JP2006075191A - 人工血管、その製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 埋植直後の血液の流通時に血流によってチューブ内面から剥離することを防止して、人工血管の抗血栓形成作用を向上する。
【解決手段】 生体適合性材料からなる多孔質チューブ3の内面に、該多孔質チューブ3の長さ方向に沿って接着性の細胞5を配列させてなる人工血管1を提供する。
内部に流動する血液から受ける剥離力に抗して細胞5を接着状態に維持し、剥離を抑制して血栓の形成を回避する。
【選択図】 図1
【解決手段】 生体適合性材料からなる多孔質チューブ3の内面に、該多孔質チューブ3の長さ方向に沿って接着性の細胞5を配列させてなる人工血管1を提供する。
内部に流動する血液から受ける剥離力に抗して細胞5を接着状態に維持し、剥離を抑制して血栓の形成を回避する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、人工血管、その製造方法および製造装置に関するものである。
従来、人工血管として、例えば、ポリエステル樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂の生体適合性材料により構成されたチューブからなるものが知られている。このようなチューブは、生体内に埋植して内部に血液を流通させると、埋植後の初期段階において、チューブ内面に血栓が形成され、該血栓によって、あるいは、血管内に過剰に形成される血管内組織によって、チューブ内部に狭窄が発生する不都合が考えられる。
このような不都合を回避するために、上述した生体適合性材料からなるチューブの内面に血管内皮細胞等を付着させて製造されるハイブリッド型人工血管が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
これらの特許文献1〜3に記載された人工血管によれば、チューブの内面を血管内皮細胞等で被覆しているため、血栓を形成し難くすることができる。
特開2003−024351号公報
特開2003−284767号公報
特開2004−159849号公報
これらの特許文献1〜3に記載された人工血管によれば、チューブの内面を血管内皮細胞等で被覆しているため、血栓を形成し難くすることができる。
これらの特許文献1〜3に開示された人工血管は、いずれも、チューブの内面に血管内皮細胞等を付着させた直後、または、内壁に血管内皮細胞を付着させたチューブを所定の培地内に静置して培養した後に生体内に埋植するものである。しかしながら、このようにしてチューブの内面に付着させられた血管内皮細胞の状態は、生体内において形成される血管内皮細胞の状態とは、その細胞の形態や組織の状態が著しく相違している。このため、生体内に埋植して血液を流通させると、血流によってチューブ内面から剥離してしまう不都合が考えられる。そして、血管内皮細胞が剥離してしまうと、その剥離部分において血栓が発生し、血管の狭窄等の問題が発生する虞がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、埋植直後の血液の流通時に血流によってチューブ内面から剥離することを防止して、高い抗血栓形成作用を有する人工血管と、そのような人工血管の製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、該多孔質チューブの長さ方向に沿って接着性の細胞を配列させてなる人工血管を提供する。
本発明によれば、接着性の細胞が多孔質チューブの長さ方向に沿って配列しているので、埋植後に人工血管内に血液を流通させた場合には、細胞が流動する血液の流線の方向に配列されることになる。その結果、細胞が流動する血液から受ける影響を低減して剥離を防止し、抗血栓形成作用の低下を防止することができる。
本発明は、生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、該多孔質チューブの長さ方向に沿って接着性の細胞を配列させてなる人工血管を提供する。
本発明によれば、接着性の細胞が多孔質チューブの長さ方向に沿って配列しているので、埋植後に人工血管内に血液を流通させた場合には、細胞が流動する血液の流線の方向に配列されることになる。その結果、細胞が流動する血液から受ける影響を低減して剥離を防止し、抗血栓形成作用の低下を防止することができる。
上記発明においては、一方向に延びる接着性の細胞を、前記多孔質チューブの長さ方向に配向させてなることとしてもよい。
このようにすることで、接着性の細胞が多孔質チューブの長さ方向に配向されるので、埋植後に人工血管内に血液を流通させた場合に、細胞が流動する血液の流線の方向に配向されることになる。その結果、流動する血液に対する細胞の抵抗が小さくなり、血液から受ける剥離力を低減して剥離を防止し、抗血栓形成作用の低下を防止することができる。
