JP2006096722A - アズレン誘導体及びこれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

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Takanori Kajioka
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Hisayoshi Fujikawa
久喜 藤川
Yasunori Taga
康訓 多賀
Shigeyasu Kuroda
重靖 黒田
Akinori Oda
晃規 小田
Chung Thanh Nguyen
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Abstract

【課題】赤色領域において吸収の少ない新規の化合物を提供する。また、このような化合物を用いた、発光効率が高い有機電界発光素子等を提供する。
【解決手段】ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を有するアズレン誘導体。このアズレン誘導体は赤色領域において吸収が少なく、薄膜化した場合にも安定で、例えば有機電界発光素子のホール注入層に採用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアズレン誘導体、及びこれを用いた有機電界発光素子に関する。
有機発光素子、特に電界発光機能を備えた有機電界発光素子(以下有機EL素子という)は、次世代平面ディスプレイとして注目されている。この有機電界発光素子を用いることにより、例えば、低消費電力、広視野角、自発光、高速応答性などの特徴を有するフルカラーディスプレイの実現が可能である。
この有機EL素子の構成としては、ホール(正孔)注入電極/有機発光層/電子注入電極の構成を基本とし、これにホール(正孔)注入層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば、ホール注入電極/ホール注入層/有機発光層/電子注入電極や、ホール注入電極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極などの構成のものが知られている。有機EL素子は、ホール注入電極から注入される正孔と、電子注入電極から注入される電子とが有機発光層中で再結合し、これにより有機発光材料が励起され、この発光材料が基底状態に戻る際に起こる発光現象を利用している。
これらの有機発光層やホール注入層に用いる有機材料が各種開発されている。例えば、特許文献1にはホール注入層として、ポルフィリン系化合物や、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物を使用した有機EL素子が記載されている。これらの化合物を使用することにより有機EL素子の安定性を改善することができるとしている。
また、特許文献2には、有機発光層やホール注入層として、アミノ又はスチリル化合物を使用した有機EL素子が記載されている。これらの化合物を使用することにより耐熱性に優れかつ長寿命の有機EL素子を実現できるとしている。
特許第2597377号公報 特開2000−273056号公報
しかしながら、上記特許文献1において、ホール注入層として用いられている銅フタロシアニン(CuPc)は、赤色領域(600nm〜700nm付近)に40%〜50%程度の吸収を有する。赤色領域はただでさえ視感度が悪いのに加え、素子内部で発生する光が、ホール注入層として用いられているCuPcに吸収されてしまうと、外部へ取り出される光の割合が少なくなり、発光効率が低下する。また、現在開発されている赤色発光材料には他の色の材料より発光効率等に課題があることも多い。そのため、CuPcに代わってホール注入層に使用することができ、かつ赤色領域において吸収の少ない新規の材料の開発が必要である。
また、CuPcは蒸着温度が高く、蒸着に要する時間がかかるという問題点もあった。したがって、蒸着温度が低く、かつ安定な新規の材料の開発が必要である。
また、アミノ又はスチリル化合物を使用した有機EL素子に関する特許文献2においては、赤色発光素子についての具体的な記載はない。
本発明は、赤色領域において吸収の少なく、安定な、新規のアズレン誘導体を得る。
さらに本発明は、発光効率が高い有機電界発光素子を得る。また、本発明は赤色について発光効率が高い有機電界発光素子を得る。
本発明は、ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を少なくとも1つ有する。
また、前記アズレン誘導体において、前記アズレン誘導体は、分子中にアズレン骨格を1つ含むことが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記アズレン誘導体は、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を1位,3位の少なくとも1つに有することが好ましい。
また、本発明は、下記式(1)で表されるアズレン誘導体である。

(式中、R〜Rのうち少なくとも1つは、下記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であり、残りのR〜Rはそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R及びRは、水素原子以外の置換基である。)

(式中、R及びR10はそれぞれアルキル基を表し、R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。)
また、前記アズレン誘導体において、前記RまたはRのうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記R及びRはそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記R及びRは、同一の置換基、または異なる置換基とすることができる。
また、前記アズレン誘導体において、前記R及びRのいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記アズレン誘導体は、分子中に1,1’−ビアズレン骨格を1つ含むことが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記アズレン誘導体は、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を3位,3’位の少なくとも1つに有することが好ましい。
また、本発明は、下記式(7)で表されるアズレン誘導体である。

(式中、R12〜R25のうち少なくとも1つは、下記式(2)〜下記式(6)で示される骨格から選択される骨格を含む置換基であり、残りのR12〜R25はそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R13及びR24は、水素原子以外の置換基である。)

