(あるいは減圧雰囲気)を挙げることができる。すなわち、カルボニル成分を除去する工程として、真空雰囲気中における300〜450℃の加熱を行うことは好ましい。真空雰囲気としては、10−1Torr以下の圧力雰囲気とすることが好ましい。
また、真空雰囲気とした場合、CO成分その他の気化成分の気化が促進されるので、後述する反応をより効果的に行うことができる。このため、300m/g以上の高比表面積を得る場合、真空雰囲気を採用することが効果的となる。
以下、水素を含まない雰囲気中の加熱処理の優位性について、一例を挙げて詳細に説明する。まず一般論として、マグネシウムエトキシドの加水分解を考えた場合における概略の反応について説明する。この加水分解反応は、下記化学式「化1」および「化2」によって表される。
Figure 2006110419
Figure 2006110419
また、「化1」と「化2」の反応は、まとめて下記「化3」のように表すことができる。
Figure 2006110419
そして、加水分解によって得られた水酸化マグネシウムは、下記「化4」によって示される水酸化マグネシウムのゲルの縮合反応により、マグネシアと水分に分解される。
Figure 2006110419
なお、この「化4」によって示される縮合反応においては、水酸化マグネシウムの結晶からマグネシア成分の結晶化が促進されるので、粗大化が避けられず、高比表面積を得る観点からは好ましくない反応となる。
本発明を利用した場合、上記反応に金属カルボニルが関係し、以下に説明する反応が行われる。ここでは、金属カルボニルとしてRu(CO)12を用いる場合を例に挙げて説明する。
金属カルボニルとしてRu(CO)12を用いた場合、マグネシア触媒を得る過程の中間状態、つまりゲル化したものを乾燥させた状態において、中間生成物として、Ru(CO)12/Mg(OH)が得られる。
この中間生成物を真空雰囲気中において加熱処理した際における脱離成分を質量分析計により調べたところ、以下の知見が得られた。
図5には、5重量%のRu(CO)12を含んだRu(CO)12/Mg(OH)中間体を10℃/分の速度で加熱していった場合における脱離ガスの検出量(相対値)が示されている。
図5に示されるように、まず100℃程度までにHO(水分)が脱離し、その後、さらにHOが発生する。ここで、最初のHOの脱離は、粉体表面に吸着している水分の脱離であり、その後のHOの脱離は、水酸化マグネシウムゲルの縮合反応に起因するものであると考えられる。
また、100℃〜400℃にかけてCOが発生する。また、この温度範囲において、CO以外にHとCOが発生する。
ここで、COは、カルボニル成分の分解に伴って発生すると考えられる。また、HとCOは、下記「化5」によって表されるCOとHOとの反応、および下記「化6」によって表されるCOと水酸化マグネシウム(Mg(OH))との反応に起因するものと考えられる。
Figure 2006110419
Figure 2006110419
ここで、何らかの触媒反応を利用しない場合、「化5」の反応確率は、300℃の温条件下ではそれ程高くない。したがって、図5に示されるような、HとCOが発生する反応は、主に「化6」に示す反応に依存しているといえる。
ここで、「化6」の反応が存在することは、「化4」の縮合反応とは別に水酸化マグネシウムからマグネシアが生成される反応が起こることを意味している。つまり、「化6」の反応が行われることで、ゲルの縮合反応によらないマグネシアの生成が行われる。
この「化6」の反応は、縮合反応のように粗大化を伴わない、あるいはその傾向が少ない。そのため、高比表面積化に寄与する反応となる。したがって、「化6」の反応を阻害しないようにすることが、マグネシア触媒の高比表面積化を図る上で重要となる。
例えば、水素雰囲気中において加熱を行った場合、「化6」の反応は抑制される。この結果、高比表面積を確保は困難となる。なぜなら、「化6」の反応は、固体表面における反応により水素を生成するものであり、雰囲気中に水素が存在すると、その反応が抑えられるからである。
すなわち、「化6」の反応は、カルボニル成分の分解に起因するCO成分と、固相中の水酸化マグネシウム成分(Mg(OH))とが、固体表面において反応し、気化成分としてCOおよびHを生成する反応である。したがって、雰囲気中に水素(H)が存在すると、この反応の効率が低下してしまう。そしてこの傾向は、雰囲気中の水素濃度が高い程顕著になる。
これに対して、本発明においては、水素を意図的に排除した雰囲気で加熱を行う。こうすると、雰囲気中に水素が存在しないので、上述した「化6」の反応が阻害される現象が抑制され、「化6」の反応がより効果的に行われる。このため、粗大化を伴わないマグネシアの生成が行われ、300m/g以上の高比表面積を有するマグネシア触媒の生成を行うことができる。
本発明のマグネシア触媒の作製方法において、含浸法により他の金属成分を担持する工程をさらに含んでも良い。
また、本発明のマグネシア触媒の作製方法を用いて、マグネシア触媒を用いた反応膜を作製してもよい。すなわち、反応膜の作製方法として、上述した方法を用いてマグネシア触媒を作製する工程と、水素透過膜上に前記マグネシア触媒を含む触媒層を形成する工程とを含む、構成を採用してもよい。
本発明によれば、より温和な条件において高効率なアンモニアの合成を行うことができるマグネシア触媒を提供することができる。また本発明によれば、より温和な条件においてアンモニアを合成することができるアンモニアの製造技術を提供することができる。
1.第1の実施形態
第1の実施形態は、ルテニウムを担持させたマグネシア触媒の作製方法の一例である。ここでは、ゾルゲル法を用いて、ルテニウムを担持させたマグネシア触媒を得る具体例を説明する。
