JP2006091764A - 平版印刷版原版の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、高精細画像の再現性に優れ、網点、細線などの小面積画像部の耐刷性に優れたポジ型平版印刷版原版の作製方法を提供する。
【解決手段】
粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する層上層とからなる記録層を有し、下層及び上層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版の作製方法であって、該親水性支持体上に、記録層の下層を設け、5時間以上経時した後、記録層の上層を設けることを特徴とする。
【解決手段】
粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する層上層とからなる記録層を有し、下層及び上層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版の作製方法であって、該親水性支持体上に、記録層の下層を設け、5時間以上経時した後、記録層の上層を設けることを特徴とする。
Description
本発明は、オフセット印刷マスター等として使用できる平版印刷版原版の作製方法に関し、詳細にはコンピュータ等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用のポジ型平版印刷版原版の作製方法に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは、高出力かつ小型の物が容易に入手できる様になっている。平版印刷の分野においては、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とし、このIR染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる現像抑制剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まり、アルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の画像形成能は、記録層表面の赤外線レーザ露光による発熱に依存しているため、支持体近傍では、支持体への熱の拡散により画像形成、即ち、記録層の可溶化に用いられる熱量が少なくなり、低感度となる。したがって、非画像部における記録層の現像抑制能消失効果が充分に得られず、画像部と非画像部との差が小さくなって、現像ラチチュードが不充分であるという問題があった。
以上の問題を解決するため、例えば、アクリル樹脂を含むアルカリ溶解性に優れた下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が大きく増大する上層と、からなる記録層を設けた平版印刷版原版が開示されている(特許文献1参照。)。この平版印刷版原版によれば、感度と耐薬品性を向上させることができるが、支持体と記録層との密着性が不十分であり、特に、画像部と非画像部との境界において下層端部がアルカリ現像液により損傷を受けてサイドエッジという現象が生じ、画像のオン/オフが付きにくくなり画像のシャープさが低下するとともに、特に小面積の画像部では、記録層が剥離しやすくなり網点や細線における耐刷性に劣るといった問題があった。
また、このような重層構造の記録層を形成する場合、上層と下層との界面において相溶が生じると、重層構造の利点が損なわれるという問題があった。これを解決するために、例えば、下層形成後に上層を塗布する際の塗布溶媒として、下層を溶解しないものを選択するなどの方法がとられているが、記録層の処方の自由度が下がるという新たな問題を生じている。
特開平10−250255号公報
また、このような重層構造の記録層を形成する場合、上層と下層との界面において相溶が生じると、重層構造の利点が損なわれるという問題があった。これを解決するために、例えば、下層形成後に上層を塗布する際の塗布溶媒として、下層を溶解しないものを選択するなどの方法がとられているが、記録層の処方の自由度が下がるという新たな問題を生じている。
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、高精細画像の再現性に優れ、シャープな画像が形成でき、網点、細線などの小面積画像部の耐刷性に優れたポジ型平版印刷版原版を形成しうる平版印刷版原版の作製方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、重層構造の記録層を設けるにあたり、下層を設けた後、所定の時間を経た後、上層を設けることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の平版印刷版原版の作製方法は、粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層とからなる記録層を有し、下層及び上層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版の作製方法であって、該親水性支持体上に、記録層の下層を設け、5時間以上経時した後、記録層の上層を設けることを特徴とする。
即ち、本発明の平版印刷版原版の作製方法は、粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層とからなる記録層を有し、下層及び上層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版の作製方法であって、該親水性支持体上に、記録層の下層を設け、5時間以上経時した後、記録層の上層を設けることを特徴とする。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推測される。
一般に、下層塗布後、すぐに上層を塗布すると、下層のアルカリ可溶性樹脂の分子間及び分子内に十分な相互作用が形成されないうちに、上層の成分が下層に微量ではあるが浸透し、下層におけるアルカリ可溶性樹脂などの分子間及び分子内における官能基同士の相互作用の形成が阻害され、その結果、下層にアルカリ現像液が浸透しやすくなり、網点などの高精細画像、小面積画像部のシャープさが失われ、小面積画像部の耐刷性が低下すると考えられるが、本発明においては、平版印刷版原版の下層を塗布、乾燥した後、十分な時間をおいた後に上層が塗布されるため、下層塗布後の5時間以上の経時において、下層に含まれるアルカリ可溶性樹脂、さらには、所望により添加される赤外線吸収剤などの分子間及び分子内の水素結合などの相互作用の形成が進行し、高密度に相互作用が形成された安定な皮膜が得られ、画像部において下層のアルカリ現像液に対する浸透抑制効果が発現し、耐刷性が向上するとともに、上層塗布時における下層との界面における層間混合も少なくなり、現像ラチチュードが向上し、優れた画像形成性の発現にも寄与するものと思われる。
一般に、下層塗布後、すぐに上層を塗布すると、下層のアルカリ可溶性樹脂の分子間及び分子内に十分な相互作用が形成されないうちに、上層の成分が下層に微量ではあるが浸透し、下層におけるアルカリ可溶性樹脂などの分子間及び分子内における官能基同士の相互作用の形成が阻害され、その結果、下層にアルカリ現像液が浸透しやすくなり、網点などの高精細画像、小面積画像部のシャープさが失われ、小面積画像部の耐刷性が低下すると考えられるが、本発明においては、平版印刷版原版の下層を塗布、乾燥した後、十分な時間をおいた後に上層が塗布されるため、下層塗布後の5時間以上の経時において、下層に含まれるアルカリ可溶性樹脂、さらには、所望により添加される赤外線吸収剤などの分子間及び分子内の水素結合などの相互作用の形成が進行し、高密度に相互作用が形成された安定な皮膜が得られ、画像部において下層のアルカリ現像液に対する浸透抑制効果が発現し、耐刷性が向上するとともに、上層塗布時における下層との界面における層間混合も少なくなり、現像ラチチュードが向上し、優れた画像形成性の発現にも寄与するものと思われる。