(式中、R及びR10はそれぞれアルキル基を表し、R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。)
また、前記アズレン誘導体において、前記R13またはR24のうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記R13及びR24はそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、前記アズレン誘導体において、前記R13及びR24は、同一の置換基、または異なる置換基とすることができる。
また、前記アズレン誘導体において、前記R13及びR24のいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、本発明は、有機層を備える有機電界発光素子であって、請求項1〜15のいずれか1つに記載のアズレン誘導体を前記有機層中に含む。
さらに、本発明は、ホール注入層を備える有機電界発光素子であって、請求項1〜15のいずれか1つに記載のアズレン誘導体を前記ホール注入層中に含む。
本発明は、特定の構造を含む置換基を導入したアズレン誘導体であるから、赤色領域において吸収の少ない、安定な、新規の化合物を提供することができる。
また、本発明は、発光効率が高い有機電界発光素子、また発光効率が高い赤色有機電界発光素子を実現することができる。
本発明の実施形態について以下説明する。
(実施形態1:アズレン誘導体)
本発明の実施形態に係るアズレン誘導体は、ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を少なくとも1つ有する。
ここで、ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造は、以下の式(2)〜(6)に示される通りである。
ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基は、ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造から選択される構造を置換基内に含んでいればよく、その結合位置は問わない。また、該置換基内の各ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造は、水素原子以外に、その骨格に少なくとも1つの置換基を有していても良い。
ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造が有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基等が挙げられる。これらの置換基としてはこのうち、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシル基、シアノ基、ハロゲン基が好ましい。
なお、上記式(2)で示されるジアルキルアニリン構造中のR,R10としては、それぞれ独立して直鎖、分岐、環状のアルキル基であれば特に制限はないが、炭素数1〜6の直鎖、分岐、環状のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基;エチル基;直鎖、分岐または環状のプロピル基;直鎖、分岐または環状のブチル基;直鎖、分岐または環状のペンチル基;直鎖、分岐または環状のヘキシル基等が挙げられる。化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、炭素数6以下であることが好ましく、炭素数4以下であることがより好ましい。
また、上記式(2)〜(6)で示される構造を含む置換基は、各構造とアズレン環とが直接結合してもよいし、各構造とアズレン環とが連結基を介して結合してもよい。
連結基としては、例えば、−(CH−(n=1〜10),−CH=CH−,−O−,−S−,−C≡C−,等が挙げられる。
また、上記式(2)で示されるジアルキルアニリン構造を含む置換基の場合、ジアルキルアニリン構造のベンゼン環とアズレン環とが直接又は前記連結基を介して結合することが好ましい。
また、上記式(4)で示されるカルバゾール構造を含む置換基の場合、R11の位置でアズレン環と結合してもよいし、カルバゾール構造のベンゼン環とアズレン環とで結合してもよい。カルバゾール構造のベンゼン環とアズレン環とで結合する場合、すなわち、R11の位置でアズレン環と結合しない場合、R11としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。
11のアルキル基としては、上記R,R10と同様のものが挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐または環状のアルケニル基であれば特に制限はないが、炭素数2〜6の直鎖、分岐または環状のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基;直鎖、分岐または環状のプロペニル基;直鎖、分岐または環状のブテニル基;直鎖、分岐または環状のペンテニル基;直鎖、分岐または環状のヘキセニル基等が挙げられる。化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、炭素数6以下であることが好ましく、炭素数4以下であることがより好ましい。
アルキニル基としては、直鎖または分岐のアルキニル基であれば特に制限はないが、炭素数2〜6の直鎖または分岐のアルキニル基であることが好ましく、例えば、アセチレン基;プロピニル基;直鎖または分岐のブチニル基;直鎖または分岐のペンチニル基;直鎖または分岐のヘキシニル基等が挙げられる。化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、炭素数6以下であることが好ましく、炭素数4以下であることがより好ましい。
アリール基としては、例えば、下記式で示すいずれかの芳香族環が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、下記式で示すいずれかの複素芳香族環が挙げられる。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、分子中にアズレン骨格を1つ含むことが好ましい。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、分子中にアズレン骨格を1つ含み、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を1位,3位の少なくとも1つに有することが好ましい。ここで、1位とは下記式(1)で表されるアズレン骨格のR1の位置を、3位とはR3の位置をいう。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、下記式(1)で表されるアズレン誘導体であることが好ましい。

(式中、R〜Rのうち少なくとも1つは、上記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であり、残りのR〜Rはそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R及びRは、水素原子以外の置換基である。)
上記式(1)で示されるアズレン誘導体は安定な化合物であるが、1位及び3位(R及びRの位置)の反応性が高い傾向にあり、R及びRが水素原子以外の置換基であること(すなわち1位及び3位が置換されていること)により化合物の安定性がより向上する。これにより、本実施形態に係るアズレン誘導体を、例えば有機EL素子等の有機層に使用したときに温度、電流等に対する安定性が向上する。
ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基としては、上記R11で定義したものと同様のものが挙げられる。
アルコキシル基としては、直鎖、分岐、環状のアルコキシル基であれば特に制限はないが、炭素数1〜6の直鎖、分岐、環状のアルコキシル基であることが好ましく、例えば、メトキシ基;エトキシ基;直鎖、分岐または環状のプロポキシ基;直鎖、分岐または環状のブトキシ基;直鎖、分岐または環状のペンチルオキシ基;直鎖、分岐または環状のヘキシルオキシ基等が挙げられる。化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、炭素数6以下であることが好ましく、炭素数4以下であることがより好ましい。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、ナフトイル基、等の芳香族アシル基等が挙げられる。
アシロキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、等の脂肪族アシロキシ基;ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基、アニソイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、等の芳香族アシル基等が挙げられる。
エステル基としては、メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基,直鎖、分岐または環状のプロポキシカルボニル基,直鎖、分岐または環状のブトキシカルボニル基,直鎖、分岐または環状のペンチルオキシカルボニル基,直鎖、分岐または環状のヘキシルオキシカルボニル基等の脂肪族エステル基;フェノキシカルボニル基、トリルカルボニル基、アニシルカルボキシ基等の芳香族エステル基等が挙げられる。
ハロゲン基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記式(1)における、R〜Rのうちの上記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基以外の残りのR〜Rとしては、化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記式(1)で示されるアズレン誘導体において、前記RまたはRのうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、上記式(1)で示されるアズレン誘導体において、前記R1及びR3はそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、この時、前記R及びRは、同一の置換基であってもよく、前記R1及びR3は、異なる置換基であってもよい。
さらに、上記式(1)で示されるアズレン誘導体において、前記R及びRのいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、分子中に1,1’−アズレン骨格を1つ含むことが好ましい。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、分子中に1,1’−アズレン骨格を1つ含み、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を3位,3’位の少なくとも1つに有することが好ましい。ここで、3位とは下記式(7)で表されるアズレン骨格のR13の位置を、3’位とは下記式(1)のR24の位置をいう。
また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、下記式(7)で表されるアズレン誘導体であることが好ましい。

