本発明は薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する。例えば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置や有機発光素子を有する発光表示装置を部品として搭載した電子機器に関する。
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
中でも、多結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタは、非晶質半導体膜を用いたTFTに比べて移動度が2桁以上高く、半導体表示装置の画素部とその周辺の駆動回路を同一基板上に一体形成できるという利点を有している。多結晶半導体膜は、レーザアニール法を用いることで、安価なガラス基板上に形成することができる。
レーザーアニールに用いるレーザはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。エキシマレーザに代表されるパルス発振のレーザは、連続発振のレーザと比べて、単位時間あたりに出力されるレーザ光のエネルギーが3〜6桁程度高い。よって、ビームスポット(被処理物の表面において実際にレーザ光が照射される照射領域)を数cm角の矩形状や、長さ100mm以上の線状となるように光学系にて成形し、半導体膜へのレーザ光の照射を効率的に行ない、スループットを高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パルス発振のレーザを用いるのが主流となりつつあった。
なお、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形(もしくは長楕円形)を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10〜10000)のものを線状と呼ぶが、線状が矩形状に含まれることに変わりはない。
特許文献1には、パルス発振のレーザを用い、合計チャンネル幅が動作設計値Wとなる2つのチャンネル領域CHを、Wと離間距離WAとの合計値がパルスレーザのピッチPよりも大きくする技術が記載されている。
特許第3276900号
パルス発振のレーザとしてはエキシマレーザが広く用いられている。しかし、エキシマレーザは出力パワーの関係でレーザビーム(以下、レーザ光ともいう)の断面積を極端に大きくすることは困難である。従って、レーザビームを帯状もしくは線状に整形して、これをオーバーラップさせながら走査することによって基板全面に照射している。この走査時にレーザビームのエネルギー分布の影響により結晶の粒径が不均一になる。
パルス発振のレーザ光を用いて結晶化された半導体膜は、その位置と大きさがランダムな複数の結晶粒の集まりで形成されている。結晶粒内と比較して、結晶粒の界面(結晶粒界)は非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、結晶粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの輸送特性が低下するという問題がある。
また、半導体膜にパルス発振のレーザー光による照射を行った場合、半導体膜は表面から瞬時に溶融し、その後、基板への熱伝導のため溶融した半導体膜は基板側から冷却し凝固する。この凝固過程において再結晶化し、大粒径の結晶構造を有する半導体膜となるが、いったん溶融させるため、体積膨張が生じて半導体表面にリッジと呼ばれる凹凸が形成され、特にトップゲート型TFTの場合にはリッジのある表面がゲート絶縁膜と接する面となるため、リッジにより素子特性が大きく左右されていた。
上述したこれらの要因により、表示装置等に集積形成される駆動用薄膜トランジスタの動作特性バラツキを招き、表示ムラが発生するといった問題が生じている。特に、電気的に並列に接続する複数の薄膜トランジスタ間でのバラツキが問題となっている。また、同様に、薄膜トランジスタを有する回路を集積形成したCPU等を作製した場合にも薄膜トランジスタの動作特性バラツキを招き、均一な動作を行うことが困難になるといった問題が生じている。
そこで、連続発振のレーザを用いた半導体膜の結晶化に関する技術が、近年注目されている。連続発振のレーザの場合、従来のパルス発振のレーザとは異なり、一方向に走査させながら半導体膜にレーザ光を照射して、結晶を走査方向に向かって連続的に成長させ、該走査方向に沿って長く延びた単結晶からなる結晶粒の集まりを形成することができる。従って、リッジと呼ばれる凹凸は形成されない。上記方法を用いることで、少なくともTFTのチャネル方向に交差する結晶粒界がほとんど存在しない、半導体膜を形成できると考えられる。
本発明は、複数の薄膜トランジスタからなる回路の作製において、連続発振レーザを用いて半導体膜にレーザ光を照射して溶融する領域の幅LP(微結晶領域を含まない)を大きくし、一つの領域に複数の薄膜トランジスタ(電気的に並列に連結された薄膜トランジスタ)の活性層を配置することを特徴の一つとする。
複数の薄膜トランジスタからなる回路として、代表的には、CMOS回路、NMOS回路、PMOS回路などが挙げられる。CMOS回路、NMOS回路、またはPMOS回路を用いてインバータ回路、NAND回路、AND回路、NOR回路、OR回路、シフトレジスタ回路、サンプリング回路、D/Aコンバータ回路、A/Dコンバータ回路、ラッチ回路、バッファ回路などを作製することができる。加えて、これらの回路を組み合わせることによってSRAMやDRAMなどのメモリ素子やその他の素子を構成することができる。
連続発振レーザを用いて半導体膜にレーザ光を照射した場合、照射領域と未照射領域との間にグレインサイズの小さい微結晶領域が形成される。この微結晶領域は、比較的大きな結晶が形成される結晶領域を挟んで両側に形成される。また、半導体膜全面にレーザ光を照射する場合、この微結晶領域が重なるようにレーザ光の走査を繰り返すことが好ましい。
本明細書でピッチとは、一方の微結晶領域を含めた照射領域の幅を指すものとする。また、レーザビーム幅LPは、微結晶領域を含まない照射領域幅、即ち、隣り合う微結晶領域の間の距離(比較的大きな結晶が形成される結晶領域の幅)を指している。また、レーザビーム全幅は、両方の微結晶領域を含めた照射領域の幅、即ち、照射面におけるレーザビーム形状の全幅を指している。
本明細書で開示する発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上に半導体薄膜を形成し、連続発振レーザのレーザビームを照射して前記半導体薄膜を溶融冷却して再結晶化を行い、前記半導体薄膜を活性層とした薄膜トランジスタを複数有する半導体装置であり、
前記複数の薄膜トランジスタは電気的に並列に連結され、
前記複数の薄膜トランジスタの各チャネル形成領域幅の合計WCと、各チャネル形成領域間の間隔WSと、を合わせた合計(WC+WS)は、連続発振レーザのレーザビーム幅LPより小さいことを特徴とする半導体装置である。
また、少なくとも2つの薄膜トランジスタを並列に配置した場合、他の発明の構成は、絶縁表面を有する基板上に半導体薄膜を形成し、連続発振レーザのレーザビームを照射して前記半導体薄膜を溶融冷却して再結晶化を行い、前記半導体薄膜を活性層とした薄膜トランジスタを複数有する半導体装置であり、
複数の薄膜トランジスタのうち、少なくとも2つの薄膜トランジスタは電気的に並列に連結され、
第1の薄膜トランジスタのチャネル形成領域幅W1と、
前記第1の薄膜トランジスタのチャネル形成領域と、前記第1の薄膜トランジスタと隣り合う位置に配置された第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域との間隔W2と、
前記第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域幅W3と、を合わせた合計(W1+W2+W3)は、連続発振レーザのレーザビーム幅LPより小さいことを特徴とする半導体装置である。
また、連続発振レーザ(CW:continuous−wave)に代えて、周波数が10MHz以上のパルスレーザ発振器から射出されるレーザ光(擬似CWレーザとも呼ばれる)を用いることもできる。従来のパルス発振のレーザで用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いる。パルス発振でレーザ光を半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われており、10MHz以上のパルスレーザ発振器を用いると、半導体膜がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。
従来のパルス発振のレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、好ましくは10〜60μmとし、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。
また、擬似CWレーザは、連続発振のレーザに比べてビームスポットの面積を飛躍的に広げ、なおかつガラス基板へ与える熱的なダメージを抑えることができ、なおかつ走査方向に向かって結晶を連続的に成長させ、該走査方向に沿って長く延びた単結晶からなる結晶粒の集まりを形成することができる。
また、他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上に半導体薄膜を形成し、周波数が10MHz以上100GHz以下であるパルス発振レーザのレーザビームを照射して前記半導体薄膜を溶融冷却して再結晶化を行い、前記半導体薄膜を活性層とした薄膜トランジスタを複数有する半導体装置であり、
前記複数の薄膜トランジスタは電気的に並列に連結され、前記複数の薄膜トランジスタの各チャネル形成領域幅の合計WCと、各チャネル形成領域間の間隔WSと、を合わせた合計(WC+WS)は、前記パルス発振レーザのレーザビーム幅LPより小さいことを特徴とする半導体装置である。
また、他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上に半導体薄膜を形成し、周波数が10MHz以上100GHz以下であるパルス発振レーザのレーザビームを照射して前記半導体薄膜を溶融冷却して再結晶化を行い、前記半導体薄膜を活性層とした薄膜トランジスタを複数有する半導体装置であり、
