JP2006091766A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Yusuke Hatanaka
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Abstract

【課題】 コンピュータ等のからのデジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、現像ラチテュードが広く、且つ画像部のインキ着肉性に優れた平版印刷版原版を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、を順次積層してなる記録層を有することを特徴とするポジ型平版印刷版原。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に係り、より詳細には、コンピュータ等からのデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光を走査露光することにより製版可能な、所謂ダイレクト製版可能な重層型のポジ型記録層を有する平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
従来公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性画像形成材料においては、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂等が用いられている。例えば、ポジ型感光性画像形成材料としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加したものであって、該ポジ型感光性化合物が、画像部ではアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像が形成されるものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポジ型感光性画像形成材料としては、光を吸収して熱を発生する物質と、熱によりアルカリ水溶液溶解性が変化する樹脂とからなるものであって、画像部ではアルカリ水溶液溶解性が低く、非画像部では熱によりアルカリ水溶液可溶性が高くなり、現像により除去され得るようになって画像が形成されるものが開示されている(特許文献2及び3参照。)。
また、実用に耐えうる優れた現像ラチチュードを得る目的で、重層構造の記録層の上層として、現像液に対する表面難溶化層を設けることで、未露光部の現像液溶解性を抑えた画像形成材料が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
ところで、ポジ型平版印刷版原版に適用される溶解抑制剤としては、多岐に渡る化合物が検討されており、とりわけオニウム塩型の溶解抑制剤が非常に強い溶解抑制能を示すことが知られている。しかし、一般的なオニウム塩化合物の添加では、高い溶解抑制能による未露光部の耐アルカリ性向上効果は得られるが、感度の低下を招くことが問題であった。この問題を克服する手段として、特定のオニウム塩を用いる感光性組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。このような特定構造のオニウム塩は、高い溶解抑制能と高感度を両立する優れた特性を示すことが分かってきている。特定構造のオニウム塩を平版印刷版原版等の画像形成材料に適用した例としては、例えば、特許文献6及び7等に特定構造のアンモニウム塩を用いた画像形成材料が開示されている。
しかし、公知のオニウム塩型溶解抑制剤を用いた平版印刷版原版では、実用上、露光部分/未露光部分のアルカリ可溶性の差異(溶解ディスクリミネーション)が小さくなり、現像ラチチュード(使用条件による現像安定性)が不充分になる場合があった。また、未露光部(画像部)インキ着肉性の向上という観点からも、更なる改良の余地があるのが現状である。
特開平7−285275号公報 国際公開第97/39894号パンフレット 欧州特許出願公開第0823327A2号明細書 特開平11−218914号公報 特許第2577718号明細書 特開2002−278050号公報 特開2003−107688号公報
本発明の目的は、コンピュータ等のからのデジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、現像ラチテュードが広く、且つ画像部のインキ着肉性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、ポジ型平版印刷版原版において、重層構造の記録層の上層中にヨードニウム塩を用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、を順次積層してなる記録層を有することを特徴とする。
本発明に作用は明確ではないが以下のように推測される。
本発明のポジ型平版印刷版原版においては、重層構造の記録層の上層中に、ヨードニウム塩を用いることが特徴であり、未露光部(非画像部)においては、当該ヨードニウム塩が優れた溶解抑制能を発揮する。その一方、露光部(画像部)においては、ヨードニウム塩が分解し、この分解は非可逆的なものであるため、本発明における記録層の重層構造の効果と相俟って、アルカリ現像液溶解性を著しく向上させることができることから、現像ラチチュードが拡大するもの推測される。また、ヨードニウム塩は、他のオニウム塩と比較して疎水性が高く、これを含む記録層では、未露光部(画像部)の親油性を向上させることができ、さらに、記録層中に存在するヨードニウム塩は、記録層の表面に偏在しているものと推測されることから、優れたインキ着肉性を発揮するものと推測される。
本発明によれば、コンピュータ等のからのデジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、現像ラチテュードが広く、且つ画像部のインキ着肉性に優れた平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポジ型平版印刷版原版は、支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、を順次積層してなる記録層を有することを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版の各構成要素について、順次詳細に説明する。
[記録層]
本発明における記録層は重層構造の記録層であり、少なくとも上層(表面層)及び下層(支持体近接層)の2層を有して構成されるが、記録層の層構成は2層のみに限定されるものではなく、それぞれ組成や機能が異なる他の層を更に有していてもよい。なお以下では、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、の2層構造からなるポジ型記録層について詳細に説明する。
(上層)
記録層の上層は、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する層として構成される。以下、上層に含有される各成分について説明する。
<ヨードニウム塩>
本発明に用いられるヨードニウム塩は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2006091766