まず、粉砕したMg(OEt)(マグネシウムエトキシド)を用意し、これをエタノールと、加水分解のための脱イオン水とを混合したものに溶解させ、混合溶液1を作った。そして、この混合溶液1を343Kの温度に保ちながら攪拌を行い、この攪拌を2時間行った。その後、この混合溶液1に、ゲル化を促進させるための28%アンモニア水を加え、さらに温度を343Kに保った状態において、1時間の攪拌を行った。そして攪拌の終了後、室温(298K)になるまで自然冷却させた。
また、ルテニウムカルボニル(Ru(CO)12)をTHF(テトラヒドロフラン)溶液に溶解させた溶液を作製した。そして、この溶液を上記自然冷却した後の混合溶液1に加え、混合溶液2を得た。そして、この混合溶液2をゲル化するまで攪拌した。
混合溶液2のゲル化が十分に進行したら、ロータリーエバポレータ(Rotary Evaporator)を用いて混合溶液中の液分を蒸発させ、さらに一晩乾燥させて灰色の粉末を得た。
次に、この灰色の粉末をフラスコに移し、10−1Torr以下の真空雰囲気中(減圧雰囲気中)において、室温(298K)から673Kの温度に等速度(10℃/min)で昇温させる加熱を行い、さらに加熱の終了後、室温になるまで自然冷却を行った。
この真空雰囲気中における加熱処理によって、カルボニル成分が分解し、さらに水酸化マグネシウムの縮合反応によらないマグネシアの生成が進行する。こうして、ルテニウムを担持したマグネシウム触媒を得た。
この態様においては、ゲル化させる混合溶液中におけるルテニウムカルボニルの濃度を調整することで、最終的なルテニウムの担持量を制御することができる。また、得られるマグネシア触媒の比表面積は、後述するように、カルボニル成分を除去する加熱工程における到達温度を調整することで制御することができる。
(実施形態1のアンモニア合成触媒としての性能について)
次に、得られたマグネシア触媒を用いて後述するアンモニア合成機能を有する反応膜を作製し、そのアンモニア合成機能を調べた結果について説明する。
図1は、使用したマグネシア触媒の比表面積(BET法による計測値)を横軸とし、アンモニア(NH)の合成量を縦軸としたデータプロット図である。ここで、比表面積の単位は、マグネシア触媒1gが有する比表面積(m)であり、アンモニアの合成量は、マグネシア触媒1gが1時間に生成するアンモニアの量(単位:μmol)である。
なお、図1は、粉末状態のマグネシア触媒に関する測定データである。また、このマグネシア触媒は、上記製造方法における真空雰囲気中における加熱処理の到達温度を623K(350℃)とした場合の試料である。
なお、アンモニアの合成量は、得られたアンモニアを希硫酸にバブリングすることで捕集し、この希硫酸のpHの相対的な値の違いから算出した。
図1に示されるように、比表面積を300m/g以上とすることで、アンモニアの合成量として1000μmol/h・g以上を確保することができる。
より詳細に見ると、比表面積が200m/g程度以下である場合、ほとんどアンモニアの合成量能力は見られない。そして、300m/gに近い範囲において、アンモニアの合成量曲線が急激に立ち上がり、300m/gにおいて、1000μmol/h・g以上のアンモニアを合成する能力を得ることができる。
実用性を考えた場合、アンモニアの合成能力としては、1000μmol/h・g以上あることか望まれる。このことと、マグネシア触媒の比表面積が300m/gに近くなった付近から急激にアンモニア合成量が増加する点を考え合わせると、マグネシア触媒の比表面積として300m/g以上の値が確保されていることが好ましいといえる。
図2は、得られたマグネシア触媒(粉末状態)の金属分散度(ルテニウム金属粒子の分散度)とアンモニア合成量との関係を示すデータプロット図である。ここで、金属分散度の値は、ルテニウムカルボニルの添加量を調整することで制御した。なお、本発明における金属分散度の制御は、ゾルゲル法による製造過程における金属カルボニルの添加量を調整することで実行することができる。
図2から分かるように、金属分散度が概略5を超えるとアンモニア合成量は飽和傾向を示す。また、アンモニア合成量は、概略1000μmol/h・gを超えた段階で飽和傾向を示し、それ以上の範囲における金属分散度の増加割合に対するアンモニア合成量の上昇は緩やかなものとなる。これらのことから、金属分散度として5以上を確保すれば、アンモニア合成能力は十分に発揮されることが分かる。
ここで、金属分散度は、Hパルス吸着法を用いて行った。具体的には、ガス吸着量測定装置である「大倉理研社製:製品名「R6015」」を利用して、以下の計測を行った。
まず0.1gの試料を用意し、それを水素流通雰囲気中において150℃、3時間の条件で前処理した。この前処理後、流通ガスを常温のアルゴンガスに代え、室温にまで温度降下させた。
試料の温度が室温レベルで安定したら、1パルス(0.1655ml)の水素ガスを試料に流し、吸着した水素を測定した。ここで、ルテニウム上で水素分子は水素原子として解離吸着し、さらに水素原子がルテニウム上に1:1の化学量論的な吸着を行うと仮定し、下記「数1」から分散度(D)を算出した。
Figure 2006110419
次にルテニウムの担持量とアンモニア合成量との関係について説明する。図3は、後述するアンモニア合成装置の触媒として、本実施形態のマグネシア触媒を利用した場合におけるアンモニア合成温度(合成反応時の加熱温度)とアンモニア合成量との関係を示すグラフである。図3には、ルテニウムの担持量を3wt%、5wt%および8wt%とした場合のデータが記載されている。なお、ルテニウムの担持量(wt%)は、マグネシウム触媒全体に対するルテニウムの担持割合を重量%で表したものである。なお、図3のデータは、常圧(大気圧)における反応において得られたデータである。
図3に示されるように、反応温度を高くした方がアンモニアの合成量は大きく、またルテニウムの担持量を大きくした方がアンモニアの合成量は大きくなる。
また、本実施形態の作製方法によって得られた粉末状態のマグネシア触媒に、直接高純度水素ガスと高純度窒素ガスを流し、常圧、400℃の反応条件でアンモニア合成反応を行った場合のデータを下記表1に示す。
