JP2006071300A - 生化学物質検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛍光体などの標識を使用しない生化学センサは,サンプルへの標識導入が不要なため計測が簡便・迅速である。しかし,従来の非標識センサは標識を用いた測定法に比べて感度不足であり,精製が十分でないサンプルでは測定精度が劣化するという問題があった。
【解決手段】 サンプル中の検出したい物質と選択的に結合する分子を振動させ,結合前後での振動状態の変化を計測することによって検出したい分子の量を計測する。これによって振動状態の異なる不純物の影響を抑圧することができる。また,分子振動による周期的な信号をロックイン計測することによって,固体表面での分子の吸着・脱離等で生じる1/fノイズを低減し,高感度化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、研究機関・製薬会社・病院等で使用される生化学物質やウィルス・細菌などを検出するための装置および検査方法に関する。特に、臨床検査における抗体検査や遺伝子検査のための装置および検査方法に関する。本発明はまた、工業あるいは食品プラント中、さらには一般の環境中に存在する有害な化学物質や細菌などを検出するための装置および検査方法に関する。
従来から、前記技術分野で生化学物質等の検出のための方法は数多く知られている。その検出方法の中で、検出したい生化学物質と選択的に反応・吸着するレセプタと呼ぶ高分子(たとえば抗体やDNAなど)を利用する検査方法が知られている。特に、抗体を利用するイムノアッセイ法は臨床検査や食品検査の分野で幅広く利用されている。このイムノアッセイ法は、さらに、検査に用いる標識によっていくつかに分類することができる。利用頻度の高い検査方法は蛍光標識を利用する免疫蛍光定量検査測定法(Immunofluorometric assay)や放射性元素を標識とする免疫放射定量測定法(Immunoradiometric assay)や酵素反応を利用する酵素免疫測定法(Enzyme-linked immunosorbent assay)である。これらの方法は一般に高感度であり、安価で一度に多数の検査を行うことが可能という特長を持つ。
しかし、上記の標識を用いる方法には以下の問題点がある。標識を用いる場合には、標識を直接あるいは間接的に検出したい生化学物質に結合させる必要がある。このため、標識の反応過程に手間と時間を必要とする。これらの検査に用いられる試薬は多種多様な生化学物質に対応しなければならない。そのため、標識の開発に多くの時間と費用を必要とし、試薬コストが上昇する。また、プラント応用などにおいて、生化学物質の量を連続して計測する必要が生じることも多い。この場合、標識を導入し続けなければならないため、コスト・メンテナンス頻度がともに高くなるという問題点がある。さらに、研究開発分野において、標識を結合させた生化学物質を回収し、再利用する場合に、生化学物質との分離が困難なことも多い。
一方、標識を利用しない検査方法(非標識検査法)は一般に標識を用いる検出方法に比べて感度が低く、また、測定精度も低いことが課題であった。この2つの課題のために、多くの場合、標識を利用した検査方法を用いられている。本発明は非標識検査法のこの2つの課題を解決することを目的とする。
以下に、非標識検査法および生化学物質検査装置の従来技術について記す。非標識検査法では、多くの場合基板を用い、基板上に検出したい生化学物質(被検出(生化学)物質)と選択的に結合する化学物質(レセプタ)を基板の上に固定する。そして、被検出物質がレセプタに結合することによる基板表面近傍の屈折率変化や電荷分布変化を利用して検出する。実際には、医療や食品、その他の分野で検出が必要な物質に対して選択的に結合するモノクロナール抗体レセプタとして作製し、これを利用することが多い。
このような測定法では、被検出物質とレセプタとの吸着分子数の時間的変化を測定することができるため、試薬を追加しなくても連続的に測定が可能である。さらには、研究機関などで多く利用されているように、レセプタと被検出物質の間の結合・解離定数を計測することも可能である。
このようなレセプタを利用した非標識検査方法を用いた検査装置として、基板表面近傍の屈折率や電荷分布変化を検出するものが知られているが、これはさらに5種類に分類することができる。第一の方法は表面プラズモン共鳴を利用する方法であり最も広く利用されている(たとえば、非特許文献1参照)。第二の方法として光導波路を伝播する光の位相変化を検出する方法(非特許文献2参照)、第三の方法として光導波路を伝播する光の強度変化を検出する方法、第四の方法として薄膜中の多重反射光スペクトル変化を利用する方法、第五の電気的な方法として半導体表面の電流の変化を利用する方法が知られている。これらの非標識検出方法の中で最も感度の高い検出方法は光の位相変化を利用する方法である。特に、マッハ・ツェンダー干渉計を用いる方法が上記位相検出を実現する最も簡易で基本的な構成として知られている。(例えば、非特許文献3、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。以下、マッハ・ツェンダー干渉計を用いた検査法の原理を説明する。
マッハ・ツェンダー干渉計を用いた生化学物質検出装置の基本構成を図2および図3に示す。図2にセンサチップ200(センサを構成する基板)の上面図と周辺機器のブロック図を示し、図3にセンサチップの断面A-Aでの断面図を示す。単一モード(波長)で発振するレーザ光源16から出射された光を、光ファイバ106等を通して基板200上に形成した光導波路501に導入する。この光導入のためにレンズやファイバブロックなどの光結合手段701を用いる。光導波路501を伝播した光は二つの光導波路516と517に分岐される。一方の光導波路516を伝播する光は被検出物質101を選択的に吸着するレセプタ100を表面に固定化した領域400を通過する。もう一方の光導波路517を伝播する光は被検出物質101を吸着しない領域401を伝播する。すなわち、光導波路516を伝播した光のみが被検出物質と相互作用する。これらの光は再び合波・干渉し光導波路502を伝播する。この干渉によって光導波路516を伝播した光と導波路517を伝播した光の位相差に対応した光強度変化が生じる。この光は光の結合手段702およびファイバ等の光伝達手段107を通してフォトディテクタ40で電流信号に変換する。
上記の構成において、被検出物質101は領域400のレセプタ100に吸着するが、光導波路516を伝播する光は基板近傍に染み出しているため、吸着量に比例して光の位相が変化する。そして、図4に示すように光位相変化量は光強度と正弦的な関係にあるため、被検出物質101の吸着量とフォトディテクタ40で検出される光強度の間の関係も正弦的である。この関係を使って吸着量とフォトディテクタ出力を対応させることができる。なお、図4のグラフの横軸は導波路516と517を伝播した光の位相差であり、縦軸は図2の導波路502からの出力される光強度である。横軸の位相変化量の被測定物質の吸着量に変換するためには、事前に別の方法で測定した位相変化量と吸着量の関係を利用する。
次に被測定物質の吸着によって位相変化が生じる理由を記す。図2中の断面A-Aにおける断面図である図3に示す。光導波路516および光導波路517を伝播する光は前記光導波路から被検出物質101を含む溶液または気体のある領域(領域400および401)にほんのわずかに光分布が染み出しており、このため被検出物質101がレセプタ100に結合・吸着すると、その吸着量に比例して表面近傍の屈折率が上昇し、光導波路516を伝播する光の感じる屈折率が変化する。これによって領域400を通過する光の位相変化量は401を通過する光の位相変化量より大きくなる。すなわち、吸着量に比例して位相差が増大する。
次に光導波路の吸収係数変化を利用した化学物質検出装置の従来技術(特許文献4を参照)について説明する。上面構成図を図5に、断面図を図6に示す。以下に構成と動作原理は以下の通りである。上記と同様にレーザ光源16から出射された光を基板200上の光導波路501に光を導入する。光導波路501を伝播した光を二つの導波路518と519に分岐する。このとき、一方の光導波路518を伝播する光は非検出物質101と選択的に結合するレセプタ100を表面に固定化した領域400を通過し、もう一方の導波路519を伝播する光は被検出物質101を吸着しない領域401を伝播する。レセプタを固定化した領域400では被検出物質の吸着によって吸収係数が増し、光導波路518から出力される光強度は光導波路519よりも弱くなる。すなわち、光導波路518と519の光出力強度差が被検出物質101の吸着量に比例する。図5中の40、41はフォトディテクタであり、光強度を電流量に変換する。被検出物質の吸着によって光の吸収率が変化するのは図6に示すように光の分布402と403が被検出部物質と相互作用ができるように染み出しているからである。
次に、表面プラズモンを利用する方法も被検出物質101がレセプタ100に吸着したときに生じる金属表面近傍の屈折率変化を計測する方法である(非特許文献4を参照)。図7に構成図を示す。透明な基板520上に金などの反応性の低い金属薄膜521を形成し、この上にレセプタ100を固定化する。基板520はプリズム523上に設置し、レーザまたは発光ダイオード光源524から出力された光を適切な角度で入射する。光源からの光は適切な角度分布527を持っており、ほとんどの入射角度に対しては全反射し、撮像素子525で受光される。しかし、折れ線526で示した方向に進む光に関しては反射光が弱くなる。光強度が低減する理由は、入射角度が特定の角度528になった時、金属薄膜521の表面で表面プラズモンが高効率で励起されるからである。この光強度の角度依存性を撮像素子525で測定する。いま、上記特定の角度528は金属薄膜521の光学定数とその表面近傍の屈折率によって決定されることが知られている。この屈折率は被検出物質101の吸着によって変化するため、撮像素子で光強度分布を測定することによって、被検出物質101の吸着量を計測できる。