一般式(I)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及び、アルカリ解離性のプロトンを有する置換基を少なくとも一つ有するアニオンからなる群より選択される対イオンを表す。
上記のヨードニウム塩の中でも好ましいヨードニウム塩としては、以下のものが挙げられる。例えば、構造的には、Ar11、Ar12で表される炭素原子数20個以下のアリール基が、更に置換基として、炭素数4〜10の炭化水素基を有するものが好ましい。該炭化水素基としては、炭素数4〜8の炭化水素基がより好ましく、溶解抑制能と着肉とを最も高いレベルで両立する範囲としては、炭素数4〜6の炭化水素基が最も好ましい。Ar11、Ar12が置換基として有する炭化水素基の炭素数が大きすぎると、バインダーとの相溶性が低下し、溶解抑制能を発現し難くなり、炭素数が小さすぎると、バインダー中で均一に分布し、表面疎水性層が形成され難くなる傾向がある。
また、Z11-としては、アルカリ解離性のプロトンを有する置換基を少なくとも一つ有するアニオンであることが好ましい。そのようなアルカリ解離性のプロトンを有する置換基としては、フェノール性水酸基(Ar−OH)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、ホスホン酸基(−PO32)、リン酸基(−OPO32)、スルホンアミド基(−SO2NH2、−SO2NHR)、置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R)、スルホン酸基(−SO3H)、スルフィン酸基(−SO2H)、−C(CF32OH、−COCH2COCF3を用いることが好ましい。ここで、Arは置換基を有してもよいアリール基を表し、Rは置換基を有してもよい炭化水素基を表す。また、溶解抑制能と感度とのバランスが良い系としては、フェノール性水酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基、−C(CF32OH、−COCH2COCF3を挙げることができ、さらに、フェノール性水酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基が最も好ましい。
また、物性としては、新疎水パラメータlogPが2未満であるアニオン部を有する化合物が挙げられる。なお、ここでアニオン部のlogPとは、アニオン部を酸化合物としたときの、当該酸化合物のlogPを指すものである。本発明におけるアニオン部の新疎水パラメータlogPは、アニオン部を酸化合物としたときの、当該酸化合物の分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には、1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式により求めることができる。
logP = log(Coil/Cwater)
ここで、Coilは油相中のモル濃度を、Cwaterは水相中のモル濃度をそれぞれ表し、logPの値が0をはさんでプラスに大きくなるほど油溶性に優れることを表し、マイナスで絶対値が大きくなるほど水溶性に優れることがわかる。この値は、有機化合物の水溶性と負の相関があり、化合物の親/疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。logPは、分配実験で実測するのが原則であるが、実験が煩雑であるため、通常は、オンラインの実測値データベースや、構造式から推算する計算ソフトを用いて算出される。本発明では、米国Pomona大学のC. Hansch, A. Leoらの Medchemプロジェクト及び Biobyte社によって開発されたlogP値推算プログラム:CLOGP( Daylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModels(ver1.02)に組み込まれたCLOGPプログラム:アルゴリズム=4.01・フラグメントデータベース=17)を用いて算出した値を用いている。
本発明におけるヨードニウム塩のアニオン部における新疎水パラメータlogPとしては、3未満であることが好ましく、より好ましいlogPの値は、表面疎水性と膜層分離性の観点から−1〜2の範囲である。
本発明におけるヨードニウム塩として、好適に用いることのできる一般式(I)で表される化合物の具体例〔(1)、(2)、(3−1)〜(3−61)、(4)、(5)〕を以下に挙げるが、本発明におけるヨードニウム塩は、これらの何ら限定されるものではない。なお、以下の具体例においては、アニオン部のlogPの値を[ ]内に併記した。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
Figure 2006091766
Figure 2006091766
Figure 2006091766
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ヨードニウム塩は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上層中におけるヨードニウム塩の含有量としては、上層を構成する全固形分に対し、10〜40質量%、好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは20〜30質量%の割合で添加することができる。
また、本発明においては、効果を損ねない範囲で、上記ヨードニウム塩以外の他のオニウム塩を併用することができる。他のオニウム塩としては、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、アジニウム塩等を挙げることができる。このような他のオニウム塩は、上記ヨードニウム塩に対し、1〜10質量%の範囲で併用することができ、好ましくは5〜10質量%の範囲である。
<赤外線吸収剤>
上層には赤外線吸収剤を含有する。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、記録に使用する赤外線レーザを吸収し、熱を発生する物質であれば特に制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点からは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
−赤外線吸収性染料又は顔料−
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、(チオ)ピリリウム塩、金属チオレート錯体、インドアニリン金属錯体系染料、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料、分子間CT色素等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭59−202829号公報、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、
特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、
特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、
英国特許434,875号明細書に記載のシアニン染料、
等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
