JP2006090602A - ローブミキサー及び予混合器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合するローブミキサーを提供する。
【解決手段】2重ローブ壁で構成され端面にローブスリット状の燃料噴射口1cを有するローブノズル部1と、2重管壁で構成され外周面に複数の燃料供給管2bが配設された円筒部2とを具備したローブミキサーであって、燃料は2重管壁間2cおよび2重ローブ壁間1dを通り燃料噴射口1cから均一に噴射されながら円筒内部からノズル内部を流れる酸化剤および円筒部2とローブノズル部1とスリーブ3の間隙を流れる酸化剤と共に急速かつ均一に混合され、燃料と酸化剤が均一に混合された燃料希薄混合ガスを生成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ローブミキサー及び予混合器、特に逆火を好適に抑制しながら燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合し、もって安定希薄燃焼および燃焼ガス中の窒素酸化物の低減に寄与することが可能なローブミキサー及び予混合器に関する。
内燃機関から排出される燃焼ガス中の窒素酸化物はNOxと称され、燃焼の過程で生成される熱生成NOと燃料中に含有される燃料起源NOに分類される。上記NOにおいて、熱生成NOは強い温度依存性を有し、燃焼の火炎温度を低下させることでその生成を抑制することが出来る。
従って、産業用ガスタービンや航空機用エンジンまたは燃焼炉等では、火炎温度を制御できる理由から、燃料と酸化剤を予め混合した混合ガスを燃焼させる予混合燃焼方式が採用されている。予混合燃焼方式の中でも、燃焼ガス中の窒素酸化物を大幅に低減できる利点から、燃料希薄混合ガスで燃焼させる希薄予混合燃焼方式が特に注目されている。
しかしながら、希薄予混合燃焼方式では、燃料と酸化剤の混合が完了するのに要する行程(以下、「混合距離」という。)が長い場合に、自着火や逆火が発生しエンジンが破損する事例が報告されている。そのため、希薄予混合燃焼方式では燃料と酸化剤が均一に混合された燃料希薄混合ガスを極めて短時間に生成することが求められている。
従来の予混合器では、ノズル出口部をローブ形状に成形し燃料と酸化剤の混合ガス流に渦を発生させて燃料と酸化剤の混合を促進していた。中でも、燃料に対し内側からの1次空気および外側からの2次空気を供給しながら燃料と酸化剤を混合し更にノズル出口部に形成される渦によって燃料と酸化剤の混合を促進する予混合器が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、パイロット燃焼器の回りに配される予混合器とを有し、予混合器は、下流まで延長状態の予混合予蒸発管と、気流中に燃料を噴射する主燃料噴射手段とを具備し、パイロットチャンバに、内外流を周方向に複数分割して混合させるローブミキサーを具備するガスタービン用燃焼装置が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平8−145361号公報 特開平8−14562号公報
上記前者の公知予混合器では、燃料の噴射口がノズル内壁面のローブ上流部に設けられている。この為、噴射された燃料はノズル内側の一次空気とある程度混合した上で、ローブ出口から外部へと噴出し、さらに出口後流で二次空気と混合する。この方式では、燃料がローブ形状に沿って流れる確証はなく、ノズルの径方向への混合がローブの山部と谷部とで不均一になり、その結果、燃料と酸化剤が均一に混合された燃料希薄混合ガスは生成されない虞がある。また、ローブ内部で混合が開始するため、ローブ内壁近傍の流速が遅い場所では、逆火が起こる可能性がある。さらに、空気供給系統が二系統あるため、予混合器の構造が複雑になりそれに伴う部品点数の増加および製造コストの上昇等を招来する虞もある。
他方、上記後者の公知予混合器では、ローブミキサーによりパイロット燃焼ガスと主燃料および空気の未燃混合ガスとの渦が形成され、これらの流体が滞留することによって着火性能の向上および保炎性能の向上が図られることを目的としており、メイン混合ガスの混合距離を短くすることを目的とはしていない。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、逆火を好適に抑制しながら燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合し、もって安定希薄燃焼および燃焼ガス中の窒素酸化物の低減に寄与することが可能なローブミキサー及び予混合器を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のローブミキサーは、円筒部と該円筒部の先端部に設けられたローブノズル部とからなるローブミキサーであって、少なくとも前記ローブノズル部が下流部端面の周方向に沿って形成されたスリットを有する二重ローブ壁に形成されて第1流体路を形成し、前記二重ローブ壁の内側が第2流体流路を形成し、且つ外側が第3流体流路を形成してなり、前記スリットから第1流体が噴出することによって、前記第2流体流路および第3流体流路から噴出される第2流体および第3流体と前記第1流体とが混合されることを特徴とする。