複数の薄膜トランジスタのうち、少なくとも2つの薄膜トランジスタは電気的に並列に連結され、
第1の薄膜トランジスタのチャネル形成領域幅W1と、
前記第1の薄膜トランジスタのチャネル形成領域と、前記第1の薄膜トランジスタと隣り合う位置に配置された第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域との間隔W2と、
前記第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域幅W3と、を合わせた合計(W1+W2+W3)は、前記パルス発振レーザのレーザビーム幅LPより小さいことを特徴とする半導体装置である。
また、上記各構成において、前記複数の薄膜トランジスタは互いに等間隔で配置されていることを特徴の一つとしている。
本発明で用いるCWのレーザ発振器は特に制限されることはなく、YAGレーザ、YVO4レーザ、GdVO4レーザ、YLFレーザ、Arレーザを用いることができる。
また、擬似CWレーザは、20psec以下のパルス幅をもつ極短パルスのレーザビームが発振できればどのようなレーザでも用いることが可能であり、例えば、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイヤレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザなどを用いることができる。
また、上記各構成を得るための半導体装置の作製方法も本発明の一つであり、その作製方法に関する構成は、
絶縁表面上に半導体膜を形成し、半導体膜を結晶化させるためのレーザビームを半導体膜に対して走査し、半導体膜を選択的にエッチングして第1の半導体層と第2の半導体層を形成し、第1のチャネル形成領域を有する第1の半導体層を備えた第1の薄膜トランジスタと、第2のチャネル形成領域を有する第2の半導体層を備えた第2の薄膜トランジスタとを形成する半導体装置の作製方法であり、
前記第1の薄膜トランジスタ及び前記第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域幅の合計WCと、各チャネル形成領域間の間隔WSと、を合わせた合計(WC+WS)は、前記レーザ光のレーザビーム幅LPより小さいことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
上記作製方法に関する構成において、前記レーザビームは、連続発振レーザのレーザビーム、或いは、周波数が10MHz以上100GHz以下であるパルス発振レーザのレーザビームであることを特徴の一つとしている。
また、上記作製方法に関する構成において、予め加熱処理によって半導体膜を結晶化させた後にレーザビームを照射してもよく、前記レーザビームを半導体膜に走査する前に、半導体膜を加熱して結晶化させる工程を有することを特徴の一つとしている。
また、上記作製方法に関する構成において、前記第1のチャネル形成領域の幅方向及び前記第2のチャネル形成領域の幅方向は、前記レーザビームの走査方向と垂直であることを特徴の一つとしている。
また、上記作製方法に関する構成において、前記第1の薄膜トランジスタと前記第2の薄膜トランジスタは、電気的に並列に接続していることを特徴の一つとしている。
本発明の結晶質半導体膜の作製方法を使用して結晶質半導体膜を作製すると、被照射物の結晶化を均一に行うことができるため、特性の良い結晶質半導体膜をスループット良く得ることが可能となる。また、本発明の結晶質半導体膜の作製方法を使用して結晶化した結晶質半導体膜を用いて作製される素子間の特性のバラツキを低減させることができる。
本発明の実施形態について、以下に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
図1(A)〜図1(C)を用いて、基板上に設けられた半導体膜の表面にCWレーザビームを走査している状態、および作製したTFTについて説明する。
図1(A)は、非晶質半導体膜の表面にレーザビーム11を走査している状態の上面図を示している。長い楕円のスポットを有するレーザビーム11は図中の矢印で示した走査方向12に走査されて、部分的に結晶領域を形成している。
なお、図1(A)には図示していないが、トップゲート型TFTを作製する例であるので、絶縁表面を有する基板上に下地絶縁膜が設けられており、その上に非晶質半導体膜が形成されている。
非晶質半導体膜の結晶化に際し、本実施の形態では連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波、第3高調波または第4高調波を用いることで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザ光を得る。共振器の形態の例を挙げると、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出するものがある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのパワー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。
なお、レーザ光の走査は、被処理物である基板を固定してレーザ光の照射位置を移動させる照射系移動型、レーザ光の照射位置を固定して基板を移動させる被処理物移動型、または上記2つの方法を組み合わせた方法を用いることができる。いずれの場合においても、各レーザビームスポットの半導体膜に対する相対的な移動方向を制御できることが前提である。本実施の形態では、10〜2000cm/sec程度の速度でレーザ光に対して相対的に非晶質半導体膜を移動させて照射する。また、基板にうねりが存在する場合は、うねりに合わせてオートフォーカス機構を作動させ、レーザ光の照射を行うことが好ましい。
レーザ光が照射され、走査方向に向かって成長した結晶粒が形成されている照射領域14aは、結晶性が非常に優れている。そのため、該領域をTFTのチャネル形成領域に用いることで、極めて高い移動度や、オン電流を期待できる。
図1(A)に示すように後に形成されるTFTのチャネルとなる領域15aが照射領域14aの内側に位置するように設計することが好ましい。特に図1(B)にその上面図を示すように2つのTFTを電気的に並列接続させる場合には、その両方のTFTのチャネルとなる領域が照射領域14aの内側となるようにする。図1(B)においては、走査方向と垂直な方向に2つのTFTを並べて配置する設計となっている。即ち、照射領域14aの幅LPが第1のTFTのチャネル幅W1と、第2のTFTのチャネル幅W3と、これらのチャネル間隔W2との総和(W1+W2+W3)よりも大きくなるようにすることを本発明の特徴の一つとしている。
また、照射領域14aと未照射領域13との間の領域には、微結晶となる照射領域14bが形成される。この微結晶となる照射領域14bはTFTの活性層の一部とすることは好ましくないため、活性層となる領域15bと重ならないようにする。また、繰り返し照射を行う場合には、この微結晶となる照射領域14b同士が重なるように走査を行う。即ち、微結晶となる照射領域14bの部分をオーバーラップさせる。
レーザ光の照射が終わったら、パターニングを行って島状の半導体層を2つ形成し、公知の技術を用いてゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜、ソース配線、ドレイン配線などを形成して薄膜トランジスタを完成させる。
完成した2つのTFTの接続の様子を図1(B)に示す。図1(B)は図1(A)に対応させて示したが、実際は、TFTの作製工程中の熱処理などによって基板などのシュリンクが発生して活性層のサイズが縮小する。
図1(B)において、第1の半導体層16aと第2の半導体層16bが並列に配置されている。また、2つのTFTは、ゲート配線17、ソース配線18、ドレイン配線19が共通となっており、電気的に並列に接続されている。
また、図1(B)中の実線A−A’で切断した断面図が図1(C)である。以下に本発明を用いた代表的なTFTの作製手順を簡略に示す。
図1(C)において、基板20はガラス基板、石英基板などを用いることができる。また、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
まず、図1(C)に示すように基板20上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜(SiOxNy)等の絶縁膜から成る下地絶縁膜を形成する。代表的な一例は下地絶縁膜として、2層構造から成り、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される窒化酸化珪素膜21aを50〜100nm、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜21bを100〜150nmの厚さに連続形成して積層させた構造が採用される。また、下地絶縁膜の一層として膜厚10nm以下の窒化シリコン膜(SiN膜)、或いは酸化窒化珪素膜(SiNxOy膜(X>Y))を用いることが好ましい。また、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化シリコン膜とを順次積層した3層構造を用いてもよい。
次いで、下地絶縁膜上に非晶質構造を有する半導体膜を形成する。半導体膜は、シリコンを主成分とする半導体材料を用いる。代表的には、非晶質シリコン膜又は非晶質シリコンゲルマニウム膜などを公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜する。そして上述したCWレーザにより結晶構造を有する半導体膜を得る。
次いで、フォトリソ技術を用いてパターニングを行い、第1の半導体層および第2の半導体層を得る。パターニングにおけるレジストマスク形成を行う前には各半導体層を保護するためにオゾン含有水溶液、または酸素雰囲気でのUV照射によってオゾンを発生させて酸化膜を形成している。ここでの酸化膜はレジストのぬれ性を向上させる効果もある。
なお、必要があれば、パターニングを行う前に、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを上記酸化膜を介して行う。上記酸化膜を介してドーピングを行った場合には、酸化膜を除去し、再度オゾン含有水溶液によって酸化膜を形成する。
