JP2006104970A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 触媒が劣化した場合でもNOx浄化効率を高く保つことができる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】 内燃機関1の空燃比リーン燃焼時に排出されるNOxを吸蔵し、空燃比を一時的にリッチにして吸蔵NOxを放出して還元処理するNOx吸蔵還元触媒3を排気流路2内に配設する排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒3の劣化度を検出する劣化検出手段5と、前記劣化度に応じて動作するプラズマ装置4を前記NOx吸蔵還元触媒3の上流側に配設した構成とする。
【選択図】図3
【解決手段】 内燃機関1の空燃比リーン燃焼時に排出されるNOxを吸蔵し、空燃比を一時的にリッチにして吸蔵NOxを放出して還元処理するNOx吸蔵還元触媒3を排気流路2内に配設する排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒3の劣化度を検出する劣化検出手段5と、前記劣化度に応じて動作するプラズマ装置4を前記NOx吸蔵還元触媒3の上流側に配設した構成とする。
【選択図】図3
Description
この発明は内燃機関の排気ガス浄化装置に関するものである。
従来の内燃機関、特にリーンバーンエンジンでは、排気ガスの空燃比がリーン(酸素過剰)の時にNOx(窒素酸化物)を吸蔵し、空燃比を理論空気量やリッチ(酸素不足)にした時に吸蔵したNOxを放出して浄化するNOx吸蔵還元触媒を排気流路内に配設し、排気ガスの空燃比を時間間隔を隔ててリーンからリッチに一時的に切り換えてNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されているNOxを浄化する技術が使われている。(例えば特許文献1参照)。
また、NOx吸蔵還元触媒は使用するうちに次第に劣化してNOx吸蔵能力が低下してくる。NOx吸蔵能力が低下すると、吸蔵し得るNOxの量が減少して早い時期に飽和吸蔵の状態に達する。その後はNOxは触媒に吸蔵されずに下流側へ排出されてしまう。
したがって、触媒の劣化度を検出して、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比をリーンからリッチに切り換える周期を劣化度が高くなるほど短くすることが考えられている。また、リッチに切り換えた時のリッチ時間を劣化度が高くなるほど短くすることも考えられている。(例えば特許文献2参照)。
したがって、触媒の劣化度を検出して、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比をリーンからリッチに切り換える周期を劣化度が高くなるほど短くすることが考えられている。また、リッチに切り換えた時のリッチ時間を劣化度が高くなるほど短くすることも考えられている。(例えば特許文献2参照)。
さらに、エンジンからの排気ガスを浄化するために放電プラズマを利用する方法もすでに知られている。(例えば特許文献3参照)。
従来の排気浄化装置において、NOx吸蔵還元触媒が劣化した場合は、排気ガスの空燃比をリーンにしてNOxを吸蔵する場合と、空燃比をリッチにしてNOxを還元処理する場合の両方で触媒の性能が悪化する。触媒性能は吸蔵し得るNOxの量だけでなく、吸蔵したり還元したりする速さも悪化する。そのため、触媒が劣化した場合に、劣化度が高くなるほど空燃比をリーンからリッチに切り換える周期を短くしたり、リーンからリッチに切り換えた時のリッチ時間を短くしたりする時間的な調整だけではNOx浄化率の改善は不十分であるという問題点があった。
また、排気ガスを浄化するために放電プラズマを常時使用すると、エネルギーロスが多く消費電力が増大するという問題点もあった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、触媒が劣化した場合でも消費電力の増大を抑えながらNOx浄化率を高く保つことができる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
この発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の空燃比リーン燃焼時に排出されるNOxを吸蔵し、空燃比を一時的にリッチにして吸蔵NOxを放出して還元処理するNOx吸蔵還元触媒を排気流路内に配設する排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒の劣化度を検出する劣化検出手段と、前記劣化度に応じて動作するプラズマ装置を前記NOx吸蔵還元触媒の上流側に配設したものである。
