JP2006090292A - 排気ガス処理装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガス処理装置のケーシングに柱体と緩衝マットを確実に圧入し、最適保持力で保持する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも柱体の外径計測値に基づき最適保持径を算出し、その最適保持径を現出させるべくケーシング内面に切削加工を施す。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも柱体の外径計測値に基づき最適保持径を算出し、その最適保持径を現出させるべくケーシング内面に切削加工を施す。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関等の排気ガス処理装置の製造方法に関する。
内燃機関の排気ガス処理装置として、触媒コンバータ、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)等がある。これらは、端部にコーン部(テーパ部)を有する金属製の外筒(ケーシング)と、外筒内に緩衝マットを介して保持される柱体(以下、代表して触媒担体という)を備える構造が一般的である。柱体が排気ガスの処理を担う。緩衝マットは、排気ガス圧や振動に起因する移動力に抗して外筒内の定位置に触媒担体を保持し続けるために、復元力(面圧)によって一定摩擦力を発現するよう圧縮力を付与されている。触媒担体の移動(ズレ)を阻止する目的は、触媒担体後部とコーン部との衝接による触媒担体破損を避けることである。
排気ガス処理装置として高耐熱性や重量軽減が特に求められない場合には、鈑金製に代わり安価な鋳造外筒が使用される(特許文献1、特開2001−329836)。そして、緩衝マットにはアルミナ等を主組成とするセラミック繊維体が、触媒担体にはセラミック焼成体か金属薄板巻回体が、一般的に用いられている。
触媒担体及び緩衝マットを外筒内に挿入する方法においては、漏斗状の治具を外筒の一端開口に係止し、治具内挿通により緩衝マットを圧縮しながら触媒担体を外筒内へ挿入する、所謂圧入式が一般的である(特許文献2、特開昭57−81112)。
そして、昨今の浄化力向上要請に伴い、触媒担体の薄壁化による脆弱化傾向と非膨張マットの使用が一般的となりつつあり、これらに対応し高精度に目標保持面圧を具現できる圧入方法が必要とされている。その一例として、触媒担体に緩衝マットを巻回した状態で緩衝マットを押圧し、最適保持圧(発現面圧)における最適外筒内径(保持部の内径)を算出して、外筒を最適内径となるように縮径あるいは拡径した後に圧入するという圧入方法が提案されている(特許文献3、特開2003−286836)。この圧入方法は、誤差が重畳しがちな推定値であるGBD値を使用せず、最適径そのものを唯一のパラメータとして具現できるので、目標とする保持力を高精度すなわち最小の誤差範囲で具現可能である。
特開2001−329836号公報 特開昭57−81112号公報 特開2003−286836号公報
しかしながら、前述の高精度圧入方法は、板厚が薄い鈑金製外筒の塑性変形による最適径設定が前提であるため、塑性変形困難な鋳造外筒には適用不可能であった。従って、鋳造外筒を用いる排気ガス処理装置においては、触媒担体の外径誤差、緩衝マットの単位面積当たり重量誤差、及び外筒の内径誤差の3誤差が重畳された出来合い状態で保持されざるを得なかった。そのため、保持面圧値が具現される幅(レンジ)が大きすぎ、昨今の脆弱な触媒担体においては過圧縮による圧壊が発生する可能性が極めて高くなるので、適用は困難であった。
そこで、本発明は、圧入による触媒担体の過圧縮を惹起することなく確実な保持力を具現可能な、排気ガス処理装置の製造方法を提供するものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、金属製の外筒内に緩衝マットを介して柱体を保持する排気ガス処理装置の製造方法において、少なくとも柱体の外径値を測定して保持状態における緩衝マットの最適外径値を算出し、外筒内面を切削し最適外径値を有する保持面を形成した後に、外筒の一端から緩衝マットを巻回した柱体を挿入し保持面に位置させることを特徴とするものである。