(式中、R12〜R25のうち少なくとも1つは、上記式(2)〜上記式(6)で示される骨格から選択される骨格を含む置換基であり、残りのR12〜R25はそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R13及びR24は、水素原子以外の置換基である。)
上記式(7)で示されるアズレン誘導体は安定な化合物であるが、3位及び3’位(R13及びR24の位置)の反応性が高い傾向にあり、R13及びR24が水素原子以外の置換基であること(すなわち3位及び3’位が置換されていること)により化合物の安定性がより向上する。これにより、本実施形態に係るアズレン誘導体を、例えば有機EL素子等の有機層に使用したときに温度、電流等に対する安定性が向上する。また、上記式(7)で示されるアズレン誘導体は、上記式(1)で示されるアズレン誘導体に比べて熱安定性が高い傾向にある。
ここで、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,エステル基,ハロゲン基としては、上記定義したものと同様のものが挙げられる。
上記式(7)における、R12〜R25のうちの上記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基以外の残りのR12〜R25としては、化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記式(7)で示されるアズレン誘導体において、前記R13またはR24のうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、上記式(7)で示されるアズレン誘導体において、前記R13及びR24はそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
また、この時、前記R13及びR24は、同一の置換基であってもよく、前記R13及びR24は、異なる置換基であってもよい。
さらに、上記式(7)で示されるアズレン誘導体において、前記R13及びR24のいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることが好ましい。
本実施形態1におけるアズレン誘導体としては、具体的には、下記式で示される化合物が挙げられる。