Figure 2006110419
表1を見れば分かるように、ルテニウム担持量が1wt%では、ほとんどアンモニア合成能力は無いが、3wt%になると、劇的にアンモニア合成量が立ち上がる。また、アンモニア合成能力は、ルテニウム担持量が8wt%程度で最大となり、10wt%になるとやや低下する。このことから、ルテニウムの担持量は、3wt%〜10wt%程度の範囲が適当であり、より好ましくは8wt%程度とすることがより効果的であるといえる。
なお、ルテニウムの担持量を10wt%以上にすることもできる。しかしながら、上記データから明らかなように、ルテニウムの担持量を10wt%以上にしても、触媒効率は低下傾向を示し、また貴金属であるルテニウムのコストを考慮すると、ルテニウムの担持量を10wt%以上にすることは、経済的とはいえない。
(加熱処理について)
次にカルボニル成分を除去するための加熱処理時における加熱温度(脱カルボニル温度)と、得られるマグネシア触媒の比表面積との関係について説明する。
図4は、加熱温度(到達最高温度)と、得られたマグネシア触媒(粉末)の比表面積との関係を示すグラフである。図4に示されるように、加熱温度が400℃以上になると、得られるマグネシア触媒の比表面積が減少する傾向が見られる。
図4からは、加熱温度が450℃超えると、比表面積の減少割合が大きくなる傾向が読み取れる。したがって、加熱温度の上限は、450℃程度とすることが好ましい。なお、加熱温度を450℃とした場合の比表面積は略300m/gである。したがって、図1に示されるデータとの整合性の点からも、加熱温度の最高温度を450℃程度とすることは好ましい。
なお、図4に示される現象を利用することで、マグネシア触媒の比表面積の値を制御することができる。すなわち、加熱処理時の最高到達温度を設定することで、比表面積の値を制御することができる。
図5は、Ru(CO)12/Mg(OH)をTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)測定した結果を示すグラフである。Ru(CO)12/Mg(OH)は、金属カルボニルとしてRu(CO)12を用い、ゲル化したものを乾燥させた状態において得られる中間生成物である。
TDS測定は、昇温脱離スペクトル分析ともよばれもので、試料の加熱温度を変化させていった際の脱離ガスを検出し、加熱温度、脱離ガスの種類、および脱離ガスの脱離量を計測し、それらの間の関係を調べる測定手法である。
図5に示すデータは、Ru(CO)12を5重量%含んだMg(OH)中間体を試料としてTDS測定を行った場合のデータである。図5の縦軸は、この試料を真空中において10℃/分の速度で加熱していった場合における脱離ガスの検出出力(検出センサの出力)の値である。なお、測定装置は、電子科学社製(商品名:TDS−MS WA1000S/W)を用いた。
図5に示されるように、200℃〜300℃の間に各脱離ガスのピークが存在する。そして、300℃以上では、脱離ガスは少なくなり、温度上昇と共に、その検出値は緩やかに減少してゆく。また、図5には、300℃付近でガスの脱離が一段落した状態が示されている。
図5に示される脱離ガス検出値の振る舞いは、300℃付近が変曲点となっており、この温度付近において、ガス脱離の要因となる反応が沈静化することを示している。つまり、300℃付近の温度に達した段階でカルボニル成分の除去、さらに水酸化マグネシウムからマグネシアへの変性が概ね完了することを意味している。
これは見方を変えると、300℃を超える温度に加熱しても、カルボニル成分の除去効果、さらに水酸化マグネシウムのマグネシアへの変性効果が、それ程効果的には得られない、つまり飽和傾向にある、と捉えることもできる。
この知見と図4のデータから読み取れる知見とを総合的に判断すると、比表面積を確保する観点から見て、カルボニル成分を除去するために行う加熱処理の最高到達温度は、300〜450℃程度とすることが適当であると判断される。
つまり、300℃を下回る温度では、カルボニル成分の分解や水酸化マグネシウムの分解が十分に行われず、450℃を超える温度では、比表面積の低下が顕在化する。したがって、300℃〜450℃程度の範囲を目安に、到達温度を設定した加熱処理を加えることが、大きな比表面積の確保を目的とした場合に適当となる。
(比較例)
ルテニウムの供給源として、ルテニウムアセトナト(Ru[CHCOCH=C(O)CH)を用いた場合の比較例を説明する。
この場合、本実施形態と同様な条件でマグネシア触媒を作製しても得られたマグネシア触媒の比表面積は、200m/g程度であった。これは、真空雰囲気中における加熱処理過程において、脱離するCOが少ないためであると考えられる。
すなわち、ルテニウムアセトナトを用いた場合、加熱処理時に脱離するCOが少なく、さらにこれに関係して前述した「化6」の反応が起こり難いため、高表面積化が進行しないものと考えられる。
以下、この点について測定データに基づいて詳細に説明する。まず、本比較例で得たマグネシア触媒を遠赤外線吸収法により分析したところ、カーボン成分が多く残留していることが判明した。下記表2に分析結果を示す。
Figure 2006110419
表2からは、ルテニウムアセトナトを使用した場合、ルテニウムカルボニルを使用した場合やルテニウムを担持させなかった場合に比較して、約10倍以上の残留炭素が存在していることが分かる。このことから、ルテニウムアセトナトを利用した場合、加熱処理過程におけるCO成分の脱離が極めて低調で、錯体成分が分解されずに残留していることが推測される。
本発明は、錯体成分の分解によって、多孔質化の促進と、ゲル縮合反応によらない水酸化マグネシウムのマグネシアへの変質化とを促進させ、それにより高比表面積のマグネシア触媒を得る点を特徴としている。したがって、錯体成分の分解が不十分である場合、多孔質化は促進されず、さらに縮合反応によらない水酸化マグネシウムのマグネシアへの変質も促進されない。そのため、比表面積を大きくすることが困難となる。