表面プラズモンの励起を利用した非標識検査方法には上記の励起角度を測定するものの他に反射光スペクトルを計測するものも知られている(非特許文献1を参照)。特に、光導波路や光ファイバ上に金属薄膜を蒸着することによって表面プラズモンを励起し、透過光スペクトルを計測する方法も知られている(非特許文献5参照)。
次に、半導体表面を流れる電流変化を用いた検査方法を示す。図8の(a)(b)に構成図を示す。半導体基板110上の111と112の領域をそれぞれソース領域およびドレイン領域とする。ソース111とドレイン112間の領域にチャネル層113を形成し、シート状に電流が流れる構造とする。次に絶縁膜115とゲート電極114をチャネル上に形成し、前記ゲート電極114上にレセプタ100を固定化する。被検出物質101が電荷を持っているとすると、物質101の吸着量によってゲート電極114の表面の電荷量が変化する。この変化によってチャネル層113の状態密度が変化し、ソース・ドレイン間の電流が変化する。すなわち、ソース・ドレイン電流変化によって物質101の吸着量を測定することができる。また、レセプタ100と電極を一体化して、被検出物質(イオン)101を選択的に吸着するイオン選択性電極をゲート電極114の代わりに用いてもよい(非特許文献6を参照)。また、チャネル層としてポリシリコン製の細線を用いる例も知られている。(特許文献5参照)
次に、薄膜中の多重反射光のスペクトル変化を利用した検出方法を示す。この方法は前記方法と同様に被検出物質101の吸着による屈折率変化を利用する方法である。図9に検査装置の構成を示す。薄膜530上にレセプタ100を固定化し、物質101の吸着を計測する。白色光源532から出力された光533はプリズム531によって適切な入射角度で薄膜530の裏面から光が入射される。図9中の折れ線533は光の経路を示している。被検出物質101の吸着による薄膜530近傍の屈折率変化は薄膜530中の多重反射条件を変化させ、反射スペクトルを変化させる。この変化を分光器535と撮像素子536で計測する。光検出器を撮像素子にすることによって、光のスペクトルを一度に計測することが可能である。
米国特許5465151号明細書 米国特許6137576号明細書 米国特許6429023号明細書 米国特許585438号明細書 特開平8-278281号公報 L. S. Jung et. al.; Langmuir vol. 14, p. 5636 (1998) R. E. Dessy; Analytical Chemistry vol 57, p.1188A(1985) L. M. Lechuga, A. T. M. Lenferink, R. P. H. Kooyman, J. Greve; Sensors and Actuators B, 24/25, p. 762 (1995) R. Karlsson, R. Stahleberg; Anal. Biochem. 228, p.274 (1995) R. C. Jorgenson, S. S. Yee; Sens. Actuators B12, p. 213 1993) IEEE Trans. Biomed. Vol. 70, p. 1388、 (1970)
上記の非標識検査方法に共通する課題がある。それは非標識生化学物質検出法の感度の不足と測定精度の不足である。感度の不足とは検出できる最小の物質量が多いことに対応し、精度の不足とは、サンプルの精製条件等によって測定値に誤差が多いことに対応する。感度と精度について蛍光標識を用いた場合と比較すると次のようになる。被検出物質の量に比例して、蛍光物質が基板に吸着する。十分強度の強い励起光源と十分に感度の高い光検出器を利用することによって、基板上の蛍光物質を定量することができる。さらに、信号である蛍光以外のノイズ光の影響を低減するために励起光源を強度変調し、ロックイン計測することによってさらに高感度化が可能である。これに対し、非標識検出法では、吸着物質量は基板を通過する位相や強度あるいは光スペクトルの変化に変換して測定する。このとき、不純物等が基板上(または導波路上)に非選択的に吸着して、位相や強度や光スペクトル変化を引き起こす。これが測定感度と精度を劣化させる。同時に、基板の温度変化等で光の伝播特性が変化も劣化の原因となる。また、基板へ入射する光源を変調してロックイン検出を行っても、不純物等による上記ノイズや誤差の要因を取り除くことはできない。一方で、医療や食品検査で微量物質を検出する場合が多い。このとき、不純物濃度は被検出物質よりも何桁も多い条件で使用する場合が多い。よって、不純物によるノイズ・誤差は重大な問題となる。本発明では上記ノイズや誤差を低減し、測定感度と精度を向上することを課題とする。
本発明(請求項1)は、基板上に形成された光導波路に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、前記光導波路に光を入射する光入射手段と、前記光導波路から出射された光を検出する光検出手段と、前記光導波路表面近傍に設けられ前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、前記レセプタに振動を与え、前記レセプタと前記光導波路の表面との距離を変化させる振動励起手段と、前記光検出手段からの出力信号に基き、前記振動励起手段により振動励起された前記レセプタの振動の振幅、もしくは振動数、もしくは位相のいずれかを算出する信号処理部とを有することを特徴とする。
または、本発明(請求項2)は、前記(請求項1)の構成に対して、前記レセプタと結合し、前記振動励起手段により発生させた電磁場に感応する微粒子と、前記レセプタを前記光導波路の表面近傍に繋ぎ止めるとともに前記レセプタに振動を与える機能を有するテザー分子とを加えることによって、前記レセプタが大きく振動することができるようにしたことを特徴とする。
または、本発明(請求項12)は、光を通過させることのできる誘電体基材と前記誘電体基材の表面に形成された薄膜とを有する基板と、前記薄膜の裏面に対して所定の角度をもって前記誘電体基材と前記薄膜の界面に光を入射する手段と、前記界面で反射する光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段とを備えた前記薄膜に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、前記光の属性を検出する検出器の出力信号に基いて、前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段とを有することを特徴とする。
または、本発明(請求項16)は、基板上に設けられた光伝播路と、前記光伝播路の側面に形成された金属薄膜と、前記光伝播路に光を導入することによって表面プラズモンを励起する手段と、前記光伝播路を通過または反射した光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段と、前記金属薄膜に接する流体中の被検出物質を検出する手段と、前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、前記光の属性を検出する検出器の出力信号から前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段を有することを特徴とする。
非標識生化学センサ(非標識生化学物質検査装置)においてレセプタを振動させ、その振動信号と検出した信号を用いてロックイン計測を行うことによって測定感度と精度を向上する。
まず、背景技術で示した非標識生化学物質検査装置(以下非標識生化学センサ)の課題である感度と精度の劣化要因を分類する。次に本発明で開示する構成によって、これらの劣化要因をどのように抑圧するかを示す。
最初に劣化要因を分類する。以下、感度と精度の劣化要因を総称して揺らぎと呼び、感度の劣化要因をノイズ、精度の劣化要因を誤差と呼ぶ。図10に非標識生化学センサを一般化した模式図を示し、実線の矢印で揺らぎの要因が信号に重畳する経路を示した。
