JP2006081391A - 単相誘導電動機 - Google Patents

Abstract

【課題】 永久磁石ロータの起動に必要な起動可能運転電圧を低減すると共に、起動性能を向上させることで、電動機の効率を向上させると共に、誘導ケージロータの回転速度を可変し得る単相誘導電動機を提供することにある。
【解決手段】 単相誘導電動機は、ステータコイルを備えたステータ１１０と、ステータ１１０の中心部内に回転可能に挿入され、中心に軸が固定された誘導ケージロータ１２０と、ステータと誘導ケージロータとの間に自由回転可能に設置され、第１着磁部１４１と第２着磁部１４３を備える永久磁石１３５を有する永久磁石ロータと、を含む。
【選択図】 図１

Description

本発明は、単相誘導電動機に関し、特に、電動機の起動トルクを低減し、誘導ケージロータの回転速度を可変させることのできる単相誘導電動機に関する。

一般に、電動機は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置であり、使用電源により直流電動機と交流電動機とに区分される。そのうち、交流電動機としては、誘導電動機、同期電動機、及び整流子電動機などがある。

また、前記誘導電動機は、ステータと誘導ケージロータ間の間隙に永久磁石ロータが自由回転可能に設置された構造を有し、ステータの回転磁界により永久磁石ロータが同期速度で回転することで、該永久磁石ロータから発生する強い磁束により誘導ケージロータが回転する原理で動作する。

図７は、従来の単相誘導電動機の正面図であり、図８は、従来の単相誘導電動機の永久磁石ロータ及び誘導ケージロータを示す斜視図であり、図９は、従来の単相誘導電動機における永久磁石ロータと誘導ケージロータを示す縦断面図である。

図示されたように、従来の単相誘導電動機１０は、ケーシング１０ａの内部に設置されたステータ１１と、該ステータ１１の中心部に回転自在に設置された誘導ケージロータ１３と、それらステータ１１と誘導ケージロータ１３間に自由回転（free rotation）可能に設置された永久磁石ロータ１４と、誘導ケージロータ１３の中心に固定された軸１５とから構成される。

また、ステータ１１の一方側には、該ステータ１１がＮ極又はＳ極の極性を有するようにステータコイル１６が巻かれる巻線部１７が形成されている。

また、誘導ケージロータ１３の中心には、軸１５が固定される軸孔１３ａが形成され、誘導ケージロータ１３の周縁部には、円周方向に沿って多数の導体孔１３ｂが等間隔で形成され、それら各導体孔１３ｂには、それぞれ導体バー１３ｃが形成され、それら導体バー１３ｃの端部にはエンドリング１３ｄが形成されている。

また、永久磁石ロータ１４は、中央に軸１５が回転自在に結合されるフレーム１４ａが形成され、該フレーム１４ａの端縁部に円周方向に沿って永久磁石１４ｂが包囲結合されることで、ステータ１１の回転磁界により回転して誘導ケージロータ１３を回転させるようになっている。また、フレーム１４ａの中央部と前記軸１５間には、ベアリング１５ａが備えられている。

以下、このように構成された従来の誘導電動機の動作を説明する。

まず、ステータコイル１６に電圧が印加されると、ステータ１１は、回転磁界を発生させる。

ステータ１１の回転磁界は、永久磁石ロータ１４に伝達されて永久磁石ロータ１４を同期速度で回転させ、該永久磁石ロータ１４の自由回転により回転磁界が発生して該回転磁界により誘導ケージロータ１３が回転する。

しかしながら、このような従来の単相誘導電動機は、消費電力は決まっており、該決まっている消費電力の範囲内で起動すべきであるが、初期起動のためには大きい磁気力が必要であるため、起動性能が低下し、誘導ケージロータの速度を可変とすることが難しいという不都合な点があった。

従って、本発明は、前述したような問題点を解決するために提案されたもので、本発明の目的は、永久磁石ロータの起動に必要な起動電圧を低減すると共に、起動性能を向上させ、電動機の効率を向上し得る単相誘導電動機を提供することにある。

本発明の他の目的は、誘導ケージロータの回転速度を可変し得る単相誘導電動機を提供することにある。

前述した目的を達成するために、本発明に係る単相誘導電動機は、ケーシングの内部に固定設置されるステータと、前記ステータの中心部に回転可能に挿入され、中心に軸が固定された誘導ケージロータと、それらステータと誘導ケージロータ間に自由回転可能に設置され、第１着磁部と第２着磁部を備えた永久磁石を有する永久磁石ロータと、を含むことを特徴とする。