このようにすることで、接着性の細胞が多孔質チューブの長さ方向に配向されるので、埋植後に人工血管内に血液を流通させた場合に、細胞が流動する血液の流線の方向に配向されることになる。その結果、流動する血液に対する細胞の抵抗が小さくなり、血液から受ける剥離力を低減して剥離を防止し、抗血栓形成作用の低下を防止することができる。
また、本発明は、生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、接着性の細胞を付着させるとともに、該細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ、所定培養条件下において培養することにより、多孔質チューブ内面の細胞を増殖させてなる人工血管を提供する。
細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ培養することにより、多孔質チューブ内面の細胞が、培地の流れの方向に沿って配列されるとともに、培地の流れの方向に沿って延びる細長い形態で成長させられる。すなわち、本発明によれば、細胞が、多孔質チューブの内部を流れる培地によって剥離されることのないように、流れに適合した形態に成長するので、培養後に内部に流動させる血液によっても細胞が剥離し難い人工血管となる。
細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ培養することにより、多孔質チューブ内面の細胞が、培地の流れの方向に沿って配列されるとともに、培地の流れの方向に沿って延びる細長い形態で成長させられる。すなわち、本発明によれば、細胞が、多孔質チューブの内部を流れる培地によって剥離されることのないように、流れに適合した形態に成長するので、培養後に内部に流動させる血液によっても細胞が剥離し難い人工血管となる。
上記発明においては、培養中における前記多孔質チューブ内部の培地の流れの状態が、100≦レイノルズ数Re≦2000となるように設定されていることが好ましい。
このように構成することで、培地の流れは層流領域の流れとなり、実際に血管内における血液の流れの形態に近似している。そして、このような層流領域における培地は、多孔質チューブ内において乱れることなく流れるので、培養途中における細胞の剥離を防止することができる。
このように構成することで、培地の流れは層流領域の流れとなり、実際に血管内における血液の流れの形態に近似している。そして、このような層流領域における培地は、多孔質チューブ内において乱れることなく流れるので、培養途中における細胞の剥離を防止することができる。
また、上記発明においては、前記多孔質チューブが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸の内、1または2以上の組み合わせからなることが好ましい。
これらの材質は生体吸収性を有するので、これらの材料により構成した多孔質チューブを用いることにより、埋植後に吸収され、自家血管に置き換わる人工血管を構成することができる。
これらの材質は生体吸収性を有するので、これらの材料により構成した多孔質チューブを用いることにより、埋植後に吸収され、自家血管に置き換わる人工血管を構成することができる。
さらに、本発明は、生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、接着性の細胞を付着させるステップと、該細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ、所定培養条件下において培養するステップとを備える人工血管の製造方法を提供する。
多孔質チューブの内面に細胞を接着させた後に、培地を流動作させつつ培養することにより、培地によって剥離されることのないように、流れに適合した形態に細胞を成長させ、培養後に内部に流動させる血液によっても細胞が剥離し難い人工血管を製造することができる。
多孔質チューブの内面に細胞を接着させた後に、培地を流動作させつつ培養することにより、培地によって剥離されることのないように、流れに適合した形態に細胞を成長させ、培養後に内部に流動させる血液によっても細胞が剥離し難い人工血管を製造することができる。
また、多孔質チューブの内面に接着した細胞の表面において培地を流動させることにより、培地から細胞に対してずり応力(せん断応力)を加えることができる。細胞はずり応力を加えられることにより、血小板の凝集を抑制する一酸化窒素やプロスタグランジンI2を分泌したり、血栓を溶解するシステムを活性化する組織プラスミノーゲンアクチベータを分泌するようになる。したがって、本発明によれば、そのような成分を分泌した状態の細胞を有する、極めて高い抗血栓形成作用を有する人工血管を製造することができる。
上記発明においては、培養ステップにおける前記多孔質チューブ内部の培地の流れの状態が、100≦レイノルズ数Re≦2000となるように設定されていることが好ましい。