さらに、下記一般式(a)〜一般式(f)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に、下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明において使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、溶解抑制剤として機能し、かつ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 2006091766
一般式(a)中、R1及びR2は、各々独立に炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、アルキル基上にはアルコキシ基、アリール基、アミド基、アルコキシカルボニル基、水酸基、スルホ基、カルボキシル基より選択される置換基を有してもよい。Y1及びY2は、各々独立に酸素、硫黄、セレン、ジアルキルメチレン基又は−CH=CH−を表す。Ar1及びAr2は、各々独立に芳香族炭化水素基を表し、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基より選択される置換基を有してもよく、Y1及びY2と隣接した連続2炭素原子で芳香環を縮環してもよい。
一般式(a)中、Xは、電荷の中和に必要なカウンターイオンを表し、色素カチオン部がアニオン性の置換基を有する場合は必ずしも必要ではない。Qは、トリメチン基、ペンタメチン基、ヘプタメチン基、ノナメチン基又はウンデカメチン基より選択されるポリメチン基を表し、露光に用いる赤外線に対する波長適性と安定性の点からペンタメチン基、ヘプタメチン基又はノナメチン基が好ましく、いずれかの炭素上に連続した3つのメチン鎖を含むシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を有することが安定性の点で好ましい。
一般式(a)中、Qは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、アリール基、オキシ基、イミニウム塩基、下記一般式(i)で表される置換基より選択される基で置換されていてもよく、好ましい置換基としては塩素原子等のハロゲン原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
Figure 2006091766
一般式(i)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Y3は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(a)で示されるシアニン色素のうち、波長800〜840nmの赤外線で露光する場合は、特に好ましいものとしては下記一般式(a−1)〜(a−4)で示されるヘプタメチンシアニン色素を挙げることができる。
Figure 2006091766
一般式(a−1)中、X1は、水素原子又はハロゲン原子を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性からは、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
一般式(a−1)中、Ar1及Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3及びR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、電荷の中和に必要な対アニオンを示し、この色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し電荷の中和が必要ない場合には、Za-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びスルホン酸イオンである。上記一般式(a−1)で示されるヘプタメチン色素は、ポジ型の画像形成材料に好適に用いることができ、特にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂と組み合わせたいわゆる相互作用解除型のポジ感材に好ましく用いられる。
Figure 2006091766
一般式(a−2)中、Rl及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、RlとR2とは互いに結合し環構造を形成していてもよく、形成する環としては5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。Arl及びAr2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、該芳香族炭化水素基上の好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられ、電子求引性の置換基が特に好ましい。Yl及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3及びR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。R9及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子又はR9とR10とが互いに結合し下記構造の環を形成してもよい。
Figure 2006091766
一般式(a−2)中のR9及びR10としては、上記のうち、フェニル基等の芳香族炭化水素基が最も好ましい。
また、X-は、電荷の中和に必要な対アニオンであり、前記一般式(a−1)におけるZa-と同様の定義である。
Figure 2006091766
一般式(a−3)中、Rl〜R8、Arl、Ar2、Yl、Y2及びX-は、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。Ar3は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、又は窒素、酸素及び硫黄原子のうち少なくとも1つを含有する単環又は多環の複素球基を示し、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、ナフトチアゾール系、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール系、オキサゾール系、ベンゾオキサゾール系、ナフトオキサゾール系、セレナゾール系、ベンゾセレナゾール系、ナフトセレナゾール系、チアゾリン系、2−キノリン系、4−キノリン系、1−イソキノリン系、3−イソキノリン系、ベンゾイミダゾール系、3,3−ジアルキルベンゾインドレニン系、2−ピリジン系、4−ピリジン系、3,3−ジアルキルベンゾ[e]インドール系、テトラゾール系、トリアゾール系、ピリミジン系、及びチアジアゾール系よりなる群から選択される複素環基が好ましく、特に好ましい複素環基としては下記構造のものが挙げられる。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(a−4)中、Rl〜R8、Arl、Ar2、Yl及びY2は、それぞれ前記一般式(a−2)におけるものと同義である。R11及びR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アリル基、シクロへキシル基又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。Zは、酸素原子又は硫黄原子を示す。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号公報の段落番号[0012]〜[0023]、に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2006091766