この比較例に関する知見から、マグネシアに担持させる活性金属の導入方法として、金属カルボニルを用いることが、高比表面積を有するマグネシア触媒を得る上で優位であることが分かる。
(比表面積について)
上述したように、本実施形態で得られたマグネシア触媒は、大きな比表面積を有している。しかしながら、BET法で測定した比表面積は、残留カーボンや炭酸塩の存在によっても大きな値が計測される場合がある。そこでこの点に関する懸念について検証した結果について説明する。
残留カーボンについては、上記「表1」の結果から、実施形態1に示した方法で作製したマグネシア触媒においては、残留カーボンの存在は問題にならない程度のレベルであることが判明している。そこで、XPS測定(X線光電子分光測定)により、炭酸塩の存在について評価を行った。
図6は、マグネシア触媒のXPS測定(X線光電子分光測定)の結果を示すグラフである。図6には、試料として最終的に5wt%のルテニウムを担持させる条件で作製したマグネシア触媒(比表面積は300m/g)の測定データが示されている。
図6のデータは、X線光電子分光装置として、PHI社製の商品名「1600S型」を用い、測定条件は、X線源:AIKα(400W)、分析領域:0.8×2.0mで行って得たデータである。なお、前処理は、ヘリウムフロー中において400℃、2時間の条件で行った。
図6には、前処理を行うことで、横軸の290eV付近のピークが小さくなる様子が示されている。この程度の前処理によって変化するC/Sレベルの違いは、通常のマグネシア粉末表面での観察される程度であり、特に炭酸塩が顕著なレベルで存在しているとはいえない。したがって、図1に示されている比表面積は、残留カーボンや炭酸塩の存在により見かけ上大きな値となっているものではないと結論される。
(マグネシア触媒の微細構造について)
図7は、本実施形態において示した方法で作製したマグネシア触媒のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。図7に示すマグネシア触媒は、8wt%のルテニウムを担持させた比表面積357m/gのマグネシア触媒である。
図8は、含浸法を用いて作製したマグネシア触媒のTEM写真である。図8に示すマグネシア触媒は、5wt%のルテニウムを担持させた比表面積144m/gのマグネシア触媒である。
図7と図8とを比較すれば分かるように、本実施形態に示すゾルゲル法を用いて作製したマグネシア触媒は、含浸法を用いたものに比較して担体粒子が細かい。特に図7(b)を見ると、本実施形態のマグネシア触媒は、おおよその平均粒径が1〜3nm程度であることが分かる。これに対して、図8に示す含浸法で作製したマグネシア触媒は、それよりかなり大きい粒径を有していることが分かる。
この粒径の違いは、両者の比表面積の違いに反映している。すなわち、本発明の要件を満たすマグネシア触媒は、粒径が小さくて粒が細かく、BET法で測定される比表面積が大きい(実測値357m/g)。これに対して、従来技術(含浸法)を用いて作製したマグネシア触媒は、粒径が大きく、BET法で測定される比表面積が小さい(実測値109m/g)。
図7に示すマグネシア触媒は、このTEM写真からも微粒子であることが分かる。また、以下に説明するデータからも得られたマグネシア触媒が細かい細孔構造を有していることが裏付けられる。
図11は、77Kにおける窒素分子の多層物理吸着を示す吸着等温線である。図11において、横軸は窒素分圧を示し、縦軸は試料の単位重量あたりにおける窒素分子の吸着量を示す。なお、縦軸のSTDは、0℃、1atmの状態であることを示している。
図11には、本発明を利用したルテニウム担持マグネシア触媒(Ru/MgOと表記)が示す窒素分子の吸着量の変化が、□印および○印で示されている。ここで□印は、窒素分圧を上げていった場合における吸着量のプロットであり、○印は、窒素分圧を下げていった場合における吸着量のプロットである。
また、図11には、ルテニウムカルボニルを用いず単にゾルゲル法で作製したマグネシア粒子(MgOと表記)が示す窒素分子の吸着量の変化が、△印および×印で示されている。ここで△印は、窒素分圧を上げていった場合における吸着量のプロットであり、×印は、窒素分圧を下げていった場合における吸着量のプロットである。
ここで、□印および△印のプロット線は、窒素分圧の上昇に従って、窒素分子の吸着が進行し、吸着量が増えてゆく状態を示している。この意味で、□印および△印で示されるプロット線を吸着等温線と呼ぶ。
また、○印および×印は、窒素分圧の減少に従って、窒素分子の脱離が進行し、吸着量が減少してゆく状態を示している。この意味で、○印および×印で示されるプロット線を脱離等温線と呼ぶ。
図11から明らかなように、Ru/MgOは、MgOに比較して、吸着等温線(□印プロット)と脱離等温線(○印プロット)との差が大きい。つまり、Ru/MgOはMgOに比較して、吸着/脱離過程におけるヒステリシスが大きい。
一般に粉末粒子に細孔があると、毛管凝縮という現象が現れる。試料の粉末に細孔がある場合、図11に示される窒素分子の吸着量には、この毛管凝縮によって細孔内に凝縮状態で捕獲された窒素分子も含まれることになる。毛管凝縮によって細孔内に捕獲された気体分子は、気体分圧を下げていっても脱離し難く、そのため吸着等温線と脱離等温線に違いが出る。つまり、毛管凝縮がより顕著な場合、吸着等温線と脱離等温線との間で見られるヒステリシス特性はより大きなものとなる。
したがって、より微細な細孔構造を有する粉末粒子は、吸着等温線と脱離等温線との間で見られるヒステリシス特性はより大きなものとなる。
このことから、Ru/MgOは、MgOに比較して、より微細な細孔構造を有していることが結論される。すなわち、ルテニウムカルボニルを用いたゾルゲル法により作製した本実施形態のマグネシア触媒(Ru/MgO)は、ルテニウムカルボニルを用いないゾルゲル法により作製したマグネシア(MgO)に比較して、より微細な細孔構造を備えていることが結論される。