このようにすることで、培地の流れは層流領域の流れとなり、実際に血管内における血液の流れの形態に近似し、多孔質チューブ内において乱れることなく流れるので、生体内の血管内における血管内皮細胞の成長と同等の環境で細胞を成長させることができ、埋植後の血液の流動に適合した人工血管を製造することができる。
このようにすることで、培地の流れは層流領域の流れとなり、実際に血管内における血液の流れの形態に近似し、多孔質チューブ内において乱れることなく流れるので、生体内の血管内における血管内皮細胞の成長と同等の環境で細胞を成長させることができ、埋植後の血液の流動に適合した人工血管を製造することができる。
また、上記発明においては、前記培養ステップにおける前記多孔質チューブ内部の培地の流れのレイノルズ数を、徐々に増大させることが好ましい。
多孔質チューブ内を流れる培地のレイノルズ数を増大させると、流速が次第に増大する。したがって、細胞が多孔質チューブの内面に接着した直後は流速を小さく設定して、細胞の剥離を防止し、細胞が接着して時間が経過した後には、流速を増大させて、細胞に加わるずり応力を増大させ、抗血栓形成作用を向上することができる。
多孔質チューブ内を流れる培地のレイノルズ数を増大させると、流速が次第に増大する。したがって、細胞が多孔質チューブの内面に接着した直後は流速を小さく設定して、細胞の剥離を防止し、細胞が接着して時間が経過した後には、流速を増大させて、細胞に加わるずり応力を増大させ、抗血栓形成作用を向上することができる。
さらに、上記発明においては、前記細胞を付着させるステップが、細胞を含む培地を多孔質チューブの内側から外側に向けて流通させるステップであることとしてもよい。
このようにすることで、培地が多孔質チューブの気孔を通過して内側から外側に流動する間に、細胞が気孔に捕らえられて、多孔質チューブの内面に接着する。したがって、内面に細胞が接着した状態の多孔質チューブを簡易に構成することができる。
このようにすることで、培地が多孔質チューブの気孔を通過して内側から外側に流動する間に、細胞が気孔に捕らえられて、多孔質チューブの内面に接着する。したがって、内面に細胞が接着した状態の多孔質チューブを簡易に構成することができる。
また、本発明は、上記いずれかに記載の人工血管を構成する多孔質チューブを内部に収容する筒状の容器と、該容器内に培地を供給する培地供給装置とを備え、前記容器に、該容器内における多孔質チューブの内側空間と外側空間とを区画する隔壁と、前記培地供給装置に接続され、前記内側空間に開口する培地供給口と、前記外側空間および内側空間にそれぞれ開口する培地排出口と、これら培地排出口を択一的に切り替えるバルブとを備える人工血管の製造装置を提供する。
この発明によれば、バルブを作動させて内側空間に開口する培地排出口を閉じ、外側空間に開口する培地排出口を開放して、培地供給装置を作動させることにより、培地供給装置から供給された培地が、培地供給口から容器の多孔質チューブの内側空間内に供給される。内側空間と外側空間とは隔壁によって区画されているので、内側空間内に供給された培地は多孔質チューブの気孔を通過して外側空間に流出し、開口されている培地排出口から容器外部に排出されることになる。このとき、容器内に供給する培地内に細胞を混入させておくことにより、培地が多孔質チューブの気孔を通過する間に、細胞を多孔質チューブの内面に捕獲して付着させることができる。
この後にバルブを切り替えて内側空間に開口する培地排出口を開放し、外側空間に開口する培地排出口を閉じる。そして、培地供給装置を作動させることにより、供給された培地が多孔質チューブの内部を流通して培地排出口から排出される。これにより、培地は多孔質チューブの内面に付着した細胞の表面を通過して流動させられる。このとき、細胞は、流動する培地によって剥離しないように、流れにその形態を適合させながら成長する。その結果、得られる人工血管は、生体内に埋植された後の血流に対しても剥離しないような耐性を有する細胞によって血栓の発生を防止できる。また、培地が多孔質チューブの内面に付着した細胞の表面を通過する際に、細胞に対してずり応力を加えるので、ことにより、血栓の形成を防止する成分を分泌し、抗血栓形成作用の高い人工血管を製造することができる。
本発明によれば、生体内に埋植された後に、内部を流通する血流によって細胞が剥離することが抑制され、血栓の発生を効果的に防止し得る人工血管を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の一実施形態に係る人工血管1、その製造方法および製造装置2について、説明する。