次いで、各半導体層の表面を覆って、ゲート絶縁膜となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。ゲート絶縁膜としては、PCVD法による酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を用い、膜厚を10nm〜100nm、好ましくは10nm〜30nmとして比較的薄いものとする。ゲート絶縁膜の薄膜化を行うことによってTFTを含む回路をさらに高速駆動させることができる。ここでは酸化珪素膜からなる第1絶縁膜24aと、窒化酸化珪素膜からなる第2絶縁膜24bとの積層構造を有するゲート絶縁膜を形成する。なお、ゲート絶縁膜を形成する前に酸化膜をフッ酸を含むエッチャントにより除去してもよい。また、半導体層の酸化膜を完全に除去する必要は特になく、薄く酸化膜を残していてもよい。オーバーエッチングして半導体層を露呈させてしまうと、表面が不純物で汚染される恐れがある。
次いで、ゲート絶縁膜の表面を洗浄した後、スパッタ法で金属膜(Mo、Ta、W、Ti、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料の単層、またはこれらの積層)を形成する。
次いで、フォトリソ技術を用いて金属膜をパターニングしてゲート配線17を形成する。
次いで、各半導体層にn型を付与する不純物元素(P、As等)、或いはp型を付与する不純物元素(Bなど)を適宜添加してソース領域22、ドレイン領域23を形成する。イオンドーピング法またはイオン注入法によりゲート絶縁膜を介して半導体層に添加する。nチャネル型TFTを形成する場合には、n型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成すればよく、pチャネル型TFTを形成する場合には、p型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成すればよい。
以降の工程は、層間絶縁膜25を形成し、水素化を行って、ソース領域22、ドレイン領域23に達するコンタクトホールを形成し、導電膜を成膜してパターニングを行ってソース電極18、ドレイン電極19を形成してTFTを完成させる。
また、本発明は図1(C)のTFT構造に限定されず、必要があればチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間にLDD領域を有する低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。この構造はチャネル形成領域と、高濃度に
不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に低濃度に不純物元素を添加した領域を設けたものであり、この領域をLDD領域と呼んでいる。さらにゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造としてもよい。
また、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えば順スタガ型TFTに適用することが可能である。
本発明は、従来のパルス発振レーザではなく、CWレーザを用いているため、リッジがなく平坦な表面を有する半導体層16aが得られる。加えて、さらなるゲート絶縁膜24a、24bの薄膜化も可能とすることができる。
(実施の形態2)
図2(A)、および図2(B)を用いて、基板上に設けられた半導体膜の表面に擬似CWレーザビームを走査している状態、および作製したTFTについて説明する。
図2(A)は、非晶質半導体膜の表面にレーザビーム31を走査している状態の上面図を示している。長い楕円のスポットを有するレーザビーム31は図中の矢印で示した走査方向32に走査されて、部分的に結晶領域を形成している。
なお、図2(A)には図示していないが、トップゲート型TFTを作製する例であるので、絶縁表面を有する基板上に下地絶縁膜が設けられており、その上に非晶質半導体膜が形成されている。
非晶質半導体膜の結晶化に際し、本実施の形態では、1.8WのYVO4レーザを用い、発振周波数は80MHz、パルス幅は12psec程度とする。なお、本発明において発振周波数は80MHzに限定されず、10MHz以上であればよい。さらに本発明では、集光性が阻害されない程度に、波面が揃い、なおかつ真円度の高いレーザ光が得られるように、パルス発振の周波数の上限を100GHzとしても良い。また、本発明は、1.8W程度の出力が得られる固体レーザに特に限定されず、例えば出力が300Wに達するような大型レーザを用いてもよい。
また、本実施の形態において、レーザ発振器は安定形共振器とし、TEM00の発振モードであることが望ましい。TEM00モードの場合、レーザ光はガウス形の強度分布を持ち、集光性に優れているため、ビームスポットの加工が容易となる。
光学系により照射面にて10μm×100μm程度のサイズを有するレーザビーム31を形成する。照射面におけるレーザビーム全幅は100μmである。そして、レーザビーム31の短軸方向に、ステージを走査する。なおビームスポットの走査速度は、数十mm/
sec〜数千mm/sec程度が適当であり、ここでは400mm/secとする。このステージの走査により、レーザビーム31が、半導体膜の表面に対して図2(A)に示す走査方向32に相対的に走査されることになる。レーザビームスポットが照射された照射領域34aにおいて半導体膜が溶融し、その固液界面が走査方向に向かって連続的に移動し、該走査方向に結晶成長した、LP幅70μmの領域に、幅数μm、長さ10〜30μm程度の単結晶の結晶粒が敷き詰められた状態が形成される。
そして、図2(A)に示すように後に形成されるTFTのチャネルとなる領域35aが照射領域34aの内側となるようにすることが好ましい。特に図2(B)にその上面図を示すように3つのTFTを電気的に並列接続させる場合には、3つのTFTのチャネルとなる領域が照射領域34aの内側となるようにする。図2(B)においては、走査方向と垂直な方向に3つのTFTを並べて配置する設計となっている。即ち、照射領域34aの幅(LP幅)が第1のTFTのチャネル幅W1と、第2のTFTのチャネル幅W3と、第3のTFTのチャネル幅W5と、これらのチャネル間隔W2、W4と、の総和(W1+W2+W3+W4+W5)よりも大きくなるようにすることを本発明の特徴の一つとしている。
さらに、図2(B)においては、走査方向にも3つのTFTを並べて配置する設計となっており、合計9個のTFTを配置する設計となっている。また、これらのチャネル形成領域は等間隔で配置されている。
また、照射領域34aと未照射領域33との間の領域には、微結晶となる照射領域34bが形成される。ここでは、照射領域の全幅(レーザビーム全幅)100μmのうち、LP幅70μmの結晶成長した領域の両脇には15μmの微結晶領域が形成される。この微結晶となる照射領域34bはTFTの活性層の一部とすることは好ましくないため、活性層となる領域35bと重ならないようにする。
半導体膜全面に照射を行う場合、繰り返し走査するピッチは85μmであり、15μmの微結晶領域同士がオーバーラップするようにする。
レーザ光の照射が終わったら、パターニングを行って島状の半導体層を2つ形成し、公知の技術を用いてゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜、ソース配線、ドレイン配線などを形成して薄膜トランジスタを完成させる。
完成した3つのTFTの接続の様子を図2(B)に示す。図2(B)は図2(A)に対応させて示したが、実際は、TFTの作製工程中の熱処理などによって基板などのシュリンクが発生して活性層のサイズが縮小する。
図2(B)において、第1の半導体層36aと第2の半導体層36bと第3の半導体層36cとが並列に配置されている。また、3つのTFTは、ゲート配線37、ソース配線38、ドレイン配線39が共通となっており、電気的に並列に接続されている。
また、実施の形態1に用いた連続発振のレーザの場合、半導体膜の任意の1点にレーザ光が照射される時間は10μsecのオーダーである。しかし本実施の形態では、10MHzを超える高い発振周波数でレーザ光を発振させるのでパルス幅が1nsec以下となっており、1点にレーザ光が照射される時間を10-4倍とすることができ、なおかつ連続発振のレーザに比べて尖頭出力を飛躍的に高めることができる。そのため、基板上に形成された半導体膜の結晶化の際に、基板に与えられる熱量を連続発振のレーザよりも大幅に抑えることができ、よって基板のシュリンクや、半導体膜と、他の膜との間で起こる不純物の拡散を防ぐことができ、それにより半導体素子の特性を高め、歩留まりを高めることが可能になる。
また、従来のパルス発振レーザではなく、擬似CWレーザを用いているため、リッジがなく平坦な表面を有する第1の半導体層36a、第2の半導体層36b、第3の半導体層36cが得られる。加えて、さらなるゲート絶縁膜の薄膜化も可能とすることができる。
また、従来のパルス発振レーザに比べて著しく高い発振周波数を用いるため、レーザ光を基板に対して垂直の方向から照射しても、基板の裏面における光の反射によって生じる干渉が抑えられるという、副次的な効果も得ることができる。レーザ光を基板に対して垂直の方向から照射することができるため、光学設計が容易になり、得られるビームスポットのエネルギー分布をより均一にすることができる。
また、本実施の形態は実施の形態1と組み合わせることができる。
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
本実施例では、図3を用いて、レーザ照射装置の構成について説明する。
101はパルス発振のレーザ発振器であり、本実施例では、1.8WのYVO4レーザを用いる。また102は非線形光学素子に相当する。レーザ発振器101は安定形共振器とし、TEM00の発振モードであることが望ましい。TEM00モードの場合、レーザ光はガウス形の強度分布を持ち、集光性に優れているため、ビームスポットの加工が容易となる。レーザ発振器101から発振されたレーザ光は、非線形光学素子102により第2高調波(532nm)に変換される。特に第2高調波に限定する必要はないがエネルギー効率の点で、第2高調波の方が、さらに高次の高調波と比較して優れている。発振周波数は80MHz、パルス幅は12psec程度とする。