アズレン誘導体は、平面状であり、熱力学的に安定である。本実施形態1に係るアズレン誘導体は、化合物の安定性、薄膜の安定性、蒸着のしやすさ等の点において優れる。また、本実施形態1に係る特定の構造を含む置換基を導入したアズレン誘導体は、アズレン骨格にジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造を含む置換基を導入することにより、赤色領域において吸収が少なくなり、例えば、オレンジ色の有機EL素子等の有機層に使用すると、発光効率の低下を抑制することができる。また、本実施形態1に係るアズレン誘導体は、例えば、従来有機EL素子のホール注入層に使用されている銅フタロシアニン(CuPc)に比べて、低温で真空蒸着することができるため、蒸着に要する時間を短縮することができ、また、素子等作成時の装置の消費電力を抑えることができる等の利点がある。
本実施形態1に係るアズレン誘導体は、例えば、有機EL素子の有機層、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層等用の材料として、特にホール注入層用の材料として好適に使用することができる。また、本実施形態に係るアズレン誘導体は、有機EL素子に限らず、表示素子,コンピュータ,テレビ,携帯電話,デジタルカメラ,PDA,カーナビゲーション等のディスプレイやバックライト;照明、インテリア、標識、交通信号機、看板など;CD,DVD等の記録光源、読み取り光源;複写機、スキャナ等の光源;CD−R,DVD−R等の記録用光ディスクの記録層用色素;レーザー色素;増感色素;医療診断用蛍光薬剤;等の幅広い分野に好適に使用することができる。
(実施形態2:有機EL素子)
次に、本発明の実施形態1に係るアズレン誘導体を使用した有機EL素子の実施形態について説明する。
図1は、有機EL素子の概略断面構造を示す。この有機EL素子は、概略すると、基板10上に、ホール注入電極12、有機層20、電子注入電極14がこの順に形成されている。ガラス、プラスチック等の透明基板10上には、仕事関数の大きい例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性材料を用いてホール注入電極12が形成される。ホール注入電極12の膜厚は、10nm〜500nmの範囲であることが好ましい。ホール注入電極12上には少なくとも1層の有機層20が形成されている。
有機層20は、少なくとも発光層26を備え、用いる有機化合物の機能等によって層構造が異なる。発光層の単層構造の他;ホール輸送層/発光層、発光層/電子輸送層等の2槽構造;ホール輸送層/発光層/電子輸送層の3層構造;あるいはさらにホール注入層、電子注入層を備える多層構造を採用することが可能である。本実施形態では、図1に示すように、ホール注入電極12側から順に、ホール注入層22/ホール輸送層24/発光層26/ホールブロック層28/電子輸送層30が積層されている。もちろんこれらの積層構造に限定されるものではなく、様々な組み合わせが採用可能である。
有機層20上には、電子注入電極14が形成される。この電子注入電極14は、例えば、図1に示すようにLiF層(電子注入層)とAl電極等との積層体により構成することができる。また、Al電極の単独層により電子注入電極14を構成することもできる。また、Alの他にも、例えば、Mg−Ag合金、Al−Li合金等を使用することができる。電子注入電極14は、真空蒸着法によって形成されることが好ましいが、スパッタリング法またはイオンプレイティング法等によって形成されてもよい。電子注入電極14の膜厚としては、0.1nm〜100nmの範囲であることが好ましい。
本実施形態2では、以上のような構成の有機EL素子において上記実施形態1で説明したアズレン誘導体を用いる。このアズレン誘導体は、ホール注入層22、ホール輸送層24、発光層26、ホールブロック層28、電子輸送層30、電子注入層等の有機薄膜用の材料として用いることができるが、特にホール注入層22の材料として用いることが好ましい。ここで、前記アズレン誘導体は、赤色領域において吸収が少ないため、素子内部で発生した光が吸収されにくく、外部に取り出される光の割合が多くなり、発光効率が向上する。この効果は、特にオレンジ色有機EL素子の場合に顕著に現われる。この化合物をホール注入層22用の材料として用いることで高効率の有機EL素子を実現することができる。
また、実施形態1に係るアズレン誘導体をホール注入層22に使用することにより、ITOなど仕事関数の大きい正孔注入電極12から有機発光層26への正孔注入効率を向上させることができる。
また、実施形態1に係るアズレン誘導体は、ホール注入層22用の材料として、単独で使用してもよいが、下記式で示される銅フタロシアニン(CuPc)、スターバーストアミン、バナジウム酸等の公知の材料と組み合わせてホール注入層22を形成してもよい。ホール注入層22の膜厚としては、0.1nm〜50nmの範囲であることが好ましく、0.1nm〜10nmの範囲であることがより好ましい。
次に、実施形態1に係るアズレン誘導体と共に有機EL素子の有機層20に使用可能な材料の例を説明する。
ホール注入層22の上に形成されたホール輸送層24に用いる材料としては、ホール輸送機能を備えていれば特に限定されないが、例えば、トリフェニルアミンの多量体を使用することができ、一例としては、下記式に示すα−NPD(4,4'-Bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl)、下記式に示すTPTE(triphenylamine tetramer)を使用することができる。ホール輸送層24の膜厚としては、1nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
発光層26は、目的とする発光色、輝度などに応じて最適な有機発光材料を含んでいる。この発光層26は、発光材料の単独層、発光材料がゲスト材料としてホスト材料中に少量ドープされた混合層、多色発光を実現するため、異なる発光材料層が積層された多層構造など、様々な構成が採用可能である。発光層26としては、蛍光を発する有機化合物を用いることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、燐光を発する有機金属錯体等を使用することもできる。また、発光色度の調整や発光効率を増加させることを目的として、発光層26中に有機分子をドーピングすることも好適である。発光層26の膜厚としては、1nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
発光材料としては、例えば、下記式で示されるアルミキノリノール錯体(Alq:Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III))、下記式で示される(DPVBi:4,4'-Bis[(2,2-diphenyl)vinyl-1-yl]-1,1'-biphenyl)等を採用することができる。あるいは、このAlqをホスト材料として他の発光色素のドーパント材料などを用いてもよい。もちろん、発光機能を備える他の材料を用いることもできる。
蛍光発光用のドーパント材料としては、青色蛍光用としては例えば、下記式に示されるようなBis[4-(N,N-diphenylamino)styryl]-9,10-Anthrathene等が挙げられる。オレンジ色蛍光用としては例えば、下記式に示されるようなDCJTB(4-(dicyanomethylene)-2-t-butyl-6-(1,1,7,7-tetramethyljulolidyl-9-enyl)-4H-pyran)等が挙げられる。
また、発光材料としては、燐光発光用のホスト材料及びドーパント材料を使用してもよい。ホスト材料としては、カルバゾール基を含む化合物を採用することができ、例えば、下記式に示すようなバイポーラ性の4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP:4,4'-N,N'-dicarbazole-biphenyl)を用いることができる。また、下記式に示すようなホール輸送性の4,4’,4”−トリス(カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)を用いることも可能である。ドーパント材料としては、青色燐光用としては例えば下記式に示される、FIrpic(Iridium(III)bis(2-(4,6-difluorophenyl)pyridinato-N,C2')picolinate)等が挙げられる。緑色燐光用としては例えば下記式に示される、Ir(ppy)(tris(2-phenylpyridine) iridium(III))等が挙げられる。赤色燐光用としては例えば下記式に示される、Ir(piq)(tris(2-phenylisoquinoline) iridium (III))等が挙げられる。
また、必ずしも必要ではないが発光層26と電子輸送層30との間にホールブロック層28を形成してもよい。ホールブロック層28の形成により、発光層26として例えば、TCTA等のホール輸送性材料を燐光発光のホストとして使用した場合に、発光層26からの電子注入電極14側へのホールの流出をより確実にブロックすることができ、例えば、電子輸送層30にAlq等を用いている場合に電位輸送層30にホールが流れ込むことでこのAlq等が発光したり、ホールを発光層に閉じ込めることができずに発光効率が低下するなどといった問題を防止することができる。ホールブロック層28に用いる材料としては、下記式に示すTPBI(2,2',2''-(1,3,5-phenylene)tris[1-phenyl-1H-benzimidazole)や、下記式に示すバソクプロイン(BCP)や、下記式に示すBAlq(Aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato) 4-phenylphenolate)等を挙げることができる。ホールブロック層28の膜厚としては、0.1nm〜100nmの範囲であることが好ましく、0.1nm〜30nmの範囲であることがより好ましい。
また、電子輸送層30に用いる材料としては、電子輸送機能を備えていれば特に限定されないが、例えば、上記アルミキノリノール錯体(Alq:Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III))等を使用することができる。電子輸送層30の膜厚としては、1nm〜200nmの範囲であることが好ましい。
次に、実施形態1に係るアズレン誘導体を燐光発光のためのホスト材料として用いた、本実施形態2に係る有機EL素子の発光原理について説明する。
ホール注入電極12と、電子注入電極14とから、ホール及び電子を有機層20に注入すると、ホールはホール注入層22、ホール輸送層24を介して、電子は電子輸送層30及びホールブロック層28を介して輸送され、発光層26に到達し、ホールと電子は再結合する。このホールと電子の再結合により、まず発光層26中のホスト材料が励起状態となる。この励起状態には、電子スピンの向きが反平行である一重項励起状態と、電子スピンの向きが平行である三重項励起状態とがある。発光層26に蛍光発光用材料を使用した場合には、一重項励起状態から蛍光を発生する発光形態をとり、発光層26に燐光発光用のホスト材料及びドーパント材料を使用した場合には、ホスト材料の励起エネルギーは、ドーパント材料に移動し、ドーパント材料は、それぞれ一重項励起状態及び三重項励起状態となる。ドーパント材料の一重項励起状態は、さらに三重項励起状態に移動し、最終的に三重項励起状態からの燐光発光が主となる発光形態をとる。発光層26で発生した光は、透明な電子注入電極14を介して素子表面側から取り出される。外部量子効率を向上させるためには、励起状態のうち75%を占める三重項励起状態からの発光、すなわち燐光を利用することが好ましい。
本実施形態2においては、実施形態1に係るアズレン誘導体をホール注入層用材料として使用すると、赤色領域において吸収が少ないために、特にオレンジ色の有機EL素子に使用すると、発光効率の低下を抑制することができる。また、このアズレン誘導体のアズレン骨格上の、ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造を含む置換基の、置換位置、置換数や、ジアルキルアニリン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、フェニルカルバゾール構造及びビフェニル構造上の置換基を変更することによって、HOMO、LUMOのレベル、バンドギャップの幅(吸収波長)を調整することができ、青色、緑色、赤色の各発光に最適化した有機層20用の材料、特にホール注入層22用の材料を設計することができる。特に、このアズレン誘導体は従来ホール注入層22用の材料として使用されているCuPcに比べて、極めて優れたオレンジ色発光のホール注入層22用の材料として使用することができる。
本実施形態2に係る有機EL素子は、表示素子,コンピュータ,テレビ,携帯電話,デジタルカメラ,PDA,カーナビゲーション等のディスプレイ;バックライト等の光源;照明;インテリア;標識;交通信号機;看板などに好適に使用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<1,3−ビス(ビフェ−4−イル)アズレン:アズレン誘導体1の合成>