請求項1の発明においては、柱体(触媒担体)を保持する緩衝マットが接する保持面を塑性加工を要することなく、保持状態における最適外径値に設定できる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、外筒が鋳造品であるとともに、外筒内面が回転切削加工によって内径を修正され形成されることを特徴とするものである。
請求項2の発明においては、鋳造外筒の内面切削工程を利用して正確な保持面が形成されるので、高精度な保持面圧の設定が可能となる。
請求項3の発明は、保持状態における緩衝マット及び触媒担体を撮影手段にて撮像し、画像解析手段によって保持状態の良否を判断することを特徴とするものである。
請求項3の発明においては、圧入後に保持された状態の緩衝マット及び触媒担体の、異常有無及び位置や姿勢の良否を、自動的かつ確実に判断できる。
請求項1記載の発明によれば、圧入方式において、少なくとも柱体の外径誤差を加味した高精度な保持面圧の設定が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、鋳造外筒への圧入方式においても、設備やコストの増加を招くことなく、請求項1記載の高精度な保持面圧の設定が可能となる。
請求項3記載の発明によれば、圧入方法に起因する万一の異常を確実に検出できるため、不良品の流出を防止できる。
本発明を実施するための最良の形態を、図1乃至図4に示す実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の製造方法によるマニバータの断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は切削工程におけるケーシング内面の断面図、図4は圧入工程の断面図である。
図1は、本発明の製造方法による排気ガス処理装置たるマニバータ1の断面図である。マニバータ1は上流半部の排気マニホルド2と下流半部の触媒コンバータ3とを別々に製造後、機密に連結し一体化したものであり、本実施例では圧接部7において周知の摩擦圧接工法により気密かつ強固に連結されている。排気マニホルド2及び触媒コンバータ3は、高Si球状黒鉛鋳鉄等から成る高耐熱鋳造物に、適宜切削加工や穿孔加工を施して形成されるのが一般的である。排気マニホルド2は、内燃機関に接合するフランジ部4を最上流に一体形成し、下流側には触媒コンバータ3に接合されるフランジ部6及び、フランジ部6に至る径徐変部であるコーン部5を一体形成されている。触媒コンバータ3は図2に示すように、金属製外筒たるケーシング9と、その内部に環状の緩衝マット11を介して適正位置に適正保持力で固持された触媒担体10とから成る。触媒コンバータの外筒を構成するケーシング9最上流部には、フランジ部6と摩擦圧接にて締結されるフランジ部8を一体形成され、ケーシング9最下流部には下流側部品と締結されるフランジ部13が一体形成される。
排気マニホルド2および触媒コンバータ3は必ずしも鋳造品である必要はなく、場合により一方あるいは両方共に、パイプやプレス部品等から成る鈑金製でも構わないが、本発明の趣旨においては、少なくとも触媒コンバータ3が鋳造品であることが相応しい。排気マニホルド2と触媒コンバータ3の締結方法も、摩擦圧接に限らず一般的な螺合締結やカシメ締結や、可能であれば溶接接合でも構わない。また、排気ガス処理装置の最適実施例として、処理部分が触媒コンバータである例を示しているので柱体を触媒担体としたが、柱体はDPFであればフィルター体、改質器であれば改質体等、排気ガス処理が可能なものであれば任意である。また、緩衝マット11も、アルミナ式マットやバーミキュライト式マットなど材質や形状は問わないし、バインダー含浸も任意である。更に、材質や特性の異なるマットを内外に重ねて使用しても構わないし、金属ワイヤシール等をタンデム状に組合せても構わない。さらに、柱体及び緩衝マットを、軸方向に複数配置しても構わない。
次に、図3を用いて、ケーシング9の成形工程を説明する。ケーシング9は、鋳造後に摩擦圧接面及びフランジ13の締結面等を適宜切削加工や穿孔加工されており、最終的に当工程にて、触媒担体10及び緩衝マット11を保持する内面17を切削加工(旋削加工)によって仕上げられるものである。なお、前述の特許文献3、特開2003−286836記載の要領で、触媒担体10に緩衝マット11を巻回した状態で緩衝マットの目標圧縮時における半径値αが予め計測されており、その計測値αが図示しない制御装置に記憶されている。つまり、触媒担体の径の誤差と緩衝マットの単位面積当たり重量の誤差までが加味され、実際の組付け状態にて相乗的/相殺的に計測されており、これは単に触媒担体の径だけを計測する場合、あるいはそれに加え緩衝マットも単品計測する場合よりも、高精度に最適保持径を算出可能となる。なお、本実施例では計測及び形成する外径値(=最適保持径)として半径値を用いているが、外径値として直径値を用いても構わない。