本発明の作製方法によれば、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、且つ、高精細画像の再現性に優れ、シャープな画像が形成でき、網点、細線などの小面積画像部の耐刷性に優れたポジ型平版印刷版原版を形成することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版の作製方法は、重層型記録層を形成するに当たり、前記の如く、粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層の記録層を形成した後、5時間以上けいじさせて、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層の記録層を設けることを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版の各構成、作製方法について、順次、詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版の作製方法は、重層型記録層を形成するに当たり、前記の如く、粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層の記録層を形成した後、5時間以上けいじさせて、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層の記録層を設けることを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版の各構成、作製方法について、順次、詳細に説明する。
まず、本発明の作製方法が適用される平版印刷版原版の記録層について説明する。
本発明に係る平版印刷版原版の記録層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、単に「アルカリ可溶性樹脂」と称する)を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層とからなる重層構造の記録層であり、上層及び/又は下層に赤外線吸収剤を含有する。
本発明に係る平版印刷版原版の記録層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、単に「アルカリ可溶性樹脂」と称する)を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層とからなる重層構造の記録層であり、上層及び/又は下層に赤外線吸収剤を含有する。
〔アルカリ可溶性樹脂を含有する下層〕
本発明に係る下層は、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする。
本発明に係る下層に用いられる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂には、特に制限はないが、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
下層は、画像形成時において、露光部では上層と支持体との間にあって断熱層として機能し、露光エネルギーが支持体に拡散するのを抑制し、相互作用性の解除に効率よく利用され、結果として高感度化に寄与するとともに、上層が除去された後には、その優れたアルカリ現像液に対する溶解性により、現像により除去され、未露光部においては、先に述べたように、高密度に相互作用が形成された安定な皮膜が形成され、界面からのアルカリ現像液の浸透を抑制することで耐刷性の向上に寄与し、結果として優れた現像ラチチュードと画像形成性、及び、画像部耐刷性が発現する。
本発明に係る下層は、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする。
本発明に係る下層に用いられる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂には、特に制限はないが、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
下層は、画像形成時において、露光部では上層と支持体との間にあって断熱層として機能し、露光エネルギーが支持体に拡散するのを抑制し、相互作用性の解除に効率よく利用され、結果として高感度化に寄与するとともに、上層が除去された後には、その優れたアルカリ現像液に対する溶解性により、現像により除去され、未露光部においては、先に述べたように、高密度に相互作用が形成された安定な皮膜が形成され、界面からのアルカリ現像液の浸透を抑制することで耐刷性の向上に寄与し、結果として優れた現像ラチチュードと画像形成性、及び、画像部耐刷性が発現する。
本発明に係る下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、全固形分中、約30〜95質量%、好ましくは約50〜90質量%である。
下層には、前記アルカリ可溶性樹脂に加えて、後述する赤外線吸収剤や種々の添加剤を併用することができる。
下層には、前記アルカリ可溶性樹脂に加えて、後述する赤外線吸収剤や種々の添加剤を併用することができる。
〔水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び溶解抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層〕
本発明に係る上層は、アルカリ可溶性樹脂と、溶解抑制剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする。以下、本発明に係る上層の各成分について説明する。
本発明に係る上層は、アルカリ可溶性樹脂と、溶解抑制剤と、を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする。以下、本発明に係る上層の各成分について説明する。
(水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂)
本発明における上層に使用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、またはこれらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。例えば、以下のものが例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における上層に使用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、またはこれらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。例えば、以下のものが例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合とをそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的にはN−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。更に、米国特許4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの共重合体を併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうち2種類以上を重合させた高分子化合物であることが好ましい。上記重合性モノマーの共重合比、および重合性モノマーの組み合わせに制限はないが、特にフェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重合比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
更に、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂としては、上記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーから選択される1種或いは2種類以上の重合性モノマーの他に、他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物であることが好ましい。この場合の共重合比としては、アルカリ可溶性を付与するモノマーを10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。アルカリ可溶性を付与するモノマーの共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像ラチチュードが低下する傾向にある。
ここで使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
特に、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、または、クレゾールアルデヒド樹脂等である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