本実施形態に係る人工血管1は、図1に示されるように、多数の気孔を有する多孔質チューブ3と、該多孔質チューブ3の内面に形成された細胞層4とを備えている。多孔質チューブ3は、管壁を貫通して延びる多数の連続気孔(図示略)を備えている。また、多孔質チューブ3は、生体適合性材料からなり、生体内に埋植されたときに、周囲の生体組織と適合し、炎症等を生じないようになっている。特に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸等の生体吸収性材料の内、1または2以上の組み合わせからなる多孔質チューブを使用することとすれば、埋植後所定期間内に生体に吸収され、完全に自家血管に置き換わるので好ましい。多孔質チューブ3の寸法は、例えば、内径0.1〜30mm、外径0.2〜32mm、平均孔径0.1〜0.3mmとすることができる。
本実施形態に係る人工血管1は、図1に示されるように、多数の気孔を有する多孔質チューブ3と、該多孔質チューブ3の内面に形成された細胞層4とを備えている。多孔質チューブ3は、管壁を貫通して延びる多数の連続気孔(図示略)を備えている。また、多孔質チューブ3は、生体適合性材料からなり、生体内に埋植されたときに、周囲の生体組織と適合し、炎症等を生じないようになっている。特に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸等の生体吸収性材料の内、1または2以上の組み合わせからなる多孔質チューブを使用することとすれば、埋植後所定期間内に生体に吸収され、完全に自家血管に置き換わるので好ましい。多孔質チューブ3の寸法は、例えば、内径0.1〜30mm、外径0.2〜32mm、平均孔径0.1〜0.3mmとすることができる。
また、細胞層4を構成する細胞5は、例えば、血管内皮細胞(以下、血管内皮細胞5とも言う。)からなる。細胞層4を構成する各血管内皮細胞5は、図1に示されるように、細長い形態を有し、多孔質チューブ3の内面に多孔質チューブ3の長さ方向に沿って配列されている。また、各血管内皮細胞5は、その長さ方向を多孔質チューブ3の長さ方向に沿わせるように配向されている。なお、図1は、説明のためのイメージ図であり、現実には、図面ほど整然と整列せず、また大きさも様々となるが、細長い形態の細胞5が多孔質チューブ3の長さ方向に配向され、かつ、長さ方向に配列されるように形成される傾向がある。
次に、本実施形態に係る人工血管の製造装置2について、図2を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る製造装置2は、図2に示されるように、人工血管1が構成されるリアクタ6と、該リアクタ6に接続される培地供給装置7とから構成されている。
培地供給装置7は、リアクタ6に供給する培地8を貯留する培地調製槽9と、該培地調製槽9に新鮮な培地8を供給する新鮮培地容器10と、培地調製槽9から排出される廃培地11を貯留する廃培地槽12と、前記培地調製槽9に供給する酸素を供給する酸素ボンベ13と、二酸化炭素を供給する二酸化炭素ボンベ14と、これらの供給、排出用に設けられたポンプ15〜18とを備えている。
本実施形態に係る製造装置2は、図2に示されるように、人工血管1が構成されるリアクタ6と、該リアクタ6に接続される培地供給装置7とから構成されている。
培地供給装置7は、リアクタ6に供給する培地8を貯留する培地調製槽9と、該培地調製槽9に新鮮な培地8を供給する新鮮培地容器10と、培地調製槽9から排出される廃培地11を貯留する廃培地槽12と、前記培地調製槽9に供給する酸素を供給する酸素ボンベ13と、二酸化炭素を供給する二酸化炭素ボンベ14と、これらの供給、排出用に設けられたポンプ15〜18とを備えている。
培地調製槽9は密封されていて、所定量の培地8が貯留されるとともに、酸素ボンベ13、二酸化炭素ボンベ14および空気管路19からポンプ15により供給された、酸素、二酸化炭素および空気を所定の割合で混合した気層20を備えている。培地8内には攪拌手段21が備えられていて、培地8内の酸素、二酸化炭素濃度が所定の値に均一に設定されるようになっている。新鮮培地容器10からは、新鮮な培地8がポンプ17の作動により、必要に応じて、あるいは、定期的に培地調製槽9に供給されるようになっている。また、培地調製槽9内の培地8が所定の液位を超えた場合に、ポンプ16の作動により廃培地槽12に向けて余分な廃培地11が排出されるようになっている。
また、培地調製槽9内の培地8は、ポンプ18の作動によりリアクタ6に供給され、リアクタ6から排出された培地は培地調製槽9内に戻されるようになっている。
また、培地調製槽9からリアクタ6への供給管路22には、外部から供給管路22内に細胞5を注入するための細胞注入口23が設けられている。
また、培地調製槽9からリアクタ6への供給管路22には、外部から供給管路22内に細胞5を注入するための細胞注入口23が設けられている。
前記リアクタ6は、図3に示されるように、人工血管1を構成する多孔質チューブ3を収容する筒状のリアクタ本体(容器)24と、該リアクタ本体24内に配置され、多孔質チューブ3の両端を固定するリング状の隔壁25とを備えている。隔壁25は、リアクタ本体24の内周面および多孔質チューブ3の外周面に密着状態に配されることにより、リアクタ本体24の内部を、多孔質チューブ3の内部に連絡する内側空間26と、多孔質チューブ3の外部に配される筒状の外側空間27とに区画するようになっている。