なお、発振周波数は80MHzに限定されず、10MHz以上であればよい。さらに本発明では、集光性が阻害されない程度に、波面が揃い、なおかつ真円度の高いレーザ光が得られるように、パルス発振の周波数の上限を100GHzとしても良い。
なお、図3のレーザ照射装置は、非線形光学素子102をレーザ発振器101が有する共振器内に設けていても良いし、基本波のレーザ発振器の外に別途非線形光学素子を備えた共振器を設けていても良い。前者は装置が小型になり、共振器長の精密制御が不要になるという利点を有し、後者は基本波と高調波の相互作用を無視できるという利点を有する。
非線形光学素子102には、非線形光学定数の比較的大きいKTP(KTiOPO4)、
BBO(β−BaB2O4)、LBO(LiB3O5)、CLBO(CsLiB6O10)、GdYCOB(YCa4O(BO3)3)、KDP(KD2PO4)、KB5、LiNbO3、Ba2NaNb5O15等の結晶が用いられており、特にLBOやBBO、KDP、KTP、KB5、CLBO等を用いることで基本波から高調波への変換効率を高めることができる。
レーザ光は通常水平方向に射出されることから、レーザ発振器101から発振されたレーザ光は、反射ミラー103にて、鉛直方向からの角度(入射角)がθとなるように、その進行方向が変換される。本実施例では、θ=18°とする。進行方向が変換された第1のレーザ光は、レンズ104によりそのビームスポットの形状が加工され、ステージ107上に載置された被処理物に照射される。図3では、基板105上に形成された半導体膜106が被処理物に相当する。図3では、反射ミラー103とレンズ104とがレーザ光を半導体膜106において集光させるための光学系に相当する。
図3では、レンズ104として平凸球面レンズを用いている例を示している。平凸球面レンズは焦点距離20mmである。そしてその曲面の中央にレーザ光が入射するように、平面が基板105と平行になるように配置されている。また平凸球面レンズの平面と半導体膜106との距離は20mmとする。これにより、半導体膜106の表面において、10μm×100μm程度のサイズを有するビームスポット110が形成される。ビームスポット110を細長く伸ばすことができるのは、レンズ104の非点収差の影響である。
図3のように、被処理物として半導体膜106が成膜された基板105を用いる場合において、半導体膜106が非晶質半導体のとき、半導体膜106のレーザ光に対する耐性を高めるために、レーザ光の照射の前に熱アニールを該半導体膜106に対して行なうことが好ましい。具体的に熱アニールは、例えば窒素雰囲気下において500℃、1時間程度で行なえばよい。熱アニールの他に、触媒金属を用いた結晶化を施していてもよい。熱アニールを施した半導体膜でも、触媒金属を用いて結晶化された半導体膜でも、最適なレーザ光の照射条件はほぼ同様である。
また、ステージ107は、X軸方向に走査を行なうためのロボット(X軸用一軸ロボット)108とY軸方向に走査を行なうためのロボット(Y軸用一軸ロボット)109とにより、基板105に平行な面内においてXY方向に移動が可能である。
そして、Y軸用一軸ロボット109を用いてビームスポット110の短軸方向に、ステージ107を走査する。なおステージ107の走査速度は、数十mm/sec〜数千mm/sec程度が適当であり、ここでは400mm/secとする。このステージ107の走査により、ビームスポット110が、半導体膜106の表面に対して相対的に走査されることになる。よって、ビームスポット106が当たっている領域において半導体膜が溶融し、その固液界面が走査方向に向かって連続的に移動し、該走査方向に結晶成長した、LP幅70μmの領域に、幅数μm、長さ10〜30μm程度の単結晶の結晶粒が敷き詰められた(みたすように)状態が形成される。
次に図4を用いて、ビームスポット110の、半導体膜106の表面における走査経路について説明する。被処理物に相当する半導体膜106全面にレーザ光を照射する場合、Y軸用一軸ロボット109を用いて一方向への走査を行なった後、X軸用一軸ロボット108を用いて、Y軸用一軸ロボット109による走査方向と交差する方向に、ビームスポット110をスライドさせる。このスライドさせる距離がピッチに相当する。
例えば、Y軸用一軸ロボット109によりビームスポット110を一方向に走査する。図4において、該走査経路をA1で示す。次に、X軸用一軸ロボット108を用いて、走査経路をA1に対して垂直の方向にビームスポット110をスライドさせる。該スライドによる走査経路をB1で示す。次に、走査経路A1とは反対方向に向かって、Y軸用一軸ロボット109によりビームスポット110を一方向に走査する。該走査経路をA2で示す。次に、X軸用一軸ロボット108を用いて、走査経路をA2に対して垂直の方向にビームスポット110をスライドさせる。該スライドによる走査経路をB2で示す。このように、Y軸用一軸ロボット109による走査とX軸用一軸ロボット108による走査とを順に繰り返すことで、半導体膜106全面にレーザ光を照射することができる。
レーザ光が照射され、走査方向に向かって成長した結晶粒が形成されている領域は、結晶性が非常に優れている。そのため、該領域をTFTのチャネル形成領域に用いることで、極めて高い移動度や、オン電流を期待できる。しかし半導体膜のうち、そのような高い結晶性が必要とされない部分が存在する場合、該部分にはレーザ光を照射しないようにしても良い。もしくは、走査の速度を増加させるなど、高い結晶性が得られないような条件でレーザ光の照射を行なうようにしても良い。
なお、レーザ光の走査は、被処理物である基板を固定してレーザ光の照射位置を移動させる照射系移動型、図3、図4のようにレーザ光の照射位置を固定して基板を移動させる被処理物移動型、または上記2つの方法を組み合わせた方法を用いることができる。いずれの場合においても、各ビームスポットの半導体膜に対する相対的な移動方向を制御できることが前提である。
以下にTFTの作製手順を示す。
厚さ0.7mmのガラス基板の片面に、厚さ200nmの酸化珪素を形成し、その上に半導体膜として厚さ66nmの非晶質珪素(a-Si)膜をプラズマCVD法で形成した後、半導体膜のレーザに対する耐性を高めるために、窒素雰囲気下において500℃、1時間の熱アニールを行なう。
そして、図3に示すレーザ照射装置を用い、1.8WのYVO4レーザの第2高調波(532nm)、TEM00モード、発振周波数80MHz、パルス幅12psec、走査速度400mm/sec、長さ10μm×全幅100μm程度のサイズを有するビームスポットで、レーザ光を照射し、結晶化を行なう。そして、LP幅70μmの領域に、該走査方向に結晶成長した、幅数μm、長さ10〜30μm程度の単結晶の結晶粒が敷き詰められた(みたすように)状態が得られる。
そして、得られたLP幅70μmの領域の内側に複数の島状の半導体層をパターニングする。例えば、LP幅70μmの領域に、チャネル幅W1(W1=20μm)の第1のチャネル形成領域、チャネル幅W2(W2=20μm)の第2のチャネル形成領域とを並列に並べて、それらの間隔を10μmとする。こうすることによって結晶領域のLP幅をチャネル幅及び間隔の総和よりも大きく(結晶領域の幅70μm>20μm+20μm+10μm)することができる。なお、第1のチャネル形成領域のチャネル長L1は8μm、第2のチャネル形成領域のチャネル長L2は8μmとする。
以降の工程は、公知の技術を用いて少なくとも上記チャネル形成領域を有する2つのTFTを完成させ、電気的に並列に接続する。こうして第1のTFT(L1/W1=8μm/20μm)と第2のTFT(L2/W2=8μm/20μm)とが得られる。得られた2つのTFTは、少なくとも2つのチャネル形成領域において結晶化が均一に行われ、ほぼ同一の電気特性を示す。
電気的に並列に接続された上記2つのTFTを表示装置等に集積形成される駆動回路の一部に用いれば、動作特性の均一化を図ることができ、駆動回路が原因となっている表示ムラをなくすことができる。
また、同様に、上記2つのTFTを用いて、NMOS回路、PMOS回路、またはCMOS回路を集積形成したCPU等を作製した場合にも薄膜トランジスタの動作特性バラツキを低減することができ、均一な動作を行うことが可能となる。
また、本実施例は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、図5を用いて、半導体装置の作製方法について説明する。
まず、図5(A)に示すように、基板500上に下地膜501を成膜する。基板500には、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、SUS基板等を用いることができる。また、PET、PES、PENに代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
下地膜501は基板500中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素や、窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて窒化酸化珪素膜を10nm〜400nm(好ましくは50nm〜300nm)の膜厚になるように成膜する。
なお下地膜501は単層であっても複数の絶縁膜を積層したものであっても良い。またガラス基板、SUS基板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散が問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない。
次に下地膜501上に半導体膜502を形成する。半導体膜502の膜厚は25nm〜100nm(好ましくは30nm〜60nm)とする。なお半導体膜502は、非晶質半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。
次に図5(B)に示すように、図3のレーザ照射装置を用いて半導体膜502にレーザ光を照射し、結晶化を行なう。
本実施例ではレーザ光として、エネルギー2W、TEM00の発振モード、第2高調波(532nm)、発振周波数80MHz、パルス幅12psecのYVO4レーザを用いる。
なお、レーザ光を光学系により加工することで半導体膜502の表面に形成されるビームスポットは、短軸10μm、長軸100μmの矩形状とする。