まず、一般化した生化学センサの原理を記す。レセプタ100に吸着する被検出生化学物質101を検出するために、基板21上にレセプタを固定化する。レセプタ100を固定化した基板上の領域に物質101の吸着によって変調を受けるキャリアと呼ぶエネルギーの流れを作る。たとえば、光強度変化を測定する例で言えばキャリアは光であり、基板上にキャリアの流れを作るために光導波路を形成する。また、キャリアの変調とは光などの強度または振幅または位相または周波数を変化させることを指す。キャリア生成装置22から出力されたキャリアは基板21上を通過する過程で物質101の吸着量に依存した変調を受ける。次にディテクタ23で電気信号に変換する。電気信号変換前後で適切な信号処理を行った後、物質吸着量信号として出力する。キャリア強度をIcとするとき、信号揺らぎ要因としてはキャリア生成時に生じるキャリア揺らぎINcがまず、Icに重畳する。キャリア揺らぎの具体例としては、光導波路を使う場合にはレーザダイオードの相対強度雑音(RIN: Relative Intensity Noise)や位相雑音、また、表面プラズモン法を使う場合には波長揺らぎが挙げられる。次に、レセプタ100が固定化された基板21を通過する時に、揺らぎINstrがIcに重畳される。INstrの例としては、基板21上にマッハ・ツェンダー干渉計が形成されているときに温度変化によって光導波路を構成する材料の屈折率が変化し、干渉条件が変化して出力光信号が揺らぐことや光を基板21上の光導波路に入力するときに光が漏れ、さらに漏れた光が出力光信号と干渉するとき、温度変化によって干渉条件が変化し光強度が揺らぐことなどが含まれる。次に、被検出物質101以外のサンプル中の不純物14の影響による揺らぎINnospが被検出物質101がレセプタ100に吸着することによる信号Isとともに重畳される。これらすべてを合成した信号がディテクタにおいて電気信号に変換され、信号処理される。このときにも受光・増幅・信号処理デバイスの熱雑音Ithが重畳する。以上まとめると、信号ノイズ(揺らぎ)比(SN)は数式1に示すように4種類の揺らぎで決まる。通常のロックイン計測ではIを周期的に変調し、INcを低減するのに有効である。また、数式2に示すようにシグナル強度Isはキャリア強度Icに比例している。このためキャリア強度Icを大きくしてSNを改善することが可能である。ここで、ηは物質吸着によるキャリア強度の変調効率(物質吸着量に対するキャリア変化量の比)、ζは基板通過時のキャリア強度の透過効率、cは被検出物質の濃度である。しかし、数式2から分かるように不純物による揺らぎINnospもキャリア強度に比例しているため、Icを大きくしてもSNは改善しない。この数式でC‘は不純物濃度、εは不純物非選択的吸着率(非検出物質の吸着に対する不純物の吸着確率の比)である。さらに、不純物濃度は被検出物質101の濃度よりも6桁以上高いことが多く、εは一般に103〜106の値であることから、不純物による揺らぎINnospが被検出物質101による信号よりも大きくなるという問題も頻繁に生じる。被検出物質の入ったサンプルの事前精製が十分に行えない場合には上記問題は特に重要である。また、この問題は基板上への化学物質の吸着を検出する検出方法にとって一般的に重要な課題でもある。
以上に示したようにセンサチップ中で発生する揺らぎINstrと不純物による揺らぎINnospを低減する方法は非標識センサにおいて従来知られていなかった。以下にこれらの揺らぎを低減する方法を記す。
本発明の基本構成を図1に示す。この構成は背景技術に示した従来の非標識生化学センサのいずれにも適用できるように抽象化している。構成要素については具体例と対応させて説明する。
基板1上にキャリアを通過させる構造2を形成する。キャリアの具体例は光や電流である。また、このキャリアを生成する装置3は具体的にはレーザ光源や電流源や高周波源であり、前記構造2に入射する。また、前記構造2はキャリアが被検出物質の存在する溶媒にキャリアの一部は染み出すような構造になっており、被検出物質と構造2との距離と被検出物質の量に応じて、キャリアの強度や位相や状態に変化を与える。キャリア検出器5で上記被検出物質による変調を受けたキャリアを計測する。従来の構成では、被検出物質を選択的に構造2近傍に集めるためにレセプタを構造2の近傍に固定化していた。本発明の構成では、このレセプタが構造2との距離または向きが任意の周期で運動あるいは振動させる手段を備えていることを特徴とする。すなわち、このレセプタは可動かつ、キャリアと相互作用しない領域までは離れないように構造2に固定化されており、また、このレセプタは外部からの振動場(電場や磁場など)の力を受けることができる分子を選択する。このレセプタを振動させる振動場生成装置9を備えている。レセプタの例としては抗体はや1本鎖のDNA(デオキシリボ核酸)が考えられ、これらを選択すると、自然に上記2つの条件を満足する固定化したレセプタをえることができる。すなわち、アミノ基などを介して構造2に固定化することによって分子は自由に回転振動運動することが可能であり、適切な溶媒中で電離したイオンを含むため電場から力を受けることができる。
この基本構成において、レセプタ分子は図1中に示したように振動場生成装置9によってレセプタ分子が立った状態(実線)と倒れた状態(点線)を繰り返す。それゆえ、レセプタあるいはサンプルとレセプタの複合体と構造2(前記光導波路)の間の平均距離を時間的に振動させることができる。この基本構成ではレセプタが可動であり力を受けることができるが、これら2つの機能を別の最適な手段で置き換えることも可能である。このようにした場合の構成を図37に示す。まず、レセプタを構造2(前記光導波路)の表面近傍に繋ぎ止めるとともに前記レセプタに振動を与えられるようにするテザー分8(つなぎ分子)を用いる。次に、振動場から効率よく力を受けるようにするために、前記に振動場生成装置9によって発生させた電磁場に感応する微粒子7をレセプタに結合する。こうすることによってレセプタやレセプタとサンプルの複合体は大きく振動することが可能となり、検出装置の感度の向上をはかることができる。なお、振動場生成装置9は振動場信号生成装置10からの信号を受け、振動場を微粒子に作用する。
次に上記構成で以下に物質を検出できるかを説明する。上記構成では、レセプタに振動を加えるとこの振動に従って構造2を通過するキャリアが変調される。すなわち、レセプタの動きを計測することができる。サンプル中の被検出物質101がレセプタに吸着するとレセプタと被検出物質の複合体が振動することになり、キャリアへの変調が変化する。たとえば、複合体の振動によって、より強くキャリアが変調される。すなわち、キャリア検出器5で受信する変調振幅が増加する。この振幅増加によって吸着物質量を定量することができる。
次に感度向上のメカニズムを示す。上記レセプタ振動に対応した変調信号と振動信号生成装置からの振動信号を同期させて、信号処理部12でロックイン検出することによって感度向上を図ることができる。すなわち、ロックイン検出によって、揺らぎ要因INnospとINstr含まれるノイズを低減することができる。なぜなら、これらのノイズ成分は1/fノイズがほとんどであるため、振動場の周波数を上げることによってSNを向上することができるからである。また、不純物によるノイズについては、不純物が振動し易い周波数以外の周波数で振動場を印加して計測することによってノイズ成分を排除することが可能である。特に、微粒子に磁化を与えて磁場で振動を励起すると不純物の振動はほとんど生じないため、振動するレセプタに吸着した分子のみからの信号を選択的に検出するこができる。また、テザー分子に非線形のバネ特性を持たせて、振動生成装置の振動数とは異なる振動数の固有振動を励起し、この固有振動を計測することによっても不純物の影響を排除することが可能である。
次に測定精度向上のメカニズムを示す。すなわち、不純物による誤差INnospを低減できる理由を説明する。図11に比較のための従来法での不純物による誤差の影響を図示した。横軸は振動場の周波数、縦軸は構造2から出力されるキャリアの変調振幅(応答)である。従来法では振動場は印加されないので、0 Hzでの応答がキャリアの応答となる。ここで振動数依存性を示したのは必要本発明と誤差量を比較するためである。この図11で曲線31はサンプル投入前の応答を示している。ここでサンプルの投入とは被検出物質101を含む溶液または気体が構造2と接触させることをさす。応答曲線33は不純物のみの応答曲線である。曲線32がサンプル投入後の応答曲線である。サンプルの中には被検出物質101と不純物が両方含まれている。被検出物質の多くがレセプタに吸着されて振動数0での応答に寄与しているが、不純物の寄与も増加する。サンプルの投入によって増加する不純物の寄与を曲線32で示した。図11から分かるように、従来法の検査装置で検出される見かけの吸着量はSnominalであり、不純物の寄与error分を除いたStrueから大きくずれてしまう。一方、図12に本発明での不純物の寄与の抑圧法を図示した。図11と同様に曲線34、35はそれぞれサンプル投入前と投入後の応答の振動数依存性を示す。曲線34中の振動数f1のピークは被検出物質が吸着する前のレセプタの緩和振動周波数または固有振動周波数である。ここで、レセプタを固有振動させるためにはテザー分子にバネの特性を持たせる必要がある。サンプルの投入によって、被検出物質101の吸着によって緩和振動周波数または固有振動周波数がf2までシフトする。ここでサンプル投入後にf1とf2にピークが現れるのは被検出物質と結合したレセプタと結合していないレセプタの両方があるからである。本発明の計測法では、被検出物質の量は図12中では(B-A)/2に対応する。この量は吸着していないレセプタの減少量と吸着したレセプタの増加量を足して2で割った量に一致する。ここで本発明での計測値の不純物による誤差量は振動数f1とf2での応答の差の変化の半分、すなわち、図12中の(δ'-δ)/2に対応する。この量は一般に図11のerrorよりも小さい。なぜなら、不純物によるキャリアの応答は一般には、振動数f1およびf2が共鳴振動数(緩和振動周波数または固有振動数)にも対応していないからである。以上のように不純物による誤差を低減することができる。
次に図1中の信号処理部12の処理内容について図36を使って説明する。キャリア検出器5からの変調信号13と振動場信号生成装置からの同期信号11を信号処理部12に入力する。同期信号11は移相器53で位相調整し、ミキサ51にて変調信号13と積演算する。この信号はローパスフィルタ52を通過後出力される。上記過程を数式を使って説明すると、変調信号13 A0・sin(ωt+α) (A0は変調信号振幅、ωは振動場角振動数、tは時間、αは信号位相)と同期信号sin(ωt+β)の積をとってA0/2・cos(β-α)- A0/2・cos(2ωt+α+β)の信号をローパスフィルタ52で低周波成分、即ち第1項のみを抜き出す。ここで同期信号の位相βを変調信号の位相αと一致するように移相器53で調整する。これによって出力信号として変調信号の振幅の半分A0/2をデータとして出力できる。
なお、前記の緩和振動数、固有振動数f1、f2は振動場角周波数ωを調整することによって実現する。振動数と周波数の関係はω=2πfである。