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Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Ni+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a−1)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(d)中、R29〜R32は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0乃至4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a−1)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(e)中、R35〜R50は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、ニッケル、マグネシウム、鉄、亜鉛、スズ、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましく、バナジウム、ニッケル、亜鉛、スズが特に好ましい。これら金属原子は原子価を適切にするために酸素原子、ハロゲン原子等と結合していてもよい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006091766
Figure 2006091766
Figure 2006091766
一般式(f−1)及び(f−2)中、R51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を示す。X-は、前記一般式(a−2)におけるものと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(f−1)及び(f−2)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006091766
上記以外の光熱変換剤としては、特開2001−242613号公報に記載の複数の発色団を有する染料、特開2002−97384号公報、米国特許第6,124,425号明細書に記載の高分子化合物に共有結合で発色団が連結された色素、米国特許6,248,893号明細書に記載のアニオン染料、特開2001−347765号公報に記載の表面配向性基を有する染料等を好適に用いることができる。
本発明において赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、記録層の均一性及び分散安定性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
用いられる染料若しくは顔料は単一の化合物を用いても、2種以上の化合物を併用してもよい。
これらの顔料若しくは染料は、感度と、安定性、均一性とのバランスといった観点から、記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
<水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂>
上層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)を含有する。アルカリ可溶性樹脂としては、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2 R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基及び(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基又は(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を充分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、及びピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006091766
〔式中、X1、X2 は、それぞれ独立に、−O−又は−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。〕
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、上層においては、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 2006091766
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、又は異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
本発明では、化合物を共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の例としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
アルカリ可溶性樹脂としては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性水酸基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ可溶性樹脂などを併用してもよい。
上層中に、アルカリ可溶性樹脂を用いる場合、感度、画像形成性、及び皮膜の耐久性の観点から、上層を構成する全固形分中、0.5〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
<その他の成分>
上層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を含有することができる。
例えば、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。
好適なキノンジアジド類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403 号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号及び同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらに、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量としては、好ましくは画像形成材料の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量としては、好ましくは画像形成材料の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。なお、本発明における添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成材料の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で画像形成材料中に添加することができる。