上記構成によるローブミキサーでは、第1流体は二重ローブ壁を流れノズル端面の周方向に沿って形成されたスリットから噴射される一方、第2流体および第3流体酸化剤は2重ローブ壁の内側および外側から噴射されるので、第3流体−第1流体−第2流体の同心三層流が形成される。これにより、ノズル軸方向に対する第1流体と第2流体と第3流体の混合が均一に促進される。また、この三層流は同時に、ローブ壁によってノズル出口部に縦渦を形成するので、ノズル半径方向に対する第1流体と第2流体と第3流体の混合が促進される。これにより、第1流体と第2流体と第3流体を急速かつ均一に混合することが可能になる。
上記構成のローブミキサーにおいて、前記円筒部に前記ローブノズル部に形成された二重ローブ壁に連通する2重管壁が形成され、前記円筒部の外周面に前記2重管壁内部に連通する第1流体供給管が配設されている。
上記構成によるローブミキサーでは、第1流体は第1流体供給管を通り2重管壁内部および2重ローブ壁内部を流れ下流部端面のスリットから噴射されるので、ローブノズル部の内側および外側において第1流体および第2流体の混合は起こらない。これにより、ローブノズル部に対する逆火を好適に抑制することが可能になる。
上部構成のローブミキサーにおいて、少なくとも前記ローブノズル部から下流部外方にスリーブが設けられて、前記ローブノズル部外周面と前記スリーブ内周面との間で第3流体流路を形成している。
上記構成によるローブミキサーでは、ローブノズル部から下流部外方にスリーブが設けられているので、第3流体流路が好適に形成される。これにより、十分な量の第3流体をローブノズル部に供給することが可能になる。
上部構成のローブミキサーにおいて、前記円筒部の上流側端部が開口して前記第2流体流入口となり、且つ前記スリーブ上流端が開口して第3流体流入口となり、前記第2流体流入口と第3流体流入口が同軸心状に開口している。
上記構成のローブミキサーでは、円筒部の上流側端部およびスリーブ上流端が同軸心状に開口し第2流体流入口および第3流体流入口を形成しているので、第1流体を挟みながら流体を同軸心状に並流させることが可能になる。また、単一の供給系統によって流体を同軸心状に分流させることが可能になり、供給系統が簡素化する。
上部構成のローブミキサーにおいて、前記第1流体流路が燃料流路であり、第2流体流路及び第3流体流路が酸化剤流路である。
上記構成のローブミキサーでは、スリットから噴射された燃料は、ローブノズル部の内側および外側から流出された酸化剤と共に酸化剤―燃料−酸化剤の三層流を形成しながら縦渦を形成するので、燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合することが可能になる。また、燃料は第1流体流路を流れ、酸化剤は第2流体流路および第3流体流路を流れるので、円筒部の内側および外側あるいはローブノズル部の内側および外側において燃料と酸化剤が混合することなく逆火が好適に抑制される。さらに、単一の酸化剤供給系統によって酸化剤を同軸心状に分流することが可能になるので、酸化剤の供給系統が簡素化する。
上記課題を解決する本発明の予混合器は、上記構成のローブミキサーを具備したことを特徴とする。
上記構成の予混合器では、燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合し燃料希薄混合ガスにし、その燃料希薄混合ガスを好適に燃焼室に供給することが可能になる。その結果、燃焼室における希薄燃焼が安定し、燃焼中の窒素酸化物の生成が好適に抑制される。
本発明に係るローブミキサー及び予混合器によれば、逆火を好適に抑制しながら燃料と酸化剤を急速かつ均一に混合することが可能になり、その結果、希薄燃焼が安定し燃焼中の窒素酸化物の生成が好適に抑制される。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るローブミキサー10を示す正面図である。
このローブミキサ−10は、燃料を噴射すると共に燃料と酸化剤の混合ガスの縦渦を形成するローブノズル部1と、燃料と酸化剤をローブノズル部1へ導入する円筒部2と、該ローブノズル部1および円筒部2と共に酸化剤流路を形成するスリーブ3とを具備して構成されている。
ローブノズル部1は、ローブ山1aとローブ谷1bから成るローブ壁を2重に有した構造である。ノズル部の端面には周方向に沿ってスリット状の燃料噴射口1cが形成されている。
燃料噴射口1cから噴射された燃料は、ノズル端面の周方向に沿って均一に分布される。一方、酸化剤はローブノズル部1の内側およびローブノズル部1とスリーブ3の間隙を流出し、燃料と共に酸化剤−燃料−酸化剤の同心三層流を形成する。この三層流によってノズルの軸方向に対する混合が促進される。同時に、この三層流はローブノズル部の出口近傍で縦渦を形成し、この縦渦によって半径方向に対する混合が促進される。このように、燃料噴射口1cから噴射された燃料とローズノズル部1の内側および外側から流出された酸化剤は同心三層流と縦渦の同時作用によって均一かつ急速に混合されて燃料希薄混合ガスになる。なお、燃料はメタンまたは天然ガス、酸化剤は空気または酸素または空気過剰の燃焼ガスである。