上記式に示す1,3−ジヨードアズレン 0.38g(1.0mmol)、4−ビフェニルホウ酸 0.65g(3.0mmol)、炭酸セシウム 1.30g(4.0mmol)、Pd(dppf) 0.061g(0.05mmol)、BINAP 0.031g(0.05mmol)を、乾燥トルエン 10mLに懸濁させ、十分に脱気した後、アルゴン雰囲気下で攪拌下加熱還流した。2時間還流し、放冷後、反応混合物を炭酸水素ナトリウム水 50mLに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:9)により精製し、下記式に示す目的物1,3−ビス(ビフェ−4−イル)アズレン(アズレン誘導体1)を0.15g(収率35%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR:JEOL製、α400型)、質量分析装置(MASS)(JEOL製、JMS−700型)により確認した。
緑色針状結晶、融点:243〜245℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 7.16 (t, J = 9.8 Hz, 2H), 7.38 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.49 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 7.61 (t, J = 10.0 Hz, 1H), 7.72 (m, 12H), 8.21 (s, 1H), 8.62 (d, J = 4.80 Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 123.7, 127.1, 127.3, 127.4, 127.6, 128.8, 130.2, 136.3, 136.9, 137.1, 139.1, 139.3, 140.9
MS (70 eV) m/z = 432 (M+, 100)
(実施例2)
<1,3−ビス(4−〔N,N−ジメチルアミノ〕フェニル)アズレン:アズレン誘導体2の合成>