図示しない固定手段でケーシング9を鉛直にクランプし、上方開口から汎用ボーリング装置(中ぐり盤)14のシャフト15を軸芯18周りにeだけオフセットさせて公転aさせつつ降下bさせる。ケーシング9内部には半径cの円筒状空洞19が鋳造時に設けられており、シャフト15に固定された切削工具16の先端が半径cの内壁面を切削して、半径dの内面17を有する円筒状空洞が現出する。ここにおいて、内面17の半径dは前工程の計測半径値α(外径値)と一致する。換言すると、計測値αと合致するように半径cを必要量だけ補正(拡大)し、半径d(最適保持径)である円筒状内面17を得るのである。
この内面切削工程は本発明に固有の工程ではなく、鋳造ケーシングの鋳放し空洞では寸法精度が不十分かつ中子の抜き勾配が残るため、触媒担体を保持可能な内面を形成するために本来的に必須の工程である。すなわち、本来有する切削工程をそのまま径補正に利用するだけであるので、特別な装置や加工時間の追加は不要で経済的である。なお、公転のオフセット量eの任意設定、あるいは逐次増大設定は、汎用ボーリング装置(中ぐり盤)の一般的な機能であり、実施に困難性はない。また、ボーリング装置の他にも、同程度の切削能力を有する装置であれば選択は任意である。さらに、内面17の表面凹凸や条痕を減少させたい場合には、ファインボーリング加工やホーニング加工等の追加工を施して、表面粗さを任意に設定しても良い。
この後、図4に示す周知の圧入工程に移行する。すなわち、ケーシング9上側開口に漏斗状の治具21を嵌合させ、緩衝マット11を巻回した触媒担体10の上端面を押圧装置20で押し下げて治具内を通過させることで、緩衝マット11が圧縮された状態で触媒担体10がケーシング9内の所定位置に保持される。なお、圧入姿勢は図4のような正立式でも良いし、特開2003−225834号公報に記載された倒立式でも構わない。さらに、同公報に記載されたように圧入時の荷重推移を監視すると、圧入異常の発見に効果的である。
以上のように、緩衝マット11が目標とする保持面圧を発現しうる最適内面径を、切削加工による内面径補正により現出させることによって、鋳造ケーシングであっても精度の高い圧入方法が実現できる。一例として、従来の圧入方法では保持面圧レンジが0.05MPa〜0.7MPaという広いレンジとなっていた触媒コンバータに本発明を適用したところ、保持面圧レンジは0.2MPa〜0.3MPaという極めて狭いレンジへ改善できた。この時の内面削り代(d−c)は最大で2.5mm以内であった。ちなみに、この削り代は、従前の鋳造触媒コンバータの削り代と大差ない。従って、本発明を通常の鋳造触媒コンバータに適用するにおいては、内面削り代(d−c)を片側2.5mm程度(内径で5mm程度)確保しておけば良い。また、触媒担体と緩衝マットの個体誤差に起因して最適保持半径αは組合せ毎に変わるので、それにdを合致させられるよう公転のオフセット量eをその都度調整して、切削加工を施せば良い。また、内面形状を一様径の円筒状とすることはもちろん、テーパ状に径徐変することや、内方膨出部を形成して流体的絞り部とすること等も任意である。
このように、鋳造ケーシングへの圧入であっても、触媒担体と緩衝マットの個体誤差を勘案して緩衝マット圧縮量を調整し、常に最適面圧を高精度に設定できるので、圧入時の過圧縮を回避でき、触媒コンバータのライフサイクルに亘って触媒担体と緩衝マットの移動(ズレ)を防止できる。
なお、本実施例では特許文献3、特開2003−286836号公報記載に準じて触媒担体と緩衝マットを組合せた状態での計測及び径の再現を実施したが、公知の所謂サイジング手法である単品状態での計測も、簡易方法として適用可能である。例えば、特表2001−526115号公報に記載されるように、触媒担体と緩衝マットを個別に計測し、それらの値から組合せ時の最適保持面圧を発現し得る内面径を推定しても良い。ただし、触媒コンバータ内に保持される組合せ状態での計測ではなく、個別状態での計測値を重畳した推測値に過ぎないため、特開2003−286836号公報記載の方法に比べ、最適保持径の算出精度、具現精度共に劣る。