図2は、図1のA−A´断面図である。
円筒部2は、2重管壁構造の燃料流路2aと、単管構造(図示せず)の燃料供給管2bとを有している。燃料は、燃料供給管2bの内部を通り2重管壁間2cと2重ローブ壁間1dを通り燃料噴射口1cから外部に噴射される。一方、酸化剤は円筒部2の内部およびローブノズル部1の内部と、円筒部2とローブノズル部1とスリーブ3によって形成される間隙とを流れ、燃料と共に酸化剤−燃料−酸化剤の同心三層流を形成しながら縦渦を形成する。特に、円筒部2およびローブノズル部1の内部には酸化剤に対して十分な流路面積が確保されているので燃料に対し十分な量の酸化剤を供給することが出来る。
図3は、図1のB−B´断面図である。
円筒部2では、外周面に単管構造の燃料供給管2bが配設されている。図示の都合上、燃料供給管2bは外周面に2個等配設されているが、実際は1又は複数個の燃料供給管2bが外周面に配設されている。
上記ローブミキサー10によれば、噴射された燃料はローブノズル部1の内側および外側から流出される酸化剤と共に酸化剤−燃料−酸化剤の同心三層流を形成しながらローブ形状に起因する縦渦を形成する。これにより、燃料と酸化剤は急速かつ均一に混合され燃料希薄混合ガスになる。さらに、燃料は円筒部2の外周面に配設された燃料供給管2bから2重管壁間2cおよびローブノズル部1の2重ローブ壁間1dを通り燃料噴射口1cから出射されるので、酸化剤に対して円筒部2の内部およびローブノズル部1の内部に十分な流路面積が確保される。その結果、燃料と酸化剤が均一に混合された燃料希薄混合ガスを好適に急速生成することが出来る。また、燃料と酸化剤はローブノズル部1の下流部で混合されるので、ローブノズル部1の内側および外側において逆火を好適に抑制することが可能になる。また、円筒部2およびスリーブ3によって酸化剤の供給系統を一つにして燃料を挟みながら分流させることが可能になる。
図4は、本発明の実施形態に係る予混合器100を示す要部断面説明図である。
この予混合器100は、上記ローブミキサー10と、該ローブミキサー10に燃料を供給する燃料系統20とを具備して構成されている。なお、図示の都合上、この予混合器100は、燃焼器Nの中に組み込まれた状態で描かれている。
上記ローブミキサー10によって急速生成された燃料希薄混合ガスは、燃焼室CHに誘導され燃焼に供される。この時、スワラーSWによって旋回流が生成され火炎を好適に保持し燃焼を安定させる。そして、燃焼ガスは排気管EXを通りタービン室(図示せず)に入り仕事として取り出されたあと外部に排気される。
上記予混合器100によれば、燃料と酸化剤が均一に混合された燃料希薄混合ガスを燃焼室CHに好適に供給することが可能になる。その結果、希薄燃焼が安定し燃焼中の窒素酸化物の生成が好適に抑制される。
本発明に係るローブミキサー及び予混合器は、産業用ガスタービン等の内燃機関またはボイラー等の燃焼炉を始めとして、複数の流体を急速かつ均一に混合した混合物を使用する分野において利用可能である。
本発明の実施形態に係るローブミキサー10を示す正面図である。 図1のA−A´断面図である。 図1のB−B´断面図である。 本発明の実施形態に係る予混合器100を示す要部断面説明図である。
符号の説明
1 ローブノズル部 1a ローブ山
1b ローブ谷 1c 燃料噴射口
1d 2重ローブ壁間
2 円筒部 2a 燃料流路
2b 燃料供給管 2c 2重管壁間
3 スリーブ
10 ローブミキサー 20 燃料系統

Claims (6)

  1. 円筒部と該円筒部の先端部に設けられたローブノズル部とからなるローブミキサーであって、少なくとも前記ローブノズル部が下流部端面の周方向に沿って形成されたスリットを有する二重ローブ壁に形成されて第1流体路を形成し、前記二重ローブ壁の内側が第2流体流路を形成し、且つ外側が第3流体流路を形成してなり、前記スリットから第1流体が噴出することによって、前記第2流体流路および第3流体流路から噴出される第2流体および第3流体と前記第1流体とが混合されることを特徴とするローブミキサー。
  2. 前記円筒部に前記ローブノズル部に形成された二重ローブ壁に連通する二重管壁が形成され、前記円筒部の外周面に前記二重管壁の内部に連通する第1流体供給管が配設されている請求項1に記載のローブミキサー。
  3. 少なくとも前記ローブノズル部から下流部外方にスリーブが設けられて、前記ローブノズル部外周面と前記スリーブ内周面との間で第3流体流路を形成している請求項1又は2に記載のローブミキサー。
  4. 前記円筒部の上流側端部が開口して前記第2流体流入口となり、且つ前記スリーブ上流端が開口して第3流体流入口となり、前記第2流体流入口と第3流体流入口が同軸心状に開口している請求項3に記載のローブミキサー。
  5. 前記第1流体流路が燃料流路であり、第2流体流路及び第3流体流路が酸化剤流路である請求項1〜4何れかに記載のローブミキサー。
  6. 請求項5に記載のローブミキサーを具備したことを特徴とする予混合器。
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