不純物濃度が非常に高いにも関わらず、極微量の生化学物質を迅速に計測するという目的を達成するために、蛍光標識を用いず、計測用基板のみで簡便・安価に計測できるようにした。
<実施例1>
図13に本発明を実現する第一の例である光導波路を伝播する光の位相変化を計測する非標識生化学センサの上面構成図を示す。厚さ1mmの導電性シリコン基板200上に光導波路を用いてマッハ・ツェンダー干渉計を形成する。光導波路は6μm幅でシングルモード導波路になるように設計した。波長可変光源16から出力された光はファイバコネクタ701を介して、基板200上に形成した入力用光導波路501に入力される。光導波路501を伝播した光はマルチモード干渉計(MMI)カップラを用いて2分岐される。この分岐用MMIカップラ201の長さは310μmで、幅は20μmである。分岐後、被検出部物質101と選択的に結合する抗体100(レセプタとして機能する)を光導波路516表面に固定化した。一方、検出物質101とは結合しない比較用抗体を光導波路517表面に固定化した。生化学物質の検出感度およびダイナミックレンジは抗体を固定化した領域にある光導波路の長さに比例する。本実施例では10 mmの領域上に選択的抗体を固定化した。吸着物質による位相変化を計測するために合分岐用MMIカップラ202を用いて干渉を起こさせる。干渉後の光は出力導波路502、503を通り、ファイバ結合用コネクタ702を介してフォトダイオード204、205にて光強度が電流量に変換する。204、205の出力をそれぞれPD1、PD2とすると、図16に示すようにPD1、PD2は前記位相変化に対して正弦的に変化し、位相がπ/2だけずれている。また、PD1とPD2の和は干渉前に光導波路516および517を伝播する光強度の和とほぼ等しい。波長可変レーザからの出力される光の波長を適切に調節して、位相条件を動作点に設定することが可能である。この設定を可能にするために、光導波路516と517の長さに差を持たせ、80μmとした。これによって、通信波長帯1.55μm帯の光を10nm程度変化させれば、位相条件をπだけ変化させることが可能であり、任意の位相条件から最も感度の高い条件への調整が可能である。このような調整を行った状態、すなわち、図16中の動作点近傍では(A-B)/(A+B)が位相変化とほぼ等しい。そのため、この値を位相変化出力値とすることができる。
次に検出したいサンプル(被検出物質が混入した溶液)の導入方法について記す。被検出物質と光導波路は直接接触していなければならない。これを実現するために、基板上にシリコン樹脂製のセル203を接着する。セルとはサンプルを貯めるための窪みで、この中で光導波路516、517にサンプルが接触できるようにした。本実施例では3種類の異なるサンプルを同一基板上で計測できるように3つのセルを形成した。図13、16中ではCell 1、2、3で示した。一つのセルに投入できるサンプルは10μl程度である。
次に位相変化出力値であるフォトダイオード出力の信号処理方法について記す。まず、2つのフォトダイオードの出力差を差動アンプ206にて増幅する。振動場信号生成装置10からの信号をパワ調整と位相調整を適切に行って同期信号とする。積演算器として機能する同期検波回路207中のphase sensitive detector 217にスイッチ信号として前記同期信号を入力する。Phase sensitive detector 217の出力から和周波を取り除き、信号帯域幅を制限するために、Low pass filter 209を通過させる。上記同期信号の位相調整はlow pass filterの出力が最大になるように制御回路210から制御を行う。
また、上記、図16中の動作点への光の位相の調整についてもlow pass filter 207の出力が最大になるように制御回路210から変調可変光源16へ波長制御信号を送って調整する。
また、Cell1〜3のうち1つのセルからの信号を得るために、振動場信号生成装置10からの信号は検出セル切り替えスイッチ211で振動電場を与えるセルを選択する。たとえば、Cell2のみに振動電場を印加した場合、Cell2中のレセプタのみが振動するためCell2の物質濃度を測定することができる。従来法では、光導波路の長手方向に直列に配置されたセル中の吸着信号は足しあわされ、セルごとを分離して計測することはできなかった。
このように、光導波路マッハ・ツェンダー干渉計が形成された基板はセンサチップとして機能する。このセンサチップのみを使い捨てにできるようにするための構造を基板200上に形成した。この構造は704のV溝構造であり、光ファイバコネクタ701および702の端面に設けた。これによって、2本の金属ピンと位置合わせが可能であると同時に脱着が可能である。
次にセンサチップの断面構造を説明する。図13中の断面Aに対応する断面図を図14に、断面Bに対応する断面図を図15に示す。断面図16は選択的抗体が固定化された光導波路の長手方向の断面図である。グランド電極213を裏面に配置した導電性Si基板200上に光導波路を形成する。基板200上のクラッド層212は熱硬化性ポリマを用いて形成し、その上部にシリコンナイトライド(Si3N4)薄膜の光導波路コア層516を化学蒸着法(CVD: Chemical Vapor Deposition)によって形成した。この光導波路コア層の厚さは0.18μmで屈折率は1.95である。また、この光導波路コア層の材料としてアモルファスシリコン(aSi)やアルミナ(Al2O3)、窒化アルミ(AlN)を用いてもよい。
光導波路コア層の上にCell 1、2、3の3つのサンプルセルを配置する。セルの「壁」203はシリコンゴムで作製した。セルの光導波路長手方向に3mmとした。
次に溶液中に振動電場を印加するための構造を説明する。各セルの中に電極215が挿入できるように、成型した絶縁性プラスチック治具214をセルの上部に配置する。電極保護膜216は表面での電気化学反応を抑圧し、電極の化学的安定性を確保するために設ける。電極を含めたこれらの構造が振動場生成装置として機能する。また、振動場信号生成装置で生成された電圧をサンプル溶液中の高い電界に変えるために、電極215と光導波路コア層の間隙は0.2 mm程度と極力小さくした。
次にレセプタ固定方法について記す。化学蒸着法で形成したシリコンナイトライド膜上にシランカップリング処理を行い、表面にアミノ(NH2)基を形成する。シランカップリング剤としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、この1%水溶液に基板を30分浸漬することによってシランカップリング処理を行う。このアミノ(NH2)基対して50塩基の1本鎖DNAの3末端にあるカルボキシル(COOH)基を縮合させ、結合する。この1本鎖DNAがテザー分子8として機能する。さらに、この1本鎖DNAの5末端にあるアミノ(NH2)基に対して抗AFP(anti-α Fetoprotein)抗体のカルボキシル基を結合させる。抗AFP抗体の表面にある電離したイオンに前記電極215と213間の電場が作用する。実際にはSi基板200は導電性であるため、電極215と基板200の間に電場が印加される。抗AFP抗体の分子サイズは20 nmなので、この振動電場の印加によって重心位置は光導波路コア層516の表面から23nmと3nmの間を往復振動する。この振動による位相変化を計測する。AFPの吸着によって分子量が16万から23万に変わる。これによって分子の大きさが変化し、緩和振動周波数が変化する。ここで、シランカップリング処理を行った後、抗AFP中のカルボキシル基を縮合し結合してもよい。この場合にはテザー分子を省略した実施例となる。
サンプル溶液中のAFP吸着量を測定するための方法を以下に示す。曲線34、35はそれぞれサンプル投入前と投入後の周波数応答を示す。これらは信号生成装置10の生成する周波数を変えて、これに対応するLow pass filter209の出力から得られる。曲線34中の振動数f1のピークはAFPが吸着する前の抗AFP抗体の緩和振動周波数であり、曲線35中の振動数f2はサンプルの投入後、AFPと抗AFP複合体の緩和振動周波数である。いま、被検出物質の量は図12中では(B-A)/2に対応する。この量がAFP吸着量に対応していることを示す。図17中の破線で示した曲線31、32はサンプル投入前後での不純物のみの寄与である。このときf1でのピークの減少量はβ-α、またf2でのピークの増加量はγである。さらに、不純物吸着による周波数応答のf1とf2での差をサンプル投入前後でそれぞれδ、δ'とする。このとき、A、Bとα、β、γ、δ、δ'の関係はA = δ-β、 B = γ+δ'αとなり、B-A = γ+(β-α)+(δ-δ')となる。不純物による応答はf1およびf2では顕著な周波数依存性を示さないので、(δ-δ')<<γ、β-αとなる。AFPの吸着によるf2でのピークの増加分とf1でのピークの減少分は等しいのでγ=β-αであり。結局、(B-A)/2がAFP吸着量に対応することが分かる。また、制御回路210内部でカーブフィッティングによって曲線31、32を計算し、α、β、γを直接算出し、AFP吸着量を出力してもよい。
最後に断面図17の説明を行う。図15中に2つの光導波路断面516と517を形成し、それぞれAFP検出用光導波路516と参照用光導波路517とする。光導波路516上には抗AFP抗体が固定化されている。一方、光導波路517上には本来サンプル溶液中には存在せず、測定直前に添加することによってその濃度が既知である高分子(たとえば、ポルフィリンデンドリマー)に選択的な標準抗体130を固定化する。