そして、半導体膜502の表面において、ビームスポットを図5(B)に示した白抜きの矢印の方向に向かって走査する。発振周波数を80MHzとすることで、固液界面を白抜きの矢印の方向に向かって連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒が形成される。該走査方向に沿って長く延びた単結晶の粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
なお、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
上述した半導体膜502へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜503が形成される。
次に、図5(C)に示すように半導体膜503をパターニングすることで、島状の半導体膜507〜509が形成され、該島状の半導体膜507〜509を用いてTFTに代表される各種の半導体素子が形成される。
図示しないが、例えばTFTを作製する場合、次に島状の半導体膜507〜509を覆うようにゲート絶縁膜を成膜する。ゲート絶縁膜には、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。
次に、ゲート絶縁膜上に導電膜を成膜しパターニングすることでゲート電極を形成する。そして、ゲート電極や、あるいはレジストを成膜しパターニングしたものをマスクとして用い、島状の半導体膜507〜509にn型またはp型の導電性を付与する不純物を添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらにはLDD領域等を形成する。
上記一連の工程によってTFTを形成することができる。なお本発明の半導体装置の作製方法は、島状の半導体膜の形成以降の、本実施例で示したようなTFTの作製工程に限定されない。上述のレーザ光の照射方法を用いて結晶化された半導体膜をTFTの活性層として用いることで、素子間の移動度、閾値及びオン電流のばらつきを抑えることができる。
また、レーザ光による結晶化の前に、触媒元素を用いた結晶化工程を設けても良い。触媒元素としては、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いることができる。触媒元素を用いた結晶化工程の後に、レーザ光による結晶化工程を行なうと、触媒元素による結晶化の際に形成された結晶が、基板により近い側においてレーザ光の照射により溶融されずに残存し、該結晶を結晶核として結晶化が進む。よってレーザ光の照射による結晶化は基板側から半導体膜の表面に向かって均一に進みやすく、レーザ光による結晶化工程のみの場合に比べて、より半導体膜の結晶性を高めることができ、レーザ光による結晶化後の半導体膜表面の荒れが抑えられる。よって後に形成される半導体素子、代表的にはTFTの特性のばらつきがより抑えられ、オフ電流を抑えることができる。
なお、触媒元素を添加してから加熱処理を行なって結晶化を促進してから、レーザ光の照射により結晶性をより高めていても良いし、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザ光を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、または実施例1と自由に組み合わせることができる。
本実施例では実施例2とは異なり、図3のレーザ照射装置による結晶化方法に、触媒元素による結晶化方法を組み合わせた例について説明する。
まず、半導体膜502を成膜する工程まで、実施例2の図5(A)を参照して行なう。次に図6(A)に示すように、半導体膜502の表面に、重量換算で1〜100ppmのNiを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピンコート法で塗布する。なお触媒の添加は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて添加しても良い。そして、500〜650℃で4〜24時間、例えば570℃、14時間の加熱処理を行なう。この加熱処理により、酢酸ニッケル塩溶液が塗布された表面から、基板500に向かって縦方向に結晶化が促進された半導体膜520が形成される(図6(A))。
加熱処理には、例えば、ランプの輻射を熱源としたRTA(Rapid Thermal Anneal)、又は加熱された気体を用いるRTA(ガスRTA)で設定加熱温度740℃、180秒のRTAを行なう。設定加熱温度は、パイロメータで測る基板の温度であり、その温度を熱処理時の設定温度としている。他の方法としては、ファーネスアニール炉を用いて550℃にて4時間の熱処理があり、これを用いても良い。結晶化温度の低温化及び時短化は触媒作用のある金属元素の作用によるものである。
なお、本実施例では触媒元素としてニッケル(Ni)を用いているが、その以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いても良い。
次に図6(B)に示すように、半導体膜520を図3のレーザ照射装置を用いて結晶化する。本実施例ではレーザ光として、発振周波数80MHz、パルス幅12psec程度の、パルス発振のYVO4レーザの第2高調波を用いる。
上述した半導体膜520へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜521が形成される。なお、触媒元素を用いて結晶化された半導体膜521内には、触媒元素(ここではNi)がおおよそ1×1019atoms/cm3程度の濃度で含まれていると考え
られる。次に、半導体膜521内に存在する触媒元素のゲッタリングを行なう。
まず、図6(C)に示すように半導体膜521の表面に酸化膜522を形成する。1nm〜10nm程度の膜厚を有する酸化膜522を形成することで、後のエッチング工程において半導体膜521の表面がエッチングにより荒れるのを防ぐことができる。酸化膜522は公知の方法を用いて形成することができる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液や、オゾン水で、半導体膜521の表面を酸化することで形成しても良いし、酸素を含む雰囲気中でのプラズマ処理や、加熱処理、紫外線照射等により形成しても良い。また酸化膜522を、プラズマCVD法やスパッタ法、蒸着法などの別の方法で形成しても良い。
次に酸化膜522上に、希ガス元素を1×1020atoms/cm3以上の濃度で含むゲッタリ
ング用の半導体膜523を、スパッタ法を用いて25〜250nmの厚さで形成する。ゲッタリング用の半導体膜523は、半導体膜521とエッチングの選択比を大きくするため、半導体膜521よりも膜の密度の低い方がより望ましい。希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。
次にファーネスアニール法やRTA法を用いて加熱処理を施し、ゲッタリングを行なう。ファーネスアニール法で行なう場合には、窒素雰囲気中にて450〜600℃で0.5〜12時間の加熱処理を行なう。また、RTA法を用いる場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度にまで加熱されるようにする。
加熱処理により、半導体膜521内の触媒元素が、拡散により矢印に示すようにゲッタリング用の半導体膜523に移動し、ゲッタリングされる。
次にゲッタリング用の半導体膜523を選択的にエッチングして除去する。エッチングは、ClF3によるプラズマを用いないドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド((CH3)4NOH)を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングで行なうことができる。この時酸化膜522によって半導体膜521がエッチングされるのを防ぐことができる。
次に酸化膜522をフッ酸により除去した後、半導体膜521をパターニングし、島状の半導体膜524〜526を形成する(図6(D))。該島状の半導体膜524〜526を用いてTFTに代表される各種の半導体素子を形成することができる。なお、本発明においてゲッタリング工程は、本実施例に示した方法に限定されない。その他の方法を用いて半導体膜中の触媒元素を低減するようにしても良い。
本実施例の場合、触媒元素による結晶化の際に形成された結晶が、基板により近い側においてレーザ光の照射により溶融されずに残存し、該結晶を結晶核として結晶化が進む。よってレーザ光の照射による結晶化は基板側から表面に向かって均一に進みやすく、またその結晶方位を揃えやすいため、実施例2の場合に比べて表面の荒れが抑えられる。よって後に形成される半導体素子、代表的にはTFTの特性のばらつきがより抑えられる。
なお本実施例では、触媒元素を添加してから加熱処理を行なって結晶化を促進してから、レーザ光の照射により結晶性をより高めている構成について説明した。本発明はこれに限定されず、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザ光の照射を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施例1、または実施例2と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、図3のレーザ照射装置による結晶化方法に触媒元素による結晶化方法を組み合わせた、実施例3とは異なる例について説明する。
まず、半導体膜502を成膜する工程まで、実施例2の図5(A)を参照して行なう。次に、半導体膜502の上に開口部を有するマスク540を形成する。そして図7(A)に示すように、半導体膜502の表面に重量換算で1〜100ppmのNiを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピンコート法で塗布する。なお触媒の添加は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて添加しても良い。塗布された酢酸ニッケル塩溶液は、マスク540の開口部において半導体膜502と接する(図7(A))。
次に、500〜650℃で4〜24時間、例えば570℃、14時間の加熱処理を行なう。この加熱処理により、酢酸ニッケル塩溶液が塗布された表面から、実線の矢印で示したように結晶化が促進された半導体膜530が形成される(図7(A))。加熱処理の方法はこれに限定されず、実施例3に示したその他の方法で行なっても良い。なお、触媒元素は実施例3に列記したものを用いることができる。