本発明の方法の信頼性をさらに高める実施例として、画像解析による監視システムを組み合せた実施例を、図4を用いて説明する。
前述のケーシング9の下流側開口内に、画像解析システムの撮像センサであるCCDカメラ22を挿入し、触媒コンバータ10の下流端面へ指向させる。照明手段を具備するCCDカメラ22は、ロボットアーム23により位置、姿勢、退避等が自在となるよう保持されており、ロボットアーム23は、図示しない制御装置により圧入工程と同期して自動操作される。また、CCDカメラ22が撮影した画像は、有線あるいは無線にて図示しない画像解析装置へ伝送される。なお、撮像センサ、伝送手段、解析装置等から成る画像解析システムは周知慣用であり、汎用システムを購入して使用すれば良い。
図4の圧入工程に亘って及び/又は圧入後の保持状態を、CCDカメラ22にて撮像し、リアルタイムに画像解析を行う。そして、画像解析装置が圧入工程及び/又は保持状態を異常であると判断した場合は、工程を止めたり警報音を発したり任意のアクションを起動するよう定めておく。これによって、圧入工程の異常を自動的に発見でき、不良品が工程外に流出することを高い信頼性で防止できる。なお、画像認識システムが監視を行うのは、触媒担体10の欠けや割れ、緩衝マット11の端面状態(環状面積値やメクレ有無等)であるが、その他の情報も併せて監視するようにしても良い。例えば、ケーシング9内外の残留異物・付着物の有無や、ケーシング外面のマーキングや刻印の正誤、触媒担体10の向き等、付帯的監視項目は任意である。
なお、画像認識システムによる保持状態監視は、本発明に限らず従来の圧入方法、サイジング方法、トーニケット方法、プレス半体(クラムシェル)嵌合方法等、各種の触媒コンバータ製法に広く適用可能である。しかしながら、切削屑の残留懸念が伴う本発明への適用において、とりわけ監視効果が大きい。
本発明は、内燃機関へ取り付け型のマニバータ形式に限定するものではなく、あらゆる触媒コンバータ及び排気ガスの処理装置に適用可能である。例えば、自動車に搭載する触媒コンバータであれば、ターボチャージャやマフラ等、他の排気部品と一体的に組合せた構造や、排気後流に配置する所謂アンダーフロアタイプにも適用可能である。もちろん、触媒コンバータ以外にも、広く排気ガス処理装置に適用自在である。
1 マニバータ
2 排気マニホルド
3 触媒コンバータ
9 ケーシング
10 触媒担体
11 緩衝マット
14 ボーリング装置
17 内面
19 空洞
2 排気マニホルド
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14 ボーリング装置
17 内面
19 空洞
Claims (3)
- 金属製の外筒を有し、該外筒内に緩衝マットを介して柱体を保持する排気ガス処理装置の製造方法において、少なくとも前記柱体の外径値を測定して保持状態における緩衝マットの最適外径値を算出し、前記外筒内面を切削し前記最適外径値を有する保持面を形成した後、前記外筒の一端から前記緩衝マットを巻回した前記柱体を挿入し前記保持面に位置させることを特徴とする排気ガス処理装置の製造方法。
- 前記外筒が鋳造品であるとともに、回転切削加工によって前記外筒内面径を拡大して前記保持面が形成されることを特徴とする請求項1記載の排気ガス処理装置の製造方法。
- 前記保持状態における前記緩衝マット及び触媒担体を撮影手段にて撮像し、画像解析手段によって保持状態の良否を判断することを特徴とする、請求項1及び請求項2記載の排気ガス処理装置の製造方法。
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JP2013537281A (ja) * | 2010-09-17 | 2013-09-30 | エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンステクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 排ガス再循環ライン用の排ガス処理装置 |
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2004
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