ここで、前記第１着磁部は、軸に対して平行に形成され、前記第２着磁部は、軸に対して傾斜して形成される。

かつ、また、永久磁石ロータは、中央に軸が回転可能に結合されるフレームと、該フレームの端縁部に円周方向に沿って結合されて前記ステータの磁界により回転して前記誘導ケージロータを回転させる永久磁石とから構成される。

本発明は、永久磁石ロータの永久磁石に軸に沿って平行に位置する第１着磁部及び傾斜した第２着磁部を形成することにより、誘導ケージロータの回転数を容易に変化させることができるため、効率を低下させずに騷音を減らし、起動特性を向上させることができるという効果がある。

以下、図面を参照して本発明に係る単相誘導電動機について説明する。

図１は、本発明に係る単相誘導電動機を示す正面図であり、図２は、本発明に係る単相誘導電動機を示す斜視図であり、図３は、図２のII−II線断面図である。

図示されたように、本発明に係る単相誘導電動機１００は、ケーシングの内部に固定設置されるステータ１１０と、該ステータ１１０の中心部に回転可能に設置され、その中心に軸１２１が固定された誘導ケージロータ１２０と、それらステータ１１０と誘導ケージロータ１２０間に自由回転可能に設置された永久磁石ロータ１３０とを含む。

かつ、ステータ１１０の一方側には、そのステータ１１０がＮ極又はＳ極の極性を有するようにステータコイル１１１が巻かれる巻線部１１６が形成される。

また、誘導ケージロータ１２０の中心には、軸１２１が固定される軸孔１２３が形成され、周縁には円周方向に沿って複数の導体孔１２４が等間隔に形成され、それら導体孔１２４にはそれぞれ導体バー１２５が設置される。ここで、それら導体バー１２５は、ダイカスト（Die Casting）により形成され、その材質は、アルミニウム又は、銅が使用される。

各第１導体バー１２５の端部には、アルミニウムのエンドリング１２５ａが形成される。

また、永久磁石ロータ１３０は、中央に軸１２１が回転可能に結合されるフレーム１３１と、該フレーム１３１の端縁部に円周内縁に沿って結合され、ステータ１１０の磁界により回転して誘導ケージロータ１２０を回転させるシリンダ状の永久磁石１３５とから構成される。軸１２１を中心に永久磁石１３５の一方側及び他方側には第１着磁部１４１及び第２着磁部１４３が形成される。

第１着磁部１４１は、軸１２１に対して平行に形成され、第２着磁部１４３は、軸１２１に対して傾斜して形成される。

ここで、フレーム１３１の中央部には、ベアリング１２１ａが備えられるため、軸１２１を円滑に回転させる。

以下、このように構成された本発明の単相誘導電動機の動作を説明する。

ステータコイル１１１に電圧が印加されると、ステータ１１０は回転磁界を発生させる。

ステータ１１０による回転磁界は、永久磁石ロータ１３０に伝達されて永久磁石ロータ１３０を同期速度で回転させ、該永久磁石ロータ１３０の永久磁石１３５が自由回転して強い磁束の回転磁界を発生し、該回転磁界により誘導ケージロータ１２０が回転することにより、高効率、低騷音の運転が可能になる。

以下、誘導ケージロータの起動時の加速特性を説明する。

図４は、本発明に係る単相誘導電動機の起動時の加速特性を示すグラフであり、図中の横軸は、起動時間（Time）を示し、縦軸は、永久磁石ロータの永久磁石の回転数（Ｎ）を示すものである。

図４のグラフの破線が示すように、従来の単相誘導電動機においては、起動時の永久磁石の回転数（Ｎ）が正常運転回転数である３６００ＲＰＭまで加速されるための誘導ケージロータの起動時間がｔ１であったが、本発明に係る単相誘導電動機においては、起動時に永久磁石の回転数（Ｎ）が正常運転回転数である３６００ＲＰＭまで加速されるための誘導ケージロータの起動時間が従来のｔ１の２倍、すなわち、ｔ２である。

すなわち、本発明は、永久磁石１３５に傾斜して形成された第２着磁部１４３を形成することにより、２極を用いても４極を用いる効果を得ることになり、結果的に、起動時間が増加することにより、起動時に必要な起動トルクの大きさを減少することができる。

従って、本発明に係る単相誘導電動機は、低い起動電圧でも 誘導ケージロータ１２０をより容易に起動することができるため、高効率の運転及び低騷音の運転を可能にして、起動性能が向上する。