次にマスク540を除去した後、図7(B)に示すように、半導体膜530を図3のレーザ照射装置を用いて結晶化する。本実施例では、エネルギー2W、第2高調波(532nm)、発振周波数80MHz、パルス幅12psecのYVO4レーザを用いる。上述した半導体膜530へのレーザ光538の照射により、結晶性がより高められた半導体膜531が形成される。
なお図7(B)に示したように触媒元素を用いて結晶化された半導体膜531内には、触媒元素(ここではNi)がおおよそ1×1019atoms/cm3程度の濃度で含まれていると
考えられる。次に、半導体膜531内に存在する触媒元素のゲッタリングを行なう。
まず図7(C)に示すように、半導体膜531を覆うように、マスク用の酸化シリコン膜532を150nmの厚さで形成し、パターニングにより開口部を設け、半導体膜531の一部を露出させる。そして、リンを添加して、半導体膜531にリンが添加された領域533を設ける。この状態で、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行なうと、半導体膜531にリンが添加された領域533がゲッタリングサイトとして働き、半導体膜531に残存していた触媒元素が、リンの添加されたゲッタリング領域533に偏析する。
そして、リンが添加された領域533をエッチングで除去することにより、半導体膜531の残りの領域において、触媒元素の濃度を1×1017atms/cm3以下にまで低減させることができる。次に、マスク用の酸化シリコン膜532を除去した後、半導体膜531をパターニングし、島状の半導体膜534〜536を形成する(図7(D))。該島状の半導体膜534〜536用いてTFTに代表される各種の半導体素子を形成することができる。なお、本発明においてゲッタリング工程は、本実施例に示した方法に限定されない。その他の方法を用いて半導体膜中の触媒元素を低減するようにしても良い。
本実施例の場合、触媒元素による結晶化の際に形成された結晶が、基板により近い側においてレーザ光の照射により溶融されずに残存し、該結晶を結晶核として結晶化が進む。よってレーザ光の照射による結晶化は基板側から表面に向かって均一に進みやすく、またその結晶方位を揃えやすいため、実施例2の場合に比べて表面の荒れが抑えられる。よって後に形成される半導体素子、代表的にはTFTの特性のばらつきがより抑えられる。
なお本実施例では、触媒元素を添加してから加熱処理を行なって結晶化を促進してから、レーザ光の照射により結晶性をより高めている構成について説明した。本発明はこれに限定されず、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザ光の照射を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施例1、実施例2、または実施例3と自由に組み合わせることができる。
図8を用いて、図3のレーザ照射装置を用いて形成される半導体表示装置の1つである、発光装置の駆動回路および画素の構成について説明する。
図8において、基板6000上に、下地膜6001が形成されており、該下地膜6001上に薄膜トランジスタ6002、6020が形成されている。画素部に配置される薄膜トランジスタ6002は島状の半導体膜6003と、ゲート電極6005と、島状の半導体膜6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。また、駆動回路に配置される薄膜トランジスタ6020は島状の半導体膜6018、6019と、ゲート電極6021と、島状の半導体膜とゲート電極6021の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。
島状の半導体膜6003、6018、6019は、図3のレーザ照射装置を用い、チャネル幅の方向にレーザ光が走査されることで結晶化された多結晶半導体膜が用いられている。ここでは、2つのTFTしか図示しないが、駆動回路において少なくとも2行×2列のTFTが設けられており、電気的に並列に接続されている。上述した実施の形態1または実施の形態2に示した方法を用いて駆動回路の一部を形成することによって回路動作バラツキを低減することができる。なお、チャネル幅方向と垂直なチャネル長は、ゲート電極6021と重なっているチャネル形成領域の長さに相当する。
またゲート絶縁膜6004は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることができる。またそれらを積層した膜、例えばSiO2上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁膜として用いても良い。またゲート電極6005として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
またトランジスタ6002、6020は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第4の層間絶縁膜6009が積層されている。第1の層間絶縁膜6006は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素膜を単層でまたは積層して用いることができる。
また第2の層間絶縁膜6007、第4の層間絶縁膜6009は、有機樹脂膜、無機絶縁膜、シロキサン系材料のようなSi−O結合とSi−CHx結合手を含む絶縁膜等を用いることができる。本実施例では非感光性のアクリルを用いる。
第2の層間絶縁膜6007上の一部に形成される第3の層間絶縁膜6008は、第1の
電極6010、ソース電極6022、ドレイン電極6023を形成した後に、これらの電極をマスクとしてエッチングする。第3の層間絶縁膜6008は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。
また図8において6017は接続電極、6024は第2の電極、6011は電界発光層、6012は第3の電極であり、第2の電極6024と電界発光層6011と第3の電極6012が重なっている部分が発光素子6013に相当する。トランジスタ6002は、発光素子6013に供給する電流を制御する駆動用トランジスタであり、発光素子6013と直接、または他の回路素子を介して直列に接続されている。電界発光層6011は、発光層単層、もしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
第2の電極6024は第4の層間絶縁膜6009上に形成されている。また第4の層間絶縁膜6009上には隔壁として用いる有機樹脂膜6014が形成されている。なお本実施例では隔壁として有機樹脂膜を用いているが、無機絶縁膜、シロキサン系材料のようなSi−O結合とSi−CHx結合手を含む絶縁膜等を隔壁として用いることができる。有機樹脂膜6014は開口部6015を有しており、該開口部において第2の電極6024と電界発光層6011と第3の電極6012が重なり合うことで発光素子6013が形成されている。
そして有機樹脂膜6014及び第3の電極6012上に、保護膜6016が成膜されている。保護膜6016は第3の層間絶縁膜6008と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いる。
また有機樹脂膜6014の開口部6015における端部は、有機樹脂膜6014上に一部重なって形成されている電界発光層6011に、該端部において穴があかないように、丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における有機樹脂膜の断面が描いている曲線の曲率半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。上記構成により、後に形成される電界発光層や第3の電極のカバレッジを良好とすることができ、第2の電極6024と第3の電極6012が電界発光層6011に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また電界発光層6011の応力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができ、信頼性を高めることができる。
なお図8では、有機樹脂膜6014として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用いた例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて有機樹脂膜6014を形成しても良い。ネガ型のアクリルを用いて有機樹脂膜6014を形成した場合、開口部6015における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及び下端部における曲率半径は、0.2〜2μmとすることが望ましい。
なお、第2の電極6024と、第3の電極6012は、いずれか一方が陽極、他方が陰極に相当する。
陽極には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。ITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。また陽極として上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料で陽極側から光を取り出す場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成する。
陰極は、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF2、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電界発光層6011中に電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。また陰極側から光を取り出す場合は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。ITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、後に形成される電界発光層6011に電子注入層を設けるのが望ましい。また透光性酸化物導電材料を用いずとも、陰極を光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成することで、陰極側から光を取り出すことができる。この場合、該陰極の上または下に接するように透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電層を形成し、陰極のシート抵抗を抑えるようにしても良い。