上記式に示す1,3−ジブロモアズレン 0.29g(1.0mmol)、4−ジメチルアミノフェニルホウ酸 0.50g(3.0mmol)、フッ化セシウム 0.61g(4.0mmol)、Pd(dba) 0.092g(0.1mmol)、(t−Bu)PHBF 0.58g(2.0mmol)を、乾燥トルエン 10mLに懸濁させ、十分に脱気した後、アルゴン雰囲気下で攪拌下加熱還流した。7時間還流し、放冷後、反応混合物を炭酸水素ナトリウム水 50mLに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=2:8)により精製し、下記式に示す目的物1,3−ビス(4−〔N,N−ジメチルアミノ〕フェニル)アズレン(アズレン誘導体2)を0.084g(収率23%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、質量分析装置(MASS)により確認した。
緑色固体、融点:151〜155℃
1H NMR (acetone-d6 -TMS) δ ppm = 8.44 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 8.02 (s, 1H), 7.53 (t, J = 9.8, 1H), 7.50 (dt, J = 8.8, 2.5, 4H), 7.03 (t, J = 10.0, 2H), 6.91 (dt, J = 8.4, 2.5, 2H), 3.00 (s, 12H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δ ppm = 150.5, 139.7, 137.0, 136.8, 136.7, 131.7, 131.1, 126.1, 123.1, 113.7, 40.7
MS (70 eV) m/z = 366 (M+, 100)
(実施例3)
<1,3−ビス(4−〔N,N−ジフェニルアミノ〕フェニル)アズレン:アズレン誘導体3の合成>
1,3−ジヨードアズレン 0.38g(1.0mmol)、4−ブロモフェニルホウ酸 0.60g(3.0mmol)、炭酸セシウム 0.61g(4.0mmol)、Pd(dppf) 0.061g(0.05mmol)、BINAP 0.031g(0.05mmol)を、乾燥トルエン 10mLに懸濁させ、十分に脱気した後、アルゴン雰囲気下で攪拌下加熱還流した。5時間還流し、放冷後、反応混合物を炭酸水素ナトリウム水 50mLに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:9)により精製し、下記式に示す1,3−ビス(4−ブロモフェニル)アズレンを0.23g(収率53%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、質量分析装置(MASS)により確認した。
緑色針状結晶、融点:191〜195℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 7.17 (t, J = 10.0 Hz, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.62 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 8.04 (s, 1H), 8.48 (d, J = 9.6 Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 120.7, 124.1, 129.3, 131.3, 131.8, 135.9, 136.2, 136.7, 136.8, 139.4
MS (70 eV) m/z = 440, 438, 436 (M+, 40, 100, 53)
上記1,3−ビス(4−ブロモフェニル)アズレン 0.29g(1.0mmol)、ヨウ化銅(I) 0.023g(0.12mmol)、N,N−ジフェニルアミン 0.51g(3.0mmol)、酢酸パラジウム 0.0067g(0.03mmol)、(t−Bu)PHBF 0.017g(0.06mmol)、t−BuONa 0.29g(3.0mmol)を、乾燥トルエン 10mLに懸濁させ、十分に脱気した後、窒素雰囲気下で攪拌下加熱還流した。7時間還流し、放冷後、反応混合物を水 50mLに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=2:8)により精製し、下記式に示す目的物1,3−ビス(4−〔N,N−ジフェニルアミノ〕フェニル)アズレン(アズレン誘導体3)を 0.54g(収率89%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、質量分析装置(MASS)により確認した。
緑色針状結晶、融点:278〜281℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 7.04 (t, J =7.4Hz, 4H), 7.07 (t, J = 10.0Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.4Hz, 8H), 7.21 (d, J = 8.8Hz, 4H), 7.29 (t, J = 8.0Hz, 8H), 7.51 (d, J = 8.8Hz, 4H), 7.54 (t, J = 10.0Hz, 1H), 8.09 (s, 1H), 8.53 (d, J = 10.0Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 122.8, 123.1, 124.1, 124.4, 129.3, 130.2, 130.4, 131.3, 136.1, 136.5, 136.8, 138.9, 146.3, 147.8
MS (70 eV) m/z = 610 (M+, 100)
(実施例4)
<1,3−ビス〔4−(カルバゾル−9−イル)フェニル〕アズレン:アズレン誘導体4の合成>
1,3−ジヨードアズレン 0.38g(1.0mmol)、4−(カルバゾル−9−イル)フェニルホウ酸 0.86g(3.0mmol)、炭酸セシウム 0.61g(4.0mmol)、Pd(dppf) 0.061g(0.05mmol)、BINAP 0.031g(0.05mmol)を、乾燥トルエン 10mLに懸濁させ、十分に脱気した後、アルゴン雰囲気下で攪拌下加熱還流した。7時間還流し、放冷後、反応混合物を炭酸水素ナトリウム水 50mLに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=2:8)により精製し、下記式に示す目的物1,3−ビス〔4−(カルバゾル−9−イル)フェニル〕アズレン(アズレン誘導体4)を 0.15g(収率24%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、質量分析装置(MASS)により確認した。
緑色針状結晶、融点:261〜263℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 7.25 (t, J = 9.6Hz, 2H), 7.33 (t, J = 7.4Hz, 4H), 7.47 (t, J = 7.7Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8.3Hz, 4H), 7.70 (t, J = 10.0Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.1Hz, 4H), 7.92 (d, J = 8.1Hz, 2H), 8.19 (t, J = 7.1Hz, 4H), 8.32 (s, 1H), 8.73 (d, J = 10.0Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 109.9, 120.0, 120.3, 123.4, 124.1, 126.0, 127.3, 129.7, 131.0, 136.1, 136.4, 137.0, 137.2, 139.5, 141.0
MS (70 eV) m/z = 610 (M+, 100)
(実施例5)
<1,3−ビス{〔4−(カルバゾル−9−イル)フェニル〕エチニル}アズレン:アズレン誘導体5の合成>
(PhP)PdCl 0.044g(0.063mmol)、PhP 0.066g(0.252mmol)、CuI 0.072g(0.315mmol)、トリメチルシリルアセチレン 2.8mL(35mmol)をトリエチルアミン 30mLに懸濁させ、窒素脱気した後、50℃で1時間撹拌した。この混合物に、9−(4−ヨードフェニルカルバゾール) 3.0g(8.13mmol)を添加し、さらに3時間撹拌した。溶媒を減圧下留去して、析出した固体を濾過して除去し、固体をエーテルでよく洗浄した。濾液を合わせ、2N塩酸、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;トルエン:ヘキサン=3:7)により精製し、トリメチルシリル体を2.438g(収率92%)を得た。次に、この化合物0.496g(1.47mmol)を炭酸カリウム 0.041g(2.95mmol)とメタノール20mLに溶解させ、この溶液を窒素気流下50℃で3時間加熱攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=3:97)により精製し、下記式に示す4−(カルバゾ−9−イル)フェニルエチンを0.30g(収率77%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、質量分析装置(MASS)により確認した。
黄色針状結晶、融点:102〜105℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 3.18 (s, 1H), 7.30 (m, 2H), 7.41 (m, 4H) 7.55 (dm, J = 8.8 Hz, 2H), 7.73 (dm, J = 8.8 Hz, 2H), 8.14 (dm, J = 7.8 Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 78.1, 82.9, 109.7, 120.3, 120.4, 121.1, 123.6, 126.1, 126.8, 133.7, 138.2, 140.5
MS (70 eV) m/z = 267 (M+, 100)
1,3−ジヨードアズレン 0.38g(1.0mmol)、ヨウ化銅(I) 0.023g(0.12mmol)、4−(カルバゾ−9−イル)フェニルエチン 0.27g(3mmol)、(PhP)PdCl 0.017g(0.024mmol)、PhP 0.025g(0.096mmol)をトリエチルアミン 10mLに懸濁させ、窒素雰囲気下で、5時間攪拌下加熱還流させた。溶媒を減圧下留去した後、エーテル50mLを加えて、不溶な固体をエーテル濾過して除去し、濾液を2N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=2:8)により精製し、下記式に示す1,3−ビス{〔4−(カルバゾル−9−イル)フェニル〕エチニル}アズレン(アズレン誘導体5)を 0.16g(収率25%)得た。構造は核磁気共鳴装置(NMR)(H−NMR,13C−NMR)、元素分析(EA)により確認した。
緑色針状結晶、融点:214〜216℃
1H NMR (CDCl3-TMS) δppm = 7.32 (t-like, J = 7.9Hz, 4H), 7.41 (t, J = 9.8Hz, 2H), 7.44 (td, J = 7.4Hz, 1.2Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8.1Hz, 4H), 7.62 (dm, J = 8.5Hz, 4H), 7.78 (t, J = 9.9Hz, 1H), 7.87 (dm, J = 8.3Hz, 4H), 8.16 (d, J = 7.8Hz, 4H), 8.24 (s, 1H), 8.69 (d, J = 9.5Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3-TMS) δppm = 85.9, 93.6, 109.8, 110.5, 120.2, 120.4, 122.9, 123.6, 125.0, 126.0, 126.1, 126.9, 132.9, 137.2, 137.2, 140.2, 141.7, 142.2