この発明に係る内燃機関の排気浄化装置は上記のように構成されているため、触媒が劣化した場合において、空燃比リーンのNOx吸蔵期間においても、また、空燃比リッチのNOx還元処理期間においても浄化効率を向上させることができる、という従来にない顕著な効果を奏するものである。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、劣化してない触媒のリーンとリッチにおけるNOxの排出量の変化状況を示した図で、横軸は時間、縦軸はNOxの排出量を示す。空燃比をリーンにした初期では触媒のNOx吸蔵能力が大きく、触媒出口に排出されるNOxの量は少ないが、NOxが徐々に蓄積されるにつれて吸蔵されずに排出されるNOxが増加していく。
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、劣化してない触媒のリーンとリッチにおけるNOxの排出量の変化状況を示した図で、横軸は時間、縦軸はNOxの排出量を示す。空燃比をリーンにした初期では触媒のNOx吸蔵能力が大きく、触媒出口に排出されるNOxの量は少ないが、NOxが徐々に蓄積されるにつれて吸蔵されずに排出されるNOxが増加していく。
空燃比をリッチに切り換えると、排気ガスの酸素濃度が低下するために触媒に吸蔵されていたNOxが放出され、排気ガスに含まれる炭化水素などの還元成分と反応して浄化される。この際、触媒から放出されるNOxの量が多いため、還元成分と反応しきれなかったNOxは図1に示すように排出される。
図2は、劣化した触媒のリーンとリッチにおけるNOxの排出量の変化状況を示す図である。空燃比リーンで吸蔵し得るNOxの量(飽和吸蔵量)が小さくなるためリーンの期間を短くしなければならず、また、吸蔵する速度も遅くなるため劣化してない触媒(図1)と同一経過時間において排出されるNOxの量も多くなる。また、劣化した触媒では、リーンの期間で吸蔵されたNOxの量が劣化してない触媒に比較して少ないため、空燃比リッチの期間も短くなり、この期間での還元能力も劣化しているために排出されるNOxの量も増加する。
図3は、実施の形態1に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を示す概略図である。
エンジン1から排出された排気ガスが流れる排気流路2にNOx吸蔵還元触媒3を配設する。そのNOx吸蔵還元触媒3の上流側にプラズマ装置4を備える。また、NOx吸蔵還元触媒3の劣化度を検出する劣化検出装置5と、その劣化検出装置5からの信号によりプラズマ装置4を制御するプラズマ制御装置6を備える。
エンジン1から排出された排気ガスが流れる排気流路2にNOx吸蔵還元触媒3を配設する。そのNOx吸蔵還元触媒3の上流側にプラズマ装置4を備える。また、NOx吸蔵還元触媒3の劣化度を検出する劣化検出装置5と、その劣化検出装置5からの信号によりプラズマ装置4を制御するプラズマ制御装置6を備える。
プラズマ制御装置6には高電圧電源(図示せず)が内蔵され、モニターした触媒の劣化度の情報に基づいて、高電圧電源を制御することによってプラズマ装置4のプラズマ生成量を制御する。劣化検出装置5で触媒の劣化が検出された場合には、その劣化度に応じて空燃比リーンの期間でプラズマ制御装置6によりプラズマ装置4を動作させる。プラズマ装置4内の高電圧電源では直流電圧を交流電圧へ変換すると共に、その周波数と交流電圧値を調整して投入電力を変化させる。
空燃比リーンの場合、NOxに加えて数%〜10%程度の酸素(O2)や水蒸気(H2O)が排気ガス中に含まれる。NOxは主にNO(一酸化窒素)とNO2(二酸化窒素)からなり、NOの割合は約90%を占めている。NOx吸蔵還元触媒3ではNOxを吸蔵する際に、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物によって硝酸塩として吸蔵することが一般的である。この場合、バリウムやカリウムが使用されることが多い。
硝酸塩にする過程では、貴金属触媒によりNOが酸化されてNO2に変わり、このNO2を硝酸塩の形で吸蔵する。触媒が劣化すると貴金属の酸化性能も低下し、NO→NO2の変換速度が遅くなる。プラズマ装置4を動作させると、排気ガス中における酸素濃度や水蒸気濃度が高いため次のような放電化学反応の作用を受ける。
まず、排気ガス中の酸素分子や水分子が放電されると次のような解離が生じる。
O2→2O*
H2O→H*+OH*
このO*とOH*はNOと反応してNO2が生じる。
NO+O*→NO2
O2→2O*
H2O→H*+OH*
このO*とOH*はNOと反応してNO2が生じる。
NO+O*→NO2