本実施例中の上記説明ではサンプル溶液中にはポリフィリンデンドリマーを添加しない場合(濃度が0で既知の場合)を記している。図15中の217、218は光導波路516および517を伝播する光のフィールド分布を示している。これらの光フィールド分布はサンプル溶液の存在するCell2中に染み出しており、同時に光導波路表面から離れるにつれて強度が指数関数的に減少する。そのため、図15中で抗体が光導波路上に横たわっている場合と立っている場合、で抗体分子の存在する位置での光強度が異なり、伝播モードの位相に変化を与える。このように周期的な電場によって光位相変化が生じ、レセプタの振動振幅を光の位相変調振幅に変換することが可能になる。図15中14は不純物であるが、光導波路516、517への不純物の吸着によって光の位相が変化する。また、吸着せずに光導波表面近傍で、光のフィールド218中で運動する場合も光揺らぎの原因になる。この光揺らぎは分子のブラウン運動に起因しているため、その周波数応答はfの冪乗に逆比例する、いわゆる、1/fαノイズ(1<α<2)になることが知られている。それゆえ、分子振動を使ったロックイン計測によってノイズを低減することが可能である。
次に高感度化に関する本実施例の効果を記す。レーザ光源16として相対強度ノイズはINcは-130 dB以下である。また、センサチップの光出力強度(PD1+PD2)は0dBmとし、フォトディテクタや差動アンプのノイズの影響を最小限に抑えた。この条件でロックイン計測に用いる振動電場の周波数は10 kHzとすることによって、InstrおよびInnospのノイズ原因である1/fノイズを2桁低減できる。
また、光導波路中を伝播する光の位相変化を測定する場合、どうしてもセンサチップ(基板)の温度調節が必要であったが、本発明では化学反応の管理に必要な温度調節以外は温度調節機構を省くことができる。
また、サンプル溶液をセンサチップ上に滴下した直後は表面反応が進行し、大きな信号ドリフトがあり、従来の方式では計測できなかったが、本方式ではドリフトの影響がなくなり、サンプル投入後すぐに計測を始めることができるようになる。
また、本発明のもう一つの効果として以下のように物質の検出と検出した分子の大きさ(流体力学的半径)の分析が同時にできることである。すなわち、本構成では抗AFP抗体にAFPが選択的に吸着したことによって緩和振動周波数がf1からf2に変化したことを利用している。AFP以外の物質すなわち不純物が抗体に付着した場合は共鳴周波数変化量がことなるため、他の物質の吸着の影響を排除することができる。また、このことはさらに、AFP単体と他の物質が結合したものが抗AFPに吸着しているのかAFP単体が吸着しているのかを分離して定量することが可能である。
<実施例2>
本発明を実施する第2の例は前記第1の実施例においてレセプタである抗体の振動を計測する手段が異なる例である。すなわち、信号処理部12およびこれと制御回路との接続方法が異なる。図18に本例の上面構成図を示す。制御回路210から振動場生成装置10へ振動場の振動数と振幅信号を与える。波長可変レーザからの光はセンサチップ上で被検出物質およびレセプタと相互作用し、2つの光検出器204および205で受光し差動アンプに入力する。差動アンプで差信号を増幅するとともに2つの強度和で規格化し、信号を出力する。この信号を制御回路に入力(221)し、この信号の周波数の成分を最大にするように、波長可変光源の波長を制御する。この制御終了後、振動場周波数を含む広い周波数範囲で差動アンプ出力を周波数成分ごとの強度データに分離して、制御回路に出力する。このデータと振動場を供給しているセル番号と対応させて、data outputとする。
<実施例3>
本発明を実施する第3の例は前記第1の実施例において、レセプタおよびレセプタと被検出物質の複合体の振動の立ち上がり時間の変化を測定することによって不純物の影響を排除することを特徴とする例である。
図19に本実施例の上面構成図を示す。本実施例でも、制御回路から振動場生成装置10へ振動場の振動数と振幅信号を与える。次に、実施例2と同様に、波長可変レーザからの光はセンサチップ上で被検出物質およびレセプタと相互作用し、2つの光検出器204および205で光強度に対応した電流を差動アンプに入力する。差動アンプで差信号を増幅するとともに2つの強度和で規格化し、信号を出力する。この信号を制御回路210に入力し振幅を最大にするように、波長可変光源の波長を制御する。
この制御の後、分子の緩和振動数を周波数掃引ではなく励起振動電場のデューティを掃引することによって緩和振動周波数と緩和振動している分子数を測定する。
まず簡単な場合として、レセプタやレセプタと被検出物質との複合体が十分追随できるように励起振動周波数を遅くする。図20の(a)曲線230に示す振動電場の立ち上がりに応答して、差動アンプの出力信号も曲線231に示すように時間T0だけ遅れて立ち上がる。このとき立ち上がり時間は分子の流体力学的半径が大きいほど遅い。このため、抗AFP抗体がAFPと結合することによってT0が増加し、これによって結合した分子の大きさを同定することができる。
この立ち上がり時間によって吸着量を測定する方法を示す。この方法は複数種の分子が導波路上に固定化されている場合にも適用することが可能である。図20の(b)→(c)→(d)→(e)に示すように振動電場のハイレベルの時間をT0→T1→T2→T3と短くする。これによって分子運動は電場に追随できなくなり、差動アンプ出力ピークがA0→A1→A2→A3へと変化する。ここでA0は図20(a)のステップ関数に対する応答と同じであるため、T0が応答時間であると判定できる。ここで、T0以下の時間で応答できる分子数がA0に比例する。それゆえ、ハイレベルの持続時間をT0→T1→T2→T3と掃引することによって、応答時間がT1とT2の間にある分子数はA1-A2に比例する。このようにハイレベル持続時間すなわち、矩形波のデューティ比を掃引することによって応答時間別の分子数の測定が可能である。すなわち、光導波路表面上の吸着分子の大きさ別の物質量を計測することが可能である。
<実施例4>
本発明の第4の実施例はセンサチップ上に光導波路を用いてマッハ・ツェンダー干渉計を形成するのではなく、フォトディテクタの受光面上での干渉パタンを計測する例である。図21に本実施例の上面構成図を示す。レーザ光源3からの光を基板200上の光導波路501に入射し、実施例1と同様に検出用光導波路516と参照用光導波路517に分岐し、基板から光を取り出す。これらの光を光検出器204、205上で干渉させ、干渉縞を形成する。光検出器204と205の受光面は1つの面を形成するように隙間を最小限にして配置する。また、これらの光検出器を可動ステージ223上に配置し、光検出器204と205の強度差が最大になるように可動ステージを制御する。制御方法は以下の通りである。2つの光検出器204および205の出力を差動アンプに入力する。差動アンプで差信号を増幅するとともに2つの強度和で規格化し、出力する。この信号を制御回路に入力(221)し、この信号の振幅を最大にするように、可動ステージを制御する。制御信号を被検出物質を前記実施例1と同様に対応させる。
<実施例5>
本発明の第5の実施例は光へテロダイン検出法を利用する例である。本実施例の構成図を図22に示す。本実施例の構成上の特徴は光信号の波長をシフトさせ、強度を増幅し、位相調整後、バランスドディテクタで計測する点にある。バランスドディテクタに上記波長調整後の光を局発光として入力することによって、受光および増幅時の熱雑音の影響を低減することができる。具体的な構成を図22に示す。波長可変レーザ光源からの光を2波に分離し、一方は光導波路501に入力し、レセプタおよび被検出物質と相互作用させる。もう一方はさらに2波に分離して波長変換器240にて波長変調を加える。波長変換器240の具体例としては音響光学効果素子がある。今、波長可変レーザの出力光の波長をλ0、240で波長変化後の光波長をλ1とする。波長変換後、光アンプ242で強度を増幅し、位相シフタ244で位相を調整する。これらの光はそれぞれ、バランスドディテクタ238、239に局発光として入力する。これら2つのバランスドディテクタは図13における光検出器204と205にそれぞれ対応する。
以下バランスドディテクタ238について説明する。光導波路502からの光と240で波長変換した局発光とをハーフミラー233で合分波し、光検出器234、235で電気信号に変換する。差動アンプ236にて増幅後、λ0とλ1の差周波だけを抽出するためにローパスフィルタ237を通す。
238、239の2つのバランスドディテクタの出力の位相差を位相調整器240で調整後、差動アンプで増幅する。その後の信号処理は実施例1と同様である。
ヘテロダイン法を使う他の例としては図26に示すような構成がある。この構成では、センサチップ上で光の合分波を行わず、レセプタおよび被検出物質による光位相変化をバランスドディテクタで測定する方法である。上記と同様に光源16からの光の一部を波長変換してλ1とし、バランスドディテクタ238、239の局発光として入力する。レセプタ励起周波数がωであるとすると238、239の出力周波数は2π/λ0-2π/λ1±ωである。λ1を調整して、差周波が0になるようにする。その後、和周波についてはローパスフィルタ209でカットする。これによってロックイン検出を実現することができる。
<実施例6>
本発明の第6の実施例は分子の運動の携帯がことなる実施例である。上記の実施例ではレセプタの振動は緩和振動である。緩和振動とは分子は振動励起場の影響下でほぼ自由に運動できる場合の振動を指す。本実施例では、レセプタと光導波路表面を繋ぐテザー分子にバネの特性を持たせ、レセプタを振動励起場の下で特定の周波数で固有振動させる。バネの特性をもった分子は数多く知られている。ポリエチレングリコール(PEG: polyethylene-glycol)は生理食塩水中で10-5〜10-3 N/m程度のバネ定数を持つ。よって、ポリエチレングリコールの先端に抗AFP抗体(分子量16万)を固定化した場合、固有振動数は30 〜300 MHzになる。固有振動数は振動場にバイアス電圧を印加することによって調整することが可能である。図24に光導波路516上に固定化したポリエチレングリコールおよび、抗AFP抗体の模式図を示す。ポリエチレングリコール300の末端にはチオール基を配置し、光導波路上にシランカップリング剤301を用いて固定した。固定したポリエチレングリコールの固定端と反対側の末端に抗AFP抗体302を固定化した。この結合は抗体中のリジンにあるアミノ基を介して、シランカップリング剤303を用いて行った。