図12は、細孔径(横軸)と、吸着量の半径による微分値との関係を示すグラフである。図12の横軸は、毛管凝縮が起こる細孔形状モデルから計算される細孔の半径であり、縦軸は、その半径における吸着物質の存在量(存在頻度)を表している。図12からは、細孔径の相対的な分布状態が評価される。
図12には、本発明を利用したルテニウム担持マグネシア触媒(Ru/MgOと表記)のプロット点(○印)と、ルテニウムカルボニルを用いず単にゾルゲル法で作製したマグネシア粒子(solgel.MgOと表記)のプロット点(□印)とが示されている。
図12から、Ru/MgOは、solgel.MgOに比較して、より細孔径が小さい範囲において、吸着物質の存在頻度が大きい様子が示されている。これは、Ru/MgOは、solgel.MgOに比較して、より細かい細孔を備えていることを示している。
このように、本発明のマグネシア触媒は、細かい細孔構造を有していることが裏付けられる。
2.第2の実施形態
(第2の実施形態の構成)
本実施形態は、本発明を利用したマグネシア触媒をアンモニア合成装置に適用した例に関する。図9は、アンモニア合成装置の概略を概念的に示す断面図である。図10は、アンモニアの合成が行われる反応膜の概略を概念的に示す断面図である。
アンモニア合成装置1は、下側容器2、シール部材3a、シール部材3b、反応膜4、上側容器6、窒素ガス(N)導入管2a、窒素・アンモニア混合ガス排出管2b、水素ガス(H)導入管6a、および水素ガス排出管6bを備えている。
下側容器2は、片面に凹部2cが形成され、上側容器6は、片面に凹部6cが形成されている。そして両容器は、凹部を向かい合わせた状態で、間に反応膜4をシール部材3aおよび3bを介して挟み込み、図示しない締結手段(例えばボルト等)により固定されている。
反応膜4は、触媒層41、水素透過膜42およびメッシュ43を備えている。触媒層41は、例えば実施形態1において示したマグネシア触媒を用いて構成される。
水素透過膜42は、金属水素化物を含む材料で構成される。ここでは、膜状のパラジウム(Pd)を用いている。金属水素化物は、パラジウムに代表される水素を吸蔵する性質を有する金属材料のことをいう。水素透過膜は、金属水素化物と他の材料の複合材料で構成されていてもよい。金属水素化物としては、水素を吸収または貯蔵する性質を有する金属や水素吸蔵合金が知られている。
水素透過膜42における水素の透過は、水素を吸蔵するメカニズムに基づいて水素を片面から吸収し、内部の濃度勾配に起因する駆動力によって、他方の面から水素を放出する現象として理解することができる。この際、金属水素化物への水素の吸蔵は、水素を分子状態で捕獲し、原子状態に解離して内部に保持する作用であるので、他方の面からの水素の放出は、原子状水素の放出となる。つまり、水素透過膜42は、原子状水素の供給手段として利用することができる。
反応膜4の作製方法の一例を説明する。まず、パラジウム膜を用意し、その一方の表面にサンドブラストで粗加工を施し、粗面化する。そして、この粗面化した面にアセトニトリルなどの極性脱水有機溶媒に分散させたマグネシア触媒を塗布し、乾燥させる。この乾燥により、溶媒成分を蒸発させ、パラジウム膜の片面にマグネシア触媒を保持させた状態を得る。
(第2の実施形態の動作)
このアンモニア合成装置1は、窒素ガス導入管2aに窒素ガスを連続的に供給し、水素ガス導入管6aに水素ガスを連続的に供給することで動作する。
すなわち、水素ガス(H)は、凹部6cに供給され、そこで反応膜4の水素透過膜41に接触する。この際、水素透過膜41の機能により水素は解離吸着し、吸着水素(H(a))となる。この吸着水素は、原子状の状態であり、濃度勾配を駆動力として、水素透過膜41中を触媒層42側に移動する。この原子状水素の移動が水素透過膜41の透過機能となる。
他方、窒素ガス(N)は、凹部2cに供給され、そこでメッシュ43を介して触媒層42に接触する。この際、触媒層42に吸着するのと同時に触媒層42の触媒機能により解離される。こうして、触媒層42の窒素ガス供給流路側(凹部2c側)の表面に吸着窒素原子(N(a))が吸着する。
この触媒層42のメッシュ43側に吸着した吸着窒素原子(N(a))に、水素透過膜41を透過してきた原子状の水素(H)が供給され、原子状の水素3個と吸着窒素原子1個とが反応することで、アンモニア(NH)が合成される。
合成されたアンモニアのガスは、未反応の窒素ガスの流れに乗り、窒素・アンモニア混合ガス排出管2bから装置の外部に排出される。この反応は、水素ガスと窒素ガスを連続的に供給し続けることで、連続的に行うことができる。
図3は、実際のアンモニアの合成性能の一例である。図3に示されるのは、常圧の圧力条件において得られたデータである。なお、反応温度は、反応膜4の温度であり、その制御は、図9に図示しない抵抗加熱ヒータによって装置全体を加熱することで行った。
図3に示されるように、触媒層42を加熱し、反応温度を上げた方が合成効率を高くすることができる。また、図3から分かるように、常圧・300℃という合成条件において、1000μmol/h・gという大きな合成量を得ることができる。この合成条件は、従来技術に比較すればかなり温和な条件である。
(第2の実施形態の優位性)
アンモニア合成装置1において、水素は、水素透過膜41において原子状水素として取り込まれることで活性化され、窒素は触媒層42において解離吸着されることで活性化される。この場合、触媒層42は窒素の吸着解離に専念することができるので、大きな解離エネルギーを必要とする窒素の吸着解離の効率を高くすることができる。
この構成では、水素は水素透過膜41から活性な状態で触媒層42に直接供給されるので、触媒層42の活性点が水素によって優先的に占有される水素被毒の影響を低減することができる。また、水素透過膜41を介して触媒層42に供給される水素の供給量を、凹部6cに供給する水素の流量を調整することで、精密にコントロールすることができ、これによっても水素被毒の影響を低減することができる。このような理由により、アンモニアの合成効率を高めることができ、従来の技術よりも温和な条件でのアンモニアの合成を可能にすることができる。