特に、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、または、クレゾールアルデヒド樹脂等である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から、フェノール性水酸基を有する樹脂が望ましく、フェノール性水酸基を有する樹脂の中でも特に好ましくはノボラック樹脂である。
また、本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。なお、該フェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂であることが好ましく、更に好ましくはスルホアミド基を有するアクリル樹脂である。
また、本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。なお、該フェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂であることが好ましく、更に好ましくはスルホアミド基を有するアクリル樹脂である。
本発明に係る上層の全固形分中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、記録層の感度と耐久性の観点から、50〜98質量%の添加量で用いられることが好ましい。なお、この添加量は、アルカリ可溶性樹脂を複数種併用する場合にはその合計量を指す。
〔溶解抑制剤〕
本発明の平版印刷版原版では、記録層の上層にそのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、溶解抑制剤を添加する必要がある。本発明に適用可能な現像抑制剤は、前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部においては該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また後述する赤外線吸収剤として、現像抑制剤の機能を有する化合物、例えば、シアニン色素などを用いた場合には、それが現像抑制剤としての機能を有するため、以下に述べる如き現像抑制剤を添加しなくてもよい。
本発明の平版印刷版原版では、記録層の上層にそのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、溶解抑制剤を添加する必要がある。本発明に適用可能な現像抑制剤は、前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部においては該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。また後述する赤外線吸収剤として、現像抑制剤の機能を有する化合物、例えば、シアニン色素などを用いた場合には、それが現像抑制剤としての機能を有するため、以下に述べる如き現像抑制剤を添加しなくてもよい。
溶解抑制剤として用いうる4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059、特願2001−398047明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059、特願2001−398047明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
4級アンモニウム塩の添加量は上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では現像抑制効果が少なくなり好ましくない。また、50質量%を超えて添加した場合は、前記アルカリ可溶性樹脂の製膜性に悪影響を与えることがある。
また、ポリエチレングリコール化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される構造のものが挙げられる。
R1−{−O−(R3−O−)m−R2}n ・・・一般式(1)
上記一般式(1)中、R1は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R2は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R3は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
R1−{−O−(R3−O−)m−R2}n ・・・一般式(1)
上記一般式(1)中、R1は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R2は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R3は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
上記一般式(1)で表されるポリエチレングリコール化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
さらにこれらの具体例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール5000、ポリエチレングリコール100000、ポリエチレングリコール200000、ポリエチレングリコール500000、ポリプロピレングリコール1500、ポリプロピレングリコール3000、ポリプロピレングリコール4000、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエステル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコール化ペンタメチレンヘキサミンが挙げられる。
ポリエチレングリコール系化合物の添加量は、現像抑制効果と画像形成性の観点からね上層全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
また、このようなインヒビション(溶解抑制能)を高めるための施策を行った場合、感度の低下が生じるが、この場合、ラクトン化合物を添加することが有効である。このラクトン化合物は、露光部、即ち、インヒビションが解除された領域の記録層中に現像液が浸透する際、現像液とラクトン化合物が反応し、新たにカルボン酸化合物が発生して、露光部領域の記録層の溶解を促進させることにより感度が向上するものと考えられる。
このようなラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
このようなラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
一般式(L−I)及び一般式(L−II)において、X1、X2、X3及びX4は、環を構成する2価の非金属原子又は非金属原子団であって、それぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。さらに、一般式(L−I)におけるX1、X2及びX3の少なくとも一つ、及び、一般式(L−II)におけるX1、X2、X3及びX4の少なくとも一つは、電子吸引性置換基又は電子吸引性基で置換された置換基であることが好ましい。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
また、本明細書において電子吸引性置換基とは、ハメットの置換基定数σpが正の価を取る基を指す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。ハメットの置換基定数σpが正の価を取る電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子[フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18)]、トリハロアルキル基[トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54)]、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基[例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72)]、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基[例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43)]、アルキニル基[例えば、C≡CH(σp値:0.23)]、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基[例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44)]、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、オキソ基、ホスホリル基等が挙げられる。