リアクタ本体24の長さ方向の両端には、それぞれ内側空間26に開口する培地供給口28と第1の培地排出口29とが、多孔質チューブ3を軸方向に挟む位置に配置されている。また、リアクタ本体24の側壁には、外側空間27に開口する第2の培地排出口30が設けられている。前記培地調製槽9からの供給管路22の一端は、リアクタ本体24の培地供給口28に接続されている。また、培地調製槽9への排出管路31は、第1および第2の培地排出口29,30にそれぞれ三方弁32を介して接続されている。三方弁32は、第1の培地排出口29から培地調製槽9への排出管路33または第2の培地排出口30から培地調製槽9への排出管路34のいずれかを選択的に開放することができるようになっている。
また、本実施形態においては、特に、第1の培地排出口29が開かれて、多孔質チューブ3内に培地8が供給させられる際の培地8の流通速度が、100≦Re≦2000を満たすように設定されている。ここで、Reはレイノルズ数である。
このように構成された本実施形態に係る製造装置2により人工血管1を製造する場合について以下に説明する。
本実施形態に係る製造装置2を用いて人工血管1を製造するには、まず、図3に示される状態にリアクタ6を構成し、培地供給口28および培地排出口29,30にそれぞれ供給管路22および排出管路33,34を接続する。
本実施形態に係る製造装置2を用いて人工血管1を製造するには、まず、図3に示される状態にリアクタ6を構成し、培地供給口28および培地排出口29,30にそれぞれ供給管路22および排出管路33,34を接続する。
培地調製槽9には、所定量の培地8を貯留しておき、二酸化炭素および酸素を適宜供給して、所定の濃度で培地8内に溶存させておく。
そして、この状態で、三方弁32を第2の培地排出口30から培地8が排出されるように設定しておく。
そして、この状態で、三方弁32を第2の培地排出口30から培地8が排出されるように設定しておく。
そして、ポンプ18の作動により培地調製槽9内の培地8を吸引して、供給管路22を介してリアクタ6に培地8を供給する。これにより、供給管路22を介して供給されてきた培地8は、リアクタ本体24内に区画形成されている内側空間26内に培地供給口28から供給され、内側空間26内を満たすようになる。第1の培地排出口29は閉鎖されているので、内側空間26内を満たした培地8は、図4に示されるように、多孔質チューブ3の気孔を通過して半径方向外方の外側空間27に漏れ出すようになる。すなわち、多孔質チューブ3の壁面を半径方向外方に向けて貫通する培地のラジアルフローが形成される。
この状態で、細胞注入口23から、所定の細胞5を注入し、細胞5の接着ステップS1を開始する。
細胞5としては、血管内皮細胞のみならず、骨髄由来の幹細胞、臍帯血由来の幹細胞、胎盤由来の幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、末梢血由来の幹細胞、あるいは、これらの細胞を含む、骨髄液、臍帯血、胎盤、末梢血のいずれかでよい。
細胞5としては、血管内皮細胞のみならず、骨髄由来の幹細胞、臍帯血由来の幹細胞、胎盤由来の幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、末梢血由来の幹細胞、あるいは、これらの細胞を含む、骨髄液、臍帯血、胎盤、末梢血のいずれかでよい。
細胞注入口23から注入された細胞5等は、供給管路22から供給されている培地8内に混入された状態でリアクタ本体24の内側空間26内に供給され、既に形成されているラジアルフローにのって多孔質チューブ3を半径方向に貫通しようとする。しかしながら、多孔質チューブ3の平均孔径が0.1〜0.3mmに形成されているので、細胞5は気孔を通過することができずに多孔質チューブ3の内面に捕獲されてその場で接着させられる。供給された培地8は多孔質チューブ3の壁面を厚さ方向に貫通するので、培地8に混合されている全ての細胞5が多孔質チューブ3に捕獲されることになる。
この状態で、1〜4時間程度維持し、第2の培地排出口30から培地8を流出させ続けることにより、供給された細胞5が多孔質チューブ3の内面に十分に接着することになる。これにより、細胞5の接着ステップS1が終了する。
この状態で、1〜4時間程度維持し、第2の培地排出口30から培地8を流出させ続けることにより、供給された細胞5が多孔質チューブ3の内面に十分に接着することになる。これにより、細胞5の接着ステップS1が終了する。
次に、細胞5の培養ステップS2を開始する。
このステップでは、三方弁32を操作して、リアクタ本体24の第2の培地排出口30を閉鎖し、第1の培地排出口29を開放する。これにより、供給管路22を経て培地調製槽9から供給された培地8が、リアクタ本体24の培地供給口28から内側空間26内に供給されると、図5に示されるように、多孔質チューブ3内を貫通して第1の培地排出口29から排出管路33に排出されることになる。