E.A. cacld for C50H30N2・0.8H2O : C: 89.21, H: 4.73, N: 4.16%, found : C: 89.17, H: 4.80, N: 3.87%
<緑色有機EL素子の作製>
(実施例6)
実施例1で合成した、アズレン誘導体1をホール注入層として用いて緑色有機EL素子を作製した。
ITOの透明電極が予め150nmの膜厚で形成されているガラス基板を有機洗浄、純水洗浄、乾燥、UVオゾン処理を行った。その基板を直ちに真空チャンバへ導入後、Ar+Oプラズマ処理を行った。真空度5×10−7Torrで、アズレン誘導体1を10nm真空蒸着してホール注入層を、TPTEを50nm真空蒸着してホール輸送層を形成した。アズレン誘導体1の蒸着温度は155℃であった。その上に発光層及び電子輸送層としてAlqを60nm堆積した。この上に、LiFを0.5nm、Alを100nm蒸着し金属電極を形成した。この素子をin-situで高真空排気した別チャンバへ搬送し、チャンバ内を孤立系にした後、1気圧の高純度窒素で置換した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて封止ガラスの端部を透明電極の表面に密着し密封し、有機EL素子を得た。このようにして形成した有機EL素子に直流電圧を印加し、連続駆動させて発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体1の代わりに、実施例2で合成したアズレン誘導体2を使用した以外は、実施例6と同様にして、緑色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。アズレン誘導体2の蒸着温度は140℃であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体1の代わりに、実施例3で合成したアズレン誘導体3を使用した以外は、実施例6と同様にして、緑色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。アズレン誘導体3の蒸着温度は200℃であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体1の代わりに、実施例4で合成したアズレン誘導体4を使用した以外は、実施例6と同様にして、緑色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。アズレン誘導体4の蒸着温度は235℃であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体1の代わりに、銅フタロシアニン(CuPc)を使用した以外は、実施例6と同様にして、緑色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。CuPcの蒸着温度は340℃であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
アズレン誘導体1のホール注入層10nm、及びTPTEのホール輸送層50nmの代わりに、ホール注入層は設けずに、ホール輸送層としてTPTEを60nmとした以外は、実施例6と同様にして、緑色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表1に示す。
このように、実施例7〜9で作製した有機EL素子は、比較例1に比べて輝度、輝度半減期は同等以上であった。また、実施例8,9の有機EL素子は、比較例1に比べて駆動電圧が低くなっており、低消費電力化を図ることができる。
<オレンジ色有機EL素子の作製>
(実施例10)
実施例2で合成した、アズレン誘導体2をホール注入層として用いてオレンジ色有機EL素子を作製した。
ITOの透明電極が予め150nmの膜厚で形成されているガラス基板を有機洗浄、純水洗浄、乾燥、UVオゾン処理を行った。その基板を直ちに真空チャンバへ導入後、Ar+Oプラズマ処理を行った。真空度5×10−7Torrで、アズレン誘導体2を10nm真空蒸着してホール注入層を、TPTEを30nm真空蒸着してホール輸送層を形成した。その上に発光層のホスト及びドーパントとしてAlqとDCJTBを40nm堆積した(DCJTBのドープ比率は1.2〜1.5重量%)。この上に、電子輸送層としてAlqを40nm堆積した。さらに、LiFを0.5nm、Alを100nm蒸着し金属電極を形成した。この素子をin-situで高真空排気した別チャンバへ搬送し、チャンバ内を孤立系にした後、1気圧の高純度窒素で置換した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて封止ガラスの端部を透明電極の表面に密着し密封し、有機EL素子を得た。このようにして形成した有機EL素子に直流電圧を印加し、連続駆動させて発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例11)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体2の代わりに、実施例3で合成したアズレン誘導体3を使用した以外は、実施例10と同様にして、オレンジ色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例12)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体2の代わりに、実施例4で合成したアズレン誘導体4を使用した以外は、実施例10と同様にして、オレンジ色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体2の代わりに、銅フタロシアニン(CuPc)を使用した以外は、実施例10と同様にして、オレンジ色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
アズレン誘導体2のホール注入層10nm、及びTPTEのホール輸送層30nmの代わりに、ホール注入層は設けずに、ホール輸送層としてTPTEを40nmとした以外は、実施例10と同様にして、オレンジ色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表2に示す。
このように、実施例10〜12で作製した有機EL素子は、比較例3に比べて輝度が向上している。特に実施例10の有機EL素子は輝度が約2倍向上している。また、アズレン誘導体2,3を使用した場合は、発光波長が620nm以上となっており、より純度の高い赤色となっている。さらに、実施例10の有機EL素子は、比較例3に比べて輝度が約2倍と高いにもかかわらず、素子寿命が長かった。
<青色有機EL素子の作製>
(実施例13)
実施例2で合成した、アズレン誘導体2をホール注入層として用いて青色有機EL素子を作製した。
ITOの透明電極が予め150nmの膜厚で形成されているガラス基板を有機洗浄、純水洗浄、乾燥、UVオゾン処理を行った。その基板を直ちに真空チャンバへ導入後、Ar+Oプラズマ処理を行った。真空度5×10−7Torrで、アズレン誘導体2を10nm真空蒸着してホール注入層を、TPTEを50nm真空蒸着してホール輸送層を形成した。その上に発光層としてDPVBiを40nm堆積した。この上に、電子輸送層としてAlqを20nm堆積した。さらに、LiFを0.5nm、Alを100nm蒸着し金属電極を形成した。この素子をin-situで高真空排気した別チャンバへ搬送し、チャンバ内を孤立系にした後、1気圧の高純度窒素で置換した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて封止ガラスの端部を透明電極の表面に密着し密封し、有機EL素子を得た。このようにして形成した有機EL素子に直流電圧を印加し、連続駆動させて発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
ホール注入層用の材料として、アズレン誘導体2の代わりに、銅フタロシアニン(CuPc)を使用した以外は、実施例13と同様にして、青色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例6)
アズレン誘導体2のホール注入層10nm、及びTPTEのホール輸送層50nmの代わりに、ホール注入層は設けずに、ホール輸送層としてTPTEを60nmとした以外は、実施例13と同様にして、青色有機EL素子を作製し、発光効率、ELスペクトル、素子寿命の測定を行った。結果を表3に示す。
このように、実施例13で作製した有機EL素子は、比較例5に比べて輝度は同等であったが、素子寿命が長くなった。
<透過率測定>
石英基板の上に、実施例2で合成したアズレン誘導体2を100nm真空蒸着した。分光光度計(日立製、HITACHI330 Spectrophotometer)により、この試料の透過率を測定した。波長300nm〜800nmの領域における透過率の結果を図2に示す。
同様にして、CuPc薄膜(厚さ:100nm)の透過率を測定した。結果を図2に示す。
図2からわかるように、アズレン誘導体2の薄膜と、CuPcの薄膜とでは、オレンジ色〜赤色領域における透過率に大きな差がある。(アズレン誘導体2の透過率が高い。)
石英基板の上に、実施例2で合成したアズレン誘導体2を10nm真空蒸着した。同様にして実施例3,4で合成したアズレン誘導体3、アズレン誘導体4をそれぞれ10nm真空蒸着した。分光光度計により、これらの試料の透過率を測定した。波長300nm〜800nmの領域における透過率の結果を図3に示す。
同様にして、CuPc薄膜(厚さ:10nm)の透過率を測定した。結果を図3に示す。
図3からわかるように、アズレン誘導体2、アズレン誘導体3、アズレン誘導体4の各薄膜と、CuPcの薄膜とでは、オレンジ色〜赤色領域における透過率に大きな差があるアズレン誘導体の透過率が高い。)。
<イオン化ポテンシャルの測定>
実施例2で合成したアズレン誘導体2を使用して、Si基板上に真空蒸着法により100nm成膜してサンプルを作成し、光電子分光装置(理研計器製、AC−2型)により、イオン化ポテンシャルを測定した。同様にして実施例3,4で合成したアズレン誘導体3、アズレン誘導体4についてイオン化ポテンシャルを測定した。結果を表4に示す。
同様にして、CuPcのイオン化ポテンシャルを測定した。結果を表4に示す。
このように、アズレン誘導体2のHOMOレベルは5.0eVであり、CuPcのHOMOレベル(5.2eV)に比べて浅い。図4に示すように、アズレン誘導体2は、ホール注入電極のITOとホール輸送層のTPTEとの中間のHOMO順位を備えるため、ホール注入電極からホール輸送層へのホールの注入が容易となると考えられる。
以上のように、実施例1〜5に示すように、安定な新規のアズレン誘導体を合成することができた。これらのアズレン誘導体は、実施例6〜13に示すように、有機EL素子のホール注入層として従来のホール注入層用材料であるCuPcと同等以上の性能を示し、特にオレンジ色有機EL素子としてCuPcに比べて約2倍の輝度を達成することができた。また、緑色、オレンジ色、青色それぞれについてホール注入層用材料として使用可能なことから、白色発光用のホール注入層用材料としても使用することができる。さらに、これらのアズレン誘導体は、CuPcに比べて低温で真空蒸着を行うことができるため、蒸着に要する時間を短縮することでき、製造工程の効率化が図れる。
本発明の実施形態2に係る有機電界発光素子の概略構成を示す図である。 本発明の実施例におけるアズレン誘導体2及びCuPcの薄膜(膜厚100nm)の透過スペクトルを示す図である。 本発明の実施例におけるアズレン誘導体2,3,4及びCuPcの薄膜(膜厚10nm)の透過スペクトルを示す図である。 本発明の実施例におけるアズレン誘導体2及びCuPcのイオン化ポテンシャルを示す図である。
符号の説明
10 透明基板、12 透明電極(ホール注入電極)、14 金属電極(電子注入電極)、20 有機層、22 ホール注入層、24 ホール輸送層、26 発光層、28 ホールブロック層、30 電子輸送層。