また、好ましい電子吸引性基としては、アミド基、アゾ基、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜9のアルキルスルホニル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数1〜9のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、チオカルボニル基、炭素数1〜9の含フッ素アルキル基、炭素数6〜9の含フッ素アリール基、炭素数3〜9の含フッ素アリル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の添加量は、効果の観点から、上層全固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、さらには、1〜30質量%がより好ましい。
本発明に用いられるラクトン化合物は、いずれか1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を用いる場合、合計添加量が上記範囲内であれば任意の比率で併用することができる。
本発明に用いられるラクトン化合物は、いずれか1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を用いる場合、合計添加量が上記範囲内であれば任意の比率で併用することができる。
そのほか、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の、熱分解性であり、且つ、分解しない状態では、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが画像部の現像液へのインヒビションの向上を図る点で好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げられ、特に好適なものとしては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Balet al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivelloet al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
このようなオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものがあげられる。
このようなオニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものがあげられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により現像抑制剤としてのインヒビションを失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により上層の溶解性を助ける。
そのようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
そのようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは上層全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
また特開平11−288089号記載の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂を含んでも良い。
また特開平11−288089号記載の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂を含んでも良い。
また、記録層表面のインヒビションの強化とともに表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用すること好ましい。
添加量としては、上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
添加量としては、上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
〔赤外線吸収剤〕
本発明の平版印刷版原版には、記録層の上層又は下層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を添加する必要がある。赤外線吸収剤を添加することにより、記録層は赤外線レーザ感応性となる。ここで用いられる赤外線吸収剤としては、波長750nmから1,400nmに吸収極大を有し、この波長の光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収性染料として知られる種々の染料を用いることができる。
本発明の平版印刷版原版には、記録層の上層又は下層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を添加する必要がある。赤外線吸収剤を添加することにより、記録層は赤外線レーザ感応性となる。ここで用いられる赤外線吸収剤としては、波長750nmから1,400nmに吸収極大を有し、この波長の光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収性染料として知られる種々の染料を用いることができる。
本発明に係る赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(i)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(i)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZ1-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(i)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(i)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
これらの赤外線吸収剤は、感度の観点から記録層の上層に含まれることが好ましいが、さらに下層に添加してもよい。下層に赤外線吸収剤を添加することで露光部が局所的に発熱し、感度を向上させることができ、さらに、赤外線吸収剤としてシアニン色素の如き溶解抑制能を有するものを添加することにより下層も感熱記録層として機能させることができる。上層と下層の双方に赤外線吸収剤を添加する場合には、互いに同じ化合物を用いてもよく、また異なる化合物を用いてもよい。
また、これらの赤外線吸収剤は記録層(上層及び/又は下層)と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
前記好ましい染料として挙げたシアニン色素などの赤外線吸収剤は前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成してアルカリ可溶性樹脂の溶解抑制剤として機能する。なお、赤外線吸収剤としてこのような溶解抑制能を有する化合物以外のものを用いる場合には、前記した溶解抑制剤を上層に添加することは必須となる。
また、これらの赤外線吸収剤は記録層(上層及び/又は下層)と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
前記好ましい染料として挙げたシアニン色素などの赤外線吸収剤は前記アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成してアルカリ可溶性樹脂の溶解抑制剤として機能する。なお、赤外線吸収剤としてこのような溶解抑制能を有する化合物以外のものを用いる場合には、前記した溶解抑制剤を上層に添加することは必須となる。
赤外線吸収剤の添加量としては、感度と、記録層の均一性、耐久性の観点から、上層全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは1.0〜30質量%の割合で添加することができる。
赤外線吸収剤は所望により下層にも添加しうるが、下層に添加する場合、下層全固形分に対し0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜5質量%の割合で添加することができる。下層に赤外線吸収剤を添加する場合、溶解抑制能を有する赤外線吸収剤を用いると下層の溶解性が低下するが、一方、赤外線吸収剤が赤外線レーザ露光時に発熱し、熱による下層の溶解性向上が期待できるため、これらのバランスを考慮して添加する化合物及び添加量を選択すべきである。