このステップでは、三方弁32を操作して、リアクタ本体24の第2の培地排出口30を閉鎖し、第1の培地排出口29を開放する。これにより、供給管路22を経て培地調製槽9から供給された培地8が、リアクタ本体24の培地供給口28から内側空間26内に供給されると、図5に示されるように、多孔質チューブ3内を貫通して第1の培地排出口29から排出管路33に排出されることになる。
このとき、多孔質チューブ3の内面には、既に、上記接着ステップS1において供給された細胞5が接着状態に配置されているので、リアクタ本体24内に供給された培地8は、多孔質チューブ3内面の細胞5の近傍を通過して第1の培地排出口29から排出されることになる。
すなわち、多孔質チューブ3内面に接着している細胞5に対しては、その表面を流動する培地8によってずり応力(せん断応力)が加えられることになる。その結果、細胞5は多孔質チューブ3の長手方向に沿って剥離されるような力を受けることになる。
すなわち、多孔質チューブ3内面に接着している細胞5に対しては、その表面を流動する培地8によってずり応力(せん断応力)が加えられることになる。その結果、細胞5は多孔質チューブ3の長手方向に沿って剥離されるような力を受けることになる。
この場合において、本実施形態に係る人工血管1の製造装置2によれば、流動する培地8の流れの形態が、層流領域の流れとなるようにレイノルズ数が設定されているので、培地8の流れの乱れにより、細胞5が剥離されてしまうことがなく、健全な接着状態で成長させられることになる。特に、層流状態の流れは、生体内の血液の流れの形態に近似しており、細胞5は、生体内に配されている血管内皮細胞と同等の環境下で成長させられることになる。
そして、このような状態を1日〜7日間維持することにより、細胞5は、流動する培地8から受けるずり応力に抗して、剥離されないように形態を適合させていくことになる。
その形態としては、例えば、図1に示されるように、細胞5自体を細長く、多孔質チューブ3の長手方向に沿って配向させる形態が挙げられる。これにより、各細胞5に対して培地8が当たる面積を小さくして抵抗を低減することができる。また、流動する培地8に対して他の細胞5の影に隠れるように多孔質チューブ3の長手方向に沿って配列されるようになる。その結果、製造された人工血管1は、生体内に埋植されることにより、内部に血液を流通させても、その血液から受ける物理的な力による剥離に対する耐性を高めたものとなる。
その形態としては、例えば、図1に示されるように、細胞5自体を細長く、多孔質チューブ3の長手方向に沿って配向させる形態が挙げられる。これにより、各細胞5に対して培地8が当たる面積を小さくして抵抗を低減することができる。また、流動する培地8に対して他の細胞5の影に隠れるように多孔質チューブ3の長手方向に沿って配列されるようになる。その結果、製造された人工血管1は、生体内に埋植されることにより、内部に血液を流通させても、その血液から受ける物理的な力による剥離に対する耐性を高めたものとなる。
また、細胞5は、培地8からずり応力を受けると、血小板の凝集を抑制する一酸化窒素やプロスタグランジンI2を分泌したり、血栓を溶解するシステムを活性化する組織プラスミノーゲンアクチベータを分泌するようになる。その結果、製造された人工血管1は、生体内に埋植されることにより、内部に血液を流通させた際に、血栓の発生を抑制することができる。したがって、優れた抗血栓形成作用を有する人工血管1となる。
なお、本実施形態においては、培養ステップS2における培地8の流速を、培養ステップS2開始時から徐々に増加させて行くことにしてもよい。接着ステップS1で多孔質チューブ3の内面に接着されたばかりの細胞5は接着力が弱く剥離しやすいので、低い流速で培地8を流動させることにより細胞5が剥離されるのを抑制し、また、ある程度成長して接着力が高まった後には、流速を高くして、細胞5に対する刺激を高めることが望ましい。流速の変更の仕方は、連続的でも段階的でもよい。
1 人工血管
2 製造装置
3 多孔質チューブ
5 細胞
7 培地供給装置
8 培地
24 リアクタ本体(容器)
25 隔壁
26 内側空間
27 外側空間
28 培地供給口
29 第1の培地排出口(培地排出口)
30 第2の培地排出口(培地排出口)
32 三方弁(バルブ)
S1 接着ステップ
S2 培養ステップ
2 製造装置
3 多孔質チューブ
5 細胞
7 培地供給装置
8 培地
24 リアクタ本体(容器)
25 隔壁
26 内側空間
27 外側空間
28 培地供給口
29 第1の培地排出口(培地排出口)
30 第2の培地排出口(培地排出口)
32 三方弁(バルブ)
S1 接着ステップ
S2 培養ステップ
Claims (10)
- 生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、該多孔質チューブの長さ方向に沿って接着性の細胞を配列させてなる人工血管。