Claims (19)

  1. ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を少なくとも1つ有することを特徴とするアズレン誘導体。
  2. 請求項1に記載のアズレン誘導体であって、
    前記アズレン誘導体は、分子中にアズレン骨格を1つ含むことを特徴とするアズレン誘導体。
  3. 請求項2に記載のアズレン誘導体であって、
    前記アズレン誘導体は、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を1位,3位の少なくとも1つに有することを特徴とするアズレン誘導体。
  4. 下記式(1)で表されることを特徴とするアズレン誘導体。

    (式中、R〜Rのうち少なくとも1つは、下記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であり、残りのR〜Rはそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R及びRは、水素原子以外の置換基である。)

    (式中、R及びR10はそれぞれアルキル基を表し、R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。)
  5. 請求項4に記載のアズレン誘導体であって、
    前記RまたはRのうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  6. 請求項4に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R及びRはそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  7. 請求項6に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R及びRは、同一の置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  8. 請求項6に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R及びRは、異なる置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  9. 請求項4に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R及びRのいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  10. 請求項1に記載のアズレン誘導体であって、
    前記アズレン誘導体は、分子中に1,1’−ビアズレン骨格を1つ含むことを特徴とするアズレン誘導体。
  11. 請求項10に記載のアズレン誘導体であって、
    前記アズレン誘導体は、前記ジアルキルアニリン、トリフェニルアミン、カルバゾール、フェニルカルバゾール及びビフェニルから選択される構造、を含む置換基を3位,3’位の少なくとも1つに有することを特徴とするアズレン誘導体。
  12. 下記式(7)で表されることを特徴とするアズレン誘導体。

    (式中、R12〜R25のうち少なくとも1つは、下記式(2)〜下記式(6)で示される骨格から選択される骨格を含む置換基であり、残りのR12〜R25はそれぞれ、水素原子、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,ヘテロアリール基,アルコキシル基、アシル基、アシロキシ基,アミノ基、ニトロ基,シアノ基、エステル基,アミド基,ハロゲン基から選択される置換基であり、R13及びR24は、水素原子以外の置換基である。)

    (式中、R及びR10はそれぞれアルキル基を表し、R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。)
  13. 請求項12に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R13またはR24のうち少なくとも1つは、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  14. 請求項12に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R13及びR24はそれぞれ、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  15. 請求項14に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R13及びR24は、同一の置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  16. 請求項14に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R13及びR24は、異なる置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  17. 請求項12に記載のアズレン誘導体であって、
    前記R13及びR24のいずれか一方が、前記式(2)〜式(6)で示される構造から選択される構造を含む置換基であることを特徴とするアズレン誘導体。
  18. 有機層を備える有機電界発光素子であって、
    請求項1〜15のいずれか1つに記載のアズレン誘導体を前記有機層中に含むことを特徴とする有機電界発光素子。
  19. ホール注入層を備える有機電界発光素子であって、
    請求項1〜15のいずれか1つに記載のアズレン誘導体を前記ホール注入層中に含むことを特徴とする有機電界発光素子。
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