なお図8では、発光素子から発せられる光を基板6000に通過させる構成を示しているが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光装置としても良い。
なお、実際には図8まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材で封入された内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりすると発光素子の信頼性が向上する。
なお、本実施例では半導体表示装置の一例として発光装置を例に挙げたが、本発明の作製方法を用いて形成される半導体表示装置はこれに限定されない。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施例1、実施例2、実施例3、または実施例4と自由に組み合わせることができる。
実施例5では、下方出射型の発光装置の例を示したが、本実施例は、上面出射型の発光装置の作製例を示す。
まず、第1の基板401上に下地絶縁膜を形成する。第1の基板401は平坦性および耐熱性を有している基板であれば特に限定されない。下地絶縁膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜を形成する。
次いで、下地絶縁膜上に半導体層を形成する。半導体層は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜した後、図3に示すレーザ照射装置を用い、実施の形態1または実施の形態2に従って結晶化処理を行って得られた結晶質半導体膜を第1のフォトマスクを用いて所望の形状にパターニングして形成する。
本実施例では、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用する。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。
この半導体層の厚さは25〜80nm(好ましくは30〜70nm)の厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
次いで、レジストマスクを除去した後、半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成する。ゲート絶縁膜はプラズマCVD法またはスパッタ法または熱酸化法を用い、厚さを1〜200nmとする。
次いで、ゲート絶縁膜上に膜厚100〜600nmの導電膜を形成する。ここでは、スパッタ法を用い、TaN膜とW膜との積層からなる導電膜を形成する。なお、ここでは導電膜をTaN膜とW膜との積層としたが、特に限定されず、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料の単層、またはこれらの積層で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。
次いで、第2のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、ドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いてエッチングを行う。このエッチング工程によって、導電膜をエッチングして、TFT404のゲート電極を形成する。
次いで、レジストマスクを除去した後、第3のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を低濃度にドープするための第1のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第1のドーピング工程によって絶縁膜を介してスルードープを行い、n型の低濃度不純物領域を形成する。一つの発光素子は、複数のTFTを用いて駆動させるが、pチャネル型TFTのみで駆動させる場合には、上記ドーピング工程は特に必要ない。
次いで、レジストマスクを除去した後、第4のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、半導体にp型を付与する不純物元素(代表的にはボロン)を高濃度にドープするための第2のドーピング工程を行う。この第2のドーピング工程によってゲート絶縁膜を介してスルードープを行い、p型の高濃度不純物領域を形成する。
次いで、第5のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を高濃度にドープするための第3のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第3のドーピング工程によってゲート絶縁膜を介してスルードープを行い、n型の高濃度不純物領域を形成する。
この後、レジストマスクを除去し、水素を含む絶縁膜を成膜した後、半導体層に添加された不純物元素の活性化および水素化を行う。水素を含む絶縁膜は、PCVD法により得られる窒化酸化珪素膜(SiNO膜)を用いる。
次いで、層間絶縁膜の2層目となる平坦化膜410を形成する。平坦化膜410としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを用いる。また、平坦化膜に用いる他の膜としては、塗布法によって得られるアルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁膜、例えばシリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどを用いて形成された絶縁膜を用いることができる。シロキサン系ポリマーの一例としては、東レ製塗布絶縁膜材料であるPSB−K1、PSB−K31や触媒化成製塗布絶縁膜材料であるZRS-5PHが挙げられる。
次いで、第6のマスクを用いて層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する。次いで、第6のマスクを除去し、導電膜(TiN膜、Al(C+Ni)合金膜、TiN膜の順に積層)を形成した後、第7のマスクを用いてエッチングを行い、配線(TFTのソース配線及びドレイン配線や、電流供給配線など)を形成する。
次いで、第7のマスクを除去し、3層目の層間絶縁膜411を形成する。3層目の層間絶縁膜411としては、塗布法によって得られる黒色顔料を分散させてなる感光性または非感光性の有機材料を用いる。本実施例では、コントラスト向上、迷光の吸収のために遮光性を有する層間絶縁膜を用いている。さらに3層目の層間絶縁膜を保護するため、4層目の層間絶縁膜としてPCVD法により得られる窒化酸化珪素膜(SiNO膜)を積層してもよい。4層目の層間絶縁膜を設けた場合、後の工程で第1の電極をパターニングした後、第1の電極をマスクとして選択的に除去することが好ましい。
次いで、第8のマスクを用いて第3の層間絶縁膜411にコンタクトホールを形成する。
次いで、反射導電膜と透明導電膜を成膜した後、第9のマスクを用いてパターニングを行って反射電極412と透明電極413との積層を得る。反射電極412としては、Ag、Al、またはAl(C+Ni)合金膜を用いる。透明電極413としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電材料を用いることができる。
次いで、第10のマスクを用いて反射電極412及び透明電極413の端部を覆って隔壁となる、絶縁物419を形成する。絶縁物419としては、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。
次いで、有機化合物を含む層414を、蒸着法または塗布法を用いて形成する。フルカラーとするため、有機化合物を含む414は、それぞれ選択的に形成して、R、G、Bの3種類の画素を形成する。
次いで、有機化合物を含む層414の上に透明電極415、即ち、有機発光素子の陰極を膜厚10nm〜800nmの範囲で形成する。透明電極415としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZOを用いることができる。
以上のようにして、発光素子が作製される。
次いで、発光素子を覆って、水分の侵入を防ぐ透明保護層405、416を形成する。透明保護層405、416としては、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜(SiNO膜(組成比N>O)またはSiON膜(組成比N<O))、炭素を主成分とする薄膜(例えばDLC膜、CN膜)などを用いることができる。
次いで、基板間隔を確保するためのギャップ材(フィラー(ファイバーロッド)、微粒子(真絲球など)など)を含有するシール材を用い、第2の基板403と第1の基板401とを貼り合わせる。なお、一対の基板間には充填材料417、代表的には紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を充填する。また、第2の基板403は、光透過性を有するガラス基板や石英基板やプラスチック基板を用いればよい。透明な充填材料(屈折率1.50程度)を一対の基板間に充填することによって、一対の基板間を空間(不活性気体)とした場合に比べて全体の透過率を向上させることができる。
本実施例の発光素子は、透明電極415、透明保護層416、405、および充填材料417が透光性材料で形成され、図9(A)の白抜きの矢印で表すように、上面側から採光することができる。
また、図9(B)を用いて、両面出射型の発光装置の作製例を以下に示す。
まず、透光性を有する第1の基板501上に下地絶縁膜を形成する。第1の基板501は透光性を有する基板であれば特に限定されない。
次いで、下地絶縁膜上に半導体層を形成する。次いで、半導体層を覆うゲート絶縁膜、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する。