- 一方向に延びる接着性の細胞を、前記多孔質チューブの長さ方向に配向させてなる請求項1に記載の人工血管。
- 生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、接着性の細胞を付着させるとともに、該細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ、所定培養条件下において培養することにより、多孔質チューブ内面の細胞を増殖させてなる人工血管。
- 培養中における前記多孔質チューブ内部の培地の流れの状態が、100≦レイノルズ数Re≦2000となるように設定されている請求項3に記載の人工血管。
- 前記多孔質チューブが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸の内、1または2以上の組み合わせからなる請求項1から請求項4のいずれかに記載の人工血管。
- 生体適合性材料からなる多孔質チューブの内面に、接着性の細胞を付着させるステップと、
該細胞を付着させた多孔質チューブの内部に培地を流動させつつ、所定培養条件下において培養するステップとを備える人工血管の製造方法。 - 培養ステップにおける前記多孔質チューブ内部の培地の流れの状態が、100≦レイノルズ数≦2000となるように設定されている請求項5に記載の人工血管の製造方法。
- 前記培養ステップにおける前記多孔質チューブ内部の培地の流れのレイノルズ数を、徐々に増大させる請求項7に記載の人工血管の製造方法。
- 前記細胞を付着させるステップが、細胞を含む培地を多孔質チューブの内側から外側に向けて流通させるステップである請求項5または請求項6に記載の人工血管の製造方法。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の人工血管を構成する多孔質チューブを内部に収容する筒状の容器と、
該容器内に培地を供給する培地供給装置とを備え、
前記容器に、該容器内における多孔質チューブの内側空間と外側空間とを区画する隔壁と、前記培地供給装置に接続され、前記内側空間に開口する培地供給口と、前記外側空間および内側空間にそれぞれ開口する培地排出口と、これら培地排出口を択一的に切り替えるバルブとを備える人工血管の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004259479A JP2006075191A (ja) | 2004-09-07 | 2004-09-07 | 人工血管、その製造方法および製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004259479A JP2006075191A (ja) | 2004-09-07 | 2004-09-07 | 人工血管、その製造方法および製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006075191A true JP2006075191A (ja) | 2006-03-23 |
Family
ID=36155148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004259479A Withdrawn JP2006075191A (ja) | 2004-09-07 | 2004-09-07 | 人工血管、その製造方法および製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006075191A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103156707A (zh) * | 2013-03-07 | 2013-06-19 | 武汉纺织大学 | 一种人造血管制备装置 |
WO2021065665A1 (ja) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | 株式会社カネカ | 三次元細胞構造体の製造方法 |
-
2004
- 2004-09-07 JP JP2004259479A patent/JP2006075191A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103156707A (zh) * | 2013-03-07 | 2013-06-19 | 武汉纺织大学 | 一种人造血管制备装置 |
CN103156707B (zh) * | 2013-03-07 | 2015-08-05 | 武汉纺织大学 | 一种人造血管制备装置 |
WO2021065665A1 (ja) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | 株式会社カネカ | 三次元細胞構造体の製造方法 |
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