また、本発明を利用した場合、触媒層を構成する触媒材料の比表面積を大きく確保でき、また触媒材料表面の活性点を高密度にすることができるので、水素透過膜から触媒層への原子状水素の供給を効果的に行うことができる。そのことも、温和な条件でアンモニア合成を行える大きな要因となる。
(他の実施形態)
図9に示す反応膜4の触媒層42の窒素ガス供給面側(水素透過膜41と接触する反対面側)にさらにルテニウム以外の活性金属を担持させてもよい。例えば、鉄(Fe)やオスニウム(Os)といった活性金属の粒子を担持させ、2元系触媒を構成してもよい。本発明を利用した触媒層42は、大きな比表面積を有しているので、それ自体を優れた担持体として機能させることができる。
本発明は、ルテニウムを担持させたマグネシア触媒に利用することができる。また、本発明は、ルテニウムを担持させたマグネシア触媒を利用したアンモニア合成装置に利用することができる。
発明を利用したマグネシア触媒の比表面積とアンモニア合成量との関係を示すデータプロット図である。 発明を利用したマグネシア触媒における担持させた活性金属の金属分散度とアンモニア合成量との関係を示すデータプロット図である。 アンモニア合成装置の反応温度とアンモニア合成量との関係を示すグラフである。 マグネシア触媒の作製工程における加熱温度と得られたマグネシア触媒の比表面積の関係を示すグラフである。 マグネシア触媒の作製過程における加熱時に発生するガスの発生量と加熱温度との関係を示すグラフである。 発明を利用したマグネシア触媒のXPS測定の結果を示すグラフである。 発明を利用したマグネシア触媒をTEM撮影した図面代用写真である。 従来技術を利用したマグネシア触媒をTEM撮影した図面代用写真である。 アンモニア合成装置の概略を概念的に示す断面図である。 アンモニアの合成が行われる反応膜の概略を概念的に示す断面図である。 77Kにおける窒素分子の多層物理吸着を示す吸着等温線である。 細孔径(横軸)と、吸着量の半径による微分値との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…アンモニア合成装置、2…下側容器、2a…窒素ガス(N)導入管、2b…窒素・アンモニア混合ガス排出管、2c…凹部、3a…シール部材、3b…シール部材、4…反応膜、6…上側容器、6a…水素ガス(H)導入管、6b…水素ガス排出管、6c…凹部、41…触媒層、42…水素透過膜、43…メッシュ。

Claims (11)

  1. 多孔質構造を有するマグネシア材料と、
    このマグネシア材料に担持された活性金属の粒子と
    を含み、
    BET法によって測定される比表面積が300m/g以上であることを特徴とするマグネシア触媒。
  2. 多孔質構造を有するマグネシア材料と、
    このマグネシア材料に担持された活性金属の粒子と
    を含み、
    前記活性金属の粒子の金属分散度が5以上であることを特徴とするマグネシア触媒。
  3. 前記活性金属粒子は前記マグネシア材料に一体化され、その一部が前記マグネシア材料に埋没した構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシア触媒。
  4. 前記活性金属の粒子はルテニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシア触媒。
  5. 平均粒径が5nm以下を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマグネシア触媒。
  6. 水素透過膜と、
    この水素透過膜の一方の面上の触媒層と
    を備え、
    前記触媒層は、前記請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシア触媒を含むことを特徴とする反応膜。
  7. 水素透過膜と、
    この水素透過膜の一方の面上の触媒層と、
    前記水素透過膜に水素を供給する水素供給手段と、
    前記触媒層に窒素を供給する窒素供給手段と
    を備え、
    前記触媒層は、前記請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシア触媒を含むことを特徴とするアンモニア製造装置。
  8. ゾルゲル法を用いたマグネシア触媒の作製方法であって、
    マグネシアの出発材料となる溶液に対して、この溶液がゲル化する以前の段階において、金属カルボニルを含む溶液を加える第1の工程と、
    この第1の工程において得られた混合溶液から固体成分を得る工程と、
    前記固体成分からカルボニル成分を除去する工程と
    を含むことを特徴とするマグネシア触媒の作製方法。
  9. 前記カルボニル成分が除去されることでマグネシアに活性金属粒子が担持された構造が得られ、
    前記活性金属の粒子の金属分散度が5以上であることを特徴とする請求項8に記載のマグネシア触媒の作製方法。
  10. 前記マグネシアの出発材料となる溶液は、マグネシウムエトキシド、水およびエタノールを含み、
    前記金属カルボニルを含む溶液は、金属カルボニルのTHF溶液であることを特徴とする請求項8または9に記載のマグネシア触媒の作製方法。
  11. 前記金属カルボニルとして、ルテニウムカルボニルを用いることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のマグネシア触媒の作製方法。