このようにNOの少なくとも一部はプラズマ装置4を通過することでNO2へと酸化される。硝酸塩になりやすいNO2が多くなると吸蔵効果が向上し、排出されるNOxが減少する。触媒の劣化初期では排出NOxが大きくなるリーン期間後半のみでプラズマ装置4を動作させることでもNOx排出防止効果は発揮される。
劣化が進行した場合には、プラズマ装置4を動作させる時間を長くすることでNOx排出防止効果が維持される。このようにプラズマ装置4の動作期間をNOxの排出防止効果のある期間に限定することで省エネ性が実現できる。
また、空燃比リッチの場合、排気ガス中の酸素濃度は0.1%程度まで低下し、炭化水素(HC)などの還元成分が増加する。しかし、エンジンの運転モードによっては排気ガス中の炭化水素は大部分が飽和HCの場合もあり、飽和HCは不飽和HCや一酸化炭素(CO)やアルデヒドや水素(H2)に比較してNOxとの反応性が低いために、NOx還元効率が低下する場合がある。触媒の劣化度に応じて空燃比リッチでプラズマ装置4を動作させると、水蒸気の解離が進行する。
H2O→H*+OH*
このOH*は飽和HCと反応して、最終的に不飽和HCやCOやホルムアルデヒドやアセトアルデヒドやH2などが生じる。
飽和HC+OH*→不飽和HC、CO、アルデヒド、H2
このOH*は飽和HCと反応して、最終的に不飽和HCやCOやホルムアルデヒドやアセトアルデヒドやH2などが生じる。
飽和HC+OH*→不飽和HC、CO、アルデヒド、H2
酸素濃度が低下して触媒から放出されたNOxと、これら不飽和HCやCOやアルデヒドやH2が反応して、NOxが浄化されて排出される量が少なくなる。プラズマ装置4を動作させる期間としては、触媒の劣化度が小さな場合は空燃比リッチ期間の一部、例えば、排出NOxの量がピークを示す時期のみでもよい。劣化が進行した場合には、リッチの全期間でプラズマ装置4を動作させてもよい。
図4は、プラズマ装置4をさらに具体的に示す一部破断斜視図である。プラズマ装置31は、排気管21を備え、その排気管21の内部を排気ガスが通過する構造になっており、例えば図4において左から右へ排気ガスを通過させることができる。この排気管21の両端部には、排気流路2が接続できるようにフランジ28を備えている。また、この排気管21の材質は絶縁物であればよく、一つに限定されるものではないが、例えば酸化アルミニウム等のセラミックを用いることができる。
排気管21の内部には、メッシュ23で固定された高電圧電極22が排気管21と同軸になるように配設されている。高電圧電極22に電圧を供給するために、高電圧電極端子22aと給電端子22bが高電圧ケーブル26によって接続されている。この給電端子22bはプラズマ制御装置6とケーブル(図示せず)で接続される。排気管21の周囲(外周面)には接地電極24が排気管21と接触するように取り付けられている。
この接地電極24は固定ネジ27で締め付けられている。また、この固定ネジ27によって、プラズマ制御装置6と接続するための上述のケーブル(図示せず)も取り付けられている。なお、メッシュ23の材質は絶縁体であればよく、一つに限定されるものではないが、例えば酸化アルミニウム等のセラミックを用いることができる。また、高電圧電極22および接地電極24の材質は導電体であればよく、一つに限定されるものではないが、例えばステンレスを用いることができる。
このように構成されたプラズマ装置31において、高電圧電極22と接地電極24間に交流高電圧またはパルス状高電圧を印加することにより、高電圧電極22とセラミック製排気管21の間の空間に無声放電を発生させる。無声放電が生じる空間のガス流方向の長さは接地電極24のガス流方向の長さと同じである。つまり、接地電極24で囲まれた空間内に無声放電が生じる。このプラズマ装置31に導入された排気ガスはメッシュ23を通り無声放電空間内を通過する。この通過過程で排気ガスはプラズマによって化学反応をする。
次に、劣化検出装置5について説明する。劣化検出装置5の一例としては、触媒に担持した酸素貯蔵機能物質の劣化度を検出する方法がある。触媒の上流側や下流側に設置した空燃比センサ(図示せず)の信号に基づいて酸素貯蔵量を算出して劣化度を検出するものである。空燃比センサはジルコニア式の限界電流式を使用する。安定化ジルコニアは酸素イオン導電性を有し、白金等の電極をつけたものの両端に電圧を加えると、測定ガスが酸素雰囲気の時には酸素は酸素イオンとなり安定化ジルコニアを通過する。この時の電流値が酸素濃度に比例する。
空燃比センサで検出された電流値から酸素濃度を算出し、触媒の上流側と下流側の酸素濃度差を計算すれば、触媒に貯蔵された酸素を算出することができる。この酸素貯蔵量を初期のそれと比較することで触媒の劣化検出を行うことが可能となる。