バネの特性を持つ材料としてDNAやカーボンナノチューブを用いてもよい。また、もちろん、抗体以外のレセプタを用いてもよいし、抗体とバネ分子の間および、バネ分子と光導波路の間を別の方法で結合してもよい。
振動を緩和振動から固有振動に変えることによって、分子の大きさではなく分子量によって応答周波数ピークのシフト量が変化する。すなわち、分子数と同時に分子量を測定することが可能である。
計測例は実施例1〜5のいずれの例でも適用が可能である。
<実施例7>
本発明の第7の実施例では、固有振動を計測する実施例においてバネの非線形性を利用して不純物からの揺らぎの影響を排除した例である。上記実施例では励起振動数と計測振動数はほぼ同一である。このとき、まだ多くの不純物が同じ振動数で振動する。それゆえ、励起振動数以外の応答振動数を計測することができれば、不純物の影響をより完全に排除することが可能である。
バネ定数は振動電場の振幅を大きくすることによって、自然に大きな非線形性を導入することが可能である。
非線形性を利用する有効な方法のひとつは励起振動場の周波数を固有振動の周波数の整数倍、あるいは整数分の1倍にすることである。例として、固有振動数の2倍あるいは1/2の振動数の励起場を印加することは有効である。ことのき、図23に示すように、ロックイン計測時の差動アンプからの出力信号と積演算する励起振動場の周波数は、周波数変換器270にて1/2あるいは2倍に変換する。
<実施例8>
本発明の第8の例はレセプタの振動励起を電場ではなく磁場で行った例である。図25には、実施例1の断面図(図14)に対応する断面図を示す。振動励起用電極215の代わりに305のコイルを配置した。また、304は磁場に応じて分子を振動させるために強磁性体Fe3O4の50nmの微粒子を抗AFP抗体とテザー分子であるDNAの間に固定化した。これらの間の結合は上記実施例と同様にシランカップリング剤を使用した。磁場を利用した振動励起を行うことによって不純物の振動を最小限に抑制することができる。
<実施例9>
本発明の第9の実施例は、レセプタ運動によって光導波路を伝播する光の強度変化を利用した例である。上記の実施例はいずれもレセプタなどの振動による光の位相変化を利用していた。図27に本実施例の上面構成図を示す。波長可変光源16から出力された光をセンサチップ上の導波路501に入力する。分波器201で光を分けて、光導波路516上には被検出物質101と選択的に結合するレセプタ100を固定化する。このときテザー分子8とレセプタの間に光源からの光を効率的に吸収する材料で形成したナノメートルサイズの微粒子を固定する。微粒子の直径は50 nmで材料をFe3O4とした。微粒子材料としては不純物をドープしたSiやZnS、シリカ、ZnSe、CdS、 CdSe、 GaAsなどでもよい。参照用導波路である517上には被検出物質と選択的に吸着しないレセプタを、微粒子を介して固定化した。光導波路516および517からの光強度を検出器で電気信号に変換し、実施例1と同様にロックイン計測を行う。微粒子の緩和振動の振幅変化、周波数変化によって被検出物質の大きさと分子数を光強度変化を通して計測することが可能である。同様の例としてテザー分子8をバネ分子であるポリエチレングリコール等に置き換えて、固有振動変化を観測し、分子量と分子数を計測することも可能である。
<実施例10>
本発明の第10の実施例は表面プラズモンによる金属薄膜近傍の屈折率変化を利用する例である。図28に本実施例の構成図を示す。金属薄膜521上へのレセプタの固定はテザー分子8を介して行う。これによって、振動励起電極215による電場によって上下に運動することができる。この運動によって、上記実施例1と同様に金属薄膜表面の屈折率変化が生じ、表面プラズモンの励起角度または励起波長が変化する。本実施例では表面プラズモンの励起によって反射光強度が弱くなる角度が変化することを利用する。すなわち、上記レセプタの運動による角度の変化を撮像素子で検出する。制御回路210から撮像素子に信号を送り、信号処理部12の出力が最大になるように適切な2つの撮像素子中のピクセル(2つのピクセル群でもよい)を選択し、信号処理部に出力する。信号処理部12の内部構造は図13の12の内部と同様の構成である。
上記実施例ではテザー分子としてDNAを用い、レセプタを緩和振動させたが、テザー分子をポリエチレングリコールにすることによって固有振動させることも可能である。これによって被検出物質の分子量が測定できることは言うまでもない。
また、上記実施例では振動の励起はレセプタの持つ電荷を使っていたが、レセプタとテザー分子の間に強磁性体であるFe3O4製微粒子を挿入することによって、磁場による振動励起も可能である。
また、微粒子表面に金属薄膜を蒸着するか、金属微粒子をレセプタとテザー分子の間に挿入することによって、金属表面と微粒子の間に共鳴的に表面プラズモンを励起し、観測感度を向上することが可能である。 金属薄膜521と金属微粒子または金属を表面に蒸着した微粒子320を図29のように固定化することのき微粒子と金属薄膜の間の距離の変化に応じて表面プラズモンの励起周波数は変化する。金属薄膜521と金属微粒子320の間隔が数百nm以下に近接した場合、金属薄膜表面と金属微粒子の間にプラズモンが強く励起される。励起されるプラズモンの波長変化を測定することによって、レセプタの動きを計測できる。金属微粒子は図29に示したように下半分だけ金属が蒸着されている方が安定に表面プラズモンが励起され、より望ましい。
<実施例11>
本発明の第11の実施例は光導波路や光ファイバ上に励起される表面プラズモンを利用する例である。図30に構成図を示す。光導波路上に表面プラズモンを励起するための金属薄膜を配置する以外は、実施例9(図27)と同様の構成である。光源524はレーザでも発光ダイオードでもよい。金属薄膜上に表面プラズモンの励起による光強度の低下を光検出器204で検出する。光導波路517上の金属薄膜は参照信号用に形成した。図31に断面A-Aでの断面図を示す。Fe3O4表面に金を蒸着した微粒子321をレセプタ100とテザー分子8の間に固定化することによって、磁場による振動励起と表面プラズモン効果の増強を両立させた。
<実施例12>
本発明の第12の実施例は薄膜中での光の共鳴反射を利用する例である。本実施例の構成図を図32に示す。レセプタを振動磁場で振動させるために、強磁性体微粒子(Fe3O4)304をレセプタとテザー分子の間に固定化した。本例では誘電体薄膜530の表面近傍の屈折率変化を反射光スペクトル変化で計測する。分光器535を通過した光のうち、振動磁場による信号変化が大きくなるように、撮像素子の2つピクセル(あるいは領域)を選択し、信号処理部に出力する。信号処理部の内部は図13の12と同様である。
<実施例13>
本発明の第13の実施例は電界効果トランジスタ、とくに単電子効果を利用した実施例である。本実施例におけるセンサチップの鳥瞰図を図33に示し、センサチップを含む構成図を図34に示す。まずセンサチップの構造と測定原理について記す。p型シリコン基板801上に熱酸化膜802を形成し、その上部に低抵抗n型ポリシリコンで層111、112を形成する。111はソース、112はドレインである。チャネル層806はアンドープポリシリコン層で形成した。チャネルの厚みを30nm、幅を120nmとした。なお、チャネル厚さ、幅を低減することによって、検出感度を向上することができる。チャネル層806の上面にレセプタである抗AFP抗体100を固定化した。このとき、図33に示すように、チャネル層806と抗体100の間にバネ分子であるポリエチレングリコール(分子量6000)303と電離した負イオンが多数表面に固定化されたシリカ微粒子807を挿入した。これらの分子および微粒子の結合にはシランカップリグ剤を用いた。レセプタが振動励起用電極808への電圧印加によって振動すると誘電体微粒子がチャネル層806に近接、分離を繰り返す。これによってチャネル層を流れる電流が変化し、レセプタの動きを計測することがでる。よって、固有振動変化から被検出物質を検出することができる。計測方法は前記実施例と同様に電流計813からの出力と振動励起信号を積演算回路814で積演算し、ローパスフィルタ209で差周波信号のみを抽出する。
本実施例ではチャネルを流れる電流に変化生じさせるメカニズムとして単電子効果を利用している。この効果を利用することによって、一分子レベルまでの感度向上が可能である。アンドープポリシリコンで形成したチャネル層806は微視的には直径数nm程度の多数の微粒子の集合とみなすことができる。微粒子と微粒子の間は伝導する電子にとって障壁となる。それゆえ、チャネル層を電流が流れるとき、電子は微粒子間をホッピングしながら伝導する。チャネル層はドーピングされず、微粒子は小さいため、微粒子中に存在する伝導電子の数は0または1個程度である。それゆえ、チャネル層近傍に電気双極子、あるいは電荷(本実施例では負電荷)が接近するとクーロン相互作用によって、電子の微粒子間ホッピングが単電子効果によって遮断される。