次いで、適宜、ドーピングを行ってn型の低濃度不純物領域、p型の高濃度不純物領域、n型の高濃度不純物領域などを形成する。次いで、レジストマスクを除去し、水素を含む絶縁膜(透光性を有する層間絶縁膜)を成膜した後、半導体層に添加された不純物元素の活性化および水素化を行う。
次いで、層間絶縁膜の2層目となる透光性を有する平坦化膜510を形成する。
透光性を有する平坦化膜510としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを用いる。
次いで、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、導電膜(TiN膜、Al(C+Ni)合金膜、TiN膜の順に積層)を形成した後、エッチングを選択的に行い、配線(TFTのソース配線及びドレイン配線や、電流供給配線など)を形成する。
次いで、3層目の層間絶縁膜511を形成する。3層目の層間絶縁膜511としては、塗布法によって得られるアルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁膜を用いる。さらに3層目の層間絶縁膜を保護するため、4層目の層間絶縁膜としてPCVD法により得られる窒化酸化珪素膜(SiNO膜)を積層してもよい。4層目の層間絶縁膜を設けた場合、後の工程で第1の電極をパターニングした後、第1の電極をマスクとして選択的に除去することが好ましい。
次いで、第3の層間絶縁膜511にコンタクトホールを形成する。
次いで、透明導電膜を成膜した後、パターニングを行って透明電極513を得る。透明電極513としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZOなどの仕事関数の高い(仕事関数4.0eV以上)透明導電材料を用いる。
次いで、マスクを用いて透明電極513の端部を覆う絶縁物519を形成する。
次いで、有機化合物を含む層514を、蒸着法または塗布法を用いて形成する。
次いで、有機化合物を含む層514の上に透明電極515、即ち、有機発光素子の陰極を膜厚10nm〜800nmの範囲で形成する。透明電極515としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZOを用いることができる。
次いで、発光素子を覆って、水分の侵入を防ぐ透明保護層505、516を形成する。次いで、基板間隔を確保するためのギャップ材を含有するシール材を用い、第2の基板503と第1の基板501とを貼り合わせる。第2の基板503は、光透過性を有するガラス基板や石英基板やプラスチック基板を用いればよい。
こうして得られた発光素子は、透明電極515、充填材料517が透光性材料で形成され、図9(B)の白抜きの矢印で表すように、上面側および下面側の両方から採光することができる。
最後に光学フィルム(偏光板、または円偏光板)506、507を設けてコントラストを向上させる。
例えば、基板501に光学フィルム(基板に近い順に、λ/4板と、偏光板とを配置)507を設け、第2の基板503に光学フィルム(基板に近い順に、λ/4板と、偏光板とを配置)506を設ける。
また、他の例として、基板501に光学フィルム(基板に近い順に、λ/4板と、λ/2板と、偏光板とを配置)507を設け、第2の基板503に光学フィルム(基板に近い順に、λ/4板と、λ/2板と、偏光板とを配置)506を設ける。
このように、本発明は両面出射型表示装置の構成に応じて、偏光板、円偏光板、またはそれらを組み合わせて設けることができる。その結果、きれいな黒表示を行え、コントラストが向上する。さらに、円偏光板を設けることにより反射光を防止することができる。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、または実施例5と自由に組み合わせることができる。
本実施例は、上記実施例によって作製されるEL表示パネルにFPCや、駆動用の駆動ICを実装する例について説明する。
図10に示す図は、FPC1209を4カ所の端子部1208に貼り付けた発光装置の上面図の一例を示している。基板1210上には発光素子及びTFTを含む画素部1202と、TFTを含むゲート側駆動回路1203と、TFTを含むソース側駆動回路1201とが形成されている。TFTの活性層が結晶構造を有する半導体膜で構成されている場合には同一基板上にこれらの回路を形成することができる。従って、システムオンパネル化を実現したEL表示パネルを作製することができる。
なお、基板1210はコンタクト部以外において保護膜で覆われており、保護膜上に光触媒機能を有する物質を含む下地層が設けられている。
また、画素部を挟むように2カ所に設けられた接続領域1207は、発光素子の第2の電極を下層の配線とコンタクトさせるために設けている。なお、発光素子の第1の電極は画素部に設けられたTFTと電気的に接続している。
また、封止基板1204は、画素部および駆動回路を囲むシール材1205、およびシール材に囲まれた充填材料によって基板1210と固定されている。また、透明な乾燥剤を含む充填材料を充填する構成としてもよい。また、画素部と重ならない領域に乾燥剤を配置してもよい。
また、図10に示した構造は、XGAクラスの比較的大きなサイズ(例えば対角4.3インチ)の発光装置で好適な例を示したが、特に限定されず、駆動回路の一部としてCOG方式で駆動ICを実装してもよい。
駆動ICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15〜80mmで形成された駆動ICを用いると、画素部に対応して実装するのに必要な数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ガラス基板上に駆動ICを形成すると、母体として用いる基板の形状に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからICチップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
また、TAB方式を採用してもよく、その場合は、複数のテープを貼り付けて、該テープに駆動ICを実装すればよい。COG方式の場合と同様に、単数のテープに単数の駆動ICを実装してもよく、この場合には、強度の問題から、駆動ICを固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、または実施例6と自由に組み合わせることができる。
本発明の表示装置、及び電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラのようなカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)、映像音声双方向通信装置、汎用遠隔制御装置等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図11、および図12に示す。
図11(A)、図11(B)はデジタルカメラであり、本体2101、表示部2102、撮像部2103、操作キー2104、シャッター2106等を含む。本発明により、表示ムラのない表示部2102を備えたデジタルカメラが実現できる。
図12(A)は22インチ〜50インチの大画面を有する大型の表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカ部2004、撮像部2005、ビデオ入力端子2006等を含む。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。本発明により、22インチ〜50インチの大画面であっても、表示ムラや、駆動回路の動作バラツキが低減された大型表示装置を完成させることができる。
図12(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明により、表示ムラや、駆動回路の動作バラツキが低減されたノート型パーソナルコンピュータを完成させることができる。
図12(C)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示する。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。本発明により、表示ムラや、駆動回路の動作バラツキが低減された画像再生装置を完成させることができる。
また、図12(D)は携帯情報端末の斜視図であり、図12(E)は折りたたんで携帯電話として使用する状態を示す斜視図である。図12(D)において、使用者はキーボードのように右手指で操作キー2706aを操作し、左手指で操作キー2706bを操作する。本発明により、表示ムラや、駆動回路の動作バラツキが低減された携帯情報端末を完成させることができる。
図12(E)に示すように、折りたたんだ場合には、片手で本体2701、および筐体2702を持ち、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706c、アンテナ2708等を使用する。
なお、図12(D)および図12(E)に示した携帯情報端末は、主に画像および文字を横表示する高画質な表示部2703aと、縦表示する表示部2703bとを備えている。
以上の様に、本発明を実施の形態1、実施の形態2、実施例1乃至7のいずれか一の作製方法または構成を用いて、様々な電子機器を完成させることができる。
本発明の上面図および断面図を示す図。(実施の形態1)
本発明の上面図を示す図。(実施の形態2)
レーザ照射装置の図。
レーザビームの、半導体膜の表面における走査経路を示す図。
レーザ光の照射方法及び半導体装置の作製方法を示す図。
レーザ光の照射方法及び半導体装置の作製方法を示す図。
レーザ光の照射方法及び半導体装置の作製方法を示す図。
レーザ照射装置を用いて形成される半導体表示装置の1つである、発光装置の駆動回路および画素の構成を示す図。
発光素子の断面図。
発光モジュールの上面図。
電子機器の一例を示す図。
電子機器の一例を示す図。
符号の説明
11:レーザビーム
12:走査方向
13:未照射領域(非晶質)
14a:照射領域(結晶)
14b:照射領域(微結晶)
15a:チャネルとなる領域
15b:活性層となる領域
16a:第1の半導体層
16b:第2の半導体層
17:ゲート配線
18:ソース配線
19:ドレイン配線