〔その他の添加剤〕
前記記録層の下層および上層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。以下に挙げる添加剤は下層のみに添加してもよいし、上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
前記記録層の下層および上層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。以下に挙げる添加剤は下層のみに添加してもよいし、上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
(現像促進剤)
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
(界面活性剤)
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001−247351に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001−247351に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBP−732、DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の下層あるいは上層の全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
(焼出し剤/着色剤)
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレットラクトン、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
これらの染料は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
これらの染料は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
(可塑剤)
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る記録層である上層および/または下層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、下層あるいは上層の全固形分に対し、0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%の割合で添加することができる。
(WAX剤)
本発明に係る上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特願2001−261627号、特願2002−032904号、特願2002−165584号の各明細書に記載されているいるような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることが出来る。添加量として好ましいのは、上層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明に係る上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特願2001−261627号、特願2002−032904号、特願2002−165584号の各明細書に記載されているいるような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることが出来る。添加量として好ましいのは、上層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
〔記録層の形成〕
本発明の平版印刷版原版における下層及び上層は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
本発明の平版印刷版原版における下層及び上層は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
なお、該下層および上層は、原則的に2つの層を分離して形成し、上層、下層の界面での相溶を抑制することが好ましい。
本発明の作製方法においては、下層を、以下に述べる方法により、支持体上に設けた後、5時間以上経ってから上層を設けることを特徴とする。これにより高精細画像の再現性に優れ、シャープな画像が形成でき、網点、細線などの小面積画像部の耐刷性に優れたポジ型平版印刷版原版を提供できるが、本発明を工業的に実施するには、ウェブ状の支持体を用い次のようなステップで作製することが好ましい。
すなわち、ウェブ状の支持体に後述するような表面処理を行い、下層を塗布・乾燥し、そのウェブを巻き取り、5時間以上そのままの状態で保管する。しかる後に、同一のラインまたは、別のラインにて、上層を塗布乾燥する。このような方法により、低コストで本発明を工業的に実施できる。
本発明の作製方法においては、下層を、以下に述べる方法により、支持体上に設けた後、5時間以上経ってから上層を設けることを特徴とする。これにより高精細画像の再現性に優れ、シャープな画像が形成でき、網点、細線などの小面積画像部の耐刷性に優れたポジ型平版印刷版原版を提供できるが、本発明を工業的に実施するには、ウェブ状の支持体を用い次のようなステップで作製することが好ましい。
すなわち、ウェブ状の支持体に後述するような表面処理を行い、下層を塗布・乾燥し、そのウェブを巻き取り、5時間以上そのままの状態で保管する。しかる後に、同一のラインまたは、別のラインにて、上層を塗布乾燥する。このような方法により、低コストで本発明を工業的に実施できる。
上層の塗布、乾燥工程は、下層の形成後、5時間経時した後に実施されることを要するが、相互作用の形成性の観点からは、好ましくは、8時間以上、さらに好ましくは12時間以上経過した後に上層が形成される。このように、下層の形成後、12時間以上経た後上層を形成することで、本発明の最適な効果が発現するものの、下層形成後、上層塗布工程までの時間を、それ以上長くしても、さらなる膜性向上効果は見られない。しかしながら、製造工程上、例えば、一昼夜経過後、或いは、下層のみ形成した材料を大量に製造し、数日間おいた後など、12時間を超える長時間の経時後に上層を形成するような場合であっても、本発明の効果が低下することはない。
また、5時間以上の経時は、常温雰囲気下で、特段の温湿度調整を行わずに実施してもよいが、温度10〜35℃、相対湿度30〜80%の雰囲気下で実施(保存)され、上層形成工程に付されることが好ましい。
また、5時間以上の経時は、常温雰囲気下で、特段の温湿度調整を行わずに実施してもよいが、温度10〜35℃、相対湿度30〜80%の雰囲気下で実施(保存)され、上層形成工程に付されることが好ましい。
本発明においては、2つの層を形成するに際して、下層の形成後、十分な時間の経過後に上層を形成するため、層間混合が生じる可能性は一般的な方法に比べると低いものであるが、上層、下層間の分離を完全なものとするために、一般に行われる層間分離の手段をとることもできる。そのような方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法等が挙げられる。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる樹脂などの主要成分が不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、逐次塗布を行う際に、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。例えば、下層成分として、上層成分であるアルカリ可溶性樹脂を溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、該下層成分を溶解する溶剤系を用いて下層を塗布・乾燥し、その後、アルカリ可溶性樹脂を主体とする上層をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解し、塗布・乾燥することにより、界面での相溶が抑制された重層構造の形成が可能になる。