更に、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
(下層)
本発明における下層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、「アルカリ可溶性樹脂」と称する。)を含む層であり、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を必須成分とすれば、その他に含まれる成分に特に制限はない。
下層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、前述の上層において挙げたものと同様のものを用いることができるが、層間の境界を明瞭にするために、下層に用いるアルカリ可溶性樹脂は、上層に用いるアルカリ可溶性樹脂とは異なるものを主成分とすることが好ましく、特に、上層に含まれるアルカリ可溶性樹脂よりも、アルカリ性水溶液に対する溶解性の高いものを用いることが感度の観点から好ましい。下層に好適に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂等を好ましく挙げることができる。
下層に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、上層を塗布する際にその塗布溶媒により溶解され難い樹脂を選択することが好ましく、このような樹脂を選択することで、2つの層の界面における所望されない相溶が抑制されるとともに、耐薬品性の一層の向上も期待できる。このような観点から上記の中でも、アクリル樹脂が好ましい。
以下、下層に好適に用いられる好ましいアルカリ可溶性樹脂である水不溶性且つアルカリ可溶性のアクリル樹脂(以下、適宜、単にアクリル樹脂と称する)について説明する。ここで用いられるアクリル樹脂は、水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶であれば特に制限はない。このようなアクリル樹脂は、前記上層において好ましく用いられるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂等との相溶性が低いため、このような重層構造を形成するのに特に適しており、また、樹脂自体のアルカリ可溶性にも優れる。
アクリル樹脂としては、スルホンアミド基(−SO2NH−R、ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)、活性イミド基〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R、ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。〕、カルボン酸基(−CO2H)、スルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−OPO32)などのアルカリ可溶性基を有し、且つ、アルカリ可溶性樹脂の共重合性分として好適な、脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アクリルアミド若しくはメタクリルアミド、アルキルマレイミド、アリールマレイミドなどの不活性イミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類などを構成成分として含む樹脂が挙げられる。また、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂なども本発明に好適に適用し得る。
アクリル樹脂の重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、全固形分中、約40〜95質量%、好ましくは約50〜90質量%である。
下層には、赤外線吸収剤を含有してもよい。下層おける赤外線吸収剤の含有量は、感度、及び、記録層の均一性、耐久性の観点から、下層全固形分に対して0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に、染料の場合には0.5〜10質量%の割合で含有することが好ましく、顔料の場合には、0.1〜10質量%の割合で含有することが好ましい。
(記録層の形成)
本発明に係る記録層は、下層、上層を構成するそれぞれの成分を溶媒に溶かし、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。また、目的に応じて、下塗層、バックコート層なども同様にして形成してもよい。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%であることが好ましい。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般に、下層の乾燥後の塗布量が、0.1〜5.0g/m2が好ましく、0.2〜3.0g/m2がより好ましい。また、最上層の乾燥後の塗布量としては、0.01〜5.0g/m2が好ましく、0.03〜3.0g/m2がより好ましく、0.05〜2.0mg/m2が最も好ましい。
記録層塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。
以下、これらの方法について述べるが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる成分のいずれもが不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。例えば、下層成分として、上層成分であるアルカリ可溶性樹脂を溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、該下層成分を溶解する溶剤系を用いて下層を塗布・乾燥し、その後、アルカリ可溶性樹脂を主体とする上層成分をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解し、塗布・乾燥することにより二層化が可能になる。
次に、2層目(上層)を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつける方法や、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与える方法、或いはそれらの方法の組み合わせを挙げることができる。
また、本発明における記録層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、上層、下層それぞれの全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
[支持体]
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明における支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