また、NOx吸蔵還元触媒3の下流側に設置したNOxセンサ(図示せず)の信号に基づいて劣化度を検出するものでもよい。
また、NOx吸蔵還元触媒3の下流側に設置したNOxセンサ(図示せず)の信号に基づいて劣化度を検出するものでもよい。
図5に上記の実施の形態1を空燃比リーンおよびリッチにおいて動作させた場合のNOxの排出量の変化状況を示す。プラズマ装置4の効果により、リーンの期間ではNO2の割合が増加するため吸蔵効果が向上し、リッチの期間では飽和HCが反応性の高い不飽和HCなどの物質に改質されるため吸蔵NOxの浄化効果が向上し、排出されるNOxは図1に示す劣化していない触媒の場合とほぼ同等レベルになっている。
1 エンジン、 2 排気流路、 3 NOx吸蔵還元触媒、 4 プラズマ装置、
5 劣化検出装置、 6 プラズマ制御装置、 21 排気管、 22 高電圧電極、
22a 高電圧電極端子、 22b 給電端子、 23 メッシュ、
24 接地電極、 26 高電圧ケーブル、 27 固定ネジ、 28 フランジ、
31 プラズマ装置。
5 劣化検出装置、 6 プラズマ制御装置、 21 排気管、 22 高電圧電極、
22a 高電圧電極端子、 22b 給電端子、 23 メッシュ、
24 接地電極、 26 高電圧ケーブル、 27 固定ネジ、 28 フランジ、
31 プラズマ装置。
Claims (5)
- 内燃機関の空燃比リーン燃焼時に排出されるNOxを吸蔵し、空燃比を一時的にリッチにして吸蔵NOxを放出して還元処理するNOx吸蔵還元触媒を排気流路内に配設する排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒の劣化度を検出する劣化検出手段と、前記劣化度に応じて動作するプラズマ装置を前記NOx吸蔵還元触媒の上流側に配設したことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 前記プラズマ装置は、劣化度に応じて空燃比リーン時の少なくとも一部の時間に動作させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記プラズマ装置は、空燃比リーンの排気ガスに含まれるNOxのうちのNOの少なくとも一部をNO2へ変換することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記プラズマ装置は、劣化度に応じて空燃比リッチ時の少なくとも一部の時間に動作させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記プラズマ装置は、空燃比リッチの排気ガスに含まれる飽和炭化水素の少なくとも一部を不飽和炭化水素もしくは一酸化炭素もしくはアルデヒドもしくは水素へ改質することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004289981A JP2006104970A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011074774A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Toda Seiji | 六元触媒 |
JP2013241940A (ja) * | 2013-07-12 | 2013-12-05 | OGATA Yayoi | Co2低減装置 |
JPWO2014118892A1 (ja) * | 2013-01-29 | 2017-01-26 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
-
2004
- 2004-10-01 JP JP2004289981A patent/JP2006104970A/ja active Pending
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JP2011074774A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Toda Seiji | 六元触媒 |
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US9765672B2 (en) | 2013-01-29 | 2017-09-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control system of internal combustion engine |
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