JP2004298120A 2004-10-12 2004-10-12 マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法 Pending JP2006110419A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004298120A JP2006110419A (ja) 2004-10-12 2004-10-12 マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004298120A JP2006110419A (ja) 2004-10-12 2004-10-12 マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006110419A true JP2006110419A (ja) 2006-04-27

Family

ID=36379378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004298120A Pending JP2006110419A (ja) 2004-10-12 2004-10-12 マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006110419A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231229A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Honda Motor Co Ltd アンモニア合成触媒及びその製造方法
WO2015008819A1 (ja) * 2013-07-17 2015-01-22 東ソー株式会社 不均一系触媒および1,2-ジクロロエタンの製造用触媒システム
WO2015021501A1 (en) * 2013-08-14 2015-02-19 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Processes utilising selectively permeable membranes
CN107651695A (zh) * 2017-09-22 2018-02-02 河南心连心化肥有限公司 一种旋转床氨回收装置及回收方法

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231229A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Honda Motor Co Ltd アンモニア合成触媒及びその製造方法
WO2015008819A1 (ja) * 2013-07-17 2015-01-22 東ソー株式会社 不均一系触媒および1,2-ジクロロエタンの製造用触媒システム
US9687824B2 (en) 2013-07-17 2017-06-27 Tosoh Corporation Heterogeneous catalyst and catalyst system for producing 1,2-dichloroethane
JP2015171703A (ja) * 2013-07-17 2015-10-01 東ソー株式会社 不均一系触媒および1,2−ジクロロエタンの製造用触媒システム
JP2016533882A (ja) * 2013-08-14 2016-11-04 コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション 選択的透過性の膜を利用するプロセス
KR20160065086A (ko) * 2013-08-14 2016-06-08 커먼웰쓰 사이언티픽 앤드 인더스트리얼 리서치 오가니제이션 선택적 투과성 멤브레인을 사용하는 방법
CN105579399A (zh) * 2013-08-14 2016-05-11 联邦科学和工业研究组织 利用选择性可渗透膜的方法
WO2015021501A1 (en) * 2013-08-14 2015-02-19 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Processes utilising selectively permeable membranes
US9895652B2 (en) 2013-08-14 2018-02-20 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Processes utilising selectively permeable membranes
AU2014306355B2 (en) * 2013-08-14 2018-03-29 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Processes utilising selectively permeable membranes
CN105579399B (zh) * 2013-08-14 2018-06-12 联邦科学和工业研究组织 利用选择性可渗透膜的方法
KR102301134B1 (ko) * 2013-08-14 2021-09-13 커먼웰쓰 사이언티픽 앤드 인더스트리얼 리서치 오가니제이션 선택적 투과성 멤브레인을 사용하는 방법
CN107651695A (zh) * 2017-09-22 2018-02-02 河南心连心化肥有限公司 一种旋转床氨回收装置及回收方法
CN107651695B (zh) * 2017-09-22 2023-11-17 河南心连心化学工业集团股份有限公司 一种旋转床氨回收装置及回收方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lu et al. Highly efficient and durable Pd hydride nanocubes embedded in 2D amorphous NiB nanosheets for oxygen reduction reaction