次に、センサチップを回路図として記述すると、図34の815のようになる。チャネル層中のポリシリコン微粒子はノード811、微粒子間のバリアがトンネル障壁810、微粒子近傍に電気的には絶縁された状態でバネ分子、レセプタ等が固定化されている。なお、障壁を電子が通過する原理はトンネル効果、熱的励起のいずれでもよい。なお、バイアス制御電極809はチャネル層の状態および、バネ分子の振動状態を制御するために使用する。
本実施例で、チャネル層として、通常電界効果トランジスタで利用されている反転層を用いてもよいことは言うまでもない。なお、チャネル幅、チャネル厚は狭い方が、表面での小さな電荷移動に対して電流変化率を大きくでき、感度向上が図れる。
また、本実施例では負にイオン化した分子で修飾した微粒子を利用したが、レセプタや被検出物質はイオン化していることが多く、とくにこのような微粒子を配置しなくても計測は可能である。微粒子は感度向上のために有効なため、望ましい実施例として、本例を示した。
<実施例14>
本発明の第14の例はレセプタの運動例の他の可能性に関するものである。図35に上記実施例で光導波路・誘電体薄膜・チャネル層に対応する層901近傍の断面図を示す。本実施例では薄膜光導波路901の表面に凹凸を付けることによって光の強度分布の出来る限り強い領域にレセプタが侵入するようにしている。
また、バネ分子としてDNAなどの分子のように伸張したときに捻り回転が生じる構造をもった分子902を採用し、図35に示すようにレセプタ100が円運動するようにした。なお、薄膜表面に凸凹がない場合にはこのような運動を励起しても、光は変調されない。凸凹の導入によって、広い範囲のレセプタ運動を計測することが可能である。振動励起場によって円運動の運動状態を変化させることがでる。また、光導波路を伝播する光の位相変化や強度変化を測定することによって、被検出物質101の吸着を検出することができる。
本発明の非標識生化学センサの基本構成図。 マッハ・ツェンダー干渉計を用いた従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 図2の断面A-Aでの断面図。 マッハ・ツェンダー干渉計を用いた従来の非標識生化学物質検査装置の動作点を示す図。 光導波路上の光吸収を利用した従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 図5の断面A-Aでの断面図。 表面プラズモンを利用した従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 基板上の電流変化を利用した従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 基板上の電流変化を利用した従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 誘電体薄膜からの多重反射を利用した従来の非標識生化学物質検査装置の構成図。 従来および本発明の非標識生化学物質検査装置のノイズの寄与を表す図。 従来の不純物による誤差の寄与を説明する図。 本発明の不純物による誤差の寄与を説明する図。 実施例1に対応する構成図。 図13の断面A-Aでの断面図。 図13の断面Bでの断面図。 実施例1での動作点を示す図。 実施例1での不純物による誤差を低減できることを説明した図。 実施例2に対応する構成図。 実施例3に対応する構成図。 実施例3の動作を説明する図。 実施例4に対応する構成図。 実施例5に対応する構成図。 実施例7に対応する構成図。 実施例6に対応する固定化分子の図。 実施例8に対応する構成図。 実施例5のもう一つの例に対応する構成図。 実施例9に対応する構成図。 実施例10に対応する構成図。 実施例10で表面プラズモンを安定に励起する構成図。 実施例11に対応する構成図。 実施例11に対応する断面図。 実施例12に対応する構成図。 実施例13に対応する鳥瞰図。 実施例13に対応する構成図。 実施例14に対応する断面図。 本発明の信号処理部の構成図。 本発明の基本構成に感度向上のためのテザー分子と微粒子を用いた構成図。
符号の説明
1…本発明における基板、
2…キャリアを通過させる構造、
3…キャリアを生成する装置、
5…キャリア検出器、
7…力を受ける微粒子、
8…テザー分子、
9…振動場生成装置、
10…振動場信号生成装置、
11…同期信号、
12…信号処理部、
13…変調信号、
14…サンプル中の不純物、
15…レセプタの振動方向、
16…レーザ光源、
21…キャリアと検出物質を相互作用させるための基板、
22…キャリア生成装置、
23…キャリアディテクタ、
31…従来例でのサンプル投入前の周波数応答、
32…従来例でのサンプル投入前の周波数応答、
33…従来例での不純物の周波数応答、
34…本発明でのサンプル投入前の周波数応答、
35…本発明でのサンプル投入前の周波数応答、
40…フォトディテクタ、
41…フォトディテクタ、
51…ミキサ、
52…ローパスフィルタ、
53…移相器、
100…レセプタ、
101…被検出物質、
106…入力用光ファイバ、
107…出力用光ファイバ、
108…出力用光ファイバ、
110…電流変化を計測するための半導体基板、
111…ソース領域、
112…ドレイン領域、
113…チャネル層、
114…ゲート電極、
115…絶縁膜、
130…標準抗体、
200…導電性シリコン基板、
201…分岐用MMIカップラ、
202…合分岐用MMIカップラ、
203…シリコン樹脂製のセル、
204…フォトダイオード(PD1)、
205…フォトダイオード(PD2)、
206…差動アンプ、
207…同期検波回路、
208…移相器、
209…ローパスフィルタ、
210…制御回路、
211…検出セル切り替えスイッチ、
212…クラッド層、
213…グランド電極、
214…絶縁性プラスチック治具、
215…振動場生成用電極、
216…電極保護膜、
217…フェーズ・センシティブ・ディテクタ(phase sensitive detector)、
218…光のフィールド、
221…制御回路への入力信号、
222…ローパスフィルタ出力信号、
223…可動ステージ、
230…振動電場波形(低周波)、
231…振動電場に対する差動アンプ出力波形(低周波)、
233…ハーフミラー、
234…光検出器(バランスドディテクタ中)、
235…光検出器(バランスドディテクタ中)、
236…差動アンプ(バランスドディテクタ中)、
237…ローパスフィルタ(バランスドディテクタ中)、
238…バランスドディテクタ(PD1)、
239…バランスドディテクタ(PD2)、
240…波長変換器、
242…光アンプ、
244…位相シフタ、
270…周波数変換器、
300…バネ分子(ポリエチレングリコール)、
301…シランカップリング剤、
302…レセプタ(抗AFP抗体)、
303…シランカップリング剤、
304…磁性微粒子、
305…コイル、
320…金属を表面に蒸着した微粒子、
400…レセプタ固定化(検出用)領域、
401…レセプタ固定化(参照用)領域、
402…光分布(検出用光導波路)、
403…光分布(参照用光導波路)、
501…入力用光導波路、
502,503…出力用光導波路、
516…検出用光導波路(コア層)、
517…参照用光導波路(コア層)、
518…光吸収を利用した生化学センサの検出用光導波路(コア層)、
519…光吸収を利用した生化学センサの参照用光導波路(コア層)、
520…透明基板、
521…金属薄膜、
523…プリズム、
524…レーザまたはフォトダイオード、
525…撮像素子、
526…表面プラズモン励起光および反射光の光路、
527…表面プラズモン励起用光源の入射角度、
528…表面プラズモン励起条件での入射角度、
530…誘電体薄膜、
531…プリズム、
532…白色光源、
533…白色光源からの光、
535…分光器、
536…撮像素子、
701…入力用光結合手段、
702…出力用光結合手段、
704…V溝構造、
801…p型シリコン基板、
802…熱酸化膜、
804…ソース電極、
805…ドレイン電極、
806…チャネル層、
807…イオンを固定化したシリカ微粒子、
808…振動励起用電極、
809…バイアス制御電極、
810…トンネル障壁、
811…単電子効果の起こすためのノード、
812…レセプタをゲート電極と見なした回路要素、
813…電流計、
814…積演算回路、
815…センサチップ領域、
901…凸凹を設けた薄膜光導波路、
902…捻り回転要素を持ったバネ分子。

Claims (23)

  1. 基板上に形成された光導波路に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、
    前記光導波路に光を入射する光入射手段と、
    前記光導波路から出射された光を検出する光検出手段と、
    前記光導波路表面近傍に設けられ前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタに振動を与え、前記レセプタと前記光導波路の表面との距離を変化させる振動励起手段と、
    前記光検出手段からの出力信号に基き、前記振動励起手段により振動励起された前記レセプタの振動の振幅、もしくは振動数、もしくは位相のいずれかを算出する信号処理部とを有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  2. 基板上に形成された光導波路に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、
    前記光導波路に光を入射する光入射手段と、
    前記光導波路から出射された光を検出する光検出手段と、
    前記光導波路表面近傍に設けられ前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタに振動を与え、前記レセプタと前記光導波路の表面との距離を変化させる振動励起手段と、
    前記レセプタと結合し、前記振動励起手段により発生させた電磁場に感応する微粒子と、