以下、電動機の変速過程を説明する。

図５は、本発明に係る単相誘導電動機の起動後の高電圧印加時の高速運転動作説明図であり、図６は、本発明に係る単相誘導電動機の起動後の低電圧印加時の低速運転動作説明図である。

まず、図５に示すように、起動後に高電圧を印加したとき、ステータ１１０の起磁力が大きくなると、第２着磁部１４３に比べて相対的に軸方向の長さが長い第１着磁部１４１が破線で表示されたステータ１１０の磁場範囲１３５ａ内に位置する。よって、永久磁石１３５と誘導ケージロータ１２０（図３を参照）との間の結合力（coupling force）が増加して誘導ケージロータ１２０が高速で回転する。

反面、図６に示すように、起動後に低電圧を印加したとき、ステータ１１０の起磁力が小さくなると、第１着磁部１４１に比べて相対的に軸方向の長さが短い第２着磁部１４３が破線で表示されたステータ１１０の磁場範囲１３５ａ内に位置する。よって、永久磁石１３５と誘導ケージロータ１２０（図３を参照）間の結合力が減少して誘導ケージロータ１２０が低速で回転する。

本発明に係る単相誘導電動機を示す正面図である。 本発明に係る単相誘導電動機を示す斜視図である。 図２のII−II線断面図である 本発明に係る単相誘導電動機の起動時の加速特性を示すグラフである。 本発明に係る単相誘導電動機の起動後の高電圧印加時の高速運転動作説明図である。 本発明に係る単相誘導電動機の起動後の低電圧印加時の低速運転動作説明図である。 従来の単相誘導電動機を示す正面図である。 従来の単相誘導電動機の永久磁石ロータ及び誘導ケージロータを示す斜視図である 図８のI−I線断面図である。

符号の説明

１１０ ステータ
１１１ ステータコイル
１１６ 巻線部
１２０ 誘導ケージロータ
１２１ 軸
１２１ａ ベアリング
１２３ 軸孔
１２４ 導体孔
１２５ 導体バー
１３０ 永久磁石ロータ
１３１ フレーム
１３５ 永久磁石
１４１ 第１着磁部
１４３ 第２着磁部
Ｌ₁ 第１着磁部の軸方向長さ
Ｌ₂ 第２着磁部の軸方向長さ

Claims (10)

1. ケーシングの内部に固定設置されるステータと、
   前記ステータの中心部に回転可能に挿入され、中心に軸が固定される誘導ケージロータと、
   前記ステータと前記誘導ケージロータとの間に自由回転可能に設置され、第１着磁部と第２着磁部を備えた永久磁石を有する永久磁石ロータと、
   を含むことを特徴とする単相誘導電動機。
2. 前記第１着磁部は、軸に対して平行に形成され、前記第２着磁部は、軸に対して傾斜して形成されることを特徴とする請求項１に記載の単相誘導電動機。
3. 前記永久磁石が、シリンダ状であることを特徴とする請求項１に記載の単相誘導電動機。
4. 前記永久磁石ロータが、中央に軸が回転可能に結合されるフレームと、該フレームの端縁部に円周方向に沿って結合されて前記ステータの磁界により回転して前記誘導ケージロータを回転させる永久磁石と、から構成されることを特徴とする請求項１に記載の単相誘導電動機。
5. 前記フレームが、中央部にベアリングが嵌合されることを特徴とする請求項１に記載の単相誘導電動機。
6. 起動後に高電圧を印加したとき、前記第１着磁部が前記ステータの磁場範囲内に位置し、起動後に低電圧を印加したとき、前記第２着磁部が前記ステータの磁場範囲内に位置することを特徴とする請求項１に記載の単相誘導電動機。
7. ステータと、
   前記ステータの収容溝内に回転可能に挿入され、中心に軸が固定される誘導ケージロータと、
   中央に軸が回転可能に結合されるフレームと、該フレームの端縁部に円周方向に沿って結合され、第１着磁部と第２着磁部とが形成された永久磁石とを有する永久磁石ロータと、
   を含むことを特徴とする単相誘導電動機。
8. 前記第１着磁部は、軸に対して平行に形成され、前記第２着磁部は、軸に対して傾斜して形成されることを特徴とする請求項7に記載の単相誘導電動機。
9. 前記永久磁石が、シリンダ状に形成されることを特徴とする請求項7に記載の単相誘導電動機。
10. 起動後に高電圧を印加したとき、前記第１着磁部が前記ステータの磁場範囲内に位置し、起動後に低電圧を印加したとき、前記第２着磁部が前記ステータの磁場範囲内に位置することを特徴とする請求項7に記載の単相誘導電動機。

Images