JP3932478B2 (ja) 貴金属細孔体及びその製造方法
CA2861412C (en) Highly sinter-stable metal nanoparticles supported on mesoporous graphitic particles and their use
Gross et al. Fabrication and hydrogen sorption behaviour of nanoparticulate MgH2 incorporated in a porous carbon host
US9931623B2 (en) Method for producing metal nanoparticle complex, and metal nanoparticle complex produced by said method
Zubizarreta et al. Improving hydrogen storage in Ni-doped carbon nanospheres
KR101768078B1 (ko) 란타늄 알루미네이트에 루테늄이 지지된 촉매 및 그 제조 방법
JP5835787B2 (ja) ミクロポーラス炭素系材料、ミクロポーラス炭素系材料の製造方法及びミクロポーラス系炭素材料を用いた水素吸蔵方法
Verma et al. Recent strategies for enhancing the catalytic activity of CO2 hydrogenation to formate/formic acid over Pd-based catalyst
Das et al. Nature of the Pd–CNT interaction in Pd nanoparticles dispersed on multi-walled carbon nanotubes and its implications in hydrogen storage properties
Xin et al. CoxFe1-xAl2O4+ δ composite oxides supported Pt nanoparticles as efficient and recyclable catalysts for the liquid-phase selective hydrogenation of cinnamaldehyde
JP2014055110A (ja) ミクロポーラス炭素系材料の製造方法
KR20160142135A (ko) 암모니아 탈수소용 촉매, 이의 제조 방법 및 이를 이용하여 암모니아로부터 수소를 생산하는 방법
Lu et al. Promotion effects of nickel-doped Al2O3-nanosheet-supported Au catalysts for CO oxidation
Dong et al. PdCoNi nanoparticles supported on nitrogen-doped porous carbon nanosheets for room temperature dehydrogenation of formic acid
Ahmad et al. Design of Ni/La2O3 catalysts for dry reforming of methane: Understanding the impact of synthesis methods
Belousov et al. Synthesis and catalytic hydrogenation activity of Pd and bimetallic Au–Pd nanoparticles supported on high-porosity carbon materials
Ivanenko et al. Structural and catalytic properties of Ni–Co spinel and its composites
JP2005169236A (ja) 燃料改質触媒
Abbasi et al. Reactivity and characteristics of Pd/MOF and Pd/calcinated-MOF catalysts for CO oxidation reaction: effect of oxygen and hydrogen
Ni et al. Target-oriented confinement of Ru-Co nanoparticles inside N-doped carbon spheres via a benzoic acid guided process for high-efficient low-temperature ammonia synthesis
Nozaki et al. Hydrogen generation from ammonia borane over Ru/Nanoporous CeO2 catalysts prepared from amorphous alloys
Yuan et al. Dilute Pd3Co950 alloy encapsulated in defect-and N-rich carbon nanotubes for universal highly efficient aqueous-phase catalysis
JP2006110419A (ja) マグネシア触媒、反応膜、アンモニア製造装置、およびマグネシア触媒の作製方法
US20090220413A1 (en) Catalyst For Methane Steam Reformation, Method Of Producing The Same, And Method Of Producing Hydrogen Using The Same