    前記レセプタを前記光導波路の表面近傍に繋ぎ止めるとともに前記レセプタに振動を与える機能を有するテザー分子と、
    前記光検出手段からの出力信号に基き、前記振動励起手段により振動励起された前記レセプタの振動の振幅、もしくは振動数、もしくは位相のいずれかを算出する信号処理部とを有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  3. 前記振動励起手段に入力された信号の振幅あるいは位相の調整を行なう調整器と、
    前記レセプタの振動により変調を受けた信号と前記振動励起手段に入力された信号とを積演算する演算器と、
    その積演算より得られた信号から低周波部分の信号を取り出す手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  4. 前記低周波部分の信号強度が最大になるように前記振動励起手段に入力した信号の位相を調整し、該調整後の前記信号と前記レセプタの振動に変調を受けた光検出器から出力される信号とを積演算することを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  5. 前記基板上で分岐した2本の光導波路を有し、その一方の光導波路には前記被検出物質と選択的に結合するレセプタがテザー分子を介して固定化され、該光導波路中を伝播した光とその他方の光導波路を伝播した光とを互いに干渉させる手段を有することを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  6. 前記振動励起手段に入力する信号の位相およびデューティ比を調整できる手段と、
    前記調整した位相およびデューティ比のデータを外部に出力する手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  7. 前記基板上にその一端で2本の光導波路に分岐し、その他端で再び合分波する光導波路であって、その一方の光導波路を伝播する光と他方の光導波路を伝播する光の光路長が異なるように前記光導波路が設けられ、前記光導波路に入射する光源にその波長が変更できる波長可変レーザを用いることを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  8. 前記光検出手段が、前記光導波路から出射された光とは別の経路を通った光または別の光源からの光と前記光導波路から出射された光とを合分波する合分波器と、
    前記合分波された光を検出する光検出器から構成されることを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  9. 前記レセプタの振動を励起する振動励起手段が発生する振動数と、前記信号処理部で測定するレセプタの振動数とが異なることを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  10. 前記レセプタの振動を励起する振動励起手段の発生する振動数が前記信号処理部で測定するレセプタの振動数の2倍または半分であることを特徴とする請求項9に記載の生化学物質検出装置。
  11. 前記テザー分子あるいは前記レセプタに光吸収率が大きな微粒子または、特定の波長の光吸収率が大きな微粒子が固定化されていることを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  12. 光を通過させることのできる誘電体基材と前記誘電体基材の表面に形成された薄膜とを有する基板と、前記薄膜の裏面に対して所定の角度をもって前記誘電体基材と前記薄膜の界面に光を入射する手段と、前記界面で反射する光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段とを備え、前記薄膜に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、
    前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、
    前記光の属性を検出する検出器の出力信号に基いて、前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段とを有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  13. 光を通過させることのできる誘電体基材と前記誘電体基材の表面に形成された薄膜とを有する基板と、前記薄膜の裏面に対して所定の角度をもって前記誘電体基材と前記薄膜の界面に光を入射する手段と、前記界面で反射する光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段とを備え、前記薄膜に接する流体中に含まれる被検出物質を検出する生化学物質検出装置であって、
    前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、
    前記レセプタを前記薄膜表面に繋ぎ止め、かつ振動することを許すテザー分子と、前記レセプタと結合し、前記振動励起手段により発生させた電磁場に感応する微粒子と、
    前記光の属性を検出する検出器の出力信号に基いて、前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段とを有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  14. 前記薄膜は、金属薄膜からなり、前記金属薄膜の裏面に対して所定の角度をもって前記金属薄膜の裏面に光を入射することにより表面プラズモンを励起させ、
    前記界面で反射する光の強度またはスペクトルまたは強度分布に変調を生じさせることを特徴とする請求項13に記載の生化学物質検出装置。
  15. 前記薄膜は、前記誘電体基材とは屈折率が異なる1層または複数層の誘電体薄膜とからなり、
    前記誘電体基材と前記誘電体薄膜の界面または前記複数の誘電体薄膜間の界面または前記誘電体薄膜と前記被検出物質の含まれた流体との界面で、光を少なくとも2回反射させるように前記誘電体基材に光を入射させ、
    前記誘電体薄膜の界面で複数回反射した光の強度あるいはスペクトルあるいは強度分布を測定することを特徴とする請求項13に記載の生化学物質検出装置。
  16. 基板上に設けられた光伝播路と、
    前記光伝播路の側面に形成された金属薄膜と、
    前記光伝播路に光を導入することによって表面プラズモンを励起する手段と、
    前記光伝播路を通過または反射した光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段と、
    前記金属薄膜に接する流体中の被検出物質を検出する手段と、
    前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、
    前記光の属性を検出する検出器の出力信号から前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段を有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  17. 基板上に設けられた光伝播路と、
    前記光伝播路の側面に形成された金属薄膜と、
    前記光伝播路に光を導入することによって表面プラズモンを励起する手段と、
    前記光伝播路を通過または反射した光の属性(光強度あるいはスペクトルあるいは光強度分布)を計測する手段と、
    前記金属薄膜に接する流体中の被検出物質を検出する手段と、
    前記被検出物質と選択的に結合するレセプタと、
    前記レセプタを前記金属薄膜表面に繋ぎ止めかつ振動することを許すテザー分子と、
    前記レセプタの振動を励起する振動励起手段と、
    前記光の属性を検出する検出器の出力信号から前記レセプタの振動の振幅あるいは振動数あるいは位相のいずれかを測定する手段を有することを特徴とする生化学物質検出装置。
  18. 前記光導波路表面であって、前記被検出物質と選択的に結合する分子を固定化した領域に1nm以上で1μm以下の凹凸を形成したことを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  19. 前記光導波路表面であって、前記被検出物質と選択的に結合する分子を固定化した領域に1nm以上で1μm以下の凹凸を形成したことを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  20. 前記レセプタが抗体またはDNAまたはRNAのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  21. 前記レセプタが抗体またはDNAまたはRNAのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
  22. 前記レセプタが抗体と選択的に結合する抗原またはサイトカインまたは生体内の代謝反応におけるリガンドまたは神経伝達物質のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の生化学物質検出装置。
  23. 前記レセプタが抗体と選択的に結合する抗原またはサイトカインまたは生体内の代謝反応におけるリガンドまたは神経伝達物質のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の生化学物質検出装置。
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