本発明では、上層を塗布する際には、下層に含まれていた溶剤は実質的に除去され、安定した皮膜が形成されているが、上層を塗布する際の塗布溶剤が下層に影響を与えることを抑制するために、上層の塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法をとることもできる。このような方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつけることや、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与えること、あるいはそれらを組み合わせることにより達成できる。
また、新たな機能を付与するために、本発明の効果を充分に発揮する範囲において、積極的に上層および下層の部分相溶を行う場合もある。そのような方法としては、上記溶剤溶解性の差を利用する方法、2層目を塗布後に極めて速く溶剤を乾燥させる方法何れにおいても、その程度を調整することによって可能となる。
支持体上に塗布される下層/上層用塗布液中の、溶剤を除いた前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、上層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、上層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布する事が望ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、上層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、上層塗布方法は非接触式である事が望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いる事も可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布する事が望ましい。
本発明の平版印刷版原版の支持体上に塗布される下層成分の乾燥後の塗布量は、耐刷性と、画像再現性、感度とのバランスといった観点からは、0.5〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.6〜2.5g/m2の範囲である。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、現像ラチチュード、耐傷性と、感度との両立の観点から、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。
下層および上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、上記の如き理由により、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、現像ラチチュード、耐傷性と、感度との両立の観点から、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。
下層および上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、上記の如き理由により、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。
〔支持体〕
本発明の作製方法が適用される平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明の作製方法が適用される平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明に適用される平版印刷版原版は、支持体上に前記下層および上層の2層を積層して設けたものであるが、必要に応じて支持体と下層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、耐刷性向上の観点から。2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
上記のようにして本発明の作製方法により得られた平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施され、平版印刷版として使用される。
有機下塗層の被覆量は、耐刷性向上の観点から。2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
上記のようにして本発明の作製方法により得られた平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施され、平版印刷版として使用される。
〔露光〕
本発明に係る平版印刷版原版の像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版の像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
〔現像処理〕
本発明の平版印刷版原版の現像に用いる現像液および補充液としては、従来から知られている、緩衝作用を有する有機化合物と塩基とを主成分とし、実質上、二酸化ケイ素を含有しないアルカリ現像液を用いることができる。本発明では、このような現像液を以下、「非シリケート現像液」と称する。なお、ここで「実質上」とは不可避の不純物及び副生成物としての微量の二酸化ケイ素の存在を許容することを意味する。
本発明の平版印刷版原版の現像工程に、このような非シリケート現像液を適用することで、傷の発生抑制効果は発現され、画像部に欠陥のない、良好な平版印刷版を得ることができる。アルカリ水溶液としては、特にpH12.5〜13.5のものが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の現像に用いる現像液および補充液としては、従来から知られている、緩衝作用を有する有機化合物と塩基とを主成分とし、実質上、二酸化ケイ素を含有しないアルカリ現像液を用いることができる。本発明では、このような現像液を以下、「非シリケート現像液」と称する。なお、ここで「実質上」とは不可避の不純物及び副生成物としての微量の二酸化ケイ素の存在を許容することを意味する。
本発明の平版印刷版原版の現像工程に、このような非シリケート現像液を適用することで、傷の発生抑制効果は発現され、画像部に欠陥のない、良好な平版印刷版を得ることができる。アルカリ水溶液としては、特にpH12.5〜13.5のものが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の現像に用いる「非シリケート現像液」は、前記したように緩衝作用を有する有機化合物と塩基とを主成分とするものである。緩衝作用を有する有機化合物としては、特開平8−220775号公報に緩衝作用を有する化合物として記載されている糖類[特に一般式(I)又は(II)で表されるもの]、オキシム類[特に一般式(III)で表されるもの]、フェノール類[特に一般式(IV)で表されるもの]及びフッ素化アルコール類[特に一般式(V)で表されるもの]等が挙げられる。一般式(I)〜(V)で表される化合物のなかでも、好ましいものは、一般式(I)又は(II)で表される糖類、一般式(V)で表されるフェノール類であり、さらに好ましくは一般式(I)又は(II)で表される糖類のうち、サッカロース等の非還元糖又はスルホサリチル酸である。非還元糖には、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元した糖アルコール等が包含される。本発明ではこれらのいずれも好適に用いられる。
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロースやトレハロースが挙げられ、前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。
前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−アンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。
さらには、二糖類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等も好適に挙げることができる。
前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−アンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。
さらには、二糖類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等も好適に挙げることができる。
上記のうち、非還元糖としては、糖アルコール、サッカロースが好ましく、中でも特に、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめが、適度なpH領域に緩衝作用がある点でより好ましい。