本発明における支持体として適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来公知の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号明細書、同第3,181,461号明細書、第3,280,734号明細書及び第3,902,734号明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に、特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号明細書、同第4,153,461号明細書、同第4,689,272号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に重層構造のポジ型記録層を設けたものであるが、必要に応じて、支持体と記録層と間に下塗り層を設けることができる。
下塗り層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
この下塗り層は、次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。
また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、平版印刷版原版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
下塗り層の被覆量は、耐刷性能の観点から、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
[露光・現像]
本発明のポジ型平版印刷版原版に適用される、像露光、現像処理について説明する。
像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由は、ケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。平版印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば、特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
このように、本発明の感光性組成物は平版印刷版原版の記録層として用いた場合、現像ディスクリに優れ、非画像部に汚れの発生しない高画質の画像が形成される。
以下に、実施例を示して本発明の平版印刷版原版を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を組み合わせて処理することで支持体A、B、C、Dを作製した。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は、電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
<支持体A>
上記(a)〜(j)の各工程を順に行い(e)工程におけるエッチング量は3.4g/m2となるようにして支持体を作製した。
<支持体B>
上記工程のうち(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
<支持体C>
上記工程のうち(a)及び(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
<支持体D>
上記工程のうち(a)及び(d)(e)(f)の工程を省略した以外は各工程を順に行い、(g)工程における電気量の総和が450C/dm2となるようにして支持体を作製した。
上記によって得られた支持体A、B、C、Dは続けて下記の親水化処理、下塗り処理を行った。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
(下塗り処理)
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は16mg/m2であった。
<下塗り液組成>
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1.0g
Figure 2006091766
[実施例1〜6、比較例1]
得られた支持体Aに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、120℃の乾燥オーブンで30秒間乾燥して塗布量を0.95g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、110℃で60秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.25g/m2として実施例1〜6及び比較例1のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・共重合体1(下記により合成したもの) 1.833g
・シアニン染料A(下記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ−
1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4'−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
Figure 2006091766
<共重合体1の合成>
攪拌後、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.58g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:「V−65」、和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸メチル2.58g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ54,000であった。
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.040g
の共重合体(モル比60:40、重量平均分子量100,000)
・フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m −クレゾール:p−クレゾール=80:10:10、
重量平均分子量:12,000) 0.400g
・ヨードニウム塩又は比較オニウム塩(表1に記載の種類) 0.1g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.012g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
なお、表1中のヨードニウム塩の番号は、前記した一般式(1)で表される化合物の具体例の番号に対応する番号である。(以降の実施例についても同様。)
[平版印刷版原版の評価]
平版印刷版原版の評価は、現像ラチチュード、インキ着肉性の各項目について行った。評価方法の詳細は下記の通りである。
1.現像ラチチュード
平版印刷版原版を、温度35℃相対湿度65%の条件下で2日間保存した後に、Creo社製Trendsetter3244VXにてビーム強度6.0W、ドラム回転速度100rpmでテストパターンを画像状に描き込みを行った。
その後、下記A組成及びB組成のアルカリ現像液における水の質量比率を変更することにより、希釈率を変えて電導度を変化させたものを仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー900Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間40秒で現像した。この時、画像部が溶出されず、かつ、現像不良の感光層残膜に起因する汚れや着色がなく良好に現像が行えた現像液の電導度の一番高いものと、一番低い物の差を現像ラチチュードとして評価した。