これらの非還元糖は、単独でも、二種以上を組合せてもよく、現像液中に占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
これらの非還元糖は、単独でも、二種以上を組合せてもよく、現像液中に占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記緩衝作用を有する有機化合物には、塩基としてアルカリ剤を、従来公知のものの中から適宜選択して組合せることができる。
前記アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等の無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等の無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
さらに、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソブロパノールアミシ、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も好適に挙げることができる。これらのアルカリ剤は、単独で用いても、二種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広いpH領域においてpH調整が可能となるためである。
また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液および補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。更に現像液および補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明の方法により作製された平版印刷版原版原版は、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして本発明の方法により得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
本発明の作製方法により得られた平版印刷版原版は、高感度で記録可能であり、高精細の画像再現性に優れ、小面積画像の耐刷性に優れることからその応用範囲は広い。
本発明の作製方法により得られた平版印刷版原版は、高感度で記録可能であり、高精細の画像再現性に優れ、小面積画像の耐刷性に優れることからその応用範囲は広い。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
[支持体1の作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。また、印加電圧は12.7V、電気量は90C/dm2であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%液でスプレーによるエッチング処理を67℃で行い、アルミニウム板を3.8g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
(実施例1)
[支持体1の作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。また、印加電圧は12.7V、電気量は90C/dm2であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%液でスプレーによるエッチング処理を67℃で行い、アルミニウム板を3.8g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
次に、二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は1.1g/m2であった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗をし、乾燥して、支持体1を作製した。この支持体の白色度をMacbeth社製反射濃度計;RD−914にて、白黒モードで測定したところ、0.13であった。また、この支持体1の中心線表面粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.52μmであった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗をし、乾燥して、支持体1を作製した。この支持体の白色度をMacbeth社製反射濃度計;RD−914にて、白黒モードで測定したところ、0.13であった。また、この支持体1の中心線表面粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.52μmであった。
[特定フェノール樹脂の合成]
<合成例1>
攪拌機および加熱装置付きの200mlフラスコ中に、メタノール30gと、N,N−ジメチルアセトアミド5gを投入した。次いで、カテコール13.87g(0.126モル)と、N,N’−ジメチロールウレア13.76g(0.115モル)を添加した。これを室温で攪拌しながら濃塩酸6g(12規定)を加えた後、加熱を開始し55℃に達したら、そのまま温度を保ち、55〜60℃で5時間反応させた。この反応溶液を400mlの水中に攪拌しながら注ぐと、淡黄色の固形物が析出した。これをろ別後、乾燥して、特定フェノール樹脂(1)20gを得た。この際の収率は72%であった。
<合成例1>
攪拌機および加熱装置付きの200mlフラスコ中に、メタノール30gと、N,N−ジメチルアセトアミド5gを投入した。次いで、カテコール13.87g(0.126モル)と、N,N’−ジメチロールウレア13.76g(0.115モル)を添加した。これを室温で攪拌しながら濃塩酸6g(12規定)を加えた後、加熱を開始し55℃に達したら、そのまま温度を保ち、55〜60℃で5時間反応させた。この反応溶液を400mlの水中に攪拌しながら注ぐと、淡黄色の固形物が析出した。これをろ別後、乾燥して、特定フェノール樹脂(1)20gを得た。この際の収率は72%であった。
<下塗液組成>
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
上記により得られたウェブ状の支持体に、下記組成の下層用塗布液1を塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布したのち、160℃で44秒間乾燥して下層を形成し、その後、5時間室温で保存した。
5時間経過した後、下記組成の上層用塗布液1を塗布量が0.22g/m2になるようバーコーター塗布し、148℃で25分間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成し、支持体上に、重層構造の記録層を有する実施例1の平版印刷版原版を得た。
5時間経過した後、下記組成の上層用塗布液1を塗布量が0.22g/m2になるようバーコーター塗布し、148℃で25分間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成し、支持体上に、重層構造の記録層を有する実施例1の平版印刷版原版を得た。
<下層用塗布液1>
・合成例1で得られた特定フェノール樹脂(1) 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.134g
・4,4'−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.781g
・ポリマー1(下記構造) 0.035g
・γ−ブチロラクトン 52.40g
・1−メトキシ−2−プロパノール 17.60g
・合成例1で得られた特定フェノール樹脂(1) 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.134g
・4,4'−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.781g
・ポリマー1(下記構造) 0.035g
・γ−ブチロラクトン 52.40g
・1−メトキシ−2−プロパノール 17.60g
<上層用塗布液1>
・m,p−クレゾールノボラック 0.3479g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(上記構造) 0.0192g
・エチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体
(37/37/26wt%)30%MEK溶液 0.1403g
・ポリマー1(上記構造) 0.015g
・ポリマー2(下記構造) 0.00328g
・メチルエチルケトン 13.07g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
・m,p−クレゾールノボラック 0.3479g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(上記構造) 0.0192g
・エチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体
(37/37/26wt%)30%MEK溶液 0.1403g
・ポリマー1(上記構造) 0.015g
・ポリマー2(下記構造) 0.00328g
・メチルエチルケトン 13.07g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
〔実施例2〜8、比較例1〜3〕
実施例1における下層用塗布液1を塗布・乾燥後、上層用塗布液1を塗布するまでの時間を表1記載したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜8の平版印刷版原版及び比較例1〜3の平版印刷版原版を作製した。
実施例1における下層用塗布液1を塗布・乾燥後、上層用塗布液1を塗布するまでの時間を表1記載したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜8の平版印刷版原版及び比較例1〜3の平版印刷版原版を作製した。
〔平版印刷版原版の評価〕
(網点耐刷性の評価)
実施例1〜8の平版印刷版原版及び比較例1〜3の平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム速度150rpmで走査露光し、0.5%網点(ハイライト)を形成し、露光後、上記現像液で現像した。現像した平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、網点耐刷性を評価した。枚数が多いほど網点耐刷性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜8の平版印刷版原版及び比較例1〜3の平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム速度150rpmで走査露光し、0.5%網点(ハイライト)を形成し、露光後、上記現像液で現像した。現像した平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、網点耐刷性を評価した。枚数が多いほど網点耐刷性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
(画像のシャープ性)
実施例1〜8及び比較例1〜3の感熱性平版印刷版をCreo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターン(Staccato10)を画像状に描き込みを行った。上記の条件で露光した平版印刷版原版1〜11を、富士写真フィルム(株)DT−2(水で希釈して電導度43mS/cmとしたもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。得られた画像のエッジ部を電子顕微鏡(日立S−800 日立製作所(株)製)にて観察した。画像シャープ性評価は下記基準で行った。
実施例1〜8及び比較例1〜3の感熱性平版印刷版をCreo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターン(Staccato10)を画像状に描き込みを行った。上記の条件で露光した平版印刷版原版1〜11を、富士写真フィルム(株)DT−2(水で希釈して電導度43mS/cmとしたもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。得られた画像のエッジ部を電子顕微鏡(日立S−800 日立製作所(株)製)にて観察した。画像シャープ性評価は下記基準で行った。
<画像のシャープの評価基準>
○:画像の辺がまっすぐになっているもの
△:画像の辺の一部が少し欠けているもの
×:画像の辺の1/2以上が欠けているもの
○:画像の辺がまっすぐになっているもの
△:画像の辺の一部が少し欠けているもの
×:画像の辺の1/2以上が欠けているもの
表1に明らかなように、本発明の実施例1〜8に記載の作製方法により得られた平版印刷版原版はいずれも、下層塗布後、直ちに、或いは、短時間の経時後に上層を塗布した比較例1〜3に比べてシャープな画像が得られ、小面積画像である網点耐刷性に優れていることが分かる。また、実施例8により、上層を形成後、70日間後という相当時間を経た後、下層を塗布しても、本発明の効果を奏することがわかる。
〔実施例9〕
実施例1で用いた支持体1の代わりに、下記[支持体2の作製]で得た支持体2を用いた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。この平版印刷版原版も、実施例1と同じ評価をしたところ、網点耐刷性19万枚であり、画像のシャープさも実施例1と同様に良好であった。
実施例1で用いた支持体1の代わりに、下記[支持体2の作製]で得た支持体2を用いた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。この平版印刷版原版も、実施例1と同じ評価をしたところ、網点耐刷性19万枚であり、画像のシャープさも実施例1と同様に良好であった。
[支持体2の作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
〔実施例10〕
実施例1で用いた支持体1の代わりに、下記[支持体3の作製]で得た支持体3を用いた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。この平版印刷版原版も、実施例1と同じ評価をしたところ、網点耐刷性20万枚であり、画像のシャープさも実施例1と同様に良好であった。
実施例1で用いた支持体1の代わりに、下記[支持体3の作製]で得た支持体3を用いた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。この平版印刷版原版も、実施例1と同じ評価をしたところ、網点耐刷性20万枚であり、画像のシャープさも実施例1と同様に良好であった。
[支持体3の作製]
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
Claims (1)
- 粗面化処理した親水性支持体上に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び現像抑制剤を含有し、露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層とからなる記録層を有し、下層及び上層の少なくとも一層に赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版の作製方法であって、
該親水性支持体上に、記録層の下層を設け、5時間以上経時した後、記録層の上層を設けることを特徴とする平版印刷版原版作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004280459A JP2006091764A (ja) | 2004-09-27 | 2004-09-27 | 平版印刷版原版の作製方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006091764A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009037908A1 (ja) * | 2007-09-19 | 2009-03-26 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | 平版印刷版材料の製造方法および平版印刷版材料 |
-
2004
- 2004-09-27 JP JP2004280459A patent/JP2006091764A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
WO2009037908A1 (ja) * | 2007-09-19 | 2009-03-26 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | 平版印刷版材料の製造方法および平版印刷版材料 |
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