2.インキ着肉性
平版印刷版原版をCREO社製TrendSetter3244Fを用い、セッター露光量、6.0W、100rpmで像様露光し、富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−1を標準使用条件で用いて現像処理した後に、印刷機にかけ、画像部に正常にインキがのり問題のない印刷物が得られるのに要する印刷枚数を相対評価した。そして、実施例1の平版印刷版原版により、問題のない印刷物が得られるまでの時間を基準(100)とした相対値で表す。この相対値は数字が大きいほど、高着肉性であり好ましい。
<アルカリ現像液A組成>
・SiO2・K2O(K2O/SiO2=1/1(モル比)) 4.0質量%
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル 0.5質量%
(重量平均分子量1,000)
・水 95.0質量%
<アルカリ現像液B組成>
・Dソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル 0.5質量%
(重量平均分子量1,000)
・水 96.15質量%
<実施例1〜6、比較例1の平版印刷版原版の評価>
実施例1〜6及び比較例1の各平版印刷版原版について、現像ラチチュード、インキ着肉性を、上記した方法により評価した。現像液は現像液Bを用いた。その結果を表1に示す。
Figure 2006091766
比較例1に使用した比較オニウム塩は以下の通りである。
Figure 2006091766
表1に示されるように、実施例1〜6の平版印刷版原版は、比較例1の平版印刷版原版と比較して、現像ラチチュード及びインキ着肉性の双方共に優れた平版印刷版原版であることが分かる。
(実施例7〜12、比較例2)
得られた支持体Cに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、120℃の乾燥オーブンで90秒間乾燥して塗布量を0.60g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、120℃で90秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.35g/m2として実施例7〜12及び比較例2のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・共重合体1 2.200g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ
−1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・ジメチルスルホキシド 13.8g
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.040g
の共重合体(モル比70:30、重量平均分子量88,000)
・フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m −クレゾール:p −クレゾール=30:50:20、
重量平均分子量:3500) 0.30g
・ヨードニウム塩又は比較オニウム塩(表2に記載の種類) 0.02g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
<実施例7〜12及び比較例2の評価>
得られた実施例7〜12及び比較例2の各平版印刷版原版について、実施例1と同様の方法で評価を行った。現像液は現像液Bを用いた。その結果を表2に示す。
Figure 2006091766
比較例2に使用した比較オニウム塩は、比較例1に使用したものと同じである。
表2に示されるように、実施例7〜12の平版印刷版原版は、比較例2の平版印刷版原版と比較して、現像ラチチュード及びインキ着肉性の双方共に優れた平版印刷版原版であることが分かる。
(実施例13〜18、比較例3)
得られた支持体Dに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.81g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、120℃で90秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.1g/m2として実施例13〜18及び比較例3のポジ型平版印刷版原版を作製した。
<第1層(下層)用塗布液>
・前記共重合体1 2.133g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.110g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
<第2層(上層)用塗布液>
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸
の共重合体(モル比65:35、重量平均分子量28,000) 0.0350g
・クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(m−クレゾール:p−クレゾール=60:40、
重量平均分子量:2100) 0.300g
・ヨードニウム塩又は比較オニウム塩(表3に記載の種類) 0.0150g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.022g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
<実施例13〜18及び比較例3の評価>
得られた平版印刷版原版を前記の方法で評価を行った。現像液は現像液Aを用いた。その結果を表3に示す。
Figure 2006091766
比較例3に使用した比較オニウム塩は、比較例1に使用したものと同じである。
表3に示されるように、実施例13〜18の平版印刷版原版は、比較例3の平版印刷版原版と比較して、現像ラチチュード及びインキ着肉性の双方共に優れた平版印刷版原版であることが分かる。

Claims (1)

  1. 支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含む下層と、ヨードニウム塩、赤外線吸収剤、及び水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有し、赤外レーザ露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、を順次積層してなる記録層を有することを特徴とするポジ型平版印刷版原版。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009543105A (ja) * 2006-06-30 2009-12-03 ハイデルベルク アジア プロキュアメント センター センディリアン、 ベラハッド 組成物、物品、その製造および使用
JP2017072691A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 東京応化工業株式会社 レジスト組成物及びレジストパターン形成方法、並びに、化合物及び酸拡散制御剤
WO2023